月別アーカイブ: 2011年3月
勝利を信じて闘い抜け! 困難に立ち向かう不屈の闘志『ザ・ファイター』

『ザ・ファイター』(C)2010 RELATIVITY MEDIA. ALL RIGHTS RESERVED.
東日本大震災の甚大な被害とその影響で、日本中が悲しみと不安に覆われている今日この頃。心の支えになるような何かを映画に求めるとしたら、困難に立ち向かう不屈の闘志だろうか、それとも気持ちやすらぐ癒やしだろうか。
3月26日公開の『ザ・ファイター』は、実在の名ボクサーとその兄を題材にした感動の人間ドラマ。マサチューセッツ州ローウェルに住む元ボクサーのディッキーは、かつてはスター選手とも戦う町の英雄だったが、麻薬に溺れ自堕落な日々を送っている。そんな兄にボクシングを教わったミッキーは、兄がトレーナー、過保護な母親がマネジャーという体制で試合に臨むが、対戦相手に恵まれず一向に勝てない。だが、恋人との出会いと兄の逮捕が転機となり、順調に勝利を重ね、ついには世界タイトルマッチへの挑戦が決まる。そしてちょうどその頃、兄が刑務所から出所する......。
努力家で真面目な弟と、天才肌でお調子者の兄という好対照のふたりを、プロ並みのトレーニングを3年続けて撮影に臨んだマーク・ウォールバーグと、役作りで13キロ減量し髪を抜き歯並びまで変えたクリスチャン・ベールがそれぞれ熱演。ベールと母親役のメリッサ・レオが先月の米アカデミー賞で助演男優賞、助演女優賞をそろって受賞したことも話題となった。
メガホンを取ったのは、『スリー・キングス』のデビッド・O・ラッセル監督。試合のシーンでは、対戦相手に本物のプロボクサーを、撮影にテレビ中継スタッフを起用するこだわりぶり。テレビ画面風の処理を施したショットの挿入も相まって、リング上で実際に行われているファイトを生中継で観戦しているかのような迫力だ。家族と恋人に支えられ、長く苦しい時に耐え、勝利を信じて戦い抜く主人公の姿は、観客の心を振るわせ、明日への活力をもたらしてくれることだろう。
アツイ映画もいいけれど、心を和ませてくれるような作品が見たいという向きには、現在公開中の『ファンタスティック Mr. Fox』がおすすめだ。『チョコレート工場の秘密』で知られるロアルド・ダールの原作小説を、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』のウェス・アンダーソン監督がストップモーション・アニメで映画化した。
野生のキツネMr.Foxは盗みのプロで、農家からニワトリやアヒルを失敬していたが、妻のMrs.Foxの妊娠と、罠にかかり絶体絶命のピンチに陥ったのを機に足を洗う。数年後、妻と息子の3人で穴ぐら生活を送りながら新聞記者として働くMr.Foxは、見晴らしのいい丘に立つ大木の家への引っ越しを決意。しかし丘の向こうには、意地悪な金持ちの農場主3人が住んでいた。泥棒稼業に復活し、人間たちの農場から獲物を盗むことを繰り返すMr.Foxら動物たちと、激怒してキツネを捕獲しようとする人間との穴ほり合戦が始まる。
これまで実写映画でもアンダーソン監督が一貫して表現してきた箱庭的な世界観と、愛らしい動物のパペットを1コマずつ動かして撮影したストップモーション・アニメの相性は抜群。作り手の愛情が伝わってくるパペットの造形と動きは、眺めているだけで自然と笑みがこぼれてしまう。動物対人間の冒険活劇も心躍るが、夫婦愛、親子愛もしっかり描かれており、大人から子どもまで幅広い世代が楽しめる作品だ。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
アメリカに担がれたTPPへの参加と"低い"日本の関税率【前編】
