飯尾和樹が一般女性から引き出したトイレ情報に驚愕! テレビ東京は特番『トイレ観光』で“究極”に行き着いた

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テレビ愛知『トイレ観光』番組サイトより
 テレビ東京は、ある意味ガラパゴス化している。他のキー局と比べて人員と制作費で劣るため、オリジナリティに走らざるを得ない。だからこそ、企画力が磨かれていく。伊集院光は同局が制作する番組について「評判が上がるとヨソの局によくパクられる」と評していたが、それは道なき道を行く先駆者に対する最大級の賛辞だ。  9月までテレ東で放送されていた『液体グルメバラエティー たれ』は、タレにフォーカスしたニッチな着眼点が評判を呼んだ。  そして、行き着くところへ行き着いた感がある。10月2日深夜と9日深夜に同局で放送された特番『トイレ観光』(制作はテレ東系列のテレビ愛知)が、究極だったのだ。  コンセプトに関しては、タイトルがそのまま説明しているだろう。番組ホームページを見ると、このように書いてあった。 「ニッポン各地の“神トイレ”を巡る! 前代未聞のトイレ番組」  まさに、前代未聞。“神トイレ”があると評判を聞くや、実際にレポーターがそこへ訪れ、用を足すという内容である。  例えば、兵庫県明石市の海岸沿いで営業するカフェのトイレが凄いと知るや、おまるを背負ったリポーターが実際に訪問している。まずは、トイレをするためにお店で腹ごしらえをするリポーター。食事をしていい感じになると、いよいよトイレをお借りすることに。実は、このお店のトイレは海の中の水槽にあるらしい。周囲がガラス張りになっており、眼前で泳ぐ魚たちにジロジロ見られながら用を足せるというスペシャルな状況だ。  もちろん、本当にトイレしちゃう。カメラが捉えるのは、用を足している最中のリポーターの顔。恍惚としたり、眉間にしわを寄せたり、生々しい表情からは至福の感情がありありと伝わってきた。間違いなく、本当にしている。しかも、この瞬間を番組では「テイスティング」と名付けている。  いやはや、このレポーターの表情はどうだろう。いくらなんでも、ポーカーフェイスじゃなさ過ぎる。「表情に出ちゃう」とは、このことか。“神トイレ”の満足度を表情で伝えようとしたら、実はテレビ的にギリギリだった。 ■飯尾和樹、一般女性のトイレ内での振る舞いを見事に聞き出す  この番組の最大の見ものは「飯尾和樹が、女性のお宅で用を足す」なるコーナーだ。  街の往来で、いきなり「すごく今、トイレがしたい!」とお腹をさすりながら登場した飯尾和樹。彼は、道行く女性へ手当たり次第に「トイレ貸してくれませんか?」と声をかけまくるのだ。  しかし、なかなか上手くいかない。苦笑まじりに「すみません」と断られたり、相手の女性が遠方に住んでいたり……。今にも、飯尾は漏れそうになる。  そんな中、稀に自宅のトイレを貸してくれる女性(恐らく仕込み)がいるから驚き。9日放送回に出演した名古屋在住の女性のトイレは、まるで“愛のミュージアム”であった。ご主人にプロポーズされた際の動画を視聴できるiPadが立てかけられていたり、旅行時の夫婦写真が掲示されていたり、賛美歌の歌詞が貼られていたり……。  なぜ、トイレをこんな風に彩っているのだろう? その理由は「リビングだと、ただの景色になってしまうけど、トイレだと無心なので心に入ってくるから」とのことだ。  2日放送回でトイレを貸してくれた女性は、飯尾からの矢継ぎ早の質問に素直にリアクションしてしまっている。「トイレは1日平均どれくらいしますか?」というクエスチョンには「小も大も合わせると10以上はいきます。大は5回以上……。お通じが良くて(笑)」と、必要以上に告白するサービス精神がうれしい。飯尾がトイレットペーパーの紙質を褒めると「結構、回数が多いんで」と、またしてもお通じの良さを強調し始めるし。  さらに、飯尾に「普段はどうしてるの?」と問われた女性は、トイレ内でのいつもの様子を再現してくれる。大量のトイレットペーパーを手に取り「拭いて、折り返して、拭いて、折り返して、拭いて……。1回を結構再利用する(笑)」と、赤面しながら告白するその女性。 『家、ついて行ってイイですか?』や『Youは何しに日本へ?』など、一般人の素性に迫る番組づくりが得意なテレビ東京だが、その矛先がいよいよ今度は「トイレ」へと向かってしまった。  確かに、隣人がトイレでどのように振る舞っているかは知る由もなかった情報だ。ある意味、究極の秘境。そういう意味でも、『トイレ観光』という番組名は言い得て妙だ。 (文=寺西ジャジューカ)

