中島知子ブログ開設! プロフィール欄に見た“付け焼刃感”の切れ味

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中島知子公式ブログより

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎中島知子と海老蔵ブログの類似点
 中島知子、ブログ開設。海老蔵に続き、Twitterからの空前のリバイバルブームなのか。今、一周回ってブログが来ている、ということなのか。違うか。

 どちらにしても、付け焼刃的に始められたタレントブログというのは、こなれたそれとは違って、なんとも味わい深い。「店に入ったばっかりなんで、いろいろ教えてください」てな感じ。特に中島知子のブログのプロフィールったらな。「好きな漫画」や「好きな映画」に続いて、なぜか「好きなふぐ」の項目が。「とらふぐ」だって。笑わせてるのか、違うのか。一周回ってちょっと笑うが。

 店に入ったばっかりどころか、生まれたばかりに近い、ヒリヒリするよな初々しさ。リハビリだと思って、カミソリ負けしながら見守ってやるしかあるまい。

ダコタ・ファニングが子役から脱皮! 注目のGW映画『17歳のエンディングノート』

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(C) 2012 Blueprint Pictures (Now) Limited, BBC and The British Film Institute. All Rights Reserved.
 いよいよゴールデンウィークに突入する今週末、配給各社もかき入れ時とばかりに力作や話題作を一気に公開。その中から今回は、それぞれジャンルを踏襲しながらも新味を加えた洋画3本を紹介したい。  4月26日に封切られる『アイアンマン3』(2D/3D上映)は、ロバート・ダウニー・Jr.主演のアメコミヒーロー・アクションシリーズ第3作。人類滅亡の危機を救ったヒーローチーム「アベンジャーズ」の戦いから1年、トニー(ダウニー・Jr.)はトラウマに苦しみながら新型アイアンマンスーツの開発に没頭していた。トニーの公私のパートナーであるペッパー(グウィネス・パルトロウ)には、トニーに恨みを抱く研究者キリアン(ガイ・ピアース)が接近する。そんな時、謎のテロリスト・マンダリン(ベン・キングズレー)率いる悪の組織が米国家を相手に攻撃開始。標的になったトニーも襲撃され、開発拠点の自宅を多数のアイアンマンスーツもろとも失ってしまう。  『アベンジャーズ』(12)を含めるとアイアンマン役で4度目の登板となるロバート・ダウニー・Jr.は、社交的で軽薄なところもあるトニーがPTSDで苦悩するさまや、挫折と喪失の後、他者とのかかわりを通じて人間的に成長する姿を熱演。アイアンマンスーツもさらに進化し、単にトニーが装着して戦うだけでなく、別の人間を守ったり閉じこめたり、あるいは中身不在のままリモコンで操作したりと、観客をあっと驚かせる仕掛けが満載だ。監督は『キスキス,バンバン』(05)のシェーン・ブラックにバトンタッチしたが、前2作でメガホンを取ったジョン・ファブローも引き続き運転手ハッピー役で笑いを誘う。「トニー・スターク“最後”の戦い」と謳われる本作、シリーズは本当に完結してしまうのか、15年に公開予定の『アベンジャーズ2(仮題)』にはどうつながるのか。エンドロールの最後まで目が離せない。  同じく4月26日公開の『ジャッキー・コーガン』(R15+)は、ブラッド・ピットが現代のクールな殺し屋を演じるスタイリッシュなクライムサスペンス。ニューオリンズの街で、犯罪組織が運営する賭場から大金が強奪される事件が発生。支配人マーキー(レイ・リオッタ)に罪をかぶせようとする地元の悪党3人の仕業だったが、組織は事態収拾のため外部から凄腕の殺し屋ジャッキー(ピット)を雇う。「優しく殺す」がモットーのジャッキーは、感情を表に出さず独特の流儀で、事件にかかわった男たちを1人また1人と始末していく。  ブラピが立ち上げた「プランBエンターテインメント」の製作の下、『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07)でもタッグを組んだアンドリュー・ドミニクが監督。スローモーションを多用して優雅にソフトに魅せる殺しのシーンや、オバマ大統領が演説で語る国の理想と現代の裏社会に生きる人々の現実をシニカルに対比させる構成など、従来のクライムドラマの枠にはまらない演出が印象に残る。圧倒的な存在感、無駄のない所作、冷徹な口調で新時代の殺し屋を創造したブラピはもちろん、リチャード・ジェンキンス、サム・シェパードら渋いキャストの演技も味わい深い。  3本目の『17歳のエンディングノート』(4月27日公開)は、ダコタ・ファニングが余命を宣告された少女を演じる英国発の切ない恋愛ドラマ。十代前半で白血病を発症し引きこもり生活を送ってきたテッサは、17歳で余命わずかと医者から告げられる。仕事を辞めて治療法探しにのめり込む父親や現実を受け止められない母親をよそに、テッサは「お酒を飲む」「セックス」など危険な「やることリスト」を作成し、残りの人生を精いっぱい生きようと決意。そんな折、隣に引っ越してきた青年アダムに恋をしたことから、テッサは外の世界を体験し、生きることの意味を考え直していく。  監督は『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(13)の脚本を書いたオル・パーカー、アダム役は『戦火の馬』(11)でスティーブン・スピルバーグ監督から主役に抜擢されたジェレミー・アーバイン。かつての天才子役、ダコタ・ファニングも現在19歳に。最近は『トワイライト』シリーズのバンパイア、『ランナウェイズ』(11)のロックスターなどある意味コスプレ的な役どころが続いていたが、今回は白血病患者の役ということでショートヘアにごく薄めのメイクと、少女から大人の女性に変わるハイティーンの素顔がスクリーンに瑞々しく映し出される。死を前にして苦しみながらも、恋を経験して生を実感するヒロインを繊細に演じきったダコタを堪能できる一本だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アイアンマン3』作品情報 <http://eiga.com/movie/57266/> 『ジャッキー・コーガン』作品情報 <http://eiga.com/movie/77848/> 『17歳のエンディングノート』作品情報 <http://eiga.com/movie/78030/>

