復帰のシナリオは引退直後から? 紳助「復帰ドキュメンタリー」

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「週刊ポスト」5月25日号 中吊り広告より
グランプリ 「島田紳助『復帰ドキュメンタリー』ただいま極秘撮影中!」(「週刊ポスト」5月25日号) 第2位 「告白『塩谷瞬に、私は歯形が残るほど噛まれました』」(「フライデー」5月25日号) 第3位 「嫁と娘は出て行った 宮沢りえの夫がぼやく不同意別居と離婚」(「週刊新潮」5月17日号)  5月14日の朝日新聞朝刊を開いて仰天した。「6月6日開票 AKB48総選挙」の一面広告が3ページぶち抜きで載っている。  今年が第4回で、前回の総数が約116万票だったとあるが、投票券が欲しくて何枚もCDを買うファンがいることに、金権選挙ではないかという批判があることを朝日が知らないわけはない。  この企画は、朝日グループの日刊スポーツと朝日新聞広告局が製作したとあるから、そんなことは知ったことではないということか。  驚くのはまだ早い。有力メンバー4人が大きく載っている見開きの下には、「日本クレジット協会」の広告があるのだ。篠田麻里子の写真と共に「正しく使って、より安全・安心 クレジットカード」「好きですルールを守る人」と特筆大書してある。  CDを買い込むためにクレジットカードを使う若者も多いはずだ。一時の衝動で大量買いしたが翌月支払えず、トラブルになるケースもあることは間違いない。  クレジットカードは「無理なく計画的に利用することが大切」だと書いてあるのは、悪い冗談としか思えない。投票熱をあおり、大量にCDを買わせるあくどい商法がクレジットカード会社を太らせているのに。  総選挙は、無料かハガキで投票できるようにするべきではないか。そう紙面で論評するのが朝日新聞の良識というものではないのか。  星浩論説委員がコラム「政治考」で消費増税論争について、「メディアは様々な案を吟味して正確に論評する。竹下流(竹下登元首相=筆者注)に言えば、メディアも『歴史の巡り合わせ』を肝に銘じる時である」と、消費税増税をやることが歴史的使命だと野田佳彦首相を全面バックアップしている。  これも、一方的な押しつけではないか。「消費増税よりも行革や経済成長を優先させるべきだという政治家は、行革や成長の中身を具体的に示してくれ」と書いているが、そうした中身を十分に出させてから、議論を詰めるべきではないのか。朝日新聞は消費税に反対している小沢一郎にも真っ正面から論争を挑むべきであろう。  朝日新聞の良識とは、強くて怖い者とは堂々と切り結ばず、世の顰蹙(ひんしゅく) を買っているグループのイベントでも儲かれば「正確な論評もなく」片棒を担ぐ程度のものなのか。  惜しくもベスト3に入り損ねたが、週刊文春の「朝日新聞主筆 若宮啓文氏 女・カネ・中国の醜聞」は、若宮が主筆に就任する前の2008年2月、中国に出張する際、女性秘書を同行させ、しかも会社の経費を使ってビジネスクラスに乗せ、高級ホテルに宿泊していたと書いている。  このことが後日、社の内部監査室による調査で発覚して、若宮もそれを認めて全額を会社に返済したという。読んでみると若宮に同情すべきところもないわけではないが、朝日新聞の社論を決める最高責任者・主筆としては、ややお粗末なミスであることは間違いない。朝日新聞が自信を喪失してきている。そう感じるのは私だけだろうか。  最近、橋下徹大阪市長についての記事が目立つ。それも、週刊現代のように「総理間違いなし」から今週は「橋下徹内閣に『あの男たち』が入るらしいぞ」という気の早い記事まで登場している。  日本を変える真の改革者になるのか、ローカルの裸の王様で終わるのか。言っていることがコロコロ変わる、カメレオンのような言動を見ていると心許ない。  ここは週刊朝日の「橋下徹大阪市長の品格を問う」にあるように、 「あまりの閉塞状況に期待を寄せたい気分はわからないこともない。だが、希代のポピュリストの行く末は、まだまだ、注意深く見守る必要がある」  と、私も思う。  さて、今週は週刊誌発のスキャンダルを3本選んでみた。まずは新潮がスクープして発覚した宮沢りえの離婚騒動。  宮沢が6歳上の男と「デキ婚」したのは3年前。サングラスの有名ブランド「オークリー」のマーケティングを担当していて、「07年に彼女がハワイにCM撮影に訪れた際、彼がコーディネート役を務めたから。その後、りえにもサーフィンを教え、急速に関係を深めていきました」(芸能記者)  しかし、ハワイを中心に活動している亭主とりえの間にすれ違いが生じてきたようだ。  今年2月頃、浅草のフィリピンパブに来ていた亭主がこう嘆いていたという。 「かみさんが……りえがいなくなったんだよ。このまえ、ハワイから帰ってきたら、りえが娘を連れて、家を出て行っちゃったんだ。俺の荷物だけ残して、あとはもぬけの殻さ」  理由は、その店の関係者がこう語っている。 「収入の格差と、ハワイと日本を行き来するヒロさん(亭主=筆者注)の“二重生活”に、彼女の方が嫌気がさしたから、と聞きましたね」  新潮側に宮沢りえから次のような回答が寄せられたという。 「主人と別居中であることは事実です。