口かせ少女とビラビラ、娼窟、日蓮が同居する京都の展覧会「閨秀2.0」とは?

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 京都大学近くの古書専門出版社「思文閣」の地下にあるオルタナティブスペース「CAVE」で「閨秀(けいしゅう)2.0」と題する展覧会が開かれている。「閨秀」とは優れた女性作家を指す古い言葉で、その名の通り女性の現代美術作家ばかりを集めたグループ展。「2.0」と題するだけに、これまでの女流作家展、閨秀展とはひと味違うものになっている。  たとえば「口枷屋モイラ」と名乗る女性の作品は、いずれも口枷をはめられた少女の写真だ。それが金の額縁に収められ、真っ赤なビロードを一面に張った壁に掛けられている。真っ白な壁面が主流の現代美術界にあっては、ちょっと異様な展示である。  「口枷屋モイラ」はもちろん本名ではなく、東京都在住の写真家が作った「キャラクター」だ。いわゆる「コスプレ自画撮り」ではあるものの、既存のキャラクターではないところが通常のコスプレとも違っている。モデルも写真を撮ったのも彼女本人で、誰かに指示されて撮ったものではない。なのに口枷という隷属の象徴をまとうあたり、倒錯的な雰囲気が漂う。  撮影に使われた口枷の実物も展示してあるが、蝶ネクタイ型あり額縁型ありで、なにやらSMマニアに売れそうに思える。ところがどっこいこの口枷、若い女性に人気で飛ぶように売れているらしい。実際アヒル型の口枷が会場で売られていたそうだが、開幕早々の時点で既に完売していた。  隣の白い壁面を見ると、こちらは一面にビラビラがびっしりと描き込まれた絵が掛けてある。表面にはラメがびっしり塗り込まれてキラキラ光っているが、その上にボロ布とも木目とも知れぬ何ものかが、ボールペンの線画で描き込まれているのだ。ラメの質感はギャルが喜びそうに見えるが、その上に跳梁跋扈する線画は触手か何かのようで、とうていギャル好みとはいいがたい。 02nakata.jpg  こちらは中田有美という作家の作品で、作者は「陰惨とも言うべき」親族のドラマを抱えた人らしい。もともと染織出身の作家だけに布状の線描が出てきたのかもしれないが、ビラビラの絡み合いは血縁の縺れあいを物語るように感じられる。 04takata.jpg  いっぽう高田智美という作家の展示は、旧「赤線地帯」、つまり娼窟をテーマにした作品だ。当時使われていたボロボロの廃墟の写真のほか、建物に使われていたタイルの破片が散乱し、敵娼(あいかた)の名前や揚げ代金を記した帳簿の断片が散らばっている。作者は全国各地にある赤線地帯を憑かれたように尋ね歩き、写真に収めたりリサーチしたりを続けているらしい。  この人もまた染織出身の作家で、写真のうちのいくつかには糸で刺繍が施されている。それにしても、女性が売春宿の写真を針で突き刺し、縫い綴じていく光景を想像すると、ちょっとゾクッとしてしまう。性の現場への愛憎相半ばする表現、とでもいえばいいだろうか。  ところが別の壁面には、なぜか日蓮上人の絵が飾ってある。ここまでずっと「女性性」のようなものをテーマにした展示なのかな、と思って見てきたのだが、日蓮が出てきてはもはやお手上げである。この絵の作者は尾家杏奈(おや・あんな)。作家自身が日蓮宗の門徒というわけではないらしいが、日蓮宗のお寺で展覧会をすることがあり、そのときに聞いた法話が基になっているのだそうだ。 06oya.jpg  なんでも日蓮がとある死者を弔ったところ、孔雀が幾羽も出てきて成仏したという話だそうだが、なぜか腐敗した屍骸の方が大々的に画面を占め、肝心の日蓮は心細げに画面の端に描いてある。展覧会を頼んだ日蓮宗のお寺も相当に面食らったのではないか。  尾家杏奈の作品は、展覧会のタイトルと素直に照らし合わせると、ある意味で完全にあさっての方向を向いている。タイトルは「閨秀2.0」なのに、女性性はなんにも関係ないし、題材も日蓮宗の法話であって、現代的とはいいがたいからだ。だが、よくよく考えるとアートなどというものは、こうした「あさっての方向を向く力」の噴出なのかもしれないな、と思う。岡本太郎的に言うなら「なんだこれは」と言わせる力、とでもいおうか。  岡本太郎といえば「縄文の美」を誉め讃えた人として知られているが、そんな岡本太郎が見たらどう思うだろう、というような作品もあった。まるで縄文式の火炎土器みたいに一面にトゲトゲを密生させた、置物のような立体だ。南国のドリアンのようにも見えるし、新種の生物のようにも見える。サイズはちょうど壷くらいで、床の間に据えたら案外しっくり来そうだが、口の開き方が下を向いているため、壷としての機能はまったくない。まさに「なんだこれは」である。 07mori.jpg  作者の森文惠は学生時代に日本画を学んだ人らしく、表面の仕上げには日本画の材料が使われている。縄文遺跡で有名な青森の出身だそうで、縄文的な表現は一種の隔世遺伝なのかもしれない。  そんなことを考えながら会場を一巡りすると、妙に牧歌的な油彩画と出会う。作者は栗田咲子といって、国立の美術館にも作品が収蔵されている作家だ。伊勢の方の村祭りを描いたという画面の上には、人を食ったような表情の馬が描かれていて、「もうどうでもいいじゃないの、難しい話は」と言われているような気がしてくる。 08kurita.jpg  栗田は「どういう絵を描くか方針が立たないまま」の状態で好きなものを描き始め、そのまま描き続けて納得したところで描き終えてしまう。おかげでよく見るとあちこちで遠近法が乱れ、ところどころキャンバスの地色が透けている。そうした栗田の「方針の立たなさ」は、そのままいまのアートの「方針の立たなさ」を、真っ正直に反映したものなのかもしれない。日本のアートは戦後この方、定期的にコロコロ方針を転換して「方針が立たないまま」現在に至ってきたからだ。  あたかも「方針」が立っているかのように振る舞う美術上の思想やキーワードは、アート界の混迷を覆い隠して、カッコよく見せるだけのものでしかない。これは女性性についてもそうで、あたかも一枚岩の「女性性」なるものがあり「現代的な女性の表現」があるかのように振る舞う展覧会など、ちょっと嘘くさく思えてしまう。  だが、この展覧会はそうした一枚岩の女性性という幻想を排し、そのバラバラさ、多様性を直視して、そのまま展示している。「閨秀」という聞き慣れない言葉に「2.0」という数字を添えたタイトル通り、女性性へのアイロニカルな視線を示す、ユニークな展覧会となっている。会期は11月6日まで、是非ご覧いただきたい。 (文=編集部) ●「閨秀(けいしゅう)2.0 複数のベクトル、あるいはキャットファイト」 2011年10月18日(火)~11月6日(日) 12:00~19:00/水曜日休廊/入場無料 出品作家:尾家杏奈、口枷屋モイラ、栗田咲子、高田智美、中田有美、森文恵 主催:CAVE 企画:樋口ヒロユキ、森山牧子 協力:digmeout、FUKUGAN GALLERY、Wada Fine Arts、乙画廊 http://www.yo.rim.or.jp/~hgcymnk/00keisyuu/00keisyuu.html * * * ◆日刊サイゾーでは、最新のリリースや新商品のアピール情報を常時募集しております。詳細は以下をご覧ください。 日刊サイゾーで、御社の商品・サービスをPRしてみませんか?

