14日夜10時、広末涼子・内田有紀ダブル主演ドラマ『ナオミとカナコ』(フジテレビ系)がスタートしました。かつて芸能界のスーパーアイドルとして一世風靡したお2人の共演とあって、制作発表段階から大々的に報じられて、筆者としても最大級に注目しておりました! 原作が映像化作品の多い直木賞作家・奥田英朗先生というのも、期待感が膨らみます。 百貨店の優秀な外商として働く直美(広末)と、一流銀行マンの夫・達郎(佐藤隆太)と結婚した専業主婦の加奈子(内田)は、大学時代からの親友。直美は顧客や上司のワガママに付き合い、優秀であるがゆえに希望している美術館の部署に配属されず、悶々とした日々を送っていた。そして加奈子は、優秀な夫と幸せな家庭を築いているかと思いきや、実は夫の日常的な暴力に苦しんでいる……というのが第1話の導入部分。直美は少女時代、昨年亡くなった自分の父が、母に日常的なDVを繰り返している過去を持ち、自分の結婚には消極的な様子(相手もいない模様)。だからこそ、加奈子が達郎にDVを受けている事実を知り、怒りにかられるのです。 まあ、とにかく広末さんはいい意味で「広末涼子」な感じで、理知的で正義感が強いキャラを演じているのでまず安心(そこ、一本調子とか言わない)なんですが、それよりも意外なのは内田さんでした。どちらかというと、元気いっぱいで男勝りなイメージがこれまで強かった彼女だけに、今回の「夫からDVを受ける役」は少し心配だったのですが、弱々しくやつれた奥様を見事に表現していましたよ。直美にDVの詳細や今の気持ちを涙ながらに語るところなんて、真に迫っていて胸が苦しくなりましたね。 ただ、なんといってもこの第1話で衝撃的だったのはこれからご紹介する2人。 1人目は、加奈子の夫・達郎を演じた佐藤隆太さん。エリートサラリーマンながらDV癖があり「どうかしていた。もうしないから許して」なんてほざきながら、何度となく妻に手を上げる典型的なDV男です。許せん! そう、許せんと思えるほどに今回の佐藤さんの演技はすさまじく、突然声を荒ららげ、腐ったラフランスを「食え!」と加奈子の口に無理やり押し付けるシーンは、見ていて気分が悪くなりましたね。本当に『ROOKIES』(TBS系)の川藤先生? と思うほどでした。新境地開拓、おめでとうございます(本人は、楽しく演じてるんだろうなあ)。 そして2人目は、なぜか今回、在日の中国人を演じている高畑淳子さん。直美が勤める百貨店の大口顧客の知り合いとして登場。高級時計の値段を質問して「高いから買わない」と言いつつ、それを盗んでしまう女性でした。直美の執拗な追跡によって時計を返却し、その後別の時計を営業する直美を気に入って意気投合。ご飯を食べながらDVについての話をした直美に「そんな男、殺してしまえ」「殺したことがばれないよう隠すのは、正当防衛」と断言し、直美の心を揺さぶります。慣れてくると本当に中国人ぽく見えるんですから、不思議です。まさに怪演。 この中国人女性の職場では、DV男・達郎に瓜二つな男性が働いており(同一人物ではない模様)、直美も驚いておりました。今後、重要なキャラクターとなっていくでしょう。 第1話はあくまでもプロローグという感じでした。題材が題材だけに重苦しいテンションではありますが、サスペンス要素は満載なので、一度見たら続きが気になってしまうことは間違いないでしょう。経験豊富な役者陣が、さすがの演技で物語を引っ張っています。 初回視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と厳しめなスタートとなりました。やはり、題材の暗さで避けられたのでしょうか。内容的にはもっと数字は取れるはず。今後に期待しましょう。 (文=どらまっ子KYOちゃん)『ナオミとカナコ』公式サイト(フジテレビ)
日別アーカイブ: 2016年1月15日
内田有紀の口に無理やり……『ナオミとカナコ』リアルDV演技がハンパなさすぎ!