食べることは生きること――あまりにもヤバい新食感グルメ番組が映し出す、世界の現実

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『ハイパーハードボイルドグルメリポート』テレビ東京
 グルメ番組といえば、心穏やかに見るものと相場が決まっている。おいしそうな料理におなかを鳴らせながら、近場なら、その店の情報をメモしたりする。テレビにおいて重要な要素である「情報」の中でも、最も幸福な種類の情報番組のひとつだ。  だが、VTRを見ている小籔一豊が思わず 「どういう気持ちで見たらいいんやろ?」 「(料理を食べて)新食感とか言うてた自分が恥ずかしい」 と顔をしかめる“グルメ番組”がある。  それが、10月3日深夜に放送された『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)だ(なお、10日深夜にも第2回が放送される予定)。  タイトルからして、不穏なムードが漂っている。  この番組がリポートするグルメは、一言で言えば「ヤバい飯」。といっても、ゲテモノの類いではない。食べている人が「ヤバい」のだ。  なるほど、サブタイトルが「ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯」というのもうなずける。  まず番組は、アフリカのリベリア共和国に。  西アフリカに位置する小国で、アメリカから解放され、アフリカに戻った黒人奴隷が建国した国。そのため、共用語は英語だ。年間の日本人渡航者(民間)は限りなくゼロに近いことなどが、ナレーションを排し、テロップのみで伝えられる。  ディレクターは、街の市場に向かう。  そこで彼が目にしたのは、日の丸のマークが描かれた包み。「非売品」と記されている、とうもろこしの粉だ。それを売買している者に聞くと、やはり日本からの支援物資が横流しされ、転売されているのだという。番組では、それを手に入れて食べている人を「横流し飯」としてリポートしていくのだ。  さらに、エボラ出血熱を発症しながら奇跡的に生き残った人の食事もリポート。家族は全員エボラで死に、今は親戚の家に身を寄せている。彼女にディレクターが「生活はどう?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。 「変わらない。不幸なままよ。生きていけるけど簡単じゃない。食べ物がないの。叔母さんが食べ物をくれるけど、毎日じゃないから」  そして番組は、リベリアの過酷な現実を映し出す。 「元人食い少年兵の飯」というテロップ。  1989年からリベリアでは激しい内戦が行われていた。25万人以上が戦死したといわれるこの内戦で、政府軍、革命軍は共に子どもたちを拉致し、訓練を施した上で銃を持たせ、前線に送り込んだ。少年たちは現実から逃れるため、コカインを常用し、仮装して戦ったという。極限状態に置かれた彼らは、殺した敵兵の肉を食ったと伝えられている。  そんな元少年兵たちが今、どんな食事をしているかリポートしようというのだ。  2003年、内戦が終結すると、少年兵たちは居場所を失い、彼らは広大な共同墓地に住むようになった。ガイドを務める現地ジャーナリストすら、墓地の前に着くと言う。 「相当危ないぞ、近づく時は本当に気をつけないと。元少年兵が襲ってくるかもしれない」  実際、墓地の前でたむろしている男たちに声をかけると「クソ野郎、何撮ってんだ、お前!」などと罵声を浴びせられ、どんどんと人が集まってきて取り囲まれる。体をぶつけスリをしようとする者や、カメラを取り上げようとしてくる者もいる。 「とりあえず中は入れ」 と、自分たちのテリトリーに無理やり引き込もうとする元少年兵たちの迫力は、テレビでなかなか見ることのできない緊張感だった。  なし崩し的に墓地の中に入ると、ひとりの女性が頭蓋骨を掲げてほほえんでいる。両親が殺され、その復讐のため11歳から少女兵として戦ったという。今は「生きるため」に娼婦をしている。  そんな彼女に「食事を見せてくれ」と言うと、「今は食事を買う金がない」と答え、「3時間後に仕事に行くから、ついてくれば?」と言う。 「客が来て、セックスをして、客が金をくれたらご飯を買いに行くの」  暗闇の中、いつものように客を取り、金をもらって戻ってきた彼女。その報酬は、わずか200リベリアドル(約200円)。その金で、150リベリアドルの食事を買う。スープと白米だけ。1回体を売って、ほぼ1食分だ。  食べることは生きることだ。この番組は、それをあまりにも生々しく見せ、むき出しにさらしている。ほぼ白米だけのリベリアの娼婦の飯を伝えた直後に映し出されたのは、台湾マフィアの豪勢な食事。1万円以上するフカヒレまるごとスープを毎週食べている。その強烈なギャップにクラクラする。 けれど、それが現実だ。  食事は、現実を如実に表す。食事から、世界の現実の確かな一部が見えてくる。 「これはグルメ番組です」  確かにグルメ番組だ。けれど、あまりにも“新食感”なグルメ番組だった。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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食べることは生きること――あまりにもヤバい新食感グルメ番組が映し出す、世界の現実

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『ハイパーハードボイルドグルメリポート』テレビ東京
 グルメ番組といえば、心穏やかに見るものと相場が決まっている。おいしそうな料理におなかを鳴らせながら、近場なら、その店の情報をメモしたりする。テレビにおいて重要な要素である「情報」の中でも、最も幸福な種類の情報番組のひとつだ。  だが、VTRを見ている小籔一豊が思わず 「どういう気持ちで見たらいいんやろ?」 「(料理を食べて)新食感とか言うてた自分が恥ずかしい」 と顔をしかめる“グルメ番組”がある。  それが、10月3日深夜に放送された『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)だ(なお、10日深夜にも第2回が放送される予定)。  タイトルからして、不穏なムードが漂っている。  この番組がリポートするグルメは、一言で言えば「ヤバい飯」。といっても、ゲテモノの類いではない。食べている人が「ヤバい」のだ。  なるほど、サブタイトルが「ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯」というのもうなずける。  まず番組は、アフリカのリベリア共和国に。  西アフリカに位置する小国で、アメリカから解放され、アフリカに戻った黒人奴隷が建国した国。そのため、共用語は英語だ。年間の日本人渡航者(民間)は限りなくゼロに近いことなどが、ナレーションを排し、テロップのみで伝えられる。  ディレクターは、街の市場に向かう。  そこで彼が目にしたのは、日の丸のマークが描かれた包み。「非売品」と記されている、とうもろこしの粉だ。それを売買している者に聞くと、やはり日本からの支援物資が横流しされ、転売されているのだという。番組では、それを手に入れて食べている人を「横流し飯」としてリポートしていくのだ。  さらに、エボラ出血熱を発症しながら奇跡的に生き残った人の食事もリポート。家族は全員エボラで死に、今は親戚の家に身を寄せている。彼女にディレクターが「生活はどう?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。 「変わらない。不幸なままよ。生きていけるけど簡単じゃない。食べ物がないの。叔母さんが食べ物をくれるけど、毎日じゃないから」  そして番組は、リベリアの過酷な現実を映し出す。 「元人食い少年兵の飯」というテロップ。  1989年からリベリアでは激しい内戦が行われていた。25万人以上が戦死したといわれるこの内戦で、政府軍、革命軍は共に子どもたちを拉致し、訓練を施した上で銃を持たせ、前線に送り込んだ。少年たちは現実から逃れるため、コカインを常用し、仮装して戦ったという。極限状態に置かれた彼らは、殺した敵兵の肉を食ったと伝えられている。  そんな元少年兵たちが今、どんな食事をしているかリポートしようというのだ。  2003年、内戦が終結すると、少年兵たちは居場所を失い、彼らは広大な共同墓地に住むようになった。ガイドを務める現地ジャーナリストすら、墓地の前に着くと言う。 「相当危ないぞ、近づく時は本当に気をつけないと。元少年兵が襲ってくるかもしれない」  実際、墓地の前でたむろしている男たちに声をかけると「クソ野郎、何撮ってんだ、お前!」などと罵声を浴びせられ、どんどんと人が集まってきて取り囲まれる。体をぶつけスリをしようとする者や、カメラを取り上げようとしてくる者もいる。 「とりあえず中は入れ」 と、自分たちのテリトリーに無理やり引き込もうとする元少年兵たちの迫力は、テレビでなかなか見ることのできない緊張感だった。  なし崩し的に墓地の中に入ると、ひとりの女性が頭蓋骨を掲げてほほえんでいる。両親が殺され、その復讐のため11歳から少女兵として戦ったという。今は「生きるため」に娼婦をしている。  そんな彼女に「食事を見せてくれ」と言うと、「今は食事を買う金がない」と答え、「3時間後に仕事に行くから、ついてくれば?」と言う。 「客が来て、セックスをして、客が金をくれたらご飯を買いに行くの」  暗闇の中、いつものように客を取り、金をもらって戻ってきた彼女。その報酬は、わずか200リベリアドル(約200円)。その金で、150リベリアドルの食事を買う。スープと白米だけ。1回体を売って、ほぼ1食分だ。  食べることは生きることだ。この番組は、それをあまりにも生々しく見せ、むき出しにさらしている。ほぼ白米だけのリベリアの娼婦の飯を伝えた直後に映し出されたのは、台湾マフィアの豪勢な食事。1万円以上するフカヒレまるごとスープを毎週食べている。その強烈なギャップにクラクラする。 けれど、それが現実だ。  食事は、現実を如実に表す。食事から、世界の現実の確かな一部が見えてくる。 「これはグルメ番組です」  確かにグルメ番組だ。けれど、あまりにも“新食感”なグルメ番組だった。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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なんだこの番組!?『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』を成立させた、いとうせいこうの手腕