現在、弁護士を立てて、離婚の交渉をしているところです」  これをスポーツ紙が知り、ワイドショーも動いて騒動になった。  『Santa Fe』(朝日出版社)で素晴らしいヌードを披露してくれたのが18歳。それから20年以上が経った。女優としてもう一皮むけるのにはちょうどいい時期なのかもしれない。  離婚を機に、あれから様々な男を経験してきたアラフォー・りえの熟れたヘア・ヌードをぜひ見たいものだ。  2位には、「二股交際」で一躍有名になった塩谷瞬(29)のきっかけを作ったフライデーの記事。  ビートたけしも「そもそもオイラはこの塩谷ってのが何者だかわかんないし、相手のオネエチャンたちだって初めて聞く名前なんでさ」というように、どうということない俳優とモデル、料理研究家の三角愛のトラブルなのだが、フライデーがモデル・冨永愛(29)とのツーショットをスクープして「大騒動」に発展した。  文春も塩谷と付き合っているときに「歯形が残るほど噛まれた」女たちを登場させて、塩谷とのセックス話をさせているが、フライデーには噛まれた女性のふくらはぎの写真が載っているため、この記事はフライデーの判定勝ち!  この塩谷という男、俳優としてはともかく、“すけこまし”としては一流のようである。  恵比寿のキャバクラで働いていた玲子(27)が、塩谷と別れようと思ったのも噛み癖が原因だった。 「肩、太腿、ふくらはぎに噛み付いて、『痛いからやめて』と懇願しても、なかなか口を離してくれない。歯形が黒く残り、1週間以上消えず、隠すのが大変でした。そんな時、セックスで中出しまでされてしまって」  歩美(29)もセックスの最中に噛まれたという。 「挿入はいつもナマで、下腹部に出してフィニッシュ。セックス自体は淡泊で、いつも1回かぎりだったので、きっと性欲が強いわけではなく、寂しがり屋で一人でいられないタイプなんでしょう」  噛まれたふくらはぎ写真は、歩美のものである。  塩谷は小さい時分に両親が離婚し、母親の名前も知らずに育った。父親も多忙で家に帰ってこなかったために食事も十分にとれず、路上で倒れてしまったこともあるという。  愛情に飢えていた子ども時代を取り戻そうと、せっせと女漁りをしているのだろうか。そう思えば、かわいそうで寂しい奴なのかもしれない。  フライデーは東テレの看板アナ・秋元玲奈(26)が横浜DeNAの主将・石川雄洋(25)と熱々で、お泊まり愛&同伴出勤をしているとも報じている。  秋元は姉がフジテレビの『ニュースJAPAN』でキャスターをしている秋元優里(28)で、父親は外務省のキャリア外交官というエリート一家。  目黒区にある石川の高級マンションに入った秋元は翌日、石川とともに出てきて、車で国道246号を神奈川方面へ走る。  横浜スタジアムの近くで降りた秋元は球場の「関係者入り口」へ向かい、石川も同じ入り口へ。ナイショの同伴出勤である。  今週のグランプリはポストの島田紳助が「復帰ドキュメンタリー」を極秘に撮影しているという記事に贈る。  文春の4月26日号に島田紳助インタビューが掲載されたとき、私はこの欄で、紳助は復帰したいと考えていて、このインタビューがその第一歩だと書いた。  ポストによれば、復帰のシナリオは引退会見直後から描かれていたことになる。 「制作を手がけるのは、これまで吉本興業関係のバラエティ番組を数多く手がけてきた制作会社。これをフジテレビが放送する予定だという。そしてこの番組で世間の反応を見て、大丈夫そうであれば本格復帰するシナリオが描かれており、他にも撮影予定の番組が控えているようだ」  この番組は吉本側が制作し、フジテレビがそれを買ったという体裁を取るという。  この復帰計画を進めているのは複数名おり、そのひとりは大崎洋吉本興業社長ではないかといわれている。  だが、今年1月4日に行われた新春会見の席で、大崎社長は紳助に戻ってきてほしいとラブコールを送ったが、抗議の電話などが殺到して厳しい批判にさらされた。  しかも、紳助は記者会見の時、暴力団と一緒に写っている写真など絶対ないと豪語していたにもかかわらず、フライデーがスクープし、ウソだったことがばれてしまった。  そんな状況の中でも吉本が紳助復帰を画策するのは、吉本側に事情があると業界関係者は語っている。 「紳助の抜けた穴は想像以上に大きく、(中略)経営状態も盤石とはいえず、“稼ぎ頭”に早く戻ってほしいというのは切実なる本音でしょう」  番組制作には紳助自身も参加して行われているという。  暴排条例の全国施行を大いにアピールした紳助の引退宣言だったが、早くもテレビに復帰が実現すれば、警察はどうするのか。  紳助のインタビューによれば引退後、警察には一度も事情聴取されていないと言っている。一部に紳助は冤罪だとの声もある。  しかし、公に暴力団との交際があったことを認めて引退したのだから、ここは警察が任意で紳助に事情を聞き、暴力団との親密交際はクロなのか灰色に近いシロなのかを会見して発表したらどうだろうか。  なかなかの才能を持った芸人であることは間違いないのだから、このままなし崩し的に復帰させるのは本人のためにもよくないと思うのだが、読者諸兄はいかがお考えだろうか。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

