
ナンキョクオキアミを扱う、青島市の水産業者
2月8日は、中国の正月に当たる春節である。毎年この時期になると、大型連休を利用して多くの中国人観光客が海外を訪れ、ひと騒動起こしている。しかし本来は、日本の正月同様に家族一同が集まり、おせち料理に相当するごちそうを囲んで新年を祝うのが、伝統である。
「青島日報」(1月26日付)によると、そんなおせち料理の食材として、人気が高まっている意外なものがあるという。
山東省青島市内の水産市場で買い物をしていた、ある女性。「今日は春節中の食材の買い出しに来たんですが、これを買うことに決めました。食べたことはないんですけど……」と話す彼女が指さしていたのは、小エビ似た赤い生き物、ナンキョクオキアミである。
春節を前にしたこの日、ほかにも多くの市民がこのナンキョクオキアミを買い求めていたという。また、青島市内では現在、10店舗ほどがこれを販売しているという。
日本では、主に釣りのエサとして利用されているだが、中国では食用にされているのだ。現在の相場は500グラムで35元(約600円)と、エビに比べて格段に安いことも人気の理由のひとつだ。
上海市在住の日本人男性は、その調理法についてこう話す。
「炒め物に入れたり、スープにして飲んだりといった調理法が一般的です。アミノ酸やタンパク質が豊富ということで、健康志向の人にも受けています。また、ナンキョクオキアミから作った蝦油という油も売られています」

乾燥オキアミ。釣りのエサにしか見えないが……。ノルウェーでも、ナンキョクオキアミから生成した食用油の生産が盛ん。
市民の間での人気の高まりを受け、中国による漁獲量も増加している。
南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の統計によると、2011年に4,265トンだった中国のナンキョクオキアミ漁獲量は、わずか3年後の14年には10倍以上の約5万4,000トンに急増。いまやノルウェー、韓国に並び、世界第3位の漁獲量となっているのだ。
現在のところ、各国の漁獲量は、CCAMLRによって定められた漁獲制限の範囲内だ。しかし、食に目がない中国人の間で本格的なブームとなれば、南極の生態系を狂わすことにもなりかねない!?