
「芸術起業論」(幻冬舎)
"股間の白い液で投げ縄人形"で一躍オタクカルチャーを世界に広めた村上隆氏の発言が波紋を広げている。
これは、朝日新聞デジタルに掲載された村上氏へのインタビューの中で、インタビュアーから「『クール・ジャパン』の旗手として注目されているが」と問われた村上氏が以下のように反論したもの。
「『クール・ジャパン』なんて外国では誰も言っていません。うそ、流言です。日本人が自尊心を満たすために勝手にでっち上げているだけで、広告会社の公的資金の受け皿としてのキャッチコピーに過ぎない。外国人には背景や文脈のわかりづらい日本のマンガやアニメが少しずつ海外で理解され始めてはいますが、ごく一部のマニアにとどまり、到底ビジネスのレベルに達しておらず、特筆すべきことは何もない。僕は村上隆という一人の芸術家として海外で注目されているのであってクール・ジャパンとは何の関係もない」
村上氏の作品といえば、旧来の日本のマンガやアニメからの影響が色濃く、2008年には競売会社・サザビーズが行ったオークションに裸の少年が精液を飛ばすフィギュア『My Lonesome Cowboy』が出品され、1,516万ドル(約16憶円)で落札されたことが大きな話題となった。
そんな村上氏の発言に対し、ネット上では「そんなことは知っているけどお前がゆうな」「オタク文化をパクって無知な欧米人に見せたくせに」「アニメの方からもおまえなんかと一緒にされるのは願い下げだろ」など辛辣なコメントが頻発している。
しかし、その一方で村上氏は、「クール・ジャパン」の問題点についても冷静に指摘。
「(クール・ジャパン戦略は)広告会社など一部の人間の金もうけになるだけ。アーティストには還元されませんし、税金の無駄遣いです。今やアニメやゲームなどの業界は、他国にシェアを奪われて、統合合併が相次ぎ、惨憺(さんたん)たる状態。クリエーターの報酬もきわめて低いうえ、作業を海外に下請けに出すから、人材も育たない。地盤沈下まっただ中です」
こうした村上の指摘に、アニメ雑誌編集者は「うなずける一面もある」と言う。
「確かに、日本のアニメ業界はその苛酷な労働環境から若手が育たず、そればかりか、原画だけ国内で作って動画は海外スタジオへ丸投げするのが当たり前になりつつあります。日本国内の優秀な監督や作画監督も叩き上げのアニメーターが少なくありませんから、このままでは日本のアニメ文化は死んでしまうかもしれません。今の業界のシステムでは、実際に筆を動かしている現場まで金が下りてこないんですよ。局と広告代理店が先導する現在のアニメの在り方は、もはや限界に来ているといえるでしょうね」(同編集者)
現在、2月にカタールで開かれる個展に向け、東日本大震災後の日本をテーマにした全長100メートルの「五百羅漢図」を制作中だという村上氏。同インタビューの中では「サブカルチャーと伝統絵画を結びつけた独自の作風で活躍する美術家」として紹介されている。
作品についてはさておき、「作家が直接的に作品を金に換える」という方法においては比肩する者がないという評価も受ける村上氏。アニメ業界が"アートの錬金術師"に学べることも、もしかしたら少なくないのかもしれない。
日別アーカイブ: 2012年1月18日
浜崎あゆみ、葉月里緒菜、石原真理……一筋縄にはいかない国際結婚

旦那はほんとにソッチの方?
オーストリア国籍の俳優マニュエル・シュワルツとの離婚届を提出した浜崎あゆみ。昨年大みそか未明に突如発表された電撃結婚だったが、離婚もやはり突然、何の前触れもなくオフィシャルサイトで明かされた。
サイトでは震災をきっかけに日本を離れるという考えがなくなり、「アメリカでの生活を考えられなくなった」として「原因は私にある」とつづられている。しかしこの1年を振り返ってみると、挙式した米ラスベガスから帰国する際に空港での2ショット姿を見せてからは、まったく実態の見えない夫婦だった。
「芸能人の国際結婚というと、報道のせいもあるが、やはり国境の壁という大きな一因から泥沼化してしまった例もあります。米国籍でハワイ在住の夫がマスコミに情報をリークしたことが離婚原因と言われる葉月里緒奈、玉置浩二との入籍を宣言するも、米国人前夫との婚姻関係が続いたままだった石原真理など、トラブルも多く見受けられます。年始には大勢のファンから祝福を浴びていた浜崎でしたが、結局彼女も夫と別々の道を歩むという結論に至ってしまいました」(芸能記者)
犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』