14日夜10時、広末涼子・内田有紀ダブル主演ドラマ『ナオミとカナコ』(フジテレビ系)がスタートしました。かつて芸能界のスーパーアイドルとして一世風靡したお2人の共演とあって、制作発表段階から大々的に報じられて、筆者としても最大級に注目しておりました! 原作が映像化作品の多い直木賞作家・奥田英朗先生というのも、期待感が膨らみます。 百貨店の優秀な外商として働く直美(広末)と、一流銀行マンの夫・達郎(佐藤隆太)と結婚した専業主婦の加奈子(内田)は、大学時代からの親友。直美は顧客や上司のワガママに付き合い、優秀であるがゆえに希望している美術館の部署に配属されず、悶々とした日々を送っていた。そして加奈子は、優秀な夫と幸せな家庭を築いているかと思いきや、実は夫の日常的な暴力に苦しんでいる……というのが第1話の導入部分。直美は少女時代、昨年亡くなった自分の父が、母に日常的なDVを繰り返している過去を持ち、自分の結婚には消極的な様子(相手もいない模様)。だからこそ、加奈子が達郎にDVを受けている事実を知り、怒りにかられるのです。 まあ、とにかく広末さんはいい意味で「広末涼子」な感じで、理知的で正義感が強いキャラを演じているのでまず安心(そこ、一本調子とか言わない)なんですが、それよりも意外なのは内田さんでした。どちらかというと、元気いっぱいで男勝りなイメージがこれまで強かった彼女だけに、今回の「夫からDVを受ける役」は少し心配だったのですが、弱々しくやつれた奥様を見事に表現していましたよ。直美にDVの詳細や今の気持ちを涙ながらに語るところなんて、真に迫っていて胸が苦しくなりましたね。 ただ、なんといってもこの第1話で衝撃的だったのはこれからご紹介する2人。 1人目は、加奈子の夫・達郎を演じた佐藤隆太さん。エリートサラリーマンながらDV癖があり「どうかしていた。もうしないから許して」なんてほざきながら、何度となく妻に手を上げる典型的なDV男です。許せん! そう、許せんと思えるほどに今回の佐藤さんの演技はすさまじく、突然声を荒ららげ、腐ったラフランスを「食え!」と加奈子の口に無理やり押し付けるシーンは、見ていて気分が悪くなりましたね。本当に『ROOKIES』(TBS系)の川藤先生? と思うほどでした。新境地開拓、おめでとうございます(本人は、楽しく演じてるんだろうなあ)。 そして2人目は、なぜか今回、在日の中国人を演じている高畑淳子さん。直美が勤める百貨店の大口顧客の知り合いとして登場。高級時計の値段を質問して「高いから買わない」と言いつつ、それを盗んでしまう女性でした。直美の執拗な追跡によって時計を返却し、その後別の時計を営業する直美を気に入って意気投合。ご飯を食べながらDVについての話をした直美に「そんな男、殺してしまえ」「殺したことがばれないよう隠すのは、正当防衛」と断言し、直美の心を揺さぶります。慣れてくると本当に中国人ぽく見えるんですから、不思議です。まさに怪演。 この中国人女性の職場では、DV男・達郎に瓜二つな男性が働いており(同一人物ではない模様)、直美も驚いておりました。今後、重要なキャラクターとなっていくでしょう。 第1話はあくまでもプロローグという感じでした。題材が題材だけに重苦しいテンションではありますが、サスペンス要素は満載なので、一度見たら続きが気になってしまうことは間違いないでしょう。経験豊富な役者陣が、さすがの演技で物語を引っ張っています。 初回視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と厳しめなスタートとなりました。やはり、題材の暗さで避けられたのでしょうか。内容的にはもっと数字は取れるはず。今後に期待しましょう。 (文=どらまっ子KYOちゃん)『ナオミとカナコ』公式サイト(フジテレビ)
『Xファイル』主演の2人が熱烈なキス! インタビュー中もイチャつき、やはり熱愛中か!?
<p> 今月24日から全米で放送されるドラマ『Xファイル』新シリーズのプロモーションのため、モルダー役のデイヴィッド・ドゥカヴニー(55)とスカリー役のジリアン・アンダーソン(47)が、人気深夜トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ!』に出演。昨年、交際していることを否定した2人だが、番組では恋人のようにベタベタしっぱなしで、ネット上では「どう見てもカップル」だという声が上がっている。</p>
長男夫婦が帰省しないでハワイ旅行!? 騙され続けた姑が思わず「このクソ嫁がぁー!!」
【作品名】「いい嫁わるい嫁」(後編) 【作者】桐野さおり『ご近所の悪いうわさ』
【作品紹介】
年末に帰省してきた長男夫婦と次男夫婦。まったく家事を手伝わずに飲み食いしている次男嫁にいらいら……でもネチネチ嫌味を言うような「嫁ハラ」は絶対したくない!
【サイゾーウーマンリコメンド】
上戸彩や堀北真希のような、万人からの好感度を狙ってる人を見ると「裏の顔があるはず」とつい訝しんでしまうんですが、この作品もまさにその路線を踏襲しています。やっぱりね、ピン子とか和歌ネエみたいな、若干クセのあるくらいの人の方が、信頼できる感はありますよね!
【アンケート結果】ジャニーズカウントダウンコンサートで、最も印象に残ったコラボは?
1月4日~11日に実施したアンケート「ジャニーズカウントダウンコンサートで、最も印象に残ったコラボは?」に2万票を超える投票をいただきましてありがとうございました! 大晦日から元旦にかけて放送された『史上最多の大集合!ジャニーズ年越し生放送』(フジテレビ系)では、コラボ曲だけでなく、トラジ・ハイジの「ファンタスティポ」をTOKIO国分太一とKinKi Kids堂本光一が久々に披露したり、グループチェンジメドレーが披露されたり、今年メモリアルイヤーを迎えるKinKi KidsとKAT-TUNのメドレーがあったり、ファンの胸を熱くさせる場面が多々ありました。そんな中で一番多くの歓声を集めたのは、番組公式ホームページで募集していた「コラボしたいアーティスト」の結果発表。番組上のランキングは、
