
平成三部作『ガメラ』シリーズ、『デスノート』などで知られる金子修介監督の最新作『少女は異世界で戦った』が9月27日より全国公開される。本作は「忍者」「ソードアクション」「アイドル」をキーワードに、花井瑠美、武田梨奈、清野菜名、加弥乃ら人気若手女優がキュートなソードファイターに扮して、お色気たっぷりのアクションを展開する近未来アクションムービー。
今回、公開を前に本作の美少女ソードファイターの一人で、元AKB48の加弥乃と金子修介監督にインタビュー。作品の見所や撮影の裏話などを語ってもらった。
──加弥乃さんといえば、元AKB48で、バリバリのアイドルのイメージ。改めてなんですが、卒業後、こうして女優業へシフトしていくことになったきっかけを教えてください
加弥乃 AKB48のオーディションを受ける頃から、女優さんになりたいと思ってました。当時のAKBのコンセプトも、夢を掴むためのステップ…というようなものだったんですね。AKB時代に主演ドラマをやってから、それまで以上にお芝居の虜になったんだと思います。
──現在は事務所にも無所属とか
加弥乃 そうなんです。そんな中、金子監督にはよく声をかけて頂いてます。
──監督との出会いは、監督が講師を務めるワークショップだったと聞きました。
加弥乃 インターネットでワークショップの募集を見た時に、「あ、あのデスノートの金子修介監督だ」って。ぜひ受けようって行ったのが出会いです。
──監督の印象はどうでしたか?
加弥乃 映画監督ってすごく恐いっていうイメージだったんですけど、なんかもうオーラからして、恐くはなさそうだなって(笑)。でも、その時は監督の印象を見れるほど余裕はなかったですね。ワークショップって初めてでしたし、ずっと緊張していました。
金子監督 (加弥乃は)すごい目立ってたし、お芝居のレベルも高かった。この映画には架空のアイドルグループ「iDolls」というのが出てくるんですけど、この映画を撮ろうとなった時も、こういうグループを形成するなら彼女は絶対必要なんじゃないかなって思いましたね。アイドルグループにはマンネ(韓国語で「末っ子」)っていう存在が必ずいるんですけど、そのポジションにぴったりだなって。
──加弥乃さんはこの作品でアイドルを演じていますが、実はプライベートではアイドルと呼ばれることには少々抵抗があるとか。
金子監督 嫌なの?
加弥乃 嫌かもしれない(笑)。今でもたまに町で「AKBのメンバー?」とか言われることがあるんですけど、「違います」って。アイドル時代、アイドルをすることに葛藤があったとかではないんですけどね。女優のお仕事をしていきたいのに、「アイドル」っぽく見られるのって、あんまり良くない気がするんです。

──監督は加弥乃さんのキャリアをどう見られていたんですか?
金子監督 監督からしたらみんな被写体だから、女優もアイドルもモデルも変わらない。映画に出れば女優。出身がなんであろうと変わらないという考えです。でも、今回の映画では加弥乃ちゃんのアイドルっぽさというのが、すごく良い方向で出ていたと思いましたよ。
──加弥乃さんは本作の完成を観て、ご自身の演技をどう思いましたか?
加弥乃 2~3回観たんですけど、撮ってる時はモニターチェックとかがなかったので、アクションシーンとか、正直どんなふうに映っているか不安だったんです。でも、思った以上にカッコよく映っていて、周りのスタッフに感謝しました。
──本格的なソードアクションは初めてということで、現場ではアクション経験の豊富な武田梨奈さんに、非常に憧れの感情を持っていたとも聞きました。
加弥乃 現場で梨奈ちゃんと2人のシーンが多くて、よく話をしたりしました。わたし梨奈ちゃんと出会う前から、梨奈ちゃんのことが好きだったんですよ。尊敬していたんです。だから一緒の作品に出るというだけで、もうテンション上がってしまって(笑)。
──監督の方は加弥乃さんはじめ、女性キャスト陣のアクションシーンにはかなり満足していらっしゃるとか。
金子監督 体操ができるっていう程度だと聞いていたんですけど、こんなにできるんだったら、もっとアクション増やしてもよかったなって思うくらい(笑)。まあ、武田さんはできるのは知っていたけど、後の3人は未知数だったのでね。
──体操といえば加弥乃さんは以前、バルセロナ五輪の体操の銀メダリスト・池谷幸雄さんの体操教室に通っていたことがあるとか。
加弥乃 期間は短かったんですけど、小学校の頃通っていました。わたし、本当に運動音痴で逆上がりもできなくて、跳び箱も跳べなくて、うちのお母さんが「これはまずい、運動のできない子だ」って体操教室に入れたらしくて(笑)。小さいころは運動会で腕の振りを合わせての行進とかもできなかったんです。なんかこう、まっすぐに歩けなくて。運動会の入場を家で練習した記憶があります(笑)本当に運動音痴だったんです。
──それでも本作では、運動音痴とは思えない見事なアクションシーンの連続。しかもスタントなしで挑戦されたとか。
金子監督 スタントは一応用意したけど、ほとんど使ってないね。ほぼ本人がやってますよ。
加弥乃 私は全部です。殺陣も経験なかったですけど、頑張りました。
──ケガとかはなかったんですか?