6年間会ったことのない娘と同居して半月、「父親の義務」ってなんだ?

【作品名】『はじめましてパパ』(後編) 【作者】大田さより 『ご近所の悪いうわさ』2013年2月号収録

【作品紹介】ある日突然シングルファザーになったバツイチの男。認知だけしていた娘・螢子と暮らすことになったが、仕事に忙しく父親業にまで手が回らない。父親業とはなにか考え、ある決断をくだすのだが……

【サイゾーウーマンリコメンド】鬼の目にも涙ね…… 最近涙腺弱いもんだから、うっかり螢子ちゃんの言葉に泣いちゃった! ツッコミどころ探してやろうなんて意地汚い魂で読んでしまって本当すみませんでした! そうね、家族ってなにかしらね。そうね、仕事ってなにかしらね。サイゾーウーマンのノンキな30代独身スタッフのくせに、思わず胸に手を置いて考えそうになりました。

(前編はこちら)

“ゆとり教育”の旗振り役からポルノ映画製作へ! 元文科省官僚・寺脇研が批判騒動の真相を語る

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“ミスターゆとり教育”と呼ばれた寺脇研氏。官僚の世界を離れ、
過激なポルノ映画『戦争と一人の女』を日本映画界に投下した。
 第二次世界大戦末期の東京を舞台に、性の快楽に溺れる人々を描いた異色作『戦争と一人の女』が公開される。江口のりこ、永瀬正敏、村上淳ら実力派俳優たちが共演。空襲の最中にセックスに励む作家(永瀬)と元娼婦(江口)との退廃的な同棲生活、そして中国大陸から帰還した傷痍軍人(村上)が連続強姦魔へと変貌していく2つの物語が同時進行する。やがて終戦と共に2つの性衝動はクロスすることに……。『ヴァイブレーター』(03)の荒井晴彦が脚本を書き、若松プロでキャリアを積んできた井上淳一監督のデビュー作となる。そして日刊サイゾー的に注目したいのが、企画・プロデュースを手掛けた寺脇研氏だ。学力低下の元凶と批判された「ゆとり教育」のスポークスマンを務めた元文科省の中央官僚である。“ミスターゆとり教育”と称された寺脇研氏は、なにゆえヘアヌード満載の反戦ポルノ映画を製作したのか。また、ゆとり教育とは何だったのか。今だから話せる官僚時代まで振り返った! ──寺脇氏は長年にわたって映画評論家として活動してきたわけですが、「なんで元官僚が映画製作を?」と不思議に感じる人も多いと思います。映画との関わりから聞かせてください。 寺脇研(以下、寺脇) まぁ、不思議に思う方も多いでしょう(笑)。「ゆとり教育」とは子どもたちを型にハメて、金太郎飴みたいに同じものを目指す教育はおかしいよってことで取り組んできたものです。私自身が型にハマるのが嫌で、高校時代は学校よりも映画館で過ごし、年100~150本くらい映画を観ていました。今でも「ゆとり世代はけしからん」と言われていますが、そういう世代間による価値観の違いは昔からあるもの。高校生だった私は大人の評論家たちが書いた映画評論を読んで「分かってないな」と感じていたわけです。そこで初めて書いた評論が高校2年のときに「キネマ旬報」に掲載され、それから今に至るまで映画評論活動が続いているんです。大学に進み、就職先を考える際に映画業界も考えたんですが、どうも映画を作る才能はそれほどない。かといって映画評論では食べていけない。そこで選んだのが文部省(現・文部科学省)でした。役人をやりながら、映画評論と二足のわらじを履いていたんです。2006年に役人を辞めた後も評論活動は続けてきましたが、ここ数年は映画評論に限界を感じるようになった。そこで映画評論家ではなく映画運動家と名乗ることにしたんです。 ──映画運動家として初めてプロデュースしたのが『戦争と一人の女』。今、戦争映画を作らなくてはと考えたのは、なぜでしょうか? 寺脇 戦争映画を作ることで、日本人が忘れつつある戦争について考えようということです。これまでいつの時代も戦争映画は作られてきたけれど、最近の日本映画界は戦争映画を作らなくなってしまった。作ったとしても左翼的立場から反戦イデオロギー丸出しで描かれた作品か、役所広司主演の『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(11)みたいにCGを多用し、人気キャストを配したスペクタクル大作のどちらかしかないでしょ? もちろん10億円くらいお金があれば戦争スペクタクルものも作ってみたいですけど、今回は自分たちができる範囲内で、四畳半スケールの戦争映画を作ったというわけです。
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戦争末期、作家(永瀬正敏)と元娼婦である飲み屋の女将(江口のりこ)は
同棲することに。死と隣り合わせの性生活が始まる。