性、恋愛、老いに惑う物語…… 映画『不惑のアダージョ』の特別試写会にご招待

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 処女のまま更年期を迎える女ーー。街の小さな教会で淡々と穏やかに生きてきたひとりの修道女。40歳になった彼女は、人よりも早く訪れようとしている更年期に焦りと不安を感じていた。それまで気に止めていなかった結婚、出産といった言葉が耳に入ってくる。そんな中、バレエ教室でのピアノ伴奏を依頼され、向かったその先で目にしたバレエ教師の男性に初めての感情を抱く。40歳にして、彼女の心に変化が起こる......。

「大人の笑い」ってナニ? エロ? グロ? いやいやそうじゃなくて…

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※画像:『東京カレンダー 2009年 08月号』
【メンズサイゾーより】  地上波放送の完全デジタル化に伴い、廃止されたアナログ周波の空き領域を利用して新たに開局した新BS各局。今10月には12局が加わり、来年3月には7局が追加される予定となっている。しかし、従来のBS放送の印象とは違って多くの新局は有料の放送。CSやケーブルで視聴できたペイチャンネルが、BS放送という枠で見れることになったに過ぎないとも言える。とはいえ、多チャンネル放送の普及を悲願とするCS業界にとっては、BS視聴可能世帯数を取り込めるチャンスとして捉えている模様。それもそのはず、CS視聴可能世帯数が全国で約900万世帯に対し、BS視聴可能世帯数は約2000万世帯。ざっと倍以上である。これらの世帯がBS経由で多チャンネルの魅力に気づいてくれれば幸いというわけだ。そんな経緯もあってか......