テレビマンから引っ張りだこ! 芸能界最強の“2番打者”ハライチ・澤部佑の実力とは
2016年の芸能界注目は「攻撃的な2番打者」だ。 野球の世界で「2番打者」といえば、かつてはバントの名手が数多く名を連ね、主に“つなぎ役”を求められる打順だった。しかし、昨季セ・リーグ首位打者を獲得した東京ヤクルトスワローズの川端慎吾は積極的な打撃が売りの「攻撃的な2番打者」としてチームの優勝に貢献。メジャーリーグも含め、「攻撃的な2番打者」はトレンドになりつつある。 昨年末に発表された「2015年タレント番組出演本数ランキング」では、1位の国分太一(TOKIO)、2位の設楽統(バナナマン)に次いで、3位にランクイン。前年まで圏外だったことからも、昨年が飛躍の年だったことがわかる。 ちなみにこのランキング、帯番組でレギュラーを持つタレントが上位を独占するのが常。国分(TBS系『白熱ライブ ビビット』、フジテレビ系『おさんぽジャパン』)、設楽(フジテレビ系『ノンストップ!』)以外でも、4位の加藤浩次(日本テレビ系『スッキリ!!』)、5位の坂上忍(フジテレビ系『バイキング』)と、上位5名のうち4名が帯番組の顔。そんなメンバーと伍しての3位、ということに価値がある。 なお、同一番組タイトルは複数回放送されても1本としてカウントする「番組出演[タイトル]本数ランキング」では、男性でぶっちぎりの1位。総合でも1位の鈴木奈々、2位のおのののかに次いで、3位にランクイン。いかに今のテレビマンが澤部を使いたがっているか、という証左でもある。 実際、澤部がいると番組がよく回る。ハライチでの「ノリボケ漫才」よろしく、とにかくバットを振りまくる。無茶ブリにも耐える強心臓を武器に、ボケもツッコミもできるから、必然、画面で抜かれる回数が増えていく。打席数が多い、というのも2番打者の特徴だ。 そして2番・澤部の存在が際立てばそれだけ、3番、4番、5番のクリーンナップ……バラエティであればMC、ゲスト、重鎮タレントの活躍シーンも増えていく。 澤部の特徴がよく出ている、テレビ朝日系『しくじり先生 俺みたいになるな!!』を例に出してみるとよくわかる。 この番組でクリーンナップを務めるのは、担任役(レギュラーMC)であるオードリー若林であり、ゲストMCである「しくじり先生」であり、最前列で気の利いたコメントを繰り出す関根勤や伊集院光らだ。彼らのボケを拾い上げ、ツッコミを入れ、しくじり先生たちや後ろに座るノブコブ吉村の雑な言い回しを別な表現でリピートし、気持ちよく次の展開に導いているのが澤部なのだ。 余談だが、澤部と同じワタナベエンターテインメント所属芸人に「あばれる君」がいる。あばれる君も、上述した「番組[タイトル]本数ランキング」ではピン芸人でトップとなる総合8位につけ、今のバラエティに欠かせない存在になりつつある。彼もまた、2番打者的な立ち位置だ。 澤部とあばれる君……共に1986年生まれの今年30歳で、15年のブレーク芸人で、落ち着きがない坊主であり、さらにどちらも昨年の賞レースで最下位(ハライチ:M-1決勝戦最下位、あばれる君:R-1決勝戦ブロック最下位)と、意外なほど共通項は多い。 それでも、あばれる君には申し訳ないが、やっぱり澤部とは役者が違う。最大の違いは、澤部には「一発」の期待があること。普段は脇で支えながら、ホームランが期待できるのも「強打の2番打者」たる澤部の真骨頂だ。 13年のFNS27時間テレビ『深夜に復活!! フジテレビ大反省会』で、明石家さんまをはじめ、居並ぶ先輩芸人を向こうに回し、神懸かり的なノリボケを連発した姿は、多くの業界関係者の心に今も残っているのではないだろうか。あの残像がある限り、澤部の期待値はますます大きくなる。 このまま順当にいけば、今年の澤部はさらに出演本数が増し、やがて2番ではなく、クリーンナップの役回りも今以上に増えていくはずだ。それでも、まだもう少し「2番澤部」を見ていたい。それは数年前、有吉弘行が脇から主役へと上り詰めたことでの「喪失感」を、また味わいたくないからでもある。なんなら、年末のM-1グランプリで2年連続最下位になってもいい。それでも、今年一番笑いを取る男の座は澤部のものになっている予感がする。 (文=オグマナオト)
井上監督が語る『あまちゃん』とトンネルの向う側 音楽ロードムービー『LIVE!LOVE!SING!』が劇場公開
2013年に放映されたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』からは能年玲奈、橋本愛、福士蒼汰、有村架純ら新世代のスターたちが次々と飛び出していった。そしてドラマ、歌、笑いといったエンターテイメントが社会に大きな影響を与えることを改めて実証してみせた。東日本大震災と福島第一原発事故によって、長らく自粛モードにあった日本社会に明るさをもたらしたメモリアルな作品だった。その『あまちゃん』をチーフ演出として世に送り出したのが、井上剛ディレクター。阪神淡路大震災を扱った『その街のこども 劇場版』(11)も高い評価を受けている。監督第2作となる『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版』は『あまちゃん』の舞台となった東北地方、そして『その街のこども』の舞台・神戸を繋ぐ音楽ロードムービーだ。『あまちゃん』のヒロイン・天野アキの運命にも大きく関わった3.11のその後を井上ディレクターはどう描いたのか? 『あまちゃん』ブームを振り返りつつ、本作を通して震災後の社会について語ってもらった。 ──本作は2015年3月に一度オンエアされたドラマですが、映画館という密閉された空間で観ることで、様々な感情を反芻することになる。震災から5年近く経ったけれど、この国は変わったのか? 自分は何をやっていたのか? 無人化してしまった被災地の風景を見つめながら、いろんな想いが渦巻きます。 井上 そんなふうに感じていただけて、うれしいです。一度放送したものに26分追加して、100分に再編集したものですが、観る人によって、いろんな風景をスクリーンの中に見つけてもらえればなと思っているんです。 ──井上ディレクターにとって、代表作である『あまちゃん』と『その街のこども』を繋いだ作品となっていますね。 井上 自分が作った作品なので、繋がっていると言えば繋がっていますが、どちらも自分で企画した作品ではないんです。「こういう企画あるけど、どう?」と打診されて、引き受けたわけです。受けたのは自分ですけど、進んで被災地をテーマにした作品を撮りたがる人はあまりいないんじゃないですか。2010年に阪神淡路大震災15年特集ドラマとして『その街のこども』を作り、そして東日本大震災が起きた。2011年3月は僕がチーフを務めていた『てっぱん』が放映中で、クライマックス部分の放映が1週間休止になり、とても印象に残っています。『あまちゃん』の音楽も担当した大友良英さんが福島出身だったので、気になって福島まで訪ねたりもしました。その年の夏には『あまちゃん』の企画が持ち上がって、宮城出身の脚本家・宮藤官九郎さんと「明るいドラマをやりたいよね」って話をしていましたね。まぁ、それで今の世の中を描くのなら、震災をなかったことにできないよねみたいなことをプロデューサーも交えて話し、『あまちゃん』は内容がまとまっていった感じです。『あまちゃん』を撮ったので東北地方には愛着がありましたし、『その街のこども』を撮った神戸にもまた行けるので、本作の企画も受けたんです。福島で被災した朝海(石井杏奈)たちは各地に散り散りになって生活を送っていた。高校の卒業を控え、小学校の同窓生たちと母校を再訪する旅に向かう。
──『あまちゃん』は日本中に明るい笑いを届け、社会現象にもなりましたが、井上ディレクターはあの大ブームをどのように感じていたんですか? 井上 今もまだ、うまく客観視できていません。撮っている間に「騒がれているらしいぞ」とは耳にしていたんですが、目の前の撮影に追われて喜んでいる余裕がまったくなかった(笑)。全然、ブームになった実感がないんです。宮藤さんも脚本を書き終わって、かなり時間が経ってから『あまちゃん』人気は火が点いたので、あまり実感ないみたいですね。何だったんでしょうね(笑)。正直にやったのがウケたのかな。 ──ドラマはフィクションなわけですが、正直さがウケたとは……? 井上 通常のドラマだと田舎は美しい故郷として語られるわけですが、『あまちゃん』では田舎のイケてなさをそのまま素直に描いたんです。でも、イケてないことを『あまっちゃん』は「残念な」という言葉で表現したことで、どこか愛らしく伝わったんじゃないですか。田舎は賛美すべき場所ではなく、残念な場所だと。正直に描いたことでドラマとして表現の幅が広がった。役者のみなさんもそこに乗って、さらに正直なお芝居をした。小泉今日子さん演じた天野春子は若い頃はアイドルを目指していたという現実とリンクするような設定になっていたので、観るほうも感情移入しやすかったんでしょう。何よりも天野アキ役の能年玲奈さんはまさに透明度がそのまま魅力だった。最初は演技力がなかったけれど、逆に視聴者のみなさんは「俺たちが応援しなきゃ!」という気になったと思うんです。 ──『あまちゃん』がオンエアされた2013年は、天野アキという純朴なアイドルを日本中が応援していたと。 井上 そうだと思います。ちょっとイケてないけど、アキのことを応援せずにはいられなかったんでしょうね。それにもちろん、みなさん被災した東北のことが心配だったと思うんです。東北まで励ましに行きたいけど、なかなか気軽には足を運べない。『あまちゃん』の放映が終わってから、『あまちゃん』ツアーと称して東北を旅行する人が増えたのはうれしいかったですね。ドラマの中でやっていた町おこしが、現実のものになったんだなと。「人と人との間には溝があって当たり前。そんな溝や理不尽さを抱えながら、僕たちは社会と向き合うことになる」と井上剛ディレクター。
■絆という言葉では絆を結ぶことはできない ──正直さが『あまちゃん』人気を生み出したわけですか。本作も正直さを全面に押し出した作品ですね。主人公の朝海(石井杏奈)は中学生のときに福島で被災し、神戸に引っ越してきた。高校の卒業イベントで「しあわせ運べるように」を合唱することになるけれど、神戸復興の願いが込められた歌詞内容が彼女にはきれいごとに感じられてしまう。 井上 そうなんです。当たり前のことなんですが、東日本大震災で被災した人と阪神淡路大震災を経験した人とでは温度差があるし、同じ被災地でもそれぞれ被災状況が違うわけです。それを被災していない側は、同じ被災地、同じ被災者とひと括りにしてしまう。そこには溝があって当然だし、そう簡単に分かり合うなんてことはできない。絆って言葉では絆を結ぶことはできないんです。でも、「分からないから、さよなら」とサッと別れる人たちの話ではなく、「分からない。分からないけど……」というところから始まるドラマなんです。 ──最初は「しあわせ運べるように」の歌詞がきれいごとのように感じられていたのが、朝海たちと一緒に神戸から福島まで旅をすることで、被災者の心情を完全に理解することはできなくても、被災者たちの感じた痛みを想像することはできるようになる。被災地の風景を知ることで、最後に流れる「しあわせ運べるように」がまるで違う歌のように聞こえてくる。 井上 正直いうと、僕も最初に「しあわせ運べるように」を聞いたときは抵抗を感じたんです。