銀行員といえば、社会的に大きな信用がある職業といえよう。バブル崩壊後は、徐々にその信用も、貸し渋りや不正融資といった不祥事にまみれ、廃れてきたとはいえ、まだまだ社会的信用度は高い職業である。とりわけ三大メガバンクの行員といえばなおさらだ。 そんな三大メガバンクの一角を占める三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、行員数では3社中第2位。総資産・時価総額ベースでは、世界第14位(2011年時点)を誇る名門である。そんな三井住友FGの中核である三井住友銀行は、インターネットバンキングを先駆けて行うなど、斬新な経営の展開でも知られる。そんな同行の内情について、現役行員、関係者に赤裸々に語ってもらった。 ビジネスライクな対応がトラブルに 三大メガバンクの顧客への対応は、最も官僚的なのがみずほ銀行、庶民的なのが三菱東京UFJ銀行、ビジネスライクで都会的な対応が三井住友銀行といわれる。 「いろいろ批判はあるが、お客様からみて、きちっと手堅く仕事をこなすのがみずほ。それにサービス業的要素を加えたのが、三菱東京UFJではないか。うちはどういうわけかエリート風を吹かせた人間が多く、そのためかビジネスライクな対応をしているが、時と場合によってはそれがトラブルを引き起こす」(三井住友銀行現役行員・A氏) A氏によれば、「どうしても地域によってはユニークなお客様、と申しますか、扱いにくいお客様もいらっしゃるので、フレンドリーな応対をしたほうがいいケースもあります」という。 とある“ユニークな客層”が多いことで知られる支店での話だが、この支店での窓口業務担当者は、実は最近ではパート行員の比率が高くなっている。正行員は資産運用相談や投資信託販売、年金保険仲介といった「利益率の高い」仕事に駆り出されるからだ。 そのため新規の預金口座開設など、「番号札で呼び出しを待つような顧客」への対応は、利益性を追求しなくてもいいパート行員の比率が高い。 勘違い“エリート”行員 もっとも、このパート行員の多くは、元銀行員である。パートとはいえメガバンクに勤めていることで、時折、「自分はエリート」と勘違いする者もおり、特に「元地銀行員や元信金職員に、その傾向が強い」(A氏)という。そうした“勘違い”でエリート風を吹かせたパート行員が事件の発端だ。 「顧客が新規で預金口座を開設した際、銀行側の不手際で、ある書類を顧客に手渡すことを失念してしまいました。そのため担当の女性行員がFAXでその顧客に書類を送付したのですが、顧客からは『FAXが白紙で届く』と何度もクレームの電話が入ってくる。その女性行員は、FAXの調子がよくなかったことが原因だと説明しているが、1時間以上も電話でのやり取りが続き、さすがに顧客がキレた。周囲の行員もちょっとマズいなと思ったとき、その女性行員が発した言葉に、一同が凍りついた。 『FAXの不作為でございまして……。弊社としてはなんの落ち度もございませんので。そろそろ閉店の時間となりますので、明日、再度、お送りいたします――』 ユニークな顧客層の多い地域性で、こうした対応は、余計トラブルの原因となります。周囲の予測通り、顧客の怒りは頂点に達したようで『上司に代われ!』と言ってきた。しかし、この代わった上司が、トラブルをさらに大きくしました」(A氏) さらに火に油を注ぐ副支店長 女性行員に代わって電話口に出たのは、これまたエリート風を吹かせることで知られた副支店長だった。電話口では、ビジネスライクな対応をしているが、傍から見ていても、どうもうまくコミュニケーションが取れていない様子がうかがえる。そしてついに副支店長は、次にように言い放ったという。 「大きな声を出さない! 仕方ないでしょう。FAX、機械の調子が悪かったんだから。え? では、何か景品でもお付けしましょうか? 何? 支店長出せ? まあ、支店長に電話されるのはご自由ですが、支店長がお会いになるかどうかはわかりませんよ」 これで、さらに顧客の怒りは激しくなったのだろう。何やら電話越しに言い争っている様子がわかる。それでも副支店長は、この顧客との話をうまく治めようとしたのだろう、こう言って電話を切った。 「それではお客様。私の言動についてお詫びいたします。書類については私の責任でなんとかいたしますので。もう結構です。ただ、やはり支店長をお詫びに行かせることはかないません。