今週の注目記事・第1位 「東京都議会のドン『内田茂』とは何者か」(「週刊ポスト」8/12号) 「都議会のドン内田茂(77)『黒歴史』」(「週刊文春」8/4号) 第2位「『障害者ヘイトの狂信者』を育てた家庭環境」(「週刊新潮」8/4号) 「[相模原]障害者施設45人殺傷犯 [植松聖]『共犯になりかけた親友』の懺悔告白」(「週刊ポスト」8/12号) 第3位「<予約1万組!>西麻布『裸のレストラン』お楽しみガイド」(「週刊新潮」8/4号) 第4位「MEGA地震予測最新版『南関東』が初の『最高警戒レベル5』」(「週刊ポスト」8/12号) 第5位「ポケモンGO 誰がどうやっていくら儲けているのか」(「週刊現代」8/13号) 第6位「【激震スクープ】巨人軍を侵食する暴力団」(「週刊文春」8/4号) 第7位「『千葉真一の息子』 真剣佑19歳『仰天! ロスに5歳の隠し子』」(「フライデー」8/12号) 第8位「芥川賞村田沙耶香が語るバイト歴18年の『コンビに愛』」(「週刊文春」8/4号) 今週の論点「<『週刊新潮』淫行疑惑が封印を解いた>13年前の『被害女性』証言記録」(『週刊新潮』8/4号) 「鳥越『淫行』報道 すべての疑問に答える」(「週刊文春」8/4号) 【巻末付録】現代とポストのSEX記事の勝者はどっちだ! さて、盛り上がったのは鳥越俊太郎氏の「淫行報道」だけ、という都知事選がやっと終わった。今回ほど、誰に投票していいのか悩んだ都知事選はなかった。 有力な3人の候補は明確な政策も提示しないので、政策を吟味したくてもできず、人柄では誰も選びにくい。迷った結果、3候補以外の人間に投票した。結果は事前の下馬評通り、小池百合子氏の圧勝だった。初の女性都知事誕生だが、前途は多難であろう。 都議会のドンの話は後にするとして、今回の都知事選で後味の悪さを残したのは、やはり文春による鳥越氏の「淫行報道」である。 ここで、メディアと選挙報道について考えてみたい。 この件に、今週は新潮まで参戦した。政策も都民もそっちのけで、淫行だとか、厚化粧女だとか、場外乱闘ばかりがヒートアップした都知事選って、おかしくなかったか? 「ポケモンGO」ならぬ「バカモンGO」選挙報道とでも言えようか。 新潮は、トップで「13年前の被害女性証言記録」とやっている。先週、文春がやった話とは違うのかと思って読んでみたが、同じ話の蒸し返しであった。新潮ともあろうものが、文春の後追いをするのか。往時の新潮を知っている者からすると、残念な記事と言わざるを得ない。 要は、文春がやった話は、当時新潮が追いかけていて、告白した男性と被害に遭ったA子さんのインタビューもしていたというのである。 事の経緯は、先週のこの欄を読んでいただけばいい。文春より詳しいのは、この部分である。未成年で大学生だったA子さんは、憧れていた鳥越氏に誘われ別荘に行き、「何もしないから」と言われ、一緒の部屋で寝た。すると、鳥越氏は強制的に彼女を全裸にさせ、コトに及ぼうとしたというのだ。 だが、新潮も「最終的に行為は未遂に終わった」と書いている。取材したが、掲載しなかったのは、A子さんと男性が締め切り近くになって「記事にしないでくれ」と強く希望したからだという。 今回、文春の後追いのようなことをしたのは、文春報道で「その封印は解かれた」(新潮)ためと、鳥越氏が都知事にふさわしいかどうかを都民に判断してもらうために掲載したというのだ。 文春も、今号で「鳥越淫行報道のすべての疑問に答える」という特集を組んでいる。推測するに、かなり批判の声があったのではないか? 文春側の言い分を、かいつまんで紹介しよう。選挙中にこうした記事を出したのは、都知事候補は公人中の公人であるから、その資質が問われる事実がある以上、報道する公共性、公益性があると判断した。政治的な背景はない。当選させない目的で記事を掲載したのではないから、選挙妨害には当たらない。 行為は未遂に終わった、キスしただけで淫行というのはおかしいというネットやジャーナリストもいるが(私もそのひとりだ)、「小誌が事実として把握していて、記事には敢えて書いていないことも少なくない」と、こっちはもっと大変な事実を握っているのだが、A子さんを2度傷つけることになるから配慮したのだとほのめかす。 新潮も同じような鳥越氏批判をしている。鳥越氏はジャーナリストなのに、なぜ「事実無根」とだけしか言わないで、告訴というジャーナリストにあるまじき手段を取ったのかと、彼の資質を問うている。何人かのジャーナリストやヤメ検を出して「報道擁護発言」もさせている。 まあ、予想通りの反論記事である。だが、どうしても消えない疑問は、なぜ鳥越氏なのか、なぜ選挙中に出さなければならなかったのか、である。 選挙中はテレビ、新聞も有力候補の取り上げ方は公平にというのが原則である。スキャンダルも公平に取り扱うべきではないか? なぜ13年前の女性問題なのか? 都知事になる可能性があるから、そうした負の情報も選挙民は知るべきだと言うが、資質を問うのなら、鳥越氏が万が一、都知事になってからでも遅くはなかったのではないか? 告発した男性とA子さんの気持ちはわからぬではないが、この文春と新潮の記事は、特定候補を落とす目的で作られた選挙妨害に当たると、私は考える。高名なジャーナリスト氏たちが、取材した事実を読者に提供するのはメディアとしての責任、言論の自由があるから、選挙中に報道しても構わないと言っている。 言論・報道の自由がある、ジャーナリストだったら言論で勝負せいというのは、スキャンダルを報じたメディア側の常套句だが、言論の自由はメディア側に理性、良心があることを前提としているはずである。 私が見たところ、文春報道を批判したのは日刊ゲンダイぐらいしかないようだが、都知事選が終わった後、この問題はメディア同士で論議を戦わせ、十分に検証しなくてはいけない大問題だと思う。 今週の第8位は、芥川賞作家になった村田沙耶香さん(36)について。彼女はコンビニアルバイト歴18年で、書いた小説が『コンビニ人間』(文藝春秋)。「コンビニの仕事を通してのみ自身の存在意義を感じ、“普通”を強要する世間に違和感を覚える姿を描いている」(文春)そうだ。 文学賞を受賞した小説の劣化がいわれて久しい。直木賞選考委員の北方謙三氏も、年々面白くなくなって来ていると嘆いていた。 村田さんの小説は未読だが、「清楚な見た目と裏腹に、エッジの利いた人柄から“クレイジー沙耶香”の愛称で呼ばれることもある」(同)そうだから、楽しめるかもしれない。 西村賢太氏は日雇いを続けながら書き続け、芥川賞を取った。今も昔も、小説を書くためにはそれ相応の苦労が必要なのだろう。 過日、西村氏の行きつけの鶯谷の居酒屋「信濃路」へ行ってきた。1,000ベロとはいかないが、2,000ベロは間違いない。カウンター中心の店で、ひとりで入ってもゆっくり飲める、居酒屋の王道を行く居酒屋である。 次はフライデーから1本。千葉真一という往年のスターがいるが、彼の19歳の息子、真剣佑(マッケンユー)は、TBS系の連ドラ『仰げば尊し』で人気だそうだ。 今世紀最大の美男子と騒がれるだけあって、父親譲りの美貌と、LAで学んだ英語はペラペラ、その上、極真空手のLA大会の優勝者だそうだ。 それに加え、これまた父親譲り(?)の女好きで、14歳の時に30代の既婚女性と関係を持ち、子どもができたというのである。現在子どもは5歳で、LAにいるそうだ。この息子、親父を超える逸材かもしれない。 お次は文春。文春は6月下旬に日本野球機構(NPB)が各球団に向けて、赤い文字で「緊急」と書いた顔写真入りの“手配書”を出したと報じている。 内容はというと、野球賭博事件に関する調査の過程で、暴力団関係者の属性を隠して複数の球団の選手に接触している人間がいることがわかったというのだ。ご丁寧に、その人間のカラー写真から実名、住所、生年月日から電話番号まで記載されているという。 そのA氏というのは広域指定暴力団の元組長で、NPBは、その人間に入場券の販売や全球団への入場を排除する通知を内容証明付きで送り、各球団に対応を要請したというのである。 また暴力団絡みの不祥事発覚かと思って読んでみたが、それほどの大騒動になることではないようだ。とはいえ、野球選手、それも巨人の選手の脇の甘さがよくわかる話である。 当該の元組長氏もインタビューに答えて、そうした事実はあると認めている。身分を隠して選手に近づいたことについて 「その点は反省しています。自分としては、選手に迷惑をかけまいという配慮のつもりでしたが、結果的に嘘をついたことになるならば申し訳なく思う。過去は隠しようがない事実ですが、今は堅気として生活しているし、どの組とも関係ありません。何より選手は悪くない。そこはご理解ください」 巨人の中軸選手、坂本勇人、長野久義、内海哲也らが複数回、この元組長と飲食を共にしていたことがわかっている。また、見学パスを使って、何度も試合前の東京ドームのグラウンドに立ち入っていたことも判明しているという。 暴力団員が自ら「私はヤクザです」と言うわけはない。不動産屋、飲食店店主などと偽って選手に接触してくるのが常套手段であろう。 くだんの元組長は野球賭博には関わっていなかったというが、選手の中には自分のケガの相談までしている者もいたという。主力選手がケガといえば有力な情報になり、賭博のハンデも違ってくるかもしれない。それにしても巨人をはじめ、プロ野球選手はカネをチャラチャラさせてくる人間に弱すぎる。また暴力団絡みの不祥事が起こることは間違いないだろう。 「ポケモンGO」なる不可思議なものがはやっているらしい。私はこのゲームはいかがわしいと思っているが、現代を読んでその感を強くした。これは、従来のスマホゲーム以上に莫大な儲けを稼ぎ出す、まったく新しいビジネスモデルになる可能性が高いそうだ。 経営コンサルタントの鈴木貴博氏は、企業から巨額の広告料を得られるのが大きいという。 「ポケモンGOの凄みはユーザーを特定の場所に誘引できる『広告機能』を持ち合わせていることで、これがおカネを生む。