“絶対的価値”を求める男たちの翔んでもロマン! 井筒監督の犯罪サスペンス『黄金を抱いて翔べ』

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240億円相当の金塊を強奪する計画を練る6人の男たち。
銀行本店から金塊を奪うことに成功すれば、それは日本経済を揺るがす大事件だ。
 初めに金塊ありき。銀行を襲撃する男たち6人を束ねる北川は高らかにそう宣言する。ヨハネの福音書にある「初めに言葉ありき」をもじったものだ。北川は続ける。「金塊は我々と共にありき。我々の結束は肉の欲によらず、人の欲によらず、ただ金塊によって生まれしものなり」。6人の男たちはメガバンクで厳重に保管されている240億円相当の金塊を強奪しようと企んでいた。直木賞作家・高村薫の処女小説を妻夫木聡、浅野忠信、西田敏行らオールスターキャストで映画化した『黄金を抱いて翔べ』は、男臭くてゴツゴツした井筒和幸監督らしい作品だ。男たちは銀行強盗という犯罪に手を染めるわけだが、映画の世界ではそれは違った意味を持つ。絶対に不可能なことに挑む冒険者として彼らは登場する。男たちが欲しいのは、日本銀行が発行した債券である紙幣ではなく、あくまでも純金なのだ。永遠不変の価値を持つ絶対的な存在を手に入れようと男たちは立ち上がる。リスクを避けることが最優先される現代社会において、ロマンのために殉じて構わないという大ロマンチストたちの物語だ。  井筒監督の出世作『ガキ帝国』(81)や『岸和田少年愚連隊』(96)と同じく大阪が舞台。『パッチギ!』(05)は京都が舞台だが、これも関西圏ということでひと括りにしてしまおう。これらの作品はどれも閉塞的状況の中で突破口を求めてもがき苦しむ若者たちのドラマだ。突破口がなかなか見つからず、男たちはドツキ合う。そうするしかエネルギーの捌け口がなかった。『黄金を抱いて翔べ』ではそのエネルギーの捌け口が銀行襲撃へと向かう。高村薫は『黄金を抱いて翔べ』の中で、実に大胆な銀行襲撃プランを考え出した。銀行の地下に保管された金塊を盗み出すために、男たちは二手に別れて、まず中之島変電所をド派手に爆破してしまう。大阪の都心部一帯を停電させ、警察の目を引きつける陽動作戦だ。続いてケーブル回線が通る地下共同溝をこれもダイナマイトで爆破。これによって銀行の電話回線や警備会社と繋がった通信回線もすべて遮断されてしまう。そして銀行の裏口で待機していた実行部隊は非常用電力で動くエレベーターに乗って堂々と地下金庫へ向かい、破壊力抜群なプラスティック爆弾で金庫の扉ごと吹き飛ばしてしまおうというもの。何とも豪快な襲撃プランだ。
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北川(浅野忠信)は妻子持ちだが、抑えがたい破壊衝動の持ち主。
学生時代からの悪友・幸田(妻夫木聡)を銀行襲撃計画に誘う。
 大胆さと細心さを併せ持つ北川(浅野忠信)をリーダーに、6人の男たちが集まる。裏社会で便利屋として働き、どんな鍵でも開けてしまう幸田(妻夫木聡)。システムエンジニアで銀行のセキュリティーシステムに詳しい野田(桐谷健太)、元エレベーター技師で銀行の警備員たちと面識のあるジイちゃん(西田敏行)。爆弾製造を担当するのは、北朝鮮の元特殊工作員・モモ(チャンミン:東方神起)。さらに、怖いもの知らずのバイク野郎である北川の弟・春樹(溝端淳平)が仲間に加わる。6人の男たちには、ある共通点があった。あくせく頑張って働き続けても、もう上にあがるサイコロの目は出ないことを悟っている点だ。このままジリ貧の人生を過ごすよりは、イチかバチかのドデカい勝負をしてみたい。男たちの思惑は、金塊強奪という大博打に収斂されていく。間違ったことに一途になる男たちの姿は、それが取り返しがつかない分だけ、とても滑稽で同時にとても美しい。  緻密な文章を綴る直木賞作家・高村薫と無頼派・井筒監督は同世代で関西出身ということ以外にも接点があった。井筒監督は1991年に大作時代劇『東方見聞録』の撮影中に若手キャストが事故死するという不運に見舞われた。この作品も財宝を求める若者たちの冒険談だったが、事故のため公開中止に(ビデオ作品として93年に発売)。92年には製作会社ディレクターズ・カンパニーが倒産し、井筒監督は遺族に対して個人で賠償金を払い続けた。そんな不遇の時期に温めていた企画が、90年に日本推理サスペンス大賞を受賞した高村薫の処女小説『黄金を抱いて翔べ』の映画化だった。当時、誰よりも金塊を欲していたのは井筒監督だったのだ。映画を撮ることもできず、カラオケ用のビデオを撮っていた井筒監督は、崔洋一監督から「たまには撮影現場に来いよ」と誘われて、崔組の現場で死体役を演じる。これが高村薫の直木賞受賞作の映画化『マークスの山』(95)だった。『マークスの山』で見事な死体役を演じた井筒監督は、その現場にいた松竹のプロデューサーから声を掛けられ、低予算映画『岸和田少年愚連隊』を撮ることで監督復帰する。バブルが崩壊し、あらゆる価値観が揺らぐ90年代、井筒監督は高村作品がきっかけで映画界への帰還を果たした。
