強姦疑惑に助成金詐欺――高齢“お友達官僚”と長き安倍政権のよどみ

政治的無風の18年、安倍総裁は3選か

森友学園騒動、加計学園騒動をものともせず、10月の衆院選もしっかり大勝してみせた安倍晋三首相。18年は9月に自民党総裁選を控えるも、これまた勝ちは確実視されている。しかし、5年の長きに渡るこの長期政権のよどみは、各所に垣間見られるようで……。そうした安倍政権の舞台裏を、現役新聞記者らが語り合う!

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『安倍三代』(朝日新聞出版)

A:全国紙ベテラン記者
B:全国紙中堅記者
C:全国紙中堅記者

A 2017年は、森友学園や加計学園をめぐる問題で安倍政権のもろさが見えた1年だったね。希望の党の自滅で衆院選は乗り切ったけど、今年も新たな疑惑が出たら支持率がまた急落しかねない。そんな中で野党が注目しているのが、「もり」「かけ」に続く「スパ」だ。

B スーパーコンピューターの開発を手がけるベンチャー企業「ぺジーコンピューティング」による助成金詐欺事件ですね。東京地検特捜部が逮捕・起訴した同社の齊藤元章社長は、安倍晋三首相と昵懇といわれる元TBSワシントン支局長の山口敬之氏と財団法人を立ち上げた仲。山口氏は同社の顧問のような存在で、彼が永田町の高級ホテルに事務所を構えるための月100万円以上の家賃を、同社が負担していたともいわれています。

C ぺジー社のスパコンについては、麻生太郎財務相も国会で先進例として持ち上げていた。問題発覚後、麻生氏は番記者たちに、ぺジー社のスパコンを「見に行ったくらい」と癒着を否定していますが、齊藤社長が山口氏を通して安倍首相や麻生氏の「ご威光」をちらつかせ国の外郭団体から助成金や融資金を引き出していた可能性は否定できず、次の通常国会で野党からの追及は必至です。

MEMO<>『強姦疑惑』
元TBS記者の山口敬之氏による、ジャーナリストの伊藤詩織さんへの性的暴行疑惑のこと。山口氏は安倍首相と親しく、当時の警視庁幹部による“もみ消し”がささやかれている。

A 検察サイドは担当記者たちに「政治案件ではない」と言って、官邸関与の打ち消しに必死なようだ。ただ、山口氏が助成金詐取の現場にいたら共犯に問われる可能性はあるし、脱税などほかの容疑が引っかかる可能性もある。立件されなかったらされなかったで、ジャーナリストの伊藤詩織さんへの性的暴行疑惑のときと同じく、「官邸から捜査当局への圧力」を疑う声は出るだろうし、尾を引きそうな案件だよね。

B 特捜部の案件としては、年末に大騒ぎになったリニア談合事件も、同じく検察による「安倍おろし」の一環ではないかとささやかれています。リニア新幹線の発注者であるJR東海の葛西敬之名誉会長は、富士フイルムホールディングスの古森重隆会長と並ぶ経済界の保守派の重鎮であり、安倍首相の後見人ともいわれるほど仲が良い。リニア事件で真っ先に家宅捜索された大林組の4代目、大林剛郎会長と安倍首相の関係の近さを指摘する声もあります。17年7月には安倍首相が、リニア新幹線の東京~大阪間の開業を8年前倒しする経済対策を発表し、国からの財政投融資として3兆円を投入することも決まりましたしね。

C ただ担当記者に聞くと、検察の捜査線上には政治家の名前は出てきていないようです。検察による安倍政権への揺さぶりという「陰謀論」的な見方がネットで広がっていますが、現状では「そういう見方もできなくはない」という程度では。

A 確かに、10年の大阪地検特捜部による証拠改ざん事件以来、特捜部はすっかり落ち目。ロッキード事件やリクルート事件などで現職閣僚たちの疑惑に切り込んでいった頃の元気などない。大手メディア側も、かつては特捜部担当に社会部のエース級を4~5人送り込み、わずか40人ほどの特捜部検事を集中的に回らせ、取材競争をなんとか勝ち抜こうとしていたけど……いまでは特捜部による事件の少なさに、担当記者の数を減らす新聞も出るほど。実際、紙面に記事を書ける機会も減っていて、若手がなかなかやりたがらないとも聞く。

