今、米国では、アジア諸国からのポップミュージックを中心に、音楽コンテンツ産業の進出が目立ってきている。K—POPはもちろん、台湾やシンガポール、タイやインドネシアから、まるで日本のアイドルグループのコピーのようなタレントたちが、続々米国デビューを果たしている。 では、日本の音楽コンテンツは、どれくらい進出しているのだろうか? そもそも「コンテンツ産業といえば日本期待の産業分野」と考える日本人は多い。以前より、マンガやアニメなどは欧米で大人気。さまざまなイベントも増え、日本発コンテンツの人気は揺るがないかのような報道が続いている。音楽産業も同様。日本国内におけるAKB48などの人気を見るにつけ、この分野でも日本発のコンテンツの絶対的な優位は揺るぎそうにはないかのように見える。 しかし現実はそうではない。確かに、マンガやアニメの進出初期には、その驚くほど高いクオリティや、欧米の若者にとっては新鮮な世界観などがもてはやされ、その人気に一気に火がついたものの、その後は売上も数年間低迷が続いている。某総理大臣がかけ声をかけていた頃にはすでに低迷期に突入しつつある時期であり、その見当外れぶりが目につくほど。粗製濫造された輸出用コンテンツは、当然のように売れ残り、それらを米国に輸入していた事業者の多くが、現在では事業を停止しているのである。 いったい、なぜだろうか? それは、ごく当たり前の市場原理が働いたからということでしかない。日本の素晴らしいマンガやアニメは、欧米でも人気を博した。ところが、国内でさえさほどの人気を獲得できなかったものも無数にあるにもかかわらず、それを海外に持っていけば右から左に売れると考える者も多かったということだ。 少し考えれば、日本で売れないものが海外で売れるというのは、やはり考えにくいもの。そう、日本発のマンガやアニメが海外で人気となったのは、日本のコンテンツだからではなく、良い作品であったからということなのだ。これは音楽分野でも同様で、商品品質が同レベルなら、よりマーケットに合致したものが売れ、それも同じなら、より低価格のもののほうが競争力は高い。これは、どのような産業分野でも同様であろう。 ●国内市場のみに目を向ける日本の音楽産業 翻って、我が国の実情を見てみよう。日本国内の多くの大物アーチストたちが何度も海外進出を画策するものの、「成功」と言える事例はごくわずか。レディ・ガガやマドンナ、マイケル・ジャクソンやジャスティン・ビーバーらは日本の若者の多くが知っているだろうが、AKBのメンバーの顔と名前が一致する若者が、米国に多いとは考えにくい。そもそもが国内需要のみを対象にしたマーケティングと、それを前提とした収益構造の上に成り立っているビジネスである以上、このような現状はある意味当然である。片やアジア諸国の音楽シーンは、日本の影響が大きいこともあり、日本の傾向を後追いながらも、きちんと踏襲。これまでは日本からの輸入が主流であったが、最近ではアジア諸国発のタレントが、日本をはじめ先進国市場へ進出していくケースも珍しくはない。 そして彼らアジア諸国のコンテンツ産業界は、驚くほどしたたかで現実的。国内市場だけでは投資に見合った回収が困難という現状を踏まえ、多くの国々で半ば国策としてこの分野に注力している。加えて、コストの削減やニーズに対する対応も機敏だ。「良いものを作れば売れるはず」といった精神がいまだ残る日本の制作者たちを横目に、「とりあえず売れるもの」「より利益率の高いもの」「市場での競合に打ち勝てるもの」をせっせと供給し、市場を確保しようとしている。そこで、現在もっとも大きな市場として浮かび上がってくるのが米国。この市場の一角でも崩すことができたなら、それはビジネスとしては大成功といってよい。 彼らがその新しい市場へ進出する際の手法も、まさに他の産業分野同様、あくまでビジネスとして真っ当なもの。事業として取り組み、堅実な収益構造を構築しようとする様が見て取れる。 ●“一般的な”ビジネスを展開する、他のアジア勢 例えば、日本の音楽業界では、音楽業界のプロらがすべての業務を仕切るのに対し、アジアからの海外進出組は、一般的なビジネス同様、マーケティング/リサーチまではスペシャリストに依頼。市場調査やニーズ分析などを行った上で、制作物の方針を決定。そして制作側に方針が伝えられ、コンテンツの制作から発売後の公演や販促手法までを決定する。過去の経験や感性で成功を収めることができる、国内市場だけを主たる戦場としてきた日本国内のプレーヤーたちには、このような手法はなかなか受け入れられず、結果諸外国での市場争いには、製品を送り出す前の段階から大きな差を付けられてしまっているのである。 アジア発ポップミュージック産業の欧米市場への進出は、現状ではまだ市場の小さな一角を占めるに過ぎないが、欧米諸国での事業経験が、今後大きな資産となっていくであろうことは、他の産業分野を見るまでもなく明らかなこと。日本は、このまま指をくわえて見ているだけでは、音楽産業分野、ひいてはコンテンツ産業全般において韓国、台湾、香港をはじめとするアジア諸国になす術のないまま、確実に衰退の一途をたどることとなるだろう。AKBが国内で人気を博すほど、実は国際的なマーケットからはじわじわと乖離していくこととなりかねないのである。 そして「より良いものを提供すれば売れるはず」といった考えは、日本に蔓延する危険な思想だ。今我々の身の回りに、的確なマーケティングと格安のコストで製造されたアジア諸国製の製品がどれだけあるか、改めて見回していただきたい。マンガやアニメ、そして音楽を代表とするコンテンツ産業も、このような状況にならないと誰が言えるだろうか。そもそも自国内マーケットのみに焦点を当てているコンテンツでは、やはり海外での争いには力不足。そうこうするうちに、他国に後れをとり、海外での経験もないままとなってしまい、より良いものをつくろうにも、そもそもの素材さえ持ち合わせていないということとなりかねない。そして、今はまだ日本発のコンテンツは、そのクオリティも信頼度も驚くほど高いものを維持している。今ならまだこの優位を、より堅固なものにできるはずだ。 コンテンツ産業も、「AKB式ビジネス」のような国内向け規格から、一日でも早く「国際規格」を目指すべきだ。 (文=田中秀憲/NYCOARA,Inc.代表) ■おすすめ記事 大手新聞社、広告出稿の見返りにサラ金批判を封じる密約? トラブルゼロ、希望者殺到…人気シェアハウスの秘密 米「TIME」が選ぶ“最も偉大なゲーム”「どうぶつの森」がまたヒット! 「これは懐石ではない」老舗料亭のイギリス進出に賛否両論!? 上杉隆疑惑で対応ミス連発のTOKYO MX、面白発言が炸裂!『AKBがいっぱい 〜ザ・ベスト
・ミュージックビデオ〜』(AKS)
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男女逆転の大ヒットシリーズ! 映画『大奥~永遠~』鑑賞券プレゼント

