“大股おっぴろげ”から3年弱……開き直った香里奈に、まだブーイングの嵐!

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 女優の香里奈の発言に、ブーイングが相次いでいる。批判の的となっているのは、来年1月12日スタートの主演ドラマ『嫌われる勇気』(フジテレビ系)の番宣でサンケイスポーツのインタビューに答えた、「アンチが増えるっていうことは、見てくれる人が多くなったということ。何を言われても私は私」という発言。 「まるで、自分が理不尽なバッシングにでも遭っているかのような言い草ですよね。バッシングされているのもアンチが増えているのも、ちゃんと理由があるのに、そこには一切言及せず、キレイごとや一般論で済ませようとする。そこに批判が集まっているんですけどね」(芸能ライター)  言うまでもなく、その理由とは2014年3月に「フライデー」(講談社)に“大股おっぴろげ写真”が掲載されたこと。これですっかりイメージが悪化して、メディアへの露出が激減、出演CMすべてを失った。  当時から現在に至るまで、本人は“なかったこと”にしているが、世間の目は厳しい。そんな香里奈に対し、「こういう痩せ我慢な発言は嫌われるもとだよ」「あの写真はアンチとは違うんじゃね?」「よく出てこられたなぁ、と感心する」「なかったことにしてるのが余計に痛々しい」といった声が上がるのも当然だろう。  それはさておき、肝心の新作ドラマの勝算のほどは? 「同ドラマが放送される『木曜劇場』は、天海祐希主演『Chef~三ツ星の給食~』や松嶋菜々子主演の『営業部長 吉良奈津子』など、今年放送された作品はすべて惨敗に終わっています。月9ドラマと並んで、俳優や女優がいま一番仕事を受けたがらない枠です。今回も人選がなかなか決まらず、暇を持て余してスケジュールが空いていた香里奈に声がかかった、という経緯があります。そんなドラマが当たるわけないじゃないですか(笑)」(同)  ちなみに、スキャンダルから復帰第1作だった昨年10月期の主演ドラマ『結婚式の前日に』(TBS系)は、全話平均5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大コケ。スキャンダルから3年近くがたとうとしているのに、いまだにバッシングが絶えないのは、本人に原因があるといわざるを得ない。“嫌われる勇気”も結構だが、自身にとって不都合な事実を認める勇気を持ちたいものである。

“大股おっぴろげ”から3年弱……開き直った香里奈に、まだブーイングの嵐!

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 女優の香里奈の発言に、ブーイングが相次いでいる。批判の的となっているのは、来年1月12日スタートの主演ドラマ『嫌われる勇気』(フジテレビ系)の番宣でサンケイスポーツのインタビューに答えた、「アンチが増えるっていうことは、見てくれる人が多くなったということ。何を言われても私は私」という発言。 「まるで、自分が理不尽なバッシングにでも遭っているかのような言い草ですよね。バッシングされているのもアンチが増えているのも、ちゃんと理由があるのに、そこには一切言及せず、キレイごとや一般論で済ませようとする。そこに批判が集まっているんですけどね」(芸能ライター)  言うまでもなく、その理由とは2014年3月に「フライデー」(講談社)に“大股おっぴろげ写真”が掲載されたこと。これですっかりイメージが悪化して、メディアへの露出が激減、出演CMすべてを失った。  当時から現在に至るまで、本人は“なかったこと”にしているが、世間の目は厳しい。そんな香里奈に対し、「こういう痩せ我慢な発言は嫌われるもとだよ」「あの写真はアンチとは違うんじゃね?」「よく出てこられたなぁ、と感心する」「なかったことにしてるのが余計に痛々しい」といった声が上がるのも当然だろう。  それはさておき、肝心の新作ドラマの勝算のほどは? 「同ドラマが放送される『木曜劇場』は、天海祐希主演『Chef~三ツ星の給食~』や松嶋菜々子主演の『営業部長 吉良奈津子』など、今年放送された作品はすべて惨敗に終わっています。月9ドラマと並んで、俳優や女優がいま一番仕事を受けたがらない枠です。今回も人選がなかなか決まらず、暇を持て余してスケジュールが空いていた香里奈に声がかかった、という経緯があります。そんなドラマが当たるわけないじゃないですか(笑)」(同)  ちなみに、スキャンダルから復帰第1作だった昨年10月期の主演ドラマ『結婚式の前日に』(TBS系)は、全話平均5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大コケ。スキャンダルから3年近くがたとうとしているのに、いまだにバッシングが絶えないのは、本人に原因があるといわざるを得ない。“嫌われる勇気”も結構だが、自身にとって不都合な事実を認める勇気を持ちたいものである。

本作を「(笑)」付きでディスることこそ、SWファンの礼儀 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

