超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』”家族”という名の地獄から脱出せよ

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母親のDVに苦しむ16歳のプレシャス(ガボレイ・シディベ)は、
フリースクールの教師ミズ・レイン(ポーラ・パットン)から
生まれて初めて人間らしい扱いを受ける。
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 チャンスをください。一度だけでいいから、人生をリセットするチャンスをください。チャンスさえもらえれば、後は何とか自分でやりますから......。しかし、いくら願っても、サイテーのどん底生活を送っている人間には、そのチャンスさえ回ってこない。万が一、チャンスが訪れたとしても、サイテーの生活を送っている人間は、それが自分にとってのチャンスであることが認識できない。『プレシャス』のヒロイン、クレアリース・プレシャス・ジョーンズ(ガボレイ・シディベ)は、16歳でお先真っ暗な人生を歩んでいる。体重はヘルスメーターの目盛りを軽く越え、自分によく似た体型の母親(モニーク)から「デブでウスノロ、早く食事の用意をしろ!」とどつかれる毎日だ。落第を重ね、いまだ中学校に通うプレシャスに対し、母親は「学校なんか通っても意味がない。それよりも役所に行って、生活保護費をもらってこい」と怒鳴り散らす。実の父親はプレシャスをレイプした挙げ句に身籠らせて、家を出ていった。母親のDVはますます激しくなる。息が詰まる生活。でも、お腹はどんどん大きくなっていく。プレシャス(高貴)という名前は、彼女にとってあまりに残酷なジョークでしかない。  1980年代のNY・ハーレムで生まれ育った黒人少女の葛藤を描いた『プレシャス』は、かつてない超ヘビー級のシリアスドラマだ。重い現実に潰されそうになるプレシャスに、ささやかなチャンスが訪れる。クモの糸のように、か細くて、すぐに切れてしまいそうだが、母親のDV地獄に悩むプレシャスにとっては、唯一の希望の光だ。妊娠していることが中学校にバレたプレシャスは退学させられるが、代替学校として「フリースクール」への入学を勧められる。教科書に何が書いてあるのかさっぱり分からないが、家の外に出られるのなら、どんなチャンスでも構わない。プレシャスは重い体を揺らしながら、クモの糸に手を伸ばす。  自分が不幸なのは家族のせいだ、自分がダメなのは親の遺伝子のせいだと、責任転嫁する輩は少なくない。しかし、家族をののしり、自分の境遇を憐れんでいる人間は、血縁という名の狭苦しい牢獄に自分から進んで入っているようなもの。生まれた時代が悪かった、オレが悪いんじゃない社会が悪いんだと嘆く人間も同罪だ。自分で檻の中に入っておきながら、カギの開け方を覚えようとしない。自分の目の前にクモの糸が垂れていることにも気づかない。仮に気づいても、途中でクモの糸が切れるんじゃないかと尻込みしてしまう。  プレシャスもこれまでは自分のことしか考えることができず、妄想の世界に逃げるしかなかった。しかし、生まれてくる子どものために、プレシャスはクモの糸を這い上がっていく決心をする。このままでは、自分のお腹の中にいる赤ちゃんは生まれてくる前からどん底の一生が決まっている。子どもには自分や母親のような目に遭わせたくない。アルファベットの読み書きも満足にできないプレシャスだったが、フリースクールの女性教師レイン(ポーラ・パットン)は熱心に、物事を学び自分で考えていく面白さをプレシャスに教えていく。受験勉強ではない、本当の意味での教育だ。プレシャスに初めて他人をリスペクトする気持ちが芽生える。  また、フリースクールに集まる同年代の少女たちも、それぞれに事情を抱えていた。今まで自分のことしか考えなかったプレシャスの黒目に光が灯り、少しずつだが視界が広がっていく。自分ひとりでも重そうなプレシャスだが、生まれてくる赤ちゃんの重量が加わり、クモの糸をたぐる腕に不思議と力が入る。どれだけクモの糸を上がっただろうか。気が付けば、今までの自分はひどく狭い場所にいたことが分かってきた。  プレシャス役に抜擢されたのは、まったくの演技未経験のガボレイ・シディベ、撮影時24歳。本作での体当たりの熱演が評判となり、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、人気女優サンドラ・ブロックや演技派メリル・ストリープ、ヘレン・ミレン、若手の期待株キャリー・マリガンらと堂々と肩を並べた。鬼母役を演じたモニークは、米国では大柄な女性のビューティコンテスト番組のホストを務めているコメディエンヌとして人気者だ。最悪な境遇から抜け出せない苛立ちを娘にぶつけることしかできない難役を演じ、アカデミー賞助演女優賞に輝いた。女教師ミズ・レインを演じたポーラ・パットンも好演している。若くて聡明な美人教師レインだが、実はレズビアンという設定であり、原作者サファイアの分身でもある。マイノリティーとして生きていく彼女は、十字架を背負う者の眼差しの強さを感じさせる。
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市役所に勤めるソーシャルワーカー役のマライア・
キャリー。これが"世界の歌姫"のすっぴん顔。
 キャスト陣で、もうひとつ話題がある。実際にハーレムで代替学校の教師を経験した詩人サファイアの原作小説に共鳴した人気アーティストのレニー・クラヴィッツが看護士役、マライア・キャリーがソーシャルワーカー役で出演している。人気スターにありがちな1シーンだけのカメオ出演ではなく、出口を見出せずにさまよい続ける現代の"プレシャス"たちに寄り添い、祝福するべく真摯な演技を見せている。とりわけ、マライア・キャリーはノーメイクで出演し、すっぴんの素顔をさらしている。マイノリティー出身ながら、スターの座を手に入れた両者にとっても、クモの糸を這い上がるプレシャスの生き方は他人事ではなかったのだろう。  クモの糸をよじ上っても、その先で待っているのは夢で見たお花畑が咲き乱れるような天国とは限らない。さらにレベルの上がった新しい地獄かもしれないのだ。でも、そこが天国だろうが地獄だろうが、プレシャスには関係ない。そこはプレシャスが自分の手でつかみ取った新しい世界。生まれてきた赤ちゃんと共に生きるための聖地なのだ。たった一度だけ巡ってきたチャンスを見事にものにしたプレシャス。その名前の通り、彼女は輝き始めた。 (文=長野辰次) precious03.jpg ●『プレシャス』 原作/サファイア 監督・脚本/リー・ダニエルズ 出演/ガボレイ・シディベ、モニーク、ポーラ・パットン、マライア・キャリー、シェリー・シェパード、レニー・クラヴィッツ 配給/ファントム・フィルム 4月24日より日比谷・TOHOシネマズシャンテ、渋谷シネマライズほか全国公開中 http://www.precious-movie.net/
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●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

