ゼイン&ジジの理想のカップルの愛情表現が、「キモッ」と言われてしまう理由

 2年連続で、あこがれの『ヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショー』ランウェイモデルに抜てきされた、モデルのジジ・ハディッド。「ヴィクトリアズ・シークレット」は、カタログ販売から世界中に店舗を持つ人気ランジェリー・ブランドへと大成長を遂げたのだが、それを支えたのは「エンジェル」と呼ばれる一流の専属モデルたちだ。エンジェルズや旬のモデルたちが華やかな舞台でキャットウォークするこのファッションショーのおかげで、世界的スーパーブランドにのし上がったとされている。

 近年では、セクシーなランジェリーだけでなく、ティーン向けのスポーティーなライン「PINK」も立ち上げ、こちらも大人気。若者に人気のジジやケンダル・ジェンナーはこの「PINK」のキャンペーンモデルを務めるようになり、これがきっかけで昨年末のランウェイモデルに選ばれた。

 今年のショーだが、現地時間11月30日にフランスのパリで開催されることになっており、数日前から公式インスタグラムに関連写真が続々と公開。モデルたちも豪華チャーター機に乗り、パリに向けて出発する様子や、ショーに備えてエクササイズする様子、パリを満喫する様子などをインスタグラムに投稿し、ファンの気持ちを盛り上げている。今年は妹のベラ・ハディッドもモデルに選ばれ、姉妹でランウェイを歩くことになったジジも、インスタグラムにリハーサルの様子を投稿。親友のケンダルとパリを探索する姿もパパラッチされ、ファンを大喜びさせている。

 そんな彼女の笑顔のもとになっているのが、ほかでもない恋人のゼイン・マリクなのだ。米芸能ゴシップサイト「HollywoodLife.com」によると、ゼインはジジと離れても自分の愛を感じてほしいと、彼女が荷造りし終えたスーツケースの中に、必ず「ジジが喜ぶなにか」を忍ばせるとのこと。「彼女が荷造りし終えた後、内緒で愛の言葉をつづったメモを入れるんだ。前回は、自分のコロンを吹きかけた、かわいらしい小さなぬいぐるみを入れたんだよ」「彼は本当にロマンチックな男なんだ」という情報筋の話を紹介した。

 今回のショーにはゼインがサプライズで応援に駆けつけるのではないかとウワサされているが、「もし、パリで落ち合うことになっても、メモは必ずスーツケースに入れるよ」とのこと。ジジにとってこのショーは特別であるため、今回もゼインが香り付きぬいぐるみを入れた可能性は高い。ゼインは「自分がいかにジジを愛しているのか常に伝えていたい、かなりロマンチックな男」で「女子にとって理想の、夢のようなボーイフレンド」だと同サイトは伝えている。

 絵になる若き美男美女カップルだと注目を浴びているジジとゼイン。だが、誰もが2人の交際を祝福しているわけではない。

 ゼインは、彼が所属していた「ワン・ダイレクション(1D)」と同じく、英オーディション番組『X ファクター』出身のガールズグループ「リトル・ミックス」のペリー・エドワーズと2012年に交際を開始。13年8月に婚約し、15年3月にゼインが1Dを電撃脱退した後にはゴールイン間近だと報じられた。しかし同年8月、ゼインは突如ペリーと破局したと発表。ゼインから一方的に、しかもメール1本で別れを告げたというひどいもので、打ちひしがれたペリーはステージで泣きだすなど情緒不安定になり、世間の同情が集まった。

 一方、恋多きジジはこれまで歌手コーディー・シンプソン、俳優ダニエル・シャーマン、F1ドライバーのルイス・ハミルトンら、旬の男たちとばかり浮き名を流してきた。昨年コーディーと別れて、わずか1~2カ月後にジョー・ジョナスとの交際を開始。親友のテイラー・スウィフト&カルヴィン・ハリスとダブルデートするなど、見ている方が恥ずかしくなるほどいちゃいちゃしていたのに、11月に突然破局。ジョーはバンド「DNCE」の活動が、ジジはモデル業が忙しくなり、スケジュールを合わせるのが困難で別れることにした、円満な別れだと伝えられた。

 そして、ジョーと別れて数週間後、ジジはゼインと親しげにしているところを目撃されるようになり、同月末には2人で手をつないで歩いているところをパパラッチされる。ジジはソロ歌手としてデビューしたゼインを支え、ミュージックビデオにも出演。ゼインもジジとファッション誌に登場。今年6月にゼインが不安神経症でロンドン公演をドタキャンした時もジジは支え、苦楽をともにすることで愛を深めていると報じられてきた。

 そんな2人の交際についてジョーは、「オレと別れてすぐじゃないか。いくらなんでも次の男と付き合うまでの期間が短いんじゃないか」「気持ちの切り替えが早過ぎる」と憤りをあらわにしていた。とはいえ、別れてからもう1年。ペリーはリトル・ミックスのニューアルバムに収録されている「Shout Out To My Ex」という曲で「アンタなんていなくても大丈夫」と歌い、ジョーも「(ジジに対する)ディスソングを書いてすっきりした。リリースしないけど」とコメントするなど、当人たちは不満を発散して落ち着いている模様。しかし、ペリーのファンは「絶対に許せない」「オンナの敵」「ジジと浮気してたんじゃない?」とゼインを敵視。ジョーのファンも「ジジは本当に尻軽」「別れの余韻にも浸れない、感情のない冷たいオンナ」など、今なお悪い印象を持ち続けているのだ。

 それだけではない。先日ジジが司会を務めた『アメリカン・ミュージック・アワード』で、ゼインが最優秀新人賞を獲得した際、受賞スピーチで「(トロフィーを見ながら)ボクの名前だけ彫られてるよね?」と発言。「またか」とダイレクショナー(1Dのファン)たちを激怒させたばかりなのである。実はゼイン、脱退後、度々1Dを侮辱している。「Dazed」誌のインタビューでは、「1Dにいた頃は自分を表現できず、本当に居心地悪かった」「やっと自由になれた」、「NME」誌のインタビューでは「メンバーたちと連絡を取ろうとしたんだけど、誰もボクと交流しようとはしないんだ」、「ビルボード」誌のインタビューでは「1Dの音楽は、どれもクールじゃない」などなど、ダイレクショナーを悲しませるような発言をしてきた。そのため、ゼインのやることなすこと毛嫌いする者もおり、今回のジジへのスイートなプレゼントも「キモッ」の一言で片付けられてしまうのである。