──四畳半が舞台の戦争映画。いかにも邦画の伝統を感じさせます。 寺脇 そうです。四畳半を舞台に、低予算で人間のエロスを描いた作品です。ご覧になれば分かるように、日活ロマンポルノやピンク映画にオマージュを捧げたものです。私も脚本の荒井晴彦さんも、ピンク映画にどっぷり浸かって人生を過ごしてきましたから(笑)。 ──製作費1500万円の低予算ながら、江口のりこ、永瀬正敏、村上淳ら実力派を揃えました。 寺脇 申し訳ないことに、キャストのみなさんには「価格破壊」と言われるようなギャラしか用意できなかった。でも無理強いで出てもらったわけではありません。「荒井晴彦の脚本なら出たい」と、みなさん言ってくれたんです。今はまた安倍政権がアベノミクスとか言って、「またバブルが来る」みたいな風潮がありますが、人間はお金だけで生きているんじゃないよということです。役者たちの心意気は、お金では買えないものです。そりゃ、メジャーな作品に出れば、数倍のギャラが出たでしょうが、ギャラのいい仕事が必ずしも楽しくて充実感が得られるかというとそうではないでしょう。 ──脱偏差値教育を推進した“ミスターゆとり教育”ならではの発言ですね。 寺脇 もちろん、これがベストだとは思っていません。これからも映画製作は続けていくつもりです。まずは今回、映画業界に一石を投じることはできたと思います。限られた予算のインディペンデント映画でも、戦争を描くことはできましたよと。 ■日本人は敗戦を経験しても何も変わらない? ──坂口安吾をモデルにした作家と不感症の元娼婦が、空襲を見物している。元娼婦の「戦争が好き。みんな燃えてしまえば、平等になるから」という台詞は、社会格差に苦しむ低所得層の共感を呼びそうです。 寺脇 戦争といっても、いろんな見方や考え方ができるわけです。戦争は瞬間的に見ると「戦争ってよくないよね。悪だよね」と感じるわけですが、日本は日中戦争、そして第二次世界大戦を8年間も続けた。非日常である戦争が、日常となっていた時代があったんです。毎日ずっと「天皇のために」と考えていたわけではないでしょうし、戦争が嫌で嫌でたまらないと思っていても、その中で生きていかなくてはならず、食事もし、働き、セックスもし、排泄行為もしていたわけです。空襲が日常化していくのは戦争末期のだいたい8カ月間くらい。いつ誰の頭の上に爆弾が落ちてくるか分からない状況の中で、人々はどのように暮らしたんだろうかとね。イラク戦争時のバグダッド市民や現在のシリアの人たちは、同じような不安の中で暮らしているはずです。映画を通して、世界情勢を考えることもできるわけです。本当は今の日本だって、北朝鮮からいつミサイルが飛んでくるのか分からない状況なんだけどね。 ──強烈なインパクトを放っているのは、食料不足の状況下で「お米を分けてくれる農家を紹介するよ」という口実で婦女子を郊外に連れ出して強姦する帰還兵役の村上淳。戦後初のレイプ犯として処刑された小平義雄を連想させます。 寺脇 いや、そうなんだけどね、小平義雄の名前はなるべく出したくないんです。小平は戦争に行かなくても犯罪を犯していたでしょう。犯行の手口などは小平事件を参考にしていますが、描きたかったのはそこではないんです。小平と違って、村淳に演じてもらった大平は、自分の妻や子どもには優しい顔を見せる温和な男です。それが中国大陸へと出兵し、片腕を失って帰ってきた。性的にも不能になってしまった。戦争さえなければ、良き夫、良き父親のままで過ごせたはずだった。戦時下で暮らす男女の物語に、頭のおかしくなった帰還兵のストーリーを絡めたいと、私から荒井さんにお願いしたんです。役人だった頃は日本映画と韓国映画しか観なかったんですが、2006年に辞めてからは時間ができたので、アメリカ映画も観るようになった。その頃のアメリカ映画は、イラク戦争を題材に、帰還兵が別人になっていたという話が多かったんです。 ──『ハート・ロッカー』(08)や『マイ・ブラザー』(09)などですか?
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中国大陸からの帰還兵である大平(村上淳)。女性の首を締め、
苦しむ姿に異様な興奮を覚える性倒錯者となっていた。
寺脇 そうです。なるほど、戦場から帰ってきたら、そういうことも起こり得るだろうなと。なら、日中戦争はイラク戦争よりも期間が長く、規模も大きかったわけだから、もっとひどい経験をしただろうと。戦地に赴いた人たちは兵隊としてみんな銃を持たされ、大なり小なり思い出したくない体験をしたでしょう。狂気の男・大平には誰もがなり得るし、誰もが葛藤を抱えながら戦後を生き続けたということなんです。 ──クライマックスでは、大平に天皇の戦争責任について言及させています。「神さまが人間になられたのに、人間が人間のままでは恐れ多い」と“けだもの宣言”するくだりはベテラン脚本家・荒井晴彦の独壇場ですね。 寺脇 荒井さんの脚本通りの台詞ではあるんだけど、実はちょっと思惑が違ってしまった(苦笑)。あのシーンは大平が演説口調で語る様子を1カットで撮っているけれど、本来なら尋問している刑事も取り調べを受けている大平も、天皇の人間宣言で混乱している中での言葉のやりとりにしたかった。一長一短あるシーンになりましたね。私としては、むしろ永瀬演じる作家が「結局、日本人は戦争に負けても何も変わらない」と言うくだりに思い入れが強い。荒井さんが坂口安吾の『堕落論』から引用した台詞ですが、原発再稼働や国防問題で揺れる現代の日本に通じるものでしょう。 ■「ゆとり教育」の成果はすでに表れている! ──官僚時代についても聞いていいですか? 「ゆとり教育」の旗振り役として、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『真剣10代しゃべり場』(NHK教育)、『ここがヘンだよ日本人』(TBS系)と、あらゆるテレビ番組に出演していましたよね。 寺脇 『TVタックル』(テレビ朝日系)にも出ました(笑)。今回のインディペンデント映画の宣伝と同じです。お金がないから広告が出せない。自分でマスコミに売り込んで、インタビューに答えて記事にしてもらっているんですよ(笑)。「ゆとり教育」も同じでした。1990年代の日本はすでに成熟した社会になっていて、国民の理解なしでは受け入れられなくなっていました。あの大蔵省でさえ、自民党の一党支配時代に、消費税アップの導入に最初は失敗しています。