現代社会を生き抜くリアル・ウーマンたちのどこよりもリアルな財布事情に迫る『女の給料明細』。国税庁は2014年度『民間給与実態統計調査』にて、「年齢階級別の平均給与」を以下のように公表しています。
【20歳以上~24歳以下】
男性平均年収:265万円/女性平均年収:226万円
【25歳以上~29歳以下】
男性平均年収:371万円/女性平均年収:295万円
【30歳以上~34歳以下】
男性平均年収:438万円/女性平均年収:294万円
【35歳以上~39歳以下】
男性平均年収:499万円/女性平均年収:297万円
【40歳以上~44歳以下】
男性平均年収:568万円/女性平均年収:290万円
【45歳以上~49歳以下】
男性平均年収:638万円/女性平均年収:292万円
【50歳以上~54歳以下】
男性平均年収:649万円/女性平均年収:281万円
【55歳以上~59歳以下】
男性平均年収:629万円/女性平均年収:275万円
総合職、事務職、専門職など、職種によって大きく異なるためあくまで目安ですが、今回お話を伺ったのは、この平均を大きく上回る年収820万円(年1回・100万円のボーナス含む)を稼ぐHさん(30)。東京の名門私立大学を卒業し、多くの女性が憧れる都内の某IT企業に務める独身女性です。一般的に考えれば余裕のある生活を過ごせるはずが、なぜか月末には学生のようなカツカツの生活を送っているとのこと。「生命保険も入ってないですし、貯金どころか万年マイナスです!」と笑顔で即答するHさん……なぜなのでしょうか。その家計簿を公開していただきました!
◎ネイル・マツエクはタダ。食費はほぼかかりません
――都内に実家があり、年収820万を稼ぐ独身生活。なのにお金がない……一体何にお金を使ってるんですか?
H「1年半前から、恵比寿の家賃14万5千円の賃貸でひとり暮らしを始めたんです。会社の家賃補助は5万、ガス代・水道代・電気代(合計1万千円)と月々のクレジットの返済(毎月10万~15)をしたら、もうひと月に自由なお金は20万もないんです」
――……Hさんの月給の場合、手取り50万円以上はあるはずです、が。
H「私の手取りって基本給から20万ほど引かれてるんじゃないんですか?」
――……給料明細を確認しましょう。
(確認したところ、家賃補助・交通費込みで50万円)
H「こんなにもらってるんですね……。でも全然残らないんです」
――Hさんを見ていると、ネイルやまつ毛エクステをつけているので、美容への投資が多そうな気がしますね。
H「実は……ネイルとまつ毛エクステの費用はタダみたいなもので。ある程度社内で地位がある人とか年次がいってる女性には“美容代サポート”っていう会社の福利厚生があって、金額はそこまで大きくないけど、マッサージとかエステに行く人もいます。私の場合、月1の美容院代はその中に収まらないので1万円くらいはかかっちゃうんですけど」
――そのキラキラ感は、会社が保たせてくれているなんて……素晴らしいですね。となると、やっぱりひとり暮らしですし、食費がかさむのでしょうか?
H「それが、ほぼ食費もかかっていません」
――……なぜですか?
H「大体、奢ってもらえるんです。朝は会社の福利厚生で時々ジュースとかヨーグルトが配られるので家では食べないですし、昼も会議の時間がランチしか合わなくて“ランチ会議”をすることが多いんですが、その時はランチ代が経費になります。あと同僚の仕事の相談をランチしながら聞くことも会議費として処理できます。夜も、私はもともとお酒が弱いので、飲む人よりは安いと思いますけど、飲み会に呼ばれて行くとしても男性が払ってくれます。払うのは、女友達と行く月2~3回の夜ご飯代だけですね」
――ということは、1カ月31日として、他の29日分の夜ご飯は全部男性と食べに行くんですか?
H「そんなには行かないですが、週に2~3日なので月10日くらいは行きます。西麻布とか恵比寿で食べることが多いので、そういう日の出費はタクシー代の往復2000円ちょっとだけです。他の日は自炊しちゃいます。自炊だと食費なんて1回500円もかからないです」
――普通に外食して電車で帰るよりも、安く上がるわけですね。それにしても、福利厚生がすごい充実した会社ですね。
H「ですよね。ただ基本的には週5日・10時~19時勤務なものの、波はありますけど毎日平均2時間くらいは残業しますし、忙しい時は徹夜や休日出勤もするのに、残業代も休日出勤手当ても出ません。そういう費用込みって考えると……ね。あと、有給は新卒で入社してから8年間、1度も100%消化できたことはありません」
――意外なブラック要素! ちなみに有給は何日あるんですか?