具体的に説明すると、ゲーム内では『ポケストップ』と呼ばれる、ポケモンを捕まえるためのアイテムをゲットする場所があります。ユーザーはゲームを進める中で、このポケストップに立ち寄る必要がある。おのずとそこには、ユーザーが大挙して押し寄せます」 そのボケストップの場所をどこに指定するかは、ゲーム制作会社のさじ加減ひとつで決められるという。要は、ボケストップになれば集客できるから、企業から広告費を取るビジネスが成立するというわけだ。 なんのことはない、制作者に操られて右往左往しているだけじゃないか。 ITジャーナリストの三上洋氏は、自治体からの提携依頼が増えるという。 「たとえば自治体が観光ルートに沿って、アイテムを入手できるポケストップを大量申請する。そこがポケモンの『聖地』と認知されれば、旅行客を誘引する効果が期待できる。訪日する人が増える効果も期待できます」 世界の広告市場は50兆円規模なので、その1割でも5兆円の売り上げが見込めるというが、とらぬタヌキではないのか。 「ポケモンGO」のビジネスモデルはそこにとどまらないそうだ。 スマホジャーナリスト(そんなのがいるのか?)の石川温氏がこう話す。 「どういう人がどういう街を歩いてゲームをしているか。今後はそうしたビッグデータがどんどん溜まっていくので、このデータを使った新規ビジネスができる。商業施設などを運営する企業へのマーケティング支援や、販促イベントをやりたい企業へのコンサルティング事業もやるでしょう」 こうして得られる(つもり?)莫大な利益は誰の懐に入るのか? 楽天証券経済研究所の今中能夫アナリストは、こう試算する。 「今期の課金売上高を1,000~1,300億円と仮定すれば、まずその3割はグーグルとアップルに決済手数料として入ります。残りを、ポケモンGOを開発した米ナイアンティックと株式会社ポケモンの2社で分け合う。任天堂はポケモンの利益のうち出資分の32%を収益計上する形で、それは金額にして今期60~80億円ほどになる」 経済アナリストの森永卓郎氏も、「長期的な経済効果は、10兆円では済まない。政府の経済対策並の効果で、その恩恵は回り回ってわれわれの賃金に反映される」というのだが、ホントかいな? たかがゲームとは言わないが、意図的に作り出されたものでは、一時的に大騒ぎするが、消えるのも早いと思う。それに、このゲームをやっていて我を忘れ、痴漢に遭う女性や、車にはねられる人間も出ている。社会の不安を煽るようなものは、結局淘汰されていくと思うのだが、いかがかなご同輩? ところで、このところ関東地方でも地震が多い。いよいよその日が近いのではないかとおびえている。ポストでは、おなじみのMEGA地震予測の村井俊治東大名誉教授がこう警告する。 「全国で一斉異常変動が起きています。(中略)危険が大きい5センチ以上の異常変動を記録した電子基準点の数は、1月24日から7月23日までの半年間で約140。前回の『週刊ポスト』の記事(4月25日発売号)に掲載したMAPは同じく半年間(15年10月18日~16年4月16日)で約30でしたから4倍以上に増えている。いつ、どこで大地震が起きてもおかしくない。特に関東では顕著な異常が見られます。我々が発行するメルマガでは、首都圏を含む南関東を史上初の最高位『レベル5』に引き上げ、特別警戒を呼び掛けています」 確かに、このところの地震多発は、不気味なものを感じる。 「『震度6』を超える大地震がいつ起きてもおかしくない。ですから、くれぐれも警戒は怠らないでほしい。多くの人は首都直下型地震を心配しますが、関東のどこが震源になっても地盤の緩い首都圏は危ない」(村井氏) そろそろ覚悟して、地震対策を始めよう。 新潮が、ちまたで話題の「西麻布 裸レストラン」について報じている。こうしたレストランの発祥の地はロンドンだという。ヒンドゥー語で自然を意味する名のレストランが6月中旬にオープンし、申し込みが殺到しておよそ3万人がキャンセル待ちだという。 それを知って「これはイケる」と思い立った人間が、東京にもつくってみんべェと港区内に「Amrita(アムリタ)」という、サンスクリット語で不老不死の薬を意味する店を7月29日にオープンさせたのだ。 HPには「ボディに自信のない方は、ご相談ください」「20歳から60歳まで」「身長に対する平均体重の15キロオーバーの方は入店が出来ません」とうたってあり、違反した場合は前払い金も戻らないという。 まぁ、抜け道はあるようだが、3種類のコースのうち、安いのでも1万4,000円だから、かなり高いと言わざるを得ないだろう。だが、店に言わせると、見物客が殺到して、慌てて店の場所を変えたという。 客は入るとウエルカムドリンクを飲んでから更衣室に入り服を脱ぎ、薄手のカーテンで仕切られた個室に入る。ロンドンはそのまま全裸だが、東京は規制が厳しいので、男は紙パンツ、女は紙ショーツと紙ブラジャーを着ける。スタッフは筋骨隆々の男ばかり。男のショーもあるそうだ。 よほどの身体に自信のある人間しか入れなさそうだが、予約はすでに1万組を超えているという。男女比は男4に女6、全体の4割が外国人だという。「日頃から鍛えている肉体を披露する場を探していた」という人が多く、スポーツジムで筋トレに励んでいる40人の貸し切りも入っているそうだ。 体に自信のあるあなた、行ってみませんか? 私は遠慮しておきますが。 今週最大の話題は、これである。神奈川県相模原市の「津久井やまゆり園」(以下、やまゆり園)で起きた障害者大量殺人事件は、極悪非道などという言葉も色あせてしまう鬼畜の犯行だ。 火曜日(7月26日)早朝に事件が起きたため、新潮はさすがに事件に強いところを見せて3ページ、文春はワイドの1本として突っ込んでいる。だが、両誌ともに内容にも切り口にも新味はない。 1時間足らずの間に職員たちを結束バンドで縛り上げ、死者19人を含む40人以上をナイフや包丁で刺していった。異常なまでの障害者に対する憎しみがなければ、これほど残忍な犯行ができるわけはない。 容疑者とつけるのもけがわらしいが、仕方ない。植松聖容疑者(26)が大学を出て、やまゆり園に入ってきたのは2012年の夏。最初はアルバイトの形で、冬に非常勤、翌年4月に常勤になっている。 園には「学生時代に障害者のボランティアをしていた」と志望動機を語っていたようだが、新潮で植松の同級生が、彼の本性をこう語っている。 「教職免許を取るために児童養護施設でボランティアをしていたのですが、そこにいる障害者の人たちを話題にして『キモい』『あいつら生きている意味がない』なんて言うのです。『お前、それやばいよ』と注意したのですが、度々口にしていました」 ポストは、植松が尊敬する彫り師に弟子入りし、本格的に彫り師修業を始めていたと友人が語っている。 だが、尊敬していた彫り師との師弟関係も昨年末頃、突然絶たれてしまったという。植松が憧れた彫り師の友人がこう話す。 「師匠だった彫り師が植松を“破門”にしたんです。言動がおかしく、会話もままならない状態だった。とくに“障害者を皆殺しにすべきです”と告白したことに彫り師が怒ったようです。ドラッグの使用が濃厚だったため、彼は植松との関係を断ち切った」 やがて、その本性をやまゆり園でも隠すことがなくなっていった。今年2月頃、園の関係者に「障害者を殺す」「ずっと車椅子に縛られていることが幸せなのか。周りも不幸にする」と言っていたと、スポニチ(7月28日付)が報じている。 同じ頃、大島理森衆院議長の住む公邸に行き、警備の警察官に、今回の犯行を予告する手紙を手渡している。 ポストは植松から手紙の代筆を頼まれた親友がいたが、断ったという。当然だろう。 「常軌を逸する発言だとは重々理解しております」と書いてはいるが、常人のものではない。特に、文面(新潮から引用)のここに注目するべきである。 「障害者は人間としてではなく、動物として生活を過ごしております。(中略)障害者は不幸をつくることしかできません。(中略)今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛い決断をする時だと考えます」 植松容疑者がやったことは「障害者テロ」である。弱者である障害者に寄り添い、共に生きていくというのではなく、生きていく資格のない者、社会の迷惑者だというおぞましい考え方である。 これは最近の「年寄りは早く死ね」「長生きは罪だ」「親に恩義など感じることはない。親を捨てろ」という、年寄り排除の風潮と共通するものがあると思う。 この事件に対して、障害者施設の関係者たちやボランティア団体から非難の声が上がっているのは当然だろう。障害者や高齢者を疎ましい者、社会保障を食い潰す怠け者と見なす空気が、植松のような歪んだ人間を生んでしまったと、私は思うのだ。 そのうち、国家による「老人狩り」が始まらないかと、心底心配している。 大量殺人といえば、昭和13年に近隣住民を散弾銃で殺した「津山三十六人殺し」事件があるが、今回の事件と共通する、ある“符号”に気がついた。不謹慎だが、お許しいただきたい。津久井やまゆり園。「津」「やま」となるのだ。 さて今週の第1位は、小池新都知事が乗り込む東京都という伏魔殿を欲しいままにしている、内田茂なる「ドン」の存在を報じたポストと文春の記事。 昔から、どんな業界でも「ドン」という存在がいたものである。ほとんどこの手の黒幕には実態はなく、ただ何もしないでいると、そばにいる連中がその人間の考えを忖度してあれこれやるうちに、怖れられる存在になっていくのである。 いま騒いでいる内田某も、顔や言動をテレビなどを通じて見ているだけだが、さほどの人物とは思えない。田舎のおっさんか、夜店のテキ屋のような風情であるが、怖がらせる仕掛けがうまいようではある。 ポストによると、都庁のベテラン職員たちは彼のことを、畏怖を込めて「神田大明神」と呼ぶそうだ。 「都の重要政策から副知事、局長人事まで、内田都議の承諾がなければ一歩も進まない」(都庁関係者) 都知事選に一番に名乗りを上げた小池百合子氏が推薦を得られなかったのは、「オレの言うことを聞かない候補はダメだ」と、内田氏が反対したからだそうだ。