2013年は政治とメディアの年だった。特定秘密保護法の成立や猪瀬直樹都知事の辞任、年末には安倍晋三首相の靖国参拝で、中国・韓国ばかりではなくアメリカにまで批判されてしまった。
こうした権力をチェックするべきメディア側にも不祥事が続発してしまった。これで権力の監視はできるのか。不安を残したまま新しい年を迎える。
去年今年貫く棒の如きもの。2013年に起きた事件や提起された問題は、忘れることなく引き続き考えていかなくてはならない。
そのためにもこれらのスクープ記事を読み返してほしい。
第10位「今度は『共謀罪』まで言い出した 安倍総理、気分はもう戦争」
(「週刊現代」12月28日号/12月16日掲載)
編集長が交替して、かなり安倍政権への批判を強めようとしている現代だが、今週も巻頭で「安倍総理、気分はもう戦争」と小気味いい。これを今週の第1位に推す。
鈴木崇之編集長は「音羽の杜から」でこう書いている。
「いま自分たちも猛烈な砂嵐の中にあって、いつの間にかとんでもない事態になっているんじゃないか。特定秘密保護法に続き、共謀罪創設なんて話も聞こえてくる昨今。日本が戦争への道を進み、恐竜たちのように滅びるのは真っ平御免です」
現代によれば、EU(欧州連合)28カ国の在日本大使館の政治担当参事官が毎月1回集まり、世界情勢について意見交換する昼食会を開いているそうである。
その会合に先日、米国の政治参事官が呼ばれた。目的は安倍晋三総理がいま、何を考えてるのかを聞き出すためだったという。欧州の大使館関係者がこう語る。
「そこで米国の参事官が、安倍総理が中国と戦争するつもりではないかとの危惧を示したから会議が騒然としました。会合では今夏の麻生太郎財務相のナチス発言に触れて、いまの安倍政権の特定秘密保護法案への強硬姿勢も、まるでナチスと同じ手口ではないかという声も上がりました。要するに、いま欧米先進国の間では、安倍政権が戦争に突き進むのではないかとの不安が渦巻いてる。それほどまでに、日本は世界から『気分はもう戦争』という危険状態にあると見られているのです」
さらに驚いたのは、12月11日に「政府は共謀罪の新設検討」と朝日、日経新聞などが報じたことだ。共謀罪というのは殺人など重大犯罪の実行行為がなくても、謀議に加わっただけで処罰の対象とされるもので、現代の「治安維持法」として批判されてきたのだ。その悪法が、ここへきて急浮上してきた。
「安倍政権は11月末に『国家安全保障会議(日本版NSC)』創設関連法も成立させている。NSCは総理大臣、官房長官、外相、防衛相をメンバーとする『4者会合』を中核とし、外交・安全保障政策の司令塔となる組織。巨大な権限を持つことから、『戦争司令部』になりうると批判されているものだ。こうした既成事実を列挙すれば、確かに安倍政権は『戦時モード』へ突き進んでいるようにしか映らない」(現代)
現役米大使館幹部もこう話す。
「誤解されていますが、米国は秘密保護法に反対の立場です。東アジア情勢が安倍政権下で悪化する中で、なぜ戦時下の言論統制を連想させるような法案をあえて可決しようとするのかと、頭を抱えているほどです。オバマ大統領は、キャロライン・ケネディ駐日大使を通じて、安倍総理に『靖国だけには参拝するな』『これ以上中国を刺激して尖閣問題が再燃したら、米国は日本を助けない』とのメッセージも届けています。しかし安倍政権の動きを見ていると、忠告が全く響いていないように見える」
さらに現代は、安倍政権はこれに飽きたらず、戦時モードの強化へと突き進もうとしていると追及する。
NSC、秘密保護法はまだ序の口で、来年の通常国会では、本丸である国家安全保障基本法案が提出される見込みだというのである。
「昨年7月に自民党がまとめた法案の概要を見ると、戦争ができる国への一歩を大きく踏み出そうとしているのがよくわかります。例えば第3条では教育、科学技術など各内政分野は、国防を優先しろとの旨が書かれている。さらに第4条では『国民の責務』として『安全保障の確保に寄与』とある。早い話が国民も国防に協力しろという、国家総動員法まがいの内容です。さらに第10条では集団的自衛権を認め、第12条では武器輸出を解禁しようとしています」(弁護士の伊藤真氏)
国家安全保障基本法案がどれほど危険なものか。ビジネス情報誌「エルネオス」(13年10月号)で東京新聞編集委員の半田滋氏と対談したとき、半田さんはこう言っている。
「国家安全保障基本法案というのは去年の7月、自民党が野党だったときに総務会で決定しました。概略しか自民党はつくってませんけど、その中で自衛隊というものを法的に位置づけると言っていて、その中身を読んでいくと憲法とほとんど変わらないような規定なんです。たとえば『国民の責務』という項目があって『国民は、国の安全保障施策に協力し、我が国の安全保障の確保に寄与し、もって平和で安定した国際社会の実現に努めるものとする』と書いてある。
