「SMAPを説得できなかった」ジャニー社長の“失敗”が示す、事務所の弱体化と完全凋落

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ヒロムの神通力が利かないなんて……

 SMAP解散は国内に衝撃を走らせたが、分裂騒動から解散までの流れについて、テレビ局関係者からは「芸能界の勢力図が刷新されかねない大事態」という声が聞こえてきた。ジャニーズ事務所のトップ・ジャニー喜多川社長の「命をかけても(SMAPを守る)」発言が、たった3カ月で反故にされてしまったことで、“ジャニーズ帝国”は近く凋落するという見立てだが……。

 1月に勃発した分裂騒動を受けて、ジャニー社長はスポーツ紙の取材に対し「僕は命をかけても(SMAPを守る)。SMAPは我が子と同じですから」と断言。その時点から、解散を阻止すべく各メンバーと個別面談を行い、また25周年コンサートの開催も希望し続けていたという。

「ジャニーズの圧力」は本当にある? トップの思いつきだけで動く巨大事務所の“本当の怖さ”とは

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 日本中に衝撃を与えた、SMAPの解散報道。  スポーツ新聞やテレビなど、ジャニーズ事務所と昵懇の関係にある「お抱えマスコミ」は、その原因として「メンバーの不仲」説を盛んに取り上げる一方で、ネットでは「ジャニーズ事務所のSMAP潰し」「用意周到に練られた陰謀」「ジャニーズ事務所からの圧力」という論調が日々強まっている。  例えば、8月24日放送の『バイキング』(フジテレビ系)に芸能レポーター・山田美保子が出演した際、「ジャニーズ事務所さんは、大きい発表をまずファンの方にっていうのを、いちばん重視している事務所なので」と発言。  しかし、当初、『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)出演時には、「不仲ではない」と言い、報道への違和感を口にしていただけに、Twitterなどでは「明らかにトーンが変わっている」「山田美保子さん本音言えなくなっちゃったのね」「山田美保子さんも圧力かけられたようですね」などという声が続出。山田に「ありがとう!」などと感謝を伝えていたSMAPファンのTwitterなどの論調が、ここにきて一気にバッシングに変わっている。  しかし、ネットでささやかれる「ジャニーズ事務所の圧力」などというものは、本当に存在するのだろうか? ある週刊誌編集者は言う。 「お抱えのスポーツ紙やテレビは、ジャニーズ事務所の言い分をそのまま伝えるスタンスだろうと思います。また、芸能レポーターの方などは、当然ながら、表には出せないオフレコ情報を相当知っているはずですよ。ジャニーズ事務所とのお付き合い上、言いたいことが言えないというのはあると思います。ただ、こっそり教えてくれるオフレコ情報には、さまざまな矛盾点があるんです。ある程度リップサービスもあるのでしょうが、臆測にすぎないこと、情報が錯綜していて、きちんと整理されていないことは多々あると思います」  また、ある女性誌記者は言う。 「本当のところは、よくわからないんです。ネットなどで言われるような、ジャニーズ事務所からの直接的な『圧力』なんかはないと思いますよ。ただ、これだけの騒動を取り上げないわけにはいかないし、かといって、ジャニーズ事務所の機嫌を損ねてタレントさんたちに雑誌に出てもらえなくなるのは困る。それに、SMAPがこのまま干されていくんだろうという空気はやはり感じています。だから、せめてポジティブな切り口でSMAPのネタを取り上げて、メンバー個人個人の活躍を応援していこうというスタンスになりますね」  また、別の週刊誌記者はこう語る。 「今回の騒動は、ジャニーズ事務所や、芸能界において大きな力を持つ何物かが用意周到に作り上げたSMAP潰しだと見るファンは多数います。しかし、本当に用意周到に練られたものであれば、こんな不信感を世間に与えてはいないはず。ジャニーズ事務所はそもそも、ジャニー社長やメリー副社長の鶴の一声で動く超ワンマンの一族企業で、さまざまな事柄が行き当たりばったりで進むのが常。だからこそ、もっと人間臭いやりとりから、感情のもつれで突発的に起こってしまったのではないかと思います」  同記者が例として挙げるのは、いま藤島ジュリー景子副社長のもとで着実に人気を獲得してきているHey!Say!JUMPだ。 「Hey!Say!JUMPが『嵐のようになりたい』と直訴し、ジャニー社長管轄、飯島美智氏マネジメントからジュリー副社長のマネジメントに移ったことはよく知られていますが、その際、ジャニー社長が激怒し、年間のレギュラー仕事を取り上げようとしたり、冠番組を急に終わらせたりしたのは、完全に感情的なやりとりからでした。仕事の数も規模もSMAPとは比べものになりませんが、彼らもSMAPと同様、怒りを買い、マネジメント替えによる諸々の整理で仕事が停滞し、一時は干されていたのです」  その一方で、「用意周到さ」は、お気に入りを守るためにこそ発動すると同記者は読む。 「先日、TOKIO・山口達也さんの離婚会見がなぜか『完璧』とマスコミから絶賛されましたが、おかしな話ですよね。山口さんはデキ婚をファンの前で突然発表しても、お咎めなし。無免許運転で書類送検になった際にも大ごとになりませんでしたし、今回改めて『本当に事務所から守られているんだな』と感じました」  これだけ世の中に大きな影響力を持つ会社が、ビジネスやルール・理屈よりも本当に「感情」で行き当たりばったりに動いているとしたら、「圧力」や「陰謀」よりもむしろ恐ろしいことかもしれない。