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「前半いらなくね?」だの、「画面が暗くて狭っ苦しくね?」だの、「ローグ・ワンの6人、ドニー・イェン以外キャラ立ってなくね?」だの、「内容的に90分のTVスペシャルでよくね?」だの、「戦艦がレゴっぽくね?」だのといった憎まれ口の最後には、必ず「(笑)」を付けるのがファンの礼儀。そんな『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、副題が示すように「スター・ウォーズ(以下SW)」シリーズの外伝である。時系列的には、現在まで7作が製作されているナンバリングシリーズのうち、『エピソード3/シスの復讐』(2005年)と『エピソード4/新たなる希望』(1977年)の間に位置する物語だ。  なお、本作は『エピソード4』の開始10分前時点までを描くため、『エピソード4』序盤の状況を頭に入れてから鑑賞に挑まないと、魅力が8割がた減退するので注意が必要だ。さらに、Wikipedia日本語版には最終シーン、ラストカットのセリフまで書かれており(2017年12月20日現在)、読んでしまうと9割がた感動が目減りするので、こちらも十分に注意されたい。  プロットは、今までのSWシリーズのなかでは飛び抜けてシンプルだ。惑星ごと破壊できる兵器を備えた帝国軍の宇宙要塞「デス・スター」の弱点が記されている設計図を奪うべく、反乱軍の即席チーム「ローグ・ワン」が帝国軍のお膝元惑星に出撃する話。以上だ。  多少付け加えるなら、設計図情報をリークしたのは良心の呵責に耐えかねた帝国軍の科学者ゲイレン・アーソ。その彼の娘であるジン・アーソが、ローグ・ワンを率いる本作の主人公だ。なお「ローグ(rogue)」とは「ごろつき、悪党」の意。彼らが反乱軍の反対を振り切って出撃する際、管制塔からの通信に対して適当に名乗ったコールサインが「ローグ・ワン」である。  SWファンが冒頭のように笑いながら毒づくのは、基本的に作品愛あってのこと。でなければ、会社を早退してまで金曜日(12月16日)の公開初日に劇場へ行き、終電ギリギリまで飲み屋で感想戦にヒートアップしたりはしない。  実際、オタク気質なオジサンたちにとって、本作は酒の肴要素がテンコ盛りだ。前身黒づくめの帝国軍機動歩兵「デス・トルーパー」は、押井守監督の『ケルベロス-地獄の番犬』のプロテクトギアを彷彿とさせる。『エピソード5』ほかで登場する四足歩行兵器「AT-AT」の前身メカ「AT-ACT」とのコンバット戦は、PS4あたりのオープンワールド系FPSっぽい。主人公たちのお供をするドロイド・K-2SOも、コメディリリーフとして先代C-3POの影を踏まないようけなげに頑張っている。いやはや、酒が進む、進む。  なかでも最高に笑える……もとい、カッコイイのが、座頭市とランボーのスペックをあわせ持つ盲目のバトル僧侶、チアルート・イムウェだ。演じるのは、世界最高峰の美しい殺陣を披露する香港映画界の至宝、ドニー・イェン。さすがに殺陣の完成度は文句なしだが、念仏のように「フォースは我と共に 我はフォースと共に」を唱えるとアーラ不思議、敵の弾が当たらないって……なんだそりゃ。突っ込みがてら、ハイボールもう1杯!
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 無論、SWシリーズならではの小ネタ詰め合わせもぬかりない。『エピソード4』に登場したモス・アイズリーの酒場で右腕を斬り落とされた奴(ポンダ・バーバ)が登場しているとか、おなじみのセリフ「嫌な予感がする」を全部言わせてもらえないK-2SOとか、帝国軍のターキン総督(演じた俳優は故人)が復活しているとか、「デス・スター」の設計図の3Dワイヤーフレームがちゃんと『エピソード4』どおりのチープな代物である、とか。  しかし小ネタは小ネタ。物語の本筋には関係ない。ぶっちゃけ、いまいちパンチに欠ける展開だなあ……と思いながら終盤を迎えると、そのモヤモヤは一気に晴れる。誤解を恐れず言うなら、この映画は「『エピソード4』に直結するラスト10数分のカタルシスのために、その前の約2時間を耐え忍ぶ」作品なのだ。  そう、我々はラスト10数分でダース・ベイダー無双に心踊らされ、“例のアノ人”の登場に驚愕する。ふたりともSW前期三部作世界を代表する顔だ。  「10数分のために2時間」。まるでエベレスト登山である。  エベレスト登山は、たった数人をたった数分間だけ山頂に滞在させるために、何十人ものサポートと数百万円という費用、約2カ月という準備時間を要する。多くの人の手を借りてベースキャンプまで食料や道具を荷上げし、天候を見ながら出発日を虎視眈々とうかがい、いざ出発となれば現地のシェルパ(登山ガイド)にルートを確保してもらい、山頂まで1日で往復できる高度までなんとか到達したらテントを設営し、そこからやっと頂上にアタックするのだ。  エベレストの登頂成功者はヒーローとして栄光を手にするが、その裏には現地で雇われた多くの熟練シェルパたちの存在がある。当地の気候に精通した彼らが天気を読み、最適なルートを工作・指南し、ガイドとして同行する。そのアシストがなければ、いかに著名登山家といえど山頂に到達するのは難しい。  『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、ダース・ベイダーと“例のアノ人”が最後にすべてオイシイところを持っていく。後世に名を残す登山家として、頂を制したのだ。  いっぽう、名前も残らない多数のシェルパ、いわば無名の戦士にあたるのが、ローグ・ワンの6人(ドロイドのK-2SO含む)である。実際、ラスト10数分のインパクトは、その前2時間を完全に上書きしてしまう。エンドロール後、ローグ・ワンのメンバー全員の名前を間違えずに言える観客が、一体どれほどいるだろうか?