H「今は10日です。でも私、海外旅行が大好きで、今は年に4回ですが、実家にいた時なんて年に6回は行ってました。半分はリゾートとかビーチで、後はいろいろ。それでも会社は体調不良などの理由ではほとんど休まないですし、アメリカやヨーロッパなら連休に加えて有給1~2日、他の海外は1日休めば行けますし、夏休みが有給とは別に3日もらえるので、100%は使い切らないんです。なので、消化できてないことにストレスは感じてません」
――なるほど。ということは海外旅行費でお金が飛んでいくんですね。
H「うーん。旅行はボーナスを使います。でも『お金余ってるからハワイ行こうかな』って決めることもありますね……本当に毎月トントンになるようにしか生活できないんです」
――クレジットカードの返済を見るとトントンではないですけどね(笑)。
H「確かにそうですね(笑)。終わってるな……とは思います。でも毎月毎月返済してることに罪悪感がないんです。あとは、いらない出費がいっぱいあると思います。思い出せもしないような。それに、犬にも月2万くらい使います。シャンプーとかトリミング系と、うちの子はドイツ製のオーガニックの餌を食べてるので、それが月5千円くらい。あとペットホテルに預ける時は1回5千円くらい。あとお腹壊すと、血液検査と薬で1万5千円とかかかるんです」
――Hさんの医療費よりかかってますね。
H「犬の保険に入ってないんです……それより、私自身も自覚してる『最大の出費』があるんです」
◎絶対に無駄なことはわかってます
H「『服』と『化粧品』の出費が本当に多くて。月に服は15万くらい、化粧品に5万は使っちゃいますね」
――それだけで合計20万円ですか! その金額以下で1カ月生活してる人もいますよ。
H「そうですよね。だから頭おかしいんだと思います、絶対無駄です。でも欲しくなっちゃうんですよね……」
――無駄遣いだとわかってるんですね。月に何着買ってるんですか? トップス一枚2万円だとして……
H「TheoryとかBarneys New York で2~3万の服は買いますけど、それは2.3着。あとはZARAとかH&Mで5000~6000円の服を大量に買うんです」
――そこに時々ブランドバッグや靴が入るとそれくらい使っちゃうと。
H「そうですね。私、普段からChristian Louboutinの靴とか履きますし」
――ルブタンが日常使いの靴とは……。
H「でも本当に差が激しくて、今着てる服とか韓国で3000円ですし、プチプラ大好きなんです。最近『VERY』(光文社)にハマってて、タキマキ(滝沢眞規子)とか家長晶とかを筆頭にモデルが可愛くて読み始めたんですけど。あ、彼女たちは3年後くらいになりたい私像だったりもするんですけど」
――もう1度言ってもらっても良いですか?
H「えっと。すごい幸せな結婚をされて、お子さんがいて旦那金持ちっていう生活なんです。だから『こうなりたい♡』って思いながら読んでるとすごい楽しくて……っていうのは置いといて、意外とプチプラの掲載商品もあるんです。主婦向けなので『ここはUNIQLOを使って工夫してるよ』『結局、冬はダウンとUGGだよね』のようなリアルクローズが多くて。そういうのが好きなんです」
――うーん。確かにそういう特集も組まれてますが、『VERY』って本当に主婦のリアルクローズだと思いますか?
H「正直……普通の専業主婦、というか旦那の年収が1000万円あっても難しいと思います。なので私にとってのリアルクローズですね。もちろんアクセサリーとかは買えないですけど。でも、共働きでどっちも総合職だったらできますし、うちの会社の人だったら全然できます。だからってわけじゃないですけど、私もUNIQLOとかMila Owenとかも着ますね」
――Mila Owen?
H「単価7000円くらいでも、安っぽく見えないっていうコンセプトのマッシュスタイルラボのブランドで、そういうお店の服が結構載ってて参考にしてます。私浪費家ですが、単に高いだけの服は嫌いなんです。なので『ELLE』(講談社)とか『VOGUE』(コンデナスト・ジャパン)は読みません。載ってる服がひとつも買えなくて、まったく参考にならないので」
◎新卒年収400万でスタート
――その浪費癖はいつ始まったか覚えてますか?