自民党の憲法草案にも似たような文章があって、要するに国防の義務を国民に負わせていくというような趣旨で、憲法九条の二項に『陸海空戦力をこれは保持しない』と書いてあるけれども、この中では『陸上・海上・航空自衛隊を保有する』と書いてあります。戦力という書き方じゃなくて自衛隊と明記した上で保有するとあって、国連には個別的・集団的の区分けがないところをうまく利用して、集団的自衛権の行使をやると書いている。
重要なのは、この法案は憲法よりは下だけれど国家安全保障の全体像を描いた上位法です。この法律だけでは漠然としてるので、下位法として集団自衛事態法をつくる。また自衛隊法を変えて集団自衛出動的任務規定を盛り込むということが書いてあります。それと国連の安保理制裁決議で武力行使が行われる場合には参加できるという項目もあるし、驚くべきことに武器の輸出ができるという規定まであります。
私がこの本(『集団的自衛権のトリックと安倍改憲』(高文研)=筆者注)を書いたときは、自民党の幹部の方が、これは議員立法でやりますと明言していたんです。三権分立ですから立法府としてこの法律をつくります。行政府、内閣はこの法律に従って自衛隊の活動を規定してくださいと要求していく。それによって自ずと自衛隊の海外における集団的自衛権の行使や武力行使ができるようにすると言っていた。
ところが今はシナリオがちょっと変わってきていて、安倍さんは内閣立法でやると言い出している。つまり安全保障は国の責任でやるべきだから閣法提出にすべきだ。それが内閣法制局長官の交代につながっているんです。つまり閣法で出すということは、内閣法制局で今の憲法解釈と齟齬がないか吟味してもらわなければいけません。これは合憲ですよと言ってもらわなければいけないわけで、イエスと言える法制局長官に差し替えて、万全の態勢で出していくという手続きが必要だと変わってきているんです」
内閣法制局長官を替え、体制は着々と整いつつある。これを阻止するには、民意の結集が必要である。
幸い、特定秘密保護法を無理やり通した後の世論調査では、NHKやJNNが10ポイントも下がって50%になり、共同通信などは47.6%にまで落ち込んでいる。
国民の怒りをくみ取り、安倍首相がしようとしている「戦争のできる普通の国」をやめさせるために週刊誌は何ができるのかを、真剣に考え誌面化しなくてはいけないこと、言うまでもない。
第9位「現役100人ヤクザ世論調査」
(「週刊ポスト」1月1・10日号/12月24日掲載)
ポストがヤクザ100人に世論調査をしたという。
対象は山口組、住吉会、稲川会といった広域団体をはじめ、全国の指定暴力団に限定してあるという。
役職の内訳は一次団体のトップである代紋頭1名、一次団体幹部6名、二次団体幹部67名、一般組員が26名。
まず「景気は回復していると思いますか?」という問いに、「いいえ」が94%。暴力団側の言い分はこうだ。
「今のヤクザの景気は飛行機の尾翼だ。上がるのは最後で落ちるときは最初」(56歳、東京)
「安倍政権を支持しますか?」では、「いいえ」が81%にもなる。その理由を聞いてみると、
「目が死んでる。線が細すぎる。死ぬ気でやってるとは思えない。本気で喧嘩ができるようにも見えない」(66歳、中国)
意外にも「自宅は持ち家ですか? 賃貸ですか?」には、持ち家が73%もいる。
「月々の飲食費はいくらですか?」には、0~5万円が41%、5万~10万円が25%、それ以上使うヤクザが34%もいる。
「去年と比較して年収は上がりましたか?」には、「いいえ」が96%と、ほぼ全員が暴力団排除法などの影響を受けて収入は下がっているようである。
「結婚していますか?」という問いには、「はい」が56%もいる。「生まれ変わってもヤクザなりますか?」というのには、なんと「はい」が60%もいるのだ。しかも、若いヤクザに多いというのである。
「俺はヤクザという生き方が好きなんで、何度でもヤクザをやる」(25歳、中部)
「はい」と答えた暴力団員の9割は20代の若手組員だったそうだ。「NO」と即答したのはすべて年配の経験豊富な上層部だったという。
こんな面白い世論調査は、週刊誌にしかできない。
第8位「『ユニクロ』『ワタミ』はなぜ新入社員が次々やめるのか」
(「週刊現代」4月13日号/4月2日掲載)
「ワタミ」には失礼だが、論じる価値はあまりないと思うが、天下の「ユニクロ」が“ブラック企業”のようなところがあるというのは興味津々である。
冒頭、現代はショッキングな数字を示す。09年に「ユニクロ」に入社した新卒新入社員の「3年内離職率」が、なんと53%にもなるというのである。しかも、ここ数年間も50%前後で推移しているというのだ。
11年に入社して昨年退社したA君が、こう語る。
「採用活動自体は、エントリーシート、筆記試験、面接数回、という他の企業と変わらないものでした。ただ、内定後からとたんに厳しくなった。まず研修。僕のときは、夏休みにホテルに2~3日軟禁状態にされ、23カ条に及ぶ長い社訓を丸暗記させられました。
最後の日にテストをするんですが、一字一句間違えてはいけない。かなりの数の内定者が合格できず、居残りで勉強させられた。営業部長クラスの社員が指導に当たっていたんですが、『ふざけてんのか』『やめたい奴は今のうちに言っておけ』と常にプレッシャーをかけられていましたね」