「残酷な天使のテーゼ」の作詞・及川眠子、『エヴァ』での儲けは6億円!? 作詞の裏事情を赤裸々に語る!!

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テレビ東京公式サイト『じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告』無料配信より
 25日深夜、テレビ東京系で放送されたバラエティ番組『じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告』に、作詞家の及川眠子が出演し、作詞の裏側や儲けのからくりなど、驚きの内情を暴露した。  アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、エヴァ)でおなじみの楽曲「残酷な天使のテーゼ」や「魂のルフラン」などの作詞を手掛けたことで有名な及川。昨年9月放送の『アウト×デラックス』(フジテレビ系)に出演した際も、「企画書と最初の2話を早送りで見て2時間ほどで書き上げた」「『エヴァ』のおかげでこの四半世紀(25年)年収が3000万円を切ったことがない」「『エヴァ』のパチンコの印税で(年収が)億行きました」と、仰天のエピソードを明かし、話題となった。  今回及川は、その『エヴァ』楽曲の作詞や印税についてさらに詳細な裏事情を明かした。  ネット配信も含め、100万枚以上の売り上げを誇る「残酷な天使のテーゼ」は、キングレコードのプロデューサーから、「難しい歌詞にしてくれ」という依頼があったそう。悩んだ及川は、「萩尾望都さんの『残酷な神が支配する』(小学館)という漫画を見て、パッと閃いて、これを使おうと思った」と、名曲誕生の背景を告白。アニメが出来上がっていない状況で、渡された企画書のみを参考に作詞をしたというが、「『14歳の少年少女』と『お母さん』と『年上の女』というキーワードが浮かんで。(高橋)洋子ちゃんが歌うのならば、14歳の子供の立場からでは変だ。母親や年上の立場からにしようって」と、作詞センスの高さを感じさせるエピソードも。  一方の「魂のルフラン」については、「1話分だけビデオをプロデューサーに渡され、『これ観て感じたことを書いて』と言われた。それが“死んで生き返る”という内容で、『ああ~“輪廻”ね』って書いたのがアレ」とサラッと告白。これには番組MCの次長課長・河本から「一番エヴァンゲリオンを愛している人が書いた詞だなって思うくらいですよ(苦笑)」と思わず突っ込みが。  番組ではさらに、“儲けのからくり”も暴露。通常、作詞家の印税は、CD一枚の低下の6%からJASRAC(日本音楽著作権協会)の手数料を引いたものを作詞家・作曲家・音楽出版社で分ける。つまり、CD1枚1,000円の場合、全曲作詞していれば約15円ほどの印税が入る仕組みだ。    作詞だけでも数千万円の儲けがある「残酷な天使のテーゼ」は、パチンコによる印税も大きく、『エヴァ』のパチンコ台の場合、1曲につき1台約30円の契約料が入る契約で、これに「魂のルフラン」を加えた2曲が採用されたため、1台60円。一番多いときには全国で20万台以上設置され、これまでシリーズ第10弾まで展開されていたというから、その収入はすさまじいものだ。『エヴァ』関係で、6億円以上の収入を手にし、25年間年収3,000万円以上をキープ、「とりあえず3,000万円くらいは下がったことはないんですよ」という及川に、出演者たちからは驚きの声と、ため息にも似た声が漏れた。  そんな及川だが、14年に離婚した18歳年下のトルコ人男性に3億円つぎこみ、現在は借金生活を送っている。今月4日放送の『アウト×デラックス』に再び出演した際は、「(借金は)あと5,000万円くらい」「もう回収に入りましたから。発売中でございます。『破婚—18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間—』(新潮社)」と、自身のエッセイを宣伝。この自伝には、元夫との超劣悪婚を綴った衝撃の内容が綴られているようなので、及川がいかにして借金生活へと転落したか気になる人は、チェックしてみては。

