ホラー少女が鈍感力でライバルをなぎ倒す~椎名軽穂『君に届け』~

kiminitodoke.jpg
『君に届け12』(集英社)
マンガ評論家・永山薫のコミックレビュー。連載第1回は花沢健吾『アイアムアヒーロー』です!  女子中高生を中心に女性読者のハートをワシ掴みにしちゃってるのが椎名軽穂の『君に届け』(『別冊マーガレット』連載中/集英社)だ。アニメ化もされたし、映画化にもなった。単行本も確実に売れている。J-BOOKSの週単位ベスト30によれば、最新の第12巻は9月27日初登場1位。恐ろしいことにその後、11月1日集計分までの連続6週にわたってベスト30位圏内をキープしているのだ。ちなみに、ほとんどのベスト30登場コミックスは2~3週で圏外に落ちている。累計1400万部。一巻あたり100万部超。総売上54億6,000万円。メディアミックス効果があるとはいえ、ここまで売れてるとは思ってもみなかった。  昔ほどではないにせよ、マッチョな野郎共にとって少女漫画はちょっと敷居が高い。しかもそれが、この『君に届け』みたいにド直球な学園ラブストーリーだとさらにハードルが高くなる。でもコレは読んでおいて損のない秀作だ。  物語そのものはド定番。主役の彼女と彼が互いに一目惚れしてるのに、そうとは気づかず、微妙にすれ違い、ライバルの妨害、周囲の応援等々もあって、徐々に近づいていくというオハナシ。......と書くと全く新味がないのにもかかわらず、実際に読むとハマる。ほのぼの、ニコニコ、ハラハラ、ドキドキと読ませる読ませる。二人が急接近して互いの想いを確認するシークエンスでは思わず目頭が熱くなってしまいましたよ。いやはや年取って涙腺緩くなったのか? 俺もヤキが回ったもんだぜと思ってたら、知り合いのいい歳したオッサ......、いやオジサマ、お姉様方の多くが「泣いた」というのだからタダゴトではない。  とにかく、椎名軽穂は上手い。少女漫画ラブストーリーの王道、つまり一つ間違うと、アリキタリで陳腐な凡作になりかねない路線を極上の作品に仕上げてしまった。そのカギはまず、キャラクター造型の見事さだろう。ヒロインの黒沼爽子から破格としかいいようがない。なにしろ第1巻の帯に 「史上最もダークな見た目、だけどピュアホワイツな少女まんがヒロイン」  とワザワザ明記されちゃうくらい圧倒的な存在感なのだ。容貌は普通だが、前髪パッツンのストレート黒髪ロン毛で、下三白眼の恨みがましい目つき。はっきり言って暗い。下手にちょっかい出したら、呪われそうなくらい暗い。これで鉄球でも振り回したら、まんまゴーゴー夕張@『キル・ビル』(栗山千明)だぜというくらいダークでコワイ。小学校以来の仇名が「貞子」である。連載第一回目の登場シーンなんか、ほとんどホラーコミックだ。この外見だけでもヤバイのに、コミュニケーション・スキルが超低レベル。孤立して当たり前である。横並びがデフォルトで、目立ちすぎると敬遠あるいは排斥されるのがニッポンのコミュニティーのオヤクソク。おかげさまで貞子には「霊感がある」「1日3回、目が合ったら不幸に襲われる」という噂が飛び交う始末。  なんで、こんな子がヒロイン? と男読者は思う。やっぱヒロインは美少女でないとね。男性向けなら確かにそうだ。しかし少女漫画のヒロイン像は美醜ではなく、その存在が読者から愛されるかどうかがポイント。特に中高生向けはそうだろう。読者だけには爽子の内面の愛らしさが見えている。内気で純情で、みんなと友達になりたがってる不器用な子だと分かっている。第1巻の帯には「いっしょに応援したくなる」とあるが、その通りだろう。読者よりも「ちょっと不器用」で「ちょっとダメ」な子。でも、爽子の抱える問題は、実は女子の多くが、いや人間なら誰しもが抱えている問題だ。爽子は誰の中にもいる。  