ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドアに入社。あのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)で多くのITベンチャー企業のスタートアップ、事業開発、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。 そんな塩野氏へのインタビューの模様を掲載した前回記事に引き続き、今回はその後編として、「アップルが強い理由」「日本企業苦戦の理由」「ベンチャー、ITサービス成功の秘訣」などについてお届けする。 ――ITサービス/ビジネスは、今後どのような方向に向かうのでしょうか? 塩野誠氏(以下、塩野) スマホとスマートデバイスの連携が進むと考えています。例えば、腕にリング状のデバイスを着けて、Bluetoothでスマホに飛ばす。そうすると自分の脈等のログを24時間ずっと取ることができます。このようなライフログ、医療系でのデータを手間暇かけないで取ることができて、そのデータに医療機関等がアクセスできれば、検査時間が短縮化され、かつ確実な医療が受けられるようになると思います。しかもデバイスがオシャレであれば、言うことなしですね。この「オシャレである」というのは、重要なファクターです。iPodの基本技術はどのメーカーでも持っていた一般的なものなのに、「iPodを持っているのがかっこいい」というマーケティングをして、アップルは大成功を収めたのですから、ハードのデザイン性は重要な要素なのです。ここに、実はベンチャー企業が成功するヒントがあるのです。 ――日本企業も、もっとオシャレさを追求すべきということでしょうか? 塩野 これまでのITや電機業界は、あえて単純化した言い方をすると、「独裁者・ジョブズ的なもの」対「合議制・日本メーカー的なもの」の戦いなのです。ジョブズという思想家が独裁してつくった製品は、デザインも機能もエッジが立っています。一方、合議制でモノづくりをしてきた日本メーカーは、マーケティング部があり、営業販売部があり、デザイン部があり、技術部があり、合議制の中でエッジーなアイディアをネガティブチェックしていくうちに、普通なものにしてしまうということの繰り返しをしてきました。「先輩が言ったから」とか、「上司が言ったから」とかいってエッジを削ぎ落としていった結果、極めて普通の製品になってしまったんですね。 iPhoneは粗利益率70% ――日本のモノづくりが苦戦しているのは、デザインや設計思想ですか? 塩野 そうです。今はベーシックな機能は、どのメーカーでも同じコモディティになってしまいました。すると、製品やサービスの根底にある思想やデザインにかけるリソースの違いが、「消費者が感じる価値」に変換されるようになりました。iPhoneは、電子機器製品として見ると、粗利益率が70%くらい取れているんです。でも、世界中で売れている。これは、デザインや設計思想の部分が、商品価値として評価されているということなんです。そういう意味においては、日本の合議制というモノづくりでは、機能で劣らないのに非常に負けが濃いんですね。 ――日本的企業経営が、時代にフィットしなくなってきたのでしょうか? 塩野 少なくともIT・インターネットを介したサービスや製品では、「合議制」で、「完全な製品」を、「いくつものバリエーション」で販売していこうとする日本企業のやり方は、時代にフィットしないようになりつつあると思います。アップルが成功したのは、ジョブズという独裁者が、「自分が欲しいと思う製品・サービスをつくったら、実はみんな欲しかった」というスーパーユーザーの発想です。製品数も少ないため粗利益率も高いわけです。でもこれは、ベンチャー企業そのものですよね。ベンチャーは思想家は経営トップひとりですから、「先輩に言われたから」とか、「社長の案件だから」とかはない。「そのサービスは、誰の何を解決しているサービスなのか」それをひたすら追求していけばいいわけです。 ベータ版でもリリースして、チューニングし続ける ――追求していく上で重要なポイントは? 塩野 現在のSNSでのサービスは、「Facebookログイン」「Twitterログイン」など、プラットフォームの上に乗っかったアプリとしてのサービスが中心です。しかし、プラットフォームに依拠してサービスを展開するというのは、DJみたいなものです。センスのある人間がミックスしているにすぎない。従って、そこのユーザーの属性の ・インタレストグラフ ・ソーシャルグラフ のデータを借りてきて、サービスを洗練させていくということになる。しかし、プラットフォームという「誰かのつくった思想」に依拠してしまうので、限界があるし、誰でもできてしまうから、すぐにキャッチアップする競合相手が生まれてくるのです。そこで求められるのが、 「コンセプトをよりエッジーにするために、チューニングをし続けていくこと」 です。インターネットの世界においては、完成度60〜80%程度のベータ版でサービス開始した後に、適時チューニングし続けるということができてしまうので、「ユーザの反応を見ながら、いかに早くチューニングをしていくのか?」が重要です。でもこれは、日本人が得意な「おもてなしの心」なんですよ。「ユーザがこう言ってきたら、どんどん変えていこう」という、ユーザフレンドリーな「おもてなしの心」なのです。 グーグルのジレンマ ――海外の成功しているIT企業は、その「ベータ版」というポイントを意識してサービス提供を行っているのでしょうか? 塩野 ええ。しかし、グーグル本社で聞いたのですが、グーグルが大企業になって社会的責任が出てきた時に、ベータ版で出すのがすごく難しくなってきたそうです。今までなら無料ということで、ベータ版を出していたのが、それがすごく難しくなってきた。これも、企業が大きくなったがゆえに失ったモノなんですよ。そうするとIT業界においては、スピードを失っていくんです。そこでどうするかというと、ベータ版でチューニングして完成した製品やサービスを買収するのです。これには、 「テクノロジーやエンジニアを買う」 「自分の将来の敵を消す」 という2つの意味があります。そしてスピード感のある人間をチームに入れることで、組織内の活性化を図っているんですね。 「個人の支払い能力」を制する者が、ビジネスを制す? ――グーグルの競合であるヤフーが、先日カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とポイント事業を統合することを発表しましたが、この動きについてはどのように見ていますか? 塩野 こうした動きのベースにあるのは、1つのIDですべてにアクセスしたいという、ユーザの要望を反映したものです。わかりやすくいえば、クレジットカードを1つにまとめてしまうみたいなことです。しかも、1IDにお金とパーソナルデータが入っていて、「誰がそれを握るのか?」だけではなく、同時に「ネットワークの外部性とか利便性が効いているか?」という視点も必要です。企業から見れば、 「どの企業がメインIDを管理する権限を持って、そのメインIDの中に入っているパーソナルデータにアクセスするか?」 「どの企業がデータの利用許諾ゲート(入り口)に成り得るか?」 の勝負なのです。データへのアクセス許諾権は、ユーザ個人とそこの管理者が持っているので、管理者はビジネス上の強い権限を持つことができるのです。そうした中で、リアルの実店舗とヤフーという大きなメディア、ECが融合されるというのは、ビッグニュースですね。 ――このような動きは、これまでもあったのでしょうか? 塩野 楽天が、電子マネー「Edy」を発行するビットワレットを買収しました。すると、「Edy」を利用できる各店舗には、楽天のマークがつくようになりましたね。このような動きは今後も広がっていくでしょうね。ユーザ側でも、どのブランドに対してシンパシーを持って、メインIDとしてパーソナルデータを提供するかという選択が、加速するように思います。この先グーグルが「グーグルクレジットカード」を発行して、リアル店舗での買い物ができるようになったら、面白いことになるかもしれないですね。でも、日本において一番個人データを持っているのは、やはりビザやマスターといったクレジットカード会社です。重要なのは個人の支払い能力です。この情報も保有したメインIDは、本当の意味で脅威です。最終ビジネスでの重要な一角を占める、「個人の支払い能力」に関する情報にアクセスできるメインIDとなるわけですから。そのアクセス許諾権を誰が握るのかが、今後の勝負になってくるはずです。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない! ロンドン五輪、ケータイ、ルンバ…身の回りは軍事技術だらけ!? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する起業家の“条件” 本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?「Apple Store HP」より
月別アーカイブ: 2012年7月
なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか?
ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドアに入社。あのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)で多くのITベンチャー企業のスタートアップ、事業開発、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。 そんな塩野氏へのインタビューの模様を掲載した前回記事に引き続き、今回はその後編として、「アップルが強い理由」「日本企業苦戦の理由」「ベンチャー、ITサービス成功の秘訣」などについてお届けする。 ――ITサービス/ビジネスは、今後どのような方向に向かうのでしょうか? 塩野誠氏(以下、塩野) スマホとスマートデバイスの連携が進むと考えています。例えば、腕にリング状のデバイスを着けて、Bluetoothでスマホに飛ばす。そうすると自分の脈等のログを24時間ずっと取ることができます。このようなライフログ、医療系でのデータを手間暇かけないで取ることができて、そのデータに医療機関等がアクセスできれば、検査時間が短縮化され、かつ確実な医療が受けられるようになると思います。しかもデバイスがオシャレであれば、言うことなしですね。この「オシャレである」というのは、重要なファクターです。iPodの基本技術はどのメーカーでも持っていた一般的なものなのに、「iPodを持っているのがかっこいい」というマーケティングをして、アップルは大成功を収めたのですから、ハードのデザイン性は重要な要素なのです。ここに、実はベンチャー企業が成功するヒントがあるのです。 ――日本企業も、もっとオシャレさを追求すべきということでしょうか? 塩野 これまでのITや電機業界は、あえて単純化した言い方をすると、「独裁者・ジョブズ的なもの」対「合議制・日本メーカー的なもの」の戦いなのです。ジョブズという思想家が独裁してつくった製品は、デザインも機能もエッジが立っています。一方、合議制でモノづくりをしてきた日本メーカーは、マーケティング部があり、営業販売部があり、デザイン部があり、技術部があり、合議制の中でエッジーなアイディアをネガティブチェックしていくうちに、普通なものにしてしまうということの繰り返しをしてきました。「先輩が言ったから」とか、「上司が言ったから」とかいってエッジを削ぎ落としていった結果、極めて普通の製品になってしまったんですね。 iPhoneは粗利益率70% ――日本のモノづくりが苦戦しているのは、デザインや設計思想ですか? 塩野 そうです。今はベーシックな機能は、どのメーカーでも同じコモディティになってしまいました。すると、製品やサービスの根底にある思想やデザインにかけるリソースの違いが、「消費者が感じる価値」に変換されるようになりました。iPhoneは、電子機器製品として見ると、粗利益率が70%くらい取れているんです。でも、世界中で売れている。これは、デザインや設計思想の部分が、商品価値として評価されているということなんです。そういう意味においては、日本の合議制というモノづくりでは、機能で劣らないのに非常に負けが濃いんですね。 ――日本的企業経営が、時代にフィットしなくなってきたのでしょうか? 塩野 少なくともIT・インターネットを介したサービスや製品では、「合議制」で、「完全な製品」を、「いくつものバリエーション」で販売していこうとする日本企業のやり方は、時代にフィットしないようになりつつあると思います。アップルが成功したのは、ジョブズという独裁者が、「自分が欲しいと思う製品・サービスをつくったら、実はみんな欲しかった」というスーパーユーザーの発想です。製品数も少ないため粗利益率も高いわけです。でもこれは、ベンチャー企業そのものですよね。ベンチャーは思想家は経営トップひとりですから、「先輩に言われたから」とか、「社長の案件だから」とかはない。「そのサービスは、誰の何を解決しているサービスなのか」それをひたすら追求していけばいいわけです。 ベータ版でもリリースして、チューニングし続ける ――追求していく上で重要なポイントは? 塩野 現在のSNSでのサービスは、「Facebookログイン」「Twitterログイン」など、プラットフォームの上に乗っかったアプリとしてのサービスが中心です。しかし、プラットフォームに依拠してサービスを展開するというのは、DJみたいなものです。センスのある人間がミックスしているにすぎない。従って、そこのユーザーの属性の ・インタレストグラフ ・ソーシャルグラフ のデータを借りてきて、サービスを洗練させていくということになる。しかし、プラットフォームという「誰かのつくった思想」に依拠してしまうので、限界があるし、誰でもできてしまうから、すぐにキャッチアップする競合相手が生まれてくるのです。そこで求められるのが、 「コンセプトをよりエッジーにするために、チューニングをし続けていくこと」 です。インターネットの世界においては、完成度60〜80%程度のベータ版でサービス開始した後に、適時チューニングし続けるということができてしまうので、「ユーザの反応を見ながら、いかに早くチューニングをしていくのか?」が重要です。でもこれは、日本人が得意な「おもてなしの心」なんですよ。「ユーザがこう言ってきたら、どんどん変えていこう」という、ユーザフレンドリーな「おもてなしの心」なのです。 グーグルのジレンマ ――海外の成功しているIT企業は、その「ベータ版」というポイントを意識してサービス提供を行っているのでしょうか? 塩野 ええ。しかし、グーグル本社で聞いたのですが、グーグルが大企業になって社会的責任が出てきた時に、ベータ版で出すのがすごく難しくなってきたそうです。今までなら無料ということで、ベータ版を出していたのが、それがすごく難しくなってきた。これも、企業が大きくなったがゆえに失ったモノなんですよ。そうするとIT業界においては、スピードを失っていくんです。そこでどうするかというと、ベータ版でチューニングして完成した製品やサービスを買収するのです。これには、 「テクノロジーやエンジニアを買う」 「自分の将来の敵を消す」 という2つの意味があります。そしてスピード感のある人間をチームに入れることで、組織内の活性化を図っているんですね。 「個人の支払い能力」を制する者が、ビジネスを制す? ――グーグルの競合であるヤフーが、先日カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とポイント事業を統合することを発表しましたが、この動きについてはどのように見ていますか? 塩野 こうした動きのベースにあるのは、1つのIDですべてにアクセスしたいという、ユーザの要望を反映したものです。わかりやすくいえば、クレジットカードを1つにまとめてしまうみたいなことです。しかも、1IDにお金とパーソナルデータが入っていて、「誰がそれを握るのか?」だけではなく、同時に「ネットワークの外部性とか利便性が効いているか?」という視点も必要です。企業から見れば、 「どの企業がメインIDを管理する権限を持って、そのメインIDの中に入っているパーソナルデータにアクセスするか?」 「どの企業がデータの利用許諾ゲート(入り口)に成り得るか?」 の勝負なのです。データへのアクセス許諾権は、ユーザ個人とそこの管理者が持っているので、管理者はビジネス上の強い権限を持つことができるのです。そうした中で、リアルの実店舗とヤフーという大きなメディア、ECが融合されるというのは、ビッグニュースですね。 ――このような動きは、これまでもあったのでしょうか? 塩野 楽天が、電子マネー「Edy」を発行するビットワレットを買収しました。すると、「Edy」を利用できる各店舗には、楽天のマークがつくようになりましたね。このような動きは今後も広がっていくでしょうね。ユーザ側でも、どのブランドに対してシンパシーを持って、メインIDとしてパーソナルデータを提供するかという選択が、加速するように思います。この先グーグルが「グーグルクレジットカード」を発行して、リアル店舗での買い物ができるようになったら、面白いことになるかもしれないですね。でも、日本において一番個人データを持っているのは、やはりビザやマスターといったクレジットカード会社です。重要なのは個人の支払い能力です。この情報も保有したメインIDは、本当の意味で脅威です。最終ビジネスでの重要な一角を占める、「個人の支払い能力」に関する情報にアクセスできるメインIDとなるわけですから。そのアクセス許諾権を誰が握るのかが、今後の勝負になってくるはずです。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない! ロンドン五輪、ケータイ、ルンバ…身の回りは軍事技術だらけ!? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する起業家の“条件” 本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?「Apple Store HP」より
膨らみ続ける借金から逃げるため、男が20年間逃亡していた先