その代わりに、彼の言うことを聞く傀儡候補として、増田寛也氏を立てたという。 自民党東京都連が所属議員に対して<非推薦の候補を応援した場合は除名等の処分>という恫喝文章を出したのも、都連幹事長である内田氏の名前があったから、威力を発揮したとポストは書いているが、それにしては小池氏の大勝、増田氏惨敗では、内田氏の威光は地に堕ちたのではないか? 小池氏は出馬会見の時、「(都連は)はブラックボックスだ」と語って、内田氏をクローズアップさせてしまった。さらに、都議会の冒頭解散、利権追求チームの創設を公約した。小池氏は「誰かにとって都合が悪い、もしくは不都合なときに捨てられるということが続いてきたように思う」といい、名指しこそしなかったものの、都議会のドンや一握りの幹部による都政運営を改め、「都民ための東京大改革を進めます」とツイートした。ブラックボックスの中心に内田氏がいることを強くにおわせたのだが、本当に彼と刺し違える覚悟があるのだろうか、見物である。 内田氏の口癖は「知事と議会は二元代表制なんだ」であるという。二元代表制という言葉は、憲法にも地方自治法にも出てこないが、知事と議会はどちらも選挙で選ばれる有権者の代表で、知事をチェックする役割の議会は知事と対等な力を持つという意味で使われるそうである。 「事実、都政は、たとえ都知事が何人交代しようと、127人の都議会に君臨するドンの意向に左右される議会の体質と構成が変わらない限り、改革が容易にできないという問題を抱え続けている」(ポスト) ドンの威光を知らしめたのが、昨年12月に東京・港区芝の名刹、増上寺で営まれた内田氏夫人の通夜と葬儀であった。参加者は、その盛大さに圧倒されたという。 葬儀委員長を務めたのは安倍首相。首相はその日(16日)、防衛省での自衛隊高級幹部会合や皇居での宮中昼食会などの公務の合間を縫って通夜に駆けつけた。 内田流ケンカの作法は、新米知事に就任初日から痛烈な先制パンチを見舞うことだそうだ。都政の絶対君主のように見えた石原慎太郎都知事でさえ、翻弄されたという。 「当選したばかりの石原知事が都議会の挨拶回りをした際、内田氏率いる都議会自民党の控室はもぬけの殻だった。内田氏の指示で知事の就任挨拶をボイコットしたわけです。この事件の後、知事は都議会運営で大苦境に立たされる」(過去5代の知事を取材してきたジャーナリスト) 何しろ東京都のGDPは韓国一国に匹敵し、予算規模(年間約13兆円)はスウェーデンの国家予算に等しいのだから、それだけの巨大組織の運営は都知事1人では不可能だ。そこで、4人の副知事が補佐する仕組みになっている。 石原都知事は、国会議員時代から政策秘書を務めた浜渦武生氏を副知事に起用しようとしたが、内田氏はこの人事案を都議会で否決し続けた。都知事の権限がいかに強大でも、予算案や人事案は議会の同意がなければ通らない。折れたのは知事のほうだった。 これを機に、内田氏は都議団だけではなく、東京選出の国会議員、都議、区議を統括する自民党東京都連幹事長に就任し、名実共に都連のドンとなったというわけである。 猪瀬直樹氏が07年に石原都政の副知事に就任したが、この副知事時代に内田氏の利権の虎の尾を踏んだそうだ。当時、東京・千代田区の参院議員宿舎を移転する計画が持ち上がり、内田氏は移転後に更地となる地域の再開発を推進していた。それに対して、猪瀬氏は移転中止を提案し、現地を視察した石原都知事も反対を表明、計画は白紙撤回された。 激怒した内田氏は、石原氏が12年の都知事選で猪瀬氏を後継候補として指名すると、「都議会に根回しがない」と抵抗し、選挙ポスター貼りも協力しなかったと当時の猪瀬選対関係者が語っている。 そんな彼も、選挙では苦杯をなめている。自民党は09年7月の都議選で大敗して第一党の座を民主党に奪われ、内田氏も落選している。 だが内田氏は、石原伸晃氏を都連会長に留任させ、議席を失ったにもかかわらず、自らも都連幹事長に留任したのだ。議席を持たない幹事長は前代未聞だった。そのため、内田氏は落選中も都政への力をまったく失わなかったそうだ。 内田氏にはいくつかの疑惑があるという。内田氏は前回都議選で返り咲きのために、無理を重ねたという。選挙事務所を開くにあたって、地元にビール券を配ったのだ。選挙区内の有権者への金券配布は公選法違反に当たる。 警視庁は捜査に動き、本人を書類送検した。ところが、東京地検は最終的に「違法性が認められるが、金額が少ない」という理由で不起訴処分にしたというのである。 また、内田氏は落選中、地元に本社を置く「東光電気工事」の監査役に就任している。現在も、都議と兼職している。同社は五輪特需で業績を伸ばし、今年1月には東京都発注の2つの競技施設建設を大手ゼネコンと共同で受注した。 しかし、地方自治法92条の2では、地方議員がその自治体の事業を請け負っている企業の役員を兼ねることを禁じており、違反すれば「その職を失う」(147条)と定めている。 「兼職に当たるかどうかは議会が判断するが、果たしてここでもアンタッチャブルさを発揮するか」(ポスト) 文春は内田氏の公式プロフィールでは、1956年に高校を中退して以降、75年に千代田区議選に初当選するまでの約20年間が空白だと指摘する。 「中退後、内田氏はテキヤに出入りして、世の中の“裏側”に接していたようです。今でもテキヤの親分は『露店の陳情で頼れるのは内田氏だけ』と言っています。 同級生の経営する電気屋で働いたり、喫茶店の店番をしたり、神田の雀荘にも入り浸り、自ら雀荘を経営してる時もあった。長男の不良ぶりに、内田氏の母親も『茂だけが出来損ない』と嘆いていました」(内田氏の親しい知人) 内田氏のブログによれば、28歳の時に火事で一家離散に陥ってしまう。障害を持つ2つ年下の弟を抱えて途方に暮れていたところを、後の参院議長の安井謙氏らに助けられ、政治の道を志したしたそうである。 「実際は、知人が出馬した千代田区議選で、神田地区の票を取りまとめる中、政治の世界に接近して行きました。本人は『俺の周りは不良ばかりだから』と言っていましたが、伝手を頼り、鳩山威一郎元外相の下足番になりました。秘書の名刺も持ち歩き、政財界に人脈を広げていった。そして、知人の後釜として、七五年に区議選に初当選以来、四期区議を務めました」(支持者) 89年、木村茂都議(当時)の千代田区長選出馬に伴う補選で、都議に初当選する。だが、木村氏の元側近はこう吐き捨てたという。 「内田氏は当時から議会で大して質問をせず、ヤジばかり飛ばしていた。淡路町の事務所には、建設会社をいつも呼び寄せていました。木村区長室にも入札の予定価格を聞きに来るので、木村氏は秘書に『内田をもう部屋に入れるな』と言って締め出したほどです」 そんな内田氏にとって最初の転機は、91年の都知事選だったという。自民党と公明党はNHKキャスターの磯村尚徳氏を擁立。一方、都議会自民党の主流派は現職の鈴木俊一氏を支持した。 都議3年目の内田氏は磯村氏についた。負けはしたが、自民党幹事長の小沢一郎氏との太いパイプを作り、都議会公明党の重鎮、藤井富雄氏とも親密な関係を築いたという。 内田氏の娘の結婚披露宴に、小沢氏が主賓として出席した。内田夫婦は小沢夫婦とパリに旅行に行ったりするほど親しかったそうである。 時の権力者に取り入るのがうまいだけの人物に思えるが、さて、小池新都知事はどう対峙するのか。それとも取り込まれるのか? 政界渡り鳥の小池氏だから、入り込むのはうまいだろうが、同じような傾向の人物とはどうだろうか? 【巻末付録】 毎回同じで少々息切れがしているが、ムチを入れて書いてみたい。ポストのグラビアは、おなじみの「響子さーーん」。豊満なお尻を見せて一句。「浅黒き男や甘ききゅうり売る」。意味深だね。 後半は「日本映画の濡れ場60年史」「制服を脱いだ元CA」。CAというより、スッチーのほうがよかったな。きれいな奥さん「妻の名は塔子」 現代は「おのののか」。元東京ドームのビール売り子ナンバー1だった女の子だと。「はるな」「本物のアイドル 三上悠亜」。袋とじは「あのライザップのCM人気No.1 美女が全部脱いだ」と、またまたまた「中島知子」じゃ。 受けてはいけない手術と飲んではいけない薬の大特集が多すぎて、ほかに読むところが少なすぎる。特集で障害者大量殺人事件もやっていないのに450円(ポストは430円)とは高すぎる! 合併号は470円にするのか? SEX記事のほうはタイトルだけで想像してみてください。ポストは「恥を捨てよ、美熟女の街へ出よう」。現代は「『微笑』のSEX特集に学ぶ『夫婦の歓び』」。『微笑』に学ぶではなく、そのものズバリの丸ごとSEXと健康雑誌にしたらいいんじゃないかね、現代は。 というわけで、今週は20円安いポストのほうに軍配を上げたい。「週刊ポスト」(8/12号、小学館)
月別アーカイブ: 2016年8月
久々の民放連ドラで“美しおかしさ”を醸す、滝沢秀明の浮世離れ感とトンチキを生かす方法
茶の間には知られてはいけない、滝様の舞台姿
今回ツッコませていただくのは、武井咲主演の『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)で久しぶりの民放連続ドラマに出演中の「タッキー&翼のタッキー」こと滝沢秀明。
視聴率は初回の9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から第2話は7.4%、第3話で6.7%と、右肩下がりの状況にあり、もはやタッキーの「エアギター」のみが見どころという声、さらにその「エアギター」すらも飽きられるのではないかという声が出ている。
『ニッポンの出番!』でKAT-TUN中丸がポルトガルロケを敢行! 8月2日(火)ジャニーズアイドル出演情報
――翌日にジャニーズアイドルが出演予定の番組情報をお届けします。見逃さないように、録画予約をお忘れなく!