菅直人政権による目玉政策のひとつが、「平成の開国」である。これを実現するためにTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を掲げている同政権だが、決定リミットである6月はもうすぐそこに迫っている。こうした中、大手マスメディアは、参加しない場合、「鎖国状態に戻る」「世界経済に取り残されてしまう」と警鐘を鳴らしているが、京都大学大学院助教の中野剛志氏は、これらの指摘は「冗談としか思えないほど、デタラメだ」と一蹴する。中野氏の言は、一体何を意味しているのだろうか? 数字のトリックに見るTPPの危険性について考えてみたい──。 今月のゲスト 中野剛志[京都大学大学院助教]
神保 今回は、菅直人政権が年頭に掲げた3本柱のひとつ「平成の開国」──その具体的な政策として浮き上がってきたTPP問題を取り上げます。自由貿易や保護貿易について、まず僕たちは、やや先入観で考えてしまっている面があるのではないでしょうか? 宮台 僕は2010年からTPPについて「やむなし」という立場を取ってきました。しかし、データを読み解いていくうちに、考え方を変えなければいけないと思うようになりました。 ひとつのきっかけは、韓国のデータです。確かに韓国は、ダイナミックラム、液晶パネル、携帯電話、リチウムイオン電池でも世界でトップクラスのシェアを獲得しています。こうした韓国企業の躍進は、97年の通貨危機以降、積極的なFTA(自由貿易協定)戦略が行われた結果だとされています。「日本の11カ国と比較して韓国は20カ国と倍規模でFTAを結んでおり、だから日本もFTA戦略を取らないと国際的な市場で韓国に負ける」という経団連的な論調に僕も加担してしまったんです。ところがデータをよく見ると、そういう加担がまずいことがわかってきます。日本は外需依存度が17%ですが、韓国は5割を超え、外需依存度がまったく違います。また韓国のGDPのうち2割弱はサムスン関連で一極集中が起こっています。さらに韓国はFTAに引きずられて唐辛子とニンニク以外の農産物関税を撤廃しましたが、結果、中山間地域にほとんど人が住まなくなってしまった。そもそもTPPにはEUも中国も加盟していない。韓国と機能的に等価なFTA戦略の代わりになりません。TPP参加国の中で、日本にとって重要な貿易相手国はアメリカだけ。こうした材料を並べてみると、TPP加盟のエクスキューズとして使われている「韓国」の持つ意味は変わってくるのではないでしょうか。そのほかにも、10月下旬に北海道新聞を除く全新聞が揃ってTPP賛成の社説を書くなど、官邸や経産省のブリーフィングをリピートしている気配があり、変だと思ううちに、あることを思い出したんです。第二次竹下内閣に起こった、日米構造協議につながる流れのことです。日米構造協議の愚昧を訴えてきた僕が、TPPやむなしというのはあり得ない。TPPに対する立場を一貫することより、日米構造協議的なものに対する立場を一貫することを優先せざるを得ません。 各社の社説が揃う背後にはスポンサーシップを握る経済団体があり、他方に経済団体の所属企業の社員を主要メンバーとする労働組合の支持母体を持つ民主党政権がある。とすると、2009年夏にアメリカが突然TPP参加を表明した意味も浮かび上がってきます。アメリカはたぶん「いけるぞ」と思ったんです。 神保 ゲストは『経済はナショナリズムで動く』(PHP研究所)の著者で、経済産業省から現在京都大学大学院に出向中の中野剛志さんです。今回は中野さんが積極的に発信されている「自由貿易のワナ」について議論したいと考えています。 TPPの正式名称は「Trans-Pacific Partnership」。日本では「環太平洋戦略的経済連携協定」と訳されています。