
『3DS電卓』(「小学二年生」2011年4月号付録)
「3つ折りDentaku Soroban」の略だから『3DS電卓』 間違ってはいない。ホワイトボードとそろばんが付いた、多機能電卓だ! 電卓部分は使いにくいが、特筆すべき小ささ。(藤村さん)
身の回りにいそうでいない、ちょっと変わったことをしている人や、面白そうな場所に、文筆家のやきそばかおるが直撃取材!
会社員の藤村阿智さんは、変な電卓ばかりを80個以上も集めているコレクターだ。変な電卓を集めたくなる衝動は、どこから生まれるのだろうか? 実際にお会いして聞いてみた。
やきそば 「藤村さんが変わった電卓を集めたくなるのは、なぜなんでしょう?」
藤村さん 「私、ほかの人が欲しがるような電卓には、興味が湧かないんです。『この電卓、誰が欲しがるんだろう』と思うような電卓を発見すると、『私が買うしかない』って思うんです」
なんて律義なんだ。藤村さんによって救われた電卓は、たくさんあるのではなかろうか。
藤村さん 「ビジネスでは使えないような変わった電卓を、なぜ作ったんだろうと思うことがあって、それを作るために真面目に会議を開いたのか想像すると、それだけで面白くて……。偉い人が決定のハンコを押したのかと思うと、たまらないですね(笑)」
藤村さんが変な電卓にハマったのは、10年ほど前に、チョコレート型の電卓を見つけて買ったのがきっかけ。
やきそば 「買った電卓は、どうしてるんですか?」
藤村さん 「整理整頓が苦手なので整理してませんが、番号をつけてから箱に入れて保管してます。たまに箱から出して、起動させてみたりして」
藤村さんは東京在住だが、学生時代は京都でCGなどを学び、文房具店に勤務。なぜか、京都の雑貨屋さんには変わった電卓が売られていることが多かったらしく、変な電卓好きにはたまらない街で暮らしていたのである。いわば、「変な電卓エリート」だ。
■藤村さん厳選! 変な電卓博覧会
※藤村さんによる「変な電卓愛」のこもった解説つき
・『ルパン電卓 タイプライター型音声電卓』(バンプレスト)

『ルパンIII世』で、その回のタイトルが出るときの、 「カシャ カシャ カシャ」というタイプ音が、 キーを押すたび聞ける。計算式の入力が終わって「=」を押せば、チャラッチャラッチャラッチャラッチャッチャッチャッ」という音と共に、衝撃の計算結果を表示してくれる。音を消すことはできるかどうか聞いてみると……。
藤村さん 「できます。音の出る電卓は、たいていはミュートできます」
それなら安心である。カッコイイ機能とはいえ、毎回音を出していたら、仕事に支障が出てしまうではないか。ただし、キーは使いにくいため、タイプライターのように早打ちはできないとのこと。個人的に私も欲しいのだが、非売品(UFOキャッチャーの商品などで使われた)なので、入手困難なのだとか。
・『TALKING CALCULATOR』(GAVAO)

押すと「いー、ある、さん、すー、うー」と数字を読み上げてくれる。
ほかにも、なぜこんな機能が付いているのかと思ってしまうような機能があるそうで……。
藤村さん 「押すと、ニワトリの鳴き声がするキーがあるんです」
どうしよう。使い道がまったく分からないまま、時間だけが過ぎていく……。
・『ママレードボーイ 光希ちゃんおしゃべり電卓』(バンダイ)

大きな声で元気よくしゃべる。数字や記号だけでなく、「頑張ってね」「なんなのよ~!」などいくつかワードをしゃべる。 キーを押すと手も動く。とにかくすごいが、なにぶん音が大きくてマンションやアパートの一室では使いづらい。ちなみに、キーを押すたびに光希ちゃんの手が動く。
・『二面式電卓WG-01』(ワールドグラフィック)

相手側にも液晶があり、同じ数字を見せることができる。レジを使わないカウンターなどで便利。高級品も販売できそうな12桁が頼もしい。
藤村さん 「例えば、電気屋さんで値下げ交渉をするとき、電卓に値段を入力して液晶をお客さんに見せることがありますが、そういうときにも使えます。ただ、割引率とかも入力するので……」
やきそば 「お客さんにはダダ漏れっていうワケですね」
そこで、メーカーは後付けで、片方の液晶にフタをつけたのだとか。
・『ケースつき I LOVE NY電卓』

幅10cm 高さ4cmと小さい電卓。「I LOVE NY」もなんで? と不思議です。持ってると、無駄な主張をしそうで不安です。
やきそば 「キーが押しづらいですね……」(写真参照)
藤村さん 「父にも使ってみてもらったら『1って押そうと思ったのに 、ON/C押しちゃった』ということがありまして、それだけでも使いづらさが分かっていただけるかと思います」
デザインのよさ(I LOVE NYがいいかどうかは置いといて)と、使いやすさは必ずしも比例しないことが多いようだ。4~5年ほど前にカッコいいデザインのガラケーがいくつか発売されたが、実際に使ってみると、キーが小さすぎて押しにくいということはよくあった。カッコよさと使いづらさは紙一重。
やきそば 「そういえば、昔、デザイナーズマンションがハヤった頃って、ガラス張りで部屋の外から丸見えのトイレっていうのもありましたよね」
藤村さん 「……」
例えを間違えた。キーの配列といえば、こちらの電卓も……。
・『ラウンド電卓』

懐かしいダイヤル式の黒電話など思い出す、斬新なキー配置の電卓。キーが円状に配列された電卓は、中国の雑貨のサイトでよく売られているという。電卓にとって、キーの配列は重要だと思うが……
「問題点といえば、摩擦でキーの数字の表示が消えてしまうこともよくあります」
数字が消えてしまうと、どのキーがどの数字なのか分からなくなってしまい、致命傷である。ただし、カシオやシャープなどの有名メーカーの電卓となると、表示が消えないようにしてあることもあるそうだ。
・『フラッシュ電卓』

レインボーに、ムーディーに、光る電卓。かなりの明るさで光る。緊急時もこれを持っていれば、光で居場所を知らせることができるだろう。 暗いところでも電卓が使える……と言いたいところだが、結構目に痛い光だ。
やきそば 「デザインはかわいいんですけどね」
藤村さん 「意味もなく光ります。しかも、点滅させることもできるんですけど、SOSを出すときぐらいしか使い道がなくて……(笑)」
藤村さんの「変な電卓探しの冒険」は続く。

●『変な電卓研究所』
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http://www.blackstrawberry.net/dentaku/index.html>
藤村さんが集めた変な電卓が次々に登場。
●『コミックマーケット85』に出展。
2013年12月31日火曜日・西地区“め”ブロック-35b
文房具を紹介する同人誌を頒布予定。
●PFU スキャンスナップの漫画
「とりこめ!スキャン家族」を連載中。
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http://scansnap.fujitsu.com/jp/beginner/comic-no1.html>
●やきそば・かおる
山口県出身、東京都在住。ライター、構成作家、写真家。趣味は、変わった人に会って、変わった話を聞くこと。「相づちだけはうまいと言われます」(本人談)
Twitter
@yakisoba_kaoru
◆「土下座してでも会いたい!」過去記事はこちらから