「ミニスカートにボブヘアー&サングラス」でおなじみの、アメリカ版「VOGUE」の名物編集長アナ・ウィンター(67)。彼女は1988年に現職に就き、ファッション・トレンドをリードしてきた。若いデザイナーやモデルを発掘するなど、ファッション界に大いに貢献しており、2008年にはその功績が認められ、イギリスの大英帝国勲章が贈られている。
常に鋭い視線でファッションを見続けてきたそんなアナが、通勤電車の中でアメリカの次期大統領に当選したドナルド・トランプを厳しく批判している会話を周りの乗客に聞かれ、リークされてしまったのだ。
英大手タブロイド紙「ミラー」は、先週、アナが満員通勤電車の中でドナルドの悪口を言っていたと報道。アナは、「トランプ財団は、これといってなにもしてないじゃない!」と批判した上で、「役員は全員一族で占められている。彼は大統領になったことで、自分と自分のブランドを売ろうと企んでるわ。自分と家族の資産を増やすことだけを考えているのよ」と、嫌悪感たっぷりに言い放ったと伝えた。
「トランプ財団」はドナルドが88年に設立した非営利団体だが、自身の法的問題を解決するために、この財団を利用しているという疑惑が持たれている。ドナルドは、不動産について学べる「トランプ大学」をフロリダ州に設立しているが、13年には同校が受講生を騙しているという疑惑が浮かび上がった。大学は認可されたものではなく、不動産について学びたいという人を狙ったセミナー商法で、受講したところで不動産のノウハウなど何も身につかない、ぼったくりの詐欺だと問題になったのだ。
受講生からクレームを受けたフロリダ州は、トランプ大学に対して法的措置を取るかどうか検討を開始。その直後、トランプ財団から同州司法長官に2万5,000ドル(約295万円)が献金され、同州は「不正行為は確認できない」として法的措置の見送りを決定した。今回の大統領選挙中、この件が掘り返され、「トランプ財団は慈善団体なんかじゃない、ドナルドが自分自身のために利用しているだけ」だと強く非難されるようになった。
しかし、財団について叩かれていたのはドナルドだけではない。大統領選挙を争っていたヒラリー・クリントンが運営する「クリントン財団」も、大口献金者や企業を優遇する取り計らいをしていたことが判明。批判を浴びていたのだ。両候補の財団がスキャンダルまみれだったため、世間は「財団なんて、そんなもんだ」と冷ややかな目で見るようになっていった。そのため、今回のアナの通勤電車での発言に対して、ネット上では、「理解できる」「確かに」という声が上がった。
民主党を支持しているアナは大統領選で、ヒラリーを支持していた。今回はまれに見る接戦だったため、ヒラリーが落選してがっかりしている有権者は山ほどおり、公共の場でドナルドを批判する人も少なくない。そのため、ネット上では「アナが通勤電車の中でドナルドの悪口を言った」という報道に対して、「アナと同じように思っている人は多勢いる」「共感する」という反応が上がった。
英紙「サンデー・ミラー」は、「通勤電車内でアナがドナルドの悪口を言ったこと」について取材したいとアナに連絡を取ったところ、拍子抜けするほどあっさりと、発言を認めたと報道。「この発言をしたことについては、すぐに後悔しました。謝罪します。選挙で当選したトランプ大統領が人々にとって素晴らしい大統領になることを祈ります」と言い訳は一切せず、謝罪したという。これに驚いた米誌「ニューヨーク・マガジン」電子版は、「『VOGUE』のスポークスマンに確認を取ったところ、この謝罪発言は本物だと認めた」と報道。同誌は「(ファーストレディになるメラニアの服など作りたくないと、拒絶反応を起こすデザイナーが多い)ファッション界が今後、ドナルド政権とどう付き合っていくのかが注目される」とも伝えた。
アナとドナルドは、決して対立しているわけではない。アナは、05年のドナルドとメラニアの結婚式にも出席しているのだ。この結婚式には、クリントン夫妻も出席しており、ほかにも多くの著名人が出席したため、アナが特別ドナルドと仲が良いという証拠にはならない。しかし、ウェディングドレスを着たメラニアを「VOGUE」の表紙に載せたり、娘のイヴァンカ、元妻のイヴァナ、マーラ・メープルズを特集したことがあり、アナとトランプ家との「コネ」はあるとされている。
また、12年にアナが次期駐英大使候補に浮上した際、ドナルドは「(アナは)とても頭の良い女性だからねぇ」と絶賛。適任だとコメントし、アナとドナルドはつながりを持っているというイメージを世間に与えたこともあるのだ。また悪口報道が流れた直後の13日、アナはドナルドに面会している。2人が何を話したのかは公表されていないが、「ドナルドのことを批判していたのに、この変わり身の早さはなんだ?」と戸惑う声が上がった。
戸惑うといえば、今回の報道について、ネット上では「アナが通勤電車に乗っていたことが驚き」だという意見も多い。アナは年間200万ドル(約2億3,000万円)もの収入があるとされており、総資産は3,500万ドル(約41億3,000万円)ともいわれている。そんな超リッチな彼女が、満員の通勤電車なんかに乗っていたという事実に、世間はびっくりしたのだ。
しかし、実際には驚くほど多くのセレブたちが、電車に乗っていることが確認されている。『プラダを着た悪魔』に出演していたアン・ハサウェイと夫のアダム・シュルマン、人気俳優のブラッドリー・クーパー、女優のドリュー・バリモア、ケイティ・ホームズ、ジェシカ・アルバ、お騒がせセレブのリンジー・ローハンら、ざっと挙げてもこれだけのセレブたちが、プライベートで地下鉄を利用しているのである。
年末に大きな話題を振りまいたアナ。一体、17年は、彼女にとってどんな年になるのだろうか。ドナルドの計らいで再び「次期駐英大使候補に!」なんて報道が流れたりするかもしれない。






