
元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが、自らカメラマンとしてかわいい声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の32回目! 今回は声優から少し逸れ、1989年の某Hプロスカウトキャラバングランプリを受賞し、『陽春(はる)のパッセージ』で各賞を総なめにしたにもかかわらず、たった1年半で芸能界を引退した伝説のアイドル、よっきゅんこと田中陽子さんが来てくれました!
――伝説のアイドル・よっきゅんが日刊サイゾーにいる! デビューから25年経った今、こんなものに出ていただいて、本当にありがとうございます……!
田中 こんなもの……(笑)。留美ちゃんから熱烈に口説かれて来ました(笑)。よろしくお願いします、田中です。
――はじめの方から伺いますが、1989年某Hプロタレントスカウトキャラバングランプリ、1989年HプロTHEオーディション・グランプリ、翌年にはデビュー曲「陽春(はる)のパッセージ」(アニメ『アイドル天使 ようこそようこ』の主題歌)で第9回メガロポリス歌謡祭、優秀新人賞受賞および最優秀新人賞受賞。全日本歌謡祭・銀座音楽祭・新宿音楽祭で銀賞を受賞……その翌年に引退って、展開があまりにスピーディ過ぎますよ!
田中 燃え尽きちゃった、人生を生き急いだ感じで(笑)。
――いろんな賞を総なめにして、アイドルとしての将来は約束されたようなものじゃないですか! 一度も売れたことのない私からすると、超もったいないです!
田中 そうでしたねぇ、ここからは多分書けない話だと思うんですけど……。
――書けない話の出現が早いなぁ。
田中 正直なことを言うと、女性特有の一番嫌な仕事を、内容を知らされずに現場に行って、それで何もかも信用できなくなって……。
――なんでだろう、ぼかされると余計にいやらしく聞こえます。
田中 あははは(笑)。衣装でニプレスを渡されて……。
――おお、アイドルあるある! 私も経験ありますけど、それって私みたいに売れてないグラドル限定のあるあるだと思ってました、田中さんにはナシナシじゃないですか?
田中 そうですよね。私も、始めからそういう売り方をされていれば、自分の中でも処理ができたと思うんですけど、私、基本は水着もやらないって方向性だったので……。でも、やらないって言ってても、どうしても断れない番組や雑誌も出てくるじゃないですか。そういうときには、あらかじめ水着も選ばせてもらって、「じゃあこれでやりましょう」って進めてたのに、なぜか翌年のその仕事に限って、仕事の内容も何にも知らされず、現場に行ったらそういう状況になってて……。それまでは「こういう月刊誌からこういう仕事がきてるよ」っていう相談がちゃんとあったのに……。そのときは何にも聞いてなかったの。

――水着NGにしたから「じゃあ水着もナシなら良いよね」みたいな……とんちなのかな?
田中 あははは! そうだったのかも(笑)! でも、内緒にして現場に行かせるんだったら、いつものメイクさん、スタイリストさん、いつものカメラマンとか、そういう心のよりどころが欲しかったなぁ。そうじゃなかったから、私1人vsみんな、みたいな感じで現場の雰囲気に圧倒されちゃって……。その状況が何よりも一番傷ついた感じでした。
――その当時は何歳くらいだったんですか?
田中 17歳かなぁ。
――若っ!! といっても宮沢りえも17歳でヌード写真集出してたし、昔の芸能界はいろいろとアリなんですねぇ。
田中 ですねぇ。そういう仕事って、普通は逃げられないように海外に連れて行かれるって聞いてたんだけど、私のときは国内で、しかも普通にタクシーに乗って行ったような現場だったから、完全に油断してました。「聞いてない」で、1時間くらい粘りましたが……某有名カメラマンに「やるまで帰さない」って言われて、逃げ出すにも逃げ出せず……。
――私も似たような経験があります……放課後電磁波クラブみたいな水着を用意されて……しぶってると今までニコニコ和やかに話してたメイクさんが急に目を合わさなくなって……。
田中 そうそう! そうなの! ああいう現場のメイクさんってなんであんなに強そうに出てくるんだろうね!? 途端に「フーン」って、そっぽ向く!