入社してからが、さらにきつかったという。店長になるための昇進試験を受けさせられるのだが、そのために、会社が作っているマニュアルを覚える。門外不出のため、店を閉めてから勉強を始めるから深夜に及ぶこともある。
A君は見事一発で店長試験に受かり、わずか半年で店長になる。しかし、試験に受かっていない年上の部下と、スーパーバイザーと呼ばれる上司との板挟み、売上げ目標の達成が至上命令で、半年ぐらいで「うつ病」と診断され、結局退職する。
仕事量は多く、新入社員は残業代が出るが、店長は管理職扱いだから、朝から夜中まで働いても残業代は出ない。
しかも、幹部社員全員の口調が柳井正社長にソックリで、恐ろしくなったと、元社員のB子さんが話している。
こうした個人企業は得てして宗教団体のように、一人のカリスマの下にひれ伏してしまうようになりがちだ。それ自体が悪いとは言わないが、今どきの新入社員はそうしたものに馴染めずに辞めていくのだろう。
学生側の甘えの体質にも問題はある。だが、早すぎる管理職登用は、安く社員をこき使おうという会社の意志だと思われても仕方あるまい。日本有数のグローバル企業のお寒い内情は、柳井社長が率先して反省し、変えていくしかないはずである。
「ユニクロ」は週刊誌にとって大事なクライアントではないのかもしれないが、天下の「ユニクロ」に噛みついた現代の心意気やよしである。
第7位「『大手マスコミ』の人事部長が就活女子学生をホテルに連れ込んでいた!」
(「週刊文春」5月23日号/5月21日掲載)
グランプリが出るのは久しぶりである。だがこの記事、興味を持って読み始めたが、どうもよくわからない。
昨年暮れ、有名大学に通うA子さんは、企業説明会で共同通信総務局兼人事部長だった52歳の今藤悟氏と知り合い、作文の添削をしてあげると呼び出された。
夕食をともにし、その後、酒を飲んだのだろう。終電がなくなり、タクシー代もなかった彼女は、男が「ホテルを取ってあげる」という言葉を信じて(?)、ホテルの部屋に入ったところで、関係を迫られたというのである。
ここにはどこまでコトが進んだのかは書いていないが、彼女は男の卑劣な行為が許せない、訴えたいと思い、男と会って話したが平行線に終わり、彼女は文春に持ち込んだのであろう。
その後、今藤は上司にこのことを告白し、部署から姿を消してしまうのである。
本人も会社側も、彼女との件を知った上での処分なのかと思うと、文春のインタビューに共同通信の三土正司総務局総務は、その件は承知していないと答えている。
それに「単なるウワサでいちいち調査します?」とまで言ってのけているのである。
今藤のほうは「合意の上」とでも上司を言いくるめているのであろうか。文春は実名まで出して書いているのだから、相当な裏付けがあるはずである。
それにしては大通信社の対応がはっきりしないのはなぜなのか。こうしたウワサが出ること自体、メディアにとって由々しきことなのだから、はっきり調査をして事実関係を調べるべきであろう。
こう思っていたら、今日(5月21日)のasahi.comにこの記事が出た。
「共同通信社は20日、就職活動中の女子学生に不適切な行為を行ったとして、今藤悟・前人事部長を懲戒解雇とし、監督責任がある石川聡社長を報酬減額とするなど計6人の処分を決め、発表した。
同社によると、前人事部長は同部長だった昨年12月、就職活動中の女子学生と個別に接触し、作文指導したのをはじめ、不適切な行為をしたという。社長らその他の役職員は、前人事部長への管理監督責任が問われた。前人事部長については、週刊文春5月23日号が「企業説明会で知り合った女子学生を呼び出し、ホテルに連れ込んだ」などと報道。共同通信社は「『不適切な行為』の詳細は説明できない」としている。(中略)
<共同通信社の伊藤修一専務理事の話> 今回の事案を極めて重く受け止めており、二度とこのようなことを起こさないよう職員の規律維持に全力を挙げ信頼回復に努めます。これまで公表してこなかったのは当該学生の就職活動に影響がないよう配慮したためです」
明らかに伊藤専務理事は虚偽の発言をしている。文春が報道しなければ、ウヤムヤにすまそうと思っていたに違いない。三上総務は「ウワサだ」と断言しているのだ。
比較的良心的だといわれる共同通信でさえ、この体たらく。メディアの信用はどこまで落ちれば底を打つのか。暗澹たる気持ちになる。
第6位「週刊朝日新編集長が“セクハラ常習”で更迭」
(「週刊文春」10月17日号/10月15日掲載)
週刊朝日にまたまた不祥事が起こり、編集長が更迭されてしまったというのだ。それも文春が取材してから、慌てて処分を発表したのだから、朝日新聞のコンプライアンスはどうなっているのかと心配になる。
朝日は佐野眞一氏の「ハシシタ」で橋下徹大阪市長から猛烈な抗議を受け、当時の編集長が更迭され、朝日新聞出版社長が辞める大騒動になってしまった。