『ファインディング・ドリー』併映短編『ひな鳥の冒険』も抜かりなし! 「450枚から700枚の羽を描いた」「水だけで約10億円かかった」

 現在全国で公開中の長編映画『ファインディング・ドリー』。その『ファインディング・ドリー』と同時上映されている短編『ひな鳥の冒険』(原題『PIPER』)も、愛らしさもさることながら、リアルな質感表現でも注目を集めている。
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画像:『ひな鳥の冒険』(c)PIXAR ANIMATION STUDIOS 
 第16回広島国際アニメーションフェスティバルの会期2日目にあたる8月19日、ピクサーが『ひな鳥の冒険』の上映とメイキングセミナーを行った。ピクサーは毎回、広島フェスで短編のセミナーを実施しており、前回(2014年)は『LAVA』を取り上げていた(記事参照 http://otapol.jp/2014/09/post-1521.html )。日本では『LAVA』よりもむしろ、翌15年に『インサイド・ヘッド』の併映となった『南の島のラブソング』という邦題で覚えている人も多いだろう。  今回のセミナーに登壇したのは監督のアラン・バリラーロとプロデューサーのマーク・ソンドハイマー。アランは『ひな鳥の冒険』について「作り始めた時には、映画にすることは全く考えていなかった。最初の時はテストとして作っていた」と述懐、制作の動機は「ピクサーに20年間勤めていて、アニメーターやエンジニアとして技術的なテストをしたいなと思った」ためだったという。 「アニメーションを作る時のツールというものは発展途上にあり、今後アニメーションをどのように制作していくか、どのようにしたらアニメーターが表現できるかということでテストしていた。テクニカルチームの仲間と一緒にアイデアを出し合っていた時に浮かんできた」(アラン)  ちなみにアニメーターと聞くと2D手描きのみを思い浮かべるかもしれないが、実写・VFX・ゲームまで念頭においた場合は3DCGも含まれることを留意しておきたい(例えばスタッフの求人でもアニメーターの項目に、要求されるスキルや使用するCGソフト名などが付記されている)。
『Piper』- First Look - Official Disney Pixar | HD
 ピクサーの社屋は海岸の近くにあることでも知られる。アランは「毎朝ランニングをしている時にこの小さな鳥(シギ)をよく見ているけど、普段から色んなものがキャラクターのように見えていて、波から逃げるシギを見た時にキャラクターにしたら面白いだろうな」と着想を得たようだ。  シギのCGモデルについてアランは「『アナと雪の女王』に出てくるカラスに少しづつデザインを加えて新しいデザインにしていった」という。「ジョン・ラセターとアンドリュー・スタントンも、このテストを見てとても気に入ってくれて、最終的に短編にしたらどうかと言ってくれた」ことから実現に至った。 「作品を作っていく際に個性を出すため、子供の視点だけでなくて親の視点も入れたい」と思ったアランは今回が初監督。どれだけ難しいのかを制作しながら感じていた。初めに「自分が10cmくらいのサイズだったら、どのように世界が見えるか」「どういう風に景色が見えるのかをCGで表した。コンピューターから一旦離れ、浜辺に行ってシギたちの生態を観察した。プロダクションの人たちと水の中の見え方も調査したが、泥っぽくてなかなか上手くいかない部分もあり、ハワイまで撮影に行った」(アラン)
