
孫平氏
経済的に豊かになった中国では、かつてのバブル時代の日本もそうであったように、芸術作品が投機対象になっている。
ところが最近になって、一人の芸術家による作品が「低俗」「下品」だとして批判を浴びるようになり、6月7日、中国芸術家協会から除名された。
この芸術家は孫平氏。1953年に中国東北部の黒竜江省で生まれ、広州美術学院で学んだのち、数々の美術展に出展して賞を獲るなど、至ってフツーの芸術家の道を歩んできたのだが、2000年代に入ると作風がガラリと変わり、パフォーマンスアートの道へ。その彼がやり始めたアートというのが「性書道」だった。

パフォーマンスアートなので、性書道は公衆の面前で行う
この性書道なるもの、女性のアソコに筆の柄をくわえさせ、その筆で半紙の上に字を書いていくというもの。このパフォーマンスにより、孫平氏の名は広く知られるようになったが、アートとしてはさすがにあまりにも下品だったため、「書道をけがし、ひいては中国の文化を冒涜した」ということで、今回の処分となったわけである。
果たしてこれは芸術か? それとも低俗なパフォーマンスか? と中国では話題になっているわけだが、この性書道、名前は違うが、(一部の)日本人にとってはすでにおなじみの“芸”である。

女性のアソコを使って書いているとはいえ、出来栄えはなかなか本格的なようだ
若い読者はご存じないかもしれないが、日本ではこれとまったく同じパフォーマンスが、すでに数十年前から行われている。ストリップ劇場の踊り子さんが舞台の上で自らのアソコを使ってさまざまな芸を見せる「花電車」のひとつが、性書道とまったく同じなのだ。
孫平氏も、もしかしたら日本の花電車にヒントを得て、性書道のパフォーマンスを始めたのかもしれない。あるいは、中国に皇帝がいた時代には宮廷内でさまざまな性技が行われていたというから、性書道も中国固有の文化だったのかもしれない。
素人には難解な現代アートの中でも、特にパフォーマンスアートはなかなか理解しづらいところがあるが、いずれにしても、これは芸術というよりも、やはり単に“芸”といったほうがいいのではないだろうか。
(文=佐久間賢三)