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日別アーカイブ: 2012年4月11日
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祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』

“北関東3部作”完結編となる
『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』。
夢を追い掛けて故郷を離れたマイティのその後が描かれる。
夢を追い掛けているつもりだったが、いつの間にか現実から逃避しているだけなことに気が付いた。埼玉のブロッコリー畑育ちのマイティは夢をその手でもぎ取るために東京に向かったが、知らず知らずにいろんなものから逆に追い掛けられるはめに陥った。お金にシビアな怖い大人たち、警察、東京でトラブルを起こしてバックレたバンドのメンバー……、みんなでマイティを押さえつけようとする。長回しで繰り広げられるこのクライマックスシーンは、観ている人間をひどく息苦しくする。マイティがいろんなものから追われているように、この映画を観ている自分もいろんなものに追われている。毎月の家賃の支払いだとか、滞納気味の国保だとか年金だとか、今の仕事に未来はあるのかとか、付き合っている彼女とのケジメはどうすんのとか、実家をめぐる火種とか、切実な問題がすぐ後ろから首根っこを捕らえようと手を伸ばして迫ってきている。入江悠監督の地元・埼玉県深谷市を舞台にした『SRサイタマノラッパー』(08)、群馬在住のアラサー女子の葛藤を描いた『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー★傷だらけのライム』(10)に続く『SR』シリーズの第3弾。『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』は“北関東3部作”の完結編となる作品だ。前2作が切なくもおかしいコメディだったのに対し、本作はシリアスな作風へと大きく振り切れている。

『SR1』で東京へ出ていったマイティ(奥野
瑛太)が『SR3』の主人公。鬱屈した日々
の中で、溜め込んだ情念をMCバトルで
爆発させる。
『SR』シリーズは、入江監督にとってリアルな自分自身の進行形の物語だ。日大芸術学部を卒業して念願の映画監督になったものの、キャリア不足、ネームバリュー不足、予算不足のないない尽くしで、ままならない日々が続く。もう20代も終わりが近づき、貯金残高も残すところあと僅か。ギリギリに追い詰められた自分の心境を、ニートなダメラッパーのイックら登場キャラクターたちのラップに重ねた。『SR』シリーズは同じような境遇にある地方在住もしくは地方出身者たちの共感を集め、インディーズ映画としては異例のロングランヒットに。入江監督は全国各地の映画館に呼ばれてせっせと舞台挨拶に出掛けたが、その分生活費を稼ぐことができずに、余計に生活は苦しくなった。一時的に深谷の実家に戻るはめに。しばらくして、いろんなところからオファーの声が掛かるようになったが、今度は殺人的スケジュールを乗り切らなくてはならないという別のシビアさに直面する。最初のステージは全力でぶつかることで何とかクリアできたものの、新しいステージではより面倒な難敵たちが手ぐすね引いて待ち構えていた。

『ムカデ人間』(09)のムカデ人間第1号
として国際的な注目を集めた北村昭博が
「極悪鳥」のメンバー役。今まで以上に
配役もグレードアップ。
『SR3』の主人公はお調子者のMC・マイティ。『SR1』でイックやトムと一緒にヒップホップグループ「SHO-GUNG」のメンバーとして初ライブする日が来ることを待ちこがれていた。でも、夕方になると真っ暗になる地元の街にはライブハウスはおろかクラブもCDショップもない。一度、公民館でラップを大人たちの前で披露したけど、大恥ぶっこいた。夢を叶えるなら、やっぱり東京に出たほうがチャンスに近い。そう考えたマイティは、イックとトムを裏切るようにして故郷を後にした。これも夢を叶えるためだ。東京で人気ラップグループ「極悪鳥」の見習いメンバーになるものの、実際はただのパシリでステージに立たせてもらえない。福島出身のポッチャリ娘・一美と同棲しているが、まだ自分のラップを聴かせることもできずにいる。昼は日雇い労働で、夜はパシリというサイアクな生活。実家でブロッコリーを収穫しながら、イックやトムと曲づくりしていた日々がずいぶん昔に感じられる。ある日、メンバー入りの約束を反故されたマイティはキレて、メンバーをボコボコに。一美を連れて流れ者となったマイティは、栃木で盗難車の転売を手掛ける違法業者の下請けに身をやつす。夢を叶えるどころか、もはや裏社会の人間になりつつあった。そんな中で、違法業務を仕切るコワモテの胴元から詐欺まがいの野外フェスを開くように命じられる。その野外フェスにカモがネギを背負うようにひょこひょこと現われたのが、相変わらず能天気にラップを続けていたイックとトム。3人はあまりにも皮肉な形で再会することになる。

埼玉のラップグループ「SHO-GUNG」
のMC、デブニートのイック(駒木根隆介)
と日和見主義のトム(水澤紳吾)。今回は
栃木にやって来ました♪
夢が重たい。いつから、こんなにも“夢”を持つことが重要視される社会になったのだろうか。人気アーティストは「夢を追い掛けているあなたが好き」と歌い、人気ドラマの主人公は「夢はあきらめない限り、必ず叶う」とのたまう。本当にそうなのか? いや、違う。「夢を持て」とか「夢に向かって走れ」とか言っといたほうが、楽で口当たりがいいから彼ら・彼女らは口走っているだけなのだ。夢の正体を見極めた上で身の程を知りましょう、甘言に惑わされずにまずは生活能力を身に付けましょう、ある段階で路線変更することも視野に入れましょう……そういう地味なテーマでは歌やドラマにしにくいからスルーされる。若者たちに理解を示す寛容な大人のふりをしたエンタメ業界の詐欺師たちは「ビッグな夢をつかもう」「夢に向かってはばたけ」とお題目のように繰り返す。これでは射幸心を煽る新興宗教「ドリーム教」だ。作詞家やドラマの製作者は詐欺罪で捕まる心配がないので、手抜きかつ無責任に「夢」「夢」「夢」と連呼する。主人公が夢を追って走っていく様子が歌やドラマのエンディングを飾る。でも、夢を追い続けて引き返せなくなった人たちの屍が、崖の下には累々と重なっていることに言及する人は極めて少ない。
残念なことにさほどヒットしなかったが、北野武監督&主演作に『アキレスと亀』(08)がある。少年の頃に絵がうまいと誉められた主人公・万知寿は夢を叶えて画家となるが、特出した才能に恵まれていたわけではなかった。そのため、中年になった万知寿の一家は生活にきゅうきゅうとし、離散するはめになるという辛口ドラマだ。アキレスと亀の足並みが一生揃うことがないことに例え、自分の夢を叶えることと幸せな家庭生活を送ることは別問題であることが描かれている。『アキレスと亀』の公開時に北野監督に話を聞いたところ、北野監督は若い頃は数学者になるのが夢だったと語った。でも、自分が数学者として食べていくことは明らかに無理なことが分かっていたので、お笑いの世界に入ったそうだ。「自分が成りたかった職業に就けなかったんだからさ、せめてその世界で売れなくちゃ」という想いで舞台に上がっているうちに、運良くお笑いブームに乗ってツービートとして売れっ子になった。ビートたけしとしての人気と名声は、叶えられなかった夢の代償だった。