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 そんな「名もなき縁の下の力持ち」を記憶にとどめ、語り部として後世に伝える任務を背負っているのが誰かといえば、会社を早退してまで金曜日の初日に劇場へ行き、終電ギリギリまで飲み屋で感想戦をヒートアップさせる輩どもであろう。ローグ・ワンの面々は、多方面からディスって話題にでもしなければ忘れ去られてしまう。さながら無名のシェルパたちのように。酒を飲みながら「(笑)」つきで本作をディスるのは、むしろファンの礼儀、屈折したリスペクトの証しなのだ。  そして我々は、今日も喜々として『ローグ・ワン』をディスる。「今どき設計図が物理メディア(っぽい何か)に収められて、倉庫(っぽい何か)に収納ってないよなー」などと。もちろん、最後に「(笑)」を忘れずに。 (文・稲田豊史)

本作を「(笑)」付きでディスることこそ、SWファンの礼儀 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

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「前半いらなくね?」だの、「画面が暗くて狭っ苦しくね?」だの、「ローグ・ワンの6人、ドニー・イェン以外キャラ立ってなくね?」だの、「内容的に90分のTVスペシャルでよくね?」だの、「戦艦がレゴっぽくね?」だのといった憎まれ口の最後には、必ず「(笑)」を付けるのがファンの礼儀。そんな『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、副題が示すように「スター・ウォーズ(以下SW)」シリーズの外伝である。時系列的には、現在まで7作が製作されているナンバリングシリーズのうち、『エピソード3/シスの復讐』(2005年)と『エピソード4/新たなる希望』(1977年)の間に位置する物語だ。  なお、本作は『エピソード4』の開始10分前時点までを描くため、『エピソード4』序盤の状況を頭に入れてから鑑賞に挑まないと、魅力が8割がた減退するので注意が必要だ。さらに、Wikipedia日本語版には最終シーン、ラストカットのセリフまで書かれており(2017年12月20日現在)、読んでしまうと9割がた感動が目減りするので、こちらも十分に注意されたい。  プロットは、今までのSWシリーズのなかでは飛び抜けてシンプルだ。惑星ごと破壊できる兵器を備えた帝国軍の宇宙要塞「デス・スター」の弱点が記されている設計図を奪うべく、反乱軍の即席チーム「ローグ・ワン」が帝国軍のお膝元惑星に出撃する話。以上だ。  多少付け加えるなら、設計図情報をリークしたのは良心の呵責に耐えかねた帝国軍の科学者ゲイレン・アーソ。その彼の娘であるジン・アーソが、ローグ・ワンを率いる本作の主人公だ。なお「ローグ(rogue)」とは「ごろつき、悪党」の意。彼らが反乱軍の反対を振り切って出撃する際、管制塔からの通信に対して適当に名乗ったコールサインが「ローグ・ワン」である。  SWファンが冒頭のように笑いながら毒づくのは、基本的に作品愛あってのこと。でなければ、会社を早退してまで金曜日(12月16日)の公開初日に劇場へ行き、終電ギリギリまで飲み屋で感想戦にヒートアップしたりはしない。  実際、オタク気質なオジサンたちにとって、本作は酒の肴要素がテンコ盛りだ。前身黒づくめの帝国軍機動歩兵「デス・トルーパー」は、押井守監督の『ケルベロス-地獄の番犬』のプロテクトギアを彷彿とさせる。『エピソード5』ほかで登場する四足歩行兵器「AT-AT」の前身メカ「AT-ACT」とのコンバット戦は、PS4あたりのオープンワールド系FPSっぽい。主人公たちのお供をするドロイド・K-2SOも、コメディリリーフとして先代C-3POの影を踏まないようけなげに頑張っている。いやはや、酒が進む、進む。  なかでも最高に笑える……もとい、カッコイイのが、座頭市とランボーのスペックをあわせ持つ盲目のバトル僧侶、チアルート・イムウェだ。演じるのは、世界最高峰の美しい殺陣を披露する香港映画界の至宝、ドニー・イェン。さすがに殺陣の完成度は文句なしだが、念仏のように「フォースは我と共に 我はフォースと共に」を唱えるとアーラ不思議、敵の弾が当たらないって……なんだそりゃ。突っ込みがてら、ハイボールもう1杯!
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(C)2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
 無論、SWシリーズならではの小ネタ詰め合わせもぬかりない。『エピソード4』に登場したモス・アイズリーの酒場で右腕を斬り落とされた奴(ポンダ・バーバ)が登場しているとか、おなじみのセリフ「嫌な予感がする」を全部言わせてもらえないK-2SOとか、帝国軍のターキン総督(演じた俳優は故人)が復活しているとか、「デス・スター」の設計図の3Dワイヤーフレームがちゃんと『エピソード4』どおりのチープな代物である、とか。  しかし小ネタは小ネタ。物語の本筋には関係ない。ぶっちゃけ、いまいちパンチに欠ける展開だなあ……と思いながら終盤を迎えると、そのモヤモヤは一気に晴れる。誤解を恐れず言うなら、この映画は「『エピソード4』に直結するラスト10数分のカタルシスのために、その前の約2時間を耐え忍ぶ」作品なのだ。  そう、我々はラスト10数分でダース・ベイダー無双に心踊らされ、“例のアノ人”の登場に驚愕する。ふたりともSW前期三部作世界を代表する顔だ。  「10数分のために2時間」。まるでエベレスト登山である。  エベレスト登山は、たった数人をたった数分間だけ山頂に滞在させるために、何十人ものサポートと数百万円という費用、約2カ月という準備時間を要する。多くの人の手を借りてベースキャンプまで食料や道具を荷上げし、天候を見ながら出発日を虎視眈々とうかがい、いざ出発となれば現地のシェルパ(登山ガイド)にルートを確保してもらい、山頂まで1日で往復できる高度までなんとか到達したらテントを設営し、そこからやっと頂上にアタックするのだ。  エベレストの登頂成功者はヒーローとして栄光を手にするが、その裏には現地で雇われた多くの熟練シェルパたちの存在がある。当地の気候に精通した彼らが天気を読み、最適なルートを工作・指南し、ガイドとして同行する。そのアシストがなければ、いかに著名登山家といえど山頂に到達するのは難しい。  『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、ダース・ベイダーと“例のアノ人”が最後にすべてオイシイところを持っていく。後世に名を残す登山家として、頂を制したのだ。  いっぽう、名前も残らない多数のシェルパ、いわば無名の戦士にあたるのが、ローグ・ワンの6人(ドロイドのK-2SO含む)である。実際、ラスト10数分のインパクトは、その前2時間を完全に上書きしてしまう。エンドロール後、ローグ・ワンのメンバー全員の名前を間違えずに言える観客が、一体どれほどいるだろうか?