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『ゲロッパ!』(03)、『パッチギ!』(05)にも出演した桐谷健太は、
借金を抱えたエンジニア・野田役。命の危険を感じ、ビビってしまう。
 井筒作品と思えないほど、豪華キャストがそろった本作。実はキャスティングもワケあり。シネカノンの大ヒット作『フラガール』(06)は企画当初は『パッチギ!』を当てた井筒監督が撮る予定だった。だが、炭坑会社の社長を中心にした美談にまとめるのがイヤで井筒監督は降りてしまい、李相日監督に急遽バトンが渡され、少女たちの爽やかな成長ものへと軌道修正されて成功を収めた。井筒監督版の主人公である若手社員役に考えられていたのが妻夫木聡だった。また、井筒監督はシネカノンで江戸時代に起きた実在の殺傷事件『吉原百人斬り』の映画化を企画していたが、これも頓挫。『吉原百人斬り』の主演に予定されていたのが浅野忠信だった。テレビ番組では傍若無人に振る舞っている井筒監督だが、借りは返すという義理堅い一面を持ち合わせている。その一方、『黄金を抱いて翔べ』では派手な爆破シーンが用意されているが、これは井筒監督が自分の内側に溜め込んできたものを作品の中で思いっきり爆発させているのだろう。  高村薫作品は『マークスの山』に続いて『レディ・ジョーカー』(04)も映画化されたが、膨大な情報量が詰め込まれた高村作品を約2時間という映画の尺でまとめ上げるのは至難の技だ。本作も北朝鮮の元特殊工作員・モモをめぐって、左翼の活動家(田口トモロヲ)、北朝鮮と公安の二重スパイ(鶴見辰吾)らが暗躍する中盤までは目まぐるしく、意識を集中していないと物語から置いてけぼりをくらう。だが、その分だけクライマックスの銀行襲撃シーンが異様なまでに盛り上がる。あれだけ綿密に計画を練り、完璧と思われていた北川たちの銀行襲撃計画だが、直前になって欠員が生じるわ、北川の片腕である幸田は負傷するわ、ベストコンディションからは程遠い状態で襲撃に挑まなくてはならなくなる。永遠の輝きを放つ金塊に比べ、男たちが抱いていた夢の何とモロいことか。
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製作委員会の幹事会社エイベックスがスケジュールを抑え、
日本語に堪能な東方神起のチャンミンが起用された。観客動員の切り札となるか。
 さらに銀行でも、机上論では予測できなかったことが次々と起きる。『黄金を抱いて翔べ』の銀行襲撃シーンは、まるで映画の撮影現場のようだ。最高の脚本と万全のキャストをそろえたはずなのに、ロケ先の現場ではトラブルが次々と発生する。こんなとき、映画監督の対応は2つ。別の日に仕切り直すか、それとも不測の事態を受け止めた上で最後までやり遂げるか。北川はもちろん後者だ。北川は幸田に向かって叫ぶ。細かいことはいいんだよッ。ここまで来たら、あとはもう勢いだ。妻や息子に見せていた優しい笑顔とは異なる不敵な笑みを北川は浮かべる。金庫を爆破することが、北川は楽しくて仕方ない。  果たして金庫の扉の向こうで待っているものは何か? 北川と幸田は、永遠に価値の変わらないものに触れることができるのか? 高村薫の緻密な世界観の中で、井筒監督特有の暴力衝動がとぐろを巻く。流血に彩られた男のロマンがここにある。 (文=長野辰次) orgonwodaitetobe_05.jpg 『黄金を抱いて翔べ』 原作/高村薫 脚本/吉田康弘、井筒和幸 主題歌/安室奈美恵 出演/妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行、青木崇高、中村ゆり、田口トモロヲ、鶴見辰吾  配給/松竹 11月3日(土)より全国ロードショー  (c)2012「黄金を抱いて翔べ」製作委員会  <http://www.ougon-movie.jp/> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第194回]禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した! 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笑いと涙に溢れる、告別式でのセレブの名スピーチ