話を『SR』シリーズに戻そう。2009年に池袋シネマ・ロサで『SR1』が公開され、3年間にわたって邦画界を盛り上げてきた『SR』シリーズ。入江監督の代名詞ともなった『SR』シリーズは今後どうなるのか。一時は全都道府県を走破するプランも浮上していたが、『SR3』のラストシーンを見る限り、シリーズはいったん封印されることになりそうだ。入江監督の熱いスピリットは、分厚い壁の中に収容される。それだけに、エキストラ2,000人を動員した野外フェスでの長い長い長回しシーンは息苦しく、ひりひりと胸がうずく。観る者にも痛みを伴うフィナーレだ。
『SR3』は、入江監督にとって自身の青春時代のくすぶったネガティブな感情とか、劇中に登場するマイティやイック、トムたちの壊れてしまった夢とかハンパな希望とか、そんな一切合切を燃焼させる“祭り”である。同時に、入江監督がよりメジャーな次のステージに進むための“通過儀礼”でもある。3年間にわたって日本のインディーズシーンを熱くしてきた『SR』という名の祭りの最後の幕が開く。入江監督が『SR』の封印を再び解くことになるのは、何年後になるだろうか。そのときには入江監督は、どのような作風の監督になっているのだろうか。そして、『SR』を追い掛けていた自分たちはどんな風になっているんだろうか。『SR3』で感じた胸のうずきは、多分そのときまで続くはずだ。
(文=長野辰次)
『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
監督・脚本・編集/入江悠 出演/奥野瑛太、駒木根隆介、水澤紳吾、斉藤めぐみ、北村昭博、永澤俊矢、ガンビーノ小林、美保純 配給/SPOTTED PRODUCTION 4月14日(土)より渋谷シネクイントほかにて全国順次ロードショー、4月21日(土)より渋谷シネクイントほかにて『SR』シリーズ全作上映 <http://sr-movie.com>
(c)2012「SR3」製作委員会
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX
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[第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン!
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[第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』
[第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』
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[第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
[第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化
[第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』
[第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』
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[第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪
[第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』
[第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』
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[第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』
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[第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』
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[第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張
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[第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』
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[第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』
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[第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』
[第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ
[第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々
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[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』

“北関東3部作”完結編となる
『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』。
夢を追い掛けて故郷を離れたマイティのその後が描かれる。
夢を追い掛けているつもりだったが、いつの間にか現実から逃避しているだけなことに気が付いた。埼玉のブロッコリー畑育ちのマイティは夢をその手でもぎ取るために東京に向かったが、知らず知らずにいろんなものから逆に追い掛けられるはめに陥った。お金にシビアな怖い大人たち、警察、東京でトラブルを起こしてバックレたバンドのメンバー……、みんなでマイティを押さえつけようとする。長回しで繰り広げられるこのクライマックスシーンは、観ている人間をひどく息苦しくする。マイティがいろんなものから追われているように、この映画を観ている自分もいろんなものに追われている。毎月の家賃の支払いだとか、滞納気味の国保だとか年金だとか、今の仕事に未来はあるのかとか、付き合っている彼女とのケジメはどうすんのとか、実家をめぐる火種とか、切実な問題がすぐ後ろから首根っこを捕らえようと手を伸ばして迫ってきている。入江悠監督の地元・埼玉県深谷市を舞台にした『SRサイタマノラッパー』(08)、群馬在住のアラサー女子の葛藤を描いた『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー★傷だらけのライム』(10)に続く『SR』シリーズの第3弾。『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』は“北関東3部作”の完結編となる作品だ。前2作が切なくもおかしいコメディだったのに対し、本作はシリアスな作風へと大きく振り切れている。