現状では、チリ、ブルネイ、ペルー、ニュージーランドの小さな4カ国だけの自由貿易協定ですが、アメリカが加盟の意思を表明したことによって、日本でも交渉に加わるかが議論されるようになりました。菅政権は「平成の開国」の目玉政策として、これを挙げています。この協定に加盟すると、工業品、農業品、金融サービスなどすべての品目の関税を、原則としてすべて撤廃することになる。また、労働など人の移動についても協議するとのことで、「カネと物と人の移動を自由にする自由貿易協定を多国間で結ぶもの」と説明されています。 日本のライバルである韓国はTPPとは別に、アメリカやEUと個別に自由貿易協定を進めている。それらの国と協定を結んでいない日本は韓国の後塵を拝することになり、これは貿易立国としては由々しき事態だと、マスメディアではこんなふうに説明されていますが、TPP推進論のどこがおかしいのか、説明をお願いします。 中野 10年末以降、各新聞社はTPPのメリットを訴え、また「参加しなければ鎖国状態になる」「世界の孤児になる」と極めて激しい言い方をしていますが、冗談を言っているのかと思うくらいデタラメな話ばかりです。 一例を挙げれば、「TPPに参加することで、日本にアジアの成長を取り込むことができる」という意見。TPPに韓国は入らないし、もちろん中国も入らない。T PPの本質は、参加国のGDP規模を見れば一目瞭然です。アメリカが参加国全体のGDPの69.7%、日本が21.8%──つまり、TPP参加国のGDPの91%を日米が占めており、他国は誤差程度の数字。日本にとって輸出先はアメリカしかなく、アメリカにとっても輸出先は日本しかない。アジアなど、まったく関係ないんです。 神保 要するにTPPは、実質日米二国間のFTAと変わらないということですね。ただ、韓国もアメリカとFTAを結んでいるのだから、日本にとっては日米間のFTAでも意味があるじゃないか......という見方もあるでしょう。
「プレミアサイゾー」で続きを読む
森光子、ドクターストップから1年……気になる"あの疑惑"の真相は
【サイゾーウーマンより】 女優・森光子のドクターストップから1年が過ぎた。上演2,000回を達成した舞台『放浪記』の続投宣言が2009年で、その後2010年2月に主治医の勧めもあり、森は体調不良を理由に静養期間に入っていた。 当時『放浪記』の続投は予定されておらず、森の発言は完全なスタンドプレーだったと一部週刊誌で報じられた。製作の東宝演劇は森に対して引退を望んでいたが、森自身が会見で突然 "生涯現役宣言"を行ったため、関係者一同は仰天していたという内容だった。「採算も取れないし、なによりもう歳だし無理でしょう」という雰囲気のまま引退に持っていかれることが、本人としては許せなかったのだろうか。森光子「人生革命」/ジャニーズ・
エンタテイメント
続きを読む
チャリティーの一方で相次ぐ海外アーティストの来日キャンセル 洋楽業界は存亡の危機

SUMMER SONIC2011公式HPより
海外アーティストの「日本公演」回避の動きが強まっている。ジャネット・ジャクソン、ケシャがそれぞれの来日公演を延期したほか、ニーヨの一部公演も中止。今後も、R&B/ヒップホップ系のイベント「スプリングルーヴ」をはじめ、4月半ばまでの公演の大半がキャンセルされる事態となっている。
「開催中止・延期に際しては、被災地への配慮という理由が掲げられています。しかし一番の理由は、海外アーティストの間で、放射能汚染に対する恐怖心が広がっていることでしょう。菜食主義者でもあるジャネットやケシャは環境保護活動に熱心で、放射能に対する恐れは人一番強いですからね。4月のイベント中止も、電気供給の問題もさることながら、出演予定者からのキャンセル続出が一番の理由だと伝わっています」(レコード会社関係者)