 思いのほか敵が多い、ジジ&ゼインカップルだが、本人たちは超ラブラブ。10月にジジが「わたしの彼も、半分中東の血が入っているから」と発言し、「えっ、パキスタンは中東じゃないけど(ゼインの父はパキスタン系)」「南アジアでしょ。愛する彼のこと何も知らないのね」とバッシングされたが、そんな細かいことなど気にしないといったふうに深く愛し合っているのである。

 ジジがランウェイを歩く『ヴィクトリアズ・シークレット・ショー』は、米時間12月5日にCBS局にて放送される予定。バックステージの様子も紹介されるが、セルフィーを撮りまくるモデルたちはスマホなどの私物をステージ裏に持ち込んでいるため、ジジがゼインのコロンをわざと写り込ませようと、漂わせたぬいぐるみを鏡の前に置く可能性もあるかもしれない。

マニア垂涎!? 中国人少女がお口でむいた「ファーストキス・コーヒー」が話題沸騰中!

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一人の少女が、どれだけのコーヒー豆の皮をむけるのだろうか?
 ベトナムやラオス、ミャンマーと国境を接している中国雲南省は、コーヒー豆の産地としても知られている。生産を始めてからまだ100年ほどで、生産量もそれほど多くないものの、世界的なコーヒーチェーン、スターバックスが生産拠点を持つなど、コーヒー業界では注目を集めている地域である。  そこで最近、ファーストキスの感覚が味わえると話題になっているコーヒー豆がある。その名も「初吻珈琲」、つまりは「ファーストキス・コーヒー」である。  木から摘み取ったコーヒー豆の皮を、少女が一つずつ口でむいたもので、それを焙煎して粉にしたコーヒーは、また格別な味がするのだという。そこで現地の人たちが「初吻珈琲」と命名したとか。
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きっとこれは撮影用。絶対にこんな格好でコーヒー豆を摘んでいないはず
 言い伝えによると、100年ほど前、一人の少女がケガ人を癒やすために山に登ってコーヒーの豆を摘み取り、自分の口で豆の皮をむいてコーヒーをいれ、それを飲ませたところ、たちまち回復したのだという。その製法が今に伝わり、あちこちのコーヒー農園で作られ、客人をもてなす際に出しているという。  一方、ネット民たちは懐疑的な目でこのコーヒー豆を見ているようだ。 「本当はオッサンが口でむいているに違いない」 「少女が口でむいているっていっても、本当に彼女たちのファーストキスなのか? 証明できなかったら、虚偽広告だぞ」 「どこかの国では、猫のフンに混じった豆で作ってたよな。それよりはマシかも」  食品不信広がる中国のこと。どうせなら、コーヒー豆を口でむいた少女の顔写真付きで売り出すべきかもしれない。ただし、それが本物かどうかはわからないが……。 (文=佐久間賢三)

女が本当に好きなのは男ではない? 女同士の淡い同性愛感情を描く『小さいおうち』の幸福

――母と娘、姉と妹の関係は、物語で繰返し描かれてきました。それと同じように、他人同士の年上女と年下女の間にも、さまざまな出来事、ドラマがあります。教師・生徒、先輩・後輩、上司・部下という関係が前提としてあったとしても、そこには同性同士ゆえの共感もあれば、反発も生まれてくる。むしろそれは、血縁家族の間に生じる葛藤より、多様で複雑なものかもしれません。そんな「親子でもなく姉妹でもない」やや年齢の離れた女性同士の関係性に生まれる愛や嫉妬や尊敬や友情を、12本の映画を通して見つめていきます。(文・絵/大野左紀子)

■『小さいおうち』(山田洋次監督、2014) 時子×タキ

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 同性愛者であるかないかを問わず、女が本当に好きなのは、男ではなく、女ではないだろうか。

 思えば小学校の頃から、男子に比べて女子同士の方がよくハグをするし、親友と腕を組んで歩いたりして、身体的な密着具合が高い。歳を取り中年になって、旅行は夫とより同性の友人と行く方が楽しいという人は結構いる。「老後、一緒に暮らさない?」などという話が出るのも、大抵女性の間だ。気の置けない女同士の関係ほど、心地良く安心できるものはない。

 それからすると、男はやはりどこか「別の生きもの」だ。愛したり尊敬したりすることはあっても、心から共感したり理解し合えたと思えることは、同性ほどはないのではないか。歳を重ねるにつれ、そう実感することが多くなった。

 孤独を真に癒やしてくれるのは、同性。安心してその懐に飛び込めるのも、同性。そう感じている女性は少なくないと思う。むしろ、全ての女の中に根強くあるのは、異性愛より同性愛的な要素ではないだろうか。

◎美しく魅力的な若奥様と奉公する女中
 中島京子の小説が原作の『小さいおうち』(山田洋次、2014)は、女が女に抱く密やかな愛を描いたドラマである。布宮タキ(倍賞千恵子)が大甥の健史(妻夫木聡)に薦められるまま、「自叙伝」で綴る戦前の回想と現在のシーンで構成されている。

 「小さいおうち」とは、昭和6年、18歳で山形から東京に女中奉公に出た彼女が二番目に入った、山の手のモダンな、赤い屋根を持つ洋館のこと。そこで出会うのが、美しい若奥様の時子(松たか子)。彼女の夫、平井(片岡孝太郎)はおもちゃ会社の重役であり、幼い息子と3人の絵に描いたような幸せな家族だ。

 しかし、平井の部下で芸大出の板倉(吉岡秀隆)が家に出入りするようになり、時子とだんだん惹かれ合っていき、タキは2人をハラハラしながら見守るはめになる。そして老いたタキが心の中に封印し続けた自身の「罪と罰」が、彼女の死後やっと明らかになる。