大蔵省はお金があるから、おそらく電通あたりに丸投げして、さんざん新聞広告を打ち、テレビにも働き掛けたはずですよ。それでも失敗したわけです。大蔵省があんな挫折を経験したのは、初めてのことだったでしょう。世論というものを無視できなくなっていた。私のいた文部省は大蔵省のように莫大な広告費は使えないので、電通には頼めない。「じゃあ」ということで、私がマスメディアに出ることで「ゆとり教育」のアピールに努めたわけです。私が独断でテレビに出ていたわけじゃないですよ。ちゃんと文部省の了解をもらっていましたし、むしろ「よくやった」と褒めてもらっていました。 ──「ゆとり教育」を受けた「ゆとり世代」が、社会に出るようになりました。映画業界では若者の洋画離れ、字幕離れは「ゆとり教育」の影響じゃないかと囁かれるなど、事あるごとに「ゆとり世代」は叩かれています。 寺脇 情けない大人たちが、そうやって若い世代を叩くことで「自分たちのほうが、まだしっかりしてる」と思いたいんですよ。若者の字幕離れではなく、あれはアメリカ映画離れです。あんなさ、ドンパチばっかりやってるアメリカ映画を観るのが嫌になっただけのことですよ。それならローマ人がお風呂に入っているほうが面白いや、ってことでしょう。バカバカしいけれど、そういったものを楽しむ感性があるわけです。戦闘ゲームみたいなアメリカ映画を観て喜んでいるよりは、よっぽど高尚だと思いますよ。
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低予算ながら戦争映画を完成させた寺脇氏。
「戦後の焼け跡シーンを被災地で撮ろうという案が出たが、
却下しました。そんなことをしたら下品な映画になりますから」。
──マイペースで物静かな「ゆとり世代」を大人たちが叩くのは、バブル時代の熱狂が忘れられないから? 寺脇 忘れられないどころか、またバブルを再現しようとしているんでしょ、アベノミクスは? オリンピック誘致で「より速く~、より高く~、より強く~♪」だなんて、一体いつになったらバカが治るのか……。 ──寺脇さんは06年に退職勧奨を受けたと、ウィキペディアにあります。文科省を辞職したのは、「ゆとり教育」への風当たりが強かったせいですか? 寺脇 退職勧奨を受けたのは事実ですが、それは役人なら誰もが経験することだったんです。遅いか早いかの違いがあるだけ。今は変わってきていますけど、私たちの頃は同期の誰かが事務次官か局長クラスに就けば、なれなかった者たちは後進に席を譲るために辞めて、天下りするしかなかった。私の場合は天下りを断り、ずいぶん長居しました。それで後輩が上司になるという事態になり、組織が混乱するから辞めることにしたんです。昔からあるこのピラミッド制度をどうにかしようと、現在進められている公務員改革では大きなポイントになっています。「ゆとり教育」の責任を取らされたわけではないですよ。まぁ、「あいつをエラくしようか」という際にネックになったのは確かでしょう(苦笑)。自民党からにらまれ、「あいつを局長にするな。早く辞めさせろ」と圧力が掛かっていました。保守派にとって、「ゆとり教育」はリベラルな発想だから目障りなんですよ。安倍晋三さんが大好きな「愛国心」なんかよりも、個人個人の「生きる力」を持とうという考え方ですから。また「ゆとり教育」は一人ひとりの個性に合わせた教育を目指したものだから、左翼からも嫌われました。左翼って、なんでも平等の社会主義ですからね。右からも左からも嫌われていた(苦笑)。 ──「ゆとり教育」の成果を、どう見ていますか? 寺脇 「ゆとり教育」が始まってもう10年。そこそこ答えは出てきているように思います。それをどう評価するかという問題でしょうね。今の高校生はエラくなろうと思っているヤツが少ないといわれていますが、いいじゃないですか。そりゃ、中国みたいに発展中の国はエラくなろうとするヤツは多いでしょうけど、成熟した社会では全員がエラくなろうとする方が無理なわけです。エラくならなくてもいいから楽しく人生を過ごしたい、ちょっとほかの人のお世話もしようか。そういう考え方をする若者たちがいないと、これからの社会は成り立ちません。エラくなろうと考えている人たちは、お年寄りを大切にしようなんて考えませんよ。お金があった頃は若者たちから吸い上げた年金で高齢者は介護を受けることができましたが、もうそれができなくなるわけです。若い人たちが高齢者をいたわるような社会じゃないとダメでしょ。ゆとり教育の成果が徐々に出始め、よかったなと思っていますよ。 (取材・構成=長野辰次/撮影=名鹿祥史) 『戦争と一人の女』 原作/坂口安吾 企画/寺脇研 脚本/荒井晴彦 音楽/青山真治 監督/井上淳一 出演/江口のりこ、永瀬正敏、村上淳、柄本明  配給/ドッグシュガームービーズ R18 4月27日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開 (c)2012戦争と一人の女製作運動体  <http://www.dogsugar.co.jp/sensou> ●てらわき・けん 1952年福岡県生まれ。ラ・サール高校を卒業後、東京大学法学部へ。75年、旧・文部省に入省。大臣官房政策課長、大臣官房審議官などを歴任し、「ゆとり教育」を推進した。06年に文部科学省を辞職。京都造形芸術大学芸術学部教授を務める傍ら、映画評論家としても活動中。『韓国映画ベスト100』(朝日新書)、『さらばゆとり教育 学力崩壊の『戦犯』と呼ばれて』(光文社)、『官僚批判』(講談社)、『ロマンポルノの時代』(光文社新書)など著書多数。

