
【リアルサウンドより】
地球から約6(ロック)万光年離れたアルカランドロス星雲からやってきた「ロック界の奇行師ヒーロー」、アルカライダー。その目的は、地球人になりすまして「ロック界の奇行師」と称し、奇術によって人々のハートを射止め続ける極悪音楽奇術集団「アルカラ」をこらしめること――だったのだが、ちゃっかりとシングル『怪盗ミラクル少年ボーイ』(アニメ「怪盗ジョーカー」主題歌)でメジャーデビューを果たした彼らが、またまた問題作をぶちかます。3月25日にアルカライダー監修による『アルカラボーナストラック大全集』だ。
アルカラはこれまでにリリースしたミニアルバム、E.P、アルバムのすべてにシークレットでボーナストラックを収録。約12年に渡ってため込んできた11曲のボーナストラックをアルカライダーが暴き出し、ひとつのアルバムとしてコンパイルしたのが本作だ。これまで伏せられてきた曲名、歌詞も初公開。さらにライブ音源として収録されていた「交差点」「偽り」は新たにレコーディングが行われた。特に「交差点」のスタジオ録音音源(自主制作盤)は既に廃盤になっているため、じつに約10年ぶりに新緑バージョンとして蘇る。つまり、『アルカラボーナストラック大全集』にはきわめてレアなトラックがぎっしりと詰まっているというわけだ。
シークレットトラックはその性格上、そのバンドのマニアックな部分が表出しやすい。「自分たちはおもしろいと思うし、熱心なファンは喜ぶだろうけど、アルバムに入れるのはどうだろうね?」みたいな。逆に言うと「あんまり表には出したくない」と判断した曲には、バンドのコアが込められている可能性が高い。そして『アルカラボーナストラック大全集』には、自ら「ロック界の奇行師」と名乗ってしまうアルカラというバンドの特性が色濃く反映されているのだ。
たとえば「今日からあなたは市長さん」(‘13年9月24日リリース/6thアルバム『むにむにの樹』)はかつてのスーパーファミコンソフトに使われているような歌だ。学校帰りに友達の家に言って、“おかん”に文句言われながら遊んだ思い出がロックオペラ風の楽曲に仕立て上げているのだが(エンディングでは“おかん”が登場して、“ちょっとお母さん、スーパーいってくる。台所にビルケットあるから”みたいな)、この原風景はまちがいなく、彼らのルーツのひとつ。最後の「8bitの音楽が 僕らの未来を変えたんだ」というフレーズが、そのことを強く示唆している。(ちなみにスーファミは16bitですが)
「偽り(New Recording Version)」(オリジナルのライブバージョンは‘06年11月リリースの3rdミニアルバム『20秒前』収録)はアルカラの破天荒なイメージを気持ちよく覆してくれる、オーセンティックなギターロックチューン。シリアスな響きを含んだメロディとともに稲村太祐(G&V)は「流されずにいたいだけさ/未知なる矛盾と希望の果てに」と力強く歌っている。真摯なメッセージ性、骨太のオルタナなサウンドがひとつになったこの名曲を2015年のアルカラの音で聴けることは、本作の大きな成果だと思う。
一発録り特有の揺れるグルーヴが印象的な「編集後記」(‘04年12月リリースの1stミニアルバム『阿呆の逆争』)は、しなやかなギターカッティングを軸にしたミディアムチューン。美しく洗練されたメロディ、ソウルミュージック的なテイストを含むバンドアンサンブル、そして、悲しいこと、つらいことが「全てが空へと 消えてしまわぬように」歌にするんだという意思を反映させた歌詞がひとつになったこの曲(まるでシュガーベイブみたいです、ホントに)が最初期のミニアルバムに収録されていたという事実は、このバンドの高いポテンシャルをはっきりと示している。
そしてアルバムの最後にはアルカライダーの1stシングル『怪盗ミラクル少年ボーイ』のライブ音源(2014年12月7日/Zepp Tokyo)を収録。音源ではコミカルなイメージが強かったナンバーだが、ライブ音源は驚くほどに攻撃的。メロコア、ラウドを自在に混ぜ合わせつつ、エキゾチックかつコミカルなメロディを挿入するという破天荒な世界観をダイレクトに体現している。この規格外の表現量は、アルカラにもぜんぜん負けていない。
アルカライダーのアルバムと見せかけて、じつはアルカラの隠れた悪行(シークレットトラック)を世に晒してしまった本作。この際、アルカラのヤバさをたっぷりと味わってほしいと思う。そして当然(?)このアルバム自体にも……(あとはご自分で確かめてください)
(文=森朋之)

