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ニコニコキングオブコメディ 冗談にもほどがある! 発売中です
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「ハメたってか、ハメられちゃったYO~~」
2メートルを超す長身に筋骨隆々のがっしりとした体格、そして抜群の運動神経で80年代の日本プロレス界を大いに盛り上げたハルク・ホーガン。来年還暦を迎える彼だが、22歳年下の新妻とラブラブな生活を送っている。そんなハルクのセックステープが流出し「史上最悪のセックステープ」だと陰口を叩かれたのだが、なんと金目当てに大親友が隠し撮りしたものだということが発覚。大親友は元妻とハルクがセックスするようお膳立てまでしていたことが明らかになり、世間を唖然とさせている。
ハルクは「WWE最大のスター」として多くの熱狂的なファンを持つ一方、近年はリアリティ番組スターとして人気を集めていた。しかし2007年に娘の友人に不倫していたことを告白され、さらに24年間連れ添った妻からにDVを受けていたと激白され、イメージが大幅にダウン。同年息子が交通事故を起こして同乗者が重い後遺症を負ったのだが、メディアで放送された被害者の壮絶な闘病ビデオを見たハルクは「すべては神の意思により起こった。息子は服役し、ジョン(被害者)は闘病している。ジョンを善人にしてあげるために神が与えた定めだ」と言い放ち、大バッシングを受けた。その後も、「妻と離婚し、自殺を考えるほど落ち込んだ」とお涙頂戴発言をして同情を集めたものの、間もなく22歳年下で娘によく似た女性とあっさり再婚。世間は呆れながらも、ハルクらしいと生温かい目で見守るようになった。

カナダ人と偽ってイランに入国したトニー(ベン・アフレック)は、
大使館職員たちに台本を渡し、映画スタッフを演じさせる。
日本では年間400本前後の映画が劇場公開され、米国ではそれを上回る500~600本もの公開本数を数える。しかし、当然ながら無事に劇場公開まで辿り着けた作品は極わずか。お蔵入りして現像所の倉庫で眠り続ける大量のフィルムに加え、映画会社の片隅で山積みされたまま忘れさられた脚本や企画書の数は天文学的数字に昇る。それら映画になりそびれた夢の断片は、日の目をまったく見ることなく一生を終える。映画スタジオは夢工房であるのと同時に、形にならなかった夢の残骸の墓場でもあるのだ。SFアドベンチャー『ARGO』も、そんな埋もれてしまった企画の1本にすぎなかった。CIAが目を付けるまでは。ベン・アフレック主演&監督による『アルゴ』は、1本の“お蔵入り企画”が人命救助を果たしたという奇想天外な実話をベースにした社会派サスペンスだ。
物語は1979年11月、イラン革命の波が押し寄せる在イラン米国大使館から始まる。悪名高いパーレビ政権を米国政府は支援していた上に、亡命したパーレビ元国王の米国入国を認めたため、イラン国民は「パーレビを引き渡せ」と怒りまくっている。米国大使館は過激派に取り囲まれ、風前のともしびだ。大使館職員とその家族52人がイラン側の人質となるが、6人の職員たちは裏口から逃げ出してカナダ大使の自宅に匿われた。だが、運が良かったのはここまで。街角には革命軍の目が光り、空港は封鎖状態。この6人はテヘラン市内で完全に孤立した形となってしまった。国務省やCIAは6人を救出するため、自転車で国境まで砂漠を走り抜けるなどの作戦を検討するが、現実性があまりにもない。ちなみにイラン側の人質となった52名の大使館職員たちを救出するために翌年デルタフォースが投入されることになるが、この作戦は大失敗に終わっている。そんな中で極秘裏に採用されたのが、CIAで人質奪回を専門とするトニー(ベン・アフレック)が発案した“ハリウッド作戦”だった。
ハリウッド作戦とは何か? 6人もの大使館職員を同時に国外へ脱出させるのは至難の技だ。そこでウソの映画をでっちあげて、映画のロケハンのふりをしてイランに入国。現地で合流した6人を映画クルーに仕立てて、何食わぬ顔でそのまま空港から帰国してしまおうというもの。だいたい、映画の撮影隊にはよく分からない職種の輩がやたらといる。大使館職員たちにカメラとか機材を持たせとけば、バレやしないだろう。恐ろしく大胆にして、すげーアバウト。これ、実際にCIAが採用したミッションなんですよ。

人質救出は成功しても陰の裏方、失敗したら一生非難される
割の合わない仕事。トニーは黙々と任務を遂行する。
ハリウッド作戦の指揮をとり、現地にまで飛ぶのはトニー自身。というか、誰もこんな無謀で危険すぎる作戦は引き受けない。相手を欺くには、思い切ったウソのほうがいい。相手だけでなく、味方も騙せるようなじゃないとダメだ。トニーはハリウッドへ向かい、旧知の仲である『猿の惑星』シリーズの特殊メイクアップアーティストのジョン・チェンバース(ジョン・グッドマン)に協力を求める。こんなバカげた作戦に興味を示してくれるのは、ハリウッドでもそういない。チェンバースの推薦で、辣腕映画プロデューサーのレスター(アラン・アーキン)もハリウッド作戦に参加することになる。
ジョン・チェンバースは実在の人物で『猿の惑星』(68)の際にアカデミー賞特殊メイク賞が新設された、その道のパイオニア。レスターは複数のプロデューサーをモデルに合成されたキャラクターだが、ベテラン俳優アラン・アーキンがこの役に見事に命を吹き込んでいる。レスターは派手好きで食わせものの業界人。映画プロデューサーとして現地に乗り込むと意気込むトニーに対し、「お前はせいぜいアシスタント・プロデューサーどまりだな」と水を差す。ウソの企画だが、「映画の基礎となる脚本をおろそかにしてはならない」と主張して譲らない。そこでお蔵入りしていたボツ企画の中からトニーが見つけ出した1本のシナリオが『ARGO』だった。荒涼とした大地が広がる異星を舞台にしたSF冒険活劇。主人公が美女を連れて、悪の首領と戦う荒唐無稽なストーリーだ。中東でロケハンしたいという口実にぴったりではないか。レスターは時代の流れから取り残された賞味期限切れのプロデューサー。これまで口八丁手八丁で、ずいぶん詐欺師まがいのことをやって稼いできた。ここらでフィクションの世界とは別に、人の役に立つことに協力してもバチは当たらないだろう。『ARGO』を映画化するには脚本家協会の許可を取ってギャラを払わなくていけない。そこでレスターは脚本協会を相手にギャラを値切りに値切ってみせる。その一方で、ウソの製作発表会見を開き、ウソの広告をバラエティー誌に出稿する。ウソだらけの企画だが、いつもと同じように堂々とハッタリをかます。ウソの中にリアリティーを染み込ませる。それこそが、レスターができる最大限の協力だった。
1980年1月。カナダ人だと偽ってイランに入国したトニーは、カナダ大使邸に隠れていた6人にハリウッド作戦を説明するが、「マジかよ! 見つかったら処刑されちゃうよ!」と大反対される。そりゃ、そうだろうな。でも、足並みがちゃんと揃わないと、この作戦は確実に失敗する。トニーは「オレを信じろッ」と懸命に説得する。人生を生きながらえるためには、ときに腹を括って、危険な橋を渡らなくてはならないときもあるのだ。6人はそれぞれ映画監督、カメラマン、脚本家、美術スタッフ……とにわか仕立ての映画スタッフに変身。イラン革命軍を相手に一世一代の大芝居をうつことになる。

プロデューサーのレスター(アラン・アーキン)、チェンバース
(ジョン・グッドマン)と完成することのない映画の船出を祝う。