それが神戸はもちろん、震災後の福島でもよく歌われていて、何度も聞くうちに聞こえ方が変わってくる。心が動かされていくんです。いちばん抵抗を感じるのは、「生まれ変わる神戸のまちに」というフレーズだと思います。「そう簡単に町が生まれ変わるわけないだろう」と劇中の朝海みたいに感じる人は少なくないでしょう。でも、何度も聞いているうちに「そうか、生まれ変わるのは町だけじゃないんだ。自分の気持ちが変わることで、町も変わっていくんだ」というようにも感じられていくんです。復興していく町を応援したいという希望と自分が知っていた町が消えていく哀しさとがないまぜになった複雑な心境ですね。最後の「しあわせ運べるように」の合唱シーンを撮るために、朝海役の石井杏奈ちゃんには1カ月前から地元の合唱グループと一緒に練習してもらいました。5分程度のシーンですが、「女子高生たちの文化祭みたいなイベントをやります」とホールを1日貸し切って、地元の人たちに集まってもらって公演を行なったんです。最後の1シーンを撮るために、かなりの手間ひまを掛けました(笑)。『あまちゃん』の井上ディレクターに加え、『あまちゃん』の音楽を手掛けた大友良英、Sachiko Mも参加。ユニークな音楽ドラマとしても楽しめる。
■『あまちゃん』では描かなかったトンネルの向う側 ──朝海たちは故郷の町が立入制限区域に指定されて、ゴーストタウン化した現状を目の当たりにする。また旅の中でいろんな人たちと出会うことで成長し、それまでとは異なる風景を感じられるようになっていく。福島のロケシーンはドキュメンタリーを観ているようでした。 井上 若いキャストたちに対しては、こちらから細かく演出するのではなく、廃屋の前まで彼女たちを誘導し、どんなリアクションをするのかをカメラに収めました。彼女たちは瓦礫の中にあったミッキーマウスのぬいぐるみを見つけて「あっ、ミッキーだ!」と叫ぶんです。大人としては「おい、そこか?」と思ってしまうんですが、でも言葉でうまく表現できないだけであって、彼女たちも心に痛みは充分に感じているわけです。それで「何か言わなくちゃ」というときに「あっ、ミッキーだ!」と出てしまう。大人とは異なるリアクションをなるべく収めるようにしましたね。旅に同行する教師役の渡辺大知は放射能の怖さを知っているので、立入制限区域内では無闇に物に触ろうとしません。それに対し、朝海たちは自分の故郷なので平気で路上にしゃがみこみ、家屋に入っていこうとする。若いキャストたちは役そのものになりきっていましたね。 ──『あまちゃん』にも磯野先生役で出演した皆川猿時は、まるで『不思議な国のアリス』に登場するチェシャ猫のような役。彼の登場でドキュメンタリータッチのドラマがファンタジックなものへ変わっていく。 井上 皆川さんじゃなかったら、あそこまでこのドラマをジャンプさせることはできなかったでしょう。飛び道具ですね(笑)。たった1カットの中に、笑いと哀しみとファンタジーと、それにヤケクソ加減を交えて演じてくれた。決して自分から愚痴をこぼすような人ではありませんが、あの役は大変だったと思います。皆川さんのお陰で、制限区域内で行なったライブもすごく盛り上がった。実際に町から避難している住民の方たちに、ひと晩だけ撮影用に特別許可をもらって集まってもらったんです。避難後、初めて住民の方たちは顔を合わせ、ライブシーンは大変なハイテンションでした。『あまちゃん』の劇中曲「潮騒のメモリー」を手掛けたSachiko Mさんが作曲したオリジナルソング「ギグつもり」のヤケッパチな歌詞とおかしな振り付けを、みなさん面白がってやってくれたんです。 ──『あまちゃん』ではユイ(橋本愛)はトンネルの向う側、震災直後の被災地を目撃しますが、ドラマとしては生々しく被災地を描くことはしなかった。本作はトンネルの向う側を正面から映し出した作品と言えそうですね。被災地の復興は全然進んでいない。でも、顔を上げるとそこには大きな青空が広がっている。 井上 あぁ、ユイが立ち止まったトンネルですね。撮影中は「トンネルの向う側を撮ろう」という意識はありませんでしたが、確かにそうかもしれませんね。震災から時間は経過したけれど、被災地は何も変わっていない。無人化した町は震災直後に時間が止まって、そのままの状態なんです。その一方、あちこちに雑草が生い茂り、残酷なほど緑に覆われている。鳥も多く、震災を生き残った生き物たちもいっぱいいる。観る人によって、いろんな風景が見出せると思います。 ──やはり、『あまちゃん』と本作は繋がっている作品だと言えそうですね。最後に『あまちゃん』の続編を望む声も多いと思いますが、そういった声にはどう答えているんですか? 井上 よく尋ねられますが、続編はないでしょう。宮藤さんや大友さんたち『あまちゃん』のスタッフと顔を合わせても、続編の話はしませんね。『あまちゃん』が面白かったのは、毎日15分間という時間の中でくだらないことをやっていたから良かったと思うんです。スペシャルドラマや劇場版という形でやったら、「こんなくだらないことを延々とやるなんて。時間と金を返せ」と怒り出す人が出てくると思いますよ(笑)。でも、『あまちゃん』のキャストとまた仕事ができるなら、それはやってみたいです。能年さんみたいな才能の持ち主は希有ですよ。あんないい役者はそうそういません。『あまちゃん』とはまた別の作品でご一緒できる機会あれば、ぜひやりたいですね。 (取材・文=長野辰次/撮影=名鹿祥史)『ソロモンの偽証』(15)で迫真の演技を見せた石井杏奈、NMB48の木下百花ら若手キャストによるロードムービー。神戸出身の渡辺大知は音楽教師役。