こうした背景には、福島第一原発事故の詳細が海外メディアで大々的に報道されていることもある。その結果、8月に予定されている「サマーソニック」の開催を危ぶむ声も。
「主催のクリエイティブマンプロダクションは『スプリングル―ヴ』『パンクスプリング』の中止で打撃を受けている上に、海外アーティストの日本回避の動きが止まらないのです。今年のサマソニにはレッドホットチリペッパーズやストロークスなどが出演を予定していますが、すべてのアーティストが出演するとは考えにくい。開催にこぎつけたとしても、海外勢の穴を埋めるべく、日本人中心のラインナップが組み直される可能性もあります」(前出の関係者)
一連の動きに対して「日本の洋楽市場にとって存亡の危機」と訴えるのは、ある洋楽担当プロモーターだ。
「ここ数年、『チケットが売れない』『小さい場所でしか出来ないならやっても仕方ない』などの理由で、海外アーティストの"日本飛ばし"が進んでいます。大きな会場を埋められるのはマドンナクラスのビッグアーティストだけで、中堅バンドは本国よりも数段小さな会場でやらざるを得ない状態ですからね。香港公演はあるのに東京公演がないなどのケースも増えており、今回の原発事故をきっかけに、そうした流れが強まることを危惧します」
海外ではU2やリアーナらがチャリティーCDを制作するなど、復興支援の輪が広がっている。洋楽文化の灯を消さないためにも、原発事故が収束に向かい、彼らの来日公演がスムーズに行われるよう期待したい。
(文=外場林太郎)
森光子、ドクターストップから1年……気になる"あの疑惑"の真相は

森光子「人生革命」/ジャニーズ・
エンタテイメント
女優・森光子のドクターストップから1年が過ぎた。上演2,000回を達成した舞台『放浪記』の続投宣言が2009年で、その後2010年2月に主治医の勧めもあり、森は体調不良を理由に静養期間に入っていた。 当時『放浪記』の続投は予定されておらず、森の発言は完全なスタンドプレーだったと一部週刊誌で報じられた。製作の東宝演劇は森に対して引退を望んでいたが、森自身が会見で突然 "生涯現役宣言"を行ったため、関係者一同は仰天していたという内容だった。「採算も取れないし、なによりもう歳だし無理でしょう」という雰囲気のまま引退に持っていかれることが、本人としては許せなかったのだろうか。
アソコに生コンニャクを……夫を勃たせたい、妻のセックス打開術
「性交は男から迫ってくるもの。男は常に女のカラダを狙っている。とにかく自分の身を守れ」という性教育には「結婚相手とする性交だけが、唯一清らかで正しい性交である」という暗示が含まれている。それを信じて生きてきた女たちにとっての「結婚」とは、「性の大解放」の季節である。しかし、鼻息荒くウエディングドレスを脱いだ時、夫の妻に対しての欲情は激減しているのだ。何故? おかしい、こんなハズじゃない......。女はその時初めて知るのである。セックスをさせてもらおうと奮闘する事態が、(女の)自分にも訪れるという現実を――。
妹の代わりとして、ずっと好きだった人と付き合うことに……
【作品名】『妹の恋人~うそつきな唇~』 【作者】桐嶋ショウコ
【作品紹介】 双子の妹・りなの身代わりで別れ話をすることになった私・ゆな。でも妹の彼氏は、私がずっと好きだった総。ついメアド変えたなんて嘘ついて、何度もデートしちゃって...。とうとう初Hの日、直前で拒んだ私に総は「ゆな」って呼びとめてきて――!?
【サイゾーウーマンリコメンド】 入口が妹の彼氏だってだけで、結構な純愛です。一番ひどいのは、どう考えても妹のりなだと思うのですが、みなさんいかがでしょう?