 戦前の東京の街の風物が仔細に描かれている原作と比べ、映画は大半のシーンがセットで、人物背景も時子が子連れ再婚であることなどは省略されている。そのため、全体に物語がスケールダウンしている感は否めない。また、もの静かで懐の深そうな平井の元の人物像も矮小化されていて、片岡の演技はワンパターンだし、板倉を演じた吉岡はなんだかモッサリしており、人妻が心をときめかす若者としてはミスキャストに思える。

 しかしそれらを補って余りあるほど、時子を演じる松と若年期のタキを演じる黒木華がすばらしい。出身も階級も違う、少し歳の離れた2人の女性の間に生まれ育っていく、穏やかな愛と信頼。それが、子育てや家事を通した家の中のさまざまなシーンで、みずみずしく描かれている。

 時子は感受性が鋭く、気性がまっすぐで明るくて、天然なところもあるが案外頑固で、内に情熱を秘めた女性。松の表面張力の高い顔、若々しい声、二の腕や腰の色っぽく女らしい肉付きも、時子が女学生時代の輝きを保持したまま歳を重ね、そこにいるだけで人を魅了してしまう女性であることを示している。しかも読んでいるのは『風とともに去りぬ』だ。そういう女が、仕事と戦争の話ばかりし、金儲けで頭が一杯の凡庸な夫に心から満足できるわけがない。

 一方、時子にあこがれながら、朝から夕までまめまめしく働く女中のタキ役は、素朴な風貌の黒木にぴったり。彼女の体からは、台所に白い食器戸棚と挽肉機が据えられ、応接間にはマリー・ローランサンの絵が掛かる可愛らしい家で、美しい女主人に仕える喜びが溢れている。小児マヒに罹った幼い坊ちゃんをおぶっての医院通いという、大変な労働も積極的に引き受けるタキ。常に時子の気持ちを慮っている控えめな様子は、まるで忠実な柴犬のようだ。

 そんなタキに時子は、時には親友にように茶目っ気を見せ、時には姉のように優しく親身に接するが、板倉との関係は夫に秘密裏のまま、とうとう抜き差しならないところまで行ってしまう。

◎奥様に抱く淡い恋愛感情
 戦局が押し迫って板倉にも赤紙が届き、彼が発つ直前に1人で逢いに行こうとする時子を、タキが必死で止める場面がクライマックスだ。

 タキの「自叙伝」ノートでは、その時咄嗟の折衷案として、時子が彼の下宿に1人で行くのではなく、タキが時子の手紙を板倉に届け、彼を家に招くことにしたものの、板倉は留守で、手紙を読んだか読まないかは不明のまま、結局来なかったという話になっている。

 ところが、タキの死後、開封されていない時子の手紙がタキの遺品の中から発見される。タキはなぜ、時子の手紙を板倉に届けなかったのか? 彼女の「自叙伝」ノートによれば、その時、奥様を行かせてはならない(バレたら大変なことになるから)という思いと、行かせてさしあげたい(これが最後になるかもしれないから)という思いに引き裂かれていた、とある。

 時子にとって、最後に板倉と会うのと会わずに済ますのと、本当はどちらがいいのか、幸せなのか。そのことをタキは必死で考え、結局会わせないことにしたのだ。その心の奥底には、時子への恋愛感情があったのではないだろうか。

 それまでに、タキが時子を気にしている場面はいくつかある。

 時子に脚のマッサージを請われて、ためらいながらしている時。時子は「ああ気持ちいい」とタキの手を取って握り、親指で手の甲をさする。遠慮して外そうとするタキ。彼女のドキドキが伝わってくる。

 タキが作った雑煮に、「うまいなあ」と板倉が言った時。「よかったね」と時子が言うとタキは照れ笑いし、時子をチラッと見てからニコニコ顔のまま部屋を出ていく。褒められてうれしくてたまらない様子。

 平井が板倉に見合い話を持ってきた日、台所で苛々したように「板倉さん、結婚なんて早い。断然早いわ」と何度も言う時子に、「そうですね」と合わせながら心配そうに様子を窺う。

 これらはあくまで女中として女主人の顔色や振る舞いを気にかけているとも取れるが、決定的なのが、時子の親友、睦子(中嶋朋子)が登場した場面だ。

 時子はまだ帰宅しておらず、睦子にタキがお茶を出す。そこで最近の時子の様子をモゴモゴと案ずるタキに、睦子は「ああ、そうか。その板倉さんは時子さんを好きなのね」とズバリと言い、タキは堰を切ったように啜り泣く。それを見て「こういうことだわ。好きになっちゃいけない人を好きになっているのよ」と睦子。タキは「そうなんです」とさらに泣く。「好きになっちゃいけない人を好きになっている」のは自分だ。これは自分のことだ。2人の会話は二重の意味を帯びてくる。

 誘導するかのように睦子は更に、女学校時代の時子は本当に綺麗で誰もが好きにならずにいられなかったとか、彼女の結婚が決まった時には自殺しかけた人もいた(たぶん睦子自身のこと)などという話をし、「厭だったの、あの人が結婚するのが。独占したかったの。わかるでしょ、タキちゃん」と畳み掛け、タキは涙目で深く頷く。

 自分は奥様を独占したいのだ、だから苦しいのだ。それを見透かすように睦子は、「苦しいわね、あなたも。あたし、よーくわかる」とダメ押し。

 美しいお姉さまへの慕情を流麗な筆致で描いた吉屋信子の小説が大人気で、女学校では先輩と後輩の特殊な関係が“エス”などと呼ばれてはやっていた時代。もちろん十代でそうした淡い同性愛感情にはまってもそれは一時のことで、早ければ女学生の間に婚約を決め、決まらなくても早晩誰かとお見合い結婚というルートは引かれていた。だから一層、女学校の間の同性同士の密やかな関係は、ファンタジックで濃密なものになった。

