
(C) Scared Productions, Inc. 2010
公式HP<http://mechanic-movie.jp/>
今週は、夏向きの痛快なアクションと、バディ(仲間)の存在のありがたさや時に起こる困難を描く新作映画2本を紹介したい。
ジェイソン・ステイサムが凄腕の暗殺請負人に扮する『メカニック』(公開中、R15+指定)は、1972年にチャールズ・ブロンソン主演で公開された同名アクション・スリラーのリメイク版。闇組織から殺人指令を受け、どんなに厳重に警護された標的も事故死に見せかけて暗殺するビショップ(ステイサム)。だが、新たに指示された殺しの相手は、親友で恩人のマッケンナ(ドナルド・サザーランド)だった。組織への抗議は受け入れられず、仕方なく任務を遂行するビショップ。感情を抑えて次の仕事に移ろうとする彼のもとに、マッケンナの息子スティーブ(ベン・フォスター)が、父の死の真相を知らないまま、暗殺請負人の弟子にしてくれと志願してくる......。
監督のサイモン・ウェストは、『コン・エアー』(97)『トゥームレイダー』(01)など、記憶に残るアクション大作を手がけてきた実力派。基本ストーリーにキャラクター描写、ファッションなどでオリジナルの趣をスタイリッシュに再現しつつ、現代的なアクションとスピーディーな展開で新たな魅力を加えることに成功した。出世作の『トランスポーター』シリーズをはじめ、これまで一匹狼的な役どころの多かったステイサムだが、中盤以降ではベン・フォスターとのバディ・ムービー風の掛け合いにも挑戦。精密機械のように緻密な暗殺計画を、卓越した身体能力で正確かつ大胆に遂行する姿から漂う「男の美学」と、仲間同士で交わされる繊細な感情の揺らぎからにじむ「人間味」もほどよくミックスされて、作品全体の味わいを深めている。
もう1本は、ウィル・フェレルとマーク・ウォールバーグがサエない"脇役"刑事コンビに扮したアクション・コメディー『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(8月20日公開)。ニューヨーク市警でデスクワークに精を出すアレン(フェレル)と、過去の失敗を引きずっているテリー(ウォールバーグ)。同じ署では、捜査のたびに派手なカーチェイスと銃撃戦を繰り広げ、犯人を逮捕する黒人刑事コンビがヒーローで、彼らに憧れるアレンとテリーは"その他の連中"だった。だが、ある出来事をきっかけに、2人は難事件を自ら解決しようと乗り出す......。
04年の『俺たちニュースキャスター』以来、監督アダム・マッケイ、主演ウィル・フェレルのコンビでおバカな男どもを描く一連のコメディー映画は、内容的には直接の関連性はないものの日本では「俺たち○○」とシリーズ風の邦題が付けられ、コアなファンたちに愛されてきた。フェレルのキャラを活かした笑い、映画マニア受けするパロディー、ユーモアで包んだ社会風刺がこれらの作品に共通する特徴で、本作は刑事もののバディ・ムービーを徹底的にパロっている点が最大の爆笑ポイント。特に、サミュエル・L・ジャクソンとドウェイン・ジョンソン扮するヒーロー刑事コンビが、序盤で早々に映画から"退場"するシーンは、アクション映画のばかばかしいほどに過剰な演出に対する皮肉も込められ、笑い死にしそうになるので要注意。ほかにも、理不尽なほど美女にモテまくるフェレルや、相棒の妻(エバ・メンデス)にやたらと執着するウォールバーグなど、小ネタでもしっかり笑いを取る。
一方で、本作の裏テーマは、サブプライムローン問題、リーマンショックなどに代表される米国発の金融危機に対する批判だ。主人公コンビが挑む敵役に金融投資家を配した点もそうだが、インフォグラフィックスを駆使して金融業界の不正を視覚化したエンドロールまで、笑いというオブラートに包んだ製作陣の怒りのメッセージもしっかり受け止めていただきたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