Photo by adelie33_Asako from Flickr
嫉妬、恨み、欲望、恐怖。探偵事務所を訪れる人間の多くがその感情に突き動かされているという。多くの女性の依頼を受けてきたべテラン探偵の鈴野氏が、現代の「女の暗部」を語る。
時が過ぎ、時効が成立してしまっても、どうしても探して欲しいという依頼が舞い込むことがある。先月逮捕された元オウム犯もそうだが、犯罪でないにしても、命がけで逃げている人を探し出すのは探偵でも難しい。
「ゴジラに出てくる怪獣が大好きだった」インドネシアの“落書きアーティスト”が描くジャカルタの今

「bigballs 2011」(c)Darbotz
『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、日本のポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。
第29回
ストリート・アーティスト
ダルボッツ(Darbotz)
cumiは、インドネシアの首都・ジャカルタをベースに活動するアーティスト、ダルボッツの描く代表的なキャラクターだ。ジャカルタの街のあちらこちらにタギングされたcumiは、“イカのお化け”であり、ジャカルタというケオティック・シティを征服しようと立ち向かうアーティストの分身でもある。cumiは、高密度でひしめく波の間で暴れている。過剰で、粗野とも受け取れる作品のスタイルは、ダルボッツに言わせると「ジャカルタそのもの」なのだという。
人口1,000万人超を抱えるアジア屈指の国際都市、ジャカルタ。高層ビルが林立し、巨大ショッピングモールがひしめくランドスケープは、アジアのほかの大都市と変わらず、発展著しいインドネシアの勢いそのものを映し出している。しかし、キラキラ輝く高層ビルの足元には、ゴミと埃にまみれた貧困層の暮らすスラム街が広がるなど、貧富の差は凄まじく、深刻な社会問題も頻発している。