『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版』 監督/井上剛 脚本/一色伸幸 音楽/大友良英、Sachio M 出演/石井杏奈、渡辺大知、木下百花、柾木玲弥、前田航基、津田寛治、二階堂和美、皆川猿時、ともさかりえ、南果歩、中村獅童 配給/トランスフォーマー 1月16日(土)よりフォーラム福島、シネマート心斎橋、元町映画館にて先行公開、1月23日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー (c)2015 NHK http://livelovesing-movie.com ●いのうえ・つよし 熊本県出身。1993年にNHK入局。代表作として劇場公開もされた『その街のこども』(10)、社会現象となった『あまちゃん』(13)などがある。その他、『クライマーズ・ハイ』(05)、『ハゲタカ』(07)、『てっぱん』(10)、『64(ロクヨン)』(15)など数多くのテレビドラマの演出を手掛けている。
井上監督が語る『あまちゃん』とトンネルの向う側 音楽ロードムービー『LIVE!LOVE!SING!』が劇場公開
2013年に放映されたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』からは能年玲奈、橋本愛、福士蒼汰、有村架純ら新世代のスターたちが次々と飛び出していった。そしてドラマ、歌、笑いといったエンターテイメントが社会に大きな影響を与えることを改めて実証してみせた。東日本大震災と福島第一原発事故によって、長らく自粛モードにあった日本社会に明るさをもたらしたメモリアルな作品だった。その『あまちゃん』をチーフ演出として世に送り出したのが、井上剛ディレクター。阪神淡路大震災を扱った『その街のこども 劇場版』(11)も高い評価を受けている。監督第2作となる『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版』は『あまちゃん』の舞台となった東北地方、そして『その街のこども』の舞台・神戸を繋ぐ音楽ロードムービーだ。『あまちゃん』のヒロイン・天野アキの運命にも大きく関わった3.11のその後を井上ディレクターはどう描いたのか? 『あまちゃん』ブームを振り返りつつ、本作を通して震災後の社会について語ってもらった。 ──本作は2015年3月に一度オンエアされたドラマですが、映画館という密閉された空間で観ることで、様々な感情を反芻することになる。震災から5年近く経ったけれど、この国は変わったのか? 自分は何をやっていたのか? 無人化してしまった被災地の風景を見つめながら、いろんな想いが渦巻きます。 井上 そんなふうに感じていただけて、うれしいです。一度放送したものに26分追加して、100分に再編集したものですが、観る人によって、いろんな風景をスクリーンの中に見つけてもらえればなと思っているんです。 ──井上ディレクターにとって、代表作である『あまちゃん』と『その街のこども』を繋いだ作品となっていますね。 井上 自分が作った作品なので、繋がっていると言えば繋がっていますが、どちらも自分で企画した作品ではないんです。「こういう企画あるけど、どう?」と打診されて、引き受けたわけです。受けたのは自分ですけど、進んで被災地をテーマにした作品を撮りたがる人はあまりいないんじゃないですか。2010年に阪神淡路大震災15年特集ドラマとして『その街のこども』を作り、そして東日本大震災が起きた。2011年3月は僕がチーフを務めていた『てっぱん』が放映中で、クライマックス部分の放映が1週間休止になり、とても印象に残っています。『あまちゃん』の音楽も担当した大友良英さんが福島出身だったので、気になって福島まで訪ねたりもしました。その年の夏には『あまちゃん』の企画が持ち上がって、宮城出身の脚本家・宮藤官九郎さんと「明るいドラマをやりたいよね」って話をしていましたね。まぁ、それで今の世の中を描くのなら、震災をなかったことにできないよねみたいなことをプロデューサーも交えて話し、『あまちゃん』は内容がまとまっていった感じです。『あまちゃん』を撮ったので東北地方には愛着がありましたし、『その街のこども』を撮った神戸にもまた行けるので、本作の企画も受けたんです。福島で被災した朝海(石井杏奈)たちは各地に散り散りになって生活を送っていた。高校の卒業を控え、小学校の同窓生たちと母校を再訪する旅に向かう。
──『あまちゃん』は日本中に明るい笑いを届け、社会現象にもなりましたが、井上ディレクターはあの大ブームをどのように感じていたんですか? 井上 今もまだ、うまく客観視できていません。撮っている間に「騒がれているらしいぞ」とは耳にしていたんですが、目の前の撮影に追われて喜んでいる余裕がまったくなかった(笑)。全然、ブームになった実感がないんです。宮藤さんも脚本を書き終わって、かなり時間が経ってから『あまちゃん』人気は火が点いたので、あまり実感ないみたいですね。何だったんでしょうね(笑)。正直にやったのがウケたのかな。 ──ドラマはフィクションなわけですが、正直さがウケたとは……? 井上 通常のドラマだと田舎は美しい故郷として語られるわけですが、『あまちゃん』では田舎のイケてなさをそのまま素直に描いたんです。でも、イケてないことを『あまっちゃん』は「残念な」という言葉で表現したことで、どこか愛らしく伝わったんじゃないですか。田舎は賛美すべき場所ではなく、残念な場所だと。正直に描いたことでドラマとして表現の幅が広がった。役者のみなさんもそこに乗って、さらに正直なお芝居をした。小泉今日子さん演じた天野春子は若い頃はアイドルを目指していたという現実とリンクするような設定になっていたので、観るほうも感情移入しやすかったんでしょう。何よりも天野アキ役の能年玲奈さんはまさに透明度がそのまま魅力だった。最初は演技力がなかったけれど、逆に視聴者のみなさんは「俺たちが応援しなきゃ!」という気になったと思うんです。 ──『あまちゃん』がオンエアされた2013年は、天野アキという純朴なアイドルを日本中が応援していたと。 井上 そうだと思います。ちょっとイケてないけど、アキのことを応援せずにはいられなかったんでしょうね。それにもちろん、みなさん被災した東北のことが心配だったと思うんです。東北まで励ましに行きたいけど、なかなか気軽には足を運べない。『あまちゃん』の放映が終わってから、『あまちゃん』ツアーと称して東北を旅行する人が増えたのはうれしいかったですね。ドラマの中でやっていた町おこしが、現実のものになったんだなと。「人と人との間には溝があって当たり前。そんな溝や理不尽さを抱えながら、僕たちは社会と向き合うことになる」と井上剛ディレクター。