Gカップグラドル・芝田翔生子が初体験をDVDで披露!?

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 Gカップグラビアアイドル・芝田翔生子が、11枚目のDVD『Geeee!!』を発売、東京・秋葉原で記念イベントを開催した。
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 なぜか、こんがりと小麦色に焼けた肌で会場に現れた翔生子ちゃん。理由を聞かれてニガ笑いを浮かべるのだが.....。 「撮影は9月ごろに、千葉で撮りました。すごくかわいい民宿みたいなところや、公園でロケをしました。最後、公園の閉園時間まで30分くらいになって、すごく焦りながら撮影しました(笑)」 ――タイトル通り、全編Gカップを強調した作品ですか? 「白いレースのVフロントみたいな衣装や、ボンデージ風の下半身タイツの衣装が、すごく強調されてていいんじゃないですかね」 ――見どころは? 「実は泡+手ブラシーンは初体験だったんですよ、意外なことに(笑)。そこが見どころですね」  実は、この日の日焼けは撮影後に油断してプライベートで遊びに行ったときのものだという。マネジャーさんはじめ関係者にたいそう怒られたそうだ。次のDVDではどんな初体験を見せてくれるか、今から楽しみだ。 芝田翔生子オフィシャルブログ「SHIBA-SHOW BLOG」 <http://ameblo.jp/shiba-sho/>
『Geeee!!!』 じーっと見ちゃう! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「ふだん言わないことも言っちゃった」現役高校生グラドル冨手麻妙とデートできちゃう!? ファン待望のDVD発売! 2007年『制コレGP』グランプリ・水沢奈子 「今回は完全ドМ」森下悠里の超絶ボディーがストーキングされちゃった!?