その立て直しを図るべく小境郁也氏が編集長になったが、その小境編集長が「セクハラ常習者」だったというのだから、お粗末すぎて開いた口が塞がらない。
朝日新聞出版関係者がこう話している。
「いまは朝日新聞社と朝日新聞出版に分社化されていますが、08年までは同じ会社だった。社員の行き来がある2つの会社のなかの何人かの女性が、小堺氏と関係を持っていたというのです。小境氏には妻子がいますが、長く別居していて現在は一人暮らし。ある女性記者と不倫関係にあったのは社内では有名だし、過去にも別の女性問題が取り沙汰されたこともありました」
別の朝日新聞出版関係者もこう語る。
「気に入っている女性がいると、『○○と飲んでるからおいでよ』と動誘いだし、女性が来ると同席していた人を帰らせて2人っきりになるのが常套パターン。酔った勢いで抱きついたり、いきなり胸を揉んだり無理やりチューしたり。テーブルの下で強引にスカート内に手を入れ、太ももの奥を触りまくることもありました」
今回はセクハラを受けていた女性が周囲の女性に相談し、これまで関係があった女性の名前などを書いた連判状のようなものを作り、朝日新聞本社に報告したという。
だが、文春の取材に対して朝日新聞側は「現在、事実関係を調査中」と悠長なことを言っていたのだが、文春が発売される前日に「週刊朝日編集長を懲戒解雇 重大な就業規則違反」と紙面で発表したのである。
「朝日新聞出版は、同社が発行する週刊朝日の小境郁也編集長(53)=朝日新聞社から出向=に重大な就業規則違反があったとして編集長を解任し、朝日新聞社は8日付で小境編集長を懲戒解雇処分にした。併せて朝日新聞出版は上司の監督責任を問い、9日付で青木康晋(やすゆき)社長を役員報酬減額、尾木和晴雑誌本部長を減給処分とする」
後任の編集長には、朝日新聞東京本社写真部の長友佐波子(ながとも・さはこ)フィーチャー写真担当部長が9日付で就いたという。女性ならセクハラはないだろうという朝日新聞らしい姑息な考えのように思えるのだが。
その長友新編集長は、今週号の挨拶でこう書いている。
「前編集長は重大な就業規則違反があり、8日付で懲戒解雇処分となりました。昨年、小誌は橋下大阪市長の差別記事を掲載した反省から『家庭で安心して読めるニュース週刊誌』を目指してスタートしたばかりでした。1年にも満たない時期での不祥事に読者の皆様の期待と信頼を再度裏切ることになりました。深くお詫びします。(中略)たいへん厳しい状況ではありますが、1922年発刊、92年目を迎えた週刊朝日が社会から信頼される雑誌となるために、編集部一同、初心に帰って努力していきたいと思います」
先週オフィスへ来た、AERAで働いたことのある人間がこう言っていた。
「小境編集長は以前から女性関係に問題のあることで有名でした。あんな人を橋下の不祥事のあった後に据えるのは問題だと言われていた。今度の長友編集長にも、そうした噂があると聞いています。なぜ朝日はそうした人を据えるのか。人材がいないのでしょうね」
次に何か起こせば確実に休刊となる。長友編集長には相当な覚悟で臨んでもらいたいものだ。それと、もっと面白い読みでのある雑誌にしてほしいと、お願いをしておく。
なんとか創刊100周年までは頑張れ!
第5位「不倫露見で私生活が『死のロード』『阪神和田監督』と『モノマネ女王』修羅7年の記録」
(「週刊新潮」7月11日号/7月8日掲載)
2012年は巨人の原監督に女性スキャンダルが出て大騒ぎになったが、今週は阪神を率いる和田豊監督(50)の女性スキャンダルを新潮がすっぱ抜いた。この記事に久しぶりのグランプリを贈りたい。私がアンチ阪神だからというわけではありませんぞ。念のため。
「和田さんは元々、松田聖子さんの大ファン。それで、聖子さんのモノマネもしている私のファンになったそうです。初めて会ったのは、03年の冬。(中略)それからしばらくの間は友人としての関係が続きました。(中略)
初めて肉体関係を持ったのは05年の10月。この年、阪神はリーグ優勝し、日本シリーズの相手はロッテだった。で、日本シリーズの4戦目、この日負けたら終わり、という試合を甲子園まで見に行ったのです。結局、試合には負けてしまい、その日は和田さんの友人たちも一緒に居酒屋で残念会になった。(中略)
その後、和田さんがホテルまでタクシーで送ってくれ、一緒に部屋に入り、キスをしてベッドに倒れこんで……。避妊はしなかった。和田さんと付き合い始めてから、私はピルを飲むようになりました。
同じ年の12月、ハワイの優勝旅行があったのですが、和田さんから頼まれて同行しました」
こう語っているのは松田聖子などのモノマネで知られるタレントの星奈々さん(40)。星さんは93年にテレビのモノマネ番組に出演して芸能界デビュー。以降、フジテレビの『ものまね王座決定戦』の常連となり、2000年までに優勝3回。幅広いレパートリーを誇る「女王」としてモノマネ界に一時代を築いた。
男と女の関係になったのは和田氏が42歳、星さんが32歳のときになる。和田氏はその当時、阪神の一軍の打撃コーチだったそうだ。