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写真:サイン会にてアラン・バリラーロ(右)とマーク・ソンドハイマー(左)
 アランは普段から色んなものがキャラクターのように見えていると語っていた。その例として「浜辺にあるものを身近に感じていたが、全く違う視点から捉えるのを大変楽しく思った。草の描き方を変えていくことで、暖かで落ち着ける場所が急に恐ろしくなってしまうなど、檻の中にいるように見える」と、シギの巣がある草むらにもキャラクター性を見出していた。  キャラクターを見出すとはいえ、アランはその誇張にも気を遣っている。「シギは自然のままでも大変面白くて、非常に表情も豊か。だからキャラクターをアニメーション的にしていく必要がなかった。そうやって作っていくのも個性的でユニークであると感じた」。鳥に関しては「人間のような動きを排除するということ。新しいやり方で表現したいと思った」とのこと。  アランは制作プロセスの中で、羽が非常に重要な役割を担っていると気づいた。「羽を上手く使うことで、眉などを使わなくても表現できた。通常は表面の部分だけのところ、450枚から700枚の羽を描いた」。新規にシェーダーを開発したかと思いきや、まさかの手描き。部位ごとにパターン化すれば複製も可能ではあるものの、風でなびいていたり、水で濡れていたりするカットもあるのだから、その労力は圧巻だ。 「もう1つは自然界のものを利用すること。部分に分けていって、それぞれがどう動くかということで、実写で撮っている時にシギが風をどう感じているかに気づくことができた。また羽の下の表皮を動かすという『ドリー』でも使われた同じ技法を用いた」(アラン)
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写真:サインの書かれたポスターを掲げるマーク・ソンドハイマー
 質疑応答ではプロデューサーのマーク・ソンドハイマーが応じる場面が多かった。「制作期間はツールのテストも含めて2年くらい」とマーク。「アニメーションは一定ではなく、常に変化し続けていくものだと思っている。正直言って、何で上層部の人たちが関心を持ってくれて、短編にすべきだと言ってくれたのか分からない」と感謝の念を述べた。  制作予算について問われた際には、マークは「水を作るだけでもおよそ1千万ドル(約10億円)かかった。詳しくは話せないが、これまでの短編と比較しても同じくらい」と明かした。短編には長編を制作するための技術開発や試作といった側面もあるにしろ、ここまでの膨大な予算を費やせるのもピクサーならではだろう。  マークはさらに「水のほかにも砂や羽については大変お金のかかるところで、短編を作ると決めてくれたのが良いことだった」と続けた。また、その後の質問を受けて「CGとか実写とか関係なくストーリーが大事になってきていて、アニメーターがどういうことを伝えていきたいかを考えていける時代になったと思っている」と展望した。 「監督たちにとっても、自分たちが表現したいと思うことを表現しやすくなった。技術が発展してきているので、同じものであってもピクサーであれば違ったストーリーを作っていくことができる。話の中で個性を出せたり、CGでやっていけたりするのは興味深い」(マーク)  ここまでの話を聞いて改めて『ひな鳥の冒険』を見てみると、ますますその凄みが伝わってくるのではないだろうか。 (取材・文/真狩祐志) ■広島国際アニメーションフェスティバル http://hiroanim.org/