新自由主義否定はナンセンス! やっぱり「小泉改革」は日本に必要だった

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八代尚宏教授。
 小泉内閣の象徴ともいえる"郵政民営化"。しかし、いま国会では郵政民営化を見直す動きが活発化している。またメディアでも、小泉内閣の新自由主義的政策により格差が広がったことは自明の理のように語られている。まさに、小泉構造改革はすべて間違いであったかのように。そんな流れに異を唱えるのが、国際基督教大学の八代尚宏教授だ。八代教授は今年8月、『新自由主義の復権―日本経済はなぜ停滞しているのか』(中公新書)を上梓し、話題を呼んでいる。今回、八代教授に小泉改革と新自由主義について話を聞いた。 ――本書を書いたキッカケとは? 八代尚宏教授(以下、八代) 特にテレビなどのインタビューを受ける際、聞き手は「小泉改革によって格差が広がった」ということを前提に話を進めますが、私が「違います」と言うと一様に驚かれる。経済学者と一般の人との間での認識が、あまりにも違うんですね。そこに中公新書から、私の考えを1冊にまとめないかという依頼があったので、新書ならたくさんの人に読んでもらえると思い書きました。 ――経済学者と一般の人の認識の違いとは? 八代 いま日本経済が停滞していることは、誰もが分かっている。それを受けて、一番単純な発想は「誰かが失敗したから」、あるいは「誰か悪い人間がいたから日本経済は停滞してしまった」という犯人説的な発想が一般的です。しかし、誰かが変えたから悪くなったのではなく、逆に誰も変えなかったから悪くなったというのが我々の認識です。つまり、世の中が急速に変化している。特に1990年代以降、旧社会主義国が崩壊し、世界経済が一挙にグローバル化したにもかかわらず、日本はそれに対処しようとしなかった。そして、中国やインドのような人口大国が急速に経済発展し、日本を追い詰めているわけです。一方、日本国内においては高齢化が進み、労働市場や財政面で大きな影響を与えている。そういった大きな変化の中で、日本の企業や政府は、80年代までの"ジャパン・アズ・ナンバーワン"というサクセスストーリーからいまだに逃れられない。そして、失われた10年という90年代の不況と停滞を迎えた後に小泉純一郎首相が出てきた。小泉首相は国民の支持を得て、この国を変えていこうとしたが、その途中の5年で辞めてしまった。5年は早いですね。80年代にイギリスを変革したサッチャー元首相でも10年はかかりましたから。 ――本書の帯には、「新自由主義は市場原理主義にあらず」と書かれています。両者の違いについて教えてください。 八代 市場原理主義という言葉は、そもそも経済学にはありません。これは、政府はいらない、市場に任せておけば自由放任でよいという夜警国家のような考え方です。しかし、社会資本の形成、景気の安定、所得再分配や公害の防止が政府の役割であることは、経済学のどの入門書にも書かれていることです。それにもかかわらず、あたかも「夜警国家にすべき」というようなことを小泉改革で言ったかのような幻想がつくり上げられています。新自由主義も同じように理解されているのですが、新自由主義はケインズ(イギリスの経済学者。世界恐慌の際、アメリカではニューディール政策による公共投資で景気を刺激したように、積極的に政府が経済に介入することを主張)のように政府が病人を診る医者にように、経済をコントロールしなければいけないということに対するアンチテーゼです。本書では、政府が適切な役割を果たす健全な市場経済という意味での新自由主義を再定義しています。 ――政府が適切な役割を果たす市場経済とは、具体的にはどういうことでしょうか? 八代 サッカーの試合にたとえれば、政府は審判なんです。サッカーの試合は選手だけではできません。公平にプレーするように審判が笛を吹かなければいけない。しかし日本の政府は、権威を笠にかけてやたらに笛を吹き、レッドカードを出すような審判なんです。一流の審判はめったに試合を止めないで、上手く試合をコントロールする。ファウルがあっても、ファウルをされた側に都合がよければ、アドバンテージルールを使うわけです。そういう巧みな審判が必要だということです。経済学では当たり前なのですが、市場をベースにして賢明な政府と組み合わせることが重要です。残念ながら、こうした経済学の考え方が日本では普及していない。特に、財界・マスコミ・官僚に普及していない。官僚の多くは法学部出身ですから、経済学を軽視しているのかもしれません。 ――日本は戦後、市場経済の恩恵を受け、ここまで成長しました。にもかかわらず、大竹文雄・大阪大学教授著『競争と公平感』(中公新書)で触れられているデータ(「貧富の格差が生じるとしても、自由な市場経済で多くの人々はより良くなる、という考えに賛成するか?」という質問を各国国民に聞いた、2007年のアメリカのピュー研究所の調査によると、主要国の中で日本の市場経済への信頼は最も低く、49%の人しか賛成していない。