ウソから始まる恋愛の顛末をホロ苦く描いた『ザ・タウン』(10)に続いて、主演&監督を兼ねたベン・アフレック。大学時代に中東の政治を学んでいたこともあり、どうしてイランは米国のことをここまで憎むようになったのか歴史背景を丁寧に分かりやすく盛り込んでいる。そして一行は、いよいよクライマックスとなるテヘラン空港へ。呼び止めた警備兵に対し、ウソの映画クルーは脚本、絵コンテ、バラエティー誌に掲載された広告を取り出して見せ、映画『ARGO』の内容を説明する。バレたら全員処刑されるので、みんな必死で身振り手振りで存在しない映画の説明をする。命懸けでウソをつく。そうとは知らず、イランの警備兵は映画『ARGO』の完成した様子を頭の中で想像して、子どものように目をキラキラと輝かせる。多分、きっとこれが映画の本質なのだと思う。懸命にダマす人がいて、ダマされて気持ちよくなる人がいて、その両者の間には壊れやすいシャボン玉のような夢の世界が一瞬だけ広がる。その一瞬の世界はとても広大で豊かで、誰もが自由になれる空間なのだ。
結局、というか当然ながらSFアドベンチャー映画『ARGO』は完成することなく、劇場公開されることもないまま、人々の記憶から消え去っていく。でも、それでいいのだ。6人の大使館職員たちの心の中では、史上最大にスリリングな大冒険ロマンとして『ARGO』の名前は永遠に刻まれ続けるだから。そして今日もまた、映画プロデューサーたちの机の上には、映画化されることのない企画書や脚本が次々と山積みされていく。
(文=長野辰次)
●『アルゴ』
製作/ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロブ、ベン・アフレック 脚本/クリス・テリオ 監督/ベン・アフレック 出演/ベン・アフレック、アラン・アーキン、ブライアン・クランストン、ジョン・グッドマン 配給/ワーナー・ブラザーズ映画 10月26日(金)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー (c)2012WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC
<http://wwws.warnerbros.co.jp/argo>
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[第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』
[第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』
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[第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』
[第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』
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[第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』
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[第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像"
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[第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』
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[第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』
[第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び
[第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い
[第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』
[第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』
[第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を
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[第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』
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[第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』
[第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』
[第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』
[第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』
[第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』
[第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』
[第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』
[第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』
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[第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』
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[第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ
[第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』
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[第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張
[第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』
[第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』
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[第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』
[第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼!
[第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』
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[第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』
[第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』
[第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか?
[第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ!