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ホイットニーの死は衝撃でした

 今年は、実に多くのハリウッドスターたちがこの世を去っている。衝撃的な死を迎えたスター、闘病の末亡くなったスター、天寿を全うしたスター。死というのはどんな形であっても、つらく、悲しいものである。

 味のある名優として多くのファンを持つマイケル・クラーク・ダンカンも、今年亡くなったスターの1人だ。彼は7月に心臓発作を起こして意識不明となり、9月3日に他界。業界人たちからも愛された彼の死に、ハリウッドは悲しみに包まれた。そんな悲しみを癒やしてくれたのが、告別式で弔辞を述べたトム・ハンクスだった。『グリーンマイル』(1999)でマイケルと共演して以来、仲の良い友人だったトム。告別式ではマイケルが若かりし頃、憧れのギャングに入ったものの、小柄な母親からフライパンで殴られ、1日で足を洗ったという話をマイケルの物まねをしながら面白おかしく披露。最後、大笑いしながら両手で涙を拭くトムの姿に、多くの人が彼らの友情の深さを感じ取り心打たれたのだった。

もはや“一発屋”生産番組? オーディション番組が乱立する韓国テレビ事情

『Super Star K』公式サイトより

 2012年も残すところあと2カ月。K-POP界も年末の音楽賞の賞レースが、そろそろ気になる頃だ。今年の新人賞の最有力候補は、3月にファーストアルバム『Busker Busker』をリリースしてデビューした3人組のバンド“Busker Busker”(バスカーバスカー)。GAONという韓国音楽サイトの2012年上半期のアルバムランキングを見ると、1位のBIGBANG、2位のSHINeeと、日本でも人気の顔ぶれが並んでいる中、Busker Buskerは7位に食い込むという大健闘ぶり。彼らが世に知られるようになったのが、『Super Star K』という人気オーディション番組である。2011~2012年放送のシーズン3で準優勝し、メジャーデビューの切符をつかんだ。

 2009年から放送が始まった『Super Star K』。韓国におけるサバイバル系オーディション番組の火付け役である。日本ではあまり人気がないが、韓国をはじめアメリカやイギリスなど世界各国で、オーディション番組は高い人気を誇り、そこからスターも誕生している。イギリスのスーザン・ボイルなどが、最も有名だろう。