爽子ほど不器用な人間は、そうそういないだろう。両親とは仲がいい。いや、ほとんど溺愛されている。この居心地の良さが、外部のセカイとの接触を阻害しているのかもしれない。にもかかわらず、ヒキコモリになることもなく、爽子は前向きにセカイの扉を開こうとする。現実にはなかなかそうはできないと思うのだが、そのけなげさが共感を呼ぶ。そしてそこには「努力しない限り、コミュニケーションは成り立たない」という明確でド直球なメッセージが込められているわけだ。  とはいえ、個人の努力だけではコミュニケーション・スキルのレベルアップは困難だ。そこに登場するサポーターが、こんなヤツいねーよ(けどいたらいーな)的なサワヤカ君の風早翔太であり、翔太の友人である野球少年の龍であり、爽子と机を並べることになるサバサバした男っぽい性格の千鶴とギャルのあやねだ。翔太は別格の王子様で誰にでも親切だから当然といえば当然なれど、サバサバ系&ギャルの迷コンビはクラスの女子コミュニティーから半分浮いているという意味で爽子とカテゴリは違うものの「同類」なのである。このあたり、都合のイイ設定なわけだが、そこはそれも含んだファンタジーなので、突っ込むのは不粋というもの。面白いのはこのサポーターズにも、それぞれ「想いが上手く伝わらない」あるいは「伝えるべきではない」といった「想い」を抱えている点。オールマイティに見える翔太ですら、爽子への恋愛感情が上手く伝えられなくてジタバタしているのだ。  本人が前向きでサポーターがいれば、なんとかなりそうだが、それだけじゃドラマにならない。ちゃんと敵役も登場する。具体的な形では、お人形のように愛らしいが腹黒なくらい恋に前向きな胡桃沢梅だし、女子コミュニティーにありがちな同調圧力、嫉妬だったりする。本作が上手いのは、そうした加害者側の心理(これもコミュニケーション不全の一形態)をも押さえている点。さらに注目すべきは爽子自身の持つ「鈍感力」だ。もちろん時には傷つくし、悩みもするが、傷つきすぎないし、悩みすぎない。周囲のイジメに近い扱いも、意地悪も、嫌味も、爽子の核心にまでその刃を届かせることができない。この鈍感力はコミュニケーション不全と裏腹な関係にあるのだろうが、基本的にお人好しなのである。爽子の鈍感力と天然力によって、コミュニケーション能力が遥かに高い敵役はぶっ飛ばされて、なぎ倒され、より深く傷ついてしまうのだ。  この物語は、ラブロマンスであると同時に、コミュニケーション不全というハンデを負った女の子が、周囲のサポートもあって、徐々にコミュニケーション・スキルを身につけていき、それによって世界が拡がっていくという『奇跡の人』的な障碍克服物語であり、『電車男』的なコミュニケーションのドラマとして読むこともできる。つまり、スポ根漫画で泣けるオッサン、育成ゲームにワクワクしたゲーマーならば間違いなくハマる! (文=永山薫) ●永山薫(ながやま・かおる) 1954年、大阪府大東市出身。80年代初期から、エロ雑誌、サブカル誌を中心にライター、作家、漫画原作者、評論家、編集者として活動。1987年、福本義裕名義で書き下ろした長編評論『殺人者の科学』(作品社)で注目を集める。漫画評論家としてはエロ漫画の歴史と内実に切り込んだ『エロマンガ・スタディーズ』(イースト・プレス)、漫画界の現状を取材した『マンガ論争勃発』シリーズ(昼間たかしとの共編著・マイクロマガジン)、『マンガ論争3.0』(n3o)などの著作がある。
君に届け 12 こんなにいい子なんていないけど。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 いっそゾンビな世の中に──花沢健吾『アイアムアヒーロー』 『バクマン。』が示す「友情・努力・勝利」の変化とは? 非モテもイケメンもごちゃごちゃ言わずに『モテキ』を読め!