"バカ映画の巨匠"河崎実の逆襲!? 『新・巨人の星』のごとく復活せり

「才能のあるエド・ウッド」を自認する河崎実監督。
中野のバー「ルナベース」は、"ミニロフトプラスワン"として賑わいを見せている。
バカ映画を作り続けて四半世紀。『いかレスラー』(04)、『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(08)など一連のB級作品で知られる"バカ映画の巨匠"河崎実監督。80年代には"萌えカルチャー"を先取りしたSFコメディー『地球防衛少女イコちゃん』(87)シリーズで注目を集め、90年代には元祖人気フードル、可愛手翔をフューチャリングしたセクシー青春ドラマ『飛び出せ!全裸学園』(95)を大ヒットさせた。ゼロ年代に入ると、トルネード・フィルム率いる叶井俊太郎プロデューサーとのタッグで、『コアラ課長』『ヅラ刑事』(06)などの劇場公開作品を次々と発表する快進撃ぶり。『ギララの逆襲』はベネチア映画祭に正式出品され、松竹系で全国公開されている。河崎監督の半生は日本におけるインディペンデント映画の歴史であり、同時にメジャーの壁に果敢に挑む不屈の男の現在進行形のリアルドラマでもある。トルネード・フィルムが倒産した今、バカ映画の巨匠は何を考えているのか? 3Dソフト「ルナベース地球防衛軍女子部 飛び出せ!野球拳3D」を発売するとの知らせを聞き、2月某日、河崎監督が経営する中野のバー「ルナベース」を訪ねた。ハイボールを片手に気持ちよくなった河崎監督は、数々の業界裏話を語ってくれた。
──河崎監督、"実相寺昭雄監督のお宝開帳"以来ご無沙汰しています。昨年オープンした『ルナベース』、中野ブロードウェイから近くて、ステキなお店ですね。
河崎実監督(以下、河崎) 懐かしの特撮ドラマ『謎の円盤UFO』に登場する月面基地をイメージした内装ですよ。いつもなら、『謎の円盤~』のヒロイン、エリス中尉ばりのセクシーコスチュームを着た女性隊員がいるんだけど、まだ出勤前なんで来てないけどね。80インチの大型スクリーンがあるんで、DVDなどの上映ができるんです。イベントデイはけっこう賑わいます。毎週水曜日は中野貴雄監督の『大怪獣サロン』で、毎週木曜がボクがVJを務めている『河崎実ナイト』なんです。"ミニロフトプラスワン"っぽい感じで、楽しく過ごしてますよ。
──トルネード・フィルムが潰れた後、どうしているかと思えば、サブカルの聖地・中野でサバイバルされてたんですね。

河崎実監督の最新作となるゲームソフト「地球
防衛軍女子部 飛び出せ!野球拳3D」。知的
生命体と人類を代表したセクシー女子隊員たち
との激闘が繰り広げられる。
河崎 映画を作っているときも、毎晩のように酒を飲みながら打ち合わせしてたんでね、まぁ、自分専用の打ち合わせスペースを一般開放しているようなもんですよ。業界関係者、特撮ファン、間違えて入ってしまったOLたちを相手に、バカ映像を肴に盛り上がってます。このお店のテナント料ね、中野にしては激安なんです。内装もカウンターも全部手づくり。もともと自主映画やってたから、何でも自分で作っちゃうんです。『パラノーマル・アクティビティ』(07)なんて130万円程度で作ったらしいけど、このお店は敷金と内装費を合わせても同じくらいの金額だよ。まぁ、超低予算映画を一本撮る金額で、代わりにお店を開いたようなもんだね。ボクとしては、『ギララの逆襲』がベネチア映画祭に招待され、全国公開され、映画監督としてぐるっとひと回りして、また自主映画時代に戻ったわけですよ(笑)。
──河崎監督、相変わらずC調で明るいなぁ(笑)。新作ソフト「ルナベース地球防衛軍女子部 飛び出せ!野球拳3D」は、ブームの3Dをしっかり取り入れてますね。
河崎 これはね、SF作家フレドリック・ブラウンの短編小説『闘技場』をモチーフにしたゲームソフト。エイリアンと戦う地球防衛軍の美人隊員たちが野球拳に負けると、一枚ずつコスチュームを脱いでいくという男子なら釘付けになるゲームソフトですよ。特殊ステレオビューアーを輪ゴムを使って、PSPに装着するというところが、ボクらしくて笑えるでしょう? この3D映像はね、パナソニックが開発した業務用一体型3Dカメラを日本で初めて使用したゲームソフトなんです。まぁ、ひとつ楽しんでくださいよ。
■バカ映画に隠された驚愕の事実!
