
渋谷のハロウィンに恐る恐る突撃。
■渋谷ハロウィンにオタクが楽しめる要素はあるのか?
ここ近年ですっかり日本に根付いたハロウィン文化。特にメッカである東京・渋谷には、今年も各々自由に仮装をした若者らが集結し、その盛り上がりが多数のメディアに取り上げられた。
だが、こういったハロウィン文化を素直に楽しんでいるのは(特に渋谷で)、いわゆる「リア充」や「パリピ」といわれる人々がメイン――大変うがった見方をしているかもしれないが、自身もオタクで、オタク系ニュースサイト「おたぽる」に関わる身としてはそう感じている。実際、この時期になるとTwitterではオタクと思しき層の嫌悪感たっぷりのツイートが見られる状態だ。
実は、「おたぽる」を運営するサイゾーは渋谷に社を構えており、渋谷のハロウィンは取材しようと思えば、すぐ現地に向かうことができる。しかし、“オタク向けではない”ということで、これまでは避けてきた(……というよりも、個人的に「近づきたくなかった」)。
だが、今年はハロウィンの直前、渋谷の一部が歩行者天国になるというニュースが飛び込んできた。前々から渋谷でのハロウィン警備には警察が出動していたが、近年の盛況を受けて車道を開放すると警察が判断したのだ。恐怖的なモノも感じたが、ハロウィンがそこまで盛況している、ということも改めて実感させられた。
前置きが長くなってしまったが、今回は「そんなに盛り上がっているのなら……」と、重い腰を上げ、渋谷のハロウィンの取材を決定。望み薄ではあるが、
“渋谷ハロウィンにオタクが楽しめる要素はあるのか”というテーマを掲げ、リア充とパリピの巣窟へ足を運んだ。
■渋谷ハロウィンに“コスプレイヤー”はいるのか
編集部が取材したのは、ハロウィン当日となる10月31日の夜8時すぎ。道玄坂を下ると、すでにロイヤルホストとモスバーガーがあるビル前から歩行者天国になっていた。その時点で、すでにかなりの人だかり。道路を封鎖する柵越しの群衆を見て、同行した男性社員(オタク)と「ゾンビ映画のよう」「ウォーキング・デットっぽい」などと談笑していた。実際、ゾンビ(の仮装をしている人)もいた。

今回、取材するにあたり“渋谷ハロウィンにオタクが楽しめる要素はあるのか”というテーマを掲げたが、その要素のキモとなるのは仮装ないしはコスプレだろう。ひとまず、アニメ系の格好をしている人を探してみる。
ちなみに、仮装とコスプレの違いについては、「コミックマーケット」を主催するコミケットが明文化している。
“仮装とコスプレの違いは、前者が「ただ着ている」のに対し、 コスプレは、そのキャラクターや衣装に対し愛情を持っている点です。 ここが大きな違いと言っていいでしょう。 コスプレとは、作品・対象への愛情表現が立体化へと進んだ形なのです”
――コミケット公式サイト「コスプレって何?」より。
渋谷のハロウィンにコミケの考えを当てはめるのは、少々違うような気もするが、今回はキャラに愛情を持っている「コスプレ」をしている人を捜索することに。
すると、『東京喰種』の金木研&鈴屋什造、『名探偵コナン』の江戸川コナン&怪盗キッド、『マクロスF』のランカ・リーのコスプレイヤーさんに遭遇。どれも、コミケのコスプレブースにいそうなクオリティーだ。

どことなく“ハロウィン感”があるからか、『東京喰種』レイヤーさんは彼ら以外にもちらほら。

広く知られている作品なだけに、周囲の注目度も高かった『コナン』レイヤーさん。

残念ながら、シェリルは不在だった。
その後も、『ハウルの動く城』のハウルや『Re:ゼロから始める異世界生活』のレム&ラムのコスプレイヤーさんに会うことができた。撮影後、「その格好は仮装ですか? コスプレですか?」と聞いてみたが、これらのレイヤーさんは全員「コスプレをしている」という認識だった。