『SR1』で東京へ出ていったマイティ(奥野
瑛太)が『SR3』の主人公。鬱屈した日々
の中で、溜め込んだ情念をMCバトルで
爆発させる。
『SR』シリーズは、入江監督にとってリアルな自分自身の進行形の物語だ。日大芸術学部を卒業して念願の映画監督になったものの、キャリア不足、ネームバリュー不足、予算不足のないない尽くしで、ままならない日々が続く。もう20代も終わりが近づき、貯金残高も残すところあと僅か。ギリギリに追い詰められた自分の心境を、ニートなダメラッパーのイックら登場キャラクターたちのラップに重ねた。『SR』シリーズは同じような境遇にある地方在住もしくは地方出身者たちの共感を集め、インディーズ映画としては異例のロングランヒットに。入江監督は全国各地の映画館に呼ばれてせっせと舞台挨拶に出掛けたが、その分生活費を稼ぐことができずに、余計に生活は苦しくなった。一時的に深谷の実家に戻るはめに。しばらくして、いろんなところからオファーの声が掛かるようになったが、今度は殺人的スケジュールを乗り切らなくてはならないという別のシビアさに直面する。最初のステージは全力でぶつかることで何とかクリアできたものの、新しいステージではより面倒な難敵たちが手ぐすね引いて待ち構えていた。

『ムカデ人間』(09)のムカデ人間第1号
として国際的な注目を集めた北村昭博が
「極悪鳥」のメンバー役。今まで以上に
配役もグレードアップ。
『SR3』の主人公はお調子者のMC・マイティ。『SR1』でイックやトムと一緒にヒップホップグループ「SHO-GUNG」のメンバーとして初ライブする日が来ることを待ちこがれていた。でも、夕方になると真っ暗になる地元の街にはライブハウスはおろかクラブもCDショップもない。一度、公民館でラップを大人たちの前で披露したけど、大恥ぶっこいた。夢を叶えるなら、やっぱり東京に出たほうがチャンスに近い。そう考えたマイティは、イックとトムを裏切るようにして故郷を後にした。これも夢を叶えるためだ。東京で人気ラップグループ「極悪鳥」の見習いメンバーになるものの、実際はただのパシリでステージに立たせてもらえない。福島出身のポッチャリ娘・一美と同棲しているが、まだ自分のラップを聴かせることもできずにいる。昼は日雇い労働で、夜はパシリというサイアクな生活。実家でブロッコリーを収穫しながら、イックやトムと曲づくりしていた日々がずいぶん昔に感じられる。ある日、メンバー入りの約束を反故されたマイティはキレて、メンバーをボコボコに。一美を連れて流れ者となったマイティは、栃木で盗難車の転売を手掛ける違法業者の下請けに身をやつす。夢を叶えるどころか、もはや裏社会の人間になりつつあった。そんな中で、違法業務を仕切るコワモテの胴元から詐欺まがいの野外フェスを開くように命じられる。その野外フェスにカモがネギを背負うようにひょこひょこと現われたのが、相変わらず能天気にラップを続けていたイックとトム。3人はあまりにも皮肉な形で再会することになる。

埼玉のラップグループ「SHO-GUNG」
のMC、デブニートのイック(駒木根隆介)
と日和見主義のトム(水澤紳吾)。今回は
栃木にやって来ました♪
夢が重たい。いつから、こんなにも“夢”を持つことが重要視される社会になったのだろうか。人気アーティストは「夢を追い掛けているあなたが好き」と歌い、人気ドラマの主人公は「夢はあきらめない限り、必ず叶う」とのたまう。本当にそうなのか? いや、違う。「夢を持て」とか「夢に向かって走れ」とか言っといたほうが、楽で口当たりがいいから彼ら・彼女らは口走っているだけなのだ。夢の正体を見極めた上で身の程を知りましょう、甘言に惑わされずにまずは生活能力を身に付けましょう、ある段階で路線変更することも視野に入れましょう……そういう地味なテーマでは歌やドラマにしにくいからスルーされる。若者たちに理解を示す寛容な大人のふりをしたエンタメ業界の詐欺師たちは「ビッグな夢をつかもう」「夢に向かってはばたけ」とお題目のように繰り返す。これでは射幸心を煽る新興宗教「ドリーム教」だ。作詞家やドラマの製作者は詐欺罪で捕まる心配がないので、手抜きかつ無責任に「夢」「夢」「夢」と連呼する。主人公が夢を追って走っていく様子が歌やドラマのエンディングを飾る。でも、夢を追い続けて引き返せなくなった人たちの屍が、崖の下には累々と重なっていることに言及する人は極めて少ない。
残念なことにさほどヒットしなかったが、北野武監督&主演作に『アキレスと亀』(08)がある。少年の頃に絵がうまいと誉められた主人公・万知寿は夢を叶えて画家となるが、特出した才能に恵まれていたわけではなかった。そのため、中年になった万知寿の一家は生活にきゅうきゅうとし、離散するはめになるという辛口ドラマだ。アキレスと亀の足並みが一生揃うことがないことに例え、自分の夢を叶えることと幸せな家庭生活を送ることは別問題であることが描かれている。『アキレスと亀』の公開時に北野監督に話を聞いたところ、北野監督は若い頃は数学者になるのが夢だったと語った。でも、自分が数学者として食べていくことは明らかに無理なことが分かっていたので、お笑いの世界に入ったそうだ。「自分が成りたかった職業に就けなかったんだからさ、せめてその世界で売れなくちゃ」という想いで舞台に上がっているうちに、運良くお笑いブームに乗ってツービートとして売れっ子になった。ビートたけしとしての人気と名声は、叶えられなかった夢の代償だった。
話を『SR』シリーズに戻そう。2009年に池袋シネマ・ロサで『SR1』が公開され、3年間にわたって邦画界を盛り上げてきた『SR』シリーズ。入江監督の代名詞ともなった『SR』シリーズは今後どうなるのか。一時は全都道府県を走破するプランも浮上していたが、『SR3』のラストシーンを見る限り、シリーズはいったん封印されることになりそうだ。入江監督の熱いスピリットは、分厚い壁の中に収容される。それだけに、エキストラ2,000人を動員した野外フェスでの長い長い長回しシーンは息苦しく、ひりひりと胸がうずく。観る者にも痛みを伴うフィナーレだ。
『SR3』は、入江監督にとって自身の青春時代のくすぶったネガティブな感情とか、劇中に登場するマイティやイック、トムたちの壊れてしまった夢とかハンパな希望とか、そんな一切合切を燃焼させる“祭り”である。同時に、入江監督がよりメジャーな次のステージに進むための“通過儀礼”でもある。3年間にわたって日本のインディーズシーンを熱くしてきた『SR』という名の祭りの最後の幕が開く。入江監督が『SR』の封印を再び解くことになるのは、何年後になるだろうか。そのときには入江監督は、どのような作風の監督になっているのだろうか。そして、『SR』を追い掛けていた自分たちはどんな風になっているんだろうか。『SR3』で感じた胸のうずきは、多分そのときまで続くはずだ。
(文=長野辰次)
『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
監督・脚本・編集/入江悠 出演/奥野瑛太、駒木根隆介、水澤紳吾、斉藤めぐみ、北村昭博、永澤俊矢、ガンビーノ小林、美保純 配給/SPOTTED PRODUCTION 4月14日(土)より渋谷シネクイントほかにて全国順次ロードショー、4月21日(土)より渋谷シネクイントほかにて『SR』シリーズ全作上映 <http://sr-movie.com>
(c)2012「SR3」製作委員会