「high five 2012」(c)Darbotz

(c)Darbotz
「僕は、自分の描くもので、自分の居場所を語っている。君が僕の作品から、暑苦しさやせわしなさ、ヒリヒリしたものを感じるとしたら、それはまさに僕自身がジャカルタに対して持っている思いだ。好きでも嫌いでも、ここは僕たちが生活して、死んでいくところ。ここでなんとかやっていくしかないんです」
描くものに、自分の気持を代弁させているというダルボッツ。その作品を象徴するのが、先に触れたイカ怪獣cumiと、執拗に繰り返される、波のような鱗のような独特のパターンだ。それは、インドネシアの伝統的な工芸品であるバテック(ジャワ更紗)の文様を想起させる。

(c)Darbotz
「大学の卒業プロジェクトで、インドネシアに伝わるさまざまな図柄を研究したんですが、そのとき、自分は、自分のルーツであるインドネシアのデザインがすごく好きなんだってことに気づいた。インドネシアらしいものを自分の作品でも表現したいと思ったんです」と言うダルボッツ。そんな彼を驚かせたのは、それが日本のある伝統的な図柄にもつながっているということ。

「M for monster 2012」(c)Darbotz
「浮世絵とかで描かれる波模様と僕のインドネシアパターンに、通じるところがある! って、あるとき気がついたんです。最初はまったく意識してなかったんですが、よく見るとすごく似ている......ね、“セイカイ”でしょ?」
そして、彼のキャラクターたちは、日本の奇妙な生き物や怪獣にも多大な影響を受けている。
「それこそ、数えきれないたくさんの日本の漫画やアニメに囲まれて育ちましたから。いまだに覚えているのは、『ウルトラマン』『宇宙刑事ギャバン』『仮面ライダー』...... 家の近くに日本のビデオばかり揃えているレンタルビデオ店があったので、いつもそこから借りて。毎週日曜日の朝は、テレビで『ドラえもん』と『聖闘士星矢』を見る。日本のロボット系や漫画の影響は、インドネシアでも相当大きいですよ。僕が好きだった漫画は『かりあげクン』。ゴジラに出てくる怪獣は大好きだったなあ。それと、『AKIRA』と黒澤明の『乱』も」

「NIKE the look of sport installation 2012」
(c)Darbotz
「Polluted 2011」(c)Darbotz

「high five 2010」(c)Darbotz
グラフィティにとどまらず、クライアントや、海外のアーティストとのコラボレーションなど、これまで精力的に活動してきたダルボッツにとって、今年は比較的「静かな」年だという。「新米パパとしての日々を楽しんでいるんです(笑)」。それでも、今年中にはゲリラストアを立ち上げるなど、複数のプロジェクトが進んでいるという。
今年10月には、待望の初来日を果たすというダルボッツ。「いつか日本でプロジェクトができたら最高」というインドネシアのイカ怪獣は、東京という都市を、果たしてどのように見るのだろうか。
●ダルボッツ
インドネシア、ジャカルタ生まれジャカルタ育ち。当地を代表するストリート・アーティスト。ヒップホップ・カルチャーの影響を受け、グラフィティやアート制作を中心に、マーチャンダイズ、ファッション・デザインなど、幅広く活動している。彼の作品を代表するイカのお化け cumiは、Google Chromeやナイキなどのキャラクターとしても使用された。内外のアーティストとのコラボレーションにも精力的で、ギャラリーなどでの展覧会にも多数参加。
公式サイト <http://thedarbotz.com/>
●なかにし・たか
アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com >
オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
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【vol.27】“田名網チルドレン”続々……アジア各地で熱烈支持されるサイケデリック・マスター
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【vol.25】ネタ元は日本の特撮ヒーロー? インドネシア式ファンタジー
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【vol.22】「狂気とポップカルチャーが融合!?」香港のアーティストが追求する"不完全な美"
【vol.21】「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学"
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【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト
【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト
【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能
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【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター
【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界
【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界
【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」
【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター
【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン
【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー
【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海
【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能
【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界
【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト
【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点
【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん
【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶
【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢
母を“人質”に!? マイケルの遺産をめぐり、ジャクソン兄弟と遺児が泥沼状態

確かにパリス(中)は気が強そう
2009年6月に50歳の若さで急死した後も、CDやDVDで大金を稼いでいるマイケル・ジャクソン。彼が遺した400億円近い借金は年内に全額返済できる見通しが立ち、遺産相続人である3人の子どもたちの後見人でマイケルの母キャサリンは、莫大に増え続ける遺産管理に大わらわだと報じられたばかりである。そのキャサリンを中心としたジャクソン家のお家騒動が先週から勃発しており、一族総出で連日タブロイドを賑わせている。
事の始まりは、先週、マイケルの遺産管理人であるジョン・ブランカとジョン・マクレインに対して、マイケルの兄であるジャーメインとティト、弟のランディ、妹のジャネット、姉のリビーが連名で送りつけた、遺産管理人を辞任するよう強く要求した手紙だった。
“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』