 タキは東北の質素な家の生まれで尋常小学校しか出ていないから、そういう世界を知らずに上京し、奉公先で突然そんな感情の芽生えを体験した。自分としては、敬愛する奥様と板倉さんの前途を心から案じているつもり。だが、そこに字余りのように残ってしまうぼんやりした苦しみ。睦子の言葉が、タキの中のそのモヤモヤに輪郭を与えたのだ。

◎女の理想郷を支えるもの
 時子にしても、男を排し女のタキと寄り添うような場面がある。「男って厭ねえ。戦争と仕事の話ばかり」と同意を求めたり、うんと年上のバツ2男と見合いさせられて泣くタキを庇い、縁談を断ってやったり。家事や育児や細々とした用事に追われる日常生活を共にする中で、彼女が夫よりタキと心を通い合わせるのは当然だろう。

 タキは板倉のことが好きだったので、時子と板倉を逢わせたくなかったのだという解釈をネットで見たが、それは違うと思う。

 2人の絡みで印象に残るのは、板倉を紹介された時、タキが同じ東北出身とわかって親しみを覚えるシーンと、招集されたことを報告に来た板倉が平井邸を出た時に、「もし僕が死ぬとしたら、タキちゃんと奥さんを守るためだからね」と言って、「死んじゃいけません!」と叫んだタキを抱きしめるシーンの2つ。どちらにも“男女の色気”は感じられない。

 現代パートでも、時子と板倉の接近を回想する老いたタキに、大甥の健史が、おばあちゃんも板倉さんを好きだったんだ、三角関係だと指摘するが、タキは微塵も表情を変えず「想像力が貧困だね」と退ける。

 女2人に男1人といったら、女たちが男を取り合うという図しか思いつかず、女1人に男ともう1人の女が恋をするという想像ができないのを、「想像力が貧困」と言っているのだ。

 家父長制の当時、戦争も含めて近代化を急いだ日本社会は男だけの社会。そこで、家という限定的な領域でのみ、女と女の関係が築かれた。

 現代パートの最後の方でチラリと出てくる有名な絵本『ちいさいおうち』は、のどかな郊外がどんどん都市化、近代化していく経過を描き、その中にぽつんと取り残されたちいさいおうちが、最後にあるべき場所に戻ってきて息を吹き返すという物語である。男/女のメタファーで考えれば、なぜこの絵本が登場し、タイトルにも使われているのかよくわかる。男性的な力に支配される政治・経済圏とは別の幸福に満ちた女性的な親密圏が、時子とタキの「小さいおうち」なのだ。

 だが実際には、その女性的な親密圏(時子とタキの暮らし)は、男性的な経済圏(時子の夫の経済力とそれを支える男性社会)の恩恵を受けて成立していた。後者が戦争や経済危機で崩壊すれば、前者もなくなってしまう。女の理想郷である「小さいおうち」は、それ自体で自立しては存在できないものだった。

 その後、空襲で洋館は焼け、時子は夫とともに亡くなったが、田舎に帰されていたタキは生き延びて戦後を迎える。彼女が終生独身で通した理由は、明らかにはされていない。おそらく、「出征前の板倉に一目会いたい」という時子のたっての願いを、黙って勝手に潰してしまったという罪悪感は、長い間彼女の中に沈潜していたのだろう。ある美しい女性を愛し、彼女との蜜月を大切にしたいあまり小さな過ちを犯し、それを自分の中に「罪」として抱えて、タキは生涯を閉じた。

 夢のように過ぎていった美しい人との大切な思い出に、ポツリとついた小さなシミ。なぜあの時私は、最愛の女性の最後の望みを叶えてあげなかったのか? という老女の深い後悔と苦しみを思うと、せつなさに胸が締めつけられる。

大野左紀子(おおの・さきこ)
1959年生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。2002年までアーティスト活動を行う。現在は名古屋芸術大学、京都造形芸術大学非常勤講師。著書に『アーティスト症候群』(明治書院)『「女」が邪魔をする』(光文社)など。近著は『あなたたちはあちら、わたしはこちら』(大洋図書)。
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懲りないTBSとフジテレビ……今年も『紅白』裏で“時代錯誤”の格闘技対決