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(C)2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
 そんな「名もなき縁の下の力持ち」を記憶にとどめ、語り部として後世に伝える任務を背負っているのが誰かといえば、会社を早退してまで金曜日の初日に劇場へ行き、終電ギリギリまで飲み屋で感想戦をヒートアップさせる輩どもであろう。ローグ・ワンの面々は、多方面からディスって話題にでもしなければ忘れ去られてしまう。さながら無名のシェルパたちのように。酒を飲みながら「(笑)」つきで本作をディスるのは、むしろファンの礼儀、屈折したリスペクトの証しなのだ。  そして我々は、今日も喜々として『ローグ・ワン』をディスる。「今どき設計図が物理メディア(っぽい何か)に収められて、倉庫(っぽい何か)に収納ってないよなー」などと。もちろん、最後に「(笑)」を忘れずに。 (文・稲田豊史)

『逃げ恥』ラスト、籍を入れない幸せの形とは?「永久就職」は万人の逃げ場にはならない/最終回レビュー

 20日に放送された『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の第11話が平均視聴率20.8%を獲得。初回からじわじわと視聴率を更新し続けた結果、見事、有終の美を飾りました。「女性の幸せ=永久就職」という大昔の負の遺産に真っ向から立ち向かうという、現代社会においてちょっとリアルな内容だった最終回。死ぬほど可愛いみくり(新垣結衣)と異常に優男な平匡さん(星野源)みたいなカップルが実在するかは別ですけども。  前回、大好きな平匡さんからのプロポーズを、その小賢しさで台無しにしたみくりはモヤモヤしながら落ち込んでいました。そのモヤモヤとは、「専業主婦として生活費を受け取ることは、最低賃金と同じだと思う」「専業主婦は雇用主である夫しか評価できない=生活費+愛情という評価がほしい」「でも愛情は数値化できず不安定。その上、時間も無制限」と、良い雇用主のもとでストレスなく働けるなら良いかもしれないけど、こんなブラック企業まがいの労働環境でやっていけるか……という不安。そして、これらすべてを平匡さんに説明します。わざわざフリップを買い込んで。  平匡さんは、フリップが出てきた瞬間こそ驚いたものの「説明したいという気概を受け止めました」とポジティブ変換。さらに、「主婦も家庭を支える立派な職業」「夫婦を雇用主と従業員と位置づけるのはおかしい、303カンパニーの共同経営責任者としてみてはいかがでしょうか?」と、家事の分担を提案しました。あの、代行を雇うほど家事が苦手な平匡さんがですよ? 優しすぎる!! もちろんみくりは食い気味に賛成です。しかし、やっさん(真野恵里菜)の誘いで副業している“青空市(商店街のイベント)”の準備に時間を取られてしまい、みくりの心に余裕がなくなっていきます。そんな矢先、事件が起きてしまうのです。  平匡さんは、お風呂掃除をしていたら、みくりに頼まれたお米を炊くことを忘れてしまいます。みくり激怒。気まずい平匡さんは、仕事に集中するみくりに声をかけずに就寝します。パソコンに向かうみくりの後ろ姿を、声をかけるか悩みながら見つめる平匡さんが可愛すぎたのはさておき。平匡さんが自室に入ると、みくりは「今日の私は最低だった」と頭を抱えます。「余裕がないと途端に本性が現れる。生意気で偉そうで小賢しいみくりが」「平匡さんが愛したのは、家事は完璧で、いつも笑顔で優しい理想の妻で、お米ひとつで酷い態度を取る女じゃない」と泣いちゃいます。  その間、平匡さんは、ベッドに座って穏やかな顔で温泉旅行での2ショット写真を眺めているんですけどね。もっと言うと、みくりがプロポーズを受けた後に後悔していた発言「好きの搾取」をも、平匡さんは「(僕は)いつの間にこんなに思い上がってしまったのか」と反省していたんですよ。誰に何を言われても、相手を責めずに自分に非があったと自省する平匡さんって、“自尊心が低い”とは違って、べらぼうに優男じゃないですか。何でも受け入れてくれる平匡さんに、ボロが出ちゃうのもわかります。でも、平匡さんが愛したのは「家事は完璧で、いつも笑顔で優しいみくり」だと思っている間は、勝手に追い込まれちゃうんですよね。  そんなみくりの余裕のなさを察した平匡さんは、穏やかなトーンで「家事分担をやめませんか?」と「できるほうがやる制度」を提案しようとするのですが、懲りずに皮肉を言ってしまうみくり。そして、「やめるなら、今です。平匡さんも面倒ですよね」「小賢しいことを言わないで、平匡さんのプロポーズを素直に受け止めてくれる女性はたくさんいます。それが普通です」とお風呂にこもってしまいます。困り顔の平匡……。さすがの優男もお手上げか? と思ったのですが、微笑みながらこんなナレーションが聞こえてきました。 「みくりさんが閉じたシャッターは、いつか僕が閉じたものと同じかもしれない。だとしたら……僕は開け方を知っている。何度も何度も呆れるほど、見捨てずにノックしてくれたのは、他の誰でもないみくりさんだ」  すごいの一言。そして、お風呂の前に移動して「生きるって面倒くさいんです。それはひとりでも2人でも同じで。どっちにしても面倒くさいんだったら、一緒にいるのも手じゃないでしょうか」「みくりさんは自分のことを普通じゃないと言ったけど、僕からしたら今更です。とっくに知ってました。世間の常識からすれば、僕達は最初から普通じゃなかった」「青空市楽しみにしてます。おやすみなさい」と言い残し、笑顔で去っていくのです。みくり号泣。私も号泣。そして泣きながら「上手くいかない時に待ってくれる人、信じてくれる人。見失っちゃいけない」と気付くのです。主題歌『恋』のオルゴールバージョンのBGM、2人の柔らかい声質、みくりの涙……。泣かせる演出です。  そして、青空市当日。現地には、平匡さんを始め、主要出演者全員が集結☆ 平匡さんと2人きりで、「青空市を通して、私の小賢しさが喜んでもらえて、小賢しいからできる仕事もあるって気づきました」と清々しい顔で語るみくり。