実在の事件を題材にした『トガニ 幼き瞳の告発』。
虐待の事実を知った新米教師のカン(コン・ユ)は
自分が勤める職場を訴えることを決意する。
子どもたちにとって学校は教育の場ではなく、暴力と欲望が渦巻く、金魚鉢のように逃げ場のない空間だった。映画『トガニ 幼き瞳の告発』は韓国・光州市で実際に起きた教職員による児童への性的虐待事件を題材にした社会派サスペンスだ。聴覚障害者学校で複数の生徒へ性的暴行が長年ふるわれていたことが2005年に明るみになった。同校に勤務する教職員による内部告発がきっかけだった。2011年9月に韓国で本作は公開され、460万人以上を動員するほどの大反響に。映画が放つ熱気が観客に伝播し、韓国の司法・国会を突き動かす。事件の再調査が行なわれ、また13歳未満の児童への性暴力犯罪の処罰に関する改定法が“トガニ法”と名付けられ立法化された。執行猶予処分で済まされた問題の教職員が復職していた同校は校名の変更を申請していたが、2012年2月に廃校に追い込まれている。
映画の主人公は、見るからにお人好しそうな男カン・イノ(人気ドラマ『コーヒープリンス1号店』のコン・ユ)。カンは画家を目指していたが、芸術ではひとり娘を食べさせていくことができない。大学時代の恩師のコネを頼って、何とか全寮制の聴覚障害者学校「慈愛学園」の美術教師の職を得る。ヤル気満々で教壇に立ったカンだが、生徒たちの顔がみんなどんよりとしていて暗い。先輩教師のパク(キム・ミンサン)は「障害がある児童は、教師になかなか心を開いてくれない」と説明するが、どうも釈然としない。やがて、生徒たちが怯えていた醜悪なモンスターの正体をカンは知ることになる。
カンは自分の目を疑った。障害を持つ児童への“躾”という名目での体罰が尋常ではないのだ。パク教師は男子生徒ミンス(ペク・スンファン)に向かって「何で言うことを聞けない? どうして心を開かない?」と流血するまで殴り続ける。女子生徒のヨンドゥ(キム・ヒョンス)は生活指導の女性教師から、作動中の洗濯機の中へ顔を押しつけられている。世間の目から隔離された学園内では、過剰な体罰が日常化していたのだ。驚いたカンは、ぐったりしているヨンドゥを病院へ連れていく。学園関係者のいない病室でヨンドゥが筆談で語った内容は、カンにとって驚愕の事実だった。ヨンドゥや知的障害を持つユリ(チョン・インソ)ら複数の生徒は、校長をはじめとする教職員たちから性的暴行を受けているという。人権センターのソ・ユジン(チョン・ユミ)と相談したカンは、事件の全貌をマスコミに公表することを決意。ようやく見つけた職場をクビになる覚悟での決断だった。さらに闘いの場は法廷に移り、虐待を受け続けた生徒vs.学園側の全面抗争へと発展する。

『コーヒープリンス1号店』の人気二枚目
俳優コン・ユ。2009年に出版された原作
小説を読み、映画化を働き掛けた。
実在の事件を社会派エンターテイメントに仕立て、観客のエモーションを掻き立てさせる手練は、韓国映画は抜きん出たものがある。前半は“社会派ホラー”と称したくなるエログロシーンの連続だ。男子生徒ミンスはパク教師のホモハラの餌食となり、一緒に入浴することを迫られる。校長室ではいつもニコニコした温和な校長(チャン・ガン)が、放課後はニタニタした変態ロリコンオヤジと化す。校長室から逃げ出したヨンドゥを女子トイレへと追い詰めていく校長の笑顔が不気味すぎる。学校という密室的環境の中で、ターゲットにされた子どもたちはどこにも逃げ場がない。子役たちの熱演もさることながら、題材となった事件のおぞましさを伝えるために、ギリギリの描写に取り組んだスタッフの熱意もハンパない。
学園ホラーから一転して、後半は本格的法廷サスペンスに。カンは好奇の目にさらされることになる裁判に子どもたちを引っぱり出してしまったことを後悔するが、証言台に着く生徒たちの顔は知らない間に激変していた。それまでの怯えきった表情から、毅然とした顔つきに変わっていく。学校しか自分たちの生きる場所はないと思っていた子どもたちが、学校の外にも世界があることを知る。煮えたぎる血の池地獄のようだった学校を離れ、“生きた教育”に触れた子どもたちが輝き始める。例え裁判所はシビアな闘いの場であっても、自分たちがこれまで受けてきた虐待の全てを吐き出したい。明るい太陽の下で、自分の想いをちゃんと訴えたい。対等な立場で、自分をなぶりものにしてきたヤツらと最後まで闘い通してみせる。大人たちが驚くような記憶力と判断力で、子どもたちは暴力教師を糾弾していく。傍聴席では学園の卒業生たちが声にならない熱い声援を送っている。ちなみに、この場面でのエキストラには、実際の問題になった学校の卒業生たちが参加しているそうだ。