実在した犯罪ファミリーを描いた『アニマル・キングダム』。
家族の固い絆の前に、メルボルン警察は手が出せない。
広大なオーストラリアを舞台にした『アニマル・キングダム』は、ノンフィクションタッチのワイルドな映画だ。"野生の王国"といっても、かわいらしいカンガルーやコアラの親子の生態を追ったほのぼの系ドキュメンタリーではない。飢えたライオンやハイエナよりも、もっと凶暴な犯罪者ファミリーが登場する。タランティーノが2010年公開映画のベスト3に挙げたことからも分かるように、インディペンデント臭が濃厚に漂う良質のバイオレンス映画なのだ。ヘビメタ野郎のかっこうをした聖者による救済劇『メタルヘッド』(10)の脚本家として注目を集めたデヴィッド・ミショッドの監督デビュー作であり、1988年にメルボルンで警察官射殺事件を起こしながら無罪となったトレヴァー・ペティンギルとその家族がモデルとなっている。
17歳のジョシュア(ジェームズ・フレッシュヴィル)は、ひどくボンクラな高校生だ。母親がヘロインの過剰摂取でリビングでぶっ倒れているのに気づいても、電話で救急車を呼ぶこと以外は何もできずにいる。救命隊が到着しても、ぼぉ~とテレビのクイズ番組を眺めているだけ。女手ひとつで自分を育ててくれた母親の葬式をどう行なえばいいのか分からず、ただオドオドするばかり。結局、ジョシュアはずっと疎遠状態だった祖母スマーフ(ジャッキー・ウィーヴァー)に連絡をして、すべてを任せる。久しぶりに会うスマーフは、大きくなった孫のジョシュアを愛おしそうに抱きしめてくれた。他に身寄りのないジョシュアは、スマーフ家の世話になる。スマーフの3人の息子たち=おじさんたちも明るくジョシュアを受け入れてくれた。母との慎ましい2人暮らしが長かったジョシュアは、スマーフ家のにぎやかな家庭生活が新鮮に映る。困ったときは、やっぱり血縁が頼りになるなぁとジョシュアはしみじみ思う。だが、ジョシュアのそんな考えは甘かった。スタバに並ぶ、どのスイーツよりも大甘だった。

豪州のベテラン女優ジャッキー・ウィーヴァー
は、『アニマル・キングダム』の好演で2011
年米国アカデミー賞助演女優賞にノミネート。
スマーフ家のおじさんたちは定職に就いていないが、なぜか羽振りがいい。それは一家が犯罪で荒稼ぎしているからだった。亡くなったジョシュアの母親が実家と縁を切ったのは、息子の教育を考えてのことだったのだ。いちばん上のポープおじさんは強盗の常習犯。全身タトゥーでいかつい2番目のクレイグおじさんは麻薬のディーラー。3番目のダレンおじさんは兄たちのアシスタントを務めている。スマーフおばあちゃんは、そんな息子たちの健康ために毎朝フレッシュジュースを作り、息子たちがひと仕事しに出掛けるときは、ハグ&キスで見送るなどスキンシップを欠かさない。スマーフおばあちゃん自身が犯罪に直接加わることはないが、一家の精神的な支柱だ。司法関係者や警察内の麻薬捜査官とも親しくし、裏情報に精通している。"ゴッドマザー"スマーフを軸に一家はまとまり、せっせと犯罪に勤しんでいた。ある日、仕事仲間のバズが警察に射殺されてしまい、おじさんたちが動揺していると、スマーフは優しく諭す。「哀しいとき、辛いときは、誰かに八つ当たりなさい。それが我が家のルールよ」と。スマーフはとっても情が深い。でも、やっぱりどっかおかしい。
最初こそ、"お客さん"扱いされていたが、ジョシュアもだんだんと環境に慣れ、ガールフレンドのニコールを家に連れてくるようになる。お年頃のニコールは、型破りで刺激的なスマーフ家に興味津々。ジョシュアは犯罪者一家に居候しながら、風変わりな青春時代を過ごすはめになる。だが、ジョシュアがお客さん扱いされたのは最初だけ。バズを射殺した警察官に報復するため、ポープおじさんはジョシュアに盗難車を調達するように命じる。本業である犯罪モードに入ったときのポープおじさんには、誰も逆らえない。こうしてジョシュアも警察官殺しに加担させられる。もう自分はただの居候ですとは言い逃れできなくなる。一方、スマーフ家を追っていたネイサン刑事(ガイ・ピアース)は新入りのジョシュアに狙いを絞り、ジョシュアから切り崩すことでスマーフ家の一網打尽を図る。ジョシュアは大きな選択を迫られる。一般社会のルールに従って犯罪者一家を警察に売るのか? それとも、スマーフ家の恩義に報いて立派な犯罪者への道を突き進むのか?

