ダニエル・クレイグ版ボンド、最後となるか!? シリーズ最高傑作『007 スペクター』

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SPECTRE (C) 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights 
 今週取り上げる新作映画は、イギリスが誇るスパイアクションの先駆けで世界最長の映画シリーズでもある『007』の最新作と、日本・トルコ合作で両国友好のいしずえとなった2つの史実をドラマチックに描く感動作。年末年始の観賞にふさわしい、見応え十分の2作品だ。  『007 スペクター』(公開中)は、英諜報機関MI6のエリートスパイ、ジェームズ・ボンドが活躍する『007』シリーズの第24作。ボンド(ダニエル・クレイグ)は生家スカイフォールでの攻防で絶命した前任の上司Mの遺言に従い、単身でメキシコ、ローマに渡って危険なミッションを遂行する。MI6の廃止と主要9カ国の情報統合をもくろむ陰謀が進むなか、ボンドは余命わずかの旧敵ホワイトに託された娘マドレーヌ(レア・セドゥー)を伴い、強大な犯罪組織スペクターとその首領オーベルハウザー(クリストフ・ワルツ)を突き止める。  1,500人ものエキストラを動員してメキシコの奇祭「死者の日」を再現したオープニングの流麗な長回しから、「映画史上最大の爆破シーン」としてギネス世界記録に認定されたというモロッコの巨大施設の爆破まで、観客の目を釘付けにするスペクタクルが満載。前作『007 スカイフォール』(2012)からの続投のサム・メンデス監督は、『アメリカン・ビューティー』(1999)、『ロード・トゥ・パーディション』(2002)など人間ドラマに定評があり、ボンドと周辺人物のキャラクターを的確に描写することで、アクション場面とのエモーショナルな相乗効果に成功している。ダニエル・クレイグ版ボンドが本作で最後になる可能性もあり、シリーズのファンならずとも見逃せない屈指の話題作だ。  『海難1890』(12月5日公開)は、日本とトルコの友好の基礎となった海難事故と、95年後のイランでの邦人救出劇を描くヒューマンドラマ。1890年9月、オスマン帝国の親善使節団を乗せたエルトゥールル号が和歌山県樫野崎沖で台風に遭遇し、座礁して蒸気機関が爆発。500人以上の犠牲者が出るなか、医師・田村(内野聖陽)ら住民たちの懸命な救助活動で69人が生き残り、手厚い介護を受けたのち帰国する。時は流れて1985年、イラン・イラク戦争で緊張が高まるテヘランに、邦人300人以上が取り残される。日本大使館から救出を依頼されたトルコの首相は、救援機の追加派遣を決断。知らせを聞いて空港に集まった邦人215人は、ロビーを埋めつくすトルコ人たちが搭乗券を求めカウンターに詰め寄る姿を見て、希望を失いかける。  今から125年前に、海難事故に遭ったトルコ人たちを貧しい漁村の村人たちが献身的に助けた史実と、イランでの邦人の窮状を救ったトルコ人による「世紀を越えた恩返し」は、もっと広く知られるべき両国友好のハイライトだ。監督は『火天の城』(2009)、『利休にたずねよ』(2013)の田中光敏。『マイ・バック・ページ』(2011)の忽那汐里と、トルコ人俳優のケナン・エジェが、それぞれ二役で海難救助編とテヘラン救出編の主要な男女を演じ、2国間の運命的な絆を象徴している。テロや紛争、宗教や難民の問題で世界が揺れる今だからこそ、人種や国境を超えた真心の交流を描く本作から学ぶことは多い。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 「007 スペクター」作品情報 <http://eiga.com/movie/78967/> 「海難1890」作品情報 <http://eiga.com/movie/79893/>