デブ刑事がほほ肉を揺らし犯人を追う! 石塚英彦主演『刑事110キロ』が初回14.1%で好発進

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テレビ朝日『刑事110キロ』公式サイト
 「デブがハアハアと息を切らしながら、汗だくで犯人を追いかける。追いつかないので自転車に乗ると、パンクする……」  そんなオープニングシーンで始まった刑事ドラマ『刑事110キロ』(テレビ朝日系)が、ドラマウォッチャーの間で評判だ。  これまで沢口靖子主演『科捜研の女』や、名取裕子主演『京都地検の女』などの人気シリーズを放送していた木曜9時枠で放送。主演を務めるホンジャマカの石塚英彦がは、これが連ドラ初主演となる。  25日の初回平均視聴率は14.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、これは民間キー局で放送中の連ドラ全話平均視聴率のランキングで、『ガリレオ』(フジテレビ系)に続く第2位。  評判のワケは、主役の刑事が“面白デブ”という新しさのようで、本来ならばスパイス的な役割で脇役にまわるはずのキャラクターを思い切って主役に配置した潔さに「よく番組会議通ったなw」「テレ朝の刑事モノってだけで安泰なのに、チャレンジ精神ありすぎ」などの声が挙がっていた。  また、放送前はこの斬新な設定に対し、一部で「空回りしそう」「デブの無駄遣いになりそう」との声もあったようだが、フタを空けてみればドラマ全体がデブ刑事中心で回っており、「石ちゃんじゃないと成り立たない脚本」「こんなにデブネタが散りばめられているとは」「デブギャグに無限の可能性を感じた」と、デブを生かした脚本が高評価を受けているようだ。  特に反応が大きかったシーンは、石塚が犯人役の市原悦子に手錠をかける山場。市原が「おデブちゃん、あなたはおデブを利用してるわね。デブは人がいいと思われる」と小言をチクリ。対して、石塚が「そんなことないです。ただデブっす」と控えめに返答すると、視聴者はなぜか「しびれる!」「もう一度言って!」「シュール!www」「100点の返答! 100点のデブ!」と大喜びしていた。  さらに主演の石塚についても、「石ちゃんってこんなに演技上手なんだ」「(劇中で)小さなリュックを背負ってる太郎(役名)がかわいい」「見てると幸せな気分になる」「デブって嫌いだったけど、ちょっと好きになった」と好感度は高かった。  地味な印象の刑事ドラマに一石を投じた『刑事110キロ』。同局の『遺留捜査』が2話目で視聴率を1ケタまで落とした前例もあるだけに、今後「まいうー」な結果を残せるだろうか。引き続き注目したい。