「メカニック(2011)」作品情報
<http://eiga.com/movie/55998/>
「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」作品情報
<http://eiga.com/movie/55287/>
日別アーカイブ: 2011年8月19日
一番ダークなスポーツは野球!? 切っても切れないスポーツと闇社会
──西武ライオンズの若きエース・涌井秀章選手が、自身の所属するエージェントと裁判沙汰になっていることが報じられたが、そこで問題になっているのは、涌井とエージェントをつないだ元暴力団員の存在。比較的少なくなってきてはいるが、ほかにもコワモテとアスリートのつながりは指摘されている──。 日本中の注目を集め、莫大な年俸を稼ぐプロアスリート。彼らの活動を支えるのは、それぞれが所属するチームやスポンサー企業だが、そのほかにも公私にわたって彼らの面倒を見るグレーゾーンの後援者たちがいることはよく知られている。そして彼らが時に、裏社会の人脈につながっているケースも少なくない。 典型的なのが、ここ数年で野球賭博や八百長といったスキャンダルが立て続けに発覚した大相撲だろう。 本誌3月号でも詳しく解説しているが、もともと相撲界には食事から"女"まで、かなりの部分をタニマチに頼る「ごっつぁん体質」がはびこっており、ご祝儀などの名目で、力士の小遣いから日々の飲み食い、さらに地方興行では各部屋の宿泊所から稽古場まで、地元の有力者が面倒を見るといった構造が出来上がっている。そこには裏社会の住人たちが付け入るスキが、いくらでもあった。 一連のスキャンダルによって、こうした構造の問題点が浮き彫りになったわけだが、大相撲のスキャンダルはスポーツ界全体にも衝撃を与えており、どの競技団体も、少なくとも表面上は、タニマチを名乗る暴力団関係者などの裏社会との関係には神経質になっているようだ。 「かつてはスポーツ興行に暴力団が介在していた時代が、確かにありました。ただ現在は競技団体やチームのコンプライアンス上、簡単には許されなくなっている。選手個人も彼らと付き合うことのデメリットを理解するようになっており、『ヤクザをバックに持っても、ロクなことはない』という若い世代の選手も増えてきています」(スポーツジャーナリスト) 一時期は、裏社会とは兄弟分のような付き合いをする豪快な選手がゴロゴロいたプロ野球界も、すっかり様変わりした。 「球界入りするルーキーは、NPB(日本野球機構)の新人研修などでも口を酸っぱくして暴力団との接点を注意されるし、球界のドンこと読売ジャイアンツの渡邉恒雄や楽天イーグルスの三木谷浩史といった実質的な球団トップからも『(暴力団が集まる)怪しい会合には、絶対に顔を出すな』と厳しい通達が出ているそうです」(スポーツ紙記者) かつては「ヤクザ以上にヤクザっぽい」といわれた江夏豊や張本勲、東尾修といったレジェンド・クラスから、コワモテが絡んだ車庫トバシ(違法に車庫を確保すること)に関係していた篠塚和典、暴力団組長との飲み会写真が流出し登板日漏洩疑惑も囁かれた桑田真澄など、裏社会との関係が報じられた選手は枚挙にいとまがない。 「ここ数年だと、2004年に発覚した元中日ドラゴンズの立浪和義が起こした女性トラブルに、現役の暴力団幹部が乗り出してきたという醜聞が目立つ程度。現役選手では、ほとんど聞かなくなりました。ただ『食肉の帝王』の異名を取ったハンナンの浅田満会長と関係があった現楽天監督の星野仙一など、監督・コーチクラスには、裏社会との接点がある人物はゴロゴロ残っています」(同) ■芸能プロが入り込む スポーツ界のユルさ もっとも、表立っての交際がなくなっただけで、現在も裏社会との交流は形を変えて続いているとの指摘もある。 