ですが“支店長代理”なら、そちらに直接お詫びに伺わせることは可能でございます。副支店長の私とは違い“支店長代理”でございますので。それで治めて頂けませんでしょうか。では……」 支店長代理のランクは課長以下? 世間の多くの人は、銀行員の肩書はよくわからない。支店で一番偉いのが支店長というのはわかるが、では、副支店長と支店長代理では、どちらが偉いのだろうか? 「支店のトップは支店長、副支店長は支店のナンバー2です。支店長代理というのは、中間管理職で、副支店長よりもかなり格下。一般企業でいう課長代理くらいの役職ですね。とはいえ顧客側からみて支店長代理という肩書だと、ちょっと偉い人が対応してくれたと喜ばれるので、多くの銀行ではこの肩書にしている」(A氏) パート女性行員の些細なミスから生じたトラブルに巻き込まれた顧客からみれば、支店長代理といえば“支店長の代理”、つまり副支店長よりも偉い人が詫びに来たと思ったことだろう。 顧客側は、まんまとアメをしゃぶらされたといったところか。いかにも銀行員らしい“したたかさ”がうかがえる話である。 エリート行員の隠された“癖” さて、このエリート風を吹かせた対応の副支店長とパート女性行員は、「確たる証拠はないが、もしかしたら男女の関係にあるのかな」(A氏)と周囲が疑うほどの仲のよさだったという。エリート風を吹かしつつ女性を口説くのが、三井住友銀行員なのだろうか? Bさんは、現在、大手メーカーの総合職、いわゆるバリバリのキャリアウーマンだ。夫と離婚してから、職場の仲間はもちろん、友人にも話しにくい話ができるYahoo!チャットに以前ハマった経験がある。このチャットで出会ったのが、三井住友銀行ではエリート街道まっしぐらのC氏だ。 「Cさんは、とにかく話は知的な内容が多くてスマート。文学から国際金融、政治まで幅広くカバーしていましたね。『チャットでの出会いだからこそ、お互い本音で話そう』とソフトな雰囲気のなかにも、押しが強いというか……。チャットから個人のメールになり、携帯電話で会話するようになるまで、そう時間はかかりませんでした」(Bさん) 互いに携帯電話やメールで連絡を取り合うようになってから1カ月ほどたったとき、ホテルのロビーで会うことに。このホテルを指定したのはC氏。ロビーでお茶を飲み、それからホテル内のステーキハウスで食事をしてお店の外に出ると、BさんはCさんから突然キスされたという。 「キスした後、『あらら、子猫ちゃんみたいになっちゃったね。今日は、これから子猫ちゃんのお世話をしなければならないね』といって、Cさんがあらかじめ予約していた部屋に連れていかれました。こんな経験は、私も初めてでした……」(Bさん) 手回しの良さは、さすがエリート銀行員 初めて対面したその日に関係を持つべく、部屋の用意まで行う手回しの良さは、さすがはエリート銀行員というべきか。 そんなきっかけで結ばれた二人だったが、関係はそう長くは続かなかった。 C氏はスマートで知的な会話が多いものの、いつしかBさんへの要求が耐え難いものとなってきたからだという。 「私が『お風呂に入る』とメールすると、服を着ていない写真を撮って送ってくれとか……。ほかにも、デートの際に下着を外してきてほしいとか、縛りたいとか。ちょっと私の嗜好とは違ったので、いつしか会わなくなり、自然消滅しました」(Bさん) 先述の副支店長同様、エリート風を吹かせて、ちょっとKYなところは、三井住友銀行員に共通の“文化”なのであろうか? (文=杉本和夫) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) キンチョールだけでは全然ダメ! 絶対ゴキブリを出さない害虫駆除 自殺者量産!? 遺伝子組み換え種“キケンな”企業が日本へ? テルモに続き富士フイルムも オリンパス争奪戦激化 「カネ目当ての起業」という批判は“きれいごと”である 働く女性に立ちはだかる現実「責任が大きい仕事は男性に」 酒屋を次々と“コンビニ”に変貌させた「知られざる日本の国策」 スタバ、ドトールと何が違うの?失敗するカフェオーナーの条件三井住友銀行元頭取・西川善文氏
の著書『ザ・ラストバンカー』(講談社)
月別アーカイブ: 2012年8月
予告!サイゾーテレビ【ニコニコキングオブコメディ】第56回は16日(木)22時、生放送です!