復帰のシナリオは引退直後から? 紳助「復帰ドキュメンタリー」

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「週刊ポスト」5月25日号 中吊り広告より
グランプリ 「島田紳助『復帰ドキュメンタリー』ただいま極秘撮影中!」(「週刊ポスト」5月25日号) 第2位 「告白『塩谷瞬に、私は歯形が残るほど噛まれました』」(「フライデー」5月25日号) 第3位 「嫁と娘は出て行った 宮沢りえの夫がぼやく不同意別居と離婚」(「週刊新潮」5月17日号)  5月14日の朝日新聞朝刊を開いて仰天した。「6月6日開票 AKB48総選挙」の一面広告が3ページぶち抜きで載っている。  今年が第4回で、前回の総数が約116万票だったとあるが、投票券が欲しくて何枚もCDを買うファンがいることに、金権選挙ではないかという批判があることを朝日が知らないわけはない。  この企画は、朝日グループの日刊スポーツと朝日新聞広告局が製作したとあるから、そんなことは知ったことではないということか。  驚くのはまだ早い。有力メンバー4人が大きく載っている見開きの下には、「日本クレジット協会」の広告があるのだ。篠田麻里子の写真と共に「正しく使って、より安全・安心 クレジットカード」「好きですルールを守る人」と特筆大書してある。  CDを買い込むためにクレジットカードを使う若者も多いはずだ。一時の衝動で大量買いしたが翌月支払えず、トラブルになるケースもあることは間違いない。  クレジットカードは「無理なく計画的に利用することが大切」だと書いてあるのは、悪い冗談としか思えない。投票熱をあおり、大量にCDを買わせるあくどい商法がクレジットカード会社を太らせているのに。  総選挙は、無料かハガキで投票できるようにするべきではないか。そう紙面で論評するのが朝日新聞の良識というものではないのか。  星浩論説委員がコラム「政治考」で消費増税論争について、「メディアは様々な案を吟味して正確に論評する。竹下流(竹下登元首相=筆者注)に言えば、メディアも『歴史の巡り合わせ』を肝に銘じる時である」と、消費税増税をやることが歴史的使命だと野田佳彦首相を全面バックアップしている。  これも、一方的な押しつけではないか。「消費増税よりも行革や経済成長を優先させるべきだという政治家は、行革や成長の中身を具体的に示してくれ」と書いているが、そうした中身を十分に出させてから、議論を詰めるべきではないのか。朝日新聞は消費税に反対している小沢一郎にも真っ正面から論争を挑むべきであろう。  朝日新聞の良識とは、強くて怖い者とは堂々と切り結ばず、世の顰蹙(ひんしゅく) を買っているグループのイベントでも儲かれば「正確な論評もなく」片棒を担ぐ程度のものなのか。  惜しくもベスト3に入り損ねたが、週刊文春の「朝日新聞主筆 若宮啓文氏 女・カネ・中国の醜聞」は、若宮が主筆に就任する前の2008年2月、中国に出張する際、女性秘書を同行させ、しかも会社の経費を使ってビジネスクラスに乗せ、高級ホテルに宿泊していたと書いている。  このことが後日、社の内部監査室による調査で発覚して、若宮もそれを認めて全額を会社に返済したという。読んでみると若宮に同情すべきところもないわけではないが、朝日新聞の社論を決める最高責任者・主筆としては、ややお粗末なミスであることは間違いない。朝日新聞が自信を喪失してきている。そう感じるのは私だけだろうか。  最近、橋下徹大阪市長についての記事が目立つ。それも、週刊現代のように「総理間違いなし」から今週は「橋下徹内閣に『あの男たち』が入るらしいぞ」という気の早い記事まで登場している。  日本を変える真の改革者になるのか、ローカルの裸の王様で終わるのか。言っていることがコロコロ変わる、カメレオンのような言動を見ていると心許ない。  ここは週刊朝日の「橋下徹大阪市長の品格を問う」にあるように、 「あまりの閉塞状況に期待を寄せたい気分はわからないこともない。だが、希代のポピュリストの行く末は、まだまだ、注意深く見守る必要がある」  と、私も思う。  さて、今週は週刊誌発のスキャンダルを3本選んでみた。まずは新潮がスクープして発覚した宮沢りえの離婚騒動。  宮沢が6歳上の男と「デキ婚」したのは3年前。サングラスの有名ブランド「オークリー」のマーケティングを担当していて、「07年に彼女がハワイにCM撮影に訪れた際、彼がコーディネート役を務めたから。その後、りえにもサーフィンを教え、急速に関係を深めていきました」(芸能記者)  しかし、ハワイを中心に活動している亭主とりえの間にすれ違いが生じてきたようだ。  今年2月頃、浅草のフィリピンパブに来ていた亭主がこう嘆いていたという。 「かみさんが……りえがいなくなったんだよ。このまえ、ハワイから帰ってきたら、りえが娘を連れて、家を出て行っちゃったんだ。俺の荷物だけ残して、あとはもぬけの殻さ」  理由は、その店の関係者がこう語っている。 「収入の格差と、ハワイと日本を行き来するヒロさん(亭主=筆者注)の“二重生活”に、彼女の方が嫌気がさしたから、と聞きましたね」  新潮側に宮沢りえから次のような回答が寄せられたという。 「主人と別居中であることは事実です。