動機は「面白かったから」 ドS女教師の虐待写真がヒド過ぎる……

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 不気味な笑顔を浮かべる一人の若い女が、男児の左右の耳を掴んで持ち上げる。痛みに顔をゆがめる男児の足は、床から完全に浮いている……。そんな幼児虐待の画像が、中国版Twitter「微博」にアップされた。  ほかにも同アカウントには、「言うことを聞かなかった結果」として、ゴミ箱に投げ込まれた園児や、口をビニールテープで塞がれた園児の写真が多数アップされており、幼児虐待として問題となっている。また、教室内の写真にはなぜかビールや紹興酒の空き瓶も写っていた。 6598149487074664240.jpg 2480638969768954689.jpg  いじめや暴力など、センセーショナルな画像や動画には慣れっこのはずの中国ネット市民だが、これにはすぐさま大きな反応を見せた。中国ネット民お得意の人肉検索により、微博は、浙江省温嶺市の幼稚園で働く女教師のアカウントであると特定されたのだった。写真は女や女の同僚が園内で撮影したもので、被害児童は同園の園児だということも判明した。  その後、幼稚園に殺到したメディアの取材に対し、「面白かったから」と平然と釈明した女だったが、ネット市民たちによる批判の大合唱を前に、地元の教育委員会は、女を懲戒解雇。しかし、ネット市民からは処分が軽すぎるとして、刑事罰を求める声も高まったことから、現在は警察に拘留されているという。  さらに、一部報道では、女は教員免許を持っておらず、コネ採用だった可能性も浮上しており、教員および公務員の人事制度の不透明さも問題視されている。 (文=牧野源)