――売れないアイドル特有の悩みだと思ってたのに、まさか売れてるアイドルにも同じ悩みがあったなんて……。
田中 事務所との信頼関係が一瞬で壊れちゃいますよね。私はこれがキッカケで精神的に耐えられなくなり、「もう頑張れない」って辞めたんですよ。
――田中さんが主題歌を歌った『アイドル天使 ようこそようこ』も、初めはアイドルを目指すようこがアダルト系の事務所に「私アイドルになりたいんです!」って乗り込むところから始まっていたなぁ。
田中 あはははは! そうか、そのままを行ってたのかな(笑)!
――未来を予知するようこそようこ……。でも、アイドルはたいてい契約があるから「辞めます」って言ってすぐに辞められるものでもないですよね。
田中 私は5年契約だったんですよ。でも、まぁ、私がそのまま連絡がつかなくなったということで、クビというか、解雇というか。あは。きちっと事務所に行って話し合いをしてれば、書き方も「休業」とかになったんだけど。やっと連絡ついて「来い」って言われても、一度あの現場でアウェイ感を味わっちゃってるから、二度のアウェイ感は、もう私にはなかったんですよね。会社になんて、のこのこ出向けない。だからもう「お好きなようにしてください」って言ったのが最後でした。

――清々しい! でもその結果、田中陽子で検索すると「素行不良」「クビ」と出てくることに……。
田中 そう(笑)。だけど、そうしてくれたことによって、そのまま失踪に近い形でフェードアウトできて、その後、いろんな伝説が出たわけで……。
――確かに、ちょっとネットでググっただけでいろんな伝説が出てきます! まず、クイズ番組で、「69を英語で言うと?」の問題に、アイドルなのに「シックスナイン」と答えたとか。身に覚えはありますか?
田中 あはは! それは、早とちりをして、シックス“ティー”ナインって言わなきゃいけなかったのを、慌てちゃって、言ったあとに気づいた。みんなが「あぅええぇーー!?」って顔をしているから(笑)!
――引っかけ問題に見事にひっかかったんですね……! 続いて、生放送を逃亡してすっぽかしたっていうのは?
田中 『鶴ちゃんのプッツン5』かな? あれはすっぽかしたというか、遊びにいってて……(笑)。日付を間違えてたか何かで、帰れなくなっちゃって、エンディングで鶴太郎さんが「田中ー! 来週はこいよー!!」って、言ったっていうのを後から聞きましたね(笑)。プッツンは本当に良くしてもらったなぁ。
――今のところ全部身に覚えがあるっていうのもすごいですね。
田中 大丈夫、みんな覚えてる! しらばっくれないから安心して(笑)!
――あと、プロのカメラマンに「あんたうまいね!」と言ってのけたというタレコミも。
田中 えっ? 誰だろう! でも言ってたとしても冗談だよね、冗談。お笑い的な感じ!? ……たぶん。相当仲良くないと言えないですよね……。
――ロケバス立てこもり事件は? 撮影中にマネージャーがロケバスのドアを叩きながら「陽子ー! 出てきてくれー!」と叫ぶのを聞いたというタレコミが……。
田中 (爆笑)!!! それはね、えーと、わかんない!!!!
――なんかもう、やってそうですね! そして極めつけは、引退して田舎に帰るときに、駆けつけたファンに向かって「どうせ、すぐに中嶋美智代ちゃんを応援するんでしょ!」と吐き捨てたというウワサ!
田中 それはウソ! それはない! だって辞めたときは誰にも見送られてないし、飛行機でも新幹線でもなく、ひっそりと寮を出たもん。私もびっくりだよ。
――ウワサが一人歩きしちゃったんですね……! やったやってないは別として、ウワサのひとつひとつがエリカ様騒動を余裕で越えるプッツンぶりで痺れます!
田中 やってないものもありますからねぇ~! 後からこんな風に悪いほうに伝え漏れて聞くと……楽しく仕事していたことさえも「え、なんだったの?」って思いますね。
――ちなみに、一年半で引退されて、「もっと続ければ良かったかな」と「辞めといてよかったな」では、どちらが大きいですか?