ニコニコキングオブコメディ 冗談にもほどがある! 売れてます!
コンサバ復活の「VERY」に潜む、「社会問題と向き合う私」という価値観の萌芽

「VERY」 2012年9月号(光文社)
今月から、「VERY」は井川遥さんのコラムが終了し、表紙も読者モデル・滝沢眞規子さんになりました。そのせいか、そこはかとなく先月までのアグレッシブさが薄まり、コンサバが戻ってきた感じがするのは、滝沢さんのビジュアルに気をとられているための、ただの印象論でしょうか?
ここ1年くらいの「VERY」は、「とにかく消費一辺倒」の方針を卒業して、「コ・ジ・マ・メ・セ・ンのもしかしてVERY失格」や「母ゴコロ エコゴコロ」といった、女として、母としてのあり方を考えさせるような連載があり、華やかなファッションページと2つの軸で進んできたわけです。そのせいか、おのずとコンサバ、甘さの割合が弱まり、「美味しいごはんに放射能フリーの知恵」「しのびよる『妻だけED』の真実!」(2012年7月号)や小島慶子さんと北原みのりさんが木嶋香苗を語るという対談ページ「なぜ、女性は自分だけの佳苗を語りたがる」(2012年8月号)までが組まれる事態に! これまで「VERY」を読んでいなかった人にまで、「あれ? なんかVERYが違うぞ!」と思わせるところまで来ていました。
それが、滝沢さんが表紙になった今号は、“ゆるふわコンサバ”路線にバックラッシュしているような……。読者としては、もっとあの勇ましい路線がよかったのにという気持ちと、いやこの“ゆるふわ”誌面ににじみ出る本性こそが「VERY」の真骨頂という気持ちで揺れています。
<トピック>
◎滝沢眞規子さんの『主婦ベーシック』の作り方
◎最近、私“可愛い”が足りない!
◎今、“サードプレイス”が子育てママを救う!
宇多田ヒカル、櫻井翔、明石家さんまが叩かれた!? オリンピック場外戦まとめ

おつかれさまでした~!
編集S オリンピック、日本選手団のメダル総数は38個と史上最多。大活躍だったね。
しいちゃん 深夜から早朝の放送が多かったにもかかわらず、応援にも力が入ったわね~。いつもポジティブなベッキー♪#も、「今日も1日、なでしこJAPANのようなハッピースマイルで」なんてオリンピックにからめたポジティブツイートを連発してたわよ。
編集S ふーん。あ、想われニキビが出来てる♪ やっばい、モテキ到来だわ~~。
重すぎるインテリより愛嬌がある女子アナ!? 朝のワイドショーで求められる人材とは(8月上旬の人気記事)
8月上旬の人気記事を紹介する、日刊サイゾー人気記事ランキング。今クールは、芸能人のみなさんの知られざる一面を暴露した記事が人気を集めました。生放送と収録でテンションが違うタレント先生や、ヤリマン歌姫、ヤリチン芸人などなど……。それでは、早速ランキングをチェックしていきましょう!
第1位
『とくダネ!』視聴率低迷でわかったナカミー人気と菊川怜の不人気ぶり
女子アナ>東大卒
第2位
ブー知らずのおぎやはぎ・小木がAKB48高橋みなみを痛罵! 芸能界からもAKB48批判が噴出寸前!?
それが正論!
第3位
「現場ディレクターの評価は最高!?」生放送と収録で“毒舌”を使い分ける西川史子の稼ぎっぷり
さすが、西川センセイ。
第4位
「CM露出は1位だけれど……」上半期ランキングに見る“女王”上戸彩の凋落と武井・剛力時代の幕開け
というか、オスカーすげーな。
第5位
「東京中のクラブDJが“兄弟”!?」五輪選手村も目じゃない“恋多き”女性アーティストって!?
けっこう有名な話。
次点
「彼女はヤリ捨てされただけ!」実は奔放恋愛のスギちゃん 週7人の“ヤリチン”ぶり
どこらへんが魅力的なんでしょうか?
次々点
「アレレ? ちょっと見ぬ間に顔が……」芸能活動再開したマリエに現場が騒然としている!