すると平匡さんは、「小賢しいって相手を下に見て言う言葉でしょ。僕はみくりさんを下に見たことはないし、小賢しいなんて思ったことは一度もありません」と、みくりのコンプレックスをさらっと解消してくれたのです。これにはみくりも嬉しさが爆発し、みんなが見ている前で平匡さんに抱きつきます。耳元で「ありがとう、大好き」と言いながら。良かったね、みくり!!!  そして、百合ちゃんと風見さん(大谷亮平)はと言いますと。百合ちゃんは、どうしても年齢を考えてしまい、「無理なの」と風見さんを振りました。風見さんは「これからも一緒に飲もうね」という百合ちゃんの申し出を断り、疎遠になってしまいます。ちなみに田島くん(岡田浩輝)も「あの人は息子の母親がほしいだけ」で、すでに「終わってる」とのこと。現実的に考えて、47歳の女性が17歳年下の男性と付き合うって、なかなか勇気がいるわけで。  とはいえ、いわずもがなですが、百合ちゃんと風見さんは青空市で再会。風見さんは再度告白するのです。すると百合ちゃんは「私も好きよ。先のことはわからないけど、今の気持ちに素直になってみてもいいかなって」と今度はOKの大どん・でん・返し! さらに、抱きついてきた風見さんの耳元で「会えなくて寂しかった」と甘えます。よかったね、百合ちゃん!!! 19歳差の吉田美和と鎌田樹音夫婦、13歳差のほしのあきと三浦皇成夫婦、11歳差夫婦の菊地凛子と染谷将太夫婦だって実在しますもんね!  さらに、百合ちゃんの部下・梅原(成田凌)は同僚の堀内(山賀琴子)にゲイをカミングアウトし、アプリで知り合った「絶対に気が合うのに、絶対に会ってくれない」という気になる男性に青空市に誘われます。そして、そのお相手こそ沼田さん(古田新太)なんですね~。ようやく会えた2人はニコニコ! そして、日野さん(藤井隆)の家族登場の際には、実嫁・乙葉が登場! みんな笑顔で、よく出来たハッピーエンドを迎えました。  結局、みくりと平匡さんは籍なんてどうでも良くなり、事実婚のまま終わった本作。「早く結婚して仕事辞めたい」「専業主婦になりたい」と嘆く女性に一石を投じ、専業主婦の労働を改めて見直すきっかけとなった人も多いでしょう。「恋愛」「結婚」とは万人にとっての「安心できる逃げ場」ではないですよね? という問題提起とも思える作品でした。それにしても。量産型ママタレ、パパタレのように多くは語らずとも、夫婦円満が身体中から滲み出ている藤井隆・乙葉夫婦には驚きました。 (ドラマウォッチャー:ナチョス) ―― 『逃げるは恥だが役に立つ』レビューはコチラから! ▼アンチすら虜にする『逃げるは恥だが役に立つ』の星野源がズルすぎる! ▼恋人の定義がぶっ飛びまくり! 号泣超展開『逃げるは恥だが役に立つ』/第四話 ▼恋愛の美味しいとこだけ食べる宣言の『逃げ恥』、恋愛や結婚を無条件に良いものとしない価値観/第五話 ▼入浴&キスシーンとガッキーの勝負下着! 視聴者しか恋心と結び付けない“不思議ドラマ”/『逃げ恥』第六話 ▼キスは良いけど性行為は無理、な臆病メガネに絶句/『逃げ恥』第7話レビュー ▼問題は「男なのに、女なのに、ゲイなのに」というレッテルではなくて/『逃げ恥』第8話レビュー ▼「与えられた価値に押し潰されそうな女性」を安心させようと、女性が泥をかぶる不条理/『逃げ恥』第9話レビュー ▼想像以上の濡れ場!『逃げ恥』竿おろし回で最高平均視聴率獲得/第10話レビュー ★その他ドラマレビュー

干され女優・のんを「NHKが全力後押し」!? 相次ぐ朝番組起用は『あまちゃん2』実現の予兆か

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 民放各局から“干され”状態にある女優の“のん”が21日、情報番組『あさイチ』(NHK)に生出演した。  のんは、番組に出ずっぱり。「今年中にしたいこと」を聞かれると、「ちょっと髪が重たくなってきたので(切りたい)」と素朴に答え、共演者から「すぐにできる!」とツッコまれたほか、声優として主演を務めたアニメ映画『この世界の片隅に』の名ゼリフ「あちゃ~」や、話題の絵本『おやすみ、ロジャー』(飛鳥新社)の朗読を披露した。  また、埴輪のキャラクター「はに丸」が「週刊文春」(文藝春秋)編集部を訪れ、「ゴシップ記事を書かれた人のこと、どう思ってるの?」などの直球質問を投げかける企画を放送。同社の担当者は、「人間って面白いもので、立派な部分だけが知りたいわけじゃない」「知りたい人たちの期待に応えるのが、僕らの仕事」などとコメント。この時、のんはワイプに映るのみだったが、独立騒動時に週刊誌に追い回されていただけに、ネット上では「のんちゃんが、つらいこと思い出さなきゃいいけど」「のんちゃん、こんなの見せられて大丈夫かな……」と心配するファンが続出した。 「騒動時、『文春』は能年に同情的なスタンスを取っていたほか、改名したのんが同誌のインタビューやグラビアページに登場するなど、同誌とは友好関係を築いているようですよ」(芸能記者)  のんといえば、『この世界の片隅に』のプローションを続けてきたものの、民放はほぼスルー。一方、NHKは10月放送の報道番組『おはよう日本』で同映画を特集し、のんの単独インタビューを放送。『あまちゃん』以来、3年ぶりに“NHKの朝”に帰ってきたのんに「おかえり!」とネットが沸くと同時に、多くのファンが「NHKが、のんちゃん復活をバックアップするという宣言では?」と期待をにじませていた。 「最近は、オリジナルキャラクター『ワルイちゃん』のグッズ展開や、『LINE LIVE』の配信番組など、個人的な活動が目立つのんですが、バーニング系列であるレプロの圧力により、本業の女優活動はままならない状態。しかし、NHKにとっては、不振に陥っていた“朝ドラ”の人気を復活させた功労者ですから、『あまちゃん2』の実現とはいかないまでも、夜の連ドラ枠や、時代劇あたりに起用する可能性はありそう」(同)  レプロとの話し合いが進まず、依然として冷戦状態が続いているのん。主演女優に返り咲く日は、訪れるだろうか?