しかし、甘い交際は長くは続かなかった。06年1月に、和田氏の奥さんから「もうやめていただけますか?」というメールが来るのだ。
自宅のパソコンにあった2人のやり取りを、すべて見られてしまったのである。
それからの和田家の惨状は凄かったようだ。奥さんのほうは一度は離婚も考えたようだが、子どもがいるため踏みとどまった。
その後も和田氏のほうが煮え切らずズルズルと関係を続けていくが、07年の末に、あることがきっかけで2人の仲は決裂してしまう。
彼女はそのことでうつ病になり、声が出なくなる。歌が歌えないので仕事も来なくなり、借金をするまでになってしまったという。
和田氏は新潮の取材に、俯いたまま何も答えなかったが、弁護士からの回答文で、彼女との関係を認め、深く反省しているとしている。彼女は、和田氏が無言だったということに憤り、こう語る。
「しかし、彼はまたしても逃げた。私から逃げ、取材からも逃げた。曖昧な態度に終始して逃げ続けたことが今のこの事態を招いたという事実。彼は未だにそれが理解できていないのでしょうか」
阪神ファンの反応はどうなのか。甲子園で和田監督へのヤジは飛ぶのだろうか。
第4位「三鷹ストーカー殺人事件」
(「週刊文春」10月24日号/10月21日掲載)
東京・三鷹市でタレントの卵、鈴木沙彩さん(18)が池永チャールストーマス容疑者(21)に殺された事件は、週刊誌の格好のネタだと思うのだが、新潮にしては珍しくワイドの一本でしかやっていない。
現代、ポストも続報はなし。文春だけが5ページ割いて追っているが、捜査担当者から聞き出したに違いないと思わせるほど、かなり詳しい内容である。事件取材はこうでなくちゃいけないと思わせてくれた文春が今週の第1位だ!
事件が起きたのは10月8日16時50分頃、三鷹市の閑静な住宅街に住む私立高校3年の鈴木さんは、自宅内にいるところを、かつての交際相手だった池永容疑者に襲われた。
池永容疑者は昼ごろ、鍵のかかっていなかった2階の窓から鈴木さん宅に侵入、潜んでいた。
文春は犯行までの経過をこう書いている。
「十月八日──。犯行直前、池永は沙彩さんの自宅内にいた。隣家の室外機を伝って無施錠だった二階窓から侵入し、一階にある沙彩さんの部屋のクローゼットの中で身を潜めていたのだ。
その暗闇の中からスマートフォンを操作し、A君(池永の友人=筆者注)らに無料通話アプリ『LINE』を通じて、次々と唐突な文言を送り始める。
〈ふんぎりつかんからかなりストーカーじみたことをしてる〉(中略)
その後も、立て続けに池永からのメッセージがA君のスマホに表示される。
〈元カノの家の押し入れにて〉
〈誰がいるかわからないんだ〉
〈普通にでようども鉢合わせしたら終わってしまう〉(中略)
十四時三十分。池永からのメッセージは次の一言で途切れた。
〈詰みだわ〉
約二時間後、沙彩さんが学校から帰宅。前述の通り、沙彩さんはこの日の朝、両親と三鷹警察署を訪れ、池永によるストーカー被害を相談したばかりで、彼女が三鷹署員から帰宅確認の連絡を受け取ったのが十六時五十一分。約二分後に通話が終わると、クローゼットを飛び出した池永は、刃体約十三センチのペティナイフを手に、制服姿の沙彩さんを強襲したのだった。
池永は凶行後に再び親友たちと連絡を取った。今度は直接、A君の携帯電話が鳴る。電話口の向こうでは息切れが聞こえ、走りながら通話している気配があったという」
池永容疑者は京都出身で、フィリピン人の母親と日本人の父親をもつハーフ。日本国籍を持っている。
身長は約180センチと大柄で、高校時代は柔道部に所属していた。沙彩さんは刃物で首や腹など4、5か所を刺され、首の動脈が斬られたことが致命傷になった。使用された凶器は、9月末に現場からほど近い吉祥寺の雑貨チェーン店「ロフト」で購入したペティナイフだった。
逮捕された池永容疑者は取り調べに対し「交際をめぐり恨んでいた。殺すつもりで刺した」と供述しているという。
文春によれば、出会いは2011年の秋だったという。京都在住の池永は立命館大学の学生だと偽り、フェイスブックで沙彩さんと知り合った。遠距離恋愛の始まりだった。
だが、池永容疑者は沙彩さん以外の女性にも「卑劣な腹いせ行為」をしていたというのである。
被害者は兵庫県在住のB子さん(24)。B子さん本人とその家族から事情を聞いた人物がこう打ち明けている。
「一昨年の秋頃、出会い系のチャットで知り合ったのが池永でした。ハーフで英語が得意だといい、モデルのようなイケてる写真を送ってきたそうです。会うようになって何度か体を重ねたが、行為中に携帯で動画を撮られた自覚があったとのことでした。
その後、池永が持ち歩いていたノートパソコンを覗く機会があり、B子さんはその中に大量の女性の裸の画像を保存したファイルを見つけてしまった。池永本人らしき男が映りこんでいるものもある。B子さんは池永に不信感を抱き、もう会わないと切り出した。それが昨年の二月のことだったそうです」
しばらくして、B子さんのもとに池永から“恨みのメール”が送られてきた。