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TBS『史上最大の極限バトル KYOKUGEN 2016』番組サイトより
 大みそかの『NHK紅白歌合戦』の裏で、TBSとフジテレビが今年も性懲りもなく、格闘技対決を放送することがわかった。  TBSは今年で5年目を迎えるスポーツバラエティ『史上最大の極限バトル KYOKUGEN 2016』(午後6時~11時30分予定)を放送するが、その番組の1コーナーで、元K-1 MAX世界王者の魔裟斗と元PRIDEライト級王者の五味隆典が対戦する。舞台は神奈川・横浜市の大さん橋ホールで、K-1ルールの3分5ラウンドで判定決着なし。  昨年の大みそか、魔裟斗は6年ぶりの“一夜限定復帰”と称して、総合格闘家の山本“KID”徳郁と、K-1ルールの3分3ラウンドで11年ぶりに再戦。KIDは距離を取ってほとんど攻撃することなく、魔裟斗の一方的な判定勝ちとなった。  魔裟斗は試合後のインタビューで、「もうリングには上がらない」とコメントしていたが、TBSのオファーにあっさり前言を撤回し、2年連続で『KYOKUGEN』で試合をすることになった。  この一戦が放送された第3部(午後10時~10時52分)の視聴率は9.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、試合後のインタビューやエンディングを織り込んだ第4部(午後10時52分~11時35分)は4.6%だった。  同番組のほかの時間帯の視聴率は、第1部(午後6時~7時)が8.8%。ボクシングの井岡一翔、高山勝成の2大世界戦をオンエアした第2部(7時~10時)は7.7%。数字的には、魔裟斗の復帰戦が最も高い視聴率であったが、しょせん1ケタ台。『紅白』の裏で民放1位だった日本テレビ系『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 大晦日年越しスペシャル 絶対に笑ってはいけない名探偵24時!』の第1部(午後6時30分~9時)の17.8%、第2部(午後9時~深夜0時30分)の15.3%には遠く及ばず、自慢できるような視聴率ではなかった。 「今年の大みそかは、プロボクシングWBA世界フライ級王者の井岡が、同級暫定王者のスタンプ・キャットニワットと王座統一戦を行います。TBSから正式な発表はまだありませんが、今年も『KYOKUGEN』で井岡の試合を放送するのは決定的です。よって、井岡、魔裟斗、バラエティの3本立てとなります。確かに五味は、全盛期の総合格闘技を支えた選手ですが、いまや“過去の人”で、一般的なネームバリューではKIDより下。五味もKID同様、米国最大手の総合格闘技団体UFCに上がっている選手ですから、ガチンコの試合ではなく、エキシビション的な色合いになるのが濃厚です。視聴者もバカではありませんから、視聴率には期待できないでしょう」(スポーツ紙記者)  一方、昨年の大みそか、2005年の「PRIDE」以来、10年ぶりに格闘技イベント『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND PRIX~IZAの舞』を中継したフジテレビが、今年も『紅白』の裏で『RIZIN』を放送することを決めた。オンエアは午後6時から11時45分で、昨年より1時間長くなる。  今年も12月29日、31日に行われるさいたまスーパーアリーナでの2連戦を中継。すでに「無差別級トーナメント2回戦」のミルコ・クロコップ vs ヴァンダレイ・シウバ、高阪剛 vs バルト(元大関・把瑠都)。スペシャルワンマッチの川尻達也 vs クロン・グレイシー、所英男 vs 山本アーセン、アンディ・ウィン vs 山本美憂、ギャビ・ガルシア vs 神取忍、坂田亘 vs 桜井“マッハ”速人などの対戦カードが決定しているが、正直、「昔の名前で出ています」という印象が強い。  昨年大みそかの『RIZIN』の視聴率は、第1部(午後7時~8時45分)=5.0%、第2部(午後8時45分~10時30分)=7.3%、第3部(午後10時30分~11時45分)=3.7%。今年9月25日にゴールデン帯(午後7時~9時54分)で放送された『RIZIN』は8.5%で、いずれも合格点にはほど遠い視聴率だった。それなのになぜ、フジは2年連続で『RIZIN』を中継するのか? 「ここ数年、フジの『紅白』の裏の視聴率は、14年の『THE FACE OF 2014 世界が選ぶ今年の顔!アワード』が4.0%、『ワンピース エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜』が3.3%、『2014→2015 ツキたい人グランプリ~ゆく年つく年~』が2.5%と、すべて5%割れ。13年の『祝!2020 東京決定SP』に至っては、第1部『スポーツ衝撃の生対決と伝説の名場面で最高のおもてなし』が2.0%、第2部『東京五輪夢と奇跡の物語」』が2.5%と惨たんたるものでした。ですから、一から新たな番組を作って爆死するより、7~8%台は見込めそうな『RIZIN』のほうが、まだマシとの考えなのでしょう。妥協案以外のなにものでもありません」(テレビ誌関係者)  かつて、全盛期のK-1『Dynamite!!』(TBS系)、『PRIDE 男祭り』(フジテレビ系)は、大みそかのプライム帯で15%超の視聴率を獲得する人気コンテンツだった。しかし、それも過去の話。格闘技ブームなど、とうの昔に去っている。そんな中、今年も『紅白』の裏で格闘技対決など、時代錯誤も甚だしい。ただ、今の両局にとっては、“苦肉の策”なのだろう。 (文=田中七男)

またTBS……『マツコの知らない世界』にヤラセ発覚!? 『ピラミッド・ダービー』BPOは12月上旬にも会見

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TBSオンデマンドより
 マツコ・デラックスの冠バラエティ番組『マツコの知らない世界』(TBS系)に“ヤラセ疑惑”が浮上した。  29日の放送では、「スキ間掃除の世界」と題し、掃除マニアの主婦が登場。達成感が味わえる掃除グッズがランキング形式で発表される中、6位に“スライム状”の掃除グッズ「サイバークリーン」(アイリスオーヤマ)が紹介された。 「サイバークリーン」は、パソコンのキーボードや、リモコンなどに押し付け、ホコリなどを吸着する商品。番組では、スタジオでマツコがキーボードに実演したほか、別撮りされたビフォアーとアフターの比較映像を放送。そこでは、「こんなに汚かったキーボードが、ご覧の通り、すっきり!」というナレーションが加えられた。  アフターの映像には、新品同様にきれいなキーボードが映し出されたものの、ビフォアーのキーボードとは「Windowsキー」の形状が異なっており、視聴者から「別のキーボードに差し替えたのでは?」との指摘が相次いでいる。 「ビフォアーはWindows7以前のキーボードで、アフターはWindows8以降のキーボード。全くの別モノです。マツコはヤラセとは無縁のキャラで売っているだけに、この不正がバレたのは痛い。番組の信用度はガタ落ちで、この騒動後、『ほかにもヤラセがあるのでは?』と、過去の映像を粗探しするネットユーザーも出現しています」(テレビ誌記者)  最近のTBSのバラエティといえば、度重なる疑惑により、ヤラセのイメージがべったり。BPO(放送倫理・番組向上機構)は今月11日、同局の『珍種目No.1は誰だ!?ピラミッド・ダービー』が、出演者の姿を本人の了承を得ずに映像処理で消した件について、意見書を取りまとめたばかり。さらに、来月上旬にも、TBS側への通知と公表の記者会見を行うとしている。 「過剰演出が定着しているTBSのバラエティですが、視聴者を欺ききれない粗さもあり、たびたび問題になっている。かつてのテレビ業界は、BPOから注意を受けた番組が打ち切りになることも多かったが、最近は『演出のつもりだった』という言い訳を加えた謝罪文を掲載するのみで、何事もなかったかのように続行する番組が増えている。現場に『謝っときゃいい』という考え方が蔓延しているのでは?」(同)  今月24日に放送されたバラエティ特番『櫻井翔のジャニーズ軍VS有吉弘行の芸人軍 究極バトル“ゼウス”』にも、ヤラセを指摘する声が相次いでいるTBS。“演出第一主義”は大層なことだが、このままでは視聴者の不信感は募るばかりだ。

SMAP・木村拓哉、“薬物疑惑”で名指し!? 石原真理の暴露ブログにジャニーズの対応は?