なんだこの番組!?『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』を成立させた、いとうせいこうの手腕の画像1
 7日深夜、突如テレビ東京系列で放送された『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』。  水原恵理アナが、「山田孝之の演技入門をお送りする予定でしたが、大幅に内容を変更してお送りします」と、まるで災害情報を伝えるかのようなテンションで告げて、突如始まったこの番組。突如といったのには、理由がある。この番組は、ほんのすこし前まで『山田孝之の演技入門』として予告されていた枠だった。しかしオンエアの少し前に突如ホームページにて内容の変更が告知され、『演技入門』という、どこか懐かしさを感じるEテレのごときプログラムは『緊急生放送』という、けたたましい煽り文句のついた特別番組に姿を変えた。 ■「山田孝之×テレ東」といえば  そもそも「山田孝之がテレ東でなんかやる」ことには、さんざん我々は振り回されてきた。  山田孝之が、自身を見つめ直すために赤羽に移住し、ファンキーな赤羽の先住民との交流から自己を取り戻す『山田孝之の東京都北区赤羽』。山田孝之が、突如カンヌ最高賞を受賞したいと言い出したことにより、盟友・山下敦弘や主役の芦田愛菜(殺人鬼役!)を巻き込み、カンヌに向かったロードムービー『山田孝之のカンヌ映画祭』。  どちらもドキュメンタリーの形をとりつつ観せる、いわゆるフェイクドキュメンタリーなのだが、見ている我々は「フェイク」だとか「やらせ」だとか、そんな無粋な目線は抜きにして、狂っていく山田孝之を心から心配し、そして彼に振り回される映画監督山下敦弘に心から同情した。  そんな山田孝之×テレ東の組み合わせ。しかし、今回画面上に山田の盟友山下の姿はないようだが……。 ■説明を聞いてもよくわからないまま番組は進む  水原アナの横には、同じく司会で「旗振り役」と紹介されたいとうせいこうが過剰に真剣なトーンでこの番組の意図を語っている。いとうが言うには「山田孝之君がこの番組を通して、日本に、世界に元気を送る、良い元気、幸せな元気を送っていく」とのことなのだが、説明を聞いてもさっぱりわからない我々をよそに、番組はどんどん進んでいく。どこか懐かしい、この置いてけぼり感。  公式Twitterですら「なんせ緊急生放送なんで番組内容はよくわかりません」とつぶやくありさま。  幾何学的なオブジェに囲まれたスタジオの中央には、山田孝之本人がご本尊のように鎮座し、両手を大きく広げ何か瞑想をしている。  番組の意図はよくわからないが、とにかくすごいことが始まりそうなのは間違いない。いとうが言うには、山田はもうすでに日本中に元気を送っている、とのこと。 『演技入門』のゲストとして呼ばれていた、紀里谷和明(映画監督)、小池栄子、松岡茉優も、そのまま出演。それぞれに真剣なトーンで山田孝之をユリ・ゲラーや、はたまたUMAのごとく熱く語る。  特に松岡にいたっては「今回、『元気を出す』じゃなく『送る』じゃないですか? 私『送る』って言葉がすごく響いてて、なんか今日はものすごい奇跡の体験をできるだろうし、俳優として新しいステージを山田さんが見せてくれると思うとなんかこう、わなわなします」と、文字に起こしてみても何一つピンとこない内容を、情感たっぷりに語っており、女優として大事な時期なのに、心配だ。  とにかくよくわからないが、生放送の間に、鎮座し瞑想している山田が世界中に正体不明のパワーを送り、何かとんでもない奇跡を起こす……というのが見どころの番組らしい。  この後、こんな番組をやることになったかという経緯をまとめたVTRが流れる ■番組のきっかけは假屋崎省吾の生花  そもそものきっかけは、いとうせいこうが青山ブックセンターに飾られた假屋崎省吾作の作品(巨大な生花)から、尋常じゃない衝撃を受けたことから始まるという。假屋崎いわく、その作品は、あるテレビ番組を見ていて体が熱くなり、衝動にかられて製作したものだという。作品名はその名も『山田』、素直なネーミングだ。そして「地面から湧き上がるパワーを感じた」と假屋崎が熱弁するその番組名とは、まさかの『山田孝之のカンヌ映画祭』! 点と点が繋がり出す。  しかも何かのパワーを感じ取ったのは假屋崎だけでなく、『~北区赤羽』『~カンヌ映画祭』を観て山田の事務所(スターダスト)に届けられたファンレターには「就職が決まりました」「舞台の主役になれました」「彼女ができました」「花がもう一度咲きました」という多くの奇跡の報告と、それをもたらしたであろう山田への感謝が多数綴られていた。ワイプに映る小池栄子も松岡茉優も、実に真剣に頷いている。  もうこの頃になると、自分がテレ東の深夜番組を見ているのだか、80年代のテレ朝の水曜スペシャルを見ているのだか感覚がごっちゃになってくる。 ■衝撃映像  ここである問題の映像が公開される。  それは『~カンヌ映画祭』の未公開映像だそうで、番組内で山田は鹿児島の実家に里帰りしたのだが、その際に近くの池で撮影されたモノだという。  池と呼ぶには雰囲気のある、森の奥地の泉といった場所で、もののけ姫ならシシガミが、ハリーポッターならヴォルデモートが対岸に現れそうな雰囲気のあるスポットだ。そこで山田が手を水に浸すと、静かだった池の中から何匹もの魚が次々とジャンプし、鳥が多数飛び立ったのだ。  鳥が空に多数飛び立つことは、木々に囲まれた森の中でありえるものと思う。問題は魚だ。静かな泉には似つかわしくない丸々とした魚が何匹も、突如暴れ狂ったようにジャンプを繰り返す。まるで、利根川や霞ヶ浦水系で梅雨の時期に数日だけ突如としてジャンプを繰り返す巨大魚レンギョのそれのようだ。いや、アップの画面がないのではっきりとは言えないが、本当にレンギョにすら見える。はたまた産卵のために堰を遡上しようと群がる鮭のようにも見えなくもない。  しかしレンギョにしろ鮭にしろ、こんな小さな泉の一角に大群で生息などするわけがないし、こんなことが起きているのにカメラも微動だにせず、ズームもしない……。さらに最も驚かされたのは、この光景を山田がまったく意に介していないということだ。なんなら、あまり意識がなかったとすら語っている。  この映像を観たいとうに「昔から動物が寄ってくるの?」と尋ねられ、「『動物が寄ってくるよね』と人に言われたことはある」と絶妙に不気味な回答をする山田。もはやこの山田は、山田孝之であって山田孝之でない。