「そこにはURLが貼られていて、リンク先に以前撮られた動画がアップされていた。女性は友人男性に相談し、池永に削除するようかなり強い口調で電話をしてもらった。池永はその際はあっさり謝罪して引き下がっている。今回の事件後、B子さんの家族に警視庁から電話があり、事情を聞かれたそうです」
リベンジポルノといわれる嫌がらせを沙彩さんのときだけではなく、常習だった可能性があるようだ。
沙彩さんと池永の交際は1年弱。彼女から別れを切り出したが、池永のほうは未練たっぷりで、よりを戻したいと訴えていた。
今年6月、沙彩さんの父親が池永に、娘に連絡をしないでくれと通告している。
そして両親と一緒に三鷹署に相談に行った日に、彼女は刺殺されてしまったのである。
京都市右京区のマンションで、池永とは年の離れた妹と暮らす母親にもインタビューしている。
「妹もいるのになんでこんなことを……。この妹が十年してどう思うか。ショック。アホ。息子でも許せない。息子はサアヤがオンリーワンで、初めての彼女だったのに」
と絶句したという。この母と娘のこれからが心配である。
桶川女子大生殺人事件でストーカー法がつくられたが、その後もストーカー殺人は後を絶たない。法を生かす警察側の積極的な運用が必要な時期である。
第3位「安倍総理夫人が夫への『違和感』を告白」
(「週刊現代」12月21日号/12月9日掲載)
今週の第1位は、現代の安倍首相夫人・昭恵さんインタビューである。インタビュアーはジャーナリストの松田賢弥氏。
松田氏はもともと現代に籍を置いて仕事をしていたが、ここ数年は現代を離れ、文春の仕事が多かった。そのエース記者が古巣へ戻って、先日は菅義偉官房長官インタビューをやっていたが、これはどうということはなかった。
だが、今週号の安倍夫人インタビューは面白い。これが今週の第1位。
このインタビューの面白さは、インタビュアーの突っ込みのよさもあるが、ひとえに昭恵夫人の率直な受け答えにある。これほど現役総理夫人が“ホンネ”で語ったことはほとんどなかった。いくつか紹介しよう。
まずは、希代の悪法「特定秘密保護法」を強引に通したことについてどう思うかと聞かれ、こう答える。
「最近、皆さんにそのことを聞かれます。たしかに大きな時代の流れとしては、情報の開示は進めたほうがいいと思うんですね。主人は時代に逆行してるように見えるかもしれない。けれども、国民をだまして戦争しようとか、そういうことではないと信じている。日本という国がきちんと独立していく過程で必要な法案であり、いま通さなくてはいけない理由が、何かあるんだと私は理解しています」
この「いま通さなくてはいけない理由」こそが問題なのだと、私もあちこちでいっているが、彼女もそう感じていることが読みとれる。
石破茂自民党幹事長がデモとテロはあまり変わらないと言ったが、どう思うかと聞かれ、「デモができるということは健全な社会である証拠ですから、それをテロと言うことはちょっと許されないと思います。私には原発反対デモをしている知人もいますし」
亭主の政敵への“批判”もちゃんとするところがいいね。
彼女は反原発派で知られるが、亭主との違いを聞かれてはっきりとこう答えている。
「はい。もし、もう一度事故が起きれば、日本は終わってしまうと思うんです。以前、福島第一原発の20km圏内にも行きましたが、これだけの広範囲に未だに誰一人入ることができないという状況は、やはり普通ではないと感じました。(中略)子どもを持つお母さんたちは不安とストレスを抱え、風評被害は収まらず、除染も進まない。そんな状況で『原発は安全でしかも安い』と言われても。何か起きてしまえば莫大なお金がかかるわけですから、安いとは考えられません」
しかし、亭主は海外に原発を輸出するセールスマンになっているではないか。
「国内の事故が収束していないのに、外国に原発を売るというのは、私個人としてはなかなか心苦しいところがあります。(中略) 主人は『中国製の原発の方が危険なんだから、日本製を買ってもらったほうがいい』と言っています。実際、そうなのかもしれません。でも理想としては、日本が原発に代わる技術を開発して、それを売り込むのが筋なんじゃないか、と思います。なかなか簡単ではないでしょうけれど」
中国の原発なんか買う国があるわけないじゃないか。パチパチパチである。彼女は韓流ファンとしても知られるが、やはり相当プレッシャーがあるらしい。
「この前、日韓交流のイベントに行ったと(Facebookに=筆者注)書き込んだら、炎上するほど批判が寄せられたりして、大変な部分もあります。(中略)私は以前からずっと、日韓関係をよくしたいと考えていましたから、韓国の方々が喜んでくださるならそれでいいかな、と個人的には思います。でも、最近は非常に(日本国民からの批判が)厳しいですね…… 韓国のことについて発言すると」
これを読んでいて、私にはあるアイディアが浮かんだ。
きっかけは、『現代中国悪女列伝』(文春新書)というすこぶる面白い本を書いた、福島香織さんと会ったことだった。