タモリから森泉まで! ナイナイ岡村が”モテる”理由は……

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なんだかんだみんな岡村さんのことが
好きですよ

 今回ツッコませていただくのは、映画『てぃだかんかん』の告知のために、様々な番組にピンで出まくっていたナインティナイン・岡村隆史を迎える人々の反応。

 筆頭は、岡村を"大好物"とするタモリだ。4月23日に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の「テレフォンショッキング」に岡村が登場した際には、しょっぱなから持ってきたポスターを破る音を口で出してみたり、さまざまなちょっかいを出しては岡村に「ちょっとおかしいですよ、タモリさん」と諌められていた。

育児

家の前の保育園で元気な子供の声が響く。私の体内時計で声が無い日は休日。何か寂しい。メディアで虐待のニュースが減ったような気がしたので調べてみると、実際は毎日のように起こっていた。「もう飽きた」それがメディアの本音なのだろう。うるさいから両腕を折った、壁にぶつけて脳を壊した。親が逮捕されるのは当然。でも、傷ついた子供たちのその後は一体どうなるのだろう。一番大事な時期に、親がいないということ。

記事やコメントが消える、芸能人ブログの厳格な管理

一昔前までは、重大事項はマスコミを集めて記者会見というのが一般的だった。が、近年は芸能人が自分のブログで真っ先に結婚や離婚を公表して、マスコミがそれを後追いするという形も珍しくなくなりつつある。本人が直接的に情報を発信するのは危険な側面もあるだけに、更新内容が突然消えたり、コメント欄への荒らしに近い書き込みが消えたりという現象をよく見かける。先月、デヴィ夫人が北朝鮮を訪問した時のことを書いたら、携帯からのアクセスができないように妨害されたと、アメーバブログを批判していた。

小説がある事件を予言!ただの偶然とはいえない一致の数々

漫画や小説は当然、ほとんどのものがフィクションである。だが時に未来を予測したような表現が描かれていることもある。例えば『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本20巻に登場するエピソードでは「未来を予言する漫画」を持つ敵が登場するのだが、漫画が予言しているコマが、2001年のある事件を予言しているのである。そのコマには電柱に首が突き刺さって死ぬ男が描かれているのだが、問題は男が着ているTシャツに「911」と書かれている。その後ろには、顔のついた飛行機と、イスラムのシンボルといわれている月が描かれ、さらに首を貫かれた男は死ぬ間際に「おっ10時半だ!」と告げている。

上ノ宮絵理沙、自身と称して他人の写真を名刺に使用?