[第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』
[第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』
[第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』
[第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』
[第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』
[第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』
[第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は?
[第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』
[第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』
[第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
[第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』
[第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』
[第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』
[第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化
[第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』
[第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』
[第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』
[第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは?
[第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』
[第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』
[第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』
[第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』
[第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』
[第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』
[第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』
[第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』
[第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』
[第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』
[第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』
[第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』
[第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇
[第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』
[第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』
[第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』
[第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊!
[第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』
[第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』
[第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』
[第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』
[第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』
[第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』
[第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』
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[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

「エレクトリックボーイ」/ユニバーサル・シグマ
韓国・李明博大統領の「竹島上陸」や「天皇陛下への謝罪要求発言」、歌手のキム・ジャンフン、俳優ソン・イルグクの「竹島水泳横断」などで、大きく拗れてしまっている日韓問題。韓国の芸能人たちが、文化と政治問題と結び付けてしまったことは事実であり、その影響は計り知れない。
特に、逆風を食らっているのが、K-POPブームを代表するグループである、少女時代、KARA、東方神起らだ。特にKARAは、ソウル市内で行われたミニアルバム『PANDORA』の会見で、「日本で独島(竹島)について立場を聞かれたら、どう答えるのか?」と韓国記者から質問されていた。この、なんとも答えづらい質問に、KARAはノーコメント。
これに対して、韓国ネットユーザーたちは「なぜ独島は韓国の領土と言わないんだ!」と、猛反発。「売国奴!」という書き込みも相次いだ。日韓で活躍するKARAにとっては、デリケートな問題だけにコメントはできない状況なのだろう。竹島問題の犠牲者になってしまったという印象を受ける。

「nina's」(祥伝社)2012年11月号
長らくおしゃれママ界をけん引してきた千秋の連載が前号で終了。7月号で表紙を飾ったオセロ・松嶋尚美が、千秋と入れ替わる形で新たに連載をスタートさせました。7月号のレビューでもお伝えしましたが、この人の「悩みなし、思想なし、ただおしゃれ!」という志向は、クリエイティブという名の下にシャレ散らかすだけシャレ散らかす「nina's」にピッタリ。同じ高齢おしゃれガールでも、そこはかとなく育ちの良さや知性を漂わせる千秋と、子どもを産んでますますそのお気楽極楽感に拍車がかかる松嶋尚美では、抱えている信者層も異なりそうです。ちなみにこの連載は松嶋尚美が「知りたいことや、やりたいことに体当たりで挑戦するで!」という内容らしく、初回はこの秋「尚美mama」が注目するおしゃれワンピの「きらきらHappyな着こなし」をチェックだそう……。「nina's」の“軽量化”が止まりません。
<トピックス>
◎売れてる! 欲しい! 流行ってる! ママの「コレイイ」大発表!