この本には「金欲と情欲にまみれた中国を、ウラで動かす美女たち」という帯が着けられている。薄熙来の妻の谷開来や、温家宝の妻の張培莉などの「悪妻」と並んで、習近平の奥さんの彭麗媛夫人の「あげまん」ぶりが書かれているが、彼女は美人で中国を代表する歌手でありながら、現役将校でもある。彼女のおかげで習が人民解放軍に影響力を持てるといわれているほどだが、彭夫人は親日家でもあるといわれている。
実際、彼女は日本で公演を行い、皇太子ともパイプを持っている超大物だが、彼女と安倍昭恵首相夫人を会わせて「日中の女性問題を考える」というイベントでもしたら、深刻さを増す日中関係がほぐれるきっかけになるのではないか。ついでにミシェル・オバマ大統領夫人も加えたら最高だろう。
外交下手の習近平と安倍首相に任せていたら、両国関係は進まない。男がダメなら女の知恵を借りて、どうにもならないものを動かしてみたらいいのではないか。このインタビューを読みながら、そんな“夢”を描いてみた。
第2位「『みのもんた』の背中が育てた『超バカ息子』全行状」
(「週刊新潮」9月26日号/9月24日掲載)
「みのもんた『成金コネ一家』の崩壊」
(「週刊文春」9月26日号/9月24日掲載)
文春と新潮がみのもんたの次男逮捕の特集を組んでいるが、タイトルは新潮に軍配をあげるが、内容は文春に分あり。両誌を今週の第1位にした。
文春では社会部記者が、次男逮捕の経緯をこのように述べている。
「事件発生は逮捕の約1ヶ月前、8月13日の午前1時過ぎ。新橋の路上で泥酔していた40代男性に警官が声をかけたところ、近くにいた不審な男が逃げるように走り去った。男性はバッグを盗まれており、直後に任意で事情を聞かれたのが雄斗容疑者。
その日のうちに帰されたが、のちの捜査でコンビニの防犯カメラに、男性のカードでATMから現金を引き出そうとする容疑者の姿が写っていたことが判明した。映像が決め手となり、逮捕につながったのです」
みのもんたの次男で日本テレビ勤務の御法川(みのりかわ)雄斗(31)が窃盗未遂容疑で警視庁に逮捕されたのは9月11日であった。
新潮は、みのが2007年に上梓した『義理と人情』(幻冬舎)という新書の中で、いじめ問題に触れてこう書いているとしている。
「教育委員会がどうの、校長はどうの、教師がどうのと言う前に、子供をきちんと躾けることを問うべきだと思います」
次男も慶應幼稚舎から慶應大学で、相当なやんちゃなこともしたそうだ。日テレもコネ入社だといわれているそうである。しかも親の七光りがあると勘違いしていたのか、態度も悪かったと新潮で日テレ局員がこう話す。
「髪は長めで、ところどころ金色に染まっている部分があり、チャラいと思いましたが、それ以上に、他の新入社員とは態度が違った。普通は何でもがんばりますという態度で仕事に取り組むものですが、彼は“おはようございます”とか基本的なあいさつもできず、一切質問もしてこない。仏頂面で、真剣に仕事をしないので、こちらも何ひとつアドバイスをしなかった。どこの部署に行っても使いづらいだろうな、と思いましたね」
やはり、しつけが悪かったのか。だが、こうなった責任はみのを甘やかしたテレビ局にもありそうだ。
キー局関係者が、銀座のバーでのテレビ局トップの行状をこう言っている。
「みのさんに酒を勧められれば、局の上層部でも断れない。某局のトップなんか、べろべろに酔わされて、店の床柱を抱きかかえてミンミン鳴く“蝉の芸”をやらされたそうです」
TBSでは「毎朝9時になると、生放送を終えたみのを、幹部やスタッフが一列に並び、最敬礼で見送るという光景が繰り返されてきた」(文春)というのである。
白い巨塔の大名行列のようだ。これでつけ上がらないほうがおかしいのかもしれない。
文春によれば、「みのは『せがれとはしばらく会う機会がなかった』と話したが、これは真っ赤な嘘だ」と追及している。
「事件から10日後の8月23日、みのと雄斗は東京・銀座の超高級クラブ『B』で豪遊していたのだ。
居合わせた目撃者が言う。
『Bはみのが行きつけのクラブで、以前から次男やTBSにいる長男をよく連れてきていました。その日はみのの誕生日の翌日で、次男と、もう一人連れの男性がいた。いつものようにグラスにクラッシュアイスを敷き詰め、バランタインの30年ものをなみなみ注いだ“みのスペシャル”を一気飲み。次男も同じものを飲んでいた」
30を過ぎた息子が逮捕されようが、本来なら親とは関係ない。だが、テレビの司会者で、社会的な発言をしてきた人間が、自分の息子が警察に呼ばれたというのを知っていて、銀座で一緒にバカ騒ぎでは、親の責任はどうなるといわれても仕方あるまい。
看板番組『朝ズバッ!』(TBS系)を降ろそうという動きもあるようだが、そうなれば年間5億円といわれるギャラが吹っ飛ぶ。みの人生最大のピンチのようである。
この事件でも、いつも通り「親の責任論」がやかしい。現代がそれについて特集を組んでいるが、評論家の呉智英氏のコメントが一番面白かったので紹介しておこう。