H「学生時代からですね。大学の時、インターンで月15万ほど稼いでたんですね。実家暮らしで家賃も払ってなかったので、携帯代以外は全部自由なお金だったんですが、当時から一切貯金はしてませんでした。むしろ、すでにクレジットカードの借金が常に20万はありました(笑)」
――かれこれ約10年間もマイナス生活とは……。当時はどこのクレジットカードを使ってましたか?
H「エポスカードと三菱東京UFJ銀行の口座開設の時に薦められたカードの2枚です。しかも、キャッシングは我慢してましたが、すごいリボ払い使ってました! そのお陰で、新卒入社する時もマイナス20万スタートでしたね。でも、当時は『私は優秀だから、クレジットカードの返済なんて将来いくらでも完済できる』って思ってたんです」
――その時は、まさか浪費癖が治らないなんて思ってなかったんですね。初任給はいくらでしたか?
H「基本給で大体30万ちょっと、一年目なのでボーナスはなかったですがインセンティブとか合わせると年収400万はもらってました(※手取りではない)。最初は全員一緒でしたね」
――……優秀で良かったですね。
H「うちは最低でもこの金額なので、どんなに働かない奴とかデキない奴でも400万を切ることはないんです」
――なるほど。就職する時は「給料」で選びましたか?
H「いや、単純に面白そうな会社だなと思って。むしろ、今の会社に『高給』ってイメージはありませんでした。友達の会社のほうが高かったので。私が就職した時って外資がすごい流行ってて、大学のネームバリューもあったし、1年目から1000万もらう友達なんていくらでもいたんです。ゴールドマン・サックスとか、今はないけどリーマン・ブラザーズがやっぱり一番お金は良かったですね。電通とか博報堂も残業代もらえるので500~600万とかはもらってました。お金を重視してたら、その辺の企業に入ってたと思います。とはいえ、うちの会社でも銀行とかアパレルよりは高いし、学生だった私からすれば『年収1000万もすごいけど、月34万でいいじゃん! 何でもできるじゃん!』とは思ってましたね」
◎100万円借金してる男性よりも3000万円借金してる人のほうが好きです
――結婚願望はありますか?
H「ありますけど、今の彼氏(26歳・付き合って3カ月)とはしたくないです。私、付き合うとすごい尽くすんです。でも彼氏はそれに対してあんまり見返りがないのでダメだなって」
――彼のどういうところに惹かれたんですか?
H「才能です。他の人にはないアイデアがあっていいなって。でも、連絡はしてこないし、どっか連れってってくれるわけでもないし、奢ってくれることなんて全くないんです。多分年収300万くらいしかもらってないので、もちろん奢ってほしいとも思ってないんですけどね」
――年下でお金持ちじゃない彼氏なんですね。意外とピュアラブ。
H「あんまり相手の年収は気にしません。一生貧乏は困りますけど、大物になりそうな雰囲気とかがあれば別に大丈夫です」
――山田るり子さん(※与沢翼の元カノ)みたいじゃないですか。ということは、タキマキさん(夫はファッションブランド「NEIGHBORHOOD」のデザイナー兼代表)の人生はあくまで憧れであって、結婚しても働きたいんですか?
H「タキマキの生活には憧れますよ! でも私、結構お金使うので、自分で稼いだお金じゃないと使う時に罪悪感があるんです。たとえ『私の今の給料くらい勝手に使ってもいいよ』と言ってくれる旦那さんだとしても、気まずいです。私、タダより高いものはないと思っていて。その生活に慣れちゃった後に、相手に愛想尽かされちゃったら大変なことになるじゃないですか。男性の『女性が好きだ』という脳みそなんて2~3年で保てなくなると思ってるので、基本的には努力しないといけないなって思ってるタイプです。その危機感はすごいあるので、長く付き合っても気を抜いたりすることはありません。むしろ、常にそっぽ向かれると思って付き合ってます。恋愛市場における自信はまったくないんですよ……。なので、いろんな面で見ても、子供ができるまでは働きたいですね。子供ができてからも今の仕事を続けるかは悩みますけど」
――確かに、今の会社でしたら福利厚生が充実しているそうなので、子供ができても働こうと思えば働けますし、産休・育休はありがたいですよね。
H「そうなんです。うちの会社は子供できても働く人が多いですしね。それに、結婚した後も都内に住んでとか、うちの会社の独身時代の生活を続けたい場合は、普通の人だったら共働きじゃないときついと思います。特にうちの会社の人は見栄も張りたいでしょうから」
――Hさん自身、見栄を張ってると思いますか?