これは旧社会主義国であるロシアや中国よりも低い数値)の通り、一般の日本人の多くが市場経済を嫌うのはどうしてでしょうか? 八代 実際に市場経済を利用しているにもかかわらず、経済学を体系的に勉強していない。市場を使って利益を得て、市場競争に勝ち残ることに後ろめたさを感じるビジネスマンも多いのではないかと思います。市場での公平な競争を通じて利益を得ることは、人々が必要とするモノやサービスを提供しないとできないことですから、それ自体、立派に社会に貢献しているのだという自信をもってもらいたいです。たとえば、コンビニエンスストアは高い収益を上げています。しかし、人々を搾取しているわけではありません。人々が欲しいものを狭い店内に置き、24時間営業し、多様なサービスを提供することで人々の生活を著しく便利にしています。いま医療・介護・保育には需要がたくさんあるにもかかわらず、それに見合ったサービスを提供できず、お客に長い行列をつくらせています。私は、コンビニ業界がノウハウを活かして、介護や保育サービスに乗り出せば、どれだけ効率的になるだろうと思います。 ――確かに、保育所の待機児童問題は大きいですね。 八代 これこそ民間の知恵を使うべきだと思います。従来、そうした保育などは、福祉として政府がやらなければいけないという考えが多数でしたが、政府にはお金がないので、いつまでたっても供給は増えません。なぜ、政府が監督する公益的なサービスとして、知恵を出すところから民間にやらせないのかということです。旧ソビエト連邦などの社会主義国が90年代に放棄したことをいまだに続けています。これが、昔から日本は世界最大の社会主義国などといわれているゆえんです。これまでは民間部門が頑張ってきたので、なんとか90年代までやってこれた。でも、もうそれも限界に来ていて、民間企業はどんどん国外へ逃げ出します。あとは、効率の悪い農業とサービス部門が残されています。目に見えない「ベルリンの壁」を壊さないといけない、真の市場主義国になる時期に来ています。 ――本書の中でも、小泉改革により格差が広がったというのは間違っていると書かれていますが。 八代 競争を激しくすると勝つ人と負ける人がいるので、格差が広がるという考え方があります。しかし、規制緩和をすれば、逆に規制によって保護されている人と保護されていない人の格差は縮まり、新たに職を得る人もいるわけです。 ――たとえば、小泉改革により、タクシー業界では02年に規制緩和が行われ、車両が増え、タクシー運転手が増え過ぎたことで他の職種との所得格差が広がったと言われています。 八代 規制緩和によって格差が広がったというのは、元々運転手をしていた人の言い分です。タクシーの参入規制を撤廃したことにより、約1万人の新しい雇用が生まれた。タクシー運転手の人数が増えれば運転手の所得は減りますが、だからといってタクシー運転手が貧しくなって格差が広がったというのはあまりに一面的です。多くの失業をしている人が運転手になれたわけですし、また消費者にもとっても便利になった。たとえば、タクシー会社に競争意識を芽生えさせ、「空港から都市中心部への固定料金」「高齢者や子どもの送迎」などのサービスが生まれた。日本の世論はアンバランスで、組織されたタクシー会社や運転手の声は聞こえますが、規制緩和によって利益を得た人々の声はほとんど反映されていない。また、供給が増えたのに価格がまったく下がらず、消費者の需要が増えなかった、中途半端な規制緩和であったことも、所得が減った一因です。 ――若年層の間でも、正社員と非正規社員のように格差が広がったと言われています。 八代 若年層に非正規社員が増えたということについては、規制改革のせいというより、経済の長期停滞の影響が非常に大きく、そもそも雇用自体が減ってしまっている。日本には厳格な雇用保障慣行があり、中高年労働者の雇用を維持したために、新卒採用を抑制した。雇用調整のしわ寄せを受けた点も重要だと思います。そして正規社員の雇用や賃金を厳格に守るために、必要以上に非正規社員が増えてしまった面があると思います。いまの日本経済の大きな背景には長期停滞があって、それを打破し、雇用を増やすためにどうしたらよいかを考えたのが小泉改革だったと思いますが、セフティーネットが不十分であったなど、やはり中途半端で終わってしまった。 ■TPPを通じて、日本は市場を拡大させられる ――ここ数年、「日本は経済的に豊かになったのだから、もう経済成長なんてしなくていいんだ」というような意見が聞かれますが、経済学者の立場からどう考えられますか? 八代 無責任な考え方ですね。経済成長をしなければ新規雇用は生まれません。いま雇われている人々は、経済成長をしなくてもよいと思うかもしれませんが、一番の被害者は若年層です。これから雇われる人、子育てを終えて働こうとする人、それから定年退職後に働きたい高齢者、雇用が必要な人はたくさんいるわけです。そういう雇用を作り出すためには、経済成長をしなくてはならない。 ――そんな経済成長はしなくていいんだという雰囲気の中、GDPが中国に抜かれましたが。 