イギリスのEU離脱により、このところ一気に円高が加速、これまでの円安による買い物の旨味がなくなったため、日本における中国人観光客の爆買いは、ついに終焉を迎えるものとみられている。 一方で、この経済的混乱の発端となったイギリスでは、ポンド暴落により、思わぬ客を迎えようとしている。それが、中国人観光客である。日本に倣って中国人観光客の爆買いを呼び込もうと、イギリス政府は彼らに対するビザ発給の条件を緩和しており、このポンド安により、今後、中国人観光客がヨーロッパの島国を目指して大挙することが予想されている。 実は、すでにその予兆が現れていた。しかも、それはロンドンではなく、なんの変哲もない郊外住宅地だった。 ロンドン中心部から北西に90kmほど離れたオックスフォードシャー州にあるキドリントンは、人口1万人ほどの小さな田舎町。そこに、3週間ほど前から中国人観光客の団体が現れるようになったのだ。英BBCなどが7月7日付で報じた オックスフォードシャー州といえば、かの有名なオックスフォード大学があり、そこには多くの観光客が国内外から訪れるが、キドリントンには特に観光名所のようなところはなく、これまでここを外国人観光客が訪れることなど皆無に等しかったという。オックスフォード大学から約7kmのところにある小さな町キドリントン。普段はこのように、人通りの少ない静かな住宅街なのだが……
カメラ片手にあちこち歩き回り、勝手に家の敷地に入り込んで写真を撮る中国人観光客たち
しかし、住民たちの静かな生活が、突如として打ち破られた。1台の大型バスが町に乗り入れてくると、中から出てきたのは大勢の中国人観光客たち。彼らは大声で話しながら傍若無人に歩道を闊歩し、目についたものはなんでも写真に撮っていく。それだけならまだいいのだが、中にはズカズカと家の敷地に入り込んで写真を撮ったりする迷惑行為も。中には、庭仕事をしている住民に話しかけたり、ドアのベルを鳴らしたりする人も
「彼らはすごく興奮した様子で、なんでも写真に撮っていく。でも、町にある教会は撮らないで、ごく普通の家や庭ばかり」(英国メディアの取材に答えた地元住民)と、住民たちは突然の出来事に困惑するばかり。自宅の窓の外を見ると、庭に勝手に観光客が入ってきて、中年女性たちが庭の花を指さしながら写真を撮っているのを見ると、ゲンナリしてしまうという。 写真を撮るだけ撮り、時間が来ると、そそくさとバスに戻って去っていく。そして町は何事もなかったかのように、また静寂に包まれる。 いったいなぜ、中国人観光客の団体が、いきなりこの町を訪れるようになったのか? 「旅行ガイドが、ここは『ハリー・ポッター』の撮影地だと適当なことを言って連れてくるのではないか」というもっともらしい説や、「EU脱退でイギリスが没落する前に、イギリスらしい郊外の町を見に来たのでは」というイギリス人らしい皮肉の効いた説、さらには「ここはオックスフォード大学と大型ディスカウントセンターの間にあるから、その途中で時間つぶしに来ているのでは」と分析する説などが出ている。 買い物には金に糸目をつけない中国人観光客だが、それ以外のことには驚くほどケチで、現地の料理は口に合わないからと、食事は中国から持参したカップ麺をすする者も多いという。この小さな町に来るようになったのも、お金を払わずにキレイな写真が撮れるからだったりして!? (文=佐久間賢三)彼らのお気に入りは、なぜかゴミ箱。木曜日はゴミ回収の日で、観光客の団体はこの日にやってくることが多いという