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX
[第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史
[第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』
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[第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン!
[第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』
[第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』
[第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』
[第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』
[第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』
[第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』
[第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』
[第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』
[第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』
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[第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』
[第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決!
[第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
[第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化
[第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』
[第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』
[第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」
[第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪
[第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』
[第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』
[第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い
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[第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』
[第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』
[第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き!
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[第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
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[第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』
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[第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』
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[第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』
[第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』
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[第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』
[第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ
[第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』
[第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』
[第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』
[第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張
[第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』
[第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』
[第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』
[第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』
[第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼!
[第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』
[第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ
[第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』
[第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』
[第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか?
[第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ!
[第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』
[第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』
[第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』
[第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』
[第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』
[第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』
[第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は?
[第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』
[第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』
[第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
[第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』
[第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』
[第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』
[第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化
[第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』
[第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』
[第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』
[第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは?
[第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』
[第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』
[第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』
[第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』
[第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』
[第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』
[第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』
[第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』
[第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』
[第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』
[第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』
[第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』
[第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇
[第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』
[第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』
[第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』
[第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊!
[第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』
[第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』
[第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』
[第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』
[第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』
[第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』
[第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』
[第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』
[第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』
[第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』
[第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』
[第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』
[第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』
[第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』
[第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』
[第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』
[第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』
[第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』
[第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』
[第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』
[第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ
[第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々
[第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は......