テレ東でだけ見られる、いつもとは違う山田孝之だ。  Vが開けても、山田は目をつむって気を練るように集中している。岡本太郎のようでもあり、Mr.マリックのようでもある。 ■豪華な「サクラ」陣  神秘の映像を受けて、ゲスト陣も山田が只者でない様をここぞとばかりに語り出す。紀里谷監督は、カメラを回したら映像が歪むとか、何かそれっぽいことを言い、小池栄子も以前、山田と共演した際に「自分が苦手とするコメディのアドリブがポンポン出てきた」と山田のパワーを語り、松岡に至っては、駆け出しの頃、山田と目があっただけで血管が「ドン!」となったと熱弁する。  小池のそれは単に相性がいいだけな気もするし、松岡のそれはただの緊張とも言える。しかし彼らは山田のパワーを、もはや疑わない。完全に信者と化し、あっち側の人間と化している。  ここで視聴者からの山田のパワーを受け取ったらしき報告が相次ぐ。 「テレビを見てた猫が毛玉を吐き出した」 「財布の小銭が777円だった」 「お通じがよくなった」  これらに、目を丸くして驚く小池、頭をかかえる紀里谷。一歩間違うと通販番組のサクラに見えなくもないのだが、ゲストの人選が絶妙なせいか、そこに安さはない。 「数年間引きこもりだった僕が、コンビニに行く決意ができました」という報告に、すかさず「ありがとう、そして君も素晴らしい」と返すいとうせいこう。 「ハムスター踊り狂ってる」という報告に「まあ夜だから走る時刻ではあるんですが……」とアカデミックなリアリティを付与するいとうせいこう。  山田という素材を楽しそうに、いとうが調理しているかのようだ。 この後も、 ・金魚の入った水槽に山田がパワーを送る→特に変化は見えないがゲストは光沢や発色が変わったと驚く。 ・スピリチュアルカウンセラーが、山田のエネルギーを絶賛 ・頭に器具をつけ山田のチャクラを測定→山田は宇宙と繋がっている ・山田のパワーを増幅させるため、兵庫の沼島のパワースポットを訪問  と、スタジオのみならず、山田・せいこうコンビが9月中にあちこち足を運んでいた様子が映像で紹介される。深夜の1時間強の単発番組のためとは思えない日数をかけていることがわかる。  去年の夏は、芦田愛菜らとカンヌを目指した山田だが、今年の晩夏は主にいとうと共に、自身のパワーの探求をしていたようだ。 ■突然のライブパフォーマンス  いとういわく「古来、儀式として人間が人間を超えたものと繋がろうと思った時は、リズムと歌と踊りと花とかそういった美術(アート)を捧げることで自分の力を増幅させた」ということで、山田のパワー(山田力)を視聴者に伝えるためにライブパフォーマンスをスタジオで敢行することに。ポリリズミックなリズムとファンキーなベース音に、スペイシーなギターが乗る。さらにさまざまな動物を模した仮面をつけた10数人のダンサーが、鎮座する山田を取り囲み、一心不乱に踊り続ける。途中から、紀里谷監督はカメラを回し出し、刈谷崎は後方で花を生けている。小池も松岡も、一心不乱に踊り出している。  この混沌としたパフォーマンスをバックに「北海道無職。シャワーの出が良くなりました、北海道無職。シャワーの出が良くなりました」「愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました。愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました」と視聴者から送られてきた「山田力」の報告を淡々と読み上げるいとうせいこう。  もう本当に何の番組なのかジャンルすらわからない。 「香川県・大学生、番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました。番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました」 「傘が道端に落ちていて雨に濡れずに帰れました、山田先生ありがとうございます」  もはやこれがやりたかっただけなのでは? とも疑問が湧くほどの、演奏とミスマッチな大喜利。  しかし、演奏が佳境になるに従い、いとうの報告紹介も熱を帯び、叫ぶように変化していく。 「偏頭痛が治りました」 「赤ちゃんが立ちました」  そして北海道・団体職員の「4年間止まっていた時計が動き出しました」という報告の直後、MCせいこうが叫ぶ。「レッツダンス!!」さっきまでの司会の顔が完全にミュージシャンに変わる。  番組終了間際、最後にMCせいこうが叫ぶ「みんながいつまでも元気でありますように! 山田孝之は永遠に元気です! そして、テレビも元気!」  結局パワーは届いたのか、金魚はどうなったのか、もはやなんの番組だったのか、そんなことはどうでもよくなるような力強いメッセージで番組は終了した。まるで岡本喜八の怪作『ジャズ大名』(1986)のような、爽快なエンディング。結局スタジオの山田は一言も口を開くことはなかった。 ■結局、監督はあの2人  そして最後、混沌としたスタジオの状態に被せて流れるスタッフロールの中には案の定「監督・松江哲明 山下敦弘」という2人の名前が。  やはり『北区赤羽』『カンヌ映画祭』の流れを汲んだ番組だったことがわかる。  しかし、前2作が山田の暴走に山下(スタッフ)が振り回されるという作りであるのに対し、今作では主にスピリチュアルな素材としての山田を、いとうせいこうが利用し、教祖として奉り、祭り上げていく様が軸となっており、VTRを受けるスタジオパートもあるためか、前2作とはテイストが若干異なる。素材としては山田が主役だが、番組を動かし転がしていたのはいとうせいこうだし、前2作で山田が持っていた熱のようなものは、どちらかというと、いとうに感じた。あえてタイトルをつけるならば『いとうせいこうの教祖誕生』といったところだろうか。  番組を通してやはり目立ったのは、このふんわりとした企画を的確に進行しつつ、それっぽさを添えて番組を成り立たせるせいこうの手腕である。  そしてもう一人、「チャクラを開き大地とつながり太陽を見据える山田のアプローチを『俳優』と呼ぶのであれば、ほとんどの人は『俳優』失格ではないのか? 山田以外に『俳優』はいないのではないか?」と深刻に自問する松岡のヒステリックなコメントぶりが印象に残った。まだまだ伸びしろのありそうな逸材ぶりだ。  ちなみにこの番組はひかりTVで完全版が配信されるらしいので、気になる方はご自身で「山田力」を受信していただきたい。 (文=柿田太郎)