ラーメンのフタを集め続ける「顔ジャケラーメンコレクター」

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顔ジャケラーメンについて語る永井ミキジさん。見よ、このうれしそうな顔を!
身の回りにいそうでいない、ちょっと変わったことをしている人や、面白そうな場所に、文筆家のやきそばかおるが直撃取材!  店主の顔写真が載っているカップ麺のフタを集めている人がいる。名前は永井ミキジさん。「なぜ、そんなものを集めようと思ったのか?」という素朴な疑問を抱いた私は、彼に会いに池袋へ向かった。
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永井ミキジさん(以下「ミ」) 「これが、『顔ジャケラーメン』のファイルです」 やきそば(以下「や」) 「こんなにブ厚くて、こんなにたくさんあるんですか!! いきなり本題に入りますが、なぜ『顔ジャケラーメン』を集めようと?」  「10年ほど前、コンビニに『顔ジャケラーメン』が並び始め、ある日、気になって買ってみたんです。初めて買ったのが、コチラの『なんつッ亭 黒マー油豚骨』で」 kaojake2.jpg  「パンチが効いてますね~(笑)」  「コレクター仲間の先輩も気になってたみたいで、お互いに顔ジャケの話で盛り上がりつつ、これは一つの『ジャンル』なのではないか……という話になって、集めることにしたんです」  「なんだか、揃いも揃って顔がイカツイですねぇ……」  「顔ジャケって、最初の頃はタレントやアニメキャラクター、そして周富徳とかのタレント料理人が出てきていたみたいで、その後、ラーメンブームの影響もあって『大勝軒』や『麺屋武蔵』の店主の顔がラベルになっていったんです。要するにブランド化ですね」  ちなみに、やたらと見かける、ねじりハチマキをした店主。ミキジさんはそういう店主を「天使」とカテゴリ分けしている。  「店主の皆さんって、みんな体育会の顔なんですか?」  「中には文化系っぽい人もいますが、やっぱり体育会系ですね。しかも、いろいろな顔ジャケを見ていて分かったんですけど、なぜかアゴヒゲがW型で、真田広之似で、黒いTシャツ、首にタオル、頭は天使……っていう人が多い傾向がありまして……」  「顔ジャケあるある!」  「『オシャレな顔が載ってると、売れにくい』っていう傾向もあるんです。逆に、食欲が湧く顔っていうのもあるんですよ。例えばコチラ」 kaojake3.jpg  『大勝軒』の創業者、山岸一雄さんです。チャーシュー系の顔で、見ているだけで食欲がそそられますね。ちなみに、山岸さんの味はインスタントラーメンでもいろいろと継承されていて、ここ最近だと『山岸一雄継承の味わい 孫弟子が進化させた一杯・麺絆』『麺絆 第二章・山岸一雄の心の味を孫弟子がアレンジした一杯』と孫弟子まで登場しています」 kaojake4.jpg kaojake5.jpg  「肝心の山岸さんご自身の写真は、どれも同じで使い回しっぽいですね(笑)」 ■大発見!行列の写真の男の列に“彼女”が!?  「あと、顔ジャケではないけど、ちょっと珍しい例があります。一時期、人が写っているだけでも買っていた時期があって、思わず買ってしまったものの一つです。よく見ると右上の写真のサラリーマンの列にフリーターが混ざっていますよね。 kaojake6.jpg kaojake7.jpg  それから、翌年に同じ物が復刻されてパッケージがリニューアルされたんですけど、よ~く見ると彼女(?)がいるっていう……」 kaojake8.jpg  「うわ~。写真が男くさいから、“華”も入れておこうっていうことになったんですかね?(笑)」 ■目の前に立ちはだかる、地域限定の壁……  「そもそも、顔ジャケラーメンって、どのくらいの頻度で新商品が発売されるんですか?」  「多いときで1カ月に10種弱という感じですね。頻繁に発売される時と、そうでない時があります。しかも、顔ジャケラーメンは短期間しか発売されない商品が多く、3週間くらいでお店から消えてしまうので、いろいろなコンビニやスーパーを巡回してます。だから、引っ越す時も、引越し先は歩いて行ける範囲に、すべてのコンビニチェーンが揃っているところにしてますよ」  なんとストイックなんだ。しかも、コンビニはフランチャイズなので、同じコンビニチェーンでも、お店によって置いてある商品と置いていない商品があるため、とにかくたくさんのコンビニを巡回するそうだ。  「あと、地域限定の顔ジャケラーメンがあります。この場合、知り合いがその地域にいれば頼んで買ってもらいます。ただ、どうしても手に入らない場合は、コンビニに電話して、事情を説明して、『送料を払うから送ってください』とお願いします。それでも駄目なこともあって、某コンビニの本社に電話したら断られて、『それぞれのお店の判断に任せます』って言われたので、ある県にある某コンビニチェーンのすべてのお店に電話したこともありました」  「で、送ってもらえましたか?」  「それが、全部のお店に断られてしまって(涙)。でも、数カ月くらいしたら、東京のドン・キホーテとかのディスカウントストアで叩き売りされてまして……(苦笑)。でも、よくあるんです。漂流してくることが」  「手に入るのはうれしいけど、ちょっと複雑ですね~」 ■死活問題! スープ袋に悩まされる日々  ところで、ミキジさんによると、顔ジャケラーメンコレクションについて、最近、困っていることがあるという。  「実は、最近はフタの上にスープをくっつけて売っているカップ麺がありまして…… kaojake9.jpg  ラベルが隠れてるから、ここに顔写真が載っているかどうか分からなくて、死活問題なんです!」  「ひょえ~~。それは大変!」  「買おうかどうか迷うところですが、顔が載ってないと思って肩を落としていたら、フタの裏に顔がついていることがあるので、おちおちしてられません!」 kaojake10.jpg  「隠れ顔ジャケ!!」 ■過酷!「飽き」との勝負  と、ここで、また新たなる「素朴な疑問」が生じた。ミキジさんは、買ったラーメンを全部食べているのかということだ。  「もちろん食べてます。でも、正直言うと、食べるのが大変で……。僕はそもそもオーガニック志向だし」  「ひぇ~~。ミキジさんの口から『オーガニック』という言葉が飛び出してくるとは!」   「でも、さすがに頻繁に食べてると飽きてくるんです。カップラーメンの容器で食べることにすらストレスを感じてきたので、どんぶりに移して食べたりとか、それでも飽きたら野菜をトッピングして食べるとかして……」  「なんたる努力!」  「それでも飽きてきたので、冬場に薄着でベランダに出て、自分の環境を過酷にして食べたことも……」  「……」  「ほら、スキー場でカップヌードルを食べたら、おいしく感じるじゃないですか。あれと同じです」  「なるほど~」(納得している場合ではない)  こうなると、「ぜひ展覧会を開いてほしい~」と思うところだが、ミキジさんいわく「展覧会を開くには、まだ数が少ないので、もう少したくさんたまったら……」とのこと。(一体、どこまでストイックなんだ)  「なんつッ亭」の顔ジャケと目が合ったことで、ズルズルと引き込まれてしまったという顔ジャケラーメンの世界。寒い冬に薄着でカップラーメンをすすっていたら、それはミキジさんかもしれない。もし、そうだとしても、そっとしておいてあげてください。 ●永井ミキジさんのサイト 「ミキジ自己満足ページ」 <http://www.mikiji.tv/> 本職はグラフィックデザイナーさんです。 ●取材場所協力 ヴィンテージ雑貨、食器、カフェの店「プラトー」 <http://www.plateaux.jp/> niyaniya.jpg ●やきそば・かおる 山口県出身、東京都在住。ライター、構成作家、写真家。趣味は、変わった人に会って、変わった話を聞くこと。「相づちだけはうまいと言われます」(本人談) Twitter@yakisoba_kaoru

