
東京から大阪に引っ越してみると、飲み物の自動販売機の価格が軒並み安くて驚いた。
我が家の近所では100円の自販機が主流で、120円以上の正規価格の販売機を探すほうが困難なほどである。何から何まで安い大阪だが、自販機価格も例外ではない。
今回は大阪市内をめぐって、激安ドリンクの実態について調査してみた。
まず避けて通れないのが、「またおいでや」というキャッチフレーズが印象的な、冒頭の自販機だ。この自販機、大阪では駅周辺などにポツポツと設置してあり、そのどれも大抵30~80円ほどでドリンクを買うことができる。
「FIRE」「UCC」「WONDA」など、ちゃんとした、メーカーの缶コーヒーが60円や70円で、

50円のコーヒー、「三ツ矢サイダー」も。

この「おいしさ倍返し!」といったような、誰に向けているのか分からないハイテンションなギャグも、「またおいでや」自販機の特徴である。
取材時にふらっと見つけたこの自販機だが、30円で485gという容量のペットボトル飲料が売られていた。

伊藤園の「やわらかフローズンレモン」だ。早速購入して飲んでみたが、暑い日の水分補給によさそうな、おいしいレモンウォーターであった。消費期限が取材日の20日後ぐらいで、その短さが激安価格のネックになっているようだ。とはいえ、買ってすぐ飲む分には、当然なんの問題もない。
次に別のエリアで見つけたのは、「おいなはれ」と書かれた自販機。

先ほど30円で購入したのと同じドリンクが同じ価格で売られていたり、商品のラインアップもほぼ同じで、どうも大元は同じ業者だと思われる。
「トロピカーナ」の炭酸飲料や「スコール」のペットボトル入りが50円で売られていて魅力的だが、ここはやはり20円の「伊藤園 野菜スープ ミネストローネ」を!

安すぎる……。早速飲んでみると、ちょっとぬるめかなという気はしたが、普通においしい。消費期限は3カ月も先で、まあこれから暖かくなるから季節外れの商品ではあるのだろうが、「何も20円じゃなくても!」と思いつつ、ありがたくいただいた。
20円のドリンクを飲んでぼーっとしていたら、カップルが近くを通った。男性のほうが自販機を見て「ちょっと! これ50円とかあるで! すごない?」と声を上げたが、女性は冷めた口調で「こんなん、西成行ったらいくらでもあんで」と返答していて、さすが大阪だと思った。
さあ、30円、20円ときたら、10円ドリンクを目指すしかない!
というわけでやってきたのがJR環状線・野田駅近くにある「大阪市中央卸売市場」前。こちらは「またおいでや」自販機の最安バージョンが置かれていることで有名なのだ。
これが、その10円自販機。

2台置かれていて、どちらも缶のサンプル見本などはなく、「何がでるかお楽しみ!!」とだけ書いてある。おそるおそる10円を入れてボタンを押してみると

伊藤園の「レモングラスティー」が出てきた。消費期限は4月7日。取材日の5日後だ。かなり近いが、まあどうせ今飲むし!

試しに隣の10円販売機で購入してみると、アサヒ飲料の「クールブレイク」が。こちらもレモンウォーター系のドリンクだ。こういうジャンルの飲み物、大量に売れ残っているのか? ちなみに、左右の自販機ともさらに1本ずつ購入してみたが、それぞれ同じ飲料が出てきた。中身はそれぞれ一種類の様子。4本のペットボトルを購入して40円。これはすごい。

私が自販機の前に佇んでいる間、自転車に乗った高校生が買いに来て「あ!この前のと中身違う!」と笑って去って行ったり、中年男性2人が連れ立ってやってきて「これ、おごります」といって10円で恩を着せて行ったりした。近所の名物スポットになっているようだ。
自販機の前にはドリンクの在庫を積んだワゴンカーが停まっており、作業をしている人がいたので声をかけてみると、10円自販機の中身は割と頻繁に変わるらしい。時期をおいて、また来てみよう。
賞味期限間近や、季節外れの見切り商品だからこその激安価格。どうせ廃棄するなら、わずかな額でも元を取ろうとする、大阪人の商売根性を見た気がした!
(文=スズキナオ
http://roujin.pico2culture.jp/)