加弥乃 アザとかはあったんですけど、大きいケガはなかったですね。
金子監督 大きなケガはなかったんですけど、結構みんな生傷は絶えなかったって。スタッフが気を遣って、僕の耳には入れないようにしていたみたいですけど。
加弥乃 そういえばわたし、現場で1回泣きました。撮影前にマットでずっと練習してたんですけど、急に現場に入ってマットなくしてやったら、背中を強く打ってしまって。体に来る衝撃が大きくて、痛いというより、びっくりで泣いちゃって。息ができなくて焦りました。ボロ泣きでしたよ。AKB時代はどんなに悔しいことがあっても泣かないって決めていたので、「あ、わたしスタッフの前で泣いてる」って、焦りました。(笑)

──運動音痴とはいえ、AKB48時代はダンスもこなし、毎日レッスンにも通っていた。
加弥乃 AKBのころは確かに、ダンスの練習が毎日ありましたね。夜中の2時とかまで。
──ダンスと殺陣だったら、どっちがハードなんですか?
加弥乃 全然殺陣です。筋肉痛どころじゃなくてベッドから起きれなかったくらいです。私だけじゃなく、瑠美ちゃんとかも本格的に体操やっていたのに、ひどかったみたいで。
──アクションをするにあたっての稽古はあったんですか?
加弥乃 ありました。期間的には1カ月くらい。週に何回だろう。2回、3回とか。
──アクションの稽古って、どういうことをするんでしょうか?
加弥乃 わたしはプロレスをやらされました(笑)。お手本を一度見せられて、これをやってって。もちろんコツは教えてもらえるんですけど、初めて見るような技をいっぱいやって、2人技も多く、相手がいないとできない技。それがすごく難しかったです。ひとりじゃ家で練習もできないし、イメトレもiPhoneで撮ったムービーだけで、結構たいへんでした。殺陣は稽古ではあまりやらせてもらえなかったですね。撮影が近くなって、ようやく剣を渡されて「なんか振り回してみな」って。
──ほとんどスタントなしということで、監督は現場で撮影中、女優陣がケガをしないか心配になったりしませんでしたか?
金子監督 心配になる反面、もうちょっと(互いの距離が)近くないとそういうふうに見えないよ、とかね。そういう部分もありました。ケガされたら元も子もないだろうけど、それを恐れて距離が遠くなっちゃうと、当たってるふうに見えない。ギリギリのところで挑戦してもらいました。
──劇中、4人のソードファイターは同時にアイドルでもあるという設定で、歌や踊りを披露していますが、元AKBということで、ほかの3人が加弥乃さんにアドバイスを求めたりすることはあったんですか?
