
冷麺を「粉から打て」と指示するなどでおなじみ、無慈悲な北朝鮮料理本『有名な平壌料理』から作ってみた! シリーズ第2弾です。
今回は、「牛足の煮こごり」に挑戦してみたいと思います。
この料理は韓国ではあまり食べたことがなく、北朝鮮の宴会でしばしば見かけます。出てくること自体が珍しいので、おそらく主に祝いの席や慶事の料理ではないかと思われます。
ゼリーの中にいろいろな薬味が入っていて、健康に良さそうですが、本によると「味が素朴で栄養価が高く、さまざまな薬効成分が入っているため健康長寿に良いです」とのこと。そ、そんなにすごい料理なのか……?
材料は以下の通り。
牛足 1kg
テール肉 400g
アキレス 100g
すね肉 500g
タン 300g
ネギ 3g
ニンニク 15g
塩 10g
こしょう 2g
錦糸卵 10g
しいたけ 10g
糸唐辛子 2g
松の実の粉 5g
辛酢味噌 60g
多いよ!
調理はとりあえず、肉を煮込むところから始めます。

まず、肉を全種類用意するのに骨が折れました。意外と一つの店で買うことができない。アキレスと牛足はハナ◯サにもなかったので、わざわざ韓国食材店まで行って調達しました。分量は適当です。
「1. 牛足は割り、テールは切ってタン、すね肉、アキレスとともにさっと湯搔いてよく洗った後に強火で煮込む」
「割る」とかサラッと書いてありますが、硬ッ!! 真ん中に骨があるので、包丁がまったく入りません。早速、無慈悲な指示に応えることはできませんでした。

全部ぶち込み、サッと湯通し。

茹で汁を捨てます。

「2. 煮え始めたら火を弱め、ゆっくりと煮立てながら脂と泡を取り除き、フタを閉めてやわらかくなるまで煮込む」
アクや脂を取り除きながら、さらに3時間ほどコトコトと煮込みます。圧力鍋なら、もっと短縮できるんでしょうが……。

「3.肉が煮えた順に取り出し、骨を取り除いたら、刻みネギとニンニク、塩、こしょうで味付けをし、茹で汁は布でこして味付けをする」
煮立った肉を引き上げ、骨を取り除きます。あんなに硬かった肉がゼラチン状になり、骨がスルッと抜けるのが気持ちよいです。


茹で汁の味付けの仕方がよくわからないので、とりあえずしょうゆとだし汁を混ぜておきました。適当……。
「4.鍋の中に、切った肉と味付けした茹で汁を6:4の比率で入れ、もう一煮立ちさせてから冷ます」
「5.ほぼ冷めたところに錦糸卵、しいたけ、糸唐辛子、ネギ、松の実の粉を混ぜて容器に入れ、冷蔵庫で6時間ほど冷まし固めた後、長方形に切って皿に置き、辛酢味噌と一緒に出す」

この時、煮こごり素人の私は失敗しました。
「これ、ほとんど水だけど、後で本当に固まるのかな……?」と不安になり、ダッシュで粉ゼラチンを買ってきて5袋すべてをザシャーーーッ! とブチ込んだのです。ざっくりすぎるレシピの説明からして、アキレス100gで固まると主張している点に疑心暗鬼となった私。それが後に弊害を生むとは……。
とりあえず、プラスチック容器に詰めて冷やすこと数時間。それらしい物体が誕生!

できたぜ!

なんだかんだで、形にはなりました。しかし、なんか見本と比べて、身が詰まりすぎじゃね? という感じも否めません。もうちょっと見本みたいに透明感がほしかったんですが。

食べてみると、「硬っ! なんじゃこりゃ!」。
そう、あの時ビビッて入れた粉ゼラチンが、ガチガチの大仕事をしてらっしゃったのです。そりゃもう、グミキャンディ並みの硬さでございました。ゼラチンを加えた分、相応の水を加えていれば、程よい硬さと透明感を醸し出すことができていたでしょう。ついでに、脂分も凝縮されたせいか、一切れ食べただけで胃もたれがしてしまいました。
しかし、味は決してマズくはなく、先輩に差し入れたところ、いつもはケチを付けられるはずが、今回はそこまでボロクソに言われませんでした。
それにしても、日本でもこれだけ手間がかかるなら、北朝鮮ではなおさら、機会を逃したら一生食えないというレベルのレア料理なのかもしれません。そのほか、これを上回る無慈悲な料理がめじろ押しなので、今後も無理のない範囲でチャレンジしていきたいと思います。
●やす・やどろく
ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>