◎子どもに聴かせたいGOOD MUSIC
◎家族何人? 教えて!! 家族計画

(c)2012 Documentary Japan, Big River Films
福島県双葉町は、福島第一原発事故後、1,200人の住民とともに、町からおよそ250キロ離れた埼玉県加須市の旧騎西高校に避難した。この避難所で、双葉町の住民たちが過ごした1年間に焦点を当てたドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』が公開される。
一つの教室にいくつもの家族が詰め込まれ、段ボールで仕切られた“家庭”の中で、避難者はそれぞれの生活を送る。遅々として政府の方針が示されないまま過ごす毎日、いつ帰れるともわからない不安、そして一時帰宅を迎えた喜び……。避難者と同じ目線で、1年間という時間を追体験することができる貴重な作品だ。
この作品を監督した舩橋淳監督の目には、双葉町の避難民や原発問題は、どのように映ったのだろうか?
――原発や放射能問題に対しては、以前から関心があったんですか?
舩橋淳監督(以下、舩橋) 原発はよくないだろうとは思っていましたが、その程度でした。僕はアメリカに10年住んでいたんですが、アメリカでは電力自由化が進んでいて、手軽に自分が使う電気の種類を選ぶことができた。ところが帰国してみると、東京には東京電力しかなかった。チョイスも何もないから、勝手に電気が来るもんだと思ってしまっていたんです。それが原発事故が起こって初めて、その電力の一部が福島第一原発から来ているということを認識しました。恥ずかしながら、そこで作られた電気が100%関東圏に来ているということも知らなかったんです。
――舩橋監督のお父様は広島出身で、幼いころに原爆被害に遭われたそうですね。
舩橋 はい。僕は被爆2世なんですが、日本映画史でも原爆についてのドキュメンタリーはたくさん作られていたから、自分がそういう作品を作るつもりはずっとなかった。もうやり尽くされていて、自分にできることはないと思っていたんです。ところが、テレビで原発事故の報道を見ているうちに、「被ばく」ということに関して、原爆も原発も同じだと気づいたんです。それなのに、原発はあたかもクリーンであるかのようなイメージが作られていて、その存在を疑問視する声はありませんでした。それに矛盾を感じたんです。臭いものにフタをするかのように、見えないようにしてきたという歴史が少しずつわかるようになって気づいたのは、原発とは原爆なんじゃないかということ。原爆と同じことが現代に起こっているのだから、何かしらこの状況に対する映画が作られるべきなのではないかと感じ始めたんです。
――そんなときに、双葉町が加須市の旧騎西高校に避難してきた、と。
舩橋 はい。福島県の自治体はだいたい県内に避難していたんですが、どれくらい避難するべきかという論争が起こっていました。20キロか、30キロか。アメリカは50マイル(80キロ)逃げるべきだと主張していました。学者でさえもそれぞれ違うことを言っている中、双葉町は250キロも離れた埼玉県加須市に避難した。状況がわからないんだから態勢が整うまでは遠くに逃げる、という判断はとても正しいことのように思えたんです。いったい、どういう人がこの判断を行ったのか、どういう人々がそこへ避難してきたのか、興味が湧いて、昨年の4月上旬に旧騎西高校を訪れました。
――初めはドキュメンタリーを撮影するつもりはなかったそうですね。
舩橋 これまでは電気はどこからともなくやってくるものだと思っていて、僕はそれを湯水のように使っていた。自分の使っている電気で、自分が避難しなきゃならなくなったのであればまだ理解ができます。しかし、実際は他人が避難を強いられている、という事実が納得できなかった。避難所に行っていろいろな人に話しかけながら、この疑問を解消したかったんです。何度か足を運ぶうちに、徐々に「これは映画にできるのではないか」という考えになりました。