 石原真理が、11月28日に覚せい剤取締法違反で逮捕されたASKAについて、同日付のブログで持論を展開した。その中で、SMAP・木村拓哉を“名指し”して薬物疑惑とも取れる記述を残したことで、ネットが騒然となっている。

「かつて人気ドラマシリーズ『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)に出演するなど、売れっ子女優として活動していた石原ですが、近年は精神状態が心配されています。2014年のブログでは、ローラについて『私の 真似 をしている 整形キツネの芸名ローラが化粧品のCMに本性を隠して出ている』などと言及。要するに“ローラが自分の真似をしている”という批判でしょうが、何の根拠もありません。このように石原は、その過激な言動で、ネットユーザーの注目を集める存在になっています」(芸能ライター)

 石原は、ASKAが薬物事件で再逮捕されたことを受け、ブログを更新。その中で「Askaさんは、薬はいけない抜けたいという気持ちで生きているということだけは伝わってきます」などと、ASKAに寄り添う姿勢を見せている。

「さらに、『最近は元タレントが沖縄で逮捕されたり』と、10月に大麻取締法違反で逮捕された元女優・高樹沙耶を示唆していると思われる記述などを長々と書き連ね、『飛鳥さんは自分の中の脳の一部が悔しくてたまらないのだと思います。戦いです。大変です、よって阿片や大麻、蔓延させてきた裏社会の沫殺を願います』と自説を展開。そして、その流れで、突如『ところであのクリ二ックの平石元医師なる人物はどうされました?玉置は行っていましたよ。Smapの木村君もね。ーー 一応事実まで』と、付け加えているのです」(同)

 ASKAの話題から、いきなり木村らの名前が出てきたこの部分こそが、ネット上で大きな注目を集めている。

「まず、“平石元医師”というのは、ASKAの元主治医・平石貴久氏のことだとみられます。平石氏は、ASKAが14年に逮捕された際、『ノンストップ!』(フジテレビ系)に出演し、『ASKAにアンナカ(安息香酸ナトリウムカフェイン)を処方していた』と告白した人物です。かねてより、平石氏のクリニックには、いわくつきの芸能人が多数集まっているといわれ、清原和博もその1人だったそう。そんな平石氏の元に“行っていた”と、木村は暴露されたわけです。真偽のほどはともかく、ネット上では『キムタクがかわいそう』『これはジャニーズも黙っていないのでは?』といったコメントが飛び交っています」(同)

 薬物の話に関連付けられてしまった木村だが、何かしらのリアクションを取るのだろうか。

「石原は何を言っても聞かないでしょうから、ジャニーズ事務所も無視するはず。ただ、今後さらに大きな“炎上”に発展するようなら、やはり放置というわけにもいかない。今後もこうした更新が続くのであれば、何らかの手を打つ可能性はあります」(テレビ局関係者)

 マスコミも固唾を呑んで見守る中、石原の暴露はどこまで続くのか。

SMAP・木村拓哉、“薬物疑惑”で名指し!? 石原真理の暴露ブログにジャニーズの対応は?

 石原真理が、11月28日に覚せい剤取締法違反で逮捕されたASKAについて、同日付のブログで持論を展開した。その中で、SMAP・木村拓哉を“名指し”して薬物疑惑とも取れる記述を残したことで、ネットが騒然となっている。

「かつて人気ドラマシリーズ『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)に出演するなど、売れっ子女優として活動していた石原ですが、近年は精神状態が心配されています。2014年のブログでは、ローラについて『私の 真似 をしている 整形キツネの芸名ローラが化粧品のCMに本性を隠して出ている』などと言及。要するに“ローラが自分の真似をしている”という批判でしょうが、何の根拠もありません。このように石原は、その過激な言動で、ネットユーザーの注目を集める存在になっています」(芸能ライター)

 石原は、ASKAが薬物事件で再逮捕されたことを受け、ブログを更新。その中で「Askaさんは、薬はいけない抜けたいという気持ちで生きているということだけは伝わってきます」などと、ASKAに寄り添う姿勢を見せている。

「さらに、『最近は元タレントが沖縄で逮捕されたり』と、10月に大麻取締法違反で逮捕された元女優・高樹沙耶を示唆していると思われる記述などを長々と書き連ね、『飛鳥さんは自分の中の脳の一部が悔しくてたまらないのだと思います。戦いです。大変です、よって阿片や大麻、蔓延させてきた裏社会の沫殺を願います』と自説を展開。そして、その流れで、突如『ところであのクリ二ックの平石元医師なる人物はどうされました?玉置は行っていましたよ。Smapの木村君もね。ーー 一応事実まで』と、付け加えているのです」(同)

 ASKAの話題から、いきなり木村らの名前が出てきたこの部分こそが、ネット上で大きな注目を集めている。

「まず、“平石元医師”というのは、ASKAの元主治医・平石貴久氏のことだとみられます。平石氏は、ASKAが14年に逮捕された際、『ノンストップ!』(フジテレビ系)に出演し、『ASKAにアンナカ(安息香酸ナトリウムカフェイン)を処方していた』と告白した人物です。かねてより、平石氏のクリニックには、いわくつきの芸能人が多数集まっているといわれ、清原和博もその1人だったそう。そんな平石氏の元に“行っていた”と、木村は暴露されたわけです。真偽のほどはともかく、ネット上では『キムタクがかわいそう』『これはジャニーズも黙っていないのでは?』といったコメントが飛び交っています」(同)

 薬物の話に関連付けられてしまった木村だが、何かしらのリアクションを取るのだろうか。

「石原は何を言っても聞かないでしょうから、ジャニーズ事務所も無視するはず。ただ、今後さらに大きな“炎上”に発展するようなら、やはり放置というわけにもいかない。今後もこうした更新が続くのであれば、何らかの手を打つ可能性はあります」(テレビ局関係者)