なんだこの番組!?『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』を成立させた、いとうせいこうの手腕

なんだこの番組!?『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』を成立させた、いとうせいこうの手腕の画像1
 7日深夜、突如テレビ東京系列で放送された『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』。  水原恵理アナが、「山田孝之の演技入門をお送りする予定でしたが、大幅に内容を変更してお送りします」と、まるで災害情報を伝えるかのようなテンションで告げて、突如始まったこの番組。突如といったのには、理由がある。この番組は、ほんのすこし前まで『山田孝之の演技入門』として予告されていた枠だった。しかしオンエアの少し前に突如ホームページにて内容の変更が告知され、『演技入門』という、どこか懐かしさを感じるEテレのごときプログラムは『緊急生放送』という、けたたましい煽り文句のついた特別番組に姿を変えた。 ■「山田孝之×テレ東」といえば  そもそも「山田孝之がテレ東でなんかやる」ことには、さんざん我々は振り回されてきた。  山田孝之が、自身を見つめ直すために赤羽に移住し、ファンキーな赤羽の先住民との交流から自己を取り戻す『山田孝之の東京都北区赤羽』。山田孝之が、突如カンヌ最高賞を受賞したいと言い出したことにより、盟友・山下敦弘や主役の芦田愛菜(殺人鬼役!)を巻き込み、カンヌに向かったロードムービー『山田孝之のカンヌ映画祭』。  どちらもドキュメンタリーの形をとりつつ観せる、いわゆるフェイクドキュメンタリーなのだが、見ている我々は「フェイク」だとか「やらせ」だとか、そんな無粋な目線は抜きにして、狂っていく山田孝之を心から心配し、そして彼に振り回される映画監督山下敦弘に心から同情した。  そんな山田孝之×テレ東の組み合わせ。しかし、今回画面上に山田の盟友山下の姿はないようだが……。 ■説明を聞いてもよくわからないまま番組は進む  水原アナの横には、同じく司会で「旗振り役」と紹介されたいとうせいこうが過剰に真剣なトーンでこの番組の意図を語っている。いとうが言うには「山田孝之君がこの番組を通して、日本に、世界に元気を送る、良い元気、幸せな元気を送っていく」とのことなのだが、説明を聞いてもさっぱりわからない我々をよそに、番組はどんどん進んでいく。どこか懐かしい、この置いてけぼり感。  公式Twitterですら「なんせ緊急生放送なんで番組内容はよくわかりません」とつぶやくありさま。  幾何学的なオブジェに囲まれたスタジオの中央には、山田孝之本人がご本尊のように鎮座し、両手を大きく広げ何か瞑想をしている。  番組の意図はよくわからないが、とにかくすごいことが始まりそうなのは間違いない。いとうが言うには、山田はもうすでに日本中に元気を送っている、とのこと。 『演技入門』のゲストとして呼ばれていた、紀里谷和明(映画監督)、小池栄子、松岡茉優も、そのまま出演。それぞれに真剣なトーンで山田孝之をユリ・ゲラーや、はたまたUMAのごとく熱く語る。  特に松岡にいたっては「今回、『元気を出す』じゃなく『送る』じゃないですか? 私『送る』って言葉がすごく響いてて、なんか今日はものすごい奇跡の体験をできるだろうし、俳優として新しいステージを山田さんが見せてくれると思うとなんかこう、わなわなします」と、文字に起こしてみても何一つピンとこない内容を、情感たっぷりに語っており、女優として大事な時期なのに、心配だ。  とにかくよくわからないが、生放送の間に、鎮座し瞑想している山田が世界中に正体不明のパワーを送り、何かとんでもない奇跡を起こす……というのが見どころの番組らしい。  この後、こんな番組をやることになったかという経緯をまとめたVTRが流れる ■番組のきっかけは假屋崎省吾の生花  そもそものきっかけは、いとうせいこうが青山ブックセンターに飾られた假屋崎省吾作の作品(巨大な生花)から、尋常じゃない衝撃を受けたことから始まるという。假屋崎いわく、その作品は、あるテレビ番組を見ていて体が熱くなり、衝動にかられて製作したものだという。作品名はその名も『山田』、素直なネーミングだ。そして「地面から湧き上がるパワーを感じた」と假屋崎が熱弁するその番組名とは、まさかの『山田孝之のカンヌ映画祭』! 点と点が繋がり出す。  しかも何かのパワーを感じ取ったのは假屋崎だけでなく、『~北区赤羽』『~カンヌ映画祭』を観て山田の事務所(スターダスト)に届けられたファンレターには「就職が決まりました」「舞台の主役になれました」「彼女ができました」「花がもう一度咲きました」という多くの奇跡の報告と、それをもたらしたであろう山田への感謝が多数綴られていた。ワイプに映る小池栄子も松岡茉優も、実に真剣に頷いている。  もうこの頃になると、自分がテレ東の深夜番組を見ているのだか、80年代のテレ朝の水曜スペシャルを見ているのだか感覚がごっちゃになってくる。 ■衝撃映像  ここである問題の映像が公開される。  それは『~カンヌ映画祭』の未公開映像だそうで、番組内で山田は鹿児島の実家に里帰りしたのだが、その際に近くの池で撮影されたモノだという。  池と呼ぶには雰囲気のある、森の奥地の泉といった場所で、もののけ姫ならシシガミが、ハリーポッターならヴォルデモートが対岸に現れそうな雰囲気のあるスポットだ。そこで山田が手を水に浸すと、静かだった池の中から何匹もの魚が次々とジャンプし、鳥が多数飛び立ったのだ。  鳥が空に多数飛び立つことは、木々に囲まれた森の中でありえるものと思う。問題は魚だ。静かな泉には似つかわしくない丸々とした魚が何匹も、突如暴れ狂ったようにジャンプを繰り返す。まるで、利根川や霞ヶ浦水系で梅雨の時期に数日だけ突如としてジャンプを繰り返す巨大魚レンギョのそれのようだ。いや、アップの画面がないのではっきりとは言えないが、本当にレンギョにすら見える。はたまた産卵のために堰を遡上しようと群がる鮭のようにも見えなくもない。  しかしレンギョにしろ鮭にしろ、こんな小さな泉の一角に大群で生息などするわけがないし、こんなことが起きているのにカメラも微動だにせず、ズームもしない……。さらに最も驚かされたのは、この光景を山田がまったく意に介していないということだ。なんなら、あまり意識がなかったとすら語っている。  この映像を観たいとうに「昔から動物が寄ってくるの?」と尋ねられ、「『動物が寄ってくるよね』と人に言われたことはある」と絶妙に不気味な回答をする山田。