ダニエル・クレイグ版ボンド、最後となるか!? シリーズ最高傑作『007 スペクター』

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SPECTRE (C) 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights 
 今週取り上げる新作映画は、イギリスが誇るスパイアクションの先駆けで世界最長の映画シリーズでもある『007』の最新作と、日本・トルコ合作で両国友好のいしずえとなった2つの史実をドラマチックに描く感動作。年末年始の観賞にふさわしい、見応え十分の2作品だ。  『007 スペクター』(公開中)は、英諜報機関MI6のエリートスパイ、ジェームズ・ボンドが活躍する『007』シリーズの第24作。ボンド(ダニエル・クレイグ)は生家スカイフォールでの攻防で絶命した前任の上司Mの遺言に従い、単身でメキシコ、ローマに渡って危険なミッションを遂行する。MI6の廃止と主要9カ国の情報統合をもくろむ陰謀が進むなか、ボンドは余命わずかの旧敵ホワイトに託された娘マドレーヌ(レア・セドゥー)を伴い、強大な犯罪組織スペクターとその首領オーベルハウザー(クリストフ・ワルツ)を突き止める。  1,500人ものエキストラを動員してメキシコの奇祭「死者の日」を再現したオープニングの流麗な長回しから、「映画史上最大の爆破シーン」としてギネス世界記録に認定されたというモロッコの巨大施設の爆破まで、観客の目を釘付けにするスペクタクルが満載。前作『007 スカイフォール』(2012)からの続投のサム・メンデス監督は、『アメリカン・ビューティー』(1999)、『ロード・トゥ・パーディション』(2002)など人間ドラマに定評があり、ボンドと周辺人物のキャラクターを的確に描写することで、アクション場面とのエモーショナルな相乗効果に成功している。ダニエル・クレイグ版ボンドが本作で最後になる可能性もあり、シリーズのファンならずとも見逃せない屈指の話題作だ。  『海難1890』(12月5日公開)は、日本とトルコの友好の基礎となった海難事故と、95年後のイランでの邦人救出劇を描くヒューマンドラマ。1890年9月、オスマン帝国の親善使節団を乗せたエルトゥールル号が和歌山県樫野崎沖で台風に遭遇し、座礁して蒸気機関が爆発。500人以上の犠牲者が出るなか、医師・田村(内野聖陽)ら住民たちの懸命な救助活動で69人が生き残り、手厚い介護を受けたのち帰国する。時は流れて1985年、イラン・イラク戦争で緊張が高まるテヘランに、邦人300人以上が取り残される。日本大使館から救出を依頼されたトルコの首相は、救援機の追加派遣を決断。知らせを聞いて空港に集まった邦人215人は、ロビーを埋めつくすトルコ人たちが搭乗券を求めカウンターに詰め寄る姿を見て、希望を失いかける。  今から125年前に、海難事故に遭ったトルコ人たちを貧しい漁村の村人たちが献身的に助けた史実と、イランでの邦人の窮状を救ったトルコ人による「世紀を越えた恩返し」は、もっと広く知られるべき両国友好のハイライトだ。監督は『火天の城』(2009)、『利休にたずねよ』(2013)の田中光敏。『マイ・バック・ページ』(2011)の忽那汐里と、トルコ人俳優のケナン・エジェが、それぞれ二役で海難救助編とテヘラン救出編の主要な男女を演じ、2国間の運命的な絆を象徴している。テロや紛争、宗教や難民の問題で世界が揺れる今だからこそ、人種や国境を超えた真心の交流を描く本作から学ぶことは多い。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 「007 スペクター」作品情報 <http://eiga.com/movie/78967/> 「海難1890」作品情報 <http://eiga.com/movie/79893/>