田中 辞めといてよかった(即答)。私、学校に行ってなかったぶん、朝から晩まで一日の仕事量がすごく多くて。同じ年代のアイドルはみんな学校終わりで仕事に来てるのに、私はそれまでに既に3~4本の仕事をこなしているから、すごくテンションが違った。温度差があったっていうか……。毎日朝の5時くらいに家を出て、帰ってくるのはもう深夜1時とかで、睡眠時間も2~3時間……完全に燃え尽きましたね。

――育ち盛りに詰め込まれすぎたんですね……。
田中 だから、ネットで「遅刻した」って書かれてるんだけど、よく遅刻してたのはマネジャーの方で、私は「飛行機乗らなきゃいけないのにチケット持ってない!」みたいな(笑)。マネジャーは私と同じスケジュールな上に、私を送ってから帰るから、もっと眠れないんですよね。
――マネージャーは1~2時間くらいの睡眠で、さらに田中さんほどの若さもないから、体力的にそうとうキツそうですね……。
田中 そうそう! ああ、だから遅刻したんだぁって、辞めてから気づきました(笑)。マネジャー、大変だったでしょうねぇ(しみじみ)。
――そんなスケジュールの中で、恋愛事情は? イケてる男の子のアイドルと付き合ったりとか……。
田中 ないです(即答)。寮だったし、学校に行ってないから友達いないし、昔のアイドルはみんな寝る間を惜しんで遊んでたとかいうけど、私、寝たかったの(笑)! 本当に、恋愛なんてしてる暇があったら寝たかった! 今と違って携帯電話なんかもなかったし。
――芸能界、外から見るのと中からみるのじゃ全然違いますね……。
田中 入り口(デビュー)までは完璧だったんですけどね。こわいですねぇ~。みんな本当に頑張ってるなぁ。(感心……)、私は頑張れなかった人なので、あはは!
――頑張れなかったというか、頑張りすぎてエンストって感じですね。芸能界を辞めてからは、どうやって過ごしてたんですか?
田中 辞めてから、今の仕事をずっとやってますよ。辞めて数カ月後には働いてました。やっぱり報道でマイナスな出方をしたので、そこは負けてられないかなって、意地ですよね。「ぜってー負けない!」っていう。「絶対」じゃないですよ、「ぜってー!」って気持ちで頑張りました。だから、他事務所の、報道だけでしか私を知らない人とご一緒すると、「あれ? ウワサほどじゃないね」って言われたり(笑)。
――伝説だけ聞いてると「おっ、元ヤンかな?」って思えますもんね。
田中 そうそう(笑)。「今は何を言い返しても誰も認めてくれないけど、絶対時間が解決するから頑張れ」って、その頃一緒に仕事をした人たちはみな応援してくれたりして。芸能界は状況が悪くなると離れていく人が多いので、この時期に励まして支えてくれた人たちは今でもとっても良い関係です。
――私もてっきり素行が不良な方なのかと思ってたので、今日はいろいろびっくりですよ! ちなみに元ヤンとかではない?
田中 ないですないです! ほんとに普通(笑)。

――現在のお仕事はどんな業種なんですか?
田中 芸能関係でイベントの企画制作やブッキングの仕事です。役職ついてま……す(笑)。
――ずっと働いてるから、完全に出世してるじゃないですか! 芸能界の内側にいたから活かせた部分はありますか?
田中 ありますよ~。クライアントさんが望んでることと、演者さんがやりたいこと、どちらの立場も気持ちがわかるから、いろんな調整がスムーズだったり。ありがちなのが、企業の社長さんは、タレントさんをパーティーに呼んだら、タレントさんとお食事なんかをしたがる。だけどタレントさんや事務所はあまり……ね。そういうのを丁重に、角がたたないように調整したり……。
――おお、それは助かります……! 私も若いときに、どこかの会社に営業で呼ばれて社長とごはん食べさせられて、すごく気まずかった……!
田中 ですよね、喉通らないですよねぇ。味わかんなくなっちゃう。そういう段取り的な面では、気持ちがわかるので役に立ってるかなぁ。
――社長もタレントも嫌な気持ちにさせないテクニック! 若い時にメイクさんに見てみぬふりされた経験が活きてるのかも!? それにしても、引退後はずっと潜伏されていたのに、最近は急にTwitterを始めたり、イベントに出演したりもしてますね。いったいどんな心境の変化が?