──おぉ、女子隊員がどこまでコスチュームを脱ぐのか気になるじゃないですか! いや、野球拳ゲームは後でじっくり楽しませていただきますが、今日は酒を飲んだ河崎監督がこれまでのバカ映画伝説を無礼講で語るという趣旨なんです。
河崎 ボク自身は過去を振り返らない男なんだけど、日刊サイゾーさんの頼みなら、いいでしょう。まず『地球防衛少女イコちゃん』? ボク自身はオタクじゃないんで"萌え"にはそれほど興味ないんだけど、『イコちゃん』で美少女+コスプレという企画を実写で真っ先にやったわけだよね。前回の取材で、実相寺監督は大変な熟女マニアということを話したけど、ボクはロリコン趣味じゃないからね。美少女よりも、美少女が着た特撮コスチュームが好きなんです(笑)。真性ロリコンの映画監督もいるけど、ボクは違うからね!
──どうりで「ルナベース」に勤務する女子隊員たちのコスチュームも凝ってるんですね。ヒット作『飛び出せ!全裸学園』はフードルの先駆者・可愛手翔を、河崎監督がみずからスカウトしたそうですね?

ルナベースで行なわれた「飛び出せ!野球拳
3D」の発表会見。女子隊員たちがコスチューム
を脱ぎ捨てる姿は、知的生命体ならずとも必見だ。
河崎 「『ビデオ安売王』が1億円で100本のビデオ作品を作るというプロジェクトの一環だったんです。テリー伊藤さんの紹介でボクもそのプロジェクトに参加し、『全裸学園』をプレゼンしたところ、いちばんウケたんですよ。高橋がなりさんがSODで『全裸』シリーズをヒットさせましたが、あのシリーズはボクの作品からインスパイアされたものなんです(笑)。ヒロインを演じた可愛手翔はね、あの頃は今みたいに風俗情報誌がなかったんで、見つけるのが大変でした。高田馬場に行列のできるファッションヘルスがあると聞き、ボクも行列に並んだ末に彼女に会って、「Vシネ、出ない?」と直接交渉しましたね。今考えると、人気風俗嬢に直接話を持ちかけるなんて、ボクも無謀でした(苦笑)。バックに怖い人がいなくて良かった!
──面白い作品を作るために、後先を考えないところが素晴らしいです。そして、フジテレビ系の月9『東京ラブ・シネマ』(03)のモデルとなった映画界の名物男・叶井俊太郎プロデューサーとタッグ結成。
河崎 叶井はその頃、イギリス映画『えびボクサー』(02)を日本でヒットさせていて、「えびがボクシングするなら、いかがプロレスしてもいいじゃないか」とボクから『いかレスラー』の企画を売り込みに行ったんです。叶井とは4年間に合計6本も劇場作品を公開することができました。6本のバカ映画は、どれもボクからの企画でしたが、彼はあの気取った顔で「いいっすね。やりましょう」といつも2秒で即答してくれたんです(笑)。ボクにとっては、実にいいプロデューサーでしたよ。
──叶井俊太郎プロデューサーが2005年に設立したトルネード・フィルムは、3億円の負債を抱えて2010年に倒産。一部では『ギララの逆襲』を調子に乗って全国公開したのが原因だと言われましたが......。
河崎 いやいや、『ギララの逆襲』はね、トルネードと共同配給した松竹の重役が「これは当たる!」と言い出して、宣伝費に数千万円も掛けちゃったんですよ。そうなると、もう誰も止められないわけです。それまでボクの劇場作品は単館公開だったのに、いきなり全国公開になっちゃった(笑)。若大将じゃないけど、「いやぁ、参ったなぁ」ですよ。その重役、もう松竹にいませんけどね(苦笑)。それにトルネード・フィルムが潰れたのは、『ギララの逆襲』だけのせいじゃないから。『いかレスラー』『日本以外全部沈没』『ヅラ刑事』は当たったんで、ボクの作品は勝率としては五分五分。それに『ギララ』は最近になって欧米で売れて、iTunesで配信されています。トルネードはねぇ、ボク以外の作品がこけたのが大きかったんですよ。そこは誤解なきよう、頼みますよ。