爆破テロの容疑者が生活保護受給者だったことで、米ネットが大荒れ

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「レディット」でも白熱した議論に

 9.11同時多発テロ以降、テロ対策に全力を注いできたアメリカに大きな衝撃を与えた、ボストン・マラソンの連続爆破テロ事件。3人が死亡、170人以上が負傷するという大惨事となった。FBIは監視カメラの映像を決め手に、タメルラン・ツァルナエフとジョハル・ツァルナエフの兄弟を容疑者だとすぐに特定。タメルラン容疑者は18日に警察と銃撃戦を展開した末に死亡、19日には逃走中のジョハル容疑者が逮捕された。

 最新情報によると、主犯だとされるタメルラン容疑者は、マサチューセッツ州ケンブリッジに居住するイスラム教徒の人物に洗脳されたとのこと。今後も、類似のテロ事件が起きるのではとアメリカ人を不安にさせている。

山田涼介が暴露、有岡大貴がベッドに潜り込んできた!?

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【ジャニーズ研究会より】

<アイドル誌チェック!!>

 「duet」(ホーム社)2013年5月号、早速、中のインタビューページから見てみましょう。新生活・新学期が始まったばかりのこの季節、NEWSは出会いにまつわるエピソードを語っています。

 『ピンクとグレー』『閃光スクランブル』(ともに角川書店)と著書がいずれも大ヒットとなっている加藤シゲアキは、年の離れたコピーライターとの出会いが人生を大きく変えたそう。「その人と出会わなければ、小説家“加藤シゲアキ”は存在してなかったと思う。当時のオレは、ブログやエッセイこそ書いていたけど“面白い文章”が何か分からなかったの。でもその人と会話する中で、同じ言葉も使い方で、色っぽくも男っぽくも変わるってことを知って、どんどん興味が増していった」。加藤の著作はいずれも、芸能界で生きる人の苦悩や葛藤が繊細な文章でつづられていましたが、その原点にコピーライターという言葉を扱うプロがいたというのには思わず納得してしまいます。とはいえ、加藤の表現は加藤自身が作り上げたもの。もともとの感性と、相手の言葉を受け入れる素直さがあったからこそ、加藤の才能が花開いたのでしょうね。

