「限られた制約の中から生まれたアイデアでした」
ーー『ドロメ』をダブルアングルホラーで撮ろうと考えたきっかけを教えてください。 内藤瑛亮(以下、内藤):プロデューサーからの二本立てのホラーを作りたいって依頼からはじまりました。ただ、予算的には1本を撮るのも大変って感じだったので、別々の物語を撮るのは厳しくて、そこでワンシチュエーションで起こるひとつの物語を、ふたつの視点で撮るなら大丈夫だろう、と。限られた制約の中から生まれたアイデアでした。 ーー視点を分けたことで、それぞれの作品を見た時の発見が楽しめました。 内藤:一本観ただけでは解明できない謎を入れたいと考えていました。こういった企画でなければ出来ない仕掛けなので。霊現象だと思っていたものが実は人為的なものだったり、妙な行動をする背景には幽霊がいた、みたいな。視点を少し変えると物語の印象もガラッと変わりますし、幽霊描写としても新鮮なものを作れたと思います。 ーーほかに、プロデュース面での要望はありましたか? 内藤:若いキャストを使いたい、制服風の衣装で撮りたいなどのオーダーもありました。でも、学園ホラーで制服はありきたりだし、『ライチ光クラブ』も学生服だったので、そこは避けたいと思って、高校の演劇部の設定を思いつきました。個人的にジャージ姿が好きなんです。それに「制服風の衣装」というオーダーもコスプレ感というニュアンスだったので、演技部だったらメイド服やロリータファッションを着させることもできるし、それが最終局面で戦う時の戦闘服みたいにも見えるかなって(笑)。 ーー商業映画としての制約を、うまく活用している印象ですね。 内藤:僕としてはその制約との戦いが面白いというか。決まった枠があるからこそ、その中で自分なりの色やアイデアを出していく楽しさがあるし、ギリギリのラインを狙っていくことで、もともと想定していなかった面白いものが生まれてくることもあります。一方で、もっと自由に作りたいって思いもあります。濱口竜介監督の『ハッピーアワー』、橋口亮輔の『恋人たち』、小林勇貴監督の『孤高の遠吠』、塚本晋也監督の『野火』など、昨年公開された面白い日本映画の殆どが自主映画あるいはインディペンデントな体制で制作されていました。監督がどうしても語りたい話を語っている印象があって、そんな監督の覚悟や切実さが、映画の緊張感に反映されていて、凄く刺激も受けました。どの作品も劇場で観たんですけど、客席からお客さんの熱気を感じて、みんなこういう作品に飢えてるのかな、と感じました。制約の多い商業映画を観客も窮屈に感じ、監督の個人的な欲望がはっきり現れている作品が観てみたい、という気持ちが潜在的にあるのかもしれませんね。「『ドロメ』は転換点で、新しいことに挑戦したという自負もある」



「その人にしか語れない形で物語を撮ること、そこに監督する意味や意義がある」

【左から】森川葵、小関裕太
『ドロメ』予告映像
内藤瑛亮監督 コメント動画