なお、隣では『黒子のバスケ』の黄瀬くんが変身中でした。

人気の『リゼロ』レイヤーさんも。
その一方で、『美少女戦士セーラームーン』のコスチュームを身につけた女子たちにこの質問をぶつけてみると、笑顔で「仮装だと思います」と答えていた。渋谷のハロウィンなら個人的にはこれで全然オッケーだと思うが(かわいいし)、以前友人のコスプレイヤーがハロウィンのアニメ系仮装勢に対し、「キャラへの愛がない」と怒りを抱いていたことをなんとなく思い出した。

中央の女子はこの日誕生日だったそうで、テンション高めだった。
その後とはいうと、ドンキに売ってそうなマリオに、これもドンキにあるピカチュウの着ぐるみ……といった仮装勢だらけ。しまいには、Tバックにフリーザのマスクを被っただけの“戦闘力が低そう”な仮装もいた。目立てればいい、楽しければいいという風な印象を受けた。先程のハウルレイヤーの男性も「アニメコスプレ少ないですよね?」と語っていたが、本当にその通りで“コスプレ”はほとんど見つからない。

ノリノリでポーズを決めてくれた。
先程登場した数少ないコスプレイヤーさんの中には、「去年の渋谷はアニメコスプレが多くて、目立っていたからコスプレしてみました」と語るレイヤーさんも。なお、今回シャア・アズナブルに扮した弊社の男性社員も取材に同行したのだが、「シャアだ!」と反応していたのは主に『ガンダム』世代の中年サラリーマンがメイン。格好が格好なだけに、目立ってはいたのだが、なんと「マジンガーZ?」と反応する若い女子が……。イマドキ女子にシャアが通じないという、衝撃的な事実が発覚した瞬間であった。

自前です。
■人だらけでまったく前に進めない
その後、取材班はセンター街へと移動。しかし、道路びっしり人だらけでまったく前に進めない。コミケに向かうりんかい線の車内に匹敵しそうな混雑ぶりである。しかし、仮装する彼らは“どこに向かっている”のだろうか――それだけが疑問であった。

また、そこらに耳を傾けてみると、初対面らしき男女グループが「どこから来たの?」「埼玉」などと会話していた。なんと、今回撮影を担当した弊社の男性社員(30代)もギャルになぜか「ハッピーバースデー!」と絡まれていた。こういった雰囲気は渋谷ならではと言えるが、ネクラ気味のオタクな筆者は少し興ざめしていた。
なお、センター街にある相席居酒屋は、「コスプレ・仮装での入店可!」と店前で宣伝しており、話を聞いてみると、「仮装している人が結構入っています」とのこと。これだけの人が集まってれば、ハロウィンきっかけで交際がスタートしたカップルもいそうである。
スクランブル交差点では警察が「信号が変わります!」「止まらず進んでください!」と人波を誘導していたが、その先の渋谷TSUTAYA前やハチ公前広場はまともに歩ける状態ではない。しかし、その中では美女仮装集団に多数のカメラが向けられるという、コミケでもたびたび見られる現象が発生していたり、若者が集まって写真撮影をするといった光景が見られた。

人混みに疲れ、渋谷マークシティと渋谷駅をつなぐ連絡通路に避難し、上からスクランブル交差点を見下ろす。よく見ると、帰宅中のサラリーマンがハロウィン勢に巻き込まれていた。そんな風景を見ながら、渋谷といえば発売されたばかりの『ペルソナ5』の聖地だったな……今日は“改心”されないとダメな人が多そうだな……とぼんやり考えていた。ちなみにこの日、『ペルソナ5』のコスプレはいなかった。

1日のみの取材なので、なんとも言えないが、ちゃんとしたコスプレを見たいならば、渋谷ハロウィンは不向きであるようにも感じた。本稿ではあまり言及はしないが、正式なコスプレイベント以外の場でのコスプレは、マナー違反とされているのも関係していると思われる。その一方で池袋ではドワンゴとアニメイトが参画する「池袋ハロウィンコスプレフェス」が開催されているので、コスプレ目当ての人は池袋に向かったほうが良さそうだ。
ここまでの流れでなんとなく察しがついていると思うが、“渋谷ハロウィンはオタク向けではない”ということを今回再認させられた。ただ、お祭りのような雰囲気は少し愉快でもあった。筆者は取材後、人酔いで一晩中吐き気を催すことになったが……。
(文/編集部)