※一部を除き、首都圏の放送情報を元に構成しています。
※番組編成、及び放送日時は変更になることがあります。最新情報は番組公式サイト等をご確認ください。
●SMAP
23:15~24:15 『中居正広のミになる図書館』(テレビ朝日系) 中居正広
●TOKIO
8:00~ 9:55 『白熱ライブビビット』(TBS系) 国分太一
11:25~11:30 『国分太一のおさんぽジャパン』(フジテレビ系) 国分太一
18:55~19:25 『Rの法則』(NHK Eテレ) 山口達也
※『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ系、山口達也)は放送休止。
なかなか登頂できないイチゴのかき氷みたいな『マグロ中落ち丼 富士山盛り』
見て見て、氷イチゴだよ~。行列のできるかき氷屋さんって、もうすっかり夏の風物詩になった感あるよね。フワッフワのきめ細かなかき氷に高級フルーツがどっさり乗っかってたり、女子の大好きな紫イモのシロップがかかってたり、中にはお伊勢さんで有名な赤福が乗っかってたり……。 って、ボケ長過ぎ! パッと見、イチゴのかき氷にも見えそうなピンク色の山盛り丼の正体は、そう、マグロの中落ちだ。マグロ好きな日本人にはきっと、行列ができるかき氷屋の氷イチゴより、よほどよだれものの丼に違いない。これがお手頃価格で食べられるのは、三浦半島の先っぽにある三崎漁港。さすがマグロの街ではないか! パッと見、ちょっと小さめのかき氷程度のこんもりとした丼は、マグロの中落ちが600g、ごはんが550gで1キロ超え。とはいうものの、 「ペロッといけるんちゃう?」 という第一印象である。なんだったら来る途中のサービスエリアでみつけた横須賀バーガーも、ガマンしないで食べてくりゃよかった。てっぺんに乗っかったわさびを醤油に溶かし、それをピンク色の小富士山に回しかけて、いざ、登山を開始した。パッと見、氷イチゴに見えるかどうかは疑問だが、モザイクをかけたらそう見えるかも。
「高い山ほど小さな歩幅で登るべし」 と、先人が言ったかどうかは知らないが、筆者は木のスプーンで大股歩きのようにワシワシと食べ始めた。インターバルには副菜のキュウリの漬け物とマグロの角煮をつまんでアクセントをつけ、アラ汁で喉を潤す。中をほじっても、出てくるのはマグロだけ。夢に見たようなマグロの山に、感じるのは幸福感だけだった。 しかし、それは突然やってきた。五合目を目前に突然マグロが喉を通らなくなったのだ。ごはんは大丈夫だが、冷たくて変化のない中落ちを舌と喉が拒み始めたのだ。味に変化をつけようとインターバルが短くなると、すぐに漬け物も角煮もみそ汁も底をついてしまい、残ったのはわさび醤油だけとなってしまった。上げ底でも中身が空洞でもなんでもない、正真正銘マグロ100%の中落ち丼。
この時点ですでに若干の満腹感を感じ始めているので、副菜の追加も考えにくい。苦しそうな様子を察した店員さんが、気を利かせてわさびを追加してくれた。醤油に溶かす量を徐々に増やして味変を試みるが、それでも舌が感じる違いはわずか。4分の1を残したところで完全に手が止まってしまった。1キロ程度は経験済みのMy胃袋なのに、まさか大好きなマグロがこれほど強敵だとは……。 あとはちびりちびりと食べすすめ、約1時間かけてようやく登頂に成功したが、試合に勝って勝負に負けた感は否めない。店の目の前にある市場でも、オバちゃんたちがすすめてくれる試食品すら断る状況だった。もう、しばらくはマグロは食べたくない心境で逃げるように家路に着いた。ところが……。 その夜、いつもの飲み屋に行くと、出て来たお通しがまさかの中落ち。この丼は、日頃の行いを占う「運試し」でもあるようだ。 中落ち丼富士山盛り、うもうございました…。最初は喜んで食べたが、半分程度で手が止まった。マグロの大盛りって意外に手強い。
三浦漁港 まぐろ食堂 七兵衛丸『中落ち丼富士山盛り』1944円(税込み) インパクト ☆☆ 完食難易度 ☆☆☆!! 味 ☆☆☆ (写真・文=よしよし)安くて新鮮で超おいしい(普通盛りなら)、三崎マグロの中落ち丼。市場もすぐ目の前にある。
クレジットカードに潜む天使と悪魔 キャッシュレス時代を生き延びる3つの「ダメ・ゼッタイ」
こんにちは。ファイナンシャルおねえさんこと、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。
お金のプロの間でも賛否両論さまざまな意見が飛び交うクレジットカード。使い過ぎを防ぐために「クレジットカードなんか持つな!」という考え方もありますが、私はクレジットカードを使うことを大いに賛成しています。私自身、コーヒー1杯にもクレジットカードを使っているほどのヘビーユーザーです。
というわけで今回は、初めてクレジットカードを持つ方のために「クレジットカードの超基本」を書いていきます。「だいたいのことは知ってるよ」というヘビーユーザーの方も、「生き延びるためのクレジットカード」ということで、クレジットカードとの上手な付き合い方を改めて考えていただければと思います。
◎本格的な「キャッシュレス時代」への準備を!
私がクレジットカードの利用を勧める理由は、いま私たちが、現金を使わない「キャッシュレス推し」にシフトする過渡期に生きているからです。
私の母親(73歳未亡人)は、日ごろから「借金が大嫌い!」「クレジットカードなんて恐ろしい!」と言っていました。そんな母は、もともと肢が不自由で歩くこと、外出することが困難でした。そのため野菜や調味料などの食料品やトイレットペーパーや洗剤といった日用品は、配達サービスを利用して購入しています。
紙のカタログから必要な商品を選んでマークシートに記入。配達に来た優しいお兄さんに渡せば、翌週にお兄さんが届けてくれる仕組みです。てっきり支払いもお兄さんに現金で手渡しするものだと私は思っていたのですが、このサービスを何年も利用している母になんとなく話を聞いてみたら、どうやら現金払いではなく口座から引き落とされているようでした。「そうだったのか~」ともう少し詳しく話を聞いてみたら、なんと母の財布からクレジットカードが出てきたではありませんか。本人が単なる会員カードだと思っていたものは、七色に輝く立派なクレジットカードだったのです。特におバカでも騙されやすいタイプでもない母ですが、いつの間にか何年間も1月分まとめてクレジットカード決済で支払いをしていたのです。
「キャッシュレス時代」とは言うものの、日本では欧米ほど日常的な買い物にクレジットカードを利用しません。私も「まだまだ現金が通用するし、クレジットカードを使おうが、現金で支払おうが個人の自由だ」と思っていました。でも、このエピソードを受けて、「どうやら日本人も今のうちにクレジットカードを受け入れて、上手に付き合っていく力を身につけないと、危険なことになるぞ……」と考え直しました。
◎そのカードの重み、わかっていますか?