「人気球団のスター選手は、芸能プロやマネジメント会社と契約するケースが増えており、怪しげなタニマチは減っている。ただ、そのマネジメント会社や芸能プロが裏社会につながっている場合も少なくない。例えば日ハムのダルビッシュ有や阪神の金本知憲が所属するエイベックスにしても、社長の松浦勝人には暴力団員を同席させて株主を監禁・脅迫したという疑惑が報じられていますからね」(芸能プロ関係者) その意味で、現在のプロ野球界で最も注目を集めているのが、西武ライオンズのエース・涌井秀章投手に関するスキャンダルだろう。 これは、写真週刊誌「フライデー」(講談社/11年7月15日号)が報じたもので、表面上は涌井の個人事務所が契約していたマネジメント会社「スピードエージェンシー」(「フライデー」ではイニシャル)とのトラブルだが、実際は、涌井のプライベートに食い込んでいる元暴力団組員・Kとの関係に球団側が難色を示したことがトラブルになったきっかけだという。 「スピード社も実質的にKの会社といわれていますからね。涌井も球団の手前、一応はビジネス上の関係を解消する方向で動いていますが、先日、熱愛を公表したフリーアナ・杉崎美香を紹介したのもKといわれており、今後もプライベートでの関係は続きそうです」(前出・スポーツ紙記者) 多くのスポーツ興行に絡んできたKの経歴は当特集【2】を参照してもらうとして、その人脈は水泳の金メダリスト・北島康介や、ロッテからメジャーに移籍した西岡剛選手など多岐に及んでおり、今後の動向が注目されている。 同様に注目を集めているのが、野球評論家の清原和博や日本ハムの中田翔、テニスのクルム伊達公子や格闘家の山本"KID"徳郁、プロゴルファーの加賀崎航太といった有名選手を筆頭に、バスケ、スノーボードなど50人以上の選手が所属するスポーツマネジメント会社「JSM」だ。 JSMはパチンコ・パチスロの大手販売会社「フィールズ」のスポーツマネジメント部門。フィールズのトップは、あの押尾学の庇護者としても名前の挙がった山本俊英会長である。 「山本会長は以前から、元横綱の千代の富士(現・九重親方)や、その弟子で元大関の千代大海(現・年寄佐ノ山)の後見人として知られていますが、現在のプロスポーツ界では"最大のタニマチ"といえる存在です。ただJSMは選手を抱えすぎて、ほとんど商売にはなっておらず、近いうちに金になりそうな数名の選手を残して縮小するともっぱらです。清原だけは、山本会長のポケットマネーで個人事務所を作るともいわれています」(前出・スポーツジャーナリスト)『野球賭博と八百長はなぜ、なくなら
ないのか』(ベストセラーズ)。
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お金? BOZZ
3・11以降、経営者の方からたくさん相談が来ます。返信する時間がないのは本当に申し訳ないです。まず、東北はダメです。投資していいのは福島と土木・建築だけです。数千万円の投資能力しかないのなら速やかに撤退してください。小沢関係だけで既に25兆円の金が動いています。がんじがらめの場所に行って誰が成功しますか。 政治の素人がガレキだらけの被災地に行っても負けるだけです。菅直人も・・・
夏休み最後は開運でしょ
よく考えたらワーストスポットしか書いていなかったので、今日はベストスポットを紹介したいと思います。 ★皇居周辺 風水から見ても、気の流れから見ても、やっぱり皇居に勝るところはありません。北の丸公園で散歩するのが一番気軽です。でも、注意したいのは靖国神社。立派な神様はいますが、成仏していない霊も多数存在するので、エネルギーが下がっている時の参拝は避けてください。近くに・・・
【心霊探偵7】ありえない探偵ばなし【その3】