子ども時代と地続きの関係の中で生きる楽しさと面倒くささ──「お笑い・プロレス・ドリームハイツ」三題噺でたどるサイプレス上野の足跡

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 人気番組『フリースタイルダンジョン』のモンスターとして、ヒップホップ・リスナーの域を超えて知名度上昇中のサイプレス上野。テレビ番組やCMのみならず、本業の楽曲のほうでも新日本プロレスの新春東京ドーム興行の公式テーマを作成するなど、活動の幅は拡大中だ。そのサ上が、自身の半生を綴った書籍『ジャポニカヒップホップ練習帳』(双葉社)をリリース。『FSD』でのコミカルなキャラクターとも異なる一面が垣間見られる同書について、「お笑い・プロレス・ドリームハイツ」の3ワードを中心に話を聞いた。 *** ――『ジャポニカヒップホップ練習帳』(以下・練習帳)を読んで、一番気になったのが「俺達はラップの練習と平行して、漫才の練習もしてた」のくだりだったんです。漫才についてはその一文しか出てこないですけど。 上野 やりましたね。時期的には『ごっつええ感じ』大ブームの頃です。俺は兄貴がいたから、最初は『ゲンテレ(天才たけしの元気が出るTV!)』派だったんですよ。でも中学になっていい加減『ごっつ』見たほうがいいって雰囲気になって、見たら「なにこれ。超おもしれー!」(笑)。それに影響されて、お笑いの感度が高い連中と俺たちもやってみようという話になった。ボケ・ツッコミはジャンケンで決めて、10分だけ考える時間設けた後、漫才というかコントを作って、家の裏にあった森で披露しました。 ――まさにフリースタイルじゃないですか。 上野 でもガキだったんで、漫才を理論的に分かっていないんですよ。だからお笑いに詳しくて、ロジックを分かってるやつだけが笑いをかっさらっていきましたね。 ――上野さんのお笑いの原点は何なんですか? 上野 ドリフですかねえ。兄貴にムリヤリ見させられて、なんとか間に合ってる世代なんですよ。でもコントの途中に大仏が動き出したり、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』の「スイカ男」は怖くて泣いてたなー。『ひょうきん族』をあまり見なかったのは、ブラックデビルを怖く感じたせいのような。たぶん明るいお笑いを求めてたんでしょうね。それがそのうち、『お笑いウルトラクイズ』に触れて、俺はこっちのムチャやってるほうが好きだなと。 ――その頃、サ上さんはグループの面白いヤツとして君臨してたんですか? 上野 俺はトップではなかったし、ギャグでクラスを笑わせることはなかったです。そこはスノッブで、人のギャグに「つまんねーよ」とチャチャ入れてるようなタイプ。でもお笑いをことこまかく見てたから、他のヤツより詳しいことが多かったかな。
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――ガキ大将タイプだったのかと勝手に思っていたんですが、『練習帳』を読むと決してそうではないですよね。業界やいわゆる“シーン”の中心に行かされそうになると拒んで、全体のバランスを気にしたりするタイプ、と自己分析されているくらいで。 上野 シンナー吸ってるヤツに「ジャイアン」と呼ばれていたぐらいなんで、暴君っぽい一面はあったかもしれないけど、中心には行きたくなかったです。でもカラダがでかかったから、行かざるを得なかったんですよ。隣の地区のグループとケンカした時、リーダー格のヤツに「おまえ、上野だろ?」と言われると、こっちは自覚ないから「え? 俺?」(笑)。こういう役目回ってくるのは、イヤだなと思ってました。 ――その時、サ上さんたちのグループのリーダーはどこに? 上野 その場に全然降りてこなくて、この先輩はダメだと小6で悟りました(笑)。結局、周りが自ら動かないヤツらばかりだったんで、やらざるを得なかっただけです。今も俺が立派な人みたいに見られることが多いけど、単純に相方の吉野と比較されることが多いから良く見られるだけで。 ――俺、出身が神奈川県大和市なんです。 上野 あ、地元近いじゃないですか。今もチャリでブラブラ行きますよ。 ――南にドリームランド、北行けばNORIKIYOさんが団地で悪さを働いていた相模原市があって、そんな危険地帯に囲まれているとは思ってませんでした。 上野 いやいや、大和こそマッドシティですよ!(笑) まあ当時のドリームランドは物騒ではありましたね。家まで暴走族が押しかけて金属バット振り回すようなこともあって、ぶちぎれた警察官のオヤジが追っかけまわしてました(笑)。コンビニのガラスにモノ投げて割ってる、やさぐれたヤツらもいたし。俺たちが健全に野球してたら、「パクられたチャリがここに置いてある。おまえの仕業だろ!」と因縁つけられたこともありましたね。「知らねーよ。ふざけんな!」とキレたら、どうもシンナー吸ってるワタって仲間(サ上とロ吉結成前に組んでいたユニット・ドリームラップスのメンバー)が勝手に持ってきてたみたいで……。そこで揉めてたら、ワタがまたパクッた原チャリに乗ってきたんですよ。そしてその様子を目撃して、そのまま逃げるという(笑)。そこから火蓋切られて、後処理が大変でした。 ――そういう荒れた部分が、サイプレス上野とロベルト吉野の曲にはあまり出てないですよね。 上野 ファーストアルバムで出してたらよかったのかもしれませんね。でも当時、そういうやんちゃや武勇伝みたいなのがだせーなと思ってたんです。危ない経験をして生きてきたことを主張するより、今のほうが楽しくない? って気分で。その頃、俺が音源リリースしたことがラップやめたワタには悔しかったらしく、文句言ってきたことから殴り合いのケンカになったりして、まだ昔話を語る余裕がなかったんです。