ホラー少女が鈍感力でライバルをなぎ倒す~椎名軽穂『君に届け』~

kiminitodoke.jpg
『君に届け12』(集英社)
マンガ評論家・永山薫のコミックレビュー。連載第2回は椎名軽穂『君に届け』です!  女子中高生を中心に女性読者のハートをワシ掴みにしちゃってるのが椎名軽穂の『君に届け』(『別冊マーガレット』連載中/集英社)だ。アニメ化もされたし、映画化にもなった。単行本も確実に売れている。J-BOOKSの週単位ベスト30によれば、最新の第12巻は9月27日初登場1位。恐ろしいことにその後、11月1日集計分までの連続6週にわたってベスト30位圏内をキープしているのだ。ちなみに、ほとんどのベスト30登場コミックスは2~3週で圏外に落ちている。累計1400万部。一巻あたり100万部超。総売上54億6,000万円。メディアミックス効果があるとはいえ、ここまで売れてるとは思ってもみなかった。  昔ほどではないにせよ、マッチョな野郎共にとって少女漫画はちょっと敷居が高い。しかもそれが、この『君に届け』みたいにド直球な学園ラブストーリーだとさらにハードルが高くなる。でもコレは読んでおいて損のない秀作だ。  物語そのものはド定番。主役の彼女と彼が互いに一目惚れしてるのに、そうとは気づかず、微妙にすれ違い、ライバルの妨害、周囲の応援等々もあって、徐々に近づいていくというオハナシ。......と書くと全く新味がないのにもかかわらず、実際に読むとハマる。ほのぼの、ニコニコ、ハラハラ、ドキドキと読ませる読ませる。二人が急接近して互いの想いを確認するシークエンスでは思わず目頭が熱くなってしまいましたよ。いやはや年取って涙腺緩くなったのか? 俺もヤキが回ったもんだぜと思ってたら、知り合いのいい歳したオッサ......、いやオジサマ、お姉様方の多くが「泣いた」というのだからタダゴトではない。  とにかく、椎名軽穂は上手い。少女漫画ラブストーリーの王道、つまり一つ間違うと、アリキタリで陳腐な凡作になりかねない路線を極上の作品に仕上げてしまった。そのカギはまず、キャラクター造型の見事さだろう。ヒロインの黒沼爽子から破格としかいいようがない。なにしろ第1巻の帯に 「史上最もダークな見た目、だけどピュアホワイツな少女まんがヒロイン」  とワザワザ明記されちゃうくらい圧倒的な存在感なのだ。容貌は普通だが、前髪パッツンのストレート黒髪ロン毛で、下三白眼の恨みがましい目つき。はっきり言って暗い。下手にちょっかい出したら、呪われそうなくらい暗い。これで鉄球でも振り回したら、まんまゴーゴー夕張@『キル・ビル』(栗山千明)だぜというくらいダークでコワイ。小学校以来の仇名が「貞子」である。連載第一回目の登場シーンなんか、ほとんどホラーコミックだ。この外見だけでもヤバイのに、コミュニケーション・スキルが超低レベル。孤立して当たり前である。横並びがデフォルトで、目立ちすぎると敬遠あるいは排斥されるのがニッポンのコミュニティーのオヤクソク。おかげさまで貞子には「霊感がある」「1日3回、目が合ったら不幸に襲われる」という噂が飛び交う始末。  なんで、こんな子がヒロイン? と男読者は思う。やっぱヒロインは美少女でないとね。男性向けなら確かにそうだ。しかし少女漫画のヒロイン像は美醜ではなく、その存在が読者から愛されるかどうかがポイント。特に中高生向けはそうだろう。読者だけには爽子の内面の愛らしさが見えている。内気で純情で、みんなと友達になりたがってる不器用な子だと分かっている。第1巻の帯には「いっしょに応援したくなる」とあるが、その通りだろう。読者よりも「ちょっと不器用」で「ちょっとダメ」な子。でも、爽子の抱える問題は、実は女子の多くが、いや人間なら誰しもが抱えている問題だ。爽子は誰の中にもいる。  爽子ほど不器用な人間は、そうそういないだろう。