もはやこの山田は、山田孝之であって山田孝之でない。テレ東でだけ見られる、いつもとは違う山田孝之だ。  Vが開けても、山田は目をつむって気を練るように集中している。岡本太郎のようでもあり、Mr.マリックのようでもある。 ■豪華な「サクラ」陣  神秘の映像を受けて、ゲスト陣も山田が只者でない様をここぞとばかりに語り出す。紀里谷監督は、カメラを回したら映像が歪むとか、何かそれっぽいことを言い、小池栄子も以前、山田と共演した際に「自分が苦手とするコメディのアドリブがポンポン出てきた」と山田のパワーを語り、松岡に至っては、駆け出しの頃、山田と目があっただけで血管が「ドン!」となったと熱弁する。  小池のそれは単に相性がいいだけな気もするし、松岡のそれはただの緊張とも言える。しかし彼らは山田のパワーを、もはや疑わない。完全に信者と化し、あっち側の人間と化している。  ここで視聴者からの山田のパワーを受け取ったらしき報告が相次ぐ。 「テレビを見てた猫が毛玉を吐き出した」 「財布の小銭が777円だった」 「お通じがよくなった」  これらに、目を丸くして驚く小池、頭をかかえる紀里谷。一歩間違うと通販番組のサクラに見えなくもないのだが、ゲストの人選が絶妙なせいか、そこに安さはない。 「数年間引きこもりだった僕が、コンビニに行く決意ができました」という報告に、すかさず「ありがとう、そして君も素晴らしい」と返すいとうせいこう。 「ハムスター踊り狂ってる」という報告に「まあ夜だから走る時刻ではあるんですが……」とアカデミックなリアリティを付与するいとうせいこう。  山田という素材を楽しそうに、いとうが調理しているかのようだ。 この後も、 ・金魚の入った水槽に山田がパワーを送る→特に変化は見えないがゲストは光沢や発色が変わったと驚く。 ・スピリチュアルカウンセラーが、山田のエネルギーを絶賛 ・頭に器具をつけ山田のチャクラを測定→山田は宇宙と繋がっている ・山田のパワーを増幅させるため、兵庫の沼島のパワースポットを訪問  と、スタジオのみならず、山田・せいこうコンビが9月中にあちこち足を運んでいた様子が映像で紹介される。深夜の1時間強の単発番組のためとは思えない日数をかけていることがわかる。  去年の夏は、芦田愛菜らとカンヌを目指した山田だが、今年の晩夏は主にいとうと共に、自身のパワーの探求をしていたようだ。 ■突然のライブパフォーマンス  いとういわく「古来、儀式として人間が人間を超えたものと繋がろうと思った時は、リズムと歌と踊りと花とかそういった美術(アート)を捧げることで自分の力を増幅させた」ということで、山田のパワー(山田力)を視聴者に伝えるためにライブパフォーマンスをスタジオで敢行することに。ポリリズミックなリズムとファンキーなベース音に、スペイシーなギターが乗る。さらにさまざまな動物を模した仮面をつけた10数人のダンサーが、鎮座する山田を取り囲み、一心不乱に踊り続ける。途中から、紀里谷監督はカメラを回し出し、刈谷崎は後方で花を生けている。小池も松岡も、一心不乱に踊り出している。  この混沌としたパフォーマンスをバックに「北海道無職。シャワーの出が良くなりました、北海道無職。シャワーの出が良くなりました」「愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました。愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました」と視聴者から送られてきた「山田力」の報告を淡々と読み上げるいとうせいこう。  もう本当に何の番組なのかジャンルすらわからない。 「香川県・大学生、番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました。番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました」 「傘が道端に落ちていて雨に濡れずに帰れました、山田先生ありがとうございます」  もはやこれがやりたかっただけなのでは? とも疑問が湧くほどの、演奏とミスマッチな大喜利。  しかし、演奏が佳境になるに従い、いとうの報告紹介も熱を帯び、叫ぶように変化していく。 「偏頭痛が治りました」 「赤ちゃんが立ちました」  そして北海道・団体職員の「4年間止まっていた時計が動き出しました」という報告の直後、MCせいこうが叫ぶ。「レッツダンス!!」さっきまでの司会の顔が完全にミュージシャンに変わる。  番組終了間際、最後にMCせいこうが叫ぶ「みんながいつまでも元気でありますように! 山田孝之は永遠に元気です! そして、テレビも元気!」  結局パワーは届いたのか、金魚はどうなったのか、もはやなんの番組だったのか、そんなことはどうでもよくなるような力強いメッセージで番組は終了した。まるで岡本喜八の怪作『ジャズ大名』(1986)のような、爽快なエンディング。結局スタジオの山田は一言も口を開くことはなかった。 ■結局、監督はあの2人  そして最後、混沌としたスタジオの状態に被せて流れるスタッフロールの中には案の定「監督・松江哲明 山下敦弘」という2人の名前が。  やはり『北区赤羽』『カンヌ映画祭』の流れを汲んだ番組だったことがわかる。  しかし、前2作が山田の暴走に山下(スタッフ)が振り回されるという作りであるのに対し、今作では主にスピリチュアルな素材としての山田を、いとうせいこうが利用し、教祖として奉り、祭り上げていく様が軸となっており、VTRを受けるスタジオパートもあるためか、前2作とはテイストが若干異なる。素材としては山田が主役だが、番組を動かし転がしていたのはいとうせいこうだし、前2作で山田が持っていた熱のようなものは、どちらかというと、いとうに感じた。あえてタイトルをつけるならば『いとうせいこうの教祖誕生』といったところだろうか。  番組を通してやはり目立ったのは、このふんわりとした企画を的確に進行しつつ、それっぽさを添えて番組を成り立たせるせいこうの手腕である。  そしてもう一人、「チャクラを開き大地とつながり太陽を見据える山田のアプローチを『俳優』と呼ぶのであれば、ほとんどの人は『俳優』失格ではないのか? 山田以外に『俳優』はいないのではないか?」と深刻に自問する松岡のヒステリックなコメントぶりが印象に残った。まだまだ伸びしろのありそうな逸材ぶりだ。  ちなみにこの番組はひかりTVで完全版が配信されるらしいので、気になる方はご自身で「山田力」を受信していただきたい。 (文=柿田太郎)