本格的法廷サスペンスとなる後半。聴覚障害
を持つ女子生徒ヨンドゥ(キム・ヒョンス)
は判決を左右する“切り札”を握っていた。
当然ながら、したたかな校長たちは様々な妨害工作を仕掛け、カンたちは正義とは大きく掛け離れた不条理な現実を思い知らされる。それでも子どもたちは、法廷で過ごしたわずかな期間に瞬く間に成長を遂げていく。子どもたちは学校の外には広い世界があることを知っただけでなく、その広い世界は自分たちにとって単純なユートピアではなく、やはり不条理さに満ち、違った形の暴力があることも学んでいく。そして、激しい怒声、罵声が飛び交うクライマックス。実際の事件の被害者となった児童たちの痛み、怒り、哀しみを主人公カンは全身に浴びたかのようにズブ濡れになる。
2009年に発刊されたノンフィクション小説『トガニ』をベースに映画化に取り組んだファン・ドンヒョク監督が来日。7月24日、都内で開かれたトークイベントで次のように語った。
「映画化の企画を聞き、原作小説を読んだのですが、それまでは事件のことを自分は知らなかったし、無関心でした。原作を読み、衝撃を受けました。でも、自分には映画化する自信がなく、一度は『他の監督に頼んでください』と断ったんです。その後、1か月経っても他の監督が決まっていなかった。それで引き受けることにしました。もし、これが被害者も加害者も亡くっているような昔の事件だったら映画にする意味はなかったと思います。テレビ報道され、小説にもなっているのに、まだこの事件のことを知らない人が自分も含めて多かったのです。映画化はこの事件のことを世に知らしめるための最後のチャンスだと思い、決断しました。関係者にはあえて取材はしていません。原作小説はしっかり取材した上で書かれたものですし、彼らに会うことであまりに事実を知りすぎると映画的演出に支障が出ると思ったからです。公開後に被害者の支援者から激励の言葉をもらいました。『自分たちが5~6年働き掛けても何もできなかったのに、映画が公開されて2~3か月で事件が再調査され、法律が改正され、学校の仕組みが改められた。うれしい反面、ホロ苦いものも感じた』と。韓国だけでなく、世界各地で同じような事件が起きていることを知ってください」
劇映画がきっかけとなり、その国の司法や立法まで動かしたという事実にも驚く。脚色はどこまで許されるのかという問題を伴うが、タブーを恐れない製作者の腹の括り方、キャストたちのリミット越えの熱演、観る者の心情を揺さぶる演出や音楽、それらの要素ががっちりと噛み合った映画は、時として尋常ならざるエネルギーを放つ。お隣・韓国と同じように、日本も密室だらけだ。学校、家庭、職場、政治、原発……。密室の扉を吹き飛ばす、パワーみなぎる映画が日本からも生まれればいいのに思う。
(文=長野辰次)
『トガニ 幼き瞳の告発』
原作/コン・ジュン 監督/ファン・ドンヒョク 出演/コン・ユ、チョン・ユミ 配給/CJ Entertainment Japan R18+ 8月4日(土)より渋谷シネマライズ、新宿武蔵野館ほか全国公開 <http://dogani.jp>
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●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX
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[第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』
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[第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』
[第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』
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[第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸
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[第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』
[第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』
[第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』
[第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』
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[第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』
[第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』
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[第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』
[第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』
[第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』
[第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』
[第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦
[第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』
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[第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』
[第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像"
[第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代
[第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』
[第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』
[第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』
[第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び
[第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い
[第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』
[第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』
[第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を
[第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』
[第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』
[第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある?
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[第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
[第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走
[第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』
[第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
[第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』
[第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』
[第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』
[第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』
[第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』
[第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』
[第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』
[第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』
[第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』
[第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』
[第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』
[第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』
[第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』
[第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』
[第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ
[第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』
[第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』
[第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』
[第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張
[第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』
[第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』
[第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』
[第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』
[第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼!
[第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』
[第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ
[第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』
[第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』
[第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか?
[第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ!
[第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』
[第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』
[第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』
[第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』
[第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』
[第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』
[第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は?
[第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』
[第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』
[第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
[第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』
[第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』
[第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』
[第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化
[第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』
[第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』
[第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』
[第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは?
[第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』
[第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』
[第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』
[第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』
[第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』
[第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』
[第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』
[第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』
[第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』
[第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』
[第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』
[第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』
[第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇
[第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』
[第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』
[第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』
[第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊!
[第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』
[第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』
[第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』
[第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』
[第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』
[第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』
[第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』
[第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』
[第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』
[第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』
[第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』
[第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』
[第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』
[第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』
[第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』
[第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』
[第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』
[第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』
[第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』
[第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』
[第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ
[第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々
[第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は......
[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
若者に迎合する「美ST」に喝! “私”主義のババアのプライドを取り戻せ!

「美ST」2012年9月号(光文社)
今月の「美ST」の表紙は向井理なんですが、彼について書いた齋藤薫の「読む美容液」がすごかった。「美しすぎる男」「その美しさを素直に評価し、リスペクトすらしたくなる」というヨイショヨイショはいつものことなんですが、問題はその後。
「もちろん、10代からアイドルをやってきた芸能人とは根本的に違う。普通に大学を出て社会に出た人が、自然に培ったバランス感覚と言ってもいいけれど、もっと本質的なところに、正しい知性というものを感じさせる」
「有名大学卒で“理系”。だから知的……という単純な説明では片づけられないが、疑いようもなく“頭がいい”という事実は、美形の男の場合、たいへんに重要。男の美と知は化学反応を起こして、別格のオーラをつくるのだ」
と記述していました。大卒アイドルがウジャウジャいる平成の芸能界において、「高学歴」は「高学歴(笑)」であり、「クイズ芸人へのエリートコース」ぐらいしか意味をなさないというのに、あえてそこを突くチャレンジャー! 数年後、辰巳琢郎、宇治原史規と並んで「タイムショック」に出ている向井クンの姿が見えちゃいましたよ。で、コラムを最後まで読んだんですが、「顔がよくて大卒」ということしか語られておらず、彼が役者として「何をやってきて、今何をしているか」という“実”の部分がまったく触れられていなかったので、超訳して「男はやっぱり3高」と解釈いたしました。現代の感覚とまるで合っていませんね。
<トピック>
◎全力捜査!「THE・取材拒否の美魔女」
◎40代「迫力美人」と呼ばないで(怒)
◎剃っちゃえばいいんです!「まゆゆ眉」で小顔な私
「カッコつけるのは面倒臭くて嫌なんだよ!」“ワイルド”なモト冬樹が恋愛指南!?