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――それでヒップホップの定番でもある、過去を振り返る曲には向かわなかった。 上野 ヤンキー気質の不良って、勝ち上がって社長になるような野心が強くて、ビジネスに向かうヤツが多いんです。結果、猛勉強して若くして社長になったり、法律事務所を始めたりする。ろくな死に方しねーなと思ってたスケーターの後輩たちなんて、それぞれ一国一城の主になってますもんね。「え? おまえら、かなりやってるよね?」と思うようなヤツが税理士になって、今やタワーマンションに住んで、「先輩たちがドリームを守ってくれる」ですから。バカにしてんのかこいつらと(笑)。  でもそれって、自分を捨ててビジネスに徹する覚悟があるんですよ。ラッパーでも昔話系ができる人はひとつ“上がってる”人なんです。NORIKIYOくんとも、マジでしょうもないことを自慢しあってる時期から知ってるし(笑)。今の生活があるから昔を歌える。 ――人が変わったというより、ひとつステージがあがったんですね。 上野 そうなんですよ。でも俺は昔から地続きで延長線上なんで。街も飛び出してないし、いまだ毎週ヤサ(ドリームハイツの一室を仲間で買い取った作業部屋)で反省会してるし。「また揉めごと起こしたらしいじゃねーか」と説教してるのが36才で、「すいません」と謝っている後輩が35才(笑)。  変わらなきゃいけないのかなとも思うんですけど、変わったら変わったで周りが窮屈に感じるだろうし、仲間と決別するのもムリだと分かってるんで。そういえばこないだ後輩の女に、「最近、天狗になってる」ってしつこく言われました。その子に初めて会ったの、今年の夏なんですけどね!(笑) ――面倒な友達が多くても、縁を切りはしない? 上野 腐れ縁で、楽しいは楽しいんです。ただ何回もダメだと思ったし、疲れます。なんせ現役で揉めごとがあるんで(笑)。仲間に店のオーナーやってるヤツがいるんですけど、もともとヤンキー寄りだったのが改心してまっとうになったと思ったら、どうにも気質が抜けない。俺がその店に立つ話になったのに病気で行けなかった時、来店したヒップホップ好きが酔って、ずいぶん客に絡んだらしいんですよ。そうしたらそのオーナーが、「てめー、外出ろ! 二度と来るな!」と叩き出したみたいで。それ、オーナーのすることか? と(笑)。でもそっちのお客さんより、仲間を選びたいと思っちゃうんです。 ――ケンカも多いけど、和解も多いんでしょうね。 上野 「揉めたくない」が前提にあって、面倒くさいからすぐ仲直りしますね。それにどうしようもないヤツらばかりでも、ヒップホップによくある金持って逃げる事態はないかなと。多分ぎりぎりで踏みとどまるはず。そう言いながら、謎みっちゃん(サ上とロ吉と同じ、ZZ PRODUCTION所属アーティスト。ドリームハイツ出身)は踏み込む可能性あるかも(笑)。でもまだ信頼がギリギリ勝ってるな。 ――51対49くらいで。 上野 結局、厄介ごとを楽しむ癖がついちゃいましたね。
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――あと『練習帳』は随所にプロレスの表現が散りばめられてますね。サ上さんのプロレス好きは有名ですが、ついに来年は新日本プロレス東京ドーム大会のテーマを担当するという快挙を。 上野 さすがに世界第2位の団体だけあって、古参のプロレス原理主義者から批判の雨あられを浴びました(笑)。「今までのテーマがよかった」って。それ、いつも聞いてるハードロックみたいなやつだろ? ジャンル違うんですが、と(笑)。でもその言いたくなる気持ちはすごくわかるんです、俺も。まぁ、そこに対する思いを全部喋ると総攻撃食らうんで、このへんにしといてください。 ――もともと団体はどこが好きなんですか。 上野 子どものころは新日、全日見て、FMW、W★ING、リングス……。ほぼほぼ全部見てました。近所の古本屋にすごい数の「週刊プロレス」のバックナンバーが置いてあったから、座って貪り読んでたんです。 ――近所の誰かがプロレス卒業して売ったんでしょうね(笑)。 上野 働き出した兄貴と金を出しあってそれ買って、けど兄貴もプロレスを卒業して全部捨ててました(笑)。俺もその時はプロレスを見てはいても、のれない時期だったんで……。新日の暗黒期で、大日(大日本プロレス)からザンディクがいなくなった頃ですね。 ――2000年代初頭ですか。 上野 それまでしょーもない大会に行って楽しんでいたはずなのに、面白がれなくなって肩落として帰るようなことが続いたんです。そのうちいろんなファンが入ってきても、もう俺だけのもんじゃねーんだ、みたいな気持ちにもなりました。「何も知らない新参者が……」と新規のファンを見下すイヤなプロレスファンになってしまった。 ――それこそ今、ヒップホップに新参者のファンが入ってきているのは、どう感じてるんですか。 上野 ヒップホップはプレイヤーとしてそこにいるんで、また違う感情なんです。ニトロが盛り上がった時は、「知らねーやつがのっかってきやがって」ってにわかヘッズを超憎みました。