今さらですが、そもそも「クレジット」とは何なのでしょうか?
Creditの直訳は、「信用、信頼」。とても重い言葉です。あなたのお財布にはこの「信用、信頼」が収められることになるわけです。いったん、この重さを受け取りましょう。またCreditという言葉には、「信用貸し」という意味合いも含まれるようです。そうです、クレジットとは立派な「借金」なんですね。このことをまず自覚しましょう。
クレジットカードの仕組みは、商品やサービスを買った代金をクレジット会社が「立て替えて」払ってくれて約束の日に預金口座から引き落とされる、というものです。
赤の他人が「あなたを信頼して立て替えておきますね」と優しく言ってくれているわけです。決して軽いものではありません。
あなたがクレジット会社からの信頼をきちんと受けとめ、約束の日までに口座に十分な額を準備し、無事に引き落とされれば、クレジット会社が金額に応じた「ポイント」をあなたにプレゼントします。このポイントは現金のような効果を持つので、現金よりもカードを使った方が魅力的という言い方もできます。頻繁に利用するお店や通販サービス、航空会社などが発行しているクレジットカードを作ってポイントを上手に使えば、現金よりお得になることは間違いありません。
◎クレジットカードの「ダメ・ゼッタイ」
クレジットカードには危険がいっぱいです。クレジットカード推しの私ですが、ここからは皆さんを激烈に脅していきます。クレジットカードと上手に付き合うためには必要な知識ですから、怖がらずに受け止めてください。
・その年会費は無駄じゃない?
まず、年会費を確認しましょう。定番の航空会社が発行しているカードには年会費がかかります。出張などで飛行機を多く利用するわけでもないのに航空会社のカードを持っていて、マイルを貯めては無駄遣いの一人旅に出かけ、後でカードの支払い地獄で苦しんでいる方はいませんか?
というわけで、最初に年会費の有無、そしてその額を確認してください。年会費無料を売りにしているカードも多くあるので利用頻度の高いお店や通販サイトで発行しているカードを検討してみてくださいね。
・分割払いとキャッシングには危険がいっぱい
3回払い以上、リボ払いは「ダメ。ゼッタイ」と本気で思っています。この払い方を利用した時点でクレジットカードのお得度はゼロ。単にお金が無いのに欲望に負けた人間の可能性が大です。
「あなたを信頼して立て替えておきますね」と優しく言ってくれていたクレジット会社はこれらの払い方をした時点で、既にあなたを疑っています。1回払いでも、立て替えてくれた日から口座引き落としの日まで最大2カ月ほども待ってくれているのに、それを3回だのなんだの言われたら、立て替えた側からしたら「冗談じゃない!」と思いませんか? ましてや、リボ払いなんて、いつまで返済を待たせるのか本人も分かっていませんよね。クレジット会社も手数料を取らないとやっていられません。
その手数料たるや、10~18%。ピンと来ない場合は消費税を浮かべましょう。消費税が8%から10%に2%上がるかどうかで日本中が大騒ぎになっていますよね。そんな中10~18%の手数料を払ってまでクレジットカードで買い物をする感覚ってどう思いますか? ……考えればもうわかりますよね。
キャッシングまで行くと、治療が必要な病気です。もしも、財政状況がギリギリの方がいたら、ここに手を出す手前で何とか死守してほしいと思います。キャッシングはあまりにも純粋な「借金」です。利用してしまった方は次なる「借金」になりがちな「カードローン」に繋がってしまう可能性が高くなります。借金返済のための借金では何の解決にもなりません。
多くは語りたくありませんが、お金が原因で命を絶つ人もいらっしゃいます。その入り口になってしまうのがキャッシングと言っても言い過ぎではないでしょう。クレジットカードのキャッシングを利用する状態というのは、ご自身はお気づきではないかもしれませんが、何かしらの特別な事情を抱えているということです。そしてそれは多くの場合、もはやカード1枚のキャッシングでは解決できない事情だと思われますので、抜本的な整理が必要です。
キャッシングやカードローンの金額が増えていくと、少しずつ心を病んでしまう方も多くいらっしゃいます。一生懸命働いてせっせと返していくのが基本ですが、家族への相談、事情によっては生活保護の検討、司法書士や弁護士への借金整理の依頼など、生きていくために早期にアクションを起こすことも大切です。
◎魅力的なクレジットカードの使い方
冒頭にも書いたように私自身はクレジットカードのヘビーユーザーです。クレジットカードの怖さも知っているので、無駄遣いのために利用することはあり得ませんが、可能なものは何でもクレジットカード払いしています。
意外だと言われる、オススメの使い方をいくつか紹介しましょう。
まず、病院やクリニック、調剤薬局です。ここで無駄遣いをすることはありませんからね。「あの薬も気になるから買っちゃおう」「あの治療も受けたい」なんてめったにありません。
次にコンビニです。コンビニで習慣的に無駄遣いすることは問題なのですが、コンビニは多くのものがスーパーやドラッグストアよりも高い定価となっています。もしコンビニで他のお店でも手に入る商品を買うのであれば、ポイントが手に入るクレジットカードを使うのはひとつの手でしょう。
そして、スーパー、ドラッグストアでの食品・日用品の購入です。現金であれ、カードであれ、必要なものを買うことが多い場所ですよね。普段から利用するお店だからこそ、ちりも積もれば山となる。気づけばポイントが溜まっていくと思います。
一方、一番危険なのは、百貨店などで服、靴、バッグ、アクセサリーをカードで買うこと。無駄遣い体質が疑われる場合は、ご注意を!
◎毒となるかサプリメントとなるかはあなた次第
今回は、クレジットカードの仕組み、魅力、怖さなどを書きました。
クレジットカードの危険性について、「そんなことわかってんだよ~!」「お前に言われる筋合いない!」と、ブチ切れ気味になった方もいるのではないかと思います。中にはクレジットカードをつい使いすぎて、月々の支払いがキツキツ……という方がいるかもしれません。ブチ切れられている間はまだいいのですが、深刻になってくると「私、マジメにヤバいかもしれない!」と急に不安になる瞬間がたびたび襲ってきます。お金のピンチへの対応は皆さんちょっと遅くなりがちで「気づいたころにはもう手遅れ」というパターンがしょっちゅうあります。未来ある読者の皆さんから笑顔が奪われていくことがないように願っています。
「社会人になったから~」とお気楽にクレジットカードを作るのではなくて、最低限のことは理解した上で、上手に活用する体質を手に入れて、すでに訪れつつあるキャッシュレス時代を生き抜いてほしいと思っています。
失敗すれば「毒」、うまく使えば「サプリメント」。それがクレジットカードです。無駄遣い体質の問題さえなければ、むしろ現金よりもどんどんクレジットカードをおすすめしたいくらい素敵なツールなのです。
■川部紀子
1973年北海道生まれ。ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)・社会保険労務士。大手生命保険会社のセールスレディとして8年間勤務。その間、父ががんに罹り障害者の母を残し他界。親友3人といとこも他界。自身もがんの疑いで入院。母の介護認定を機に27歳にしてバリアフリーマンションを購入。生死とお金に翻弄される20代を過ごし、生きるためのお金と知識の必要性を痛感する。保険以外の知識も広めるべくFPとして30歳で起業。後に社労士資格も取得し、現在「FP・社労士事務所川部商店」代表。お金に関するキャリアは20年を超えた。セミナーに力を入れており講師依頼は年間約200回。受講者も3万人超。テレビ、ラジオ、新聞等メディア出演も多数。
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松本人志が「総理大臣になってほしい芸能人」3位! 一方、石橋貴明は「一番嫌いな芸人」に……
ダウンタウンの松本人志が、“キャラ変”に大成功したようだ。 7月31日放送の『アッコにおまかせ!』では、18~25歳の若者100人に聞いた「総理大臣になってほしい芸能人」のランキングを発表。1位に坂上忍、2位にマツコ・デラックスと、毒舌系タレントが続く中、松本が3位にランクイン。なお、4位は池上彰、5位は櫻井翔、6位は林修だった。 「数年前、ダウンタウンの番組が軒並み低視聴率を記録。松本が監督を務める映画にも酷評が相次ぎ、笑いのセンスが疑われると同時に、芸能界での立ち位置が揺らいだ。そんな中、2013年に『ワイドナショー』(フジテレビ系)がスタート。松本の正義感の強さが目立つ内容となり、攻撃的な意見よりも“正しい意見”を好む若者の間で好感度が急上昇した」(芸能記者) 11~13年、ダウンタウンの冠番組が続々と打ち切りに。『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)の視聴率も急落し、松本渾身のコント番組『松本人志のコント MHK』(NHK)も大コケ。“時代の終焉”などといわれたが、『ワイドナショー』での“ご意見番キャラ”がピンチを救った。 また、松本が「バイトするならタウンワーク」と連呼するCMが、15年度の“企業別CM好感度ランキング”でトップテン入り。それまで松本をあまり知らなかった10代が「タウンワークのおじさん」として注目し、好感度がさらに上昇。その結果、5月に発表された「タレントパワーランキング」(アーキテクト調べ)において、“10代男性”への調査で首位に輝いた。 加えて、6月に発表された『タレントパワースコア』(アーキテクト調べ、認知度と関心度を調査)のお笑い芸人ランキングでも、ダウンタウンが、内村光良や明石家さんま、有吉弘行らを抑えて3位にランクイン。昨年の13位から大幅に飛躍した。 そんな中、先月31日放送の『ワイドナショー』で松本は、『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)の視聴率不振の話題で「(来年は)とんねるずとダウンタウンでやらせるとか」と共演を提案。長らく“共演NG”とウワサされた2組だけに、話題となっている。 「とんねるずの石橋貴明は、暴力的なキャラが時代に合わず、『日経エンタテインメント!』(日経BP社)が先月発表した『一番嫌いなお笑い芸人』ランキングで、江頭2:50を抑えて首位になってしまった。長らく芸風の変わらないとんねるずですが、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の視聴率も1ケタ続きで、数年前のダウンタウンと似たような状況に陥っている」(同) ダウンタウンととんねるず、ほぼ同じ時代にスターダムにのし上がった2組だが、今の石橋は好感度回復のためにも、松本から何かを学ぶべきかもしれない。
セックスで感じない女が変わる瞬間――密室の性愛劇『永遠に、私を閉じこめて』のヒリつく純愛
『永遠に、私を閉じこめて』(講談社)
愛と憎悪の感情は、常に表裏一体である。例えば恋人の仕事が忙しくてなかなか会えないと、愛ゆえに寂しさが募るが、いつしかその感情は憎しみに変わり、彼を困らせてやろうと好きでもない男と浮気をしたりする。
またその逆もある。浮気などによって傷つけられ、最低な男だと痛感しつつも、なぜか強烈に惹かれてしまう――自分でも制御できない強烈な感情が渦巻いてしまう恋愛を、誰しも一度は経験したことがないだろうか?
