
左から上田浩二郎、岩崎 一則
昨年末、『THE MANZAI 2011』(フジテレビ系)の決勝で強烈なインパクトを残し、その後は順調に活躍しているHi-Hiの2人。そんなHi-Hiでボケを担当している上田浩二郎の初めての著書『リストラ芸人』(講談社)が9月13日に出版された。彼らの18年にわたる芸人人生のすべてが赤裸々につづられているこの本の発売を記念して、Hi-Hiの2人にインタビューを行った。彼らはいかにして今の地位に上り詰めたのか?
――この本を読んだ周りの人からの評判はいかがですか?
上田 芸人さんはみんな「面白かった」って言ってくれるので、うれしいですね。僕らがデビューした当時のことを知ってる人も、若い人も、どっちもそうやって言ってくれるから……これは最高の本ですね。
岩崎 自分で言うなよ!
――『THE MANZAI 2011』の決勝で、上田さんが言った「オマエの18年間、放り込んでこい!」という有名なセリフに関しても、その裏話が語られていましたね。

上田 あのときは、決勝で最終4組まで残っていて。その中でトップでネタをやったので、いい意味で開き直りましたね。こいつがネタをとばしたんですけど、いつもだったら「何とばしてるんだよ!」って言うところを、「なに真剣にやってんだよ」っていう気持ちで楽しめたというか。何をちょっとちゃんとやろうとしてんだ、って。それであのフレーズが出てきたんです。
――『THE MANZAI』以降はテレビの仕事も増えて、昔一緒に劇場に出ていた芸人さんたちと共演することも多かったそうですね。
上田 そうですね。僕たちが吉本にいた頃の後輩だった庄司(品川庄司)がゲストに来てくれたりとか、そういうのは楽しいですよね。あと、オードリーとか。オードリーと一緒にテレビに出ると、昔のライブに出ていたときの感覚に戻って、ただの悪ふざけになっちゃうんですけどね。
――同期のロンドンブーツ1号2号に関しては、先日行われたトークライブのゲストとして田村亮さんが出演されたそうですね。
上田 そうなんですよ。トークライブに、(田村)淳に来てくれとは言えませんでしたけど、なんか亮には言えましたね(笑)。
――亮さんも、実は結構お笑いに対して熱い人だったそうですが、亮さんのそういう一面って、世間ではあんまり知られてないですよね。
岩崎 なんか、「できない人」みたいに思われてますよね。
上田 でも、俺らは昔から「できる亮」しか、知らないからね。だから、いまだに作戦じゃないかと思ってるんですよ。「お前、作戦で黙ってるんだろ?」って、ずっと聞きたかったんです。あいつ、昔よくそういうことばかり言ってましたから。
――例えば、どういうことですか?
上田 「いま素人をイジって売れてる人たちがいない」とか。僕らが若手の頃って、ウッチャンナンチャンさんとかとんねるずさんとかが、ドラマのパロディコントをテレビでやっていたんですよ。そういう時代だったので、素人を番組に出してイジる人が出てきていないと。そこから2~3カ月後に、あいつらの出てる番組で素人イジりの「BINTA」っていう企画が始まったんで、こいつ、すげえなって思いましたね。
――オーディションで初めて見たときからロンブーの2人の印象は強烈だったそうですね。
上田 はい、芸人が大勢並んで、順番にネタをやっていくみたいなオーディションで、僕らの前の前ぐらいがロンブーだったんですけど、鮮明に覚えてますね。いい意味で威圧感というか、オーラがありました。
岩崎 前のめりな感じが、すごく伝わってきたんですよ。それに圧倒されたというか。

上田 その前にあいつら、路上とかでもお笑いをやってたから、自信があったんでしょうね。路上で150人とか集めていて、劇場に出始めの頃から、もうキャーキャー言われてましたから。路上でやってたときのファン150人を劇場に連れてくるんですよ。そうすると、新人がたくさん出ている中で、あいつらが出て行くときだけ「キャー!」ってなるじゃないですか。それを見た吉本の上の人が「あいつら、なんで初舞台なのにキャーキャー言われてるんだ?」って思うはずだと。それも、亮が作戦でやってたらしいんですよ。そうじゃなかったら路上でやってた意味がないじゃん、って。常にそういう作戦を考えるやつだったんです。
――その頃、Hi-Hiは自分たちの笑いに自信が持てなくて、低迷していたそうですね。
上田 低迷どころか、楽屋にも入れませんでしたから。面白いやつはいっぱいいるし、みんなに萎縮しちゃって。ちょうど松本人志さんの『遺書』(朝日新聞社)が出たときで、それを見てみんなが影響を受けて、とんがってる時代だったんですよ。先輩とかも本当に怖かったんです。ネタ合わせなんて誰もしてなかったもんね。なんか、ブラッと舞台に出て立ち話して笑い取って帰るのが格好いい、みたいな時代で。みんなすげえな、と思ってましたね。そんな時代で、俺らはみんなにバレないようにそっと屋上でネタ合わせやってた。なあ?
岩崎 あの当時、僕にいたっては、何をしていいのかさえわかんなくて……。
上田 お前は今もわかってないだろ? そこはブレずに。
岩崎 いや、「ブレずに」じゃないよ! 今もそうですけど、よりわかんなかったというか、ずっと棒立ちみたいな感じでしたね。
――その後、紆余曲折を経て、1~2年前に漫才のスタイルをガラッと変えて、すべてをアドリブに近い形で構成するようになったそうですが、きっかけはなんだったんですか?
上田 僕が飲み会とかで思いついたことを適当にワーッと言ってると、ものすごいウケるんですよ。芸人仲間もみんな面白いって言ってくれて。流れ星の瀧上とかにも「これを舞台でやったらいいじゃないですか」って言われたり。それでちょっとやってみようかって思って、ある日舞台でやってみたら、自分でもやりやすいんですよね。僕の人間性がそういう感じなので、のびのびできるというか。
岩崎 それで明らかにウケるようになったんですよ。
――最後に、この本はどういう人に読んでほしいですか?
上田 何していいかわかんなくてボーッと大学生やってる人とか、悩んでる人とかに読んでほしいですよね。いろんな人に読んでいただいて、僕らの人間性を知ってもらえたら、Hi-Hiっていうコンビの見方も変わると思うんで。読んでほしくないのは、超面白いやつですね。これ読んで芸人になろうと思われると敵が増えるんで。つまんないやつには、どんどん読んでほしいです(笑)。
(取材・文=ラリー遠田)