
『東京アニメアワードフェスティバル2016』公式サイト
3月18日から21日まで東京・TOHOシネマズ日本橋で開催が予定されている「東京アニメアワードフェスティバル2016」(以下、「TAAF2016」)の行方が混迷を極めている。
15日、「TAAF2016」を東京アニメアワードフェスティバル実行委員会とともに主催する「日本動画協会」は、公式サイト上に「江口美都絵氏(東京アニメアワードフェスティバル・元フェスティバルディレクター)に対する刑事告訴・民事裁判に関する御報告」なる文書を公開(
http://aja.gr.jp/info/849)。同協会が一方的に“解任”を宣言したフェスティバルディレクター・江口美都絵氏が「金864万円の金員を求める」ために「知人のライター等と通謀して当協会の名誉信用を著しく毀損する虚偽内容の記事を、ヤフー等ネット媒体に対して配信・公開するという暴挙に出た」などとして、刑事告訴手続及び民事裁判による法的措置を行使する決定に及んだと発表した。
「おたぽる」では「TAAF2016」をめぐる問題について過去2回にわたり、適正な取材に基づいた記事を公開、ヤフー等ネット媒体に対して配信・公開している。また、別の記事でもこの問題について言及し、同様に配信・公開している。よって名指しこそしていないものの、日本動画協会が「悪質なネット媒体」と断じているのは「おたぽる」とみられる。
TAAF2015の短編グランプリ作品がアカデミー賞にノミネート! 一方、フェスティバルディレクター達の“解任劇”でTAAF2016の開催は?(1月19日公開)
http://otapol.jp/2016/01/post-5374.html
コンペ応募作品の審査もできない!「東京アニメアワードフェスティバル2016」の運営は破綻状態(1月23日公開)
http://otapol.jp/2016/01/post-5425.html
東京都も出資する「東京アニメアワードフェスティバル2016」が破綻? 3月開催を前に、日本動画協会がコンペ応募作約800本を審査せず放棄(1月28日公開)
http://otapol.jp/2016/01/post-5487.html
アカデミー賞の短編ノミネート作品がアニー賞で受賞! 一方、東京アニメアワードフェスティバル2016の一次審査が“強行”で今後は?(2月8日公開)
http://otapol.jp/2016/02/post-5605.html
実は、15日の日本動画協会の発表に先んじて、「おたぽる」と取材記事を執筆した昼間たかし氏のもとに、以下の「通告書」が届いていた。

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上記のように2通はほぼ同様の内容で、「本件各記事の削除措置」「謝罪文及び誓約文の差し入れ」とともに「損害賠償金の弁済」を要求するもの。損害賠償の金額は昼間氏に対し1,000万円、「おたぽる」に対し3,600万円としている。ただし「おたぽる」に対しては、記事の削除と謝罪文の要求に応じれば損害賠償金を免除するという注釈が添えられており、3,600万円の要求が実害に応じて算出された金額ではないことが推察された。また、日本動画協会の代理人である森田貴英弁護士は、昼間氏に、内容証明を送付した旨を電話してきたのだが、意図を尋ねようとしたところ「あなたと話をする必要はない、書面がすべて」と乱暴に応答して電話を切られたという。
このように、その具体的な根拠が示されないまま、計4,600万円という莫大な金額を「3営業日以内」に振り込まなければ刑事・民事で訴えるとする日本動画協会の恐喝的な要求には、「おたぽる」編集部、執筆者ともに応じることが適切ではないと判断し、動向を静観することとした。
また、いずれも「銀行口座に振込んで支払うこと」という文面とともに、「弁護士 森田貴英」名義の銀行名、銀行口座番号が記されており、個人口座への直接的な振り込みを要求する手法、また「TAAF2016」関係者への直接の連絡を「禁止する」という一文から、編集部内には「振り込め詐欺かな……?」と犯罪を疑う声も上がったほどだった。
その後の12日、昼間氏のもとに「再通告書」が届いた。

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同文書には「最低でも金3600万円の損害賠償を請求する」とあり、日本動画協会が「おたぽる」と昼間氏に要求する損害賠償額は、合計7,200万円になる見込みだ。
15日のサイト発表を受けて、「虚偽記事を掲載」したと改めて断じられた「おたぽる」編集部は、さらなる取材を進めるために代理人に対し質問状を送付。昼間氏と同様に損害賠償額の内訳を求めるとともに、サイト発表の中で江口氏に対して行った仮処分命令申立について言及しながら、裁判所の和解提案を拒否して、その申立を一方的に取り下げている事実と、「TAAF2016」が「ショートフィルムデポ」に応募された数百の作品を「不採用」としている事実(日本動画協会は、裁判所に提出した書面で自ら「不採用」を宣言している)について表記していないことの真意を尋ねた。
ファックス送信直後に電話にて質問状を送付した旨を告げ、回答期限の設定を求めると「答えられるわけないだろう。とりあえず文書を見て、訴えるかどうか決めるから」という応対だった。
一連の騒動の経緯は「おたぽる」取材記事および本件を問題視している作家・田中康夫氏が16日発売の「サンデー毎日」(毎日新聞出版)に掲載した記事(
田中氏本人がサイトに掲載中)にも詳しい。
1カ月後に迫った「TAAF2016」は海外からも注目を集める国際的なイベントであること、東京都から巨額の税金が投入されていること、そして何より、世界中のクリエイターたちが心血を注いだアニメ作品群が蔑ろにされようとする状況は到底看過できないことから、「おたぽる」では引き続き、この問題について取材を続けていく予定である。
(文=編集部)