水道橋博士と太田光が18年ぶりに対峙! テレ東生放送「ビートたけし不在」の醍醐味

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 ついに、恐れていたことが起きてしまった。  あのビートたけしが朝の生放送をやるということだけで驚きだった『おはよう、たけしですみません。』(テレビ東京系)。それも5日間連続で放送するというのだから、大丈夫なのかと思っていた。  実際、たけしは初日から暴走気味。生放送でカットされないのをいいことに、得意のヅラネタをふんだんに連発し、政治ネタから自身が出演している番組のネタまでギリギリのラインで攻め続けていた。  その結果、2日目は謝罪からスタート。その後もCM明けのたびに謝罪を繰り返す、まさにたけしの真骨頂が繰り広げられていた。  そして3日目の10月4日。番組がスタートし、映し出されたのは、誰も座っていない椅子。そう、たけしが来ていないのだ。  もう生放送は始まっている。正直言って、たけしが“ズル休み”をするというのは予想できなくもなかった。事実、1日目、2日目の番組中も、本人の口から予告めいた発言はなされていた。だが、本当にやるとは……。たけしの不在に困惑しているのは、視聴者だけではない。誰も座っていない席の傍らにいる、浅草キッドの水道橋博士と、爆笑問題の太田光だ。 「いるはずの人がいないし、君とはやってられない」と博士が口を開けば、「オレだって不愉快極まりない」と太田も返す。  本番前から険悪なムードで、ひと言も口をきいていないという2人。そう、この2人は“犬猿の仲”で知られる関係なのだ。  それは30年近く前のことだ。やはり、ビートたけしの“ズル休み”が原因だった。1990年、自身がパーソナリティを務める『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)をたけしが休んだ際、その代役を務めたのが、当時若手有望株として「ポスト・ツービート」などといわれていた爆笑問題だった。  そのオープニングで、血気盛んな太田は言った。 「たけしさんがとうとうですね、死んじゃいました」  さらに、ライバルの浅草キッドを挑発。それに怒った水道橋博士が生放送中に“乱入”したのだ。ちなみに玉袋筋太郎は、ちょうど入院中だったため、現場に駆けつけることができなかった。  放送中はプロの芸人同士。芸人vs芸人の対決の範疇で収めたものの、放送後、博士が太田に長時間のマジ説教をしたとも伝えられている。  また、このことで爆笑問題はニッポン放送から数年間、出演禁止処分が下された。その後も、2組のライバル関係は続く。  ともにたけしイズムを継ぐ漫才師として時事ネタに毒を吐く漫才を作り続けているが、同じ時事ネタ漫才でも考え方の違いが浮き彫りになっている。  爆笑問題は矢継ぎ早に毒を吐き、どんどん話題を変えていくことで、テレビでギリギリ使える漫才に仕立てていくのに対し、浅草キッドはその毒を深化させることで、1秒もテレビでは使えないネタをライブ限定で披露しているのだ。  そうした2組が、テレビでがっつり共演したのは、99年の『新春爆笑ヒットパレード』(フジテレビ系)のみ。この時も、つかみ合いのケンカになった(といっても、これは打ち合わせ済みのものだったという)。  2人のテレビでの共演はそれ以来、18年ぶりだ。  たけしからのオファーだから断れない2人が対峙した初日。「ここは38度線だから」と、たけしを間に挟み座る博士と太田。若干ぎこちなさを感じさせつつも、時間がたつにつれ、3人はスイングする。 「橋下徹と東国原はインチキです」などという博士の言葉に、太田が手を叩いて笑う姿は感慨深いものがあった。  そして、たけし不在の3日目。  聞くと、たけしは「2日間の苦情に耐えきれなくて」休んだという。すかさず太田が「俺たちのほうが耐えられないよ! 今日どんだけ苦情来るか」と返し、「なんで呼ばれてない講談社には来るのに、呼ばれてるテレ東には来ないの?」などと、たけしを肴に息の合った掛け合いをする2人。  こんな光景がテレビで実現するとは思わなかった。冒頭で、「恐れていたことが……」と書いたが、違う。これを期待していたのだ。  たけしが4日目も最終日も、来るか来ないかわからない。このまま博士と太田の仲がうまくいくかもわからない。この「わからない」というドキドキ感こそが、生放送の醍醐味だ。それをテレビという不特定多数の人が見る場で、しかも朝っぱらからやるからこそ面白い。「明日はちゃんとたけし来てくれ」と願う自分がいる一方で、「来なくても面白いかも」と思う自分もいる。その引き裂かれる感じがたまらないのだ。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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激戦区の日曜ゴールデン帯に異変! テレ東『池の水ぜんぶ抜く』がNHK大河、TBS日曜劇場に勝利

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『池の水ぜんぶ抜く』テレビ東京
 3日、激戦区の日曜ゴールデン帯に異変が起きた。テレビ東京系の日曜ビッグバラエティ『緊急SOS!超巨大怪物が出た!出た!池の水ぜんぶ抜く大作戦4』が11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率を獲得。裏のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の11.3%、TBS日曜劇場『ごめん、愛してる』の9.2%を上回る快挙を果たしたのだ。 『池の水ぜんぶ抜く』は文字通り、池の水を抜いて、外来生物の駆除、在来生物保護を目指す奇想天外な番組で、ロンドンブーツ1号2号・田村淳、ココリコ・田中直樹がMCを務めている。3日放送の第4弾では、芦田愛菜がゲスト出演し、千葉県千葉市の泉自然公園で超巨大な貝・ヌマガイと遭遇。そのほか、千代田区の日比谷公園でお宝が発見され、神奈川県座間市の立野台公園でかいぼりを行った。  これまでの放送では、第1弾(1月15日)が8.3%、第2弾(4月23日)が8.1%、第3弾(6月25日)が9.7%をマーク。第4弾にして、初めて2ケタ台に乗せた。3日、日本テレビ系の人気バラエティ『世界の果てまでイッテQ!』は22.0%と高い数字を記録したが、それでも『池の水ぜんぶ抜く』は過去最高視聴率をマーク。まさに独自の視聴者層を開拓した形だ。  日曜ゴールデン帯といえば、『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる法律相談所』を放送する日テレの独走状態。昨年10月改編では、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレ東の4局がテコ入れを図った。しかし、TBS系『クイズ☆スター名鑑』はわずか3カ月で終了、同11月に鳴り物入りでスタートしたフジテレビ系『フルタチさん』も11カ月で終了するなど苦戦し、日テレの牙城はまるで崩せなかった。  そんな中、急浮上してきた『池の水ぜんぶ抜く』。不定期放送ながら、他局にとっては厄介な存在になりそうだ。 (文=田中七男)