■絆という言葉では絆を結ぶことはできない ──正直さが『あまちゃん』人気を生み出したわけですか。本作も正直さを全面に押し出した作品ですね。主人公の朝海(石井杏奈)は中学生のときに福島で被災し、神戸に引っ越してきた。高校の卒業イベントで「しあわせ運べるように」を合唱することになるけれど、神戸復興の願いが込められた歌詞内容が彼女にはきれいごとに感じられてしまう。 井上 そうなんです。当たり前のことなんですが、東日本大震災で被災した人と阪神淡路大震災を経験した人とでは温度差があるし、同じ被災地でもそれぞれ被災状況が違うわけです。それを被災していない側は、同じ被災地、同じ被災者とひと括りにしてしまう。そこには溝があって当然だし、そう簡単に分かり合うなんてことはできない。絆って言葉では絆を結ぶことはできないんです。でも、「分からないから、さよなら」とサッと別れる人たちの話ではなく、「分からない。分からないけど……」というところから始まるドラマなんです。 ──最初は「しあわせ運べるように」の歌詞がきれいごとのように感じられていたのが、朝海たちと一緒に神戸から福島まで旅をすることで、被災者の心情を完全に理解することはできなくても、被災者たちの感じた痛みを想像することはできるようになる。被災地の風景を知ることで、最後に流れる「しあわせ運べるように」がまるで違う歌のように聞こえてくる。 井上 正直いうと、僕も最初に「しあわせ運べるように」を聞いたときは抵抗を感じたんです。それが神戸はもちろん、震災後の福島でもよく歌われていて、何度も聞くうちに聞こえ方が変わってくる。心が動かされていくんです。いちばん抵抗を感じるのは、「生まれ変わる神戸のまちに」というフレーズだと思います。「そう簡単に町が生まれ変わるわけないだろう」と劇中の朝海みたいに感じる人は少なくないでしょう。でも、何度も聞いているうちに「そうか、生まれ変わるのは町だけじゃないんだ。自分の気持ちが変わることで、町も変わっていくんだ」というようにも感じられていくんです。復興していく町を応援したいという希望と自分が知っていた町が消えていく哀しさとがないまぜになった複雑な心境ですね。最後の「しあわせ運べるように」の合唱シーンを撮るために、朝海役の石井杏奈ちゃんには1カ月前から地元の合唱グループと一緒に練習してもらいました。5分程度のシーンですが、「女子高生たちの文化祭みたいなイベントをやります」とホールを1日貸し切って、地元の人たちに集まってもらって公演を行なったんです。最後の1シーンを撮るために、かなりの手間ひまを掛けました(笑)。『あまちゃん』の井上ディレクターに加え、『あまちゃん』の音楽を手掛けた大友良英、Sachiko Mも参加。ユニークな音楽ドラマとしても楽しめる。
■『あまちゃん』では描かなかったトンネルの向う側 ──朝海たちは故郷の町が立入制限区域に指定されて、ゴーストタウン化した現状を目の当たりにする。また旅の中でいろんな人たちと出会うことで成長し、それまでとは異なる風景を感じられるようになっていく。福島のロケシーンはドキュメンタリーを観ているようでした。 井上 若いキャストたちに対しては、こちらから細かく演出するのではなく、廃屋の前まで彼女たちを誘導し、どんなリアクションをするのかをカメラに収めました。彼女たちは瓦礫の中にあったミッキーマウスのぬいぐるみを見つけて「あっ、ミッキーだ!」と叫ぶんです。大人としては「おい、そこか?」と思ってしまうんですが、でも言葉でうまく表現できないだけであって、彼女たちも心に痛みは充分に感じているわけです。それで「何か言わなくちゃ」というときに「あっ、ミッキーだ!」と出てしまう。大人とは異なるリアクションをなるべく収めるようにしましたね。旅に同行する教師役の渡辺大知は放射能の怖さを知っているので、立入制限区域内では無闇に物に触ろうとしません。それに対し、朝海たちは自分の故郷なので平気で路上にしゃがみこみ、家屋に入っていこうとする。若いキャストたちは役そのものになりきっていましたね。 ──『あまちゃん』にも磯野先生役で出演した皆川猿時は、まるで『不思議な国のアリス』に登場するチェシャ猫のような役。彼の登場でドキュメンタリータッチのドラマがファンタジックなものへ変わっていく。 井上 皆川さんじゃなかったら、あそこまでこのドラマをジャンプさせることはできなかったでしょう。飛び道具ですね(笑)。たった1カットの中に、笑いと哀しみとファンタジーと、それにヤケクソ加減を交えて演じてくれた。決して自分から愚痴をこぼすような人ではありませんが、あの役は大変だったと思います。皆川さんのお陰で、制限区域内で行なったライブもすごく盛り上がった。実際に町から避難している住民の方たちに、ひと晩だけ撮影用に特別許可をもらって集まってもらったんです。避難後、初めて住民の方たちは顔を合わせ、ライブシーンは大変なハイテンションでした。『あまちゃん』の劇中曲「潮騒のメモリー」を手掛けたSachiko Mさんが作曲したオリジナルソング「ギグつもり」のヤケッパチな歌詞とおかしな振り付けを、みなさん面白がってやってくれたんです。 ──『あまちゃん』ではユイ(橋本愛)はトンネルの向う側、震災直後の被災地を目撃しますが、ドラマとしては生々しく被災地を描くことはしなかった。