両親とは仲がいい。いや、ほとんど溺愛されている。この居心地の良さが、外部のセカイとの接触を阻害しているのかもしれない。にもかかわらず、ヒキコモリになることもなく、爽子は前向きにセカイの扉を開こうとする。現実にはなかなかそうはできないと思うのだが、そのけなげさが共感を呼ぶ。そしてそこには「努力しない限り、コミュニケーションは成り立たない」という明確でド直球なメッセージが込められているわけだ。  とはいえ、個人の努力だけではコミュニケーション・スキルのレベルアップは困難だ。そこに登場するサポーターが、こんなヤツいねーよ(けどいたらいーな)的なサワヤカ君の風早翔太であり、翔太の友人である野球少年の龍であり、爽子と机を並べることになるサバサバした男っぽい性格の千鶴とギャルのあやねだ。翔太は別格の王子様で誰にでも親切だから当然といえば当然なれど、サバサバ系&ギャルの迷コンビはクラスの女子コミュニティーから半分浮いているという意味で爽子とカテゴリは違うものの「同類」なのである。このあたり、都合のイイ設定なわけだが、そこはそれも含んだファンタジーなので、突っ込むのは不粋というもの。面白いのはこのサポーターズにも、それぞれ「想いが上手く伝わらない」あるいは「伝えるべきではない」といった「想い」を抱えている点。オールマイティに見える翔太ですら、爽子への恋愛感情が上手く伝えられなくてジタバタしているのだ。  本人が前向きでサポーターがいれば、なんとかなりそうだが、それだけじゃドラマにならない。ちゃんと敵役も登場する。具体的な形では、お人形のように愛らしいが腹黒なくらい恋に前向きな胡桃沢梅だし、女子コミュニティーにありがちな同調圧力、嫉妬だったりする。本作が上手いのは、そうした加害者側の心理(これもコミュニケーション不全の一形態)をも押さえている点。さらに注目すべきは爽子自身の持つ「鈍感力」だ。もちろん時には傷つくし、悩みもするが、傷つきすぎないし、悩みすぎない。周囲のイジメに近い扱いも、意地悪も、嫌味も、爽子の核心にまでその刃を届かせることができない。この鈍感力はコミュニケーション不全と裏腹な関係にあるのだろうが、基本的にお人好しなのである。爽子の鈍感力と天然力によって、コミュニケーション能力が遥かに高い敵役はぶっ飛ばされて、なぎ倒され、より深く傷ついてしまうのだ。  この物語は、ラブロマンスであると同時に、コミュニケーション不全というハンデを負った女の子が、周囲のサポートもあって、徐々にコミュニケーション・スキルを身につけていき、それによって世界が拡がっていくという『奇跡の人』的な障碍克服物語であり、『電車男』的なコミュニケーションのドラマとして読むこともできる。つまり、スポ根漫画で泣けるオッサン、育成ゲームにワクワクしたゲーマーならば間違いなくハマる! (文=永山薫) ●永山薫(ながやま・かおる) 1954年、大阪府大東市出身。80年代初期から、エロ雑誌、サブカル誌を中心にライター、作家、漫画原作者、評論家、編集者として活動。1987年、福本義裕名義で書き下ろした長編評論『殺人者の科学』(作品社)で注目を集める。漫画評論家としてはエロ漫画の歴史と内実に切り込んだ『エロマンガ・スタディーズ』(イースト・プレス)、漫画界の現状を取材した『マンガ論争勃発』シリーズ(昼間たかしとの共編著・マイクロマガジン)、『マンガ論争3.0』(n3o)などの著作がある。
君に届け 12 こんなにいい子なんていないけど。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 いっそゾンビな世の中に──花沢健吾『アイアムアヒーロー』 『バクマン。』が示す「友情・努力・勝利」の変化とは? 非モテもイケメンもごちゃごちゃ言わずに『モテキ』を読め!