22億円荒稼ぎ・Dr.コパの影で涙する「芸能人馬主」の悲喜こもごも

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Dr.コパ公式ブログ
 人気風水師Dr.コパ氏の愛馬・コパノリッキーに注目が集まっている。  週末の12月6日(日)は、中京競馬場で第16回チャンピオンズカップが行われるが、その中で特に注目を集めているのがコパノリッキーだ。コパノリッキーは今年2月に行われたダートG1レースのフェブラリーステークス、11月に行われたJBCクラシックを優勝しており、このチャンピオンズカップを勝てば、最優秀ダート馬の称号を手中に収めることはほぼ確実。加えて1着賞金9400万円も手に入るわけだから、関係者の意気込みたるや相当なものだろう。  コパ氏のように、芸能人や著名人でありながら馬主として成功する例は希だ。コパ氏は2001年からの馬主人生で、これまで22億円以上を稼ぐ勝ち組の一人。今まで所有した160頭以上の中で、約6億円の賞金を稼いでいるコパノリッキー以外にも、コパノリチャードが高松宮記念などを勝利して3億円、ラブイズブーシェが2億円、引退したが地方競馬では300万円で購入したラブミーチャンが重賞5勝を含む18勝で、2億5000万円以上も稼いでいる。  このコパ氏以外にG1レースを勝った芸能人馬主を調べると、今年11月に行われた、第76回菊花賞を優勝したキタサンブラックの馬主・北島三郎氏の存在が大きい。キタサンブラックは、年末の有馬記念に出走する意向を示しており、大きな盛り上がりを見せるだろう。  他には、2007年第2回ヴィクトリアマイルを優勝したコイウタ。同馬は歌手の前川清が馬主で、生産者社台ファーム代表の吉田照哉氏との共同所有だがれっきとした前川氏の所有馬だ。  さらに、大魔神こと元メジャーリーガー佐々木主浩氏は、ヴィルシーナでヴィクトリアマイル連覇を達成。  また、俳優の小林薫は愛馬ブルーリッジリバーが桜花賞2着に好走したが、G1優勝には手が届かず。現在は2頭を所有しているが、現3歳馬のテルメディカラカラはちょっとした評判馬で、来年は飛躍の年になるかもしれない。  以上のように、表舞台で活躍する馬主もいれば、ホリエモンや元プロ野球選手・新庄剛志のように中途半端な成績で馬主を撤退する著名人、3000万円で買った馬がまったく走らない俳優の伊藤英明といったダメ馬主もいる。芸能界やビジネスで成功をおさめても、馬主で成功するとは限らないのが競馬の世界なのだ。

「眉毛いじりやがって!」、V6三宅健が井ノ原快彦のマネジャーにツッコミ連発

 メンバーはもちろんファンからも愛され、自由奔放な言動で話題を提供してくれるV6三宅健。特にテレビに出演している時は“アウト”な発言も多いのだが、11月30日深夜放送のラジオ番組『三宅健のラヂオ』(bayfm78)でもオモシロ発言が飛び出した。

近藤真彦、後輩たちの「こんなにすごいマッチさん」過剰演出に覚えた一筋の希望

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マッチ、やる気マンマンでアイドリング中

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎むしろソッチを願う
 デビュー35周年。記念に新曲発売。諸々の宣伝のため、バラエティ番組に出まくりのマッチさん。「あの頃のマッチさんはこんなにすごかった」「そんなありがたいマッチさんがこんなこと(ロケやゲームや大食い対決)を」と、どこも同じ基本フォーメーションで、後輩が張り付き大接待大会。

 ま、事務所が違うと途端に「あの衣装って、どんな気持ちで着られてたんですかぁ?(byぺこ)」とか言われて、ゲタ脱がされちゃうからな。「あの時はイヤとかイヤじゃないとか、なかった。夜も寝てなかったのが2~3年続いたから」と、微妙に不機嫌に面白くもない回答をするマッチさん。