B そういう意味で今回のリニア事件は、東京地検特捜部にとって久々の大型案件。12月8日に大林組に最初の家宅捜索に入る際には、気づいていないメディアの記者にわざわざ検察幹部がガサ入れを匂わせ、係官が捜索に入るところの絵を撮らせたようです。特捜部の存在をPRしたかったんでしょうね。でも現状では、民間企業同士の工事契約に関する不正事件にすぎない。政治部や経済部に影響を与えるところまでいかない、いわゆる「社会部マター」として終わりそうで、いまの政権を揺さぶる案件にまでは発展しそうな気がしませんねえ。

C 結局、検察当局も首相官邸に首根っこをつかまれている感じがします。安倍政権になってから内閣人事局ができて、法務省の検察幹部の人事にも官邸の意向が働くようになった。例えば、16年夏に林真琴刑事局長を事務次官に昇格させようとした法務省の人事案。これは官邸の注文でひっくり返り、どこかの高検検事長に転出予定だった黒川弘務官房長が事務次官に昇格したともっぱらです。黒川氏は米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する訴訟や共謀罪の成立などを担当した人物で、菅義偉官房長官の覚えが非常にめでたかった。

A いまの首相官邸は結局、“お友達人事”なんだよね。信頼できるコワモテ官僚たちを引き留めて、政権運営の基軸にする。ただ、第2次安倍政権も5年を越える中で、主要官僚たちの高齢化【1】も目立つ。今年9月の自民党総裁選で安倍首相が3選されたら、戦前の桂太郎元首相を抜いて憲政史上最長の総理大臣となる見込みだけど、側近たちの刷新がうまくいかないと、足元をすくわれることにもなりかねないだろう。

B その総裁選は、岸田文雄政調会長や石破茂元幹事長らが対抗馬とされていますが、「安倍一強」を揺るがすだけの勢力は作りきれておらず、首相の3選は間違いなさそう。18年は国政選挙もないし、政治的には「無風」の年になるかもしれない。

C だからこそマスコミ的には、新元号のスクープ合戦【2】が見どころです。平成の元号は毎日新聞が唯一、発表当日の夕刊早版にねじ込んでスクープしたとされています。ただ、実際は30分ほど早かっただけで、特ダネと認めてない社もあるみたい(笑)。

A 大手メディアの間ではすでに、「新元号だけは抜かれるな」と編集幹部から号令が飛んでいるみたいだね。各社とも宮内庁担当の記者を増強して、19年4月末の天皇陛下の退位に備えているようだ。ただ今回の新元号については、過去の安倍政権の重要事項の決定時と同じく、首相のお気に入りとされるNHK政治部の岩田明子記者が、発表直前にドヤ顔でスクープするのではとささやく記者が多いね。

B 安倍政権長期化の下で、いろんなところに“オリ”がたまっている気がしますね。メディアに潜む“お友達記者”もそうですし、大学もリニアもスパコンも利権のあるところにはすべて首相と仲のいい人物が居座っていて、それがペジー社の齊藤社長のように、その威を借りようとする人物がたまにひょっこり顔を出してメディアに叩かれはするけれど……という感じ。現職官僚と酒を飲むと、トップダウンで物事を決めようとするいまの官邸のやり方に辟易しているという声を本当によく聞きます。第2の前川喜平・前文科次官のような内部告発者が出てきて、加計学園問題のような騒動が再び起きないとも限りませんよね。

(構成/編集部)

【1】主要官僚たちの高齢化
安倍晋三首相が御年63歳なのに対し、元外務次官で国家安全保障局長の谷内正太郎氏は74歳。また、警察官僚出身で官房副長官の杉田和博氏も76歳と、70代も珍しくない。安倍首相と仲の良いことで知られる、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長に至っては、定年をすでに2回も延長しているのである。

【2】新元号のスクープ合戦
「平成」ではスクープをもぎ取った毎日新聞だが、逆に昭和に変わる際は、その毎日新聞の前身である東京日日新聞が、「光文」が新元号だとスクープ、したのだが……一部の社も追いかけたこの「光文」、結局ふたを開けてみたら「昭和」の間違いで、「光文事件」とも語り継がれる世紀の大誤報となってしまった。ちなみに「大正」は、当時朝日新聞の政治部記者であり、のちに政界入りする緒方竹虎が見事に抜いたと語り継がれている。