[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
いいとも「テレフォンショッキング」、リニューアルの真相をゲストに直撃!

『タモリ2』(Sony Music Direct)
今秋で放送開始から30周年を迎える『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の人気コーナー「テレフォンショッキング」の内容が、9日の放送回より突然リニューアルされた。
タモリが「明日来てくれるかな?」と呼びかけると、電話口の次回ゲストが「いいとも!」と応える流れはコーナー開始時から一貫されてきた。同コーナーに使われていた「友達の輪」というキャッチフレーズの通り、ゲストが意外な有名人との繋がりを明らかにすることも、長年の間視聴者を惹きつけてきた魅力のひとつだろう。
まさにはまり役! 『三毛猫ホームズの推理』で相葉雅紀の役者評価が急上昇!?

ダメダメっぷりがツボです!
――人気の低迷やウワサに振り回され、人には言えない悩みを抱える芸能人。彼らをさまざまな鑑定方法で勝手に占い、今後も飛躍し続けることができる成功への道へとお導きいたします。今回鑑定する芸能人はこのお方。
■今回のターゲット
相葉雅紀
1982年12月24日生まれ
4月14日スタートのドラマ『三毛猫ホームズの推理』(日本テレビ系)に主演する相葉さん。嵐のリーダー・大野智さんも同時期にスタートするフジテレビ系連続ドラマ『鍵のかかった部屋』に主演し、嵐のメンバー同士の“連ドラ主演対決”に注目が集まっています。今回の相葉さん主演のドラマはヒットするでしょうか? 「M-FORTUNE」の牛島嶺豪先生に霊感霊視、タロット、四柱推命で鑑定してもらいました。
続きを読む
タモリもやる気ゼロ……『笑っていいとも!』テレフォンコーナー改新の断末魔

フジテレビ『笑っていいとも!』公式サイトより
1982年10月にスタートし、今年10月で放送開始30周年を迎えるお昼の長寿バラエティー番組『笑っていいとも!』の4月9日の放送で、まさにサプライズのリニューアルが行われた。
唯一、放送開始当初から現在まで続いている名物コーナー「テレフォンショッキング」で翌日のゲストを紹介する「友達紹介」が、その日のゲストによる生電話から、タモリが「明日のゲストを紹介します」と切り出し、パネルに翌日のゲストが表示される形式に変更となったのだ。
9日の同コーナーには、バイオリニストの高嶋ちさ子が出演。タモリから翌日のゲストとして女優・水川あさみが発表された後、つながった電話をタモリが直接受け取って水川と談笑し、そのまま「明日来てくれるかな?」と呼びかけた。
同局は突然のリニューアルについて、「新コーナーなども含め、あくまで番組の変化の一つ」「今春はこの形式で続ける」とコメントしているが、リニューアルされた原因は明らかだという。
「ゲストは多忙な芸能人ばかりで、あらかじめスケジュールは調整しているが、あくまでも表向きは“ガチンコ”でその日のゲストが生電話で出演交渉して、翌日のゲストに『いいとも!』と承諾させるのが売りだった。ところが、いつからか、その日のゲストと何のつながりもないのに、事務所が同じだとか、ドラマ・映画の宣伝で出演するゲストが続出。今年3月8日の放送では、ゲストの矢田亜希子が大竹しのぶを紹介したが、電話口で大竹に『初めまして、矢田亜希子と申します』と同番組においては放送事故レベルのあいさつ。大竹が数秒絶句の後、『こんにちは』と返したが、矢田は『いつかご縁があったときにはよろしくお願いします』と、またまたKYなあいさつをした。この一件が今回のリニューアルを決断させたようだが、矢田より少し前に出演した平野綾も自身のTwitterで明日のゲストとして呼ばれることを放送開始前に暴露したばかりか、スタッフと打ち合わせしたことまで書き込んでしまった」(テレビ関係者)
明らかなマイナス要因での看板コーナーリニューアルは番組の根幹に関わる一大事だが、局内では「区切りのいい30年で歴史に幕を閉じるべき」という声が圧倒的だという。