現在、弁護士を立てて、離婚の交渉をしているところです」  これをスポーツ紙が知り、ワイドショーも動いて騒動になった。  『Santa Fe』(朝日出版社)で素晴らしいヌードを披露してくれたのが18歳。それから20年以上が経った。女優としてもう一皮むけるのにはちょうどいい時期なのかもしれない。  離婚を機に、あれから様々な男を経験してきたアラフォー・りえの熟れたヘア・ヌードをぜひ見たいものだ。  2位には、「二股交際」で一躍有名になった塩谷瞬(29)のきっかけを作ったフライデーの記事。  ビートたけしも「そもそもオイラはこの塩谷ってのが何者だかわかんないし、相手のオネエチャンたちだって初めて聞く名前なんでさ」というように、どうということない俳優とモデル、料理研究家の三角愛のトラブルなのだが、フライデーがモデル・冨永愛(29)とのツーショットをスクープして「大騒動」に発展した。  文春も塩谷と付き合っているときに「歯形が残るほど噛まれた」女たちを登場させて、塩谷とのセックス話をさせているが、フライデーには噛まれた女性のふくらはぎの写真が載っているため、この記事はフライデーの判定勝ち!  この塩谷という男、俳優としてはともかく、“すけこまし”としては一流のようである。  恵比寿のキャバクラで働いていた玲子(27)が、塩谷と別れようと思ったのも噛み癖が原因だった。 「肩、太腿、ふくらはぎに噛み付いて、『痛いからやめて』と懇願しても、なかなか口を離してくれない。歯形が黒く残り、1週間以上消えず、隠すのが大変でした。そんな時、セックスで中出しまでされてしまって」  歩美(29)もセックスの最中に噛まれたという。 「挿入はいつもナマで、下腹部に出してフィニッシュ。セックス自体は淡泊で、いつも1回かぎりだったので、きっと性欲が強いわけではなく、寂しがり屋で一人でいられないタイプなんでしょう」  噛まれたふくらはぎ写真は、歩美のものである。  塩谷は小さい時分に両親が離婚し、母親の名前も知らずに育った。父親も多忙で家に帰ってこなかったために食事も十分にとれず、路上で倒れてしまったこともあるという。  愛情に飢えていた子ども時代を取り戻そうと、せっせと女漁りをしているのだろうか。そう思えば、かわいそうで寂しい奴なのかもしれない。  フライデーは東テレの看板アナ・秋元玲奈(26)が横浜DeNAの主将・石川雄洋(25)と熱々で、お泊まり愛&同伴出勤をしているとも報じている。  秋元は姉がフジテレビの『ニュースJAPAN』でキャスターをしている秋元優里(28)で、父親は外務省のキャリア外交官というエリート一家。  目黒区にある石川の高級マンションに入った秋元は翌日、石川とともに出てきて、車で国道246号を神奈川方面へ走る。  横浜スタジアムの近くで降りた秋元は球場の「関係者入り口」へ向かい、石川も同じ入り口へ。ナイショの同伴出勤である。  今週のグランプリはポストの島田紳助が「復帰ドキュメンタリー」を極秘に撮影しているという記事に贈る。  文春の4月26日号に島田紳助インタビューが掲載されたとき、私はこの欄で、紳助は復帰したいと考えていて、このインタビューがその第一歩だと書いた。  ポストによれば、復帰のシナリオは引退会見直後から描かれていたことになる。 「制作を手がけるのは、これまで吉本興業関係のバラエティ番組を数多く手がけてきた制作会社。これをフジテレビが放送する予定だという。そしてこの番組で世間の反応を見て、大丈夫そうであれば本格復帰するシナリオが描かれており、他にも撮影予定の番組が控えているようだ」  この番組は吉本側が制作し、フジテレビがそれを買ったという体裁を取るという。  この復帰計画を進めているのは複数名おり、そのひとりは大崎洋吉本興業社長ではないかといわれている。  だが、今年1月4日に行われた新春会見の席で、大崎社長は紳助に戻ってきてほしいとラブコールを送ったが、抗議の電話などが殺到して厳しい批判にさらされた。  しかも、紳助は記者会見の時、暴力団と一緒に写っている写真など絶対ないと豪語していたにもかかわらず、フライデーがスクープし、ウソだったことがばれてしまった。  そんな状況の中でも吉本が紳助復帰を画策するのは、吉本側に事情があると業界関係者は語っている。 「紳助の抜けた穴は想像以上に大きく、(中略)経営状態も盤石とはいえず、“稼ぎ頭”に早く戻ってほしいというのは切実なる本音でしょう」  番組制作には紳助自身も参加して行われているという。  暴排条例の全国施行を大いにアピールした紳助の引退宣言だったが、早くもテレビに復帰が実現すれば、警察はどうするのか。  紳助のインタビューによれば引退後、警察には一度も事情聴取されていないと言っている。一部に紳助は冤罪だとの声もある。  しかし、公に暴力団との交際があったことを認めて引退したのだから、ここは警察が任意で紳助に事情を聞き、暴力団との親密交際はクロなのか灰色に近いシロなのかを会見して発表したらどうだろうか。  なかなかの才能を持った芸人であることは間違いないのだから、このままなし崩し的に復帰させるのは本人のためにもよくないと思うのだが、読者諸兄はいかがお考えだろうか。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