ブランドプロデューサーでモデルの上ノ宮絵理沙が2010年4月末でモバゲーの更新を終了し、CROOZへと主要な活動の場を移した。(関連記事はリンク先を参照)だが、モバゲーの更新内容が削除される直前に、とんでもない疑惑が浮上して騒然となった。それは、上ノ宮が自身の名前を入れて掲載した画像である。その画像の女性が上ノ宮ではなく、モデルの桃華絵里ではないかというのだ。桃華といえば、上ノ宮が常に意識しているらしい人物である。桃華がイベントや広告で着用した服やアクセサリーが、上ノ宮の画像に度々見られることが、上ノ宮ウォッチャーたちによって指摘されてきた。

土田晃之 元ヤン、家電、ガンダム……でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた

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『土田晃之のガンダムにもの申す! 』
(角川グループパブリッシング)
 かつて、本連載の中で品川庄司の品川祐について取り上げたとき、「なぜ品川は嫌われるのか?」という問題について考察してみた(記事参照)。品川には、有吉弘行が命名した「おしゃべりクソ野郎」というあだ名に代表されるような、ネガティブなイメージが常についてまわっている。  だが、ここで、品川に対してある1人の芸人を対置してみると不思議なことがわかる。多趣味で物知り。ガンダムや家電にも詳しい。不良少年だった過去がある。ひな壇を主戦場とする。品川と多くの共通点がありながら、品川ほど世間に嫌われてはいない芸人。そう、土田晃之だ。  土田はなぜ、品川ほど露骨に嫌われていないのだろうか? 土田と品川はどう違うのか? 土田だけが持っている特性とはいったい何なのか? それらの点について考えてみたい。  土田の芸人としての最大の特徴は、自分を切り売りしない芸風である、ということだ。土田は、少なくともテレビの中ではあまり自分のことを話したがらない。また、コンビ解散後はお笑いネタを作るという自己表現からも遠ざかってしまった。彼はあくまでも、竜兵会の広報部長として、子だくさんの愛妻家として、ガンダム愛好家として、サッカーファンとして、といった肩書きを背負って登場し、自分以外の何かを紹介するというポジションに立って話を進めていくのだ。  土田は、自分自身をさらけ出して前に出ようとすることはない。半自伝的小説『ドロップ』を書き下ろして、自分の過去を臆面もなく美化してフィクションに仕立ててしまった品川とは、その点が大きく異なる。現代のひな壇芸人が置かれている過酷な状況を知りながらも、自分が主役になりたいという欲望をどこまでも失っていないのが品川だとすれば、そのレースに初めから参加していないのが土田である。土田は、上島竜兵の面白さについて熱く語ることはあっても、自分のことをひけらかそうとはしない。  これは、土田が自分自身のイメージをある程度突き放して見ているからこそできることだろう。キャラが薄くてさほど特別な人生経験を持っているわけでもない自分が、必死で目立とうとしても笑いには結びつかない。それならば、誰もが好きなものや、誰もが興味のあるものを自分が紹介することで笑いが取れればそれでいい、と。  言い換えればそれは、彼が自分の「俗物性」という欠点を「一般人の気持ちがわかる」という利点として生かした、とでも言うことができる。「子煩悩」という属性も、「ガンダムファン」という属性も、世の中の多くの人が共通して備えていて、共感を得やすいジャンルのものである。土田は常に、獲物がいるところで狩りをする。自分だけの狩り場を無理に開拓しようとはしない。効率を最優先して、できることだけをこなそうとするのである。  早口で仏頂面という特徴からしても、土田は決して親しみやすいタイプではない。だが、彼の提供する話題は常にわかりやすくかみ砕かれた形になっていて、受け手を納得させたり笑わせたりするだけの腕がある。態度は無愛想ではあるが、彼は最終的にはきちんと大衆の味方につく。そこが土田の魅力である。  彼が「ひな壇の神」と称されているのは、自分の役割をわきまえてそれをまっとうするということにかけて、彼の右に出る者がいないからだ。土田は、自分を消して相手を輝かせる。だからこそ、熱狂的に好かれたりしない代わりに、忌み嫌われることもない。土田は、生来の俗物性を原動力にして、どこに配置されてもきっちり仕事をこなす「最強の凡人」である。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田) お笑いトークラリー特別編 「ラリー遠田×岩崎夏海 ~もしM-1に挑む若手芸人がドラッカーの『マネジメント』を読んだら~」 お笑い評論家・ラリー遠田が、話題沸騰のベストセラー小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)の著者である岩崎夏海さんをゲストに招いて、「お笑い」をテーマに熱いトークを繰り広げます! 【日時】5月4日(祝) 【出演】ラリー遠田 【Guest】岩崎夏海 【会場】ネイキッドロフト OPEN18:30 / START19:30 ●ラリー遠田「おわライター疾走」 <http://owa-writer.com/> ●岩崎夏海「ハックルベリーに会いに行く」 <http://d.hatena.ne.jp/aureliano/> 前売りチケットは3月26日からローソンチケットで販売。(Lコード:36287) 問:tel.03-3205-1556(Naked Loft)
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●「この芸人を見よ!」書籍化のお知らせ
日刊サイゾーで連載されている、お笑い評論家・ラリー遠田の「この芸人を見よ!」が書籍化されました。ビートたけし、明石家さんま、タモリら大御所から、オードリー、はんにゃ、ジャルジャルなどの超若手まで、鋭い批評眼と深すぎる"お笑い愛"で綴られたコラムを全編加筆修正。さらに、「ゼロ年代のお笑い史」を総決算や「M-1グランプリ」の進化を徹底分析など、盛りだくさんの内容です。手元に置いておくだけで、お笑いを見るのがもっと楽しくなる。そして、お笑い芸人を通して現代が見えてくる。そんな新時代の"お笑い批評"をお楽しみください。
ラリー遠田×担当編集S「お笑いを楽しむための"ツールとしての批評"でありたい」
土田晃之のガンダムにもの申す! 知識を芸に変える。 amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