田中 脳活(きっぱり)!! リハビリ! なんか刺激を与えないと、脳は老いていくから、トレーニング(笑)!!
――じゃあ、今日のこの撮影もリハビリの一環?
田中 うーん、これは、一種のおばあちゃん孝行というか……。
――おばあちゃん孝行!?
田中 おばあちゃんが、ちょっと痴呆になってて……。私が会いに行っても「わかんない、この人知らない」って言われちゃって……。でも、1時間くらい一緒にいたら「東京へ行った陽子ちゃん?」って思い出してくれて。よく「印象深いことは覚えてる」っていうでしょ? それがすごく嬉しかった。それからしばらくして、このオファーをもらったから……。
――なるほど! じゃあグラビアでおばあちゃんに再びショックを与えましょう(笑)! 次に会うときに「あ、サイゾーに載ってた陽子ちゃんね?」と。
田中 あはは! プリントアウトして見せてあげたいな!

今回はオフショットも!
――久しぶりの顔出しはどうですか?
田中 うーーーん、最初は「今さら……顔出しなんて!」って、すっごく悩んだ。やっぱり、みんなの頭の中では15~7歳頃の私の印象で止まってるから、今、急に四十いくつが出てきたら「ギャー!」ってならないかなって(笑)。
――天地真理現象ですね……。
田中 そういう気持ちもあって、「幻滅させないギリギリかな……」と思って(笑)。
――ギリギリどころか余裕でセーフです! このまま復帰もあり得ますか?
田中 ないない、ないです(笑)。今は“シュウカツ”って感じですよね。
――え? 就活?
田中 終わりの方! 終活(笑)!
――まさかの終活宣言!! もう人生エンディングに向けて走り出してるの!? 相変わらず展開がスピーディ!! じゃあ、今は終活と脳のリハビリ中? なんなんだ、もう!
田中 うん、脳に刺激を与えないと、このままどんどん老いていくからね、あははは。
――ちなみにご結婚はされましたか?
田中 してないですよ。絶賛募集中。お問い合わせは、宍戸留美のアドレスへ(笑)。
(宍戸) メール開くの嫌だなぁ……。
――最終選考はぜひサイゾーでやりましょう!! 本日はどうもありがとうございました!!
(取材・文=小明/写真=宍戸留美)
●たなか・ようこ
1973年12月12日、A型。
1989年某Hプロタレントスカウトキャラバングランプリ受賞、翌年1990年デビュー。自身をモデルにしたアニメ『アイドル天使ようこそようこ』、ドラマ『なかよし』『なかよし2』主演、『トップスチュワーデス物語』や、『アイドル共和国』『鶴ちゃんのプッツン5』などバラエティー番組などで活躍した。
最近では、田中有紀美さんの「田中珈琲店ミーティング」に出演。
田中陽子Twitter
https://twitter.com/YokoTanaka_
●ししど・るみ
1973年、福岡県生まれ。1990年にアイドルデビュー、18歳でフリーアイドルになり現在まで様々な分野で活動中! フランス、ドイツ等でもライブを行い音楽活動で高い評価を得ている。
子供達に絶大な人気を誇るNHKアニメ『はなかっぱ』ももかっぱ役で声優を務める。
デビュー25周年!
テレビアニメ 『はなかっぱ』ももかっぱ役『VENUS PROJECT-CLIMAX-』黒城星役
webドラマ『鬼の人美に涙』配信中!
https://www.youtube.com/watch?v=_6geVevMNG8
ルミネッセンス
形態:8曲入り
定価:¥2,500(税込)
品番:SNDL-0003/JAN:4514306011869
レーベル:sundaliru

公式ブログ
http://s.ameblo.jp/sundaliru/
●あかり
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。『卑屈の国の格言録』(サイゾー)、『アイドル墜落日記 増量版』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。ブログ「小明の秘話」<
http://yaplog.jp/benijake148/>シングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中<
http://www.cyzo.com/akr/>。