「日本では家族主義、親族主義が強いため、『食卓のない家』(円地文子作=筆者注)で描かれたような議論は昔からありました。今回のみの氏とその息子の一件に関して言えば、みの氏が成人した子供の責任を負う必要はないと考えるなら、徹底して突っ張るべきだと思います。報道番組だろうと、バラエティ番組だろうと出演自粛などしなければいいのです。
みの氏が、『社会人として息子を罰すべきは、きちんと罰してください。私を罰すると言われても、私には責任がない』と断言したら、インパクトはあるでしょうね。それがプラスになるか、マイナスになるか。私は信念を持って毅然と言い切れば、最終的にはみの氏にとってもプラスになると考えます」
この意見を、みのもんたはどう聞くのだろうか。
第1位「シャブ&飛鳥の衝撃」
(「週刊文春」8月8日号/8月6日掲載)
文春の「シャブ&飛鳥」はタイトルもさることながら、内容的にも衝撃度は高レベルである。
人気デュオ「CHAGE and ASKA」のASKAが、クスリ漬けだというのだ。
ASKAが覚せい剤を吸引しているビデオが「一部の暴力団関係者など、闇ルートに流出している」(文春)そうで、以下はその映像の描写である。
「映像はシンプルな部屋を映し出す。あまり物を置いておらず、掃除が行き届いている清潔そうな室内には、中央に三人掛けの大きなソファが置いてある。その真ん中にゆったりと腰掛けるのは大物人気デュオ『CHAGE and ASKA』(以下、チャゲアス)のASKA(飛鳥涼、本名=宮崎重明、55)だ。(中略)
ASKAはテレビで見るようなシャープな輪郭ではなく、顔が病的にむくんでいる。そんなASKAに何者か分からない男が、『はい、これ』と言って、小さなビニール袋に入った何かをテーブル越しに手渡す。少し前かがみになって受け取るASKA。白い結晶のようなものが光っている。ASKAは慣れた手つきでビニール袋を指でなぞるように確認し、かたわらにある透明なガラスのパイプを取り出した。
その動きに淀みはないが、終始無言でピリピリとした緊張感が漂っている。ビニール袋から白い結晶のようなものをパイプに入れたASKAは、軽くパイプを口にくわえた。その後、右手でライターを取り、おもむろにパイプを下から火であぶると、結晶が気化した白い煙を深く吸い込んだのだった。
一服するとASKAはソファーの背もたれに深く体を預け、足を大きく開いて座りなおした。その姿勢のまま目を閉じ、まるで霊的な気体を吐くように口をゆるませ、恍惚の表情を浮かべた」
「CHAGE and ASKA」は大学在学中に結成され、ヤマハ・ポプコンで入賞した「ひとり咲き」でデビュー。91年に「SAY YES」が300万枚の大ヒット、93年には「YHA YHA YHA」がダブルミリオンを記録している。
しかし、デビュー30周年の2009年1月に「無期限活動休止」を発表し、事実上解散していたが、今年1月、唐突に復活を宣言してファンを喜ばせた。だが6月になって、ASKAの事務所の公式ホームページで、ASKAの体調が悪いため延期すると発表していた。
ASKAのクスリ疑惑は、知る人ぞ知るだったようだ。
そのきっかけは、札幌に拠点を置く山口組系暴力団の山本(仮名)だというである。山本とASKAは中学時代の同級生だった。ASKAと親しい芸能関係者がこう語る。
「ASKAは山本にクスリの手配を依頼し、山本は頼まれたブツを持ってわざわざ北海道から東京に来ていました。またASKAは6年前に札幌円山公園近くのタワーマンションを購入し隠れ家にしていて、山本は頻繁にそこを訪れているのです」
ASKAはコカインやマリファナも好きで、くだんの山本によると、シャブをひと月に30グラムも使用しているという。麻薬Gメンによれば、ヘビー麻薬常習者でもひと月4~5グラム程度だというから、相当な末期麻薬中毒者であろう。
だが、その山本ともカネのことで揉め、件のビデオはその山本が隠し撮りしたというのだ。
ASKAの体を心配したCHAGEがライブの延期を言い出し、ASKAが殴りつけたという情報もある。確かに、文春のインタビューに答えるASKAの言葉は支離滅裂で、聞き取りにくい。だがクスリで揉めていることには、こう答えている。
「──山口組系暴力団員からクスリのことでゆすられていると聞いていますが。
『(少し間があり)……そうそう、それはね「お金を貸してくれ」って言われたの。それで、俺は嫌だって言ったらね。「嫌だ」って。そうそうそうそう、それで揉めただけでぇ』」
以前から言われていることだが、芸能界の麻薬汚染は相当に拡がっているのは間違いない。警察は動くのか?
ASKAの所属事務所は1日、公式サイトでこう否定した。
「報道内容は事実に反しており、大変遺憾です。弊社としてはこれらの報道に対し、厳重に抗議します」
しかし「厳重抗議」ではなく、事実でないなら告訴すべきであろう。ASKAの音楽生命が絶たれるかどうかの瀬戸際である。この事務所の対応からも、この問題の深刻さがうかがえる。
(文=元木昌彦)
●もとき・まさひこ
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。