中国4大女優、シュー・ジンレイの品格と知性 大塚シノブが『あの場所で君を待ってる』を観る

【リアルサウンドより】  徐姐(シュー姉さん)は、相変わらずスゴい女性だなと思う。中国映画『あの場所で君を待ってる』の監督であり、主演の一人も務めるシュー・ジンレイのことである。シュー・ジンレイは日本での知名度はあまり高くはないが、チャン・ツィーイー、ヴィッキー・チャオ、ジョー・シュンらと並ぶ中国4大女優の一人であり、ブログの女王とも呼ばれる、中国では誰もが知る非常に有名な女優である。そして42歳という若さで、すでに6作もの映画を撮っている映画監督でもある。  実はシュー姉さんは、私が中国で良くしていただいた内の一人で、とても尊敬する女性でもある。プライベートな付き合いであるが、自宅に呼んでいただいたり、食事をしたり、カラオケに行ったり。日本に来た時、私が銀座をアテンドしたこともあった。大女優でありながら飾り気もなく自然体。自宅には本がぎっしり詰まった一面の大きな本棚に、一つ一つ選んで置かれたセンスのいい骨董家具。その本棚から一冊、中国語の小説もいただいた。芸術家気質で勉強家、聡明な女性。私が胃の調子のよくないことを知ると、胃カメラの予約を取ってくれようとしたり、何人かで一緒にいる時には、帰り時間のことまでも気にかけてくれたりもする。気遣いもできる、物腰の柔らかい優しい人である。男性を含めた数人で食事に行っても、さらっとお会計までしてくれる男前ぶり。それはそれで大物は大変だなと思ったけれど。  私が当時、演技と並行して監督の勉強をしていたことを知り、自身が監督する映画の撮影現場に呼んでくれたこともあった。「監督もやりたいんでしょ? ここに座って勉強したらいいよ」と、彼女が座る監督チェアに惜しげもなく私を座らせ、撮影の説明もしてくれた。なんて懐の深い人なのだと、その粋な計らいに感謝した。自身の監督する作品に自身が出演するというのが、シュー・ジンレイ作品の恒例だが、監督から演者へ演者から監督へと、撮っては出て、出ては撮るを繰り返す。映画撮影に没頭するその姿はプロそのもので、現場を束ね、とても器用でもあった。  私は結構、人の言動や感情に敏感な方であるが、彼女には驕りも嫌味も一切感じたことがない。今まで女優のみならず、様々な著名な方や地位のある方にもお会いしてきたが、人間としてこうも心から尊敬申し上げたいと思った女性は、シュー姉さんが初めてだったかもしれない。特に女性同士の場合、嫉妬というのか威圧感というのか、多少なりとも感じる瞬間が正直ないわけではない、友人間でさえも。中国人だから寛大なのか、ってそんなわけでもない。ここまでのレベルになると余裕というのか、人間としての成熟度が違うのかもしれないと思い知らされ、こんな人間になりたいと思った。  子供とか男性に対する母性とはまた違う、人を包み込むような母性のようなものがある、そうも感じた。「私は痛みに弱いから、多分子供は生まないと思う」とシュー姉さんは言っていたが、予言通りというか、いまだ出産はしておらず、その愛情を今も変わらず映画に注ぎ続けている。個人的には、私は彼女のような生き方は素敵だと思うし、シュー姉さんにはそれが似合うような気がする。  今回の映画はプラハを舞台にしたラブストーリーだ。中国人でありながら、韓国の人気アイドルグループEXOのメンバーKRISとして活躍したクリス・ウー演じる、シングルファーザーのチェリスト、パン・ズーヤンと、“素顔の女神”と呼ばれるナチュラルな演技が人気のワン・リークン演じる、ジンティエンとの「現代の恋」。そこに、シュー・ジンレイ演じるジンティエンの祖母ランシンが生涯かけて愛した外国人男性との「過去の恋」が交錯する。2015年中国で公開され、興行成績は初登場1位となった。
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 プラハの景色は美しく、電灯の灯る夜の石畳はロマンティックなムードを醸し出す。甘さと切なさ、夕暮れの空に包まれるような温もりを感じる。アイドル顔のクリス・ウー効果で一瞬、韓流ドラマを観ている錯覚にも襲われながらも、シュー・ジンレイの人柄がそのまま作品に投影されたような、文学的香りのする、余韻の残る女性的な映画である。  実はシュー姉さんも、以前日本に進出しかけたことがあるが「私はあまり日本では通用しないみたい、日本語も話せないしね。でも英語勉強してる」と言っていたのを思い出した。ちなみに、この映画での彼女の台詞はすべて英語。そして日本で女優として活躍しなくても、こうして自身の監督作品が日本で公開されている。それは映画に懸ける想いと、努力の賜物だろう。
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■大塚 シノブ 5年間中国在住の経験を持ち、中国の名門大学「中央戯劇学院」では舞台監督・演技も学ぶ。以来、中国・香港・シンガポール・日本各国で女優・モデルとして活動。日本人初として、中国ファッション誌表紙、香港化粧品キャラクター、シンガポールドラマ主演で抜擢。現在は芸能の他、アジア関連の活動なども行い、枠にとらわれない活動を目指す。 ブログ:https://otsukashinobu5.wordpress.com/ 日本の芸能に関してのお問い合わせはこちらへ :http://www.breathinc.com/ ■作品情報 『あの場所で君を待ってる』 8月27日よりシネマートほかにてロードショー 出演:クリス・ウー(呉亦凡)、ワン・リークン(王麗坤)、 シュー・ジンレイ(徐静蕾)、レイザ(?依扎)、チャン・チャオ(張超) 他 監督:シュー・ジンレイ(『見知らぬ女からの手紙』) 脚本:ワン・シュオ 撮影:リー・ピンビン(『ノルウェイの森』『花様年華』) 配給:コムストックグループ、ミッドシップ  2015/中国/109分/原題:≪有一个地方只有我?知道≫/英題:Somewhere Only We Know (C)2015 Beijing Kaila Pictures Company Ltd. All Rights Reserved.  公式サイト:http://anobasyo.com/