赤西仁、ファンの感情を無視したメッセージを掲載し批判殺到!

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仁は表現が下手だから、風当りが厳しくなるのよ
【サイゾーウーマンより】 「待ちに待った更新。でもあまりにもファンをないがしろにしたような記事にガックリしました。こんなことなら、更新されない方がよかったかも......」   一部のファンをこんなにも嘆かせているのが、ジャニーズの公式携帯サイト「Johnny's web」内の連載「KAT-TUN'Sマニュアル」。毎週火曜日にメンバーが交代で更新していく連載のコーナーである。赤西仁のツアー&シングルへの不参加、および脱退騒動に揺れる中、メンバーの田中聖がKAT-TUNやファンへの愛を熱く語ったり(既報)、上田竜也の「メンバー5人とマネージャーでご飯を食べに行きました」との発言が「今後5人でKAT-TUNをやっていくっていう地味な意思表明?」と憶測を呼ぶ(既報)など、何かと注目を集めてきたのは記憶に新しい。

「築35年、オートロックなしの物件へ」酒井法子 高級マンションを引き払っていた

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昨年9月、湾岸署前にて。
 昨年8月に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕され有罪判決を受けた酒井法子が、青山の超高級マンションを引き払っていたことが明らかになった。 「事件を起こしてから半年以上、酒井は仕事がありません。それで、青山のマンションを売りに出しているという情報はあったんですが、ついに下町の築35年の賃貸物件に引っ越したんですよ」(写真誌記者)  酒井の逮捕で、所属していたサンミュージックが支払った損害賠償額は、5億円に上るとも報じられた。 「実際はスポンサーが泣いてくれたこともあって、1億円くらいに収まったようです。それとは別に、酒井の個人事務所が支払う賠償金もあった。その支払いにあてるために、青山のマンションを売りに出していたようです」(芸能事務所関係者)  酒井は2004年に、東京・青山の高級タワーマンションを購入している。 「1億円はくだらない物件で、まだローンも残っています。同じく覚せい剤で逮捕された夫の高相氏はまったく働きませんし、酒井も事件後は無収入ですからね。引越しは必然ですよ」(酒井に近い芸能関係者)  酒井の引越し先は、下町にある築35年のマンション。オートロックもついていない物件だという。 「マンションの所有者は、事件当時"会長"と呼ばれていた、解体業者のT会長です。T氏は酒井の継母の愛人とも言われるほど親しい間柄。収入のない酒井親子の面倒を見ています」(マスコミ関係者)  近々、芸能界復帰もうわさされる酒井だが、この厳しい現状から復活できるだろうか。
酒井法子 笑顔は戻るのでしょうか。 amazon_associate_logo.jpg
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