“かっこいい”モト冬樹が見られるのは、この映画だけ!?
これまで若者たちの“ダメ恋愛”を多く描き、数々の映画賞を受賞してきた今泉力哉が監督・脚本を手掛けた、究極のダメ恋愛群像劇『こっぴどい猫』が、7月28日より公開となる。主演は、『ヅラ刑事』(06年)以来の主演2作目となるモト冬樹。ストーリーは、総勢15人の男女と7つの三角関係が交差するクセだらけの恋物語だ。
この映画は、独特な今泉ワールドをビンビンに感じられると同時に、モト冬樹という一人の超有名芸能人の今まで気付かなかった魅力を、まざまざと見せつけられる。鑑賞後には「今までモト冬樹を知ったような気になっていて、すみませんでした」と、ちょっぴり申し訳ない気持ちにさえなるかもしれない。
この日、たまたま取材場所に居合わせた今泉監督にも少々交ざっていただきつつ、今年61歳を迎えたモト冬樹に、同作の魅力や、自身の結婚生活、また“いい女”の見分け方などを伺った。
――『こっぴどい猫』は、「モト冬樹生誕60周年記念作品」を大々的に謳っていますが、ご存命の方の生誕を記念した映画って珍しいですよね。
モト冬樹(以下、モト) 「還暦に何かやりたいね」というところから始まって、映画の話が持ち上がったんです。僕は、今までどちらかというとバイプレイヤーとしてやってきたので、僕を主演にしようってこと自体、すごいことだよね。それに『ヅラ刑事』(06年)は普通の役じゃなかったから、“普通の男”の役で主演って初めてだし。
今泉監督 僕がお話をいただいた時は、「モトさんが主演であること以外、自由にやってください」って言っていただいたんです。だけど、まず「生誕60周年記念作品」ってものを見たことがなかったですし(笑)、メジャーなタレントさんとやったことがなかったので、プレッシャーで全然、脚本が書けなくて……。それでモトさんと一緒に飲ませてもらった時に「本書けなくてすみません」って言ったら、「一回失敗しても、もう一回やればいいじゃない」って言ってもらって、すごくラクになれたんです。そこからは、いつも自分が撮ってる若者の恋愛模様に、モトさんを引っ張り込みました。
モト 俺、そんなこと言った? 酔っ払ってたから覚えてない(笑)。この監督の映画は、セリフが自然な会話口調なのがびっくりだよね。あと展開がすごい! コメディもそうだけど、我々って、見てる人の期待を裏切ることに喜びがあるから、この監督の作品は面白いと思ったね。『こっぴどい猫』も、途中までじじぃと若い子のただの恋愛モノだと思ったでしょ? そんなに甘くないんだよねえ~♪
――それにしても劇中のモトさんが、すごくカッコ良かったです。
モト ほんとに~? 趣味悪いんじゃないの? ハゲ好き?
今泉監督 試写でも、「モトさんのこと本気で好きになった」って言っている女性がいましたよ。

モト へ~、うれしいなあ。今まで、そんなこと言われたことないよ。いつも“ハゲたカッコ悪い上司”の役とかが多いから、普通の役をしてる僕を、みんな見たことがないのかもな~。でも、ずっとシリアスな演技が続いても、ラストがああいう展開だから、「ああ、俺だな」ってホッとできるよね(笑)。
――確かに、最後はズッコケました(笑)。この映画の主人公は、随分若い女性に恋をしますが、モトさん自身も若い子に心を奪われたりしますか?
モト しょっちゅうあるよ。人に魅力を感じることに、若いとか年取ってるとか関係ないよね。ただ俺、結婚したから(2010年5月に一般女性と入籍)、「やってみてえなあ」とかはなかなか思わなくなったなあ~。
――そういえば、『ものまね珍坊』(~92年、フジテレビ系)などにご出演されていた頃は、「恋多き男」としてイジられていた記憶があるのですが、実際はどうだったんですか?
モト 普通じゃないですか? でもほら、俺、若い時はバンドやってたから、そういう機会がいっぱいあったんだよね。やっぱ20代の頃はね、男はいっぱい遊んだほうがいいと思う。30代になると、だんだん“いい女”と“悪い女”の区別がついてくるんだよね。それで40代になると、もっと好きな人が分かってきて、50代になったら好きな相手から断られたりするんだけど……。まあ、それはいいんだけど(笑)、若いうちは瞬間的な恋愛でもいいから、いっぱい恋愛したほうがいいと思いますね。だって、いい大学出て、いい会社入って、年取ってから明らかに「え?」っていうような女に騙される男っているじゃない。いっぱい免疫をつけておいたほうがいいと思うんだよね。
――“いい女”とは、どんな女性だと思いますか?
モト 付き合ってて、自分が“いい人間”になれる女の子は絶対いいよね。ところが、自分がヤキモチばっか焼いて、「あの子、今日何してるんだろう」とか心配しちゃうようだと絶対続かない。でも若い頃は、そういう子にハマるんだよね。
――それは男女逆でも当てはまりますか?
モト そうだと思う。でも、ダメな男に一生懸命尽くすことで、自分の存在を確認できる女っているんだよね。長いスパンの幸せが欲しいのか、ダメな男に尽くしてる時の濃い幸せが欲しいのか、どっちかだよ人間って。あと「この人のことを、あたしは変えられる」って思ってるうぬぼれの強い女はダメだよ。人間なんて100%変えられない。ただ、俺は結婚して、一緒に住み始めた時に、自分のペースが崩れてお互いギクシャクしたんだけど、その時、「この人のために変わろう」と思ったんだよね。これは俺が変わったほうが、俺が幸せになるから変われるんだよ。
――どんなところを変えたんですか?
モト 俺ってマメに見られるんだけど、すごく面倒臭がり屋なのよ。メールもあんましないし、電話番号聞いても、ほとんどかけたことないし。でも、今、初めて「今、帰るよ」とか、しょっちゅう嫁さんにメールしてるし、嫁さんが喜ぶことを頑張ってしてる。そしたら、うまく回りだしたんだよね。