そこで「ライブはやるけど興味ない」みたいな態度をとって、新譜ばかりかけてる友達のDJとぶつかったりもして、一回ヒップホップから離れたんです。だから『フリースタイルダンジョン』前からヒップホップ好きだった人は、あの頃の俺みたいに歯がゆい気持ちなんじゃないですか。でもプレイヤーがそんなことを言ってもしょうがないんで、棚橋選手みたいに布教活動するのが役目なんだなと。ブームといっても一過性で、「即興でラップできてすごーい」だけじゃないですか。まだ何も開花してない。これから続けていくためにも、顔と音源を売らなければいけないなと思ってます。  でもプロレスに関しては、いっこ抜けた感があるんです。10何年前から誰もいない大会でよく顔をあわせる、女の子のファンがいたんですよ。ガラガラの客席で、リングサイドの反対側にいるから、お互いに意識はしていて。FREEDOMSの興行に行った時、その子に声かけられて、「おまえ、いつもいるよな?」と話をしたんです。ちょうどデスマッチで、周りに友達もいたからギャーギャー騒ぐじゃないですか。そうしたら前に座っていたオタに「静かにしてもらえますか!?」と怒られちゃった。  昔だったら「はあ? ここは騒ぐ場所だろ。おまえバカじゃねえ?」と突っかかっていったはずなんですけど、あ~もうそれを言う必要ないんだなって。その瞬間、後楽園ホールの天井に魂が抜けていった気がしたんです(笑)。 ――「もう自分の知ってるプロレスとは違う」と解脱しましたか。 上野 今、場外乱闘やっても、ファンがリングサイドの席から離れないから、若手がレスラーを止めたりしてるんですよ。昔は席がグシャグシャになって、気づいたら2階席からリングサイドに移動するような楽しみがあったのに(笑)。
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――よくも悪くも今は整備されたんでしょうね。 上野 自分にとって、客のやばさも大事な要素だったんですよ。会場で社会不適合者と出会って、食らうじゃないですか。ずっと寝ているヤツがいたかと思えば、コーラの1.5リットルを何本も持ち込んでゴクゴク飲みながら実況してるやつがいて、それ観てるの好きだったな~(笑)。それも相手を見下すわけじゃなく、冬でも短パン、さらに金髪の俺を見て向こうも同じこと思ってただろうし。人生いろいろで、いろいろな楽しみ方があることを学べたのは、でかかったです。  それに比べると今、プロレスを見ていてもどこか冷静で、自分が熱狂してるか分からないんですよね。じゃあなんで行ってるのかといえば、自分を保つため会場に行ってるのかもしれない。リリック書くのが溜まってて煮詰まってるとき、家から遠い後楽園ホールにわざわざ出向くと、救われるというか。こないだも大日に行ったら、見られたのがセミのフォールからだったんですよ。でもメインマッチの内容がよかったんで、これでいいかなと納得して。 ――今は勝った負けたで一喜一憂はしていない? 上野 ないんですよ。そこは寂しいですね。テーマがある試合は気持ちが入るんですよ。でもそれも09年の葛西VS伊東(FREEDOMS・葛西純VS大日本・伊東竜二のデスマッチ対決。同年のプロレス大賞ベストバウトを受賞。参照)あたりで記憶が止まっている。あれもプロレス雑誌に載ってたバルコニーダイブの写真に俺が映ってるから、「これはやばいことが起こるぞ!」と自分の席外して向かってたんでしょうね。 ――サ上さんはやばい現場にいたい人なんですね。今、ほかに注目してる現場はありますか? 上野 ヒップホップもやばいヤツが現場にいなくなりましたからねえ。アイドル現場は取材でいくと、ファンが結構ちゃんとしていて健全だなと思う。今やばい空気が残ってるのは女子プロレスなのかなー。スカスカの後楽園で、リングサイドでずっと「うおー」とデス声出してるヤツは衝撃でした。人目もはばからず、ずっとカメラでバシャバシャ撮ってるヤツもいるじゃないですか。でも俺たちは自意識が強くてそれができなかった。『東京ポッド許可局』でいう「自意識が邪魔をする」ですね(笑)。だいぶ落ち込んで帰りましたねえ……。いつまでも女子レスラーのポートレートを買える人間でいたいですよ!(笑) (構成=鈴木工/写真=市村岬) ■サイプレス上野 ヒップホップ・ユニット「サイプレス上野とロベルト吉野」のMC。横浜市戸塚区ドリームハイツ出身。最近では『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)のモンスターとして知られるように。無類のプロレスファンでもあり、来年1月4日開催の「WRESTLE KINGDOME 11 in 東京ドーム」(通称イッテンヨン)のオフィシャルテーマソング「GET READY」を制作。MVがYouTubeで公開中<https://www.youtube.com/watch?v=JA6I_29dmWc> Twitter ID<@resort_lover> ■書籍情報 『ジャポニカヒップホップ練習帳』 今や地上波番組はもとよりテレビCMにも出演し、一般知名度も急上昇中のサイプレス上野の半生記。自分にとっての「ヒップホップとは何か?」がぎゅう詰めされた一冊。 著:サイプレス上野 発行:双葉社 価格:1400円(税別) http://amzn.asia/iLZWZwY

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