荒ぶる漢たちのリアル! 現役土建屋社長と石丸元章が立ち上げた「土木建築マガジン」編集部に潜入
作家の石丸元章が、「BLUE'S MAGAZINE(ブルーズマガジン)」なるフリーペーパーを作っているらしい。テーマはなんと「土木建築系総合カルチャーマガジン」。ど……土木建築!? 石丸さんって、ドラッグ小説とか書いてる人じゃなかったっけ? それがどうして、土木建築のフリーペーパーを! ……というわけで今回は、「ブルーズマガジン」の制作現場である感電社の編集部に突撃した……のだが、もらった住所にたどり着いても、年代物のアパートが建っているだけで、フリーペーパーの編集部がありそうな雰囲気はゼロ。ここが編集部のハズなんだけど……
まさか、このアパートの中が会社なんてことは……あった! しかも「いろいろなものをこじらせたひとり暮らしの男子大学生の部屋」感あふれる、どーかした内装の部屋が編集部。「ザ・秘密基地」といった感じのこの部屋から生み出されている「ブルーズマガジン」について、主筆の石丸元章と、編集長の雨森諭司に話を訊いた。 ■土建は都市的で荒ぶる男たちの世界だ ――この感電社は「ブルーズマガジン」を作るために、現役土建会社社長の柳知進さんと石丸さんたちが立ち上げた会社なんですよね? 石丸 そうです。今日は柳も同席する予定だったんですけど、現場でトラブルがあったということで、そっちに行ってしまって。でも、今日みたいなものすごく暑い日に、現場で汗を流して働いているやつらがいる。そこで感じた心情をダイレクトに出せる雑誌を作りたいということで、僕のTwitterにメッセージをくれたんです。土建の現場で見たり感じたりしていること、起きている物語……そういうものが雑誌にもテレビにも、どこにも出てこないので、思うところがあったみたいですね。 ――石丸さんが土建フリーペーパーを作っていると聞いて意外でした。それまで、土建関係に興味は? 石丸 全然なかった。ダンプとトラックの違いも、シャベルとスコップの違いもわからなかったですもん。でも土建はね、荒ぶる男たちの世界じゃないですか。そして彼らは、極めて都市的な文化を持った人たちなんですよね。そこには興味を引かれました。土建の現場って、実は青山とか渋谷とか、都市の風景の中に溶け込んでいますから。 ――ああー、確かに工事が多く行われているのは、田舎じゃなくて都会ですよね。 石丸 だから、都市で暮らして、都市で稼いで、都市で遊んで……っていう人たちが働いている。そういう意味で、この雑誌のことを「土木建築系総合カルチャーマガジン」と呼んでいます。 ――土建でバイトをして稼いだ金で、演劇やバンドを頑張っているという若者も多そうですよね。 石丸 やっぱり、稼ぎって大事ですから。ただ、今は「本当は演劇やバンドをやりたいけど、我慢の期間として土建をやっているんだ」という人は意外と少ないんですよ。表現活動は表現活動としてやるけど、職人としても誇りを持ってやっているという人が多い。イースタンユースのドラムの田森篤哉さんは庭屋さんなんですが、「本当にこの仕事をやっていてよかった」と言っていますからね。「すごくクリエイティブだし、たくさん稼げる」と。イースタンの吉野(寿)さんと出会ったことと同じくらい、今の仕事に出会ったことは大きいと考えているようです。あ、本当にここなんだ
■迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要 ――土建という未知の世界に触れて、一番興味を引かれたのは、どういうポイントですか? 石丸 やっぱり現場ですね。土建の現場って、写真や映像で見ると、うるさくて汚くて危なくて……っていうイメージじゃないですか? でも、自分で足を踏み入れてみると、必ずしもそうじゃない部分も見えてくるんですよ。解体の現場なんて、これから命を失っていく建物の大きさとか荘厳さとか、すごく心を打つものがありますよ。これは、表現の領域で人に伝えるべきだと思いました。 雨森 そういう現場を、石丸さんはすごく文学的に表現するんですよ。「さながら戦場のような……」みたいに。実際に、その現場はすごかったんですけど、職人さんにチェックしてもらったら「戦場のような」はやめてくれと。 石丸 「ウチは安全第一なんだ」って(笑)。 ――現場の迫力を伝えるための文章だけど、現場の人からすると、その表現はダメなんですね。 雨森 現場の人にとっては、迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要ですから。「そこに赤字入るんだ!?」って新鮮でしたね。もちろん、職人さんたちも同じように現場で「すごい!」とか「キレイ!」と感じることはあるみたいですけど、それを人に伝えることはしないんですよね。「ブルーズマガジン」では、そういう部分に光を当てたいという気持ちもあります。 石丸 雨森くんはね、現場と編集部をつなぐ役というか、職人さんたちと一番ぶつかる役だから大変だと思うよ。 雨森 すごくしっかりした人たちなんで、ちょっとした言葉遣いや、少し時間に遅れただけで怒られますから。礼節関係や冠婚葬祭、記念行事とかを、ものすごい大事にするんですよ。 ――ライターなんかやってると、年賀状とか気にしないですからね。 雨森 ですよね。一番そこを怒られるんですよ。あいさつ、コーヒーの出し方、差し入れのタイミング……そういうことをキッチリやれるようになると、「わかってるな、お前」ということで、やっとフレンドリーに話ができるようになるんです。 石丸 この人の役割はデカイですよ。現場の人たちに取材のオッケーをもらうのって、すごく難しいから。「BLUE'S MAGAZINE」主筆の石丸元章氏と、編集長の雨森諭司氏
――ある意味、雑誌に出ても得はないですからね。仕事の発注が増えるわけでもないし。 雨森 そういう状態だったのが、ようやく「ウチをぜひ取材してください」と声をかけてもらえるようになったのがうれしいですね。自分たちの仕事が雑誌の取材対象になるなんて思ってもいなかったのに、「ブルーズマガジン」を読んだら、自分たちと同じような業種が取り上げられている。じゃあ、ウチも取材してもらおうと思ってくれているようです。 石丸 見本誌を持っていくと、職人さんたちがすっごく喜んでくれるんだよね。自分たちの方法論が間違ってなかったんだ、職人さんたちの心に触れるようなものが作れて、本当によかったなって思います。 ――少し前から、町工場など「ものづくり」の現場が注目されるようになりましたけど、土建の現場も注目されるようになってほしいですよね。 石丸 『プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK)みたいな大きなプロジェクトは注目されるけど、穴掘ったり、コンクリートの型枠を組んだりする職人さんが注目されるような時代は、まだまだ来てないでしょ。プロの開削師が手掘りで掘った穴って、すっごくキレイで感動しますけどね。板前の切った刺し身のように、穴の角度がバシッと決まってて。でも、その穴って必ず埋められちゃう。 雨森 夜、穴を掘って作業して、朝までに埋めて、次の日の夜、また掘り返してから作業という繰り返しなんです。 ――それでも、キレイに掘る必然性がある? 石丸 あるんですよ。ああいう工事って、掘ったところ、埋めたところ、作業したところ……っていう過程を一つ一つ写真に収めて、役所の人が確認するんですよ。よくボードを持って写真を撮ってるでしょ? 地面の中で水道管換えたかどうかなんて、わからないじゃないですか。でも、役所の人がつきっきりで監視しているわけにもいかないから、写真を見て確認するわけです。写真がお金になるんですよ。 ――写真で見せる用の、キレイな穴なんですね。 石丸 あとは、職人のプライドもあるでしょうね。ザ・秘密基地感あふれる編集部。トレーニング器具は「いつでも現場で働けるように」とのこと
■実際に現場で働きながら写真を撮るカメラマン ――この時代、フリーペーパーで発行し続けるというのは大変そうですけど、戦略はあったんですか? 石丸 書籍にするとか、ムック本にするとか、いろいろな方法があったと思うんですけど、なんでフリーペーパーにしたのかというと、GoogleでもTwitterでも、ネットって全部フリーサービスじゃないですか。フリーメディアには、新しい可能性があると思ったんですよね。だから「フリーでやる」という前提で、編集部をどこに構えるのか、何人で作るのか、流通をどうするのかというのを決めていきました。 ――採算ラインから逆算して成り立つ家賃の場所、人件費でやろうと。 石丸 とはいえ、なかなか大変ね。Twitter社も赤字なくらいだから。それでも応援してくれる人たちがいるから、やれていますけど。 雨森 ウチで撮ってもらっている、カメラマンの菊池(茂夫)さんによく言われるんですよ。菊池さんはコレを始めてから、実際に現場で働きながら撮影もしたりしていてるんで、本当にリアルなものを撮るっていう部分に貪欲なんですよね。だから「お前も、いつ現場に入るの?」ってよく言われています。 ――菊池さんはライブやバンド写真で有名な方だから、やはり現場でのライブ感覚を重視してるんですね。 石丸 菊池さんは現場に入って働いている人の目線で写真を撮り、自分は書き手の立場で現場に入る人でいたいと思います。シャベルを持たないほうがわかることも、あると思いますよ。