近親相姦をネタにS・ワンダーをゆすった、自称・おいが逮捕される

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『スティーヴィー・ワンダー―ある
天才の伝説』(ブルースインターアク
ションズ)

 「パートタイム・ラヴァー」など数多くのヒット曲で知られるアーティストのスティーヴィー・ワンダーを、近親相姦をネタにゆすった“自称スティーヴィーのおい”が、2日、恐喝罪で逮捕された。このおいは「自分は、スティーヴィーが実妹と近親相姦した結果生まれた息子」だと主張している。

 米芸能ゴシップサイト「TMZ」によると、スティーヴィーが年の離れた妹レネーと近親相姦した結果生まれたと主張する38歳のアルファ・ロレンゾ・ウォーカーが、スティーヴィーに対して「このネタをタブロイド紙に提供されたくなければ、口止め料として500万ドル(約4億円)支払え」と脅迫したとのこと。スティーヴィーは相手にせず、通報を受けた警察がおとりとなりアルファと交渉したところ、1万ドル(80万円)の口止め料で合意。現金引き渡し場所にノコノコ現れたところを逮捕されたという。

6人の男たちによる回想よって浮かび上がる、女の多面性と性愛

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『七色の笑み』(小玉二三、光文社)

■今回の官能小説
『七色の笑み』小玉二三

 女は、場所によってさまざまなキャラクターを使い分ける。恋人の前、仕事の顔、家庭での顔……その場その場で刹那的に自分を演じ分けすることで自らを確立し、社会で立ち回っている。女のキャラ設定は、相手が男となるとさらに本領を発揮するのではないだろうか? 気になる男の前、本命の男の前、あるいは、男として魅力を感じない相手の前でも、女はあらゆる手段で男に対して及第点を得ようとする。そして、男にはそんな女の作戦などは悟られていないのではないだろうか?