八代 「中国はGDPが日本より大きくなったけど、空気は悪いし、国内での格差が大きい」と言う人がいますが、そんなことは中国の問題です。日本がなぜ抜かれたか? それは、日本が過去15年間停滞していたからです。あとは、「日本は大人で、中国は子ども、子どもが成長するのは当たり前だ」とか、そういうひどい議論をしている。そんな議論が正しければ、日本より成熟したアメリカはなぜ成長しているのか。日本にも成長できる余地はいくらでもあるわけです。それをしないのは、"人災"です。 ――失われた20年を取り戻し、経済停滞を打破していくにはどうしたらよいのでしょうか? 八代 過去の経済環境に合うようにつくられた諸制度の改革ですね。制度改革は、現在の先進国では当たり前に行われていることです。日本は世界が変わっている中で、ひとり過去の成功の夢を貪り、昔のままでいいと思っている。これを問題と思わないことこそが、最大の問題です。 ――規制緩和をすると外資系企業が入ってきて、日本が乗っ取られるというようなことを言う人がいますが。 八代 外資系企業が入ってきてくれれば、雇用の創出という面からみたら、明らかにプラスです。いまの日本の問題は外資系企業がどんどん撤退していることです。TPPの反対論者などが主張する「外資系企業が日本の資本を食い尽くす」という意見は、現に日本がアメリカに対してやってきたことなのです。かつて、日本の資本がアメリカに進出し、工場を作り、雇用を生み出した。初めはロックフェラーセンタービルを買収したことで反発もありましたが、雇用を生み出したことにより歓迎されたのです。 ――現在、中国資本が入ってくることについては? 八代 現在、かろうじて日本に直接投資をしてくれているのは中国です。かつて、アメリカ人が日本の資本が入ってくることに抱いたのと同じ警戒心を、日本人は中国に対して抱いている。私は、中国が日本に対して投資してくれることはいいことだと思います。それで日本の雇用は増えるわけですから。世界的な自由貿易体制では、日本もアメリカに輸出するし、アメリカも日本に輸出する。そして、日本もアメリカや中国に投資するし、中国やアメリカも日本に投資する。それがなぜ悪いのかということです。 ――TPPに反対する人は、その辺が分かっていないのでしょうか? 八代 TPPというのは、アメリカも日本もお互いにもっと自由貿易や投資を増やしましょうということで、NAFTA(北米自由貿易協定)でやったことを環太平洋に広げるということです。NAFTAについても、それでカナダの企業がアメリカの企業に買収されたとか言われているのですが、NAFTAで最大の利益を得たのはカナダ経済です。それは広大なアメリカの市場に対して、カナダからどんどん輸出ができたからです。カナダの90年代は、日本と同じように財政赤字で経済も停滞していた。けれども、NAFTAを通じた輸出の拡大によって、大幅な財政再建のデフレ効果を相殺し、経済も良くなった。同じようなことは、日本もTPPを通じてできる可能性があるわけです。 ――野田総理に変わり、いまの政局に期待することはありますか? 八代 ひとついい兆候は、野田さんが国家戦略会議を使うと言っていることです。やはりTPPにしてもそうですが、改革を行うためには密室の中で決めるのではなく、きちっと反対派の意見を聞いて議論する場が必要だと思います。賛成派も、反対派もお互いが資料を出して、それを全部公開して議論を尽くせば、自ずから世論はできていくわけで、そこで首相が決断して方向を決める。野田さんは実務家の総理ということで、粛々とやっていくことに期待しています。先日参加した国際会議で、意外と外国人の評判は良く、驚きました。民主党で初めてノーマルな総理が出てきたと。もっとも、実際は未知数で、今度のTPPへの参加という大きな課題をどう実現するかが試金石となります。 (構成=本多カツヒロ) ●やしろ・なおひろ 1946年大阪府生まれ。68年国際基督教大学教養学部、70年東京大学経済学部卒業、経済企画庁(現内閣府)、OECD事務局、上智大学国際関係研究所教授、日本経済研究センター理事長等を経て、現在、国際基督教大学客員教授、安倍・福田内閣で経済財政諮問会議議員、メリーランド大学博士(経済学)、労働経済学、日本経済論専攻。 主な著書に、『日本的雇用慣行の経済学』(日本経済新聞社)、『少子・高齢化の経済学』(東洋経済新報社)、『雇用改革の時代』(中公新書)、『健全な市場社会への戦略』(東洋経済新報社)、『労働市場改革の経済学』(東洋経済新報社)、『成長産業としての医療・介護(共編著)』(日本経済新聞社)などがある。
新自由主義の復権 - 日本経済はなぜ停滞しているのか V字復活なるか。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 金融危機を生んだ「悪の枢軸」の正体 なぜ、金融工学は叩かれたのか? ポスト・バブル世代の若者は、就職でどれだけ「損」しているのか? ピースボートにハマる「イマドキの若者」とネットワークビジネスとの関係とは?