前回書いたように、トランシーバーから緊迫した依頼者の声が聞こえたため、依頼者宅に飛び込み、急いで照明を点けました。「大丈夫ですか!」コタツの中で苦しそうに悶える男性に声を掛けると、「ア、アソコを、強く握られました。さっきまで息が出来ず、声も出せませんでした・・」男性の言葉を聞き終わると、私は20m2弱のアパートの室内を全て確認しました。どこにも異常は・・・
警察官が囚人護送中に浮気セックス! 南ア
南アフリカで男性警官と同僚の女性警官(既婚)が囚人護送先の病院で待機中、性交にふけっていたようです。囚人達の健康診断のためにヨハネスブルグにある病院まで囚人を護送していた二人。囚人達の診断中よほど暇だったのかそれとも元々そのつもりだったのか、勤務中でありながら待機している部屋で性交にふけりはじめたようです。ゆったり15分以上、二人の情事は病院内のカメラで捉えられて・・・
【マジで】歯を、真っ白にするリキッド【特許】(広告)
歯が汚い女って、イヤですよね。百歩譲ってタバコを吸うのは許しても、歯が汚いのはマジ勘弁。人間的にムリ…って思ったら、俺の歯も汚かったーっ! どうにかしなきゃと先輩に聞いたら、すすめられたのがコレ。パールホワイトpro II 芸能人やモデルも使ってるという、美容歯科監修のホワイトニング。使い方はめちゃくちゃ簡単。歯ブラシに1~2滴たらして磨くだけだそうな。歯を削る成分は一切・・・
「芸能界の大物の意向が働いた」? BEASTイベント欠席騒動

『BEASTーJapan Premium Edition』
/ファー・イースタン・トライブ・
レコーズ
韓国の男性6人組ユニット「BEAST」が、入国手続きのトラブルにより出席予定だった試写会を欠席する事態となった。同グループは映画『シャンハイ』の主題歌を担当しており、当日は羽田空港から都内の会場へ向かう予定だったが許可が降りず、韓国へとんぼ返りすることとなってしまった。
900人とSEX、集団自殺……脅迫観念に襲われたジム・ジョーンズの末路
世界のミヤモトが認めた名作ゲーム『ギミック!』を生んだプログラマー・酒井智巳インタビュー!

『Rom Cassette Disk In SUNSOFT
ディスクシステム編』
(シティコネクション)
「ゲームは1日1時間!」
と高橋名人も語っていた通り、かつてテレビゲームは一度始めたら止め時が分からなくなるほど麻薬的な魅力を放つエンタテインメントのひとつだった。
明るいニュースを聞くことの方が少ないような気がする昨今のテレビゲーム・シーンだが、1980年代から1990年にかけて、テレビゲームは、確実に日本のサブカルチャーの中心に位置していた。
「次はどんなすごいゲームが出てくるんだ!」
そんなあの時代の期待感と興奮をCDにパッケージして、21世紀によみがえらせるレトロゲーム専門レーベル「クラリスディスク」。
同レーベルが6月29日にリリースした『Rom Cassette In SUNSOFT』は、『アトランチスの謎』『かんしゃく玉なげカン太郎の東海道五十三次』『リップルアイランド』など、一度プレーしたら忘れられないサンソフト製ファミコンソフトのゲームミュージックを200曲以上収録。その濃い内容で、発売直後からゲームミュージックファンのみならず、当時ゲームキッズだった一般ユーザーの間でも大きな話題となった。
そこで今回も、前回から引き続きサンソフトが生んだファミコン末期の伝説的アクションゲーム『ギミック!』関係者から、ゲーム業界が熱く燃えていたあの時代のエピソードを聞いてみたいと思う。
イカしたゲームミュージックを生み出した影山雅司氏に話を伺った前回に続き、本作の生みの親であるプログラマー・酒井智巳氏から『ギミック!』誕生秘話を聞いてみよう。
■サンソフトの精鋭が集った『ギミック!』
学生時代からゲーム、プログラムに勤しんでいた酒井氏。