 マスコミも固唾を呑んで見守る中、石原の暴露はどこまで続くのか。

ジャニーズWEST桐山照史、Jr.時代の黒歴史「串カツ事件」を振り返る

 バラエティでの振る舞いから明るく豪快なイメージが強い、ジャニーズWESTの桐山照史。しかしその実、一人では外食できないほどのさみしがり屋で、涙もろい。一人でテレビドラマを見ていて、感動のあまり号泣することもしばしばだという。そんな桐山が、11月24日に放送されたラジオ番組『関ジャニ∞村上信五とジャニーズWEST桐山照史のレコメン!』(文化放送)にて、伝説の“串カツ事件”を振り返った。

 串カツ事件とは、2012年12月に、大阪・松竹座のコンサートMCで、桐山が当時一緒に出演していた中間淳太や濱田崇裕らに夕食に誘われず、思い詰めて「オレ、なにか悪いことをしましたか?」とメールを送っていたことが明かされ、それが思い違いによって生じた出来事だと知った桐山が舞台で号泣したというもの。関西ジャニーズJr.時代からのジャニーズWESTファンには、あまりにも有名な“事件”だ。

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相手がセックスに合意していたと思ったから無罪? 強姦罪の立件が難しい理由

 芸能人の強姦事件から職場のセクハラまで、女性の性的な被害が話題にならない日はない。なぜ被害はなくならないのか? セクシャルハラスメントの問題に詳しい、太田啓子弁護士に話を聞く。今回は、高畑裕太の強姦致傷罪での不起訴について解説してもらった。

(第1回はこちら)

■被害女性を傷つける、示談後の紛争蒸し返し

――セクハラ被害が問題になるたびに、男性側の勘違いがあらわになるケースも多い気がします。

太田啓子弁護士(以下、太田) たとえば9月に強姦致傷罪の容疑で逮捕・勾留されていた俳優が不起訴になりましたが、彼の弁護人のコメントには、かなり違和感がありました。

 示談成立について、弁護人側は検察官には伝えなくてはなりませんが、メディアへあのように発表することの是非には議論があると思いますね。ずいぶん報道されましたから、被疑者の名誉を少しでも回復しようという意図ではあったのでしょうし、その考え方自体はわかります。それにしても、内容については、問題が多かったと考えています。

――具体的には、どこが問題だと感じましたか?

太田 「知り得た事実関係に照らせば、高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く」とか、「違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件であります。以上のこともあり、不起訴という結論に至ったと考えております」、要は、別に悪いことをしたわけではないのだ、というような認識を示談後に発表するのは、被害申告を受けた女性を傷つけるものだろうと非常に気になっていました。

 そもそも、こういう場合の示談とは、事実関係についての認識のギャップを踏まえつつ、「それでもまあ、お互いに紛争を早期解決することを重んじて、認識の違いはこれ以上言わないことにして終わりにしましょう」というものなので、一方のみの事実関係についての認識を公に発表するのでは、紛争の蒸し返しのようなことになってしまいます。蒸し返したら他方から反論もあり得ますので、紛争が収束しませんよね。示談後の紛争蒸し返しというのは、弁護士としては通常、最も避けようとすることなので驚きました。

 そのため、数日後に「あの弁護人コメントは女性の承諾を得ているのだろうか」とブログに書いたりもしたのですが、当時は被害女性側の声は何も聞こえてきていなかったこともあり、弁護士仲間同士では、「もしかしたら、ああいう内容をメディアに発表してもよい、という承諾を女性側から得た上で、その分、ある程度高額な示談金で示談した可能性もあるのかもしれないね」などという臆測もしていました。めったにないことではありますが、もしも女性側が承諾している範囲の「蒸し返し」であるなら、まあ、いいのかも、と思わなくもなかったのです。

■「合意の上のセックス」って、なぜ思えるの?

――女性は、あの弁護人のコメントの発表を承諾していたのでしょうか?

太田 後に被害女性が「週刊現代」(講談社)の取材に応じて話したという内容(第1回第2回)が出てきましたね。これの記事によると、あの弁護人コメントの内容を、被害女性側は事前に知らされていなかったということです。ひどいと思いました。これでは、弁護人によるセカンドレイプだと思いますね。

 弁護人コメントの内容に戻りますが、「合意があるものと思っていた可能性が高く」「違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件」というところは、「本当は無罪主張をしたいが、諸事情から示談で事件を早期に終結させることとした。そもそも性的関係について合意があるものと思っていたのであるから、仮に有罪と認定されるとしても違法性は低く、悪質とはいえない」ということのようです。

 性的関係があったこと自体は双方に争いはない(事実として認める)が、加害者とされる方が「相手の合意があると思っていた」場合、それは「無罪」あるいは「違法性が低い」となるという一般的知見があるかのごとく言い切っているのが、弁護人コメントに対して感じる最大の違和感です。

 必ずしも、「無罪」あるいは「違法性が低い」とは言いきれないはずです。「合意があると思った」としても、そのことにそれなりに合理性はあるということでないと、「故意はない」とか「行為態様の悪質さは低い」とは言えないはずです。

――「合意があると思った」ことについての合理性に疑問を感じるというのは、たとえばどういうところでしょうか?

太田 前提として、犯罪は原則的に「故意」がなければ成立しません。「故意」とは、「わざと、その行為をしようとする」ことなので、強姦罪でいう「故意」とは、相手が同意していないのを知っていながら「わざと」性交しようとする意思です。なので、「相手の同意があると思って性交した」場合には、「故意がない」から「強姦ではない」という理屈になってしまうんですね。

 殺人罪を例にお話ししますと、「確かに自分は、鋭利な刃物で相手の頸動脈付近を突き刺した。でも、それは殺害行為ではないと思っていたので、殺人罪の故意はない」という主張を聞いたら、「そんなの不自然すぎる、あり得ない」と思いますよね。「殺害行為はしていない」と思ってさえいれば、すなわち「故意がない」とはならないわけです。

 強姦罪についても同様です。「相手が合意していたから、強姦行為はしていないと思っていた。だから強姦罪の故意はない」という主張は、理屈上はあり得ます。

 そのとき問われるのは「相手が合意していたと思った」という認識をどこまで、平たく言えば「あり得る」と認定するかどうかです。「よくそのシチュエーションで、相手が性的関係に合意してると思ったって言えるよね?」ということは、実務(実際の案件)ではよく出合う「加害者」の言い分です。

――具体的にお話しいただけますか?