本作はトンネルの向う側を正面から映し出した作品と言えそうですね。被災地の復興は全然進んでいない。でも、顔を上げるとそこには大きな青空が広がっている。 井上 あぁ、ユイが立ち止まったトンネルですね。撮影中は「トンネルの向う側を撮ろう」という意識はありませんでしたが、確かにそうかもしれませんね。震災から時間は経過したけれど、被災地は何も変わっていない。無人化した町は震災直後に時間が止まって、そのままの状態なんです。その一方、あちこちに雑草が生い茂り、残酷なほど緑に覆われている。鳥も多く、震災を生き残った生き物たちもいっぱいいる。観る人によって、いろんな風景が見出せると思います。 ──やはり、『あまちゃん』と本作は繋がっている作品だと言えそうですね。最後に『あまちゃん』の続編を望む声も多いと思いますが、そういった声にはどう答えているんですか? 井上 よく尋ねられますが、続編はないでしょう。宮藤さんや大友さんたち『あまちゃん』のスタッフと顔を合わせても、続編の話はしませんね。『あまちゃん』が面白かったのは、毎日15分間という時間の中でくだらないことをやっていたから良かったと思うんです。スペシャルドラマや劇場版という形でやったら、「こんなくだらないことを延々とやるなんて。時間と金を返せ」と怒り出す人が出てくると思いますよ(笑)。でも、『あまちゃん』のキャストとまた仕事ができるなら、それはやってみたいです。能年さんみたいな才能の持ち主は希有ですよ。あんないい役者はそうそういません。『あまちゃん』とはまた別の作品でご一緒できる機会あれば、ぜひやりたいですね。 (取材・文=長野辰次/撮影=名鹿祥史)『ソロモンの偽証』(15)で迫真の演技を見せた石井杏奈、NMB48の木下百花ら若手キャストによるロードムービー。神戸出身の渡辺大知は音楽教師役。
『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版』 監督/井上剛 脚本/一色伸幸 音楽/大友良英、Sachio M 出演/石井杏奈、渡辺大知、木下百花、柾木玲弥、前田航基、津田寛治、二階堂和美、皆川猿時、ともさかりえ、南果歩、中村獅童 配給/トランスフォーマー 1月16日(土)よりフォーラム福島、シネマート心斎橋、元町映画館にて先行公開、1月23日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー (c)2015 NHK http://livelovesing-movie.com ●いのうえ・つよし 熊本県出身。1993年にNHK入局。代表作として劇場公開もされた『その街のこども』(10)、社会現象となった『あまちゃん』(13)などがある。その他、『クライマーズ・ハイ』(05)、『ハゲタカ』(07)、『てっぱん』(10)、『64(ロクヨン)』(15)など数多くのテレビドラマの演出を手掛けている。
メリー喜多川氏、今さら後悔!? 草なぎ剛主演『スペシャリスト』の高視聴率に事務所の動きが変わる?
アイドルグループ・SMAPの草なぎ剛主演の連続ドラマ『スペシャリスト』(テレビ朝日系)が14日に放送開始。初回視聴率は17.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、かなりの好発進となった。どのくらい好発進かというと、昨年最大のヒットを飛ばした『下町ロケット』(TBS系)の初回視聴率(16.1%)より高いのである。 もちろん、主人公が全受刑者の犯罪の技能・手口・心理状態などを自身の記憶にデータベース化させる特殊能力を持つという設定、夏菜や吹越満の好演などもあり、同局の『相棒』よりだいぶ面白いという意見もネット上にはあった(肝心の草なぎの演技が大根だった気がしないでもないが)。スペシャルドラマ時代から高視聴率を獲得していたことを考えれば、特別驚くこともないのかもしれないが……。 今回の視聴率を見て、13日に発覚した「SMAP解散・分裂」報道の影響によって、注目度が激増したと考えたのは筆者だけではないだろう。今回の解散報道は、決して大げさでなく日本中を揺るがせた。各メディアのニュースも新聞もSMAP一色。メンバーが主演するドラマの視聴率が上がるくらいは当然か。 さらに、このドラマの監督である七高剛氏が、SMAP解散報道後に「朝からびっくりしましたね」とTwitterで投稿。その後「でも明日『スペシャリスト』を観れば全て分かります」(現在はどちらも削除)とツイートし、「さすがにあからさま」とネット上では物議を醸した。テレビ関係者として、今回の騒動にあやかりたい気持ちはわかるが、あまりにも露骨な気はする。 それにしても、解散の影響もあるとはいえ、いまだにドラマで“数字”を取れるSMAPのメンバー。あらためてその注目度と世間の期待値を証明した格好になったが、一部報道にあるように、SMAPをジャニーズ事務所から辞めさせようとしている“本丸”とされる、副社長のメリー喜多川氏は、この状況を見て何を思うのだろうか。 「ネット上にも、『見たかメリー、これがSMAPだ』なんてコメントもあります。もともと、彼らのチーフマネジャーである飯島三智氏とのいさかいを理由として、SMAPを辞めさせたいのはメリー氏だけという話もあり、事務所側はなんとか全員残留を願っているという話もあります。事務所側もSMAPという大きな稼ぎ口をなくすリスクを十分理解しているでしょうし、今回の一連の騒動で、ジャニーズそのもののイメージ悪化も懸念されます。メリー氏も今さら後悔してるなんてことは……ないかな(笑)」(芸能記者) さまざまな情報が錯綜するSMAP解散報道。今後の報道次第で視聴率も変わる!?力見せました
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