映画『大奥~誕生~[有功・家光篇]』公式サイトより
現在、TBS系で放送中のドラマ『大奥~誕生~[有功・家光篇]』。その続編となる映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』が、12月22日から全国ロードショーとなります。将軍・家光の時代、疫病のために男子の人口が激減し、「将軍は女、仕えるのは美男3000人」の“男女逆転大奥”が誕生した……という奇想天外で壮大なスケールの物語は、多くのファンを獲得し、この冬一番の話題作ともいわれています。
時は元禄、将軍は才能と美貌を備えた五代・綱吉(菅野美穂)の時代。綱吉の手腕により、徳川幕府は栄耀栄華・最盛期を迎えていた。しかし一人娘・松姫を亡くしてからは状況が一転、綱吉は世継ぎ作りに専念させられることに。やがて世の中は乱れていき、そして大奥では正室と側室の派閥争いに拍車がかかる。そんな中、京より一人の男が大奥入りする。男の名は右衛門佐(堺雅人)。自らの才覚と野心をもって綱吉に取り入り、大奥内での権勢と富を手に入れていくのだが――。
シャキーラを支えるスペイン語圏、エミネムを支える白人……Facebook人気を分析

アメリカ人って本当エミネム好きだよね~
今年8月末、SNSサイト「Facebook」が、人気のバロメーターとなる「いいね!」を不正に水増しする虚偽アカウントと偽「いいね!」の撲滅作業を行った。この不正対策作業により、上位にランクインしているセレブたちの「いいね!」数が軒並み減少。レディー・ガガは3万4000、リアーナは2万8000、シャキーラは2万6000も「いいね!」数が減り、大きな話題となった。多くの「いいね!」を失ったものの、レディー・ガガもリアーナもシャキーラも、相変わらずFacebookトップ5にランクインしている。彼らが上位をキープしている秘訣は一体何なのだろうか。今回は、Facebookの「いいね!」数トップ5のセレブたちを、なぜ人気があるのかを分析しながら紹介したい。
■第5位 マイケル・ジャクソン(5,251万)
2009年6月25日に急死したマイケル・ジャクソン。先日、米経済誌「フォーブス」が発表した「死後最も稼いだセレブ番付」では今年も堂々の1位に輝いた。死後リリースされた未発表曲を収録したアルバム、ドキュメンタリー映画や、シルク・ドゥ・ソレイユ公演『Michael Jackson THE IMMORTAL』の売り上げなど、亡くなってから実に1億4,500万ドルを稼いでいることも公表され、今なお熱狂的なファンがいることが明らかになった。
京本政樹の息子、ジャニーズJr.京本大我がすでに「行き詰った」!?