昼夜問わずプログラムソースを書きまくり、画家がデッサンの練習をするがごとくさまざまな物体の動きをコンピューター上で再現することを繰り返していたという彼は、ついにはゲーム上のあらゆるキャラクターの動きを、その目で見た瞬間にプログラムに起こせるようになっていたという。そんな彼の原点は「アーケードゲーム」だそうだ。
「アーケードは長時間遊ばれるともうからないので、すぐに難易度が上がって本気でプレーヤーを攻撃してきます。しかし、それをクリアするプレーヤーもいて、前人未踏の世界を垣間見せてくれる。そういうロマンがありました。当時(80年代初~中期)は、ゲームセンターで何人ギャラリーをつけるか、というのがゲーマーの指標みたいなものだったんです。本当にうまい人ってただゲームが上手なだけじゃなくて、ギャラリーを喜ばせるプレーをするんです。いかに魅せるかを知っているんですね。僕はそういう感覚がエンタテインメントの原点だと思っているんです」
その言葉を裏付けるように、彼が開発した『ギミック!』は腕を磨けば磨くほど「魅せる」プレーが可能となるアクションゲームだ。
だが、ライトユーザーにはクリアすらままならないほどの高難度のために、最有力ゲーム情報誌「ファミコン通信」(現「ファミ通」。エンターブレイン発行。当時の出版元はアスキー)では低評価を受けてしまったという不遇のタイトルである。
また、スーパーファミコンやメガドライブなど16ビットマシンの時代に移行しつつあった1992年という発売時期も、ゲームにとっては逆風となっていたようだ。
「当時、『ギミック!』は問屋がほとんど相手にしてくれませんでした。東京おもちゃショーとかに展示すると、「このゲームはスーパーファミコン用?」って聞いてくるんですが、ファミコン用だって分かると興味をなくして去ってしまうんです。僕からしたら、ファミコンで次世代機かと思うようなゲームを作ったことに対して評価してくれてもいいんじゃないかって思ったんですが(笑)」
この言葉にもあるように、『ギミック!』はファミコンの限界を超えるべく作り上げられた意欲作だったのだ。
「当時、『メタファイト』に参加していた岩田君と駕屋君というデザイナーがすごく上手で、いつか自分のオリジナルを手がける時に参加してもらいたいと思っていたんです。それで、けっこう根回しをしましたね(笑)。彼らのチームと同じタイミングで自分のチームのゲームを完成させればメンバーに入れやすいと思って、自分のタイトルのスケジュールを調整して完成させたりしました。岩田君はすでに『バットマン』に入っていたのもありますが、『ギミック!』には駕屋君の絵柄がとても合っていたんです。また当時はすでにサンソフトを退社していた諸田君という天才的なサウンドプログラマーにも、無理を言って外注で参加してもらいました」
と、優秀な人員を確保するために、かなりの無茶をしたのみならず、
「技術的な話をするとファミコンはキャラクターが256枚入るところがあるんですが、丸ごと切り替えると無駄ができてしまいます。2分割して128枚ずつにして、例えば主人公キャラと敵キャラというように分けて合理化する技術は出て来ていました。それを4分割の64枚ごとにすればさらに無駄が減らせるだけでなく、切り替えて背景の歯車や床のアニメーションに使えると考えてチップの仕様を決めたんです」
と、元々優れたプログラマーであった酒井氏は、このほかにも本作にさまざまなアイデアを投入していった。またゲームミュージックに対しても並々ならぬこだわりを見せた。
「当時、PCエンジンで開発していた『アウトライブ』というゲームの音楽を聴いて、『ギミック!』の音楽は(作曲していた)影山(雅司)さんしか考えられないと思って、彼にお願いしました。ただ、影山さんのコード感を再現するにはファミコンの音数では足りないんです。絵は駕屋がいるからOK。動きは僕が頑張ればOK。そう考えた時に、曲は影山さんならクオリティーは心配ないけど、鳴らすハードの音数が足りないのはなんとかしないと。そう思った時に、拡張音源を搭載することに決めました」