 今回紹介する『七色の笑み』の主人公ノエミは、タイトルのとおりさまざまな顔を使い分けていた。

 別荘地の洋館に集まった6人の男。彼らの唯一の接点は、黒く縁取られた葉書と、謎の女性「ノエミ」の存在。物語は、一人目の男・剛とノエミとの回想から始まる。息子の家庭教師として現れたノエミは、清楚な服装と整った顔立ちをしていた。剛は一目で心を奪われてしまう。ひょんなきっかけから2人の距離は縮まり、男女の仲になる。紺のスカートに白いブラウス、白いハンカチ――その服装から想像できるように、セックスのときのノエミは堅く、内気で、初々しかった。まるで娘に教示する父親のようにノエミを愛する剛。はじめて2人での旅行を計画したある日、彼女はこつ然と姿を消したのだった。

本当はみんな亡命したい!? 中国ネット上で広がる「亡命マニュアル」に当局も警戒

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 中国のネット上で、「亡命マニュアル」ともいえる情報がひそかに話題となっている。  そのマニュアルとは、香港のウェブマガジン「陽光時務」で5月3日に掲載された「米領事館駆け込み安全手帳」という記事である。  4月には、中国の人権活動家、陳光誠氏が軟禁状態にあった自宅から脱出し、北京のアメリカ大使館に保護されたほか、2月には重慶市で、同市元公安局長・副市長だった王立軍氏が米総領事館に駆け込んだばかり。また、天安門事件の際にも、複数の活動家が保護を求めて命からがら駆け込んだアメリカ大使館・領事館について、 同記事では「中国で最も安全な場所」と称し、亡命を申請する方法を紹介しているのだ。  記事中では、「母国に帰れない、もしくは帰りたくない」「迫害を受けているか、迫害を受ける心配がある」「迫害を受ける明確な理由が存在する」などといった、アメリカの難民および政治亡命受け入れ条件について説明。さらに北京のアメリカ大使館ほか、全国に5つある領事館と台湾に所在する米国在台湾協会の電話番号と住所も記載した、実用的なガイドとなっている。  この記事は、中国版Twitter「微博」で広がると、「有用な情報に感謝」「ほとんどの中国人は受け入れ条件クリアだな」などといった書き込みが数多く見られた。  ところが、亡命を肯定するような世論が形成されることを当局が危険視したためか、5月10日現在、亡命マニュアルに関する書き込みは検閲対象となっている模様。過去に投稿されたものも多くが削除されており、マニュアル通りに行動したとしても、そう簡単に亡命させてはくれなさそうだ……。 (文=牧野源)

本当はみんな亡命したい!? 中国ネット上で広がる「亡命マニュアル」に当局も警戒

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 中国のネット上で、「亡命マニュアル」ともいえる情報がひそかに話題となっている。  そのマニュアルとは、香港のウェブマガジン「陽光時務」で5月3日に掲載された「米領事館駆け込み安全手帳」という記事である。  4月には、中国の人権活動家、陳光誠氏が軟禁状態にあった自宅から脱出し、北京のアメリカ大使館に保護されたほか、2月には重慶市で、同市元公安局長・副市長だった王立軍氏が米総領事館に駆け込んだばかり。また、天安門事件の際にも、複数の活動家が保護を求めて命からがら駆け込んだアメリカ大使館・領事館について、 同記事では「中国で最も安全な場所」と称し、亡命を申請する方法を紹介しているのだ。  記事中では、「母国に帰れない、もしくは帰りたくない」「迫害を受けているか、迫害を受ける心配がある」「迫害を受ける明確な理由が存在する」などといった、アメリカの難民および政治亡命受け入れ条件について説明。さらに北京のアメリカ大使館ほか、全国に5つある領事館と台湾に所在する米国在台湾協会の電話番号と住所も記載した、実用的なガイドとなっている。  この記事は、中国版Twitter「微博」で広がると、「有用な情報に感謝」「ほとんどの中国人は受け入れ条件クリアだな」などといった書き込みが数多く見られた。  ところが、亡命を肯定するような世論が形成されることを当局が危険視したためか、5月10日現在、亡命マニュアルに関する書き込みは検閲対象となっている模様。過去に投稿されたものも多くが削除されており、マニュアル通りに行動したとしても、そう簡単に亡命させてはくれなさそうだ……。 (文=牧野源)

木嶋佳苗に翻弄された検事、記者、それぞれの“法廷ショー”

 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

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Photo by Masaru Kamikura Flickr

[第4回]

首都圏 婚活連続不審死事件

前回はこちら

 木嶋事件がこれだけ注目を浴びたのは、彼女がデブでブスだったからだ。もうこれは断言するしかない事実である。

超保守思想を「オシャレ」スパイスで消す、「LEE」の編集手腕

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「LEE」2012年6月号(集英社)

 今月号の「LEE」の大特集は「おしゃれリーダーに学ぶワードローブ強化月間」。「LEE」のオシャレリーダーは誰を指すんだろうと思ってページをめくってみると、そこには“やっぱり”の辺見えみりと、“意外な”ともさかえりえが笑顔で微笑んでいます。ともさかは時折「LEE」に出ていますが、オシャレリーダーとして君臨しているとは思いませんでした。でも読者からの声を拾ってみると、「だんなさんやお子さんと過ごす日々の小さなことが幸せ、という感覚が素敵です」「子育てやいろいろなことに対し、常に真剣なところ。その考え方に共感します。おしゃれやお料理のレシピも参考になります」と、ライフスタイルを含めて共感、憧れの念を抱いているようです。一方、私生活は別として外見やファッションセンスでは女性に絶大な支持を得ているえみりは、「LEE」での連載「Emiri’s Favorite Items」でガラスの器を語り、お気に入りのガラス作家を紹介しています。女優及び女性タレントが行きつく先に、「アート」は多いんですよね。山口智子しかり、壇れいしかり。「常に自分の見た目だけ気にしているような、薄っぺらい人間じゃないんだから!」という主張するタイプに、えみりも仲間入りしちゃうんでしょうか。

<トピック>
◎おしゃれリーダーに学ぶワードローブ強化月間
◎未来の地球を変えるかもしれない服
◎今だから話せること、伝えたいこと 母と娘のストーリー

“田原伝説”再び――田原総一郎はマイケル・ムーアの師匠だった!?

