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堀江 僕は、別に安心とかはないと思うんですよ。何をそんなに恐れるの? 自分だって消えてなくなってしまうんだから、それを考えれば自分が所有しているものなんて、何も意味が無いと思っています。だから、僕は、データが無くなるとか、どうでもいいんですよね。
──そういう考え方が出来ると、例えば自分が急死した後なんか、PCの中のあれを見られたらマズイ! とか、ベッドの下だけは漁らないでくれ! とか、そういう心配はなくなりそうですね。
堀江 それがやっぱり終わっているって話じゃないですか。そこがまず問題だと思うんですよ。死んだ後のことなんか知ったこっちゃねーだろーって話じゃないですか。そんなこと言ったら、自分がいないところで悪口を言われるのが怖いとか、そういう話になってくるでしょ。そういうところあるでしょ?
──あ、それ、あります。何人かでいる時に「何か言われるんじゃ......」って思って、一人でトイレに立つのが怖かったり。
堀江 それは、違うんですよ。自分が知らないことは存在しないのと一緒なんですよ。不確定性原理です。
──ふかくていせいげんり?
堀江 物理学の法則であるんですよ。世の中には観測できないものがあって、すごい物理の話になるんですけど、物質を構成する分子ってのがあって、それよりもうちょっと小さい単位で原子っていうのがあるんです。例えば水素原子っていうのは、陽子、原子核っていうのの周りを電子がひとつ回っていると、習ったことがありますか? 化学の授業とかで。
──習った、という記憶だけあります......。
堀江 なんか地球みたいなのが丸の周りを衛星みたいに回っていて、ヘリウムだと2つ回っています、とか、あるじゃないですか。あれ、ああやって習うと高校生くらいまでは地球の周りを月が回るように、電子が原子核の周りをぐるぐる回っているようにみんな思うんですけど、そんなことはなくて、原子核の周りのどこかにいて、どこにいるか分からないんですって。言っていることが分かります?
──ヘリウム......原子......核......?
堀江 ......どこにあるのかが分からないんです、電子は。観測できないらしく、ただ確率的にこの辺にいるんだろうっていうのは分かる。世の中ってそういう物質でみんな出来てるんです。自分の体とかも。そんなこと考えていたらキリがないじゃないですか? だから、自分のことをどう思われているかとか、どうでもよくないですか? だって、知らないことは、無いことと一緒なんですから。
──確かに、原子レベルで考えたら私もゾウリムシも大差ないですよね。ゾウリムシと大差ないくせに、悩むことすらおこがましい気がしてきました!
堀江 よく男女で浮気をしてるとか携帯のメモリーを見る人とかいますけど、なんで見るの? って、見なきゃ分かんないじゃん。
──見なきゃ分からないから見て確認したいっていうのが、見る人の気持ちなんだと思うんですけど、その点に関しては私も知りたくないので同意です。知らなければ幸せでいれるんなら、いっそそのまま騙していて!
堀江 そうそう、幸せでいれて、そのまま死んでいける人もいるわけじゃないですか。だから、すべて世の中のことっていうのはそういうことであって、例え自分のことを悪く言っている人がいくらいようが、自分の周りの人が、自分のことをすごく気持ちよく迎えてくれるなら......。
──そんな悪しき空間は存在しないことになる!
堀江 そう。何がまずいんだって、2ちゃんねるとか見るからまずいんですよ。
──2ちゃんねるなんて、怖くて何年も見てないですよ。落ち込むから。
堀江 僕は、逆に悪口とか全然慣れちゃったんで、全然平気で見ますけど。
──凄い! どうやってそんなに強靭なハートを?
堀江 そういうものに耐えられるようになるか、忘れるか。だからまず、精神的にこう強くなれるかどうか、っていうのが大事。
──黒歴史はどんどん忘却して、都合の悪い意見も無視しよう! ......難しいな!! でも、仕事が減っていって、お金がなくなって、活動がメジャーからどんどん遠ざかってるとか、気にしてたら負けってことですね!
堀江 もうね、メジャー路線なんてものはないですね。メジャーってもの自体が存在しないかもしれないです。メジャーな音楽アーティストですら、地道に営業で稼いでいるんですから。だから、もっとコアなマーケティグをしなきゃ。今までになかったような......一緒に旅行に行くとか。
──おお。グラビアアイドルは、たまに一緒に旅行するバスツアーみたいなものを事務所が企画してるんですけど、不況だから参加人数が集まらなくって中止になっているのをよく見ます。けっこう売れてるアイドルとかでも中止になっているのを見ると「これは、手をつけないほうがいいな」と思って。
堀江 ははは! それは切ないですね。
──この狩り場は荒らさない方が身のためだ、と思って。
堀江 逆かもしれないですよ、けっこう人が来るかも。
──そ、そうですかね?
堀江 メジャーなアイドルだと、どうせいっぱい人が来て自分なんか相手にされないけど、小明なら話しかけてもらえそうだなぁ、とか、キスしてもらえそうだなぁとか。
──キスまで? そんなのホイホイ出来な......いや、売れないアイドルとファンがピンクのワゴンで旅に出て、気があった人とキスして帰国すれば、アイドルとしていかに職がなくても永久就職できる......これって究極のダイレクトマーケティングかも! 堀江さん、これ、新しいビジネスですよね?
堀江江 はい......もうよろしいですか(苦笑)?
──はい、ありがとうございました! あ、私の本、本当にブログに載せてくれなくても良いですからー!!
(取材・文=小明)
※ 後日、堀江さんのブログには「こないだ取材受けた方の本。半ば強制的に持って帰らされました(笑)」の記述とともに『アイドル墜落日記』のリンクが......ニヤリ!
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年、福岡県生まれ。実業家。株式会社ライブドア代表取締役社長CEO時代にプロ野球球団、ラジオ局の買収を表明するなどして脚光を浴びる。06年、証取法違反で逮捕・起訴され現在上告中。『まな板の上の鯉、正論を吐く』(洋泉社)ほか著書多数。
●小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<
http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<
http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

まな板の上の鯉、正論を吐く
「拝金」も絶好調。

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