“アイドル戦国時代”の懐の広さを垣間見る──『インディーズ・アイドル名鑑』

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『インディーズ・アイドル名鑑』
(河出書房新社)
 現在、日本アイドルシーンのトップに君臨しているAKB48。テレビなどでさんざん曲が流れまくっているので、まったく興味がなかったとしても代表曲のサビくらいはフフフーンと歌えたりするんじゃないだろうか。そんな国民的アイドルとしての地位を確立しているAKB48だが、メンバーの顔と名前をどのくらい覚えているかといわれると……。  なんせ人数がスゴイので、かなりのガチなファンでもない限りすべてのメンバーを把握なんてできてないんじゃないだろうか。だってSKE48、NMB48、HKT48などの姉妹グループに研修生まで合わせると、総勢で200人以上にもなるらしいもん。そんなん覚えるの無理だーッ!  もちろん、AKBグループ以外にもたくさんのアイドルたちが存在する。この夏、開催された一大アイドルイベント「TOKYO IDOL FESTIVAL 2012」には、AKBグループからはSKE48しか参加していないにもかかわらず、111組、732人ものアイドルが出演した。AKBグループでもなければ「TOKYO IDOL FESTIVAL」にも参加していないアイドルだってまだまだいるし(「サイゾー」でおなじみの小明ちゃんとかね!)、とにかく今の日本には、少なくとも1,000人以上の「アイドル」と呼ばれる活動をしている子たちがいるということだ。  さらに、AKBのメンバーオーディションには毎回数万人の応募があるというし、アイドル・ワナビー層まで含めたら、ホントにすさまじい数のアイドルが存在している今の日本(しかも男性アイドルを抜かしてこの数!)。日本の歴史上において、かつてこれほどまでに大量の「アイドル」が存在した時代があっただろうか!? ……ないだろうなぁ。時はまさにアイドル戦国時代!  で、こんな巨大なシーンが生まれると、当然その中ではピラミッド構造のヒエラルキーが形成される。ゴールデンタイムのテレビ番組や巨大なライブ会場でガンガン活躍しているトップアイドルから、もうちょっと小規模なステージで活動しているB級アイドル、そして数十人も入ればいっぱいな地下のライブハウスが主戦場となる地下アイドルたち。  言葉の通り「地下のライブ会場で活動するアイドル」という意味ではあるものの、「地下アイドル」と言っちゃうと「地下格闘技」や「地下カジノ」などのように、あまりにもアンダーグラウンドな感じがしてイメージが悪いからなのか、最近では「インディーズ・アイドル」などとも呼ばれているらしい。とにかく、彼女たちが現在のアイドル・ピラミッドのボトムをガッチリと守っているのは間違いないだろう。  そんなインディーズ・アイドルたちを総勢208人も一気に紹介しているのが、この『インディーズ・アイドル名鑑』(河出書房新社)。パラパラとページをめくってみると……それなりにアイドルシーンに興味を持っているつもりのボクでも、ほっとんど誰が誰だか分からないッ!  そして、「アイドル」にとってかなり重要なステータスのひとつであるハズの顔面偏差値も「メジャーなアイドルよりも遙かにカワイイよ!」という子から、「コレでアイドルになろうとは……アンタ、どういうつもりだ!?」と説教したくなるレベルまで公立中学の生徒並みに幅広く、現在のアイドル業界の裾野の広さを実感せずにはいられないのだ。  さて、この『インディーズ・アイドル名鑑』。208人ものアイドル(一応)を紹介はしているものの「この子はこういうグループでこういう活動をしていて……」みたいな細かい解説は一切ナシ。女の子ひとりにつき1ページ、白バックのスタジオで撮影された写真が1枚だけ掲載されており、隅っこに、申し訳程度に名前とグループ名が表記されているだけ。ホント、カタログのようにアイドルちゃんたちが羅列されているという編集になっている。  聞いたこともない、しかも顔面偏差値もビミョーなアイドルのグラビア(しかも基本、非エロ)を解説もナシで延々見せられて面白いのかいな? という気もするが、ひとくちに「アイドル」といっても本格派からイロモノまで、従来のアイドルという枠には収まりきらない衣装やコンセプトで多種多様に進化したアイドルちゃんたちの「なんとかこの1枚の写真で自分のアイドルとしての魅力を伝えよう!(そんで売れたい!)」という気合いがビンビンに伝わってくるグラビアは、なかなかに見応えがあって面白いのだ(「最ブス・アイドルを探せ!」的な見方をしても相当楽しめるけど)。  それにしても、必ずしも顔面偏差値が高くなくても、スタイルがよくなくても、コンセプトやインパクト勝負で「アイドル」と言い張っている子たちが、今の日本にはこんなにいるのかと……(もちろん直球勝負してる子もいっぱいいるけど)。で、そんな子たちにもそれなりにファンがついて、愛されているという懐の広さが現在のアイドルシーンの面白さともいえるのではないだろうか。  しかしこの状況、オジサン世代としては若干90年代のバンドブーム・イカ天ブームを思い出さずにはいられないのだ。演奏力や楽曲以上に衣装や珍妙なパフォーマンスが注目を集め、なぜか水泳選手の格好をしたバンドや、歌舞伎メイクで決めたバンドなど、ワケの分からないヤツらが次々に注目されては消えていったあの時代。もちろん、そんな中から後世に残るようなガチで実力のあるバンドたちもたくさん輩出されたので、今のブームが過ぎた後、アイドルシーンがどうなっていくのかというのは楽しみではあるのだけれど。  ただ、ちょっと気になるのがお金事情。バンドブーム当時、とにかくどんなバンドのCDでもそれなりに売れて、レコード会社や事務所はガンガン儲かっていたのに、契約やお金の仕組みを全然分かっていなかった若いバンドマンたちの手元にはほとんどお金が入ってこなかった、というような話をよく聞くけど、今のアイドルシーンでも同じようなこと、起こっていないといいけどなぁ~……と。  とある事務所では、それなりにCDなどが売れているにもかかわらず、今までの赤字が解消されるまでアイドルはノーギャラ。あるアイドル・コンピレーションアルバムは握手券やツーショットチェキでファンを釣ってアルバムを売りまくっているのに、アイドルに対する印税はナシ(現物支給で手売りした分がギャラらしい)なーんて話を小耳に挟むたびに、ファンたちは何もプラスチックの円盤をいっぱい欲しいわけじゃなくて、「アイドルの生活が少しでも楽になれば……」「活動がもっと広がれば……」と思って何枚もCD買ってるんだからな! とは思ってしまう(アイドルを売り出すのにいろいろ金がかかるのも分かるけどね)。  じゃなかったら、かつてバンドシーンがそうなっていったように、事務所やレコード会社を通さずにホントの意味での「インディーズ」な活動をしていくアイドルがドンドン増えていくんじゃないかな。若い女の子たちが自分たちだけで……というのはそれはそれで色々と問題が出てきそうだけど、それを乗り越えた本当に面白くてインディーズなアイドルが出てくるのが楽しみでもある。  ……ところで、この本もアイドルたちにちゃんとギャラ、出てるのかな? (文=北村ヂン)