写真共有アプリ「写真袋」運営者が児童ポルノ放置容疑で逮捕! ユーザーの感覚をまひさせた課金システムとは

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「写真袋」より
 先月、スマホ向け写真共有アプリ「写真袋」の運営者が逮捕された。このアプリは、2012年1月に面白法人カヤックがローンチしたアプリで、110万ダウンロードを突破。13年10月に株式会社AIRCASTへ譲渡されている。先日、テレビを見ていたら、芸能人のスマホ画面に「写真袋」のアイコンが表示されており、案の定、炎上した。ホーム画面を人に見せる場合は、細心の注意を払うことをオススメする。 「写真袋」は写真をアップロードして合言葉を設定、相手にそれを教えて共有する仕組みで、本来、友人とイベントの写真などを共有するためのアプリなのだが、匿名性の高さから、ローンチ当初より、怪しい画像のやりとりに使われていた。オリジナル画像をアップするユーザーは“神”としてもてはやされ、次第に違法性の高い児童ポルノ画像が流通することになった。情報交換には、2ちゃんねるやLINEが使われた。当時のログを見ると、面白いことに「警察が24時間監視しています。わいせつな画像及び動画がダウンロードできる合言葉を公開した場合は即時通報します。近いうちに必ず逮捕者が出ます」といった警告の書き込みもされている。今となっては、リアリティがある。  13年の事業譲渡時のプレスリリースにも「本アプリのサービス内容に特に変更はございませんので、引き続きご利用可能です」とあり、状況は変わらず。それ以後も多数のユーザーが利用し、総ダウンロード数は400万を超えた。譲渡直後の14年1月には、「写真袋」に児童ポルノ画像を公開した19歳の専門学校生が逮捕されている。カヤックが譲渡したのは、絶妙なタイミングだったといえる。  クローズドなコミュニティで怪しい画像が回る場合、数人の“神”が流した画像が増殖するだけで、そのうち廃れていくもの。しかし、「写真袋」が盛り上がったのはユニークな課金システムが原因で、新規画像が次々と投稿されたのだ。  ユーザーがアップロードした画像は、一定時間は無料で閲覧できる。それを過ぎると、閲覧するには有料で購入する「ハチミツ」が必要になる。これが、運営会社の利益となった。さらに、「ハチミツ」を使って閲覧された写真を投稿したユーザーは「金のどんぐり」をゲットでき、それをiTunesのギフトカードなどと交換できるのだ。そのため、みんな小遣い稼ぎでせっせと新規画像を投稿した。さらに、問題になったのが、少女が自撮りした写真を投稿したこと。当然、すごいダウンロード数となり、そこそこの金額が動くことになる。なんと13年11月から1年8カ月で、約1億5,000万円の利益があったとのこと。“優良”投稿者にも、大きな金額が支払われたと考えられる。  写真共有プラットフォームを提供しただけで逮捕、という文脈だと乱暴に思えるが、この課金システムと報酬システムが友人同士の共有を目的にしているという言い訳は苦しい。また、少女たちも気軽に投稿した写真はコピーが繰り返され、永遠にネットの世界に残ることをわかっていない。  今震えているのは、「写真袋」で児童ポルノ写真を投稿したユーザー、ダウンロードしたユーザーだろう。クレジットカードで課金したり、自分のスマホからアクセスしたなら、AppleやGoogle、ISPらが協力すれば、警察が身元を突き止めるのは簡単。全員を検挙することはないだろうが、見せしめ逮捕の被害者にならないように祈るしかない。  現在、類似のアプリは10個以上公開されている。くれぐれも、うかつに手を出さないようにしよう。 (文=柳谷智宣)

「エロ満載深夜アニメ」は誤解である――男の征服欲を否定する、女たちによる革命の物語『クロスアンジュ』

 前回は、レズビアンフォビアと「性的消費」への潔癖性とも言える近年の文化批判やジェンダースタディーズの傾向の一つについて書きました。今回は、ヘテロ男性視聴者へのお色気サービスシーン満載という、「女性身体の性的消費」視点から見たら色々怒られそうではありつつも、素晴らしい百合作品である、テレビアニメ『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』について考察していこうと思います。

■レズビアンフォビアと「性的消費」潔癖性について

 『クロスアンジュ』の舞台は、人類が進化によって得た「マナ」というパワー(画期的な情報伝達・物質精製技術)により、戦争や環境などの諸問題がなくなり、平和で差別がない豊かな世界です。人々は遺伝子操作を受けて新人類になり、「マナ」を使いこなしています。ただし、それはあくまで、「マナ」の力を持つ“多数派”にとっての平和。この世界には遺伝子操作前の旧人類の因子を持つ突然変異種が一定数生まれており、彼らは「マナ」を使えない上、「マナ」の力を無効化してしまう性質を持っています。「マナ」を使えない人間は“人間”ではなく“ノーマ”いう俗称で呼ばれ、「暴力的で反社会的な化け物」として社会から隔離され、“人間”社会の平和とインフラのために酷使されていました。

 「ミスルギ皇国」の第一皇女で、民衆から絶大な支持を受けていたアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギもまた、「戦争・格差・貧困、全ての闇が消え去った平穏で完璧な世界」と、「マナ」と“人間”の世界を心酔し、「世界平和のためのノーマ根絶」を理想と掲げ、“ノーマ”であればどれだけ小さな赤ん坊に対しても蔑み、“ノーマ”であった我が子を守ろうとする母親にも「早く忘れて、ノーマではない“正しい子”を産みなさい」と言ってのけるような無自覚かつ悪質な差別主義者でした。