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 かつて、東京12チャンネル(現・テレビ東京)のディレクターとして数々の秀逸なドキュメンタリー番組を制作していた田原総一朗。近年、田原がディレクターを務めた番組のフィルムがテレビ東京の倉庫から大量に発掘され、『田原総一朗の遺言』としてBSジャパンで放映。その高いクオリティーは、視聴者の話題をさらい、DVDとなって発売されるまでになっている。いったい、田原ドキュメンタリーの真髄とはなんだったのか? そして現在、田原は自分の作品をどのように見つめているのだろうか? 番組で相方を務める浅草キッド・水道橋博士とともに、そのドキュメンタリー史に残る偉大な仕事を振り返ってもらった。 ■山下洋輔を殺そうとした ――まず、かなり年の離れたお2人ですが、水道橋博士が田原さんに興味を持たれたきっかけはなんだったのでしょうか? 水道橋博士(以下、博士) 10年前に雑誌の企画で対談をしたのが初対面でした。ちょうどマイケル・ムーアがアカデミー賞を受賞した頃で、彼が名作ドキュメンタリーとして知られる『ゆきゆきて、神軍』の原一男に影響を受けたと語っていたんです。その原一男が、僕が『やりすぎコージー』(テレビ東京系)の“都市伝説”の中で「日本で最初のAV男優は田原総一朗だった」と紹介した作品の制作現場にいた。つまり、僕の中で「田原さんはマイケル・ムーアの師匠だ」という推論ができたんです。 ――田原さんは学生運動から連合赤軍、芸能人やポルノ女優に至るまで、さまざまなテーマや被写体を記録しています。これらのテーマに共通する部分はあるのでしょうか? 田原総一朗(以下、田原) NHKやTBS、日本テレビにはできないものをやろうと思っていたんです。当時、東京12チャンネルは“テレビ番外地”だった。視聴者が12チャンネルまでダイヤルを回さなかったんですね。制作費も他局のほうが圧倒的でした。当時、僕らの番組の制作費の3分の1はフィルム代だったんですが、NHKや他局ではフィルム代は制作費のうちにもカウントされません。僕らは他局の10分の1くらいの制作費で番組を作っていたんですね。クルーも他局がアシスタントを含め6~7人で行動するのに、12チャンネルはカメラマンとディレクターの僕2人だけでした。 ――制作費でも注目度でも人員でも及ばないから、他局にはできないようなテーマで挑むしかなかった。 田原 他局にはできないテーマってなんだかわかりますか? 危険なものです。学生運動を取材するときに、僕らは機動隊やデモ隊の後ろではなく、その間に入って撮影していたんです。学生が投げた火炎瓶を足蹴にし、催涙弾で目をやられながら撮影を行っていましたね。 120416bt_0002.jpg 博士 『私は現在を歌う ~藤圭子 6月の風景』で田原さんが追っている藤圭子も、時代状況としてタブーな存在だったんです。当時はナベプロが全盛の時代。インディーズの演歌歌手がチャートのトップを走り続けるなんて、ありえないことだった。しかも、しゃべらない、貧困の中に生まれたという設定がある彼女を、田原さんはカメラの前でしゃべらせた。他局にはできない、芸能界の掟破りをしていたんです。 田原 『バリケードの中のジャズ ~ゲバ学生対猛烈ピアニスト~』は、山下洋輔が「ピアノを弾きながら死にたい」と言っていたことが始まりでした。彼がピアノを弾きながら死ねる状況を作ろうとしたんです。 ――本気で殺そうとしたんですか!? 田原 そう。だから、あの作品は失敗だった。彼が殺されたら、僕は当然逮捕されます。でも、それでいいんです。 博士 田原さんは「塀の上を走るのがドキュメンタリーだ」と定義していますからね。逮捕され刑務所に入ることは覚悟の上で撮影しているんです。ギリギリの人に取材しながら、自らもギリギリの状況に追い込まれていく。田原ドキュメンタリーは、そうやって撮影されていたんです。 ■12チャンネルとニコニコ動画の類似点  取材同日に開催されたDVD発売イベントには、歌手の岡村靖幸をはじめ、多くのファンが詰めかけた。20歳の頃からファンだったという日本テレビ土屋敏男プロデューサーも登壇し、テレビ局の垣根を越えた異色の対談に会場は沸いた。しかし、来場者の姿を見ていると、コアなドキュメンタリーファンというよりも、「何か面白いものを求めている若者たち」といういでたちの人々ばかり。いったい、どうして田原作品は時代を越えてその鋭い視線を突き付けられるのだろうか? ――今回DVDとなっている作品は、70年代に撮影されたものです。当時の世相などを理解していないと解読するのが難しい部分もたくさんありますが、そのような知識がなくても、全然古びているという印象を感じさせません。 120416bt_0006.jpg 博士 僕らは、過去の名作ドキュメンタリーの回顧展をやっているつもりはないんです。どれも「この時代だからできたんだよね」という作品ではないんです。いつの時代もドキュメンタリーは偏っているほうが面白いし、正しいんです。 田原 公平や客観性など、そんなものはあり得ない。自分の目で見るんだから、偏っているに決まっています。それを正直に出したんです。 ――自分の過去の作品が、どうして今の若い人に響いていると思いますか? 田原 若者は、今の状況に強い危機感を持っています。ところが民主も自民も、何も変えてくれそうにはない。「なんとかしなきゃいけない」という気持ちがあって、こういうドキュメンタリーを見てくれるんじゃないでしょうか。 ――確かに、今のテレビには、こういった気骨のある番組は少ないですね。 田原 僕はニコニコ動画に時々出演するんですが、テレビに出せない人間を出せるから面白い。小沢一郎、鈴木宗男、堀江貴文もニコニコ動画で放送しました。鈴木宗男さんは、収監3日前にニコニコ動画で70分も話してくれたんです。 ――“テレビ番外地”であった12チャンネルとニコニコ動画は雰囲気が似ているんでしょうか? 田原 そうですね。僕のドキュメンタリーも12チャンネルだからできた。12チャンネルの上層部も、他の局がやらないことをやらないと視聴者が見てくれないということがわかっているので、基本的に賛成してくれていたんです。 ――現在、ドキュメンタリーを取り巻く状況は厳しさを増すばかりです。この状況を、どのようにご覧になっていますか? 博士 機材の小型化によって、素人がいくらでもドキュメンタリーを撮れる環境になっています。町山智浩さんが一昨年に行った『松嶋×町山 未公開映画祭』でも紹介されたように、アメリカには、いいドキュメンタリー作品がたくさんあるし、上映する媒体もありますよね。ただ、日本ではいくらいい作品が制作されても、ドキュメンタリーが話題になることも少なく、紹介する媒体も少ないので、継続的に作品を撮り続けられる環境がないんです。 田原 しかし、作り手側の問題もあります。どういうわけか、ドキュメンタリーは被害者ばかりに焦点を当てた暗いものが多い。安易なんです。かわいそうな人を撮って涙を流せば作品っぽくなります。けれども、視聴者は暗いものは見たくない。喜劇のように面白く、問題の核心を突くようなドキュメンタリーをたくさん作ればいい。マイケル・ムーアも原一男も暗くありません。 120416bt_0013.jpg 博士 『スーパーサイズ・ミー』のスパーロックが、アメリカのテレビで『30 Days』というドキュメンタリーをつくっています。30日間最低生活をやってみるという、日本の『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)のような番組です。ただ、モーガン・スパーロックの番組は、最低生活を行っていくと貧困層に落ちていくという構造を見せ、社会の仕組みが間違っているということにも気づかせてくれます。しかもめちゃくちゃ面白いんですよ。 ――田原さんが現在、被写体として追いたい人物はいますか? 田原 天皇をやりたいですね。何度も取材を申し込んでいるけど、いつも断られてしまう。誰もやってないことをやりたいです。 ――今年78歳ながら、「誰もやってないことをやりたい」と、田原さんを突き動かすものはなんでしょうか? 田原 好奇心です。ブッシュ、クリントン、ブレア、サッチャーなど、さまざまな世界のリーダーに取材をしましたが、天皇はまだできていないんです。フセイン大統領も取材許可が下りて、やれるギリギリまでいった。けれども、バグダッドに入ったら「フセインに会ったらCIAに爆撃されて命を失う」と言われました。僕は「死んだっていいからやらせろ」と言ったんですが、「あなたじゃなくて、フセインが殺されたら大変だからダメだ」ということで、できなかったんです。 ――田原さんは好奇心のためなら死ねると? 田原 もちろん! (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=尾藤能暢)