刑務所を舞台にした『預言者』。マリクは
マフィアのボスにアゴで使われながら、
弱肉強食の世界で生きていくノウハウ
を学ぶ。
『アニマル・キングダム』と同日公開される、もう1本の興味深い作品が、刑務所を舞台にしたフランス映画『預言者』。読唇術の心得のある難聴のOLが犯罪に巻き込まれる『リード・マイ・リップス』(01)、ドラッグ売買しながらプロのピアニストを目指す若者を主人公にした『真夜中のピアニスト』(05)などのフレンチ・ノワールで知られるジャック・オディアール監督の久々の新作。2009年のカンヌ映画祭コンペ部門でミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』(09)と争い、グランプリを受賞している。こちらも無学無教養な19歳の青年が刑務所という閉じた空間で犯罪者たちから処世術を学び、大人へと成長していくストーリーだ。高崎山のサルのように、力で順列が決まる犯罪者たちの生態が赤裸々に描かれている。
傷害罪で6年の禁固刑に処せられたアラブ系の青年マリク(タハール・ラヒム)は、フランスの刑務所にブチ込まれる。刑務所の中はコルシカ系のマフィアのボス・セザール(ニエル・アレストラップ)が牛耳っている。刑務所にいながら遠隔操作で麻薬の売買を行ない、大儲けしている大悪党だ。看守たちもセザールに買収されており、刑務所の中に正義はない。誰もマリクを助けてくれない。マリクはセザールの使いっ走りをさせられながら、監獄の中で読み書きを覚え、さらにセザールをはじめとする前科者たちから、ビジネスセンス、交渉術、組織の運営術......などを貪欲に学んでいく。オディアール監督が説明的な台詞をいっさい排しているため飲み込みづらさがあるものの、本人に何かを吸収しようという意欲さえあれば、刑務所だろうがどこだろうが、そこが本人にとっての学校となることが説かれている。
『アニマル・キングダム』のスマーフおばあちゃんも、『預言者』のセザールも、常人とは異なる独自の哲学の持ち主だ。己の経験に基づいた自信を持ち、荒くれどもを束ねている。無学で世間知らずなジョシュアやマリクにとっては、それぞれ得難い保護者であり、教育者でもある。ジョシュアもマリクも、彼らから世間で生きていくための多くのことを学んでいく。その中でも彼らが学んだ、いちばん大切なものは"判断力"だろう。知識とは学ぶためにあるのではなく、勝負どころでの判断力、決断力を磨くためのものだということ。主人公たちは学んできた知恵を振り絞って、自分が磨いてきた判断力が正しいかどうかを物語の後半で実証することになる。主人公が自分の判断力を試すとき、それは暴力が支配する学校からの"卒業"である。
(文=長野辰次)

(c)2009 Screen Australia,
Screen NSW, Film Victoria,
The Premium Movie
Partnership,
Animal Kingdom Holdings
Pty Limited and
Porchlight Films Pty Limited.
『アニマル・キングダム』
監督・脚本/デヴィッド・ミショッド 出演/ジェームズ・フレッシュヴィル、ジャッキー・ウィーヴァー、ベン・メンデルソーン、ジョエル・エドガートン、ガイ・ピアース、サリヴァン・ステイプルトン、ルーク・フォード
PG12 配給/トランスフォーマー 1月21日(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー <http://www.ak-movie.com>

(C) 2009 WHY NOT PRODUCTIONS,
CHIC FILMS, PAGE114,
FRANCE 2 CINEMA, UGC
IMAGE, BIM DISTRIBUZIONE
『預言者』
監督・脚色/ジャック・オディアール 出演/タハール・ラヒム、ニエル・アレストラップ、アデル・ベンチェリフ、ヒシャーム・ヤクビ
配給/スプリングハズカム 1月21日(土)よりヒューマントラスト渋谷ほか全国順次ロードショー <http://www.sumomo.co.jp>
犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』