 しかし、彼女が16歳を迎え、洗礼の儀を行った際に、兄によって、実は彼女が“ノーマ”であるという事実が暴かれてしまいます。彼女を慕っていた民衆は掌を返し、混乱がおきます。アンジュリーゼ自身、自分が“ノーマ”であるとは思いも寄りませんでした。16年間、親の権力によって隠されていたからです。事実を受け入れられず困惑するアンジュリーゼを庇い、母は殺されました。アンジュリーゼは皇族の“人間”ではなく「廃棄物」として、辺境の軍事基地「アルゼナル」に送られ、名前を奪われてしまいます。

 辺境の軍事基地「アルゼナル」では女性ばかりの“ノーマ”(“ノーマ”は女性だけなのです)が「パラメイル」という人型機動兵器に乗り、人類の敵「ドラゴン」と戦うことが義務付けられています。完全に“人間社会”から隔離された女だけの軍事基地は、絶対的な上下関係が形成され、セクハラパワハラは当たり前、服を破る、椅子に画鋲を置く、など、昭和のバレエ漫画のような古典的ないじめも横行する、労働基準法的には完璧にアウトな環境でした。

 協調性がなく自らが“ノーマ”であることが受け入れられない元アンジュリーゼこと“ノーマ”の「アンジュ」は、陰湿ないじめやセクハラを受けながらも、たくましくふてぶてしくゲスく、目的のためなら金で解決も厭わないという、子ども向け変身ヒロインが裸足で逃げ出すような豪傑に成長し、次第に「“人間”社会の平和が“ノーマ”という非差別階級を虐げることでつくられている事実」に気付きますが、やはり、かつて自らが祝福され、信頼し、当たり前に安らいでいた“人間”の世界を忘れることができません。

 「アルゼナル」に忍び込んできたかつての侍女「モモカ」の知らせによって、“人間”社会で妹が窮地に追いやられていることを知ったアンジュは、同じく“ノーマ”として隔離されながらも、“人間”社会で生き別れた母親のことが忘れられないヒルダとともに「アルゼナル」を脱走します。ヒルダはアンジュいじめのリーダーであったため、アンジュはヒルダに脱走の補助だけさせて置き去りにしようとしますが、「どんなことをしても母親に会いたかった(上司に取り入りセクハラされても、仲間を裏切っても)」というヒルダの思いを知ることで、自分だけでなく、ヒルダもまた、かつて自らが祝福され、信頼し、当たり前に安らいでいた“人間”の世界が忘れられない少女であることに気付き、彼女を信用します。

 結果的に、“人間”社会は“ノーマ”である彼女たちを受け入れることはせず、彼女たちは、かつて自らが祝福され、信頼し、当たり前に安らぎ、ある日突然つまはじきにされ、それでも諦めきれなかった“人間”の世界から、あっさり二度目の死刑宣告を受けただけでした。

 「アルゼナル」に連れ戻されたアンジュとヒルダには、強い絆がうまれます。友情・愛情・同志、「私を虐げ、辱め、陥れることしかできない世界なんて、私から拒否してやる」と、彼女たちは自分たちを殺した世界を守るためだけに生かされる囚人であることを否定するのです。

◎権力者に抗い欲望に主体的になるだけで、歪んだ世界を否定することが出来る

 『クロスアンジュ』は、確かにヘテロ男性視聴者が喜ぶサービスシーンが満載です。シリアスなシーンでも雨に濡れて透けたブラジャーが目立ちますし、重要な真実を告げる場所はいつも風呂場です。「アルゼナル」の“ノーマ”たちはレズビアンセックスばかりしていますし、アンジュと恋仲になる男性・タスクはいつもアンジュの局部にラッキースケベを発動します。人型機動兵器パラメイルに乗るためのライダースーツは、臓器がたくさん入った腹部や胸部をほとんどガードしていないばかりか、うしじまいい肉プロデュースの超ローライズパンツのようなデザインの下着が丸見えになっており、防御力や衝撃緩和能力はあまり見込めなそうです。

 ちなみに、最近Twitterで「吹奏楽器は男根のメタファー」という投函が話題になりましたが、『クロスアンジュ』では、バーベキューにおいてなぜか串に縦方向に刺した松茸を、主人公アンジュが怒りとともに食いちぎる。という、男根を去勢するメタファーとも読める描写も出てきます。