いくらなんでもやりすぎ!?
「150万枚出荷といっても……」AKB48新アルバム『1830m』が発売日前日にヤフオク1,000点出品中

『1830m』(キングレコード)
15日に発売となったAKB48の4枚目のアルバム『1830m』(キングレコード)の初回出荷枚数が150万枚になることが明らかになったが、その一方で発売日前日の14日に「Yahoo!オークション」に1,000点以上の同商品が出品されていたことがわかった。
『1830m』はCD2枚とDVD1枚、それに48ページの写真集とランダム封入の生写真1枚、さらにこれまでミュージックビデオ(MV)化されていない楽曲の中からファン投票で上位3曲を選ぶ「MV総選挙」の投票用シリアルナンバーカードのセット。楽曲は、27日に卒業する前田敦子の「桜の花びら~前田敦子 solo ver.~」など全34曲が収録されている。
「音楽CDは一般的に発売日の前日からショップなどに流通しますので、14日のうちに手に入れたファンが転売していると見て間違いないでしょうね。出品されている商品のほとんどには、封入された生写真のメンバーの名前が明示されています。目的のメンバーの生写真を手に入れるために複数のCDを購入して、“外れ”をすぐさま出品するわけです」(レコード店関係者)
当然、人気メンバーの生写真にはプレミアがついて、定価よりも高額で取引されることになる。中には人気メンバーに抱き合わせ、“10枚まとめて定価以上”の価格で出品する猛者もいるようだ。また、特典の一切を手元に残してCDのみを「新品未開封」として出品している例もある。
「これは、投票券目的の大量買いですね。いずれにしろレコード店としてはCDが売れてくれればいいのかもしれませんが、やはり発売前日にオークションに新品がズラリと並んでいるこの風景は、寂しいし、異様だと思いますよ」(同)
CDが売れない時代に、破格の枚数をさばく方法を編み出して実践し続けるAKB48。いずれ彼女たちがマーケットを去ったとき、音楽市場はどんな景色を見せるのだろうか?
「150万枚出荷といっても……」AKB48新アルバム『1830m』が発売日前日にヤフオク1,000点出品中

『1830m』(キングレコード)
15日に発売となったAKB48の4枚目のアルバム『1830m』(キングレコード)の初回出荷枚数が150万枚になることが明らかになったが、その一方で発売日前日の14日に「Yahoo!オークション」に1,000点以上の同商品が出品されていたことがわかった。
『1830m』はCD2枚とDVD1枚、それに48ページの写真集とランダム封入の生写真1枚、さらにこれまでミュージックビデオ(MV)化されていない楽曲の中からファン投票で上位3曲を選ぶ「MV総選挙」の投票用シリアルナンバーカードのセット。楽曲は、27日に卒業する前田敦子の「桜の花びら~前田敦子 solo ver.~」など全34曲が収録されている。
「音楽CDは一般的に発売日の前日からショップなどに流通しますので、14日のうちに手に入れたファンが転売していると見て間違いないでしょうね。出品されている商品のほとんどには、封入された生写真のメンバーの名前が明示されています。目的のメンバーの生写真を手に入れるために複数のCDを購入して、“外れ”をすぐさま出品するわけです」(レコード店関係者)
当然、人気メンバーの生写真にはプレミアがついて、定価よりも高額で取引されることになる。中には人気メンバーに抱き合わせ、“10枚まとめて定価以上”の価格で出品する猛者もいるようだ。また、特典の一切を手元に残してCDのみを「新品未開封」として出品している例もある。
「これは、投票券目的の大量買いですね。いずれにしろレコード店としてはCDが売れてくれればいいのかもしれませんが、やはり発売前日にオークションに新品がズラリと並んでいるこの風景は、寂しいし、異様だと思いますよ」(同)
CDが売れない時代に、破格の枚数をさばく方法を編み出して実践し続けるAKB48。いずれ彼女たちがマーケットを去ったとき、音楽市場はどんな景色を見せるのだろうか?
『忍たま乱太郎』で2.5次元界のアイドルに? 南羽翔平クンに直撃

『忍たま乱太郎』仙蔵役、南羽クンが登場!