実在した犯罪ファミリーを描いた『アニマル・キングダム』。
家族の固い絆の前に、メルボルン警察は手が出せない。
広大なオーストラリアを舞台にした『アニマル・キングダム』は、ノンフィクションタッチのワイルドな映画だ。"野生の王国"といっても、かわいらしいカンガルーやコアラの親子の生態を追ったほのぼの系ドキュメンタリーではない。飢えたライオンやハイエナよりも、もっと凶暴な犯罪者ファミリーが登場する。タランティーノが2010年公開映画のベスト3に挙げたことからも分かるように、インディペンデント臭が濃厚に漂う良質のバイオレンス映画なのだ。ヘビメタ野郎のかっこうをした聖者による救済劇『メタルヘッド』(10)の脚本家として注目を集めたデヴィッド・ミショッドの監督デビュー作であり、1988年にメルボルンで警察官射殺事件を起こしながら無罪となったトレヴァー・ペティンギルとその家族がモデルとなっている。
17歳のジョシュア(ジェームズ・フレッシュヴィル)は、ひどくボンクラな高校生だ。母親がヘロインの過剰摂取でリビングでぶっ倒れているのに気づいても、電話で救急車を呼ぶこと以外は何もできずにいる。救命隊が到着しても、ぼぉ~とテレビのクイズ番組を眺めているだけ。女手ひとつで自分を育ててくれた母親の葬式をどう行なえばいいのか分からず、ただオドオドするばかり。結局、ジョシュアはずっと疎遠状態だった祖母スマーフ(ジャッキー・ウィーヴァー)に連絡をして、すべてを任せる。久しぶりに会うスマーフは、大きくなった孫のジョシュアを愛おしそうに抱きしめてくれた。他に身寄りのないジョシュアは、スマーフ家の世話になる。スマーフの3人の息子たち=おじさんたちも明るくジョシュアを受け入れてくれた。母との慎ましい2人暮らしが長かったジョシュアは、スマーフ家のにぎやかな家庭生活が新鮮に映る。困ったときは、やっぱり血縁が頼りになるなぁとジョシュアはしみじみ思う。だが、ジョシュアのそんな考えは甘かった。スタバに並ぶ、どのスイーツよりも大甘だった。

豪州のベテラン女優ジャッキー・ウィーヴァー
は、『アニマル・キングダム』の好演で2011
年米国アカデミー賞助演女優賞にノミネート。
スマーフ家のおじさんたちは定職に就いていないが、なぜか羽振りがいい。それは一家が犯罪で荒稼ぎしているからだった。亡くなったジョシュアの母親が実家と縁を切ったのは、息子の教育を考えてのことだったのだ。いちばん上のポープおじさんは強盗の常習犯。全身タトゥーでいかつい2番目のクレイグおじさんは麻薬のディーラー。3番目のダレンおじさんは兄たちのアシスタントを務めている。スマーフおばあちゃんは、そんな息子たちの健康ために毎朝フレッシュジュースを作り、息子たちがひと仕事しに出掛けるときは、ハグ&キスで見送るなどスキンシップを欠かさない。スマーフおばあちゃん自身が犯罪に直接加わることはないが、一家の精神的な支柱だ。司法関係者や警察内の麻薬捜査官とも親しくし、裏情報に精通している。"ゴッドマザー"スマーフを軸に一家はまとまり、せっせと犯罪に勤しんでいた。ある日、仕事仲間のバズが警察に射殺されてしまい、おじさんたちが動揺していると、スマーフは優しく諭す。「哀しいとき、辛いときは、誰かに八つ当たりなさい。それが我が家のルールよ」と。スマーフはとっても情が深い。でも、やっぱりどっかおかしい。
最初こそ、"お客さん"扱いされていたが、ジョシュアもだんだんと環境に慣れ、ガールフレンドのニコールを家に連れてくるようになる。お年頃のニコールは、型破りで刺激的なスマーフ家に興味津々。ジョシュアは犯罪者一家に居候しながら、風変わりな青春時代を過ごすはめになる。だが、ジョシュアがお客さん扱いされたのは最初だけ。バズを射殺した警察官に報復するため、ポープおじさんはジョシュアに盗難車を調達するように命じる。本業である犯罪モードに入ったときのポープおじさんには、誰も逆らえない。こうしてジョシュアも警察官殺しに加担させられる。もう自分はただの居候ですとは言い逃れできなくなる。一方、スマーフ家を追っていたネイサン刑事(ガイ・ピアース)は新入りのジョシュアに狙いを絞り、ジョシュアから切り崩すことでスマーフ家の一網打尽を図る。ジョシュアは大きな選択を迫られる。一般社会のルールに従って犯罪者一家を警察に売るのか? それとも、スマーフ家の恩義に報いて立派な犯罪者への道を突き進むのか?