加弥乃 めっちゃありました。特に梨奈ちゃんが頼ってくれました。梨奈ちゃんって、殺陣の型や順番を覚えるのはめっちゃ早いのに、ダンス覚えるのが意外と遅いんですよ(笑)。加弥乃は梨奈ちゃんにアクションを一から教えてもらっていたので、その逆バージョンという感じでした。一緒に深夜までダンスの練習をやってましたね。梨奈ちゃんのそういう(一生懸命な)ところが大好きでした。

──撮影の楽しさが伝わってきますね。
加弥乃 楽しかったですよ。温泉で菜名ちゃんと一緒にお風呂に入ったり。菜名ちゃんとはもう裸の付き合いでしたよ。あと、撮影中にわたしが寝ている場面で本当に寝ちゃったり。
──作品について聞きますが、監督は本作ではクールジャパンを意識して、「忍者」「ソードアクション」「アイドル」をキーワードに作品を作っておられます。
金子監督 そうです。例えばアイドルは日本の名物。原爆、忍者、富士山、アイドルなんかを念頭に、アイドルにミニスカートで刀持たしてとか、そういう日本的なアイテムを集めてストーリーを作ったらこうなったというね。
──今の時代、こういう娯楽作品で描くにはタブーで描きにくいものもたくさん出てきました。原爆や震災、放射能とか。
金子監督 タブーかもしれないけれど、そんなものタブーにしてたらダメなんじゃないの? って思ってるんです。タブーだからこそやらないといけないんじゃないのって。
──オープニングがいきなり原爆のキノコ雲とか、ショッキングに思う人もいるのでは?
金子監督 あれは『仁義なき戦い』へのただのオマージュだよ(笑)。
──3.11、放射能、原発も出てきますが、作品に監督の政治的なメッセージもこめられているのですか?
金子監督 メッセージというか事実だからね。われわれはもう放射能まみれの世界に生きてるんですよ。あなたもわたしも。
──この作品の試写会では、この映画を通じて、現代の志穂美悦子を発掘したかったともおっしゃっていました。
金子監督 昔、東映で志穂美悦子さんがやっていたような空手とか、『必殺女拳士』とかさ、そういう女の子のアクションを追求したんですよ。僕らが大学生のころって、オールナイトの上映で志穂美悦子がアクションをしだすと、客がみんな「えっちゃん! えっちゃん!」って手拍子して応援したりしたものだけど、今、そういうのを受け継ぐ人がいないなって。アクションをやりたいっていう女の子は多いけど、受け皿がないんですよ。作ってないから、みなさんやりようがないっていう。そういうもんを作っていかないといけないよなって。実際ないじゃないですか。
──ノンスタントで女の子がアクロバットな動きを見せているシーンもありましたが、ワイヤーアクションなどを取り入れようと思わなかったのですか?
金子監督 思わなかった。本当に昔ながらの生身のものを作りたかったんです。武器も刀が使いたくて無理矢理そんな設定を作りました。刀ってかっこいいじゃないですか。最後の決まったところとか。
加弥乃 わたしも剣は使ってみて、すごく度胸がつきました。受けてくれる人もうまくて。「思い切り振り回していいから」と言われて、思い切り振り回したら、すごくうまくやってくださって。楽しかったです。でも先が尖ってるので恐かったです。目とかに入ったらどうしようって。

──劇中、血がほとんど出てこないのも面白いなと思いました。意図的なんでしょうか?
金子監督 小学生にも見れるようにしたんです。あと、1回血を出すたびにコスチュームがどんどん血だらけになってしまうのも嫌でね。血まみれにするんじゃなくて、可愛いまんまでいてもらいたくて。
──加弥乃さんは本作でアクションに開眼。今後は女優としてどんな方向に進んでいきたいと思っているんですか?
加弥乃 とりあえずアクションは絶対続けたいです。映画、ドラマ、アクションだったら舞台もやってみたい。なんか殺陣でも素手でもいいです。ずっとやりたいって思ってたんですけど、今回で目覚めました。ずっと体が動く限りやりたいなって。実際、アクションの稽古には、今も通っているんです。終わってからも「来ていいよ」って言われて。撮影の時にはできなかった技が、今になってできるようになっていたりします。大人しそうってよく言われるんですけど、動いたら動けるじゃん、みたいなギャップを楽しんでもらえるような女優になれたらいいなって思います。
──最後にちょっと気が早いかもしれませんが、監督はこの作品の続編などは考えておられるんですか?
金子監督 わからないね。次の話をみなさんから募集しますよ。これが終わって、4人で次にやって行くにしても、新しい設定が必要なのでね(笑)。
(インタビュー・写真=名鹿祥史)
『少女は異世界で戦った』は2014年9月27日新宿バルト9ほか全国順次公開
オフィシャルサイト
http://www.shojo-isekai.com/
金子修介監督の小説を映像化した加弥乃主演のWEBドラマ「夏休みなんかいらない」も「VAP ORIGINAL CHANNEL(YouTube)」で配信中
https://www.youtube.com/channel/UCX2pZgr9yHgeGWeg9TTil8A