 ですが、こうしたシーンに囚われずに読めば、『クロスアンジュ』は、シスターフッド溢れる、分離主義レズビアニズムの物語です。

 分離主義レズビアニズムは、フェミニズムの史実の中では、長く、「間違ったこと」や「失敗」とされてきました。分離主義レズビアニズムには、レズビアンエリーティズムとも言うべき選民意識や黒人差別など批判されるべき要素は確かにありましたが、「私たちは私たちの理想の国を勝手に作るわ!」というような、DIY精神と相互理解や共感、社会包摂とは別の仕方でのマイノリティーのあり方の模索という視点からは、非常に魅力的です。

 『クロスアンジュ』のラスボスは、「マナ」による偽りの平和と差別に溢れた世界の創造主である男性神エンブリオです。エンブリオは、アンジュと子孫を残し、新しい人類をつくろうと画策しており、アンジュに執着します。

 クライマックスでも、自分たちを虐げ、辱め、搾取し、殺した世界を否定するために立ち上がった女性たちとは反対に、エンブリオは「アンジュが他の男とヤッたかどうか」ということだけに執拗にこだわり続ける処女厨ストーカーとして描かれ、アンジュに「キモい髪型でニヤニヤしてて、服のセンスもなくて、いつも斜に構えている恥知らずのナルシスト。1000年引きこもりの変態オヤジの遺伝子なんて生理的にムリ!!!!」と全否定されます。

 『クロスアンジュ』は、まぎれもなく女たちによる革命の物語なのです。不当に差別され、虐げ、辱め、搾取されてきた女たちが、マッチョな社会を、自分たちを搾取する男の征服欲を否定する物語なのです。

 アンジュはエンブリオに“ノーマ”が女性だけである理由を、「子を産む性である女性は、愛する人と子をなし、あなたの世界を否定するため」であると言いますが、これはおそらく、半分の正解です。

 “ノーマ”の女性たちの中で男性の恋人がいるのはアンジュだけですし、アンジュの恋人のタスク以外にアンジュの率いる共同体に男性はいません。他のメンバーは、意中の女性に振り向いてもらえない鬱屈と嫉妬から男に走るものもいましたが、女性同士の精神的・肉体的な繋がりを一番大切に考えています。そのうえ、「愛する人と子をなし、あなたの世界を否定する」と言っているアンジュすらヒルダからの告白を受け入れているので、女性同士の生殖が可能にならない限り、アンジュのつくる共同体で男性と女性の生殖によって、共同体を維持できるだけの子孫を残せる確率はあまり高くなさそうです。

 さきほど半分の正解と言った意味は、「あなたの世界(=既存の社会)を否定する」こととは、「愛する人と子をなす」ことをしなくてもできるからです。アンジュがエンブリオを拒絶したように、支配に抗い欲望に主体的になることだけで、エンブリオの世界を否定することが出来るからです。大体、レズビアンの集団が「あなた以外の男と子孫を残します」なんて言っても、説得力はあまりありませんよね。ですからこれは、「主体的な欲望を取り戻す」ことに重きがおかれた発言であると思うのです。

 女性の主体的欲望は、同性愛・異性愛問わず、「良くないもの」「無いもの」として否定されてきました。『クロスアンジュ』は、不当に差別され、虐げ、辱め、搾取されてきた女たちが、シスターフッドやレズビアニズムという女同士の絆によって、自らの主体的な欲望を取り戻すための物語なのです。「女性の身体は男性に性的に搾取される可能性があるから隠そう」ではなく、「私たちは、私たちの意思によって、性的になったり、ならなかったりするのだ」と、高らかに宣言するのです。

 これをフェミニズムの物語と言わずになんと言うのでしょう。

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2016年2月19・20・21・27・28日 連続トークイベント『マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー』開催!
【MAPA】
◎マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー・アーカイヴプロジェクト