差し押さえ予告

まだ上海にいる時、日本からメールがきた。「税務署から差し押さえ予告みたいのが来てる」初めての事なのでみんな不安になっている様子なので、なるべく早く帰国して一番に片付ける事を伝える。しかし、何にも資産が無いけど何を持って行くのだろうか? 帰国後、会計士のところへ行き相談すると、まだ予告なので、何を持っていくかはまだ先の話だという。ところで、差し押さえの理由だが・・・

[秘蔵写真]高田純次ギャラリーvol.1

「ちょうどボクの年代の人の話だったので、非常にうれしかったです」63歳にして映画に初主演した高田純次が神田明神にて映画『ホームカミング』のヒット祈願&セカンドライフ応援団隊長就任式を行った!高田と言えば、平成の無責任男と言われながらも、年齢性別問わず愛されるキャラクターで、知名度や人気のワリにアンチが少ない希有なタレント。芸能界にも高田をリスペクトする声は多い。そんな高田が・・・

上海火災もう一つの物語

11月15日午後 火災発生時、一匹の犬がずっと燃えるビルを見ていた この犬の名前は晶晶(ジンジン) この晶晶は、消防隊に保護されても現場を離れようとしない 晶晶は落ち込んだまま、何も食べず、何も飲もうとせず、ただひたすら主人の戻ってくるのを待っていた このことがインターネットで報道された 17日午後、主人が晶晶のことを知り、迎えに現れると、晶晶は飛び上がって喜び・・・

戦場カメラマン渡部陽一、独特の話し方の秘密が判明

今やテレビで見かけない日はないほど多くの番組に出演する、戦場カメラマンの渡部陽一氏。その独特のゆっくりとした話し方で、一躍時の人となった。2010年11月12日に放映されたTBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ」では、普段から本当にこのような話し方をするのかという疑問が提起された。その一つの証拠として挙げられたのは、イラクでフセイン大統領(当時)が拘束された後、現地の様子を渡部氏が・・・

競馬に八百長はない!(広告)

競馬八百長。相撲やプロレスと並んでその存在の有無が話題になる。ここであえて明言しよう。競馬に八百長は無い!! ただ、あるのはクラス移動の時期になって、各陣営で行われる様々な駆け引きだけだ。なぜ駆け引きが?? それは「上のクラスにいる馬が降格してくる前に、今のクラスで弱い相手に勝ち上がっておこう」とか、「今のクラスからいきなり上のクラスへ行くよりも、降格してから上がった方が・・・

ジャニーズ崩壊の序章!? 国税が次々とメスを……

janisan02.jpg
ジャニーさん、「YOU、脱税ダメだ
よ」って言ってやってよ!
【サイゾーウーマンより】  ジャニーズタレントのファンクラブ会報やチラシ、コンサート案内などの出版企画業務を一手に引き受けていた印刷会社が、脱税の疑いで東京地検に告発されたことが18日に明らかになった。告発されたのはショウビ企画ほか3社と、ショウビ企画の青木俊夫社長、出越一敏取締役の2名。青木氏は元会計事務所職員だった出越氏を指南役に、ダミー会社(昌美印刷、エイ・オー・プロジェクト。共にすでに解散)などに架空の外注費を計上する手法で計画的に利益を圧縮し、約4年間で約3億8,000万円の所得隠しを行なったと見られている。
続きを読む

ジャニーズ崩壊の序章!? 国税が次々とメスを……

janisan02.jpg
ジャニーさん、「YOU、脱税ダメだ
よ」って言ってやってよ!

 ジャニーズタレントのファンクラブ会報やチラシ、コンサート案内などの出版企画業務を一手に引き受けていた印刷会社が、脱税の疑いで東京地検に告発されたことが18日に明らかになった。告発されたのはショウビ企画ほか3社と、ショウビ企画の青木俊夫社長、出越一敏取締役の2名。青木氏は元会計事務所職員だった出越氏を指南役に、ダミー会社(昌美印刷、エイ・オー・プロジェクト。共にすでに解散)などに架空の外注費を計上する手法で計画的に利益を圧縮し、約4年間で約3億8,000万円の所得隠しを行なったと見られている。