震災後、テレビではさまざまなドキュメンタリーが作られましたが、「どれだけ気の毒な体験をしているのか」「どれだけかわいそうな人々なのか」を描くばかりで、それは原発事故に関しては本質からずれているような気がしていたんです。原発事故では、視聴者や放送局の人間も加害者であるかもしれない。もちろん、「東電が加害者であり、われわれは電気を使っていただけだ。加害者ではない」と言う人もいるかもしれませんが、一部の人間が犠牲を強いられるような電気の供給システムに依存し、それを支えてきたのは私たちなんです。しかし、避難者を「かわいそうな人たち」という描き方をしたら、視聴者はそれを「他人事」として納得してしまう。安心できてしまうんです。作り手は当事者意識を棚上げにするのではなく、視聴者をぐらつかせるくらいの刃を突きつけなければならない。

――それは、非常に後味が悪いものでもありますね。
舩橋 はい。でも、“お気の毒な方々”と描くことが正しいことだと思えなかったんです。どうしてこんなことになってしまったのか、電気の生産者であった双葉の避難民と消費者であった自分たちとの対話を記録するように作品を作ろうと思ったんです。
■東電には「ありがとう」と言わなければならない
――撮影を進めるうちに、どんなことが見えてきましたか?
舩橋 加須と東京を行き来するということは、電気の生産者と消費者の間を行き来することでもあるんですが、地理的に距離が離れていることで、うまくリスクを分散させる不公平な日本のシステムというものが見えてきましたね。地方は地方で都合のいいように、東京は東京で都合のいいようなシステムが組まれてきたんです。地方には雇用や交付金などのお金が落ちてきます。これまで、双葉では農閑期である冬は出稼ぎに行かなければならなかったのですが、原発ができたことによって自分の町で生活できるようになりました。一方、東京では、地理的に距離があるので原子力のリスクを考えないで済む。節電したほうがいいのか、と感じなくて済むくらい、たくさん電気を使えるんです。こうやって双方を往復すると、原発のリスクは不均等に分散し、一部の人に犠牲を押しつけるシステムとなっていることが見えてきました。
――そのシステムに組み込まれてしまった双葉の避難民に触れる中で、印象に残っている言葉はありますか?
舩橋 「これまでは、東電におんぶにだっこで生きていた」と言う避難者がいました。かつて、双葉は「福島のチベット」と言われているくらい、過疎がひどく、貧乏な地域だったんです。東電がなければ、双葉町は存在できなかったかもしれない。今まで30年間お世話になって、東電には仕事もおカネももらってきたのだから、「ありがとう」と言うべきなんじゃないかと語る避難者がいました。
――報道には、なかなか取り上げられない声ですね。映画では、一時帰宅の様子も撮影されています。
舩橋 この時も、東電社員がかいがいしく世話をしていたのが印象的でした。4~5回にわたって一時帰宅を取材したんですが、ある日は土砂降りの天候。一時帰宅した住民は、ビニール袋にそれぞれの荷物を入れて帰ってくるんですが、荷物で両手はふさがっています。そこで、東電社員は避難者が濡れないように傘を差し、自分がびしょ濡れになりながら世話をしていたんです。会社が悪いことしたんだから、社員である自分たちがやらなきゃならないという、ある種の真剣さが伝わってきました。
やっぱり、東電に対する多くの避難者の姿勢は厳しいもので、彼らが避難所に来たら非難轟々になります。「東電の○○です」と挨拶しただけで「バカタレ」と怒号が飛んでいました。下々の社員は避難者の世話をしながら「すいません」と謝り続け、社長をはじめとする上層部の人々は姿を現さない。不公平だなと思いますよね。謝罪する人間はそんな下々の社員ではなく、もっと別にいるはずなんですけどね。
■延々と続く時間の積み重ね
――旧騎西高校には、現在でも180人(9月18日現在)あまりの方が生活されていますが、みなさんの雰囲気もだいぶ変わってきましたか?