アルカライダー『アルカライダー監修「アルカラボーナストラック大全集」』(ビクターエンタテインメント)
■リリース情報
『アルカライダー監修「アルカラボーナストラック大全集」』
発売:2015年3月25日
VICL-64326 ¥2,315(税抜)
・収録曲
くだけねこのうた<from 7th album「CAO」>
今日からあなたは市長さん<from 6th album「むにむにの樹」>
ボーイスカウト8つのおきて<from 5th album 「ドラマ」>
パパ泣いちゃった<from 1st E.P.「おかわりください」>
こんにちわはおかあさん<from 4th album 「こっちを見ている」>
自然<from 3rd album「フィクションを科学する」>
交差点(New Recording Version)<Original Live Ver. is recorded in「BOY NEXT DOOR」>
シンガスマイル<from 1st album「そうきたか」>
偽り(New Recording Version)<Original Live Ver. is recorded in「20秒前」>
キューリープレイス<from 2nd mini album「サビヅメ」>
編集後記<from 1st mini album「阿呆の逆争」>
怪盗ミラクル少年ボーイ(LIVE Version@2014.12.07 Zepp Tokyo)

アルカラ『20141207-ガイコツアー2014-(初回限定盤)』(ビクターエンタテインメント)
『20141207-ガイコツアー2014-』
発売:2015年3月25日
・初回限定盤(DVD+CD) VIZL-802 ¥3,500(税抜)
・通常盤(DVD) VIBL-747 ¥3,500(税抜)
※初回限定特典CD:初回限定盤に「ガイコツアー追加公演ライブCD」付属
チケットが即SOLD OUTとなった渋谷・沖縄・台湾・名古屋・神戸のガイコツアー追加5公演の中から、メンバー自らが録音・選曲・制作を手掛けたスペシャルライブCDが付属。
<DVD> 20141207 ガイコツアー2014 at Zepp Tokyo
1.Aカップ巨乳
2.カラ騒ぎの彼女
3.アブノーマルが足りない
4.チクショー
5.キャッチーを科学する
6.嘘つきライアー
7.癇癪玉のお宮ちゃん
8.藤壷のキミ
9.愚痴ばっかりのローレロレロ
10.不完全なキミ
11.む・つ・ご・と
12.ガイコツマン
13.どうでもいいウタ
14.夢見る少女でいたい。
15.半径30cmの中を知らない
16.+.-
17.扉の前にて
18.振り返れば奴が蹴り上げる
19.ドナドナドーナツ
20.ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト
ENCORE
1.くだけねこのうた
2.ゆけ!アルカライダー ~アルカライダーのテーマ~ / アルカライダー
3.怪盗ミラクル少年ボーイ / アルカライダー
※特典映像:ツアーダイジェスト&ドキュメント

アルカラ『20141207-ガイコツアー2014-(通常盤)』(ビクターエンタテインメント)
<初回限定盤特典CD> ガイコツアー2014 EXTRA
1.Aカップ巨乳~カラ騒ぎの彼女 (at 2014.12.25 神戸 ART HOUSE)
2.アブノーマルが足りない (at 2014.12.25 神戸 ART HOUSE)
3.涙腺 (at 2014.12.25 神戸 ART HOUSE)
4.カキツバタ832 (at 2014.12.25 神戸 ART HOUSE)
5.ウツリギ (at 2014.12.22 名古屋 Club Rock’n Roll)
6.ミックスジュース (at 2014.12.10 渋谷 TSUTAYA O-Crest)
7.デカダントタウン (at 2014.12.14 那覇 桜坂セントラル)
8.ガイコツマン (at 2014.12.12 台北 THE WALL)ン
9.MC (at 2014.12.12 台北 THE WALL)
10.キャッチーを科学する (at 2014.12.12 台北 THE WALL)
11.半径30cmの中を知らない (at 2014.12.12 台北 THE WALL)
12.偽偽り (at 2014.12.25 神戸 ART HOUSE)
http://www.jvcmusic.co.jp/arukara/