テレ東キャスター降板の“現場セクハラ”は日常茶飯事!? AD女性を苦しめるテレビ局の「モラル崩壊」

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 テレビ東京の報道番組『ゆうがたサテライト』の進藤隆富キャスターが、ADへのセクハラにより番組を降板していたことがわかった。 「週刊文春」(文藝春秋)によると、進藤キャスターは7月下旬、番組スタッフとの飲み会の後、20代の女性ADを別の店に連れ出し、キスを迫るなどしたという。記事では、テレ東の広報から「社内規程の違反があったため処分した」との回答があったことも記載されている。  この件について、ある全国ネット局の番組ディレクターら制作スタッフの間でちょっとした議論が持ち上がっている。 「キス迫ったぐらいで降板なら、ウチのMCはいなくなる」  SNSにこう書いたのは同局の情報番組ディレクターで、自身が制作している番組の司会者は、酒の席で女性ADの胸をわしづかみにしたり、性的な質問攻めにしたことがあったが、笑い話で終わったという。さすがにマズい暴露だったか、2日後にはその記述は削除されていたが、このディレクターは進藤キャスターの件について「こんなの大問題にすることかね」と処分に異を唱えていたため、同局の女性たちから批判が殺到したのである。 「ADへのセクハラは本当にひどい。被害に遭っている女性はたくさんいて、ようやく最近はコンプライアンスが厳しくなってきたのに、いまだにこういう意識の低い人間が現場には複数いる」  こう話すのは、AD出身で自身もセクハラ被害者だという女性ディレクター。ほかの女性ADからも「偉そうな出演者が立場を利用してセクハラをしてくることがよくある」という話が上っている。  また、テレビ朝日の情報番組を担当していたという女性ディレクターからは「現場のセクハラ、パワハラがひどくて辞めた。先日はプロデューサーに蹴られたADが泣いているのに、何も処分されなかった」との具体的な証言も飛び出しているほどだ。  テレ東の件が他局の問題に飛び火している様相だが、それだけ進藤キャスターの降板はショッキングな話である。進藤キャスターは主に経済畑で記者やディレクターを務めた後、2010年から人気番組『ワールドビジネスサテライト(WBS)』を担当。一時、ニューヨーク支局に勤務していたが、昨年11月から『ゆうがたサテライト』を任された。「フィールドキャスター」を名乗る現場取材派で、過去に番組ホームページに「趣味・ケロロ軍曹」と書いていたことから、視聴者からは「軍曹」のニックネームで親しまれていた。  かつて一緒に仕事をしたことがあるというテレ東の元ディレクターによると「現場では、ときどきオタク心をくすぐることを言っていたのが好評で、愉快なオッサンという感じだった」という。 「幕張でのゲームショー取材では、自らゲーマーであることを公言したり、無知な女子アナそっちのけでマニアックなアニメの話をすることもありました。社会問題を深く突っ込むよりも、そういうやんわりした話のほうが向いているんじゃないかと思うほど。女性スタッフにも割と人気があった人なので、本人はセクハラというより、恋愛のつもりだったのかもしれませんけどね」(同)  過去、番組では自分の結婚披露宴の経験談を基に、若い女子アナにアドバイスをしていたこともある進藤キャスターだったが、前出の元ディレクターは「進藤さんはセクハラに厳しいアメリカで働いてきたのに、そこを学んでこなかったんですかね」と首をかしげている。 (文=片岡亮/NEWSIDER)

「金8」ドラマに本格的に力入れるテレ東 10月期は沢村一樹主演『ユニバーサル広告社』で勝負!

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テレビ東京『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』番組サイトより
「金8」ドラマが好調なテレビ東京が、10月期は『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』で沢村一樹を主演に起用し、勝負を懸けることがわかった。  今期の同枠ドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SECOND SEASON』(小泉孝太郎主演)の平均視聴率は、初回7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でスタート。以後、7.1%→7.5%→7.6%→8.2%と右肩上がりに上昇中。これがほかの民放局の連ドラなら「1ケタ台で低迷」と言われそうだが、テレ東でこの数字は大健闘だ。  同枠では、1月期に『三匹のおっさん3~正義の味方、みたび!!~』(北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎主演)、4月期は『釣りバカ日誌 Season2~新米社員 浜崎伝助~』(濱田岳主演)を放送。今期の『警視庁ゼロ係』を含め、好評のシリーズモノをラインナップして、視聴率アップを図っている。 『ユニバーサル広告社』は、昨年12月に放送されたスペシャルドラマ『ダメ父ちゃん、ヒーローになる! 崖っぷち!人情広告マン奮闘記』の好評を受け、連ドラ化が決まった。原作は、直木賞作家・荻原浩氏の同名シリーズの『花のさくら通り』(集英社文庫)。脚本は、現在放送中のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』を手掛ける岡田惠和氏が担当するとあって、テレ東のヤル気はホンモノだ。ストーリーは、港町の寂れたシャッター商店街に事務所を移転した「ユニバーサル広告社」と、そこに拾われた元売れっ子コピーライター・杉山(沢村)の奮闘ぶりを描いている。  2009年10月期の『浅見光彦~最終章~』(TBS系)で連ドラ初主演を果たした沢村は、その後、テレビ朝日、フジテレビ、日本テレビで主役を経験。テレ朝では、代表作といえる『DOCTORS~最強の名医』をヒットさせた。今回のテレ東作で、在京民放キー局のすべてで連ドラ主演を務めることになる。  前回主演した日テレ系『レンタル救世主』(昨年10月期)は平均7.2%と爆死した沢村だが、出演中の『ひよっこ』では、主人公・谷田部みね子(有村架純)の父役を熱演し、あらためてその存在感を示したばかり。 『ユニバーサル広告社』が2ケタの視聴率をはじき出すことにでもなれば、テレ東的には快挙。そうなれば、テレビ業界での沢村の評価も一層高まり、同局も同枠ドラマにさらに力を入れていくことになりそうだ。 (文=田中七男)

「金8」ドラマに本格的に力入れるテレ東 10月期は沢村一樹主演『ユニバーサル広告社』で勝負!

「金8」ドラマに本格的に力入れるテレ東 10月期は沢村一樹主演『ユニバーサル広告社』で勝負!の画像1
テレビ東京『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』番組サイトより
「金8」ドラマが好調なテレビ東京が、10月期は『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』で沢村一樹を主演に起用し、勝負を懸けることがわかった。  今期の同枠ドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SECOND SEASON』(小泉孝太郎主演)の平均視聴率は、初回7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でスタート。以後、7.1%→7.5%→7.6%→8.2%と右肩上がりに上昇中。これがほかの民放局の連ドラなら「1ケタ台で低迷」と言われそうだが、テレ東でこの数字は大健闘だ。  同枠では、1月期に『三匹のおっさん3~正義の味方、みたび!!~』(北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎主演)、4月期は『釣りバカ日誌 Season2~新米社員 浜崎伝助~』(濱田岳主演)を放送。今期の『警視庁ゼロ係』を含め、好評のシリーズモノをラインナップして、視聴率アップを図っている。 『ユニバーサル広告社』は、昨年12月に放送されたスペシャルドラマ『ダメ父ちゃん、ヒーローになる! 崖っぷち!人情広告マン奮闘記』の好評を受け、連ドラ化が決まった。原作は、直木賞作家・荻原浩氏の同名シリーズの『花のさくら通り』(集英社文庫)。脚本は、現在放送中のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』を手掛ける岡田惠和氏が担当するとあって、テレ東のヤル気はホンモノだ。ストーリーは、港町の寂れたシャッター商店街に事務所を移転した「ユニバーサル広告社」と、そこに拾われた元売れっ子コピーライター・杉山(沢村)の奮闘ぶりを描いている。  2009年10月期の『浅見光彦~最終章~』(TBS系)で連ドラ初主演を果たした沢村は、その後、テレビ朝日、フジテレビ、日本テレビで主役を経験。テレ朝では、代表作といえる『DOCTORS~最強の名医』をヒットさせた。今回のテレ東作で、在京民放キー局のすべてで連ドラ主演を務めることになる。  前回主演した日テレ系『レンタル救世主』(昨年10月期)は平均7.2%と爆死した沢村だが、出演中の『ひよっこ』では、主人公・谷田部みね子(有村架純)の父役を熱演し、あらためてその存在感を示したばかり。 『ユニバーサル広告社』が2ケタの視聴率をはじき出すことにでもなれば、テレ東的には快挙。そうなれば、テレビ業界での沢村の評価も一層高まり、同局も同枠ドラマにさらに力を入れていくことになりそうだ。 (文=田中七男)