
「上野松坂屋」の屋上遊園地にて。
身の回りにいそうでいない、ちょっと変わったことをしている人や、面白そうな場所に、文筆家のやきそばかおるが直撃取材!
デパートの屋上遊園地に魅了され、各地で写真を撮り続けている人がいる。名前は木藤富士夫さん。大人になると、屋上遊園地にはあまり行かなくなるものだが、木藤さんはなぜ撮っているのだろうか? すでに膨大な量の写真を撮っているという木藤さんに、屋上遊園地の魅力を聞いてみた。

「東急百貨店東横店」の屋上遊園地。(2013年3月31日に閉園)

「山交百貨店」(甲府市)の屋上遊園地にて。
やきそば 「何枚くらい撮ってますか?」
木藤さん 「3万枚は撮ってます」
やきそば 「さ、サ、三、3万枚!?」
木藤さん 「撮影は、フィルムとデジタルの両方で撮っています。フィルムで撮る理由は、撮り慣れているからというのと、愛情表現といったところですね」
やきそば 「きっかけは?」
木藤さん 「今から10年ほど前、現在の妻と渋谷にある『東急百貨店東横店』の屋上で待ち合わせをしたのがきっかけです。子どもが遊んでいたり、サラリーマンが休んでいる光景を見て『都会の真ん中にこういうところがあるなんて、いいな~』と思って、それ以来、撮り始めました」
やきそば 「デパートの屋上で待ち合わせをするなんて、シャレてますね!」
木藤さん 「彼女の提案だったんです。渋谷の街中で待ち合わせをしたら、分かりづらいから、駅の屋上(屋上遊園地)で待ち合わせようって」
おお~~!! なんてセンスがいいんだ。彼女(現在の奥さま)の提案がなかったら、木藤さんは屋上遊園地の写真を撮っていなかったかもしれないのだ。
やきそば 「写真を見ると、遊具で遊んでいる子どもたちの表情がイキイキしていますね」
木藤さん 「でも、子どもを撮るのって、ハッキリいってものすごくハードルが高いんです。特に2~5歳くらいの子は、動いてばっかりだし、ブレてしまうんです(笑)」
やきそば 「(笑)。子どもは、はしゃぐのが仕事みたいなところがありますよね」
もちろん、大人にとっても屋上遊園地は魅力的な場所だ。夕日や青空を見ながら遊べる空に一番近い遊び場であり、風を感じたり雪景色が見れたりと、四季を感じて遊べるところも魅力だと木藤さんは語る。

「八王子そごう」屋上にあった遊園地にて。「八王子そごう」は2012年6月3日で閉店。ここの遊園地は、ファンキーモンキーベイビーズのデビューシングルのPVの撮影にも使われた。

閉園を名残惜しむ遊園地ファンからのメッセージがびっしりと。
■屋上遊園地、悲しすぎる最終日
やきそば 「そういえば、屋上遊園地って、あまり見かけなくなりましたね……」
木藤さん 「都内および都内近郊の屋上遊園地は、次々と姿を消してます。今年(2013年)は『東急百貨店東横店』や『銀座松坂屋』の屋上遊園地、それに『荻窪タウンセブン』の『屋上ちびっこタウン』が廃止され、残るは『上野松坂屋』や『京王百貨店 新宿店』など数カ所で、本当に貴重なものになりました」
※実は上野松坂屋の屋上遊園地も、建て替えのため2014年の3月に閉店するそうだ。建て替え後はパルコになるため、またひとつ屋上遊園地が消滅することとなる。今のうちに遊びに行きたいところだ。
やきそば 「地方の屋上遊園地の状況はいかがですか?」
木藤さん 「全国的に、閉園する傾向にあります。一カ所でも多く残ってほしいけど、こればっかりは僕が一人で言い続けてもムリですし……。それに、閉園最後の日だというのに、閉園時間にお客さんが一人もいなくて、ひっそりと閉園していった屋上遊園地を何度も見かけたことがあるくらいなので……」
やきそば 「う、う~~。それは悲しい」
木藤さん 「今年、神奈川にある某デパートの屋上遊園地が閉園したんですが、僕が見た限りでは営業最終日のお客さんは10人しかいませんでした。しかも、最後の2時間ぐらいは僕しかいなくて……」
やきそば 「最後まで屋上遊園地の勇姿を見守った木藤さんは、偉すぎます!」
木藤さん 「やっぱり、知らず知らずの間に閉園していっちゃうのは寂しいですからねぇ」
やきそば 「閉園する主な理由は、少子化ですか?」
木藤さん 「それも要因の一つだとは思いますが、建て替えを機に閉鎖したり、行政から補助金の出る緑化スペースにリニューアルしたりすることが多いです。サッカーやフットサル場のスペースになったりしたところもあります。それに、今の消防法では、遊園地にはつきもののテントを設置することもできないので……」
やきそば 「厳しい時代ですねぇ~~」
暑くても寒くても、木藤さんは時間さえあれば屋上遊園地に足を運んでいる。

長崎市にある「浜屋」の屋上遊園地。

埼玉県川越市にある「丸広百貨店」の屋上遊園地。
■嘆願! ぜひとも残してほしい屋上遊園地
やきそば 「木藤さんが、とりわけ残ってほしいと思う屋上遊園地は?」
木藤さん 「(即答で)長崎市の『浜屋』です。ここの屋上遊園地は歴史が長く、30~40年は雰囲気が変わっていません。ぜひとも残ってほしいです。あとは、埼玉県の川越市にある『丸広百貨店』。ここの屋上遊園地には、大きな遊具が3つもあります」
やきそば 「大きな遊具?」
木藤さん 「モノレールと、観覧車、飛行機がグルグル回る遊具といった、一般的な遊園地にあるような大型の遊具が揃ってるんです」
土曜の夕方、上野松坂屋の屋上遊園地で、木藤さんと屋上の話で大盛り上がり。気がつけば、たくさん遊んでいた子どもたちは続々と家路に。屋上遊園地に残っているのは我々2人と、遊園地の常連とみられる主婦の方の3人だけなのであった……。
やきそば 「寒くなってきましたね。帰りましょうか」
木藤さん 「いえ、私はもう少しここにいます」
●木藤富士夫さんのサイト
「Roof おくじょう」<
http://okujo.fujio-panda.com/>
日本国内外の屋上遊園地にまつわる写真や情報が満載。
※個人的には、ぜひとも写真集を出版してほしいところですが、木藤さんによると、出版させてくれる会社を募集中とのことです。
●やきそば・かおる
山口県出身、東京都在住。ライター、構成作家、写真家。趣味は、変わった人に会って、変わった話を聞くこと。「相づちだけはうまいと言われます」(本人談)
Twitter
@yakisoba_kaoru
◆「土下座してでも会いたい!」過去記事はこちらから