■柴田英里/現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

絶妙な破れ具合がたまらない! “フェリス卒”グラドル橘さりがストッキングを破って……

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 高身長グラビアアイドルの橘さり が、7枚目のDVD『さり行きます!』を発売し、東京・秋葉原で記念のイベントを行った。  今夏、千葉で撮影したという本作。ほぼ2年ぶりのDVD撮影ということで、水着になるのが妙に恥ずかしかったという。詳しい内容についても聞いてみた。 ――内容を教えてください。 「私が家にいて、宅配便屋さんが来て、いろんなことがおこるというヘンな話です(笑)。ちょっとしたお芝居の連続で、表情を作ったり、苦手な台詞もあったり、宅配のお兄さんにお茶を出すシーンでは内心『そんな人、おらんやろ』と思ったりしました(笑)」
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――お気に入りのシーンは? 「水鉄砲のシーンは日差しが強くて快適でした(笑)。そもそも今回の作品では『橘会』というオフ会で、ファンの皆さんからの要望やダメ出しを反映させた内容になっていまして、水鉄砲のTシャツのスケ具合についても綿密に計算しています(笑)」 ――特に見てほしいシーンは? 「ストッキングを破るシーンも、『あまり破りすぎないように』というマニアックな要望に即して絶妙に破っています! あとは、お風呂のシーンでのベージュの三角ビキニは、一瞬何も着てないように見えてオススメです!」  最近「おかげさまで忙しい」とのことで、SIR(サンスポアイドルリポーター)や、TOKYO MXでレギュラーを務めるなど、充実した毎日を送っているようだ。 橘さり オフィシャルブログ「バナブロ」 <http://www.diamondblog.jp/official/acesari/

米倉涼子→沢尻エリカに変更!? ドラマ『大奥』でドタバタのフジと、“元凶”高部あいの「驚愕近況」

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とんだとばっちりだわ
 3日、来年1月22、29日に2週連続放送されるスペシャルドラマ『大奥』(フジテレビ系)で、沢尻エリカが主演することがわかった。  沢尻初の時代劇挑戦。「聖女」と「悪女」という2役を演じるということだが、「悪女はいけるけど聖女はどうなの」という疑問の声が出ている。『大奥』自体、かつてのヒットを踏襲した焼き直しという印象が強いようで、期待はさほど大きくない模様。ただ、ドラマの内容よりも気になるのが、フジテレビがこのドラマを制作する“理由”にある。 「フジは年末に、米倉涼子主演、相当な制作費をかけて『大奥』を3日連続放送するという話がありました。すでに撮影は終了しています。1カ月以内に2度も『大奥』をやるの? と思うかもしれませんが、今回の沢尻『大奥』の発表を見るに、米倉『大奥』の“お蔵入り”は確実でしょうね」(芸能記者)  現在迷走中のフジとしては、確実に数字を取れると見込んでいた『大奥』が、まさかのお蔵入りとは……。この状況を招いたのは、米倉と同じ事務所に所属するタレントの“犯罪”という。 「米倉と同じオスカー所属の高部あいの薬物逮捕です。このドラマ、米倉のバーターとして、高部が女中役で出演しているというのです。出番はそれなりに多く、役柄も切るに切れないということで、出演シーンのカットではドラマが成立しないとのこと。常識的に考えて、『大奥』を近々に2回やることは考えづらいです。オスカーや米倉としては『まさか』、沢尻が業務提携を結ぶエイベックス・マネジメントとしては『棚ぼた』といった格好ですね。何より、億を超えるとされる時代劇の制作費や出演料を“2重”に支払うフジが涙目でしょうが……」(同)  欲望の果てに“ヤク中”になってしまった高部あいの行動は、結果としてフジテレビの威信をかけたドラマにすら影響を及ぼしていた模様。最近は批判されてばかりのフジテレビだが、さすがに今回は同情せざるを得ない。  先月13日、妊娠しているとされる体調を考慮し釈放された高部が「すでに遊んでる」という情報も出ている。もしこの話が本当なら、思慮のかけらもないという以外ない。

中絶強要したチャーリー・シーンを訴えた元婚約者、ネットではなぜか彼女への非難が集中!

<p> 先月17日、全米に放送される朝の報道番組に生出演し、HIV陽性であることを告白した俳優のチャーリー・シーン。突然のカミングアウトは、信頼していた人たちからHIVをネタにゆすられていたためで、インタビューで「1,000万ドル(約12億円)以上を口止め料として支払った」「まぁ、でも自分の責任だし」と明かしたチャーリーに同情が集まった。</p>