刑務所を舞台にした『預言者』。マリクは
マフィアのボスにアゴで使われながら、
弱肉強食の世界で生きていくノウハウ
を学ぶ。
『アニマル・キングダム』と同日公開される、もう1本の興味深い作品が、刑務所を舞台にしたフランス映画『預言者』。読唇術の心得のある難聴のOLが犯罪に巻き込まれる『リード・マイ・リップス』(01)、ドラッグ売買しながらプロのピアニストを目指す若者を主人公にした『真夜中のピアニスト』(05)などのフレンチ・ノワールで知られるジャック・オディアール監督の久々の新作。2009年のカンヌ映画祭コンペ部門でミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』(09)と争い、グランプリを受賞している。こちらも無学無教養な19歳の青年が刑務所という閉じた空間で犯罪者たちから処世術を学び、大人へと成長していくストーリーだ。高崎山のサルのように、力で順列が決まる犯罪者たちの生態が赤裸々に描かれている。
傷害罪で6年の禁固刑に処せられたアラブ系の青年マリク(タハール・ラヒム)は、フランスの刑務所にブチ込まれる。刑務所の中はコルシカ系のマフィアのボス・セザール(ニエル・アレストラップ)が牛耳っている。刑務所にいながら遠隔操作で麻薬の売買を行ない、大儲けしている大悪党だ。看守たちもセザールに買収されており、刑務所の中に正義はない。誰もマリクを助けてくれない。マリクはセザールの使いっ走りをさせられながら、監獄の中で読み書きを覚え、さらにセザールをはじめとする前科者たちから、ビジネスセンス、交渉術、組織の運営術......などを貪欲に学んでいく。オディアール監督が説明的な台詞をいっさい排しているため飲み込みづらさがあるものの、本人に何かを吸収しようという意欲さえあれば、刑務所だろうがどこだろうが、そこが本人にとっての学校となることが説かれている。
『アニマル・キングダム』のスマーフおばあちゃんも、『預言者』のセザールも、常人とは異なる独自の哲学の持ち主だ。己の経験に基づいた自信を持ち、荒くれどもを束ねている。無学で世間知らずなジョシュアやマリクにとっては、それぞれ得難い保護者であり、教育者でもある。ジョシュアもマリクも、彼らから世間で生きていくための多くのことを学んでいく。その中でも彼らが学んだ、いちばん大切なものは"判断力"だろう。知識とは学ぶためにあるのではなく、勝負どころでの判断力、決断力を磨くためのものだということ。主人公たちは学んできた知恵を振り絞って、自分が磨いてきた判断力が正しいかどうかを物語の後半で実証することになる。主人公が自分の判断力を試すとき、それは暴力が支配する学校からの"卒業"である。
(文=長野辰次)

(c)2009 Screen Australia,
Screen NSW, Film Victoria,
The Premium Movie
Partnership,
Animal Kingdom Holdings
Pty Limited and
Porchlight Films Pty Limited.
『アニマル・キングダム』
監督・脚本/デヴィッド・ミショッド 出演/ジェームズ・フレッシュヴィル、ジャッキー・ウィーヴァー、ベン・メンデルソーン、ジョエル・エドガートン、ガイ・ピアース、サリヴァン・ステイプルトン、ルーク・フォード
PG12 配給/トランスフォーマー 1月21日(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー <http://www.ak-movie.com>

(C) 2009 WHY NOT PRODUCTIONS,
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閲覧注意 中国人の少年が集団暴行される動画が話題
イリノイ州のある都市。暴行されているのは中国人の17歳の少年であるとされ、7人の少年(内一人は撮影係)が集団で暴行。冒頭で蹴りを入れながら「Fucking nigger」と差別的な言葉を叫んでいるようにも聞こえます。