「スーパーファミコンに対抗するべく、とにかく最高のスタッフが必要だった」と酒井氏も語るように、サンソフトの精鋭を多数起用し『ギミック!』は完成した。
「評価されるのに10年以上もかかっちゃった」
当時を振り返りつつ酒井氏はそう苦笑する。
ポップなグラフィックと、フュージョンテイストのクールなゲームミュージックが当時の一部のゲームファンの間で話題となった『ギミック!』は、今もなおレトロゲーマーの間で愛され続け、ネット上の動画サイトなどでは達人たちの「魅せプレー」が多くのギャラリーを沸かせている。
■世界のミヤモトも唸った完成度
冒頭でも述べた通り、残念ながらヒットには至らなかった『ギミック!』だが、プレーヤーの心には大きな影響を及ぼしていたはずだ。その証拠のひとつとして意外な人物が評価していたらしい、と酒井氏は語った。
「『ギミック!』を作った後に、宮本茂さん(※注)の知り合いの方が、宮本さんが「『ギミック!』は遊べますね」って言ってたって教えてくれたんです。まず人の作品を褒めないそうですけど、「あの人がそう言うのはすごく悔しがってるんだと思いますよ」って。『マリオ』も含めたすべてのアクションゲームをしのぐものにしたいと思っていましたから、本当に嬉しかったですね」
※注 宮本茂...『スーパーマリオブラザーズ』『ぜルダの伝説』『星のカービィ』など、テレビゲーム史に多大な影響を及ぼした大ヒット作を数多く手がけるゲームクリエイター。
世界のミヤモトが評価したというエピソードだけでなく、『ギミック!』以降、他社ゲームに本作で使用されたアイデアが流用されていたことや、動画サイトで見かけた「『ギミック!』に感動して自分もプログラマーになった」という匿名のコメントを見かけたこともうれしかった、と酒井氏は語る。時代の流れに逆らい、信念を貫き通し完成した『ギミック!』と彼の魂は、確実に業界に一石を投じていたのだ。
■攻略するのに年齢は関係ない! 酒井氏の挑戦は続く
『ギミック!』発売後、独立した酒井氏は有限会社エレクトリックシープを設立。さまざまなゲームを開発した後、ゲーム業界からは離れライター、WEBエンジニアとして現在活躍している。また、プライベートでもバス釣り、語学、写真とさまざまな趣味をこなし、数年前からは楽器演奏を始めたそうだ。
「YouTubeを見ていて、作詞作曲と全パートの演奏をひとりでやってみたくなったんです」
その多趣味ぶりに驚かされるが、彼は「多趣味とは違う」と言い切る。
「自分にとってはゲームを攻略するのと同じなんです。ただそれが画面の外にあるだけ。次に挑戦したいことは小説ですね」
インベーダーゲーム時代からの生粋のゲーマーだった彼は、今は「人生」という名のゲームのイベントをひとつひとつ攻略している最中なのだ。
「当時は何でもありの時代でした。例えばアイレムの『スぺランカー』はちょっと落ちただけで死ぬんですが、デザイナーは人が落ちたら死ぬのは当然だと考えていたんでしょう。そういう自由さがあった。ファミコンが出て来たころのゲームは今ほど洗練されていなかったり、粗削りなものが多かったりしたんですが、その瞬間にしか体験できない刺激や毒がありました。どんなジャンルでも、カオスの時代がいちばん面白いですよね。ちょうどそんな時代にゲームに関われて幸せだったと思っています」
酒井氏は、『ギミック!』時代をこう回顧しつつ、最後に「久しぶりに(ゲームの)プログラムをしてもいいかな」とつぶやいた。
誰でも楽しめる、マイルドなゲームがもてはやされる今だからこそ、もう一度酒井氏の手掛ける「ガチ」のゲームで、生きるか死ぬかのスリルを楽しんでみたいものである。
(文=有田俊)