■最新号は新企画満載! ――「ブルーズマガジン」の今後の展望を聞きたいんですが、どんな企画をやっていこうと思っていますか? 石丸 これまでは、自分たちもまだまだ土建について知らないことが多いので、現場にあるものを取材していたんですが、最新号の7号特集は「未来土木」ということで、ようやく未来を語れるようになりました。月面のプラントとかね。 ――いきなり月! 土建に対する理解が深まったからこそ、未来に行けたと。 石丸 もちろん、まだまだわかってない部分も多いんだけど、土建の未来に対して想像力が働くようになったということですね。ほかにも、7号は新企画満載なんで、楽しみにしてほしいですね。「飯場」ってあるでしょ? 住み込みで働く。昔は汚いプレハブで、カバンひとつでやって来て「今日から働かせてください」みたいなところだったけど、今はちゃんとした寮のようになってるんですよ。まあ、三畳一間だけど。 「TATTOO BURST」(コアマガジン)の編集長だった川崎美穂さんと自分が、そこに行って一泊する「飯場探訪記」という企画をやっています。食堂で一緒に酒飲んで一緒に風呂に入って……これは面白いですよ(笑)。飯場には高齢の人も多いんですけど「女の人とお風呂に入ったのは20年ぶりだ」って拝んでたもんね。 雨森 北村さんも行きましょうよ! ――それは行きたいですねー。働くのはムリですけど……。東京オリンピックが控えていて建築ラッシュなんていわれていますが、土建業界に活気は感じますか? 石丸 よく聞くのは「人手が欲しい」ということですね。それだけ仕事が多いってことなんでしょうね。まあ、東京オリンピックをピークに一段落するんだとは思いますが、アスファルトにしてもなんでも、東京って新陳代謝がすごいじゃないですか。都会においては、土木建築っていうのは、これからもある一定の活況というのは続いていくと思います。 雨森 逆に被災地に取材に行ったときは、復興特需で盛り上がっているのかと思ったら、全然違いましたね。 石丸 地方だと、一回造っちゃったら、何十年も建て替えることなんてないから。 雨森 復興特需の中で稼げるだけ稼いだら、その先、仕事が減っちゃうんですよね。 ――最後に、「ブルーズマガジン」を、どんな人に読んでもらいたいですか? 石丸 土建をやっている人たちももちろんそうなんですけど、まったく別の仕事をしていて、現場のことをひとつも考えたことのない人にも読んでもらいたいですね。マニュアルに縛られたアルバイトとかをやっていて、生きているという実感を持てない人たちに土建の世界を知ってもらいたい。今、「生きている実感がない」とか言って、IS(イスラム国)にいきなり行っちゃったりするわけじゃないですか。そうやって極端な方向に行っちゃう若者がいるけど、そりゃ冷暖房の効いたところでマニュアル仕事をやってたら、生きている実感なんてないよ。 土木建築の世界って非常に厳しいし、人付き合いも難しい。でも、激しい仕事であるからこそ、生きている実感の塊だから。そういう若者に「こういう世界はどう?」って見せたいという気持ちもあります。「ブルーズマガジン」を読むと、風景が変わって見えてくると思うんですよ。何も考えずに水道水を飲んでいたら「塩素の入った水だ」くらいにしか思わないけど、水道を造っている人の話を読むと、水道に味がする気がするじゃないですか。同じように道路だってビルだって、周りのものすべてを実は人間が造っているんだなって思うと、感動しますよ。 ――高速道路を走っていると「これを造った人がいるのかー」って、気が遠くなりますよね。 石丸 予算の消化で造ってるんじゃないんです、ちゃんと人間が心を込めて造ってるんです! それを「ブルーズマガジン」を通して感じてほしいです。都市って、無機質なつまらないところじゃないんです。
(取材・文・イラスト=北村ヂン) ●株式会社感電社ホームページ(ブルーズマガジン発行元) http://kandensha.com/ ・お取り寄せが可能です(有料)。ホームページからお問い合わせください。 ・配布店はホームページをご確認ください。
荒ぶる漢たちのリアル! 現役土建屋社長と石丸元章が立ち上げた「土木建築マガジン」編集部に潜入
作家の石丸元章が、「BLUE'S MAGAZINE(ブルーズマガジン)」なるフリーペーパーを作っているらしい。テーマはなんと「土木建築系総合カルチャーマガジン」。ど……土木建築!? 石丸さんって、ドラッグ小説とか書いてる人じゃなかったっけ? それがどうして、土木建築のフリーペーパーを! ……というわけで今回は、「ブルーズマガジン」の制作現場である感電社の編集部に突撃した……のだが、もらった住所にたどり着いても、年代物のアパートが建っているだけで、フリーペーパーの編集部がありそうな雰囲気はゼロ。ここが編集部のハズなんだけど……
まさか、このアパートの中が会社なんてことは……あった! しかも「いろいろなものをこじらせたひとり暮らしの男子大学生の部屋」感あふれる、どーかした内装の部屋が編集部。「ザ・秘密基地」といった感じのこの部屋から生み出されている「ブルーズマガジン」について、主筆の石丸元章と、編集長の雨森諭司に話を訊いた。 ■土建は都市的で荒ぶる男たちの世界だ ――この感電社は「ブルーズマガジン」を作るために、現役土建会社社長の柳知進さんと石丸さんたちが立ち上げた会社なんですよね? 石丸 そうです。今日は柳も同席する予定だったんですけど、現場でトラブルがあったということで、そっちに行ってしまって。でも、今日みたいなものすごく暑い日に、現場で汗を流して働いているやつらがいる。そこで感じた心情をダイレクトに出せる雑誌を作りたいということで、僕のTwitterにメッセージをくれたんです。土建の現場で見たり感じたりしていること、起きている物語……そういうものが雑誌にもテレビにも、どこにも出てこないので、思うところがあったみたいですね。 ――石丸さんが土建フリーペーパーを作っていると聞いて意外でした。それまで、土建関係に興味は? 石丸 全然なかった。ダンプとトラックの違いも、シャベルとスコップの違いもわからなかったですもん。でも土建はね、荒ぶる男たちの世界じゃないですか。そして彼らは、極めて都市的な文化を持った人たちなんですよね。そこには興味を引かれました。土建の現場って、実は青山とか渋谷とか、都市の風景の中に溶け込んでいますから。 ――ああー、確かに工事が多く行われているのは、田舎じゃなくて都会ですよね。 石丸 だから、都市で暮らして、都市で稼いで、都市で遊んで……っていう人たちが働いている。そういう意味で、この雑誌のことを「土木建築系総合カルチャーマガジン」と呼んでいます。 ――土建でバイトをして稼いだ金で、演劇やバンドを頑張っているという若者も多そうですよね。 石丸 やっぱり、稼ぎって大事ですから。ただ、今は「本当は演劇やバンドをやりたいけど、我慢の期間として土建をやっているんだ」という人は意外と少ないんですよ。表現活動は表現活動としてやるけど、職人としても誇りを持ってやっているという人が多い。イースタンユースのドラムの田森篤哉さんは庭屋さんなんですが、「本当にこの仕事をやっていてよかった」と言っていますからね。「すごくクリエイティブだし、たくさん稼げる」と。イースタンの吉野(寿)さんと出会ったことと同じくらい、今の仕事に出会ったことは大きいと考えているようです。あ、本当にここなんだ
■迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要 ――土建という未知の世界に触れて、一番興味を引かれたのは、どういうポイントですか? 石丸 やっぱり現場ですね。土建の現場って、写真や映像で見ると、うるさくて汚くて危なくて……っていうイメージじゃないですか? でも、自分で足を踏み入れてみると、必ずしもそうじゃない部分も見えてくるんですよ。解体の現場なんて、これから命を失っていく建物の大きさとか荘厳さとか、すごく心を打つものがありますよ。これは、表現の領域で人に伝えるべきだと思いました。 雨森 そういう現場を、石丸さんはすごく文学的に表現するんですよ。「さながら戦場のような……」みたいに。実際に、その現場はすごかったんですけど、職人さんにチェックしてもらったら「戦場のような」はやめてくれと。 石丸 「ウチは安全第一なんだ」って(笑)。 ――現場の迫力を伝えるための文章だけど、現場の人からすると、その表現はダメなんですね。 雨森 現場の人にとっては、迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要ですから。「そこに赤字入るんだ!?」って新鮮でしたね。もちろん、職人さんたちも同じように現場で「すごい!」とか「キレイ!」と感じることはあるみたいですけど、それを人に伝えることはしないんですよね。「ブルーズマガジン」では、そういう部分に光を当てたいという気持ちもあります。 石丸 雨森くんはね、現場と編集部をつなぐ役というか、職人さんたちと一番ぶつかる役だから大変だと思うよ。 雨森 すごくしっかりした人たちなんで、ちょっとした言葉遣いや、少し時間に遅れただけで怒られますから。礼節関係や冠婚葬祭、記念行事とかを、ものすごい大事にするんですよ。 ――ライターなんかやってると、年賀状とか気にしないですからね。 雨森 ですよね。一番そこを怒られるんですよ。あいさつ、コーヒーの出し方、差し入れのタイミング……そういうことをキッチリやれるようになると、「わかってるな、お前」ということで、やっとフレンドリーに話ができるようになるんです。 石丸 この人の役割はデカイですよ。現場の人たちに取材のオッケーをもらうのって、すごく難しいから。「BLUE'S MAGAZINE」主筆の石丸元章氏と、編集長の雨森諭司氏
――ある意味、雑誌に出ても得はないですからね。仕事の発注が増えるわけでもないし。 雨森 そういう状態だったのが、ようやく「ウチをぜひ取材してください」と声をかけてもらえるようになったのがうれしいですね。自分たちの仕事が雑誌の取材対象になるなんて思ってもいなかったのに、「ブルーズマガジン」を読んだら、自分たちと同じような業種が取り上げられている。じゃあ、ウチも取材してもらおうと思ってくれているようです。 石丸 見本誌を持っていくと、職人さんたちがすっごく喜んでくれるんだよね。自分たちの方法論が間違ってなかったんだ、職人さんたちの心に触れるようなものが作れて、本当によかったなって思います。 ――少し前から、町工場など「ものづくり」の現場が注目されるようになりましたけど、土建の現場も注目されるようになってほしいですよね。 石丸 『プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK)みたいな大きなプロジェクトは注目されるけど、穴掘ったり、コンクリートの型枠を組んだりする職人さんが注目されるような時代は、まだまだ来てないでしょ。プロの開削師が手掘りで掘った穴って、すっごくキレイで感動しますけどね。板前の切った刺し身のように、穴の角度がバシッと決まってて。でも、その穴って必ず埋められちゃう。 雨森 夜、穴を掘って作業して、朝までに埋めて、次の日の夜、また掘り返してから作業という繰り返しなんです。 ――それでも、キレイに掘る必然性がある? 石丸 あるんですよ。ああいう工事って、掘ったところ、埋めたところ、作業したところ……っていう過程を一つ一つ写真に収めて、役所の人が確認するんですよ。よくボードを持って写真を撮ってるでしょ? 地面の中で水道管換えたかどうかなんて、わからないじゃないですか。でも、役所の人がつきっきりで監視しているわけにもいかないから、写真を見て確認するわけです。写真がお金になるんですよ。 ――写真で見せる用の、キレイな穴なんですね。 石丸 あとは、職人のプライドもあるでしょうね。ザ・秘密基地感あふれる編集部。トレーニング器具は「いつでも現場で働けるように」とのこと
■実際に現場で働きながら写真を撮るカメラマン ――この時代、フリーペーパーで発行し続けるというのは大変そうですけど、戦略はあったんですか? 石丸 書籍にするとか、ムック本にするとか、いろいろな方法があったと思うんですけど、なんでフリーペーパーにしたのかというと、GoogleでもTwitterでも、ネットって全部フリーサービスじゃないですか。フリーメディアには、新しい可能性があると思ったんですよね。だから「フリーでやる」という前提で、編集部をどこに構えるのか、何人で作るのか、流通をどうするのかというのを決めていきました。 ――採算ラインから逆算して成り立つ家賃の場所、人件費でやろうと。 石丸 とはいえ、なかなか大変ね。Twitter社も赤字なくらいだから。それでも応援してくれる人たちがいるから、やれていますけど。 雨森 ウチで撮ってもらっている、カメラマンの菊池(茂夫)さんによく言われるんですよ。菊池さんはコレを始めてから、実際に現場で働きながら撮影もしたりしていてるんで、本当にリアルなものを撮るっていう部分に貪欲なんですよね。だから「お前も、いつ現場に入るの?」ってよく言われています。 ――菊池さんはライブやバンド写真で有名な方だから、やはり現場でのライブ感覚を重視してるんですね。 石丸 菊池さんは現場に入って働いている人の目線で写真を撮り、自分は書き手の立場で現場に入る人でいたいと思います。シャベルを持たないほうがわかることも、あると思いますよ。
■最新号は新企画満載! ――「ブルーズマガジン」の今後の展望を聞きたいんですが、どんな企画をやっていこうと思っていますか? 石丸 これまでは、自分たちもまだまだ土建について知らないことが多いので、現場にあるものを取材していたんですが、最新号の7号特集は「未来土木」ということで、ようやく未来を語れるようになりました。月面のプラントとかね。 ――いきなり月! 土建に対する理解が深まったからこそ、未来に行けたと。 石丸 もちろん、まだまだわかってない部分も多いんだけど、土建の未来に対して想像力が働くようになったということですね。ほかにも、7号は新企画満載なんで、楽しみにしてほしいですね。「飯場」ってあるでしょ? 住み込みで働く。昔は汚いプレハブで、カバンひとつでやって来て「今日から働かせてください」みたいなところだったけど、今はちゃんとした寮のようになってるんですよ。まあ、三畳一間だけど。 「TATTOO BURST」(コアマガジン)の編集長だった川崎美穂さんと自分が、そこに行って一泊する「飯場探訪記」という企画をやっています。食堂で一緒に酒飲んで一緒に風呂に入って……これは面白いですよ(笑)。飯場には高齢の人も多いんですけど「女の人とお風呂に入ったのは20年ぶりだ」って拝んでたもんね。 雨森 北村さんも行きましょうよ! ――それは行きたいですねー。働くのはムリですけど……。東京オリンピックが控えていて建築ラッシュなんていわれていますが、土建業界に活気は感じますか? 石丸 よく聞くのは「人手が欲しい」ということですね。それだけ仕事が多いってことなんでしょうね。まあ、東京オリンピックをピークに一段落するんだとは思いますが、アスファルトにしてもなんでも、東京って新陳代謝がすごいじゃないですか。都会においては、土木建築っていうのは、これからもある一定の活況というのは続いていくと思います。 雨森 逆に被災地に取材に行ったときは、復興特需で盛り上がっているのかと思ったら、全然違いましたね。 石丸 地方だと、一回造っちゃったら、何十年も建て替えることなんてないから。 雨森 復興特需の中で稼げるだけ稼いだら、その先、仕事が減っちゃうんですよね。 ――最後に、「ブルーズマガジン」を、どんな人に読んでもらいたいですか? 石丸 土建をやっている人たちももちろんそうなんですけど、まったく別の仕事をしていて、現場のことをひとつも考えたことのない人にも読んでもらいたいですね。マニュアルに縛られたアルバイトとかをやっていて、生きているという実感を持てない人たちに土建の世界を知ってもらいたい。今、「生きている実感がない」とか言って、IS(イスラム国)にいきなり行っちゃったりするわけじゃないですか。そうやって極端な方向に行っちゃう若者がいるけど、そりゃ冷暖房の効いたところでマニュアル仕事をやってたら、生きている実感なんてないよ。 土木建築の世界って非常に厳しいし、人付き合いも難しい。でも、激しい仕事であるからこそ、生きている実感の塊だから。そういう若者に「こういう世界はどう?」って見せたいという気持ちもあります。「ブルーズマガジン」を読むと、風景が変わって見えてくると思うんですよ。何も考えずに水道水を飲んでいたら「塩素の入った水だ」くらいにしか思わないけど、水道を造っている人の話を読むと、水道に味がする気がするじゃないですか。同じように道路だってビルだって、周りのものすべてを実は人間が造っているんだなって思うと、感動しますよ。 ――高速道路を走っていると「これを造った人がいるのかー」って、気が遠くなりますよね。 石丸 予算の消化で造ってるんじゃないんです、ちゃんと人間が心を込めて造ってるんです! それを「ブルーズマガジン」を通して感じてほしいです。都市って、無機質なつまらないところじゃないんです。
(取材・文・イラスト=北村ヂン) ●株式会社感電社ホームページ(ブルーズマガジン発行元) http://kandensha.com/ ・お取り寄せが可能です(有料)。ホームページからお問い合わせください。 ・配布店はホームページをご確認ください。