舩橋 そうですね。今年9月から、無料で配られていたお弁当が有料化されました。が、肝心の土地や家の賠償はまだ始まっておらず、再スタートのためのお金をもらえていない。避難者も時間がたつことによって余裕がなくなってくるから、賠償も「いくらでもいい、なんでもいいからちょうだい」となってしまうでしょう。これは水俣病の時にも行われていた、卑怯な方法なんです。日本は水俣病の当時からまったく成長していません。
――行政に対しては、何が一番の問題だと思いますか?
舩橋 時間軸方向での被害を見積もるのが、日本人は下手ですよね。どこが何マイクロシーべルトなのかとマメに放射線量を測定することは得意なのですが、「何年まで住むことはできない」と、時間軸方向で被害を見積もることができません。「いつか改善されます」「わからない」で済ませてしまうことが多い。わからないのであれば、仮に「40年は住めない」と設定して合理的な判断をしていけばいいのに、避難者の時間は引き延ばされて、どんどんと待ちぼうけにされてしまう。それは時間的な損害なんです。その損害によって、避難者はどんどん疲弊してしまいます。
――では、このような状況で、双葉町民にとっての希望とはなんなのでしょうか?
舩橋 「仮の町」だと思います。今、双葉町では「7000人の復興会議」として町民を集め、どうやって次の町を生み出していけばいいのかを町民たちが議論しています。時間がたつと、人々がばらばらになってしまいますから、できるだけ早く仮の町構想をまとめてほしいですね。その構想を知るだけでも、避難者にとっては生きる希望となるはずです。
――観客には、どのようなことを感じてほしいですか?
舩橋 映画を編集する際は、観客も避難所で日々を過ごしていると感じられるように腐心しました。朝起きて、散歩して、弁当食べて、タバコ吸って、テレビのニュースでは原発の作業は何も進んでいないと言われ、夜が更けていく……。避難者を取り巻いている、延々と続く時間の重みを感じ取ってほしいと思います。
――それは「当事者」を疑似体験することにほかなりませんね。
舩橋 避難を他人事とせず、できるだけ感情移入してほしい。まさしく自分が避難所で毎日を過ごしていて、やっと3カ月ぶりに2時間だけ一時帰宅することができる。そんな時間の流れを、時系列で体感してほしいんです。5分のニュースでは伝えられない時間の重みを描くことができるのが、ドキュメンタリーですからね。
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

●ふなはし・あつし
1974年大阪生まれ。東京大学教養学部表象文化論分科卒後、ニューヨークで映画制作を学ぶ。長篇映画『echoes』は仏アノネー国際映画祭で審査員特別賞、観客賞を受賞。第2作『BIG RIVER』(2006年 主演オダギリジョー、製作オフィス北野)、第3作『谷中暮色』(2010年)と本作『フタバ〜』は、3作品連続ベルリン国際映画祭に正式招待と、国際的な評価を得ている。
●『フタバから遠く離れて』
10月13日(土)より、オーディトリウム渋谷ほか全国順次ロードショー
<http://nuclearnation.jp/jp/>
10月10日の日経新聞朝刊から気になるニュースを拾い読み。ビジネスシーンで使えるまじめな1面記事から、飲み屋談義に花咲く変わりネタまで日替わりでピックアップしちゃいます! 【注目記事】 マクドナルド、既存店売上高6カ月連続減 9月は3.6%減 注目は、企業面から「マクドナルド 売上高3.6%減」の記事。マクドナルドの9月の既存店売上高が、前の年の同じ月に比べて3.6%減少したという内容だ。ちなみに、客数は前年同月比1.3%増。昨年より休日が1日多いとはいえ、こちらは5カ月連続でプラスとのこと。つまり、客単価が減ったということだ。 記事によると、低価格バーガーやドリンクは売れたが、高価格帯のバーガーの売り上げが不振だったことが原因とのこと。期間限定でメニューを次々と替えるなど、結構な力を入れて売り出していた300円台の“高級バーガー”「世界のマック」シリーズは、どうやら不発だったようだ。 高価格バーガーも売りたいマックの気持ちは、とてもよく分かるが、やっぱり客からすれば、「安くなければマックじゃない」という感じなのかも。 