「とにかく、ここ数年は視聴率が低迷し、平均5~6%台に落ち込んでいる。今年2月7日に日本テレビ系の『ヒルナンデス!』が7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で初めて同時間帯のトップに立ったが、それ以前から『いいとも』は同番組どころか、他局の後塵も拝していた。以前は、曜日ごとに趣向を凝らしたコーナーを考えていたが、最近は頭打ちで、曜日レギュラーの入れ替えも頻繁」(同)
もはや、『いいとも』の顔であるタモリ自体のやる気のなさが目立ち、同番組と比べ、自分の好きなテーマを取り上げる『ブラタモリ』(NHK)と『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)では生き生きした表情を浮かべているだけに、そろそろ潮時のような気がしてならないのだが……。
タモリもやる気ゼロ……『笑っていいとも!』テレフォンコーナー改新の断末魔

フジテレビ『笑っていいとも!』公式サイトより
1982年10月にスタートし、今年10月で放送開始30周年を迎えるお昼の長寿バラエティー番組『笑っていいとも!』の4月9日の放送で、まさにサプライズのリニューアルが行われた。
唯一、放送開始当初から現在まで続いている名物コーナー「テレフォンショッキング」で翌日のゲストを紹介する「友達紹介」が、その日のゲストによる生電話から、タモリが「明日のゲストを紹介します」と切り出し、パネルに翌日のゲストが表示される形式に変更となったのだ。
9日の同コーナーには、バイオリニストの高嶋ちさ子が出演。タモリから翌日のゲストとして女優・水川あさみが発表された後、つながった電話をタモリが直接受け取って水川と談笑し、そのまま「明日来てくれるかな?」と呼びかけた。
同局は突然のリニューアルについて、「新コーナーなども含め、あくまで番組の変化の一つ」「今春はこの形式で続ける」とコメントしているが、リニューアルされた原因は明らかだという。
「ゲストは多忙な芸能人ばかりで、あらかじめスケジュールは調整しているが、あくまでも表向きは“ガチンコ”でその日のゲストが生電話で出演交渉して、翌日のゲストに『いいとも!』と承諾させるのが売りだった。ところが、いつからか、その日のゲストと何のつながりもないのに、事務所が同じだとか、ドラマ・映画の宣伝で出演するゲストが続出。今年3月8日の放送では、ゲストの矢田亜希子が大竹しのぶを紹介したが、電話口で大竹に『初めまして、矢田亜希子と申します』と同番組においては放送事故レベルのあいさつ。大竹が数秒絶句の後、『こんにちは』と返したが、矢田は『いつかご縁があったときにはよろしくお願いします』と、またまたKYなあいさつをした。この一件が今回のリニューアルを決断させたようだが、矢田より少し前に出演した平野綾も自身のTwitterで明日のゲストとして呼ばれることを放送開始前に暴露したばかりか、スタッフと打ち合わせしたことまで書き込んでしまった」(テレビ関係者)
明らかなマイナス要因での看板コーナーリニューアルは番組の根幹に関わる一大事だが、局内では「区切りのいい30年で歴史に幕を閉じるべき」という声が圧倒的だという。
「とにかく、ここ数年は視聴率が低迷し、平均5~6%台に落ち込んでいる。今年2月7日に日本テレビ系の『ヒルナンデス!』が7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で初めて同時間帯のトップに立ったが、それ以前から『いいとも』は同番組どころか、他局の後塵も拝していた。以前は、曜日ごとに趣向を凝らしたコーナーを考えていたが、最近は頭打ちで、曜日レギュラーの入れ替えも頻繁」(同)
もはや、『いいとも』の顔であるタモリ自体のやる気のなさが目立ち、同番組と比べ、自分の好きなテーマを取り上げる『ブラタモリ』(NHK)と『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)では生き生きした表情を浮かべているだけに、そろそろ潮時のような気がしてならないのだが……。