
「東京都青少年・治安対策本部」より
8月6日に開催された、第626回東京都青少年健全育成審議会の議事録が公開され、委員から報告として、本サイトの記事が示されたことが明らかになった(
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_622_menu.html#626)。
取り上げられたのは、7月にアップされた「危機感ゼロの無知すぎるマンガ編集者が、新たな規制を呼び込む!? 東京都『不健全図書』の最新事情」(
※記事参照1)と「『非実在青少年』騒動はなんだったのか? “消していれば大丈夫”という判断をした青林堂の甘さ」(
※記事参照2)の2つの記事だ。
議事録は、都庁などの行政関係職員を除き名前は伏せて公表されるため、発言者は明らかでない(なお「日刊サイゾー」の部分と執筆者の「昼間たかし」の部分も黒塗りである)が、不健全図書が指定された後に、そのほかの報告として述べられたものである。
<先日、■ ■ ■ ■ というインターネットの中にある週刊誌みたいなものですけれども、その中に■ ■ ■ ■ さんという方の記事が載ってるんですね。その■ ■ ■ ■ という方は、もともと、いわゆる条例改正のときには反対派のほうに立って論陣を張ってた方ですけれども、その方が、あまりにも今の漫画の編集者の方々が無知過ぎて、このままだと、またさらに規制が強化されてしまうぞ、というような趣旨での文章を書いている>(議事録より)
前出の2本の記事で取り上げた、7月に不健全図書指定を受けた青林堂の『なぶりっこ マリカとアキコ』に関する内容を説明し、次のように続ける。
<東京都も、何度となく出版業界とも話をして、どこのポイントが規制の対象になるのか、という話をしているにもかかわらず、修整だけすればいいんだという発想で、出版をしている編集者がいまだにいっぱいいると。これは、毎度毎度業界関係者からの聴き取り内容を見ると、「修整してるからいいじゃないか」みたいな人たちがたくさんいるんで、ここはちょっと考えなきゃいけないな>
さらに同記事で取り上げた、双葉社が年通算6回の不健全図書指定を回避するために、指定を受ける可能性のある単行本を系列のエンジェル出版に移行したことも取り上げられている。
<要するに、確信犯的にやってる会社がやっぱりあるんだ、ということが分かるんですねね、これの措置によって。これは出版ゾーニング委員会でも再三問題になってるらしいんですよ、■ ■ 自身の危機感のなさというのが。倫理協議会の中の出版ゾーニング委員会でも、警告を結構やってるらしいんですが、業界の関係者の人たちも、それは思ってるんだけども、■ ■ は全くそれを意に介さない、というようなことをやってる>
ここでは伏せ字になっているが、明らかに双葉社を名指しで批判したことが見て取れる。指定回数がリーチに達する前に系列社に出版元を移して、アウトになるのを裂けようとしている出版社側の手の内が、完全にバレてしまった格好だ。
「双葉社をはじめとして、18禁マークなしのエロ要素強めのマンガを出版する各社も、“そろそろこれまでの方法は通用しない”と考えているようです。というのも、議事録にも掲載されているように、出版倫理協議会の出版ゾーニング委員会が再三にわたって問題視しているにもかかわらず方針を改めないことに対して、さまざまな出版社から相当厳しい批判が寄せられているのです。双葉社だけでなく、見た目の指定回数を減らすために系列に出版元を移す出版社はいくつかありましたが、そうした社も含めて“今までの逃げ方じゃ通用しない”と、ここにきてようやく深刻に受け止め始めているようですね」(業界関係者)
こうした状況を東京都では、どう見ているのか?
「双葉社さんから事実関係を聞いているわけではありませんので、明確なお答えはできませんが、(私見として)出版元を移す行為がただちに脱法行為になるとは見ていません。あくまで別の出版社から出版されているわけですし、ただちに何かの対策を取ることは考えていません。各出版社で自主的に基準を決めていただくのが最もよいのですが、各社で温度差があると思いますので、業界団体で自主規制していただくのがよいのではないでしょうか」(都青少年課の佐藤久光課長)
東京都はまだ静観の構えだが、出版業界内部では「いくらなんでも、やりすぎ……」という意見が強い。明確な証言はないが、双葉社では、単行本にした場合にエロページが多くなりすぎる(指定される可能性が強まる)いくつかの雑誌連載を打ち切るというウワサもある。結局、編集部が自分たちで過激な表現に歯止めをかけられないために、会社の上層部が介入せざるを得ないという事態になってしまっているようだ。編集者もマンガ家も、こんな事態を巻き起こしてまで表現したいものがあったのだろうか……?
(取材・文=昼間 たかし)