
宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!
みなさんがカルト宗教の活動を直接目にすることができるのは、彼らが路上で勧誘活動をしている場面が多いと思います。当然、関わりあいになれば勧誘されてしまいます。しかし実は、そんな面倒くさい思いをすることなく、堂々と(かつ他人事として)カルトの活動を眺めていられる機会がまれにあります。それは、カルトによるデモに出くわした時です。
■カルトなデモ
日本のカルトの中で際立ってデモが好きなのは、壺や印鑑などを高額で売りつける霊感商法で有名な統一教会(世界基督教統一神霊協会)です。言うまでもありませんが、彼らのデモは「壺を買ってくれ!」と訴えるわけではありません。たとえば東京・秋葉原で性表現・性風俗規制の強化を求める「Pure Love デモ行進」を行ったり、全国で「拉致監禁 強制改宗抗議デモ」を行ったり。
「拉致監禁 強制改宗抗議デモ」は、「統一教会を批判する勢力が統一教会信者を拉致監禁して強制改宗させている」とする統一教会側の主張に基づいたものです。統一教会側は4000人以上が、この拉致監禁の被害に遇っていると主張していますが、客観的根拠は示されていません。
デモは、彼らの主張をアピールするためのもので、勧誘目的ではない場合が大半です。繁華街で「手相の勉強をしているのですが」「ボランティア活動に興味はありませんか?」などと声をかけてくる統一教会信者につかまると勧誘されますが、デモの最中の信者たちに近づいても、ビラなどを渡される程度です。
■ひねりすぎてはいけない

私が初めてカルトのデモをいじったのは、2011年5月の東京・渋谷でした。福島第一原子力発電所の事故を受けて、当時の菅直人首相が浜岡原発の停止を求め、これに反発した幸福の科学の政党「幸福実現党」が、「原発はクリーンエネルギーだ!」「原発を止めるな!」とする2000人規模の原発賛成デモを行ったのです。私は漫画家の村田らむ氏と一緒に防護服を着こみ、放射線測定器を片手に、そのデモに参加しました。
ふつうに考えれば、明らかにおちょくっています。しかし、やたら目立つ防護服姿に幸福の科学信者は大喜び。私が口からでまかせで
「(防護服の)このブルーのラインが、幸福実現党のシンボルカラーなんですよ」
と言うと、信者たちから
「おお!」
「列の先頭に立って」
などと大歓迎されてしまいました。
私たちの皮肉は、幸福の科学の信者たちにはわかりにくかったようです。
■わかりやすくして再挑戦

カルトなデモいじりは、とにかくわかりやすくしなければ伝わらないということを学んだ私は、同年9月、今度は統一教会のデモをいじることにしました。
当時、統一教会は、「週刊文春」が掲載した<統一教会 日本から「4900億円送金リスト」を独占入手!>という記事に抗議して、連日、発行元の文藝春秋社前で抗議活動。文藝春秋社が謝罪するまで「無期限リレー断食」を行うとしていました。
そこで私は前出の村田らむ氏や知人と連れだって、抗議活動中の統一教会信者たちの前に立ち、松屋のビビン丼や牛丼、カレー丼などを食いまくる「暴飲暴食デモ」を決行したのです。用意したメニューはほかに、メッコール、キムチ、プリンなどのデザート。
統一教会のデモ隊のリーダーに、こんな内容の抗議文も手渡しました。
<断食反対! 抗議の暴飲暴食スト決行!>
<私たちは、断食という行為に対して強く抗議します。みなさんが断食をやめるまで、私たちは命をかけて暴飲暴食を繰り返す決意です。止めても無駄です。私たちに暴飲暴食をやめて欲しければ、しっかりご飯を食べてください。>
断食でふらふらしているデモ隊リーダーの前で、松屋のどんぶりを食いまくり、メッコールを一気飲みです。
もちろん、シュプレヒコールも忘れません。
「断食ハンターイ!」
「おかわり!」
「メッコール!」
■統一教会はわかってくれた
ここまでやっても、統一教会のみなさんは我々を温かく迎えてくれました。デモ隊リーダーは我々の抗議文を読んで「吉本並みに面白い」と大絶賛。食べ過ぎて気分が悪くなった私を、「断食より暴飲暴食のほうが体に悪いんじゃない?」と心配してくれました。
デモを終える際には、信者の皆さんが我々に向かって、「お付き合いいただき、ありがとうございました!」と一斉に拍手を送ってくれました。
一方の我々も、信者たちに「健康には気をつけてください」と声をかけ、ミネラルウォーターを配布(断食中でも水だけは口にできるそうです)して、その場を後にしました。カルト信者たちとの間に友情が芽生えた瞬間です。
後日、「週刊文春」の記事をめぐって、文藝春秋社と統一教会との間で話し合いがもたれました。そこに、先ほど登場したデモ隊リーダーも同席。暴飲暴食デモのことを引き合いに出して、文藝春秋社の関係者たちに向かって「こっちはバカにされて頭に来ているんだ!」などとわめき散らしていたそうです。
どうやら、暴飲暴食デモを文藝春秋社の差し金だと勝手に思い込んでいたようです。もちろん、実際には私たちが思いつきでやっただけのものなのですが。
いずれにせよ、統一教会のデモ隊リーダーは、おちょくられていることをきちんと理解してくれていました。
カルトなデモをいじるときには、このくらいわかりやすくやらないと、わかってもらえません。みなさんも、デモいじりの際には、このようにわかりやすさを追求していただければと思います。
◆「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから
●ふじくら・よしろう
1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(
http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。
●上祐史浩・著「オウム事件 17年目の告白」出版報告トークライブ!【12/3振替公演】
元・オウム真理教/外報部長で、現在はひかりの輪・代表を務める上祐史浩氏が、「オウム事件」を総括した著書『オウム事件 17年目の告白』(扶桑社)を発売。その発売報告トークライブを、ロフトプラスワンにて行います! 「地下鉄サリン事件」から17年……。その間、上祐氏は何を考え、「オウム事件」にどのような総括を下すのか?
【日時】2013年1月22日 18:30開場/19:30開演
【場所】阿佐ヶ谷ロフトA
東京都杉並区阿佐谷南1-36-16-B1
JR中央線阿佐谷駅パールセンター街徒歩2分
電話:03-5929-3445 FAX:03-5929-3446
【出演】
上祐史浩(ひかりの輪・代表)
【Guest】
野田成人(元オウム真理教幹部/アーレフ元代表)
藤倉善郎(「やや日刊カルト新聞社」主筆)
瓜生崇(真宗大谷派玄照寺住職)
鈴木邦男(一水会顧問)※new!
【チケット】
前売¥1500 / 当日¥1800(共に飲食代別)
※前売券はイープラス<
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P0100P002089432P0050001P006001P0030001>にて発売中!
※12/3公演のチケットをお持ちの方は、振替公演にご利用になれます。
ロフトA web予約ページ<
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/schedule/lpo.cgi>