■『あしたのジョー』より『新・巨人の星』
ルナベースの美人女子隊員が到着して、酒の量が増す河崎監督と取材スタッフ。お店は、図らずしも貸し切り状態。ここから、いよいよ蔵出しトークが始まった。
河崎 『日本以外全部沈没』はね、原作者の筒井康隆先生からOKもらっただけじゃなくて、樋口真嗣監督がリメイクした『日本沈没』(06)の原作者・小松左京先生からもちゃんとOKをもらった上で製作したんです。それでボクが映画化権をもっていることが業界で広まり、イケメンアイドルを多数抱えるあの大手芸能事務所から、『日本以外全部沈没』に出資したい、国民的アイドルグループから誰か出してもいいという電話が掛かってきたんです。この話、本当はNGなんだけど、まぁ、どうせバカ映画ばかり撮ってる監督の発言は誰も信じないから、話しましょう(笑)。確かに国民的アイドルが出演すれば、もっと話題になったし、大ヒットしたでしょう。でも、ボクはこの話を断りました。いろいろと規制が多くなり、ボクが撮りたいような作品にならないわけです。『日本以外全部沈没』では金日成のそっくりさんを出演させましたが、そーゆーアブないネタ、バカなネタは全部できなくなっちゃう。それじゃ、ボクが撮る意味がありません。メジャーに魂は売りたくないんですよ。
──河崎作品はC調に見えますが、実は体を張って映画を作ってきたんですねぇ。今、そのインディペンデントシーンは厳しい状況です。

ルナベースを拠点に、新企画を進行させている
河崎監督。『新・巨人の星』の星飛雄馬のような
ミラクル復活劇を果たすに違いない。
河崎 厳しいね。映画界はテレビ局が出資する10億円規模の映画と、若い監督に100万円程度で撮らせる激安インディペンデント映画に二極化してるよね。ボクみたいな中間層がなくなっちゃったね。ボクの作品を上映してくれていた「シネセゾン渋谷」も2月で閉館しちゃったしね。
──最近では、園子温監督や井口昇監督のようなエッジを効かせたバイオレンス映画が人気を呼んでいます。そのへんは、どう見てますか?
河崎 井口監督の『片腕マシンガール』(07)、当たったらしいね。いいと思いますよ。でも、ボク自身は残酷映画を撮ろうとは思わない。河崎作品は、ゆるい世界なんでね。そこは曲げるつもりはありません。まぁ、学生時代の8ミリフィルムに始まって、オリジナルビデオ、テレビドラマ、劇場映画、それにゲームと、河崎作品はフォーマットにはこだわってません。DVDが売れなくなったことから、製作費を回収できず映画業界は苦しくなったわけだけど、その問題をクリアする秘策の目処はついています。いろいろ企画を準備しているところですよ。実は実写版『タイガーマスク』の企画も進めていたんです。ボクは特撮マニアと思われているけど、梶原一騎作品の大ファンでもあるんです。でも、これは出資者が集まらなくてね。今、公開してれば、ブームに便乗できたのにさ(笑)。
──梶原一騎と言えば、『あしたのジョー』が実写化されました。原作ファンとしは複雑な気分です。
河崎 うん、やっぱり『あしたのジョー』は梶原作品の中で、いちばん人気あるからね。とりわけ、全共闘世代の人たちに人気なんですよ。『タイガーマスク』のラストはすごく格好悪いし、『巨人の星』の星飛雄馬は肩を壊して、その後も栄光を引きずって生きながらえていく。ボクにすれば、そこがいいんですけどね。それに比べて『あしたのジョー』の矢吹丈は真っ白い灰になって幕を閉じるという美しい終わり方なんで、全共闘世代の人たちはそういう死に様に憧れたんですよ。その点、今のボクは『新・巨人の星』の星飛雄馬の心境ですね。『ギララの逆襲』でベネチア映画祭に呼ばれ、全国公開され、映画監督としてほんの一瞬でしたが、栄光に触れることができたわけですよ(笑)。『新・巨人の星』の飛雄馬が左投手ではなく、右投手として巨人軍にカムバックしたように、ボクも奇想天外なアイデアで復活してみせますよ。まぁ、大リーグボールのようなユニークな企画をいろいろと進めているところなんで、野球拳ゲームしながら楽しみに待っててください。
