
日本テレビ『ダウンタウンの大晦日年越しスペシャル!! 絶対に笑ってはいけない名探偵24時!』公式サイトより
昨年大みそかに放送された『第66回NHK紅白歌合戦』の視聴率は第1部(午後7時15分~8時55分)が34.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、前年より0.3ポイントダウン。第2部(午後9時~11時45分)は39.2%(前年は42.2%)で、07年(39.5%)以来、8年ぶりに40%台を割り、89年に2部制となって以降、史上最低となった。歌手別では、午後9時54分の43.4%が最高で、AKB48が歌い終えて、EXILEが歌い始める場面だった。
視聴率データが残っている62年以降、1部制だった88年までは50%を切ったことはなく、15年は事実上、過去最低視聴率といって間違いない。
1月4日、NHK・籾井勝人会長は職員向けの念頭あいさつで、その件に触れ、「私自身は視聴率が間違っているんじゃないかと思うくらい、(番組内容が)よかった」と評した。非常事態にもかかわらず、なんとものんきな発言だ。
そんな中、『紅白』の裏の民放はどうだったかというと、大方の予想通り、やはり日本テレビ系『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 大晦日年越しスペシャル 絶対に笑ってはいけない名探偵24時!』が強く、第1部(午後6時30分~9時)が17.8%、第2部(9時~深夜0時30分)が15.3%で、6年連続トップ。ただ、前年と比較すると、第1部で0.9ポイント、第2部で0.7ポイントの微減だった。
5年目となったTBS系『史上最大の限界バトル KYOKUGEN 2015』は、第1部(午後6時~7時)が8.8%。ボクシングの井岡一翔、高山勝成の2大世界戦をオンエアした第2部(7時~10時)は7.7%。魔裟斗の6年ぶりの復帰戦を中継した第3部(10時~10時52分)が9.0%。試合後のインタビューやエンディングを織り込んだ第4部(10時52分~11時35分)は4.6%だった。
今年も民放2位はキープしたが、2年連続で1ケタ台。井岡の試合は13年大みそかには14.5%の好視聴率を取ったが、他局に食われて7%台と低迷した。
民放3位はテレビ朝日系の『くりぃむVS林修! 年越しクイズサバイバー2015』。第1部(午後6時~7時)=10.0%、第2部(7時~9時)=7.0%、第3部(9時~11時45分)=5.6%、第4部(11時45分~深夜1時)=7.3%で、第3部以外の時間帯は前年より微増。ただ、第3部はTBS、フジテレビを下回った。
『紅白』の裏で、最下位が続いていたフジは、05年の『PRIDE 男祭り 2005 頂-ITADAKI-』以来、10年ぶりに格闘技イベント『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND PRIX~IZAの舞』を中継。第1部(午後7時~8時45分)=5.0%、第2部(8時45分~10時30分)=7.3%、第3部(10時30分~11時45分)=3.7%で、民放4位に浮上した。
14年は、『THE FACE OF 2014 世界が選ぶ今年の顔!アワード』(午後6時~9時)が4.0%、『ワンピース エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜』(9時~11時)が3.3%、『2014→2015 ツキたい人グランプリ~ゆく年つく年~』(11時~深夜2時)が2.5%で、オール「5下」であったため、第2部の7.3%は近年のフジとしては、がんばった方といえる。ただ、“格闘技対決”では、TBSの井岡戦、魔裟斗戦に敗れた。
主力カードが曙vsボブ・サップ、バルト(元大関・把瑠都)vsピーター・アーツ、山本アーセンvsクロン・グレイシー、エメリヤーエンコ・ヒョードルvsシング・心・ジャディブといったあたりでは、やはり少々弱かった。12月29日と31日と2興行に分け、桜庭和志、石井慧らの試合を大みそかに持ってこられなかったのも響いた。かつて、『PRIDE』は『紅白』の裏で15%を超える人気コンテンツだったが、“今さら”感は拭えなかった。最高で7%台では、今年の大みそかも『RIZIN』を放送するかどうかは微妙なところだろう。
ここ数年、『紅白』の裏で健闘していたテレビ東京は、内山高志、田口良一の世界戦をオンエアした『THE BEST OF BEST 大晦日2大世界戦SP』(9時30分~11時30分)が3.7%止まり。ボクシング特番は前年の5.6%から、1.9ポイント下げた。
かつて、フジは05年まで『PRIDE』を、TBSは10年まで『Dynamite!!』を大みそかに放送していた。15年はTBS『KYOKUGEN』、フジ『RIZIN』が参戦したが、格闘技ブームは今や昔で、どの局も2ケタ台に乗せることはできなかった。TBS、テレ東のボクシングを含め、格闘技ファンが少ないパイを奪い合って、潰し合っただけとの印象が強い。テレ朝『くりぃむVS林修!』は微増したが、日テレ『ガキ使』は微減で、『紅白』の視聴率が下がった分を、うまく取り込んで、大きく数字を上げた局はなかった。
中には、フジ『RIZIN』の7.3%が“健闘”と評する向きもあるが、それは同局の昨年までの惨状と比較したら、そう見えるだけ。とうの昔にブームが去ったK-1や、総合格闘技を放送しても、喜ぶのは一部のファンだけ。格闘技ファンではない一般視聴者にとっては、興味の対象にすらならない。魔裟斗も『RIZIN』も、視聴率1ケタ台しか取れなかったのは当然の結果といえるだろう。
その意味で、日テレ以外の4局は、今年の大みそかの『紅白』の裏のラインナップを再考した方がよさそうだ。
(文=森田英雄)