【1面】 レアアース 脱中国進む 1面トップは「レアアース 脱中国進む」の記事。自動車や家電に使われるレアアースの中国依存の割合をさらに低下させるべく、トヨタや三菱がレアアースを使わない磁石の開発に乗り出す、という内容だ。 かつては供給の大半を中国からの輸入に頼っていたレアアースだが、10年9月に起きた尖閣沖での中国漁船と海保巡視船の衝突事件をきっかけに「チャイナリスク」が顕在化。以降、懲りた日本はレアアースの脱中国依存を進めている。 その結果、レアアース全体では依存の割合を約5割にまで低下させることができた。その甲斐もあってか、現在の尖閣をめぐる摩擦の中でも、国内でレアアースの不足は起きていないのだという。 しかし、ハイブリッド車やエアコン用の高性能モーターに使う磁石に必要なレアアース「ジスプロニウム」は、今も約9割を中国からの供給に頼っているなど、一部の鉱物はいまだに脱依存が進んでいないのが現状。今のところは代替の物質を使ったり、使用量を抑える技術が開発されたりで不足分を補ってはいるが、将来的にはこちらも脱中国依存を進める必要があるという。 そこで今回トヨタや三菱が開発に乗り出したのは、この「ジスプロニウム」を全く使わないで作れる強力磁石。すでに学術研究で、理論上では、「ジスプロニウム」を使った磁石以上の強力磁石を生み出せることが確認済みなのだという。実用化されれば、脱中国依存がさらに進むことになり、日本経済の不安定要因の一つが解消されることになる。 中国の強気な姿勢は、好景気に支えられた旺盛な消費と豊富な資源を背景にしたものだったが、今やその両方が失われつつある。中国が外交姿勢の転換を迫られるのも時間の問題か。 【企業総合面】 鹿児島に時価1300億円の金鉱床発見 住友鉱 企業総合面からは、「金、新たな鉱床確認」の記事。住友金属鉱山が、鹿児島県の菱刈鉱山に、新たな金の鉱床を確認、2018年から採掘を開始すると発表した、という内容だ。 今回発見された鉱床の、金の埋蔵量は約30トンとのこと。この菱刈鉱山には、すでに調査が終わった分だけでも埋蔵量150トンの金が確認されており、今回の発見で計180トンの採掘が可能になったのだという。今回見つけた30トンの金の時価総額は、なんと約1300億円。しかも、世界的な金融不安から金相場は上昇傾向にあるということで、今後ますます価値が高まる可能性もある。 しっかり調査した上での発表なので、よもや起こらないとはないと思うが、徳川埋蔵金や国の埋蔵金みたいに、「実際に掘ってみたら、ありませんでした!」みたいなことになりませんように。 ☆その他の注目記事☆ ・ハマグリ「絶滅危惧」指定、産地は困惑 ・中国、社会統制強める 検索制限や活動家監視 ■おすすめ記事 もし“マジメ人間”桑田佳祐がサラリーマンだったら成功するか? 「両雄並び立たず」ソフトバンクとイーアクセスの提携は吉とでるか? 元裁判官が語る「なぜ、どのように逆転無罪が生まれるのか?」 朝日新聞売り上げ低迷で社員も給料減…でも、年収1300万円! 早大、写真から数十年後のシワもくすみも予想するソフト開発「日経新聞」10月10日1面より

『純と愛』公式ホームページより
10月6日放送の『土曜スタジオパーク』(NHK)に風間俊介が登場しました。風間は現在、朝の連続テレビ小説『純と愛』(同)で風変わりな少年・愛(いとし)を熱演中。冒頭、風間のプロフィールを紹介する場面で「東京生まれの29歳! 見えない!」とアナウンサーの小田切千に指摘されると、「ずいぶん童顔なんですけど、29です!」と風間。本当に、幼い頃からまったく顔が変わらないですよね。
ドラマの放送は始まったばかりですが、撮影はすでに5カ月が経過。共演中の夏菜は風間について、「なんでもかんでも言いたい放題言ってるような仲の良さ」と話し、風間も「2人のシーンを撮る時は一日中ずーっと2人のシーンを撮ったりするので、ある種、家族のように時間を過ごしてる」と言い表していました。『純と愛』というタイトルですから、純役の夏菜との仲が悪かったら困りますけどね。
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