1993年に放送が始まったアニメ『忍たま乱太郎』(NHK)。そのミュージカル版が2010
年より年2回ペースで公演され、女性から人気を博しているのはご存知でしょうか? 2次元でも3次元でもない「2.5次元」の世界で注目を集めているイケメンくんたち。その実生活に迫るべく、1回目となる今回は、ミュージカル版第二弾から六年生・立花仙蔵を演じていた南羽翔平くんに登場してもらいました。
――最近出演された舞台のお話を聞かせてください。
南羽翔平(以下、南羽) 『ミュージカル 忍たま乱太郎』の第三弾、第三弾再演で主役・仙蔵を演じて座長も務めさせていただきました。仙蔵を演じたのはこれで4回目なので、長髪のカツラにも慣れたと言いたいんですが、まったく慣れなくて(笑)。ダンスとか立ち回りがあると、どうしても髪の毛が前にくるので大変でした。
『忍たま乱太郎』で2.5次元界のアイドルに? 南羽翔平クンに直撃

『忍たま乱太郎』仙蔵役、南羽クンが登場!
1993年に放送が始まったアニメ『忍たま乱太郎』(NHK)。そのミュージカル版が2010
年より年2回ペースで公演され、女性から人気を博しているのはご存知でしょうか? 2次元でも3次元でもない「2.5次元」の世界で注目を集めているイケメンくんたち。その実生活に迫るべく、1回目となる今回は、ミュージカル版第二弾から六年生・立花仙蔵を演じていた南羽翔平くんに登場してもらいました。
――最近出演された舞台のお話を聞かせてください。
南羽翔平(以下、南羽) 『ミュージカル 忍たま乱太郎』の第三弾、第三弾再演で主役・仙蔵を演じて座長も務めさせていただきました。仙蔵を演じたのはこれで4回目なので、長髪のカツラにも慣れたと言いたいんですが、まったく慣れなくて(笑)。ダンスとか立ち回りがあると、どうしても髪の毛が前にくるので大変でした。
新築の9割売れ残り?人気エリアでもマンションが売れないワケ
東日本大震災から1年と5カ月。不動産業界は「今が住宅の買い時」と、あおり始めている。 復興需要の本格化に起因する建築資材の高騰傾向による価格上昇懸念に、建物部分にかかる消費税率の引き上げ、今後先細りしていく政府による住宅取得優遇策……と、経済誌も「今年よりは、来年、来年よりは再来年と、住宅購入を取り巻く環境は厳しくなる。今夏は住宅購入を決断する、ラストチャンスだ」とあおっている。 しかし、実はそれほど住宅は売れていないというのが、住宅業界の本音だという。住宅ジャーナリスト榊淳司氏に、「マンションが売れていない現実」について語ってもらった! マンションが売れていないというのが実感です。たしかに、2011年の後半から市場のマインドは徐々に改善してきました。春先は短期間で完売して「販売終了」となる物件が出るなど、そこそこ動いていた気配もありました。しかし、それは全体の1%もなかったはずです。少なくとも、私が全物件をフォローしている港区や文京区では、ほぼ9割以上が竣工までに完売せずに完成在庫になります。 ましてや、郊外エリアや千葉、埼玉、神奈川では、ファミリー物件が竣工後1年以上も完売できないケースがゴロゴロ。「人気が回復」したとされている湾岸エリアなど、竣工後4年以上のタワーマンションでも、いまだ販売中の物件があります。 ――それでも、マンションデベロッパーのマンション供給は止まらない。中には、マンションが供給過多になっているエリアもあるという。特に顕著なのが、神奈川県・川崎市だ。 「川崎駅エリア」は需給環境が悪すぎますね。ここ数年、大規模物件がいくつも出てきたことに加え、周辺エリアには「ヨコハマオールパークス」(京浜急行本線・JR南武支線「八丁畷」駅 全1424戸)や矢向の「ザ・ミレナリータワーズ」(JR南武線「矢向」駅 全756戸)など、市場を顧みない無謀な供給が多すぎました。これまでは川崎といえば、「川崎駅最寄り物件は必ず売れる」と業者の間でも言われてきた鉄板エリアでした。ところが、ここにきて、川崎が売れなくなったという声を聞くようになってきたのです。 ――たとえば、川崎の「リヴァリエ」というタワーマンション(京急大師線「港町」駅徒歩1分・「京急川崎」駅徒歩19分 全455戸)。支線とはいえ、駅から徒歩1分。