夜も更け、さらにぶっちゃけトークは続いた。ベネチア映画祭で日本からの招待枠を『ギララの逆襲』と争ったのが『おくりびと』(08)で、映画祭ディレクターの"『ギララ』の方が明るい"という判断から河崎監督がベネチアに呼ばれたそうだ。その結果、『おくりびと』はモントリオール映画祭に回り、北米の人たちの目に触れ、さらにはアカデミー賞外国語映画賞受賞の快挙につながったという不思議な巡り合わせがあったのだった。「映画というのは、大勢の人の想いが結実して形になるものだから、ときどき不思議な力を発揮するんですよ」と河崎監督はこのときだけは真顔で語るのだった。新しく注がれたハイボールの炭酸の泡が弾ける音の狭間に、バカ映画に情熱を賭ける男の情念がほとばしった。
(取材・文=長野辰次)
●Barルナベース
住所/東京都中野区新井1-14-16 ライオンズマンション中野第5B?101
営業時間/夜8:00~12:00 電話/03-5318-9980 貸し切りパーティーや1日カフェ&バーのオーナーとしての利用も可能。<http://luna-base.net>
●かわさき・みのる
1958年東京都出身。『フウト』『エスパレイザー』などの特撮映画を自主製作して名を馳せ、オリジナルビデオ『地球防衛少女イコちゃん』(87)で商業監督デビュー。青春ドラマとエロスを融合させた『飛び出せ!全裸学園』(95)は「ビデオ安売王」の大ヒット商品に。叶井俊太郎とのタッグで『いかレスラー』(04)を劇場公開。以後、『コアラ課長』『日本以外全部沈没』『ヅラ刑事』(いずれも06)、『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(08)と叶井とのタッグが続いた。中でも欧州で人気の高い北野武監督をキャラクター&ボイスキャストとして起用した『ギララの逆襲』は、"インディペンデント映画として、最大限のメジャー的展開を成し遂げた作品"と河崎監督は位置づけ、同じことの繰り返しはやりたくないと語っている。『ヅラ刑事 頭上最大の作戦』(07)がフジテレビ系で放映されるなど、TVドラマでもすちゃらかぶりを発揮。その他、永井豪原作の人気キャラクターを対決させた『まぼろしパンティVSへんちんポコイダー』(04)、中川翔子をヒロインに迎えた『兜王ビートル』(05)、河崎監督自身が主演するライフワーク的作品『電エース』シリーズなどがある。『ウルトラマンはなぜシュワッチ!と叫ぶのか?』(角川書店)、『「巨人の星」の謎』(宝島社)、『タイガーマスクに土下座しろ!』(風塵社)など著書も多い。現在は新作の企画を練る傍ら、中野のバー「ルナベース」を経営。
<http://www.ponycanyon.co.jp/ikochan>
あのギャグさえなければ…… 芸能界から消えたあの芸人

楽しんご公式ブログより
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎奇跡的なシンクロ
震災前はあれだけテレビに出ずっぱりだった楽しんご。しかし平常運転になりつつあるバラエティ番組で、あまり彼の姿を見かけない。見かけても例の持ちギャグをやってない。いまだ原発問題が終息しない中、「注入~」はいくらなんでもアウトだもんな。飽きられて世から去る一発屋芸人は数多見て来たが、原発を理由に消える芸人というのは初めて見た。これが最初で最後であることをただただ祈る。



