
今回被害に遭った13歳の少女
中国の農村部には、両親が都市部に出稼ぎに出ているため、親戚や祖父母に預けられて暮らす「留守児童」と呼ばれる少年少女が多数存在する。そんな彼らの闇の部分については、これまでも何度か報じてきたが、またもやその一端を垣間見るような事件が発生した。
事の発端は今年5月、ロシアとの国境近くの内モンゴル満州里市内で13歳の少女が起こした自殺未遂騒動だった。
「頭條新聞」(7月1日付)などによると、この騒動がきっかけで、少女が書き連ねていた日記を両親が発見。そこには市議会議員など地元有力者の名前や、無理やり性的関係を迫られたことなどが生々しく書かれていたのだ。

少女が記していた日記。自殺をほのめかす内容もあった
日記によると、少女が今年4月、当時交際していた男性をめぐり、地元の複数の女子高生からいじめを受けるようなったことが、悪夢の始まりだったという。
ある日、女子高生らは少女を地元のホテルに呼び出すと、部屋で待機していた中年男性と性的関係を結ぶよう迫ったという。そして、これに反抗した少女が激しい暴行を受けたことも日記に書き留められており、恐怖心から女子高生らの要求に従わざるを得なかったものと考えられる。
少女はその後、女子高生らが手配した複数の中年男性とも性的関係を結ばされていた。女子高生らは中年男性たちから金銭を受け取っていたが、少女には交通費として100元(1,600円)のみを渡していたようだ。少女はその後、うつ病などを発症、学校にも通えなくなり、自宅に引きこもるようになっていった。5月中旬になると、睡眠薬や包丁を使って、自殺未遂を繰り返すようになっていったという。

警察が少女に売春を強要していた女子高生らを取り調べると、さらに驚くべき事実もわかってきた。客の中に、地元の有力者が複数含まれていたのだ。
これまでに身元が判明した3名の客は、同市の市議会議員や税関職員、中国銀行に勤務する行員であった。さらに警察の捜査により、売春行為を強要されていた被害者は、今回の少女だけでなく、ほかに4名の女子中学生がいたことが判明した。
女子高生が地元有力者を相手にした売春行為を女子中学生に強要するという、衝撃の事件の裏には、社会的な背景もある。広東省地方紙の社会部記者は話す。
「被害者の少女たちは、みんな留守児童だったことがわかっている。出稼ぎ労働に出掛けている両親と、普段ほとんど接することなく生活している留守児童は、何かあっても相談できる大人が周りにいない。今回の事件の場合も、少女が自殺未遂騒ぎを起こさなければ、明るみになることはなかったでしょう」
約6,000万人ともいわれる、中国の留守児童。この一件は、氷山の一角にすぎないのかもしれない。
(文=広瀬賢)