「MORE」“27歳・彼氏なし”女子が陥る、妄想と現実の間のブラックホール

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「MORE」2012年12月号/集英社

 今月の表紙は「嵐」。これは「MORE」お約束の半期に一度のサービス企画。5人そろったインタビューもバッチリ掲載されてますので、ファンの方はどうぞナマ唾ゴックンでご覧ください。ちなみに今回のテーマは「ぼくらの家へようこそ」です。

 「MORE」のインタビューページは、それはもうあっぱれなほど、タレントさんのパブリックイメージそのままに再現されます。今号の嵐のページも、メンバーの部屋が再現されているのですが、「二宮和也の部屋=殺風景な中に鹿の首」「相葉雅紀=ウクレレとバスケットボール」「松本潤=モノトーンにおしゃれドクロ」「櫻井翔=デスクに洋書」「大野智=キャンバスに描かれた魚の絵とビールケース」と一分の隙もありません。そして5人が集まって男子カレー……あぁ仲良きことは美しきかな。

 これは嵐に限ったことではなく、「MORE」のインタビューに登場するタレントさんは男女問わず、この“妄想のゲージ”にガッチリと絡め取られます。もがけばもがくほど深みにはまる(=面白くなってしまう)恐ろしき「MORE」の妄想蟻地獄。これを老舗らしい安定感とみるのか、やりたい放題とみるのか、「MORE」は“妄想”と“現実”に高低差があり過ぎるので、今月はその辺りを入念にチェックしたいと思います。

<トピックス>
◎嵐 ぼくらの家へようこそ
◎もしも、綾瀬はるかが「恋するモアOL」だったら……!?
◎“27歳・彼氏なし”から脱出せよ!!

俳優・松坂桃季の邪魔をする「情熱大陸」のベタな演出にうんざり!

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 好調のディズニーリゾート、中高年女性の割合が増えている! 電子化に腰が重い出版社につきつけられた著作権のジレンマ 超簡単!周囲や“エラい”人を巻き込んで仕事を成功させるワザ ■特にオススメ記事はこちら! 俳優・松坂桃季の邪魔をする「情熱大陸」のベタな演出にうんざり! - Business Journal(10月31日)
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24歳…さわやかな笑顔…。
(「情熱大陸HP」より)

――『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビュー!