太田 たとえば、路上で見知らぬ女性を拉致して車の中に連れ込み、人けのない山中に連れて行って性的行為をしたという場合、加害者側が「相手の女性は嫌がるそぶりもなく、自分との性的行為に同意していた。だから強姦じゃない」と言ったとしたら、さすがに一斉に「それはないだろう」と、みんな突っ込むと思うんです。

 ですが、もともと面識のある間柄だったらどうでしょうか? たまたま2人きりになる場面があって、そこで性的関係があったら? 男性上司が女性部下の自室に入って、そこで性的関係があったら? 女性部下は「『何もしない。一緒に酒を飲もう』と言われたから入れただけで、性的関係なんて合意していなかった」と言い、男性上司は「家に入れてくれて2人きりになった時点で、性的関係には合意があると思った」と言ったら? もともと知り合いではなかったけれど、急に親しく接近したように見える事情があったら? だんだん、「合意があったと思っても無理はない」という意見も出てきそうですよね。

■面識がある人間関係で起きた強姦については、なかなか立件してもらえない

――「高畑事件」でも、「加害者側」と「被害者側」の言い分が、かなり食い違っているようです。

太田 実際に犯罪が成立するような事実があったかどうかは、私も直接証拠などを見ていない以上、あまり推測であれこれ言うべきではないと思っています。

 ただし、争いがない事実(証拠により容易に認定できる事実)として、当日まで両者には全く面識がなく、ビジネスホテルの従業員とその客として偶然接点があっただけであること、現場は女性の勤務先であること、女性は勤務時間中かあるいは勤務を終えた直後の時間帯であること 女性が直後に被害を届け出ている、という点があるとはいえますよね。

 そのような、面識を得て間もない男女間で、女性の勤務先において、女性の勤務時間中か、それに近接する時間帯に、合意のある性的関係があったと加害者が思ったことにも合理的事情がある(=強姦罪の「故意」があるとはいえない)と判断するためには、いろいろな具体的事情がなければならないのではないかとは感じます。

――「合意があったはずだ」「いや、合意なんてしていなかった」と言い分が食い違ったときは、どう判断すればいいのでしょうか?

太田 性的関係に至る経過や両者の人間関係(上下関係があって、「被害者」側が真意に基づく言動をできなかった可能性など)を、詳細に把握し検討する必要があると考えています。

 しかし、その認定の過程には、男女関係についてのいろいろなバイアスが、実際問題入ってきます。たとえば「いやよいやよも好きのうち」というバイアスを検察官も持っていたら、「まあ、女性も、『いやよ、やめて』とは言ったようだが、それは文字通りイヤという意味ではなかったかもしれないし、男性側がそう考えても無理もない」と捉えて「合意があったと考えたことにもそれなりに合理性はあるから、故意があったとは言い切れない、嫌疑不十分」と判断する可能性はあるかもしれません

 現実問題、実務では、もともと面識がある人間関係で起きた強姦について被害届を出しても、なかなか立件してもらえないという感覚が正直ありますね。加害者側が「確かにセックスしたけど、向こうも合意してましたよ」と言うことが多いのでしょう。厳密な法律用語ではありませんが、よく「合意の抗弁」と言います。
(蒼山しのぶ)

(第3回につづく)

太田啓子(おおた・けいこ)
国際基督教大学卒業、2002年に弁護士登録。「神奈川県弁護士会」「明日の自由を守る若手弁護士の会」所属。主に家族関係、雇用関係、セクハラ、性犯罪問題などを取り扱う。「怒れる女子会」や「憲法カフェ」などの活動を通じて、セクハラや憲法改正についての問題提起も続ける。

新垣結衣『逃げ恥』最高16.1%! キスハグシーン“おあずけ”で、「欲求不満」と視聴者暴走!!

 11月29日、新垣結衣主演のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の第8話が放送され、自己最高を更新する16.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という高視聴率だったことがわかった。しかし、ネット上では「今週は物足りなかった」という不満の声も多く上がっているようだ。

 同ドラマは、院卒で内定なしの主人公・森山みくり(新垣)が、独身会社員の津崎平匡(星野源)と“契約結婚”するというラブコメディー。第8話では、初の離婚危機を迎えた2人が、それを乗り切ろうと奮闘する……という内容だった。

「これまでは、奥手な平匡とみくりとの絶妙な距離感が描かれ、視聴者を“ムズキュン”させるドラマとして人気を博してきました。しかし今回は離婚寸前という状況のため、みくりが両親のもとに帰っており、ラブコメ要素が控えめに。平匡とみくりのやりとりが好評を博していることもあり、『もっと胸キュンする展開が見たかった』『胸キュン展開のピークは過ぎちゃったかも』『もっと2人にくっついてほしいのに! 欲求不満!!』という暴走気味の声が上がっています」(芸能ライター)

 今話ではラブコメ展開が控えめだった分、家事や育児といった家庭の問題が前面に描かれていた。みくりの実家では、ケガをした母親の代わりに父親が家事を行っているという描写があり、「男性の家事」について焦点が当たられたほか、討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)のパロディパートが挿入され、みくりが「働く女性の育児問題」をテーマに持論を展開する場面もあった。

「しかし、視聴者が望んでいるのは、平匡とみくりのハグやキスシーンだったようで、物足りないと感じる人も少なくなかった。とはいえ、初めての離婚危機という展開に注目が集まったのか、視聴率は16.1%を記録。前話の13.6%から一気に視聴率が上昇し、自己最高視聴率を更新しました」(同)

 視聴者に“おあずけ”を食らわせた格好となった第8話だが、そんな展開の巧みさも『逃げ恥』の人気が沸騰している理由の1つかもしれない。