H「『まったく見栄張ってない』とは言い難いですね。将来的に子供がちょっとお金のかかる学校に行きたいって言った時に、『うちはお金ないからダメよ』って言いたくないな、とは思います。今の生活でも、遠くから通勤するのは嫌ですし……見栄を張ってなかったら恵比寿には住んでなかったと思います。会社から徒歩10分でもっと家賃が安いとこありますけど、でもあの街は嫌って思いますしね。だからと言ってタワーマンションに住みたいとは思わないですし、今の家賃以上は出す気もありませんね」
――お金が足りなくなるまで洋服を買うのは、見栄もあるのかもしれないですね。その気持ちを保つためには、クレジットカードは完済しないと。もし、旦那さんに借金があっても許しますか?
H「もし100万ほどだったら、逆になんで100万借金したんだろうって思います。要は私と一緒で、ルーズだから『ちょっと足りなくなっちゃった』っていう生活をしてきたってことですよね。そういう人は私の旦那さんとしては不適切かなって。だって私がちゃんとしてないので。むしろ今の彼なんて、会社やってるので借金3000万くらいあるんです。でも私は100万借金してる人よりも、3000万借金してる彼のほうが面白いと思っちゃうんですよ」
――では、旦那さんに求めるものは何ですか?
H「一緒にいて落ち着くとか、自分の味方でいてくれる安心感ですかね。私、借金持ちとは思われたくないので、結婚が決まったらクレジット完済すると思うんです。そうなると、年収300万でも私と一緒にいたら820万あるので死にはしないじゃないですか。私が子供できても会社を辞めなければ良い話で」
◎「貯金ゼロ』はまずいと思います、が…
――30歳ともなると、周りには貯蓄をされている方も多いと思いますが、今後、貯金を始める予定はありますか?
H「ないです」
――服を買いすぎだとは思ってるけど、我慢しようとも思ってないと。
H「はい。でも正直、服と化粧品以外は本当に何に使ってるか不明ですし、さすがに『30歳・貯金ゼロ』っていうのはまずい気がしていて、どうにかしたいとは思っています……が、私、たとえ年収2000万もらっても足りなくてカード返済し続けると思うんですよね。というのも、仕事が自己実現とはまったく思ってないですし、仕事が生きがいってタイプじゃないんですね。とにかく今の生活をするためにはお金がいるので働いてるんです。『将来設計ができてない』と言われたら、それは本当にごもっともなんですけど、今すぐどうにかしなきゃ! とは思えないんですよね」
―――
難関大学に合格し、卒業後も8年間しっかりと働き、今の生活を謳歌しているHさん。「毎月クレジットカードを返済している」「貯金ゼロ」という現状に危機感を覚えることもあるとのことですが、買いたい物を買って、住みたい場所に住み、行きたいところへ行く、そのためには“自分で稼ぐ”――それだけの金額を稼ぐ力は、Hさんの人生で培った努力の賜物であって、そのお金をどう使うかは自由ですね。
確かに「将来、結婚式を挙げたいと思ってるなら、お金はどうするの?」などと、いつかのため、万が一何かあった時の備えとして貯蓄をされる方も多いです。しかし、Hさんの場合は、その貯蓄する動機が何もリアルではなく、何より大事なのは今。その振り切った姿勢、そして単純に820万という年収に憧れる方も多いのではないでしょうか。これだけ「稼ぐ力」のある女性は、現代社会においてかなり稀。そんなHさんなら、もしも何かあった時でもばどうにかやってのけるでしょう。
「見栄を張る」とおっしゃっていたにも関わらず、赤裸々にお話いただきありがとうございました!
【Hさん1カ月の家計】
家賃 145,000円(実質95,000円)
食費 10,000円
水道・ガス・電気代 11,000円
洋服 150,000円
化粧品 50,000円
美容院 10,000円
交際費 30,000円
日用雑貨費 2,000~3,000円
医療費 5,000円/3カ月に1度
書籍費 5,000円
クレジットカード返済 100,000~150,000円
ペット費 20,000円
(取材・構成=舞生G子)