今回の番組:10月28日放送『情熱大陸』(テーマ:俳優・松坂桃季) 「またこんな演出やってる!」と憤った。  最近の『情熱大陸』で役者が登場する回は「撮影中でも密着」が当然だ。芝居のリハーサル中でもキャメラは回る。そして本番も。涙を流したり、感情を吐き出すシーンでも『情熱大陸』は容赦しない。なんと芝居をする目線の先でキャメラは待っている。視聴者には「普通」のアングルかもしれないが、役者にとってはたまったものじゃない。  僕も以前、劇映画のメイキングを撮影していた時に役者の視線の先で構えてしまい、本番の演技を台無しにしてしまったことがある。ただ、確かに役者の違う顔が記録できることはできる。そんな表情を引き出したい気持ちも分からないはない。  だが、最近の『情熱大陸』でそんな演出がお約束になっている。  以前も新垣結衣さん、前田敦子さんの回では「ちょっとどいて下さい」といった言葉を彼女たちが発するまで粘っていた。視聴者はそんなタレントの姿を批判したが、僕は全く逆だ。「本番」の邪魔をしなければ撮れないようなことを狙うべきではないし、第一撮影現場のほかのスタッフ、キャストにも迷惑がかかる。今回も芝居に集中する役者に対し、ナレーションでは「それでも粘る」「礼儀正しく追い出された…」としつこく撮影していた。  僕が憤りを抑え切れなかったのは今回の取材者、松坂桃李に好感を持ってしまったからかもしれない。 「今年大ブレイク! 若手No.1」と画面の左上にテロップが出されていた彼は、ファンはもちろん、取材者からも現場のスタッフからも好かれている。 「自分(ほど)の実力で、このステージに立っているのはおかしいんじゃないのか」と語れば、皆「謙虚だねぇ」「いい人だ」と口をそろえる。テレビのスタッフにラーメンをおごられれば缶ビールでお返しし、自宅に招く。  室内は驚く程に質素だ。そんなに広くもないマンションの一室には日本映画のDVDが並び、共に缶ビールを飲みながら映画鑑賞。老舗映画雑誌『キネ旬』(キネマ旬報社)で新作もチェックしているらしい。特別大きくもないテレビを前に座る彼をナレーションが「よく言えばシンプル、悪く言えばつまらない奴」と断言する。それは言い過ぎだろう、とも思うが こんな素直な姿が女性に好感を持たれるんだろうな、と思う。  ちょうど半分に差し掛かった頃に、『情熱大陸』お約束の自己紹介が始まる。ゲストの生年月日や出身地を子どもの頃の写真で見せるアレだ。そこで意外なエピソードが語られる。彼は小学生の頃にいじめられていたと言うのだ。 「こいつら全員、クソ野郎。クラス全員が嫌いだった」とこれまでとは違うトーンの声が聞こえる。その理由は名前。桃という漢字が「女の子みたい」と思われていたそうだ。なんとも小学生らしい、くだらないイジメだろう。  人と違うものを全否定し、徹底的に攻撃する。彼は目立たなく生きようと決めたらしい。だが、松坂桃李は20年以上溜め込んだ「本音」を演技で発揮することで成功を手にした。そして彼はこの番組で、これまで嫌っていた名前と向き合うことになった。名前の由来は中国の故事「桃李不言下自成蹊」から。桃やすももは何も言わないが、香りにつられて人が自然と集まるという意味らしい。  父親は「そういう人徳のある人になれ」と願いを込めた。  桃李はホテルの一室で父に電話をする。父が「生まれる前から付けたいと思っていた」と語る声は、どこかひょうひょうとしながらも優しさを感じさせる。しかし「男にしてみては変な名前だよ。親父の勝手な思いでいじめられてたって知って、初めて申し訳ないと思ったよ」と謝る。だが桃李は「この仕事を始めて名前にインパクトがあるんだと知った。ありがとうございます、と初めて 思ったよ。生まれて20年にして初めて」と感謝し、互いに「初めて」で応答し合っていた。ちょっと涙ぐみながら電話をし、互いに「まーねー」「ありがとう」と笑う合う姿はまさに親子ならではだった。  僕も彼と仕事をした監督から「素直ですっごくいい俳優だよ」と聞いたことがある。番組を見てもそこに疑いはない。よりブレイクすることは間違いないだろう。  しかし移動中のワゴン車でおにぎりを頬張る、なんともコンビニエンスな生き方を見てると、こういうタイプの俳優が活躍するのは今っぽいなーとも思うのだ。だから『情熱大陸』も新しい演出を見せて欲しい。撮影の本番で目線の先にスタンバイするなんて、もう「なし」で。 (松江哲明/映画監督) ■おすすめ記事 好調のディズニーリゾート、中高年女性の割合が増えている! 電子化に腰が重い出版社につきつけられた著作権のジレンマ 超簡単!周囲や“エラい”人を巻き込んで仕事を成功させるワザ 日本車が中国で大ピンチ!「誤った行為の結果を見せてやる」(業界幹部) ぐっちーさん「150万年も要隔離の核廃棄物に、どう責任を?」

ローソン

ねぇ、ローソンのおでんって何で焼きおにぎり入ってんの?うどんとかラーメンって去年から流行っているみたいだけど、これも凄いね!斬新というか、味がしみる具の定義を完全に無視しているよね。よく分かりませんが、この日は70円均一をやってて安いからワカメも入れて90円で購入。更にお得なことに青森はしょうがみそが無料のようです。

勘と確率

勘が鋭い人は確かに居る。自分も勘が冴えてるときや、勘がピタリと当たるときもある。しかし、良く考えてみると、それは経験や知識に裏打ちされていたりする。今回は経験や知識は度外視し、全くの「勘」と「確率」のお話・・・以下の条件で調査の練習を行うとする。

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