『ラブひな』赤松健が漫画無料公開 絶版マンガ図書館構想を佐藤秀峰も応援

20101118015716.jpg
公式ブログ「(株)Jコミの中の人」より
 出版業界は大手10社中8社が減収、2社が赤字という出版不況と、電子書籍リーダーの誕生により、一大パラダイムシフトを迎えている。そんな中、『ラブひな』『魔法先生ネギま!』で知られる漫画家・赤松健が、作者の許諾を得て絶版漫画を無料公開し、その広告収益を作者に還元する新サービス「Jコミ」を立ち上げた。同サービスのブログで次のように明かした。  「スキャンされた漫画を収集し、作者の許諾を得て無料公開する。その漫画の中に、広告を入れる。そして、その広告料は作者にお渡しする......と。この方式なら、読者は、合法的に、しかも無料で漫画を読めちゃう。ダウンロードした作品を、お友達にあげちゃってもOK。中に入っている広告がクリックされればされるほど、作者にお金が入る。巻末にアフィリエイトのページを付けて、その作者の新作が買えるようにすれば、新作のプロモーションにもなる。もちろん、そのアフィリエイト料も、作者に行くようにする」  作者の許諾を得て、漫画をスキャンした画像をアップロードし、広告付きで公開することで、"絶版マンガ図書館"を構築。許諾を得た作品限定のため、動画投稿サイト・ニコニコ動画やYouTubeのように、ユーザーもアップロードに参加し、ラインナップの増強を図るプランだ。単行本にならなかった漫画や、単行本未収録の作品なども揃えていく予定。赤松の『ラブひな』全14巻を11月26日から公開し、ダウンロード数、クリック数を調査する。  絶版となった作品は、中古書店などで取引されても、当然作者に利益が還元されるわけではない。だが、広告を付けて読者に公開することで、その広告収入を作者に還元し、赤松は1円も利用料は取らないという。還元される金額は、複数のネット広告業者に相談したところ、「全ての広告ページが5,000クリックあるのなら、広告1ページに対し、10~30万円くらいで販売できるかもしれないそうです。そうなると、1作品(1巻)約70~80万円くらいに」と明かしている。読者、作者、双方にWIN-WINなサービスと言えるだろう。  漫画の無料公開と言えば、『ブラックジャックによろしく』『海猿』の漫画家・佐藤秀峰が9月に、自ら手がけるオンラインコミックサイト「漫画 on Web」で、『海猿』を無料公開。当初、1カ月間の予定だったが、現在も公開を続けている。同サイトによると、公開時から数十億規模のページビューとなり、10月の売り上げは100万円程度となったことを明かしている。さらに、「週刊漫画TIMES」(芳文社)に連載を再開させた『特攻の島』の第1巻のほか、『ブラックジャックによろしく』も無料公開し、同作はユーザーに英訳してもらう"『ブラックジャックによろしく』英訳プロジェクト"をニコニコ動画の画像版であるニコニコ静画で行っている。意欲的な挑戦を続ける佐藤は赤松の「Jコミ」について、Twitterで次のようにサポートを宣言した。 「赤松さんの件は、頑張って欲しいし、僕の作品でよければ、zipでデータを提供しても構わないですけど、あれですね。まず、サーバをどうするのか心配ですね」  自らデータを提供を辞さないことを告げ、膨大なアクセス数が予測されるサイトのサーバーが懸念材料になることを指摘した佐藤。やはり、この点がサイト運営の一番の肝となるようだ。これらのトライアルの背景には、P2Pなどによる、世界的な漫画の違法配信に苦慮し、アクションを起こした面もある。11月12日に開催されたイベント「電子書籍・コミックサミット in 秋葉原」では、集英社の鳥嶋和彦専務取締役が出版社37社が共同して、北米の漫画ファンに向けた総合ポータルサイト「Jマンガポータルサイト(仮称)」の設立を宣言。出版社側も配信への対応を行っている。過渡期を迎える出版業界が、今後どのように収益を確保していくのか、注目だ。
ラブひな(1) デンシコミックキテマス。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 佐藤秀峰が漫画『海猿』全話を無料公開 漫画界の新たなスタンダートとなるか? 「マンガを正当なビジネスにしたい」マンガ家・佐藤秀峰 爆弾発言の裏にある思い(前編) 電子書籍なのに手売り販売? ウワサの「電書フリマ」で電子書籍の最前線を体験レポート