“田原伝説”再び――田原総一郎はマイケル・ムーアの師匠だった!?

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 かつて、東京12チャンネル(現・テレビ東京)のディレクターとして数々の秀逸なドキュメンタリー番組を制作していた田原総一朗。近年、田原がディレクターを務めた番組のフィルムがテレビ東京の倉庫から大量に発掘され、『田原総一朗の遺言』としてBSジャパンで放映。その高いクオリティーは、視聴者の話題をさらい、DVDとなって発売されるまでになっている。いったい、田原ドキュメンタリーの真髄とはなんだったのか? そして現在、田原は自分の作品をどのように見つめているのだろうか? 番組で相方を務める浅草キッド・水道橋博士とともに、そのドキュメンタリー史に残る偉大な仕事を振り返ってもらった。 ■山下洋輔を殺そうとした ――まず、かなり年の離れたお2人ですが、水道橋博士が田原さんに興味を持たれたきっかけはなんだったのでしょうか? 水道橋博士(以下、博士) 10年前に雑誌の企画で対談をしたのが初対面でした。ちょうどマイケル・ムーアがアカデミー賞を受賞した頃で、彼が名作ドキュメンタリーとして知られる『ゆきゆきて、神軍』の原一男に影響を受けたと語っていたんです。その原一男が、僕が『やりすぎコージー』(テレビ東京系)の“都市伝説”の中で「日本で最初のAV男優は田原総一朗だった」と紹介した作品の制作現場にいた。つまり、僕の中で「田原さんはマイケル・ムーアの師匠だ」という推論ができたんです。 ――田原さんは学生運動から連合赤軍、芸能人やポルノ女優に至るまで、さまざまなテーマや被写体を記録しています。これらのテーマに共通する部分はあるのでしょうか? 田原総一朗(以下、田原) NHKやTBS、日本テレビにはできないものをやろうと思っていたんです。当時、東京12チャンネルは“テレビ番外地”だった。視聴者が12チャンネルまでダイヤルを回さなかったんですね。制作費も他局のほうが圧倒的でした。当時、僕らの番組の制作費の3分の1はフィルム代だったんですが、NHKや他局ではフィルム代は制作費のうちにもカウントされません。僕らは他局の10分の1くらいの制作費で番組を作っていたんですね。クルーも他局がアシスタントを含め6~7人で行動するのに、12チャンネルはカメラマンとディレクターの僕2人だけでした。 ――制作費でも注目度でも人員でも及ばないから、他局にはできないようなテーマで挑むしかなかった。 田原 他局にはできないテーマってなんだかわかりますか? 危険なものです。学生運動を取材するときに、僕らは機動隊やデモ隊の後ろではなく、その間に入って撮影していたんです。学生が投げた火炎瓶を足蹴にし、催涙弾で目をやられながら撮影を行っていましたね。 120416bt_0002.jpg 博士 『私は現在を歌う ~藤圭子 6月の風景』で田原さんが追っている藤圭子も、時代状況としてタブーな存在だったんです。当時はナベプロが全盛の時代。インディーズの演歌歌手がチャートのトップを走り続けるなんて、ありえないことだった。しかも、しゃべらない、貧困の中に生まれたという設定がある彼女を、田原さんはカメラの前でしゃべらせた。他局にはできない、芸能界の掟破りをしていたんです。 田原 『バリケードの中のジャズ ~ゲバ学生対猛烈ピアニスト~』は、山下洋輔が「ピアノを弾きながら死にたい」と言っていたことが始まりでした。彼がピアノを弾きながら死ねる状況を作ろうとしたんです。 ――本気で殺そうとしたんですか!? 田原 そう。だから、あの作品は失敗だった。彼が殺されたら、僕は当然逮捕されます。でも、それでいいんです。 博士 田原さんは「塀の上を走るのがドキュメンタリーだ」と定義していますからね。逮捕され刑務所に入ることは覚悟の上で撮影しているんです。ギリギリの人に取材しながら、自らもギリギリの状況に追い込まれていく。田原ドキュメンタリーは、そうやって撮影されていたんです。 ■12チャンネルとニコニコ動画の類似点  取材同日に開催されたDVD発売イベントには、歌手の岡村靖幸をはじめ、多くのファンが詰めかけた。20歳の頃からファンだったという日本テレビ土屋敏男プロデューサーも登壇し、テレビ局の垣根を越えた異色の対談に会場は沸いた。しかし、来場者の姿を見ていると、コアなドキュメンタリーファンというよりも、「何か面白いものを求めている若者たち」といういでたちの人々ばかり。いったい、どうして田原作品は時代を越えてその鋭い視線を突き付けられるのだろうか? ――今回DVDとなっている作品は、70年代に撮影されたものです。当時の世相などを理解していないと解読するのが難しい部分もたくさんありますが、そのような知識がなくても、全然古びているという印象を感じさせません。 120416bt_0006.jpg 博士 僕らは、過去の名作ドキュメンタリーの回顧展をやっているつもりはないんです。どれも「この時代だからできたんだよね」という作品ではないんです。いつの時代もドキュメンタリーは偏っているほうが面白いし、正しいんです。 田原 公平や客観性など、そんなものはあり得ない。自分の目で見るんだから、偏っているに決まっています。それを正直に出したんです。 ――自分の過去の作品が、どうして今の若い人に響いていると思いますか? 田原 若者は、今の状況に強い危機感を持っています。ところが民主も自民も、何も変えてくれそうにはない。「なんとかしなきゃいけない」という気持ちがあって、こういうドキュメンタリーを見てくれるんじゃないでしょうか。 ――確かに、今のテレビには、こういった気骨のある番組は少ないですね。 田原 僕はニコニコ動画に時々出演するんですが、テレビに出せない人間を出せるから面白い。小沢一郎、鈴木宗男、堀江貴文もニコニコ動画で放送しました。鈴木宗男さんは、収監3日前にニコニコ動画で70分も話してくれたんです。 ――“テレビ番外地”であった12チャンネルとニコニコ動画は雰囲気が似ているんでしょうか? 田原 そうですね。僕のドキュメンタリーも12チャンネルだからできた。12チャンネルの上層部も、他の局がやらないことをやらないと視聴者が見てくれないということがわかっているので、基本的に賛成してくれていたんです。 ――現在、ドキュメンタリーを取り巻く状況は厳しさを増すばかりです。この状況を、どのようにご覧になっていますか? 博士 機材の小型化によって、素人がいくらでもドキュメンタリーを撮れる環境になっています。町山智浩さんが一昨年に行った『松嶋×町山 未公開映画祭』でも紹介されたように、アメリカには、いいドキュメンタリー作品がたくさんあるし、上映する媒体もありますよね。ただ、日本ではいくらいい作品が制作されても、ドキュメンタリーが話題になることも少なく、紹介する媒体も少ないので、継続的に作品を撮り続けられる環境がないんです。 田原 しかし、作り手側の問題もあります。どういうわけか、ドキュメンタリーは被害者ばかりに焦点を当てた暗いものが多い。安易なんです。かわいそうな人を撮って涙を流せば作品っぽくなります。けれども、視聴者は暗いものは見たくない。喜劇のように面白く、問題の核心を突くようなドキュメンタリーをたくさん作ればいい。マイケル・ムーアも原一男も暗くありません。 120416bt_0013.jpg 博士 『スーパーサイズ・ミー』のスパーロックが、アメリカのテレビで『30 Days』というドキュメンタリーをつくっています。30日間最低生活をやってみるという、日本の『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)のような番組です。ただ、モーガン・スパーロックの番組は、最低生活を行っていくと貧困層に落ちていくという構造を見せ、社会の仕組みが間違っているということにも気づかせてくれます。しかもめちゃくちゃ面白いんですよ。 ――田原さんが現在、被写体として追いたい人物はいますか? 田原 天皇をやりたいですね。何度も取材を申し込んでいるけど、いつも断られてしまう。誰もやってないことをやりたいです。 ――今年78歳ながら、「誰もやってないことをやりたい」と、田原さんを突き動かすものはなんでしょうか? 田原 好奇心です。ブッシュ、クリントン、ブレア、サッチャーなど、さまざまな世界のリーダーに取材をしましたが、天皇はまだできていないんです。フセイン大統領も取材許可が下りて、やれるギリギリまでいった。けれども、バグダッドに入ったら「フセインに会ったらCIAに爆撃されて命を失う」と言われました。僕は「死んだっていいからやらせろ」と言ったんですが、「あなたじゃなくて、フセインが殺されたら大変だからダメだ」ということで、できなかったんです。 ――田原さんは好奇心のためなら死ねると? 田原 もちろん! (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=尾藤能暢)