SMAP中居正広が司会を務め、ゲストたちの言動を心理分析集団“ココロジスト”が観察し、深層心理に迫るトークバラエティ『ナカイの窓』(日本テレビ系)。11月21日は2世芸能人特集ということで、俳優・京本政樹を父に持つ、ジャニーズJr.の京本大我がゲスト出演しました。
オープニングトークで、ゲストMCのおぎやはぎ・矢作兼から父親について聞かれた中居。なんと父親とは2週間に1度遊んでいるそうで、その内容は「麻雀やったり飲んだりご飯食べたり」。「すっごい仲良い!」と語ります。先日も泊まりに行って、朝ご飯を定食屋さんで食べたとうれしそう。この歳で父親とそんなに頻繁に会うなんて珍しいですよね。
殺陣には自信アリ! JAE出身の『忍たま乱太郎』末野卓磨クンが登場

連載最後は、末野卓磨クンの紹介です!
1993年に放送が始まったアニメ『忍たま乱太郎』(NHK)。そのミュージカル版が2010年より年2回ペースで公演され、女性から人気を博しているのはご存知でしょうか? 2次元でも3次元でもない「2.5次元」の世界で注目を集めているイケメンくんたち。その実生活に迫るべく、5回目となる今回は、真田広之らを輩出した旧JAC、現JAE(ジャパンアクションエンタープライズ)出身で、ミュージカル版第一弾ではオリジナルキャラクター「赤壁」を演じ、第二弾公演から山田利吉を4回連続好演した、末野卓磨くんに登場してもらいました。
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「みーんな辞めちゃった」プロボクシングでもファイトマネーの不当搾取が発覚し……

三谷大和スポーツジム公式サイトより
千葉県のボクシングジムで、ファイトマネーの不当搾取の疑いが関係者間で密かな話題となっている。
発端は5月、八千代市の三谷大和スポーツジムに所属していた元プロボクサーの川瀬伊達男さんが引退を宣言、ブログ「だておのぼやき」にこう記した。
「もうぶちまけちゃえー だってピンハネされちゃうし こ、ここれっぽっちみたいな~っ嘘だろ!練習何てやってらんねーじゃんか」(以下原文ママ)
引退の理由にファイトマネーの不当な搾取があったとし、ユーモラスな文体ながら、その怒りが収まらない胸中を連日、ぶちまけた。
「金の事でイザコザ起こすの疲れるし いいよ!いいよ!あんた金の事しか頭に無いんだろ くれてやるよ (中略)半分以上も持ってくなよーっ」
その文面からは「半分以上」とあるのだが、プロボクシングではプロモーターから選手にファイトマネーが支払われる際、面倒を見るジムがマネジメント料として差し引く額は「33.3%を超えてはならない」と決められている(日本ボクシングコミッションルールブックより)。もし川瀬さんの言うように、三谷大和ジムが半分以上を差し引いていたとすればルール違反となる。
川瀬さんはブログで「チョロチョロっとちょろまかす位にしとけば あっはっは全くハゲラー(編註:三谷会長のこと)はセコいんだからショーもないやっちゃな~って なりますわね。しとりの選手からごっそり持ってくからみーんな辞めちゃった」と、この問題で複数の選手がジムを退会したとした。
実際、関係者を聞き回ってみると、確かに三谷大和ジムからは昨年、ジムの主力だった日本ランカー3名をはじめ、多数の選手が同時期に別のジムに移籍するなどして去っていたことが分かった。
「辞めたのは選手だけではないんです。コーチや後援者たちも、みんな離れていったんです」
こう証言するのは、退会した選手の親族だ。
「ファイトマネーは現金ではなく試合のチケットで支払われることが多く、その場合は額面の2倍を渡すことになっています。20万円のファイトマネーなら40万円分のチケットが届き、選手はそれを売って金に換える。でも、あのジムでは倍額もらっているはずのチケットを隠し、額面そのままの分から、さらにマネジメント料として3割、また手数料だのなんだのと言って、本来の半額以下しか渡さなかった。こうしたことをみんな知るところとなり、選手だけでなく応援していた人たちも会長を信用しなくなって、去っていったんです」
トラブルが起こっている背景について、親族は「ジムの力が強すぎて、不当な扱いを受けても逆らえないから」だとする。
「選手が下手に刃向かえば試合から干されて長いブランクを作ることになり、ほかへ移籍しようとしても百万円単位の高い移籍金を吹っかけられるので、よほどの有力選手でもなければジム側と対等に話ができない」(同)
事実、三谷大和ジムを抜けた選手の移籍先でトレーナーを務める元日本チャンピオンの升田貴久氏はブログで「選手達が可哀相でしょ。奴隷じゃないんですよ。ジムでのファイトマネーその他。色々聞きました。有り得ない。何故試合するのに選手達があそこまでジムに借金になるの?ドン引きです」と三谷大和ジムを名指しで批判。3選手が移籍するために、それぞれ200万円ずつ工面して支払ったことも明かした。
川瀬さんのブログでも、試合が決まるとチケットと請求書が手渡され「カツアゲされてる気分」だったとしているが、こうした話が事実かどうか、ジムの責任者である三谷大和会長に電話で質問したが「電話ではコメントできない」と回答を拒否されてしまった。
また、ルールを統括する日本ボクシングコミッションにも話を聞いてみたが「ファイトマネーのやりとり自体を監督しているわけではなく、事実かどうか分からないのでなんとも言えない」と、まるで他人事だった。
プロであればビジネスとして金の問題が関わってくるのはどの競技でもあることだが、こうしたトラブルが表面化すること自体、あまりに寂しい話ではないか。
(文=鈴木雅久)