――本来は男っぽい性格なんですね。
モト 女って言葉を欲しがるけど、俺は“行動”だと思うわけよ。誕生日とかバレンタインデーとか、ホントは何もやる気しないんだよ(笑)。でも嫁さんがそういうの好きだから、やってるよ。しょうがないから。
――記念日とかが好きな男性も、中にはいますけどね。
モト いるいるー。モテる男って、花束渡したり、鳥肌立つようなこと平気でできるんだよね。(グッチ)裕三はA型ですっごいマメだから、カセットテープ渡して「これ聴いて」とか、料理作ってやったりできるんだよ。だからあいつは3回結婚してるじゃない? ちなみに男は3回目がうまくいく人が多いのよ。松崎しげるさんもそうだし。まあ、体力とお金の面で3回が限界っていうのもあると思うんだけど(笑)。
――そんな実はワイルドなモトさんが、59歳にして初めて結婚しようと思ったのはなぜですか?
モトト 嫁さんとは10年以上付き合ってたんだけど、結婚しようなんてこれっぽっちも思ってなくて。「このままパートナーでいられればいいなあ」と思ってたんだけど、ある流れで「彼女を守るためには結婚するしかないなあ」ってなったんだよね。でも、40歳くらいで結婚してたら絶対にダメになってたと思う。「この人よりいい人が出てくるかもしれない」と思ってる時点で、結婚はダメだよね。
――現在、大学を卒業したばかりの娘さんが、大阪にお住まいだそうですね。
モト うちの娘は、嫁さん同様、シンプルでウソつけないいい人間でね。親子なのに友達みたいな関係だから、隠し事ゼロで、“今、誰と付き合ってるか”とか全部知ってるよ。娘は男に選ばれるんじゃなくて、完全に自分で男選んでるから安心なんだけど、サイクルが早いのよー。大学の時にめっちゃ頭のいい男と付き合ってたんだけど、卒業できるのが分かったら別れやがって(笑)。その男のおかげで卒業できるのにひどくない? 今は違うのと付き合ってるけど。あははは!
――これ書いちゃって大丈夫ですか?
モト ダメだな。前にテレビで「うちの娘はB専で、ブサイクとばっか付き合ってる」って言ったら、付き合ってる男がそれを家族と見てたらしくて、とてもかわいそうなことになっちゃったんだよ。はははは! でも今付き合ってるのは、結構いい顔だから、「お前、珍しいな」って言ってる。
――モトさんて、もっと芸能人っぽい方なのかと思ってましたが、すごくナチュラルな方なんですね。少しイメージ変わりました。
モト 俺ってカッコつけたり、無理するのが、面倒臭くて嫌なんだよね。5あったら3くらい出してるのが好きなんだよ。5なのに7出してるヤツは大変だなって思う。絶対シンプルなほうがラク! だから、ヅラかぶってるヤツとか大変だろうなって思うんだよね。
(取材・文=林タモツ/撮影=後藤秀二)
●『こっぴどい猫』
監督/脚本/編集:今泉力哉 出演:モト冬樹、小宮一葉、内村遥、三浦英、小石川祐子、平井正吾、後藤ユウミ、高木珠里、結、工藤響、今泉力哉、木村知貴、前彩子、泉光典、青山花織
7月28日(土)より 新宿K's cinemaにてレイトショー
<http://koppidoi-neko.com/>
「今世紀最大の美女」は整形だった! 韓国の“天然美人”信仰はいかほど?

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韓国芸能界に渦巻く闇からキラめく星まで、魅せられちゃったら止まらない! K-POPに夢中な2人がミーハー魂を炸裂させてゴシップネタをぶった斬り☆ 嘘か真か単なるウワサ?
M……本業はギョーカイ系の駆け出しライター。職業柄ネタは豊富。
K……K-POP全般が好きなアラフォーライター。基本ミーハー。
M ちょ~~ど、昨日、韓国からかえってきました~!
K ほんと、韓国行きまくりだよね。
M 今回は知人の紹介でシンサの超高級皮膚科につれてってもらったんだけど、一回4万円! 韓国価格で4万って相当高い! 芸能人が通ってるところらしいよ。ソフトピーリングやら、フェイシャルをやるんだけど……とにもかくにも、先生が異様に美人で倒れそうになった(笑)。ちなみに、今は、自分の血液から採取した血小板を肌に注入する? とかのPRP注入療法? とかがはやってるみたいで、やたら勧められたよ~。自分の血液だから、害が少なくて、ほうれい線とかがあっという間に消えるらしい!!
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