三谷幸喜、草なぎ剛を「『この人死んでるな』と思わせる役者」と絶賛?

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【ジャニーズ研究会より】

 10月24日に放送された『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の「ビストロSMAP」には、29日から公開の映画『ステキな金縛り』の監督・三谷幸喜と出演の深津絵里、西田敏行、浅野忠信、竹内結子ら俳優陣が登場しました。

【追加募集】ネットビジネス界の寵児、ライフネット生命保険副社長・岩瀬大輔!ビジネスパーソンの新常識

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講師の岩瀬大輔氏
「今後のビジネス業界はどうなるのか?」 「生き抜いていくためには、どうすればよいのか?」  そんな漠然とした不安を抱くビジネスパーソンの疑問に、第一線で活躍するキーパーソンが答える、というコンセプトの連続セミナー企画「サイゾーpresents"本音の"ビジネスキャリア塾」が第2回目を迎える。  今回は、戦後初の独立系保険会社であり、2008年の営業開始からたった3年で保有契約件数8万件を突破し、「保険のプロに聞いた、入りたい生命保険ランキング」第1位にも選ばれたライフネット生命保険の設立メンバーであり、代表取締役副社長の岩瀬大輔氏を講師にお招きし、11月14日(月)19:00~開催されることが決定した。  タイトルはずばり「ビジネスパーソンの新常識」  岩瀬氏は、東大法学部在学中に司法試験に合格するも、卒業後はボストン・コンサルティング・グループや投資ファンド会社を経てハーバード大学ビジネススクールに留学。同大学でMBAを取得し、卒業後はライフネット生命保険の設立に参画するというキャリアを通じて、コンサル、金融、ネットビジネスの領域で、常にビジネスの最前線に立ってきた。  そんな一見華やかに見える岩瀬氏のキャリア。しかしライフネット設立当初は、岩瀬氏と出口治明社長のたった2人、小さなビルのフロアで他のベンチャー企業と一緒の居候生活を送りながら、『誰でもできる! 株式会社の作り方』などの本とにらめっこし、営業開始に向けた準備を進める毎日であったという。  資金集めでは出資を約束してくれていた先から反故にされ、無事営業開始後も契約件数は伸び悩み、ときには自ら駅前でチラシ配りまで行った岩瀬氏。  そんな苦労を乗り越え、営業開始からわずか3年後。ライフネットは既存大手生保を脅かすまでの存在に成長し、岩瀬氏自身も、世界中から一流の政治家、経済人、学者が集まる2011年世界経済フォーラム・ダボス会議に招かれ、グローバル保険会社のCEOたちとランチのテーブルを囲んでいた。  何が彼を成功に導いたのか?  そしてそこから、私たちビジネスパーソンは何を学ぶべきなのか?  そのヒントが、この講演会のなかにある。もちろん質問や相談があれば、岩瀬氏にその場で直接聞けるインタラクティブな交流の時間も設け、みなさまの満足度100%を目指します。  講演会は先着順で参加者募集中ですので、ふるってご参加ください。人数が定員になり次第、募集は終了いたします。 ■イベント詳細 【第2回 サイゾーpresents"本音の"ビジネスキャリア塾】 「ビジネスパーソンの新常識」 ■講演者 岩瀬大輔 ライフネット生命保険株式会社代表取締役副社長 埼玉県出身/1976年生まれ/東京大学法学部卒 ブログ:http://blog.livedoor.jp/daisuke_iwase/ ライフネット生命保険株式会社:http://www.lifenet-seimei.co.jp/ ■日時  11月14日(月) 午後7時~9時
(開場午後6時半) (構成) 午後7時~8時 講演 午後8時~9時 事前メール、及び会場受講者から岩瀬氏への質疑応答 ※終了後、岩瀬氏との名刺交換のお時間がございます(ご希望者のみ) ■場所 渋谷区道玄坂(詳細は参加者にお知らせします) ■参加費 3,000円(税込)
 ■お問い合わせ窓口 career-seminar@cyzo.com 参加希望者は、こちらのフォームからお応募ください。折り返し、詳細を記した参加通知メールをお送りします。 ※当イベントの録音や録画、撮影は禁止です。また、メディアからの取材は受け付けておりません。
 ※当イベントの模様の一部は、後日、弊社が運営するメディアなどで掲載予定です。 ■主催 株式会社サイゾー ■講演会内容(予定) (1)今、ビジネスパーソンに求められることは何か?  岩瀬氏が5月に出版した『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)には、「仕事において大切な3つの原則」をはじめ、マナー、情報収集術、コミュニケーション術、最低限身につけるべきスキルや習慣など、岩瀬氏のこれまでの実体験にもとづいた「ビジネスパーソンとしての常識」が凝縮されている。その内容は、「入社1年目」のみならず全てのビジネスパーソンのバイブルになるとの評判である。  『入社1年目~』のエッセンスを中心に、岩瀬自らが豊富なキャリアを通じて考える「ビジネスパーソンが身につけるべきこと」をお届けする。 (2)"岩瀬流"人を巻き込む方法  ライフネット設立当初、まだ実績ゼロの同社には、他の金融機関や外資系企業で責任あるポストを任せられていた人材、公認会計士など、さまざまな分野で活躍する人材が入社した。加えて、電通、リクルートなどの著名なマーケティング専門家が手弁当でサポートを提供した。  また、社長の出口氏が「今年で一番大事な仕事だ」と言った10年12月のフジテレビ『新報道2001』出演を大成功させるために、放送日までの5日間、岩瀬氏がとった行動とは?  節目となるポイントで、周囲の人のサポートを引き出し、成功へのステップに生かすその具体的な方法に迫る。 (3)売れる新商品/サービスを生み出す方法とは?  ライフネットの商品は、「プロが選ぶ、自分が入りたい生命保険ランキング」で1位を獲得したり、日本初の就業不能保険(ケガや病気で働けず収入がなくなったケースに備える保険)を発売し、ソニー生命が同社をヒヤリングに訪れたりと、競合他社も認めるほどの魅力的な商品を世に提供している。  サービス面においても、日本初となるケータイからの生命保険申し込みサービスを開始するなど、画期的なサービスで顧客ニーズを掘り起こしている。  同社はなぜ、これらを生み出すことができたのか?  世の中を唸らせる商品やサービスを生み出すためのヒントを探ってみよう。 (4)大きな効果をもたらす広告/プロモーション術とは?  ライフネットも営業開始当初は、ウェブ、雑誌、電車、セミナー、ときにはチラシ配りなど、考えられるあらゆるプロモーションを行うが効果が出ず、契約件数は伸び悩んでいた。  そして2年後。月間の新規契約申し込み件数は10倍以上となるが、その飛躍は決して偶然ではなく、綿密な分析に基づく戦略的な広告/プロモーションの成果だった。  その舞台裏を見ることで、大きな効果をもたらす広告/プロモーションの勝ちパターンを学ぼう。 (5)今後成長する業界、会社とは?  『入社1年目~』では「会社選びの3つの基準」に触れているが、例えば自分が入社する会社を選ぶうえでは、仕事の内容や業界の将来性以上にもっと大切な基準があるという。  外資系コンサル、投資ファンド、そしてネット保険会社のリーダーというキャリアを通じ、幅広いビジネス分野に精通する岩瀬氏に、「今後成長する業界、会社の見分け方」を聞いてみよう。 (6)これからの資産運用術とは?  東日本大震災後の今、資産運用における新しい常識とは何か?  多くの顧客から支持される金融機関を率いる岩瀬氏だからこそ語れる、ここでしか聞けない話に触れてみよう。