東京都心のタワーとさほど変わらない仕様で、平均坪単価で180万円台(このエリアの相場観は平均坪単価140~160万円前後のため、高級マンションのカテゴリーに入る)、これまでであれば売れ行き好調のはずの物件だが、販売開始から1年以上たっても、いまだ、販売中なのだ。 前々から「集客はまずまずだけど、契約できない」という話は聞いていましたが、なかなか苦戦しているようです。竣工は13年2月下旬、入居予定時期 は13年3月中旬(いずれも予定)ですが、それまでに完売させるためには二子玉川の「ライズ」並みの大幅な値引きが行われるでしょう。 ――二子玉川の「ライズ」とは、東急田園都市線「二子玉川」駅徒歩6分、駅前再開発プロジェクトの一環として東急電鉄、東急不動産が手がけた高級タワーマンションだ。2年前に竣工済みだが、竣工後は大幅な値引きでやっとほぼ完売となった物件だ。しかし、こうした物件は、臨海地区でも同様だという。 たとえばプロゴルファーの石川遼がCMに登場する「ザ・パークハウス晴海タワーズ」「プラウドタワー東雲」といった目玉物件でさえ、業界関係者からは売れ行き好調といった声が聞こえてきません。さらに、晴海の南側に、ゆりかもめの「市場前」という今はほとんど利用者がいない駅があります。ここは築地市場の移転先とされており、周辺にマンション建設計画が浮上しているのです。このエリアだけでなく、数カ月から半年先には、新たな物件が市場にジャカジャカ供給されていきそうです。政府の政策や業界の意識が変わらない限り、将来的にも明らかな供給過剰になっていくでしょう。 ――「マンション買い時」ではない。これから、ますますマンションは供給過剰が続くというのだ。榊氏の最新刊『磯野家のマイホーム戦略』(WAVE出版)によれば、人口減少社会で、20年後の空き家率は20~30%の間。25%だとしても、08年の空き家率のおよそ2倍。住宅4戸に1戸が空き家になってしまうというのだ。 私が申し上げるのは「今は(新築物件は)買い時ではありません。そして、これからもずっと『買い時』なんて来ません」ということ。かつて家が足りない頃の記憶を引きずっていた、今の40代以降の人々は、多少の無理をしてでも住宅を買いました。その結果、多くの人々が住宅ローンに苦しんでいます。ところが、物心ついた時からずっと不況だった今の30代は、「無理をしてまで家を買う」というマインドが薄く、実際、多くが買っているとは思えません。 建築技術は格段の進歩を遂げ、今の住まいは木造一戸建ても鉄筋コンクリートのマンションも、20~30年くらいなら建て替えが必要なほどの老朽化はしない。つまり日本全体で見て住宅自体が市場で大幅に余ってしまうことが考えられるのです。人口ピラミッドを見ても、これから先、マンションを購入するボリュームゾーンである30代に、ピラミッドの山が生まれることは当分なさそうです。つまり、住まいを必要とする需要はこの先、ずっと先細るわけです。ならば、デフレ期には組んではいけないという住宅ローンをわざわざ組んで、あえて、業者の広告費が上乗せされた新築物件に住もうという人がどれだけいるでしょうか。 東日本大震災後は、人々の意識も大きく変わり始めている。また次なる大地震がいつ発生するかもわからない。こうしたリスクの多い時代に新築の資産を持つ人がどれだけいるだろうか。これまでのように住宅を次々に建設させて景気回復を導く、その負担は庶民の住宅ローンで……といった持ち家政策はすでに破綻している。人々の意識の変化に政府やマンション業界が気づくのはいつだろうか? (構成=松井克明/CFP) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 酒屋を次々と“コンビニ”に変貌させた「知られざる日本の国策」 三井住友銀行員が語る「エリート銀行員のトンデモ実態と“癖”」 スタバ、ドトールと何が違うの?失敗するカフェオーナーの条件 SNS戦国時代に乗り遅れた? mixiの明日はどっちだ 岩瀬大輔「超若手経営陣が率いるヤフーのスゴさ」 JAL・民主党vsANA・自民党の争いが勃発! 野村HDの2トップ追放の黒幕は古賀会長富士山から都市まで素晴らしい眺望が広がる
「リヴァリエ」。(「同公式サイト」より)