吉野家の誤算 最終赤字で路線修正…値下げの舞台裏と、値下げ競争再燃する業界の行方

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) フジテレビ低迷の裏側〜実力アナ放置、企画がテレ朝に流出、年収1100万… 池田信夫「上杉隆は、自らの盗用をわかって私を名誉毀損で提訴。言論を萎縮させてる」 トヨタ、TPPでスズキら軽自動車への圧力を狙う米国に協力? ■特にオススメ記事はこちら! 吉野家の誤算 最終赤字で路線修正…値下げの舞台裏と、値下げ競争再燃する業界の行方 - Business Journal(4月25日)
過当競争はダメだとあれほど…。(「吉野家 HP」より)
 牛丼チェーン、吉野家を展開する吉野家ホールディングス(HD)の経営が迷走している。  吉野家は4月18日より牛丼並盛りを380円から280円へと100円値下げした。並盛りが280円になるのは牛海綿状脳症(BSE)問題で牛丼の販売を止める前の2004年以来9年ぶりのこと。期間限定ではない通常の値下げによる280円は株式を上場して以来の最低価格になる。  吉野家はこれまで、ライバルの「すき家」(ゼンショーホールディングスが運営)、「松屋」(松屋フーズが運営)との低価格競争に距離を置いてきた。それが一転して価格競争に参戦したのは、吉野家が一人負けの状態から脱し切れないからだ。  09年12月に、すき家と松屋は期間限定の値下げに打って出た。両社が既存店売り上げを伸ばすなか、吉野家だけが09年2月期から13年同期まで5期連続の決算で前年割れとなった。 「従来の価格では、満足できる売り上げに届かなかった。客が求める価値のうち、今は価格が最も大きい要素だ」。安部修仁・吉野家HD会長兼吉野家社長は、4月10日に開かれた13年商品戦略発表会で、値下げする理由をこう説明した。値下げしなければ売り上げを伸ばすことができない、と認めたわけだ。価格戦略の失敗をトップが公式の場で認めたのである。  同時に、牛丼の定価を最大100円値下げすることで客を呼び込み、業績回復につなげるとの考えを示した。値下げ効果で客数が3割、売上高は15~20%伸びると皮算用した。  価格戦争の標的にされて“負け組”に転落した吉野家HDの経営は迷走した。13年2月期の連結決算は発表直前になって、4億円の黒字から最終損益が赤字になった、と下方修正する失態を演じた。  13年2月期の売上高は前期比0.8%減の1645億9900万円。本業の儲けにあたる営業利益は同60.9%減の18億7700万円。不採算店などの閉鎖に伴うロスを特別損失として計上したため、最終損益は前期の13億1000万円の黒字から3億6400万円の赤字に転落した。最終赤字は10年2月期以来、3期ぶりのことだ。  業績をいかにして回復するか。黒字転換の切り札に据えたのが牛丼並盛りの100円の値下げだった。「安さ」を武器に客を呼び戻す作戦だ。14年2月期連結決算の売上高は5%増の1730億円、営業利益は60%増の30億円、最終損益は10億円の黒字となるとの見通しを明らかにしている。  V字回復の根拠は2月の米国産牛肉の輸入規制緩和により、BSE問題で牛丼の販売を休止する以前に使っていた部位の肉を使用できるようになったことによる品質の向上と値下げの相乗効果で、国内の吉野家の売り上げが13%増と急回復するというのだ。  しかし、これは見通しというより、願望に近い。価格競争が始まった当初は、値下げが集客力を高める効果があった。だが、消費者が値下げに慣れっこになったこともあり、値下げが集客に結びつかなかった。昨年春以降、すき家も松屋も低価格を前面に出した期間限定の値下げキャンペーンが鳴りを潜めていた。コメと牛肉価格の高騰で、軒並み業績が悪化したためで「牛丼(の価格)戦争は終った」とまで言われた。  ところが、吉野家は反転攻勢に転じた。低価格戦略にカジを切ったのは吉野家HDの河村泰貴社長。名物社長だった安部修仁会長の後任として昨年9月社長に就任した。2代続いてのアルバイトからの叩き上げ社長である。吉野家の立て直し策として打ち出したのが低価格の実験店だった。  店の名前は「築地吉野家 極(きわみ)」。12年10月、東京・板橋区と江戸川区に2カ店を出店した。メニューは牛丼並盛り(250円)と大盛り(400円)に絞った。並盛り250円は、すき家や松屋の280円を下回り、業界最安値だ。メニューを絞り込むことによって調理器具を少なくしたほか、床のコンクリートを打ちっ放しのままにして出店時のコストを約4割カットし、低価格を実現した。  米国産牛肉の輸入月齢が緩和されれば牛肉の価格は下がる。それを先取りして、いち早く、低価格店を開店したわけだ。実験店の成果が上がれば、3年間で100店舗を展開する計画だった。  ところが、「築地吉野家 極」は開店から3カ月後の13年1月1日に早くも値上げに踏み切った。牛丼並盛りは30円値上げされて250円から280円になった。業界最安値で大幅な来客数の増加を狙ったのだが、期待したほどは客数が増えず、経営は軌道に乗らなかった。  しかも、この実験店はチェーンオペレーションの掟破りだった。チェーン本部がやってはいけない禁じ手をトップダウンで繰り出したことになる。チェーン店は北海道から沖縄まで同一商品を同一価格で売る「一物一価」が原則だ。河村社長が実験したのは「一物二価」制である。  同一チェーンの店で価格差が生じると、あっちの店は高く、こっちの店は安いということになり、消費者の信頼が得られなくなる。公平の原則を保てなくなると、チェーンの経営は大ごとになるから、チェーン本部は契約解除をちらつかせるような強引な手を使ってでも一物二価をやめさせる。これが経営上の要諦である。ところが、吉野家HDはチェーン本部が率先して一物二価をやった。経営者として問題ありだ。  実験店がうまくいったとは思えないのに、今度は全店で、継続的な値下げに踏み切った。エイヤとばかりに強行突破だ。  吉野家が並盛りを280円に値下げすれば、値下げの効果を封じるために、ライバル2社が250円に値下げするのは確実だ。それが価格競争というものだ。値下げで国内の吉野家の売り上げが13%増えるようなら、吉野HDはここまで追い込まれなかったはずだ。  皮肉なことに、吉野家の値下げの仕掛けが、ライバル2社の対抗心に火をつけ、業界最安値の250円へと誘(いざな)ったのである。「築地吉野家 極」は250円ではやっていけなくなったが、「すき家」、「松屋」が250円でやれることを実証したらどうなるのか。  結局、また、吉野家が価格競争で敗者になるということなのではないのか。 (文=編集部) ■おすすめ記事 フジテレビ低迷の裏側〜実力アナ放置、企画がテレ朝に流出、年収1100万… 池田信夫「上杉隆は、自らの盗用をわかって私を名誉毀損で提訴。言論を萎縮させてる」 トヨタ、TPPでスズキら軽自動車への圧力を狙う米国に協力? 孤独死は増え続け死に場所も不足…老人ホームよりもいい“サ高住”の問題点とは!? 日本郵便、会員サービスめぐり訴訟 グッズ発注で利権、辞職者も陳述書、組織的関与か