上司と上手く行かない人は部屋の「西北」に問題あり! 凹みがあると凶相に

【ハピズムより】
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間取りに斜めになった部分があると、
気の流れが悪くなるそう
――どれだけ開運グッズで運気を良くしようとしても、部屋の間取りが風水的によろしくなければその効果も半減。そんなどーしようもない間取りに風水アドバイザーが救いの手を差し伸べ、開運できるお宅へと導いちゃいます。 <今回の相談者>  30歳女性、独身・OL。昔から人付き合いで悩むことはなかったのに、1年前の転職を機に現在の部屋に引っ越してから、職場の人間関係に悩むように。上司のきつい言葉や冷たい言葉に心を痛め、最近では会社に行くこと自体で悩むことも。もしかして引っ越しと関係がある? と不安に思い、風水相談に訪れる。 <間取りのどーしようもないポイント> 1)南側にあるトイレ・浴室  南側は一般的に太陽のエネルギーが最も強く、家に「陽」の気が入る方位。そんなエネルギーの聖地である南側に、マイナスエネルギーを持つトイレやゴミ置き場があるのは大凶相! 南の凶相は、心のゆとりを失わせ、自己中心的な性格にさせるといわれています。見栄っ張りで虚栄心の強い性格にもなりやすく、ついつい態度が横柄になり、上司とのトラブルを起こす原因になることも。 2)西北の凹み  西北のベランダですが、思いっきり斜めになっているため、凹みと同じく凶相になります。西北側が凹んでいると社交運が閉ざされるため、人間関係に悪い影響をもたらすことも。また、部屋に部分的な凹みがある場合、その方位が意味する運気を上手に取り入れることができません。  「南」は目上の人、「西北」は上司の定位置。上司や目上の人とうまくいかなと悩んでいる人は、まず部屋の南、西北をチェックしてみましょう。  以上のどーしようもないポイントを改善するために早速お宅訪問です!

ありがちで内容がない! 道端アンジェリカの本から学ぶフツーのありがたさ

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『ANGELICA Rules』(ワニブックス)

――タレント本。それは教祖というべきタレントと信者(=ファン)をつなぐ"経典"。その中にはどんな教えが書かれ、ファンは何に心酔していくのか。そこから、現代の縮図が見えてくる......。

 『ANGELICA Rules』(ワニブックス)は、道端三姉妹の三女・アンジェリカのファッション&ライフスタイルブックである。道端三姉妹といえば、長女カレンは二児を持つシングルマザー、次女のジェシカはイギリス人のF1レーサーと交際していることで知られる。で、アンジェリカはというと、スタイルは姉たちに劣らずいい。ま、モデルだからね。が、しかし、それ以外に特筆すべき点が何も思い浮かばない。