強姦疑惑に助成金詐欺――高齢“お友達官僚”と長き安倍政権のよどみ

政治的無風の18年、安倍総裁は3選か

森友学園騒動、加計学園騒動をものともせず、10月の衆院選もしっかり大勝してみせた安倍晋三首相。18年は9月に自民党総裁選を控えるも、これまた勝ちは確実視されている。しかし、5年の長きに渡るこの長期政権のよどみは、各所に垣間見られるようで……。そうした安倍政権の舞台裏を、現役新聞記者らが語り合う!

1802_abeseiken_200.jpg
『安倍三代』(朝日新聞出版)

A:全国紙ベテラン記者
B:全国紙中堅記者
C:全国紙中堅記者

A 2017年は、森友学園や加計学園をめぐる問題で安倍政権のもろさが見えた1年だったね。希望の党の自滅で衆院選は乗り切ったけど、今年も新たな疑惑が出たら支持率がまた急落しかねない。そんな中で野党が注目しているのが、「もり」「かけ」に続く「スパ」だ。

B スーパーコンピューターの開発を手がけるベンチャー企業「ぺジーコンピューティング」による助成金詐欺事件ですね。東京地検特捜部が逮捕・起訴した同社の齊藤元章社長は、安倍晋三首相と昵懇といわれる元TBSワシントン支局長の山口敬之氏と財団法人を立ち上げた仲。山口氏は同社の顧問のような存在で、彼が永田町の高級ホテルに事務所を構えるための月100万円以上の家賃を、同社が負担していたともいわれています。

C ぺジー社のスパコンについては、麻生太郎財務相も国会で先進例として持ち上げていた。問題発覚後、麻生氏は番記者たちに、ぺジー社のスパコンを「見に行ったくらい」と癒着を否定していますが、齊藤社長が山口氏を通して安倍首相や麻生氏の「ご威光」をちらつかせ国の外郭団体から助成金や融資金を引き出していた可能性は否定できず、次の通常国会で野党からの追及は必至です。

MEMO<>『強姦疑惑』
元TBS記者の山口敬之氏による、ジャーナリストの伊藤詩織さんへの性的暴行疑惑のこと。山口氏は安倍首相と親しく、当時の警視庁幹部による“もみ消し”がささやかれている。

A 検察サイドは担当記者たちに「政治案件ではない」と言って、官邸関与の打ち消しに必死なようだ。ただ、山口氏が助成金詐取の現場にいたら共犯に問われる可能性はあるし、脱税などほかの容疑が引っかかる可能性もある。立件されなかったらされなかったで、ジャーナリストの伊藤詩織さんへの性的暴行疑惑のときと同じく、「官邸から捜査当局への圧力」を疑う声は出るだろうし、尾を引きそうな案件だよね。

B 特捜部の案件としては、年末に大騒ぎになったリニア談合事件も、同じく検察による「安倍おろし」の一環ではないかとささやかれています。リニア新幹線の発注者であるJR東海の葛西敬之名誉会長は、富士フイルムホールディングスの古森重隆会長と並ぶ経済界の保守派の重鎮であり、安倍首相の後見人ともいわれるほど仲が良い。リニア事件で真っ先に家宅捜索された大林組の4代目、大林剛郎会長と安倍首相の関係の近さを指摘する声もあります。17年7月には安倍首相が、リニア新幹線の東京~大阪間の開業を8年前倒しする経済対策を発表し、国からの財政投融資として3兆円を投入することも決まりましたしね。

C ただ担当記者に聞くと、検察の捜査線上には政治家の名前は出てきていないようです。検察による安倍政権への揺さぶりという「陰謀論」的な見方がネットで広がっていますが、現状では「そういう見方もできなくはない」という程度では。

A 確かに、10年の大阪地検特捜部による証拠改ざん事件以来、特捜部はすっかり落ち目。ロッキード事件やリクルート事件などで現職閣僚たちの疑惑に切り込んでいった頃の元気などない。大手メディア側も、かつては特捜部担当に社会部のエース級を4~5人送り込み、わずか40人ほどの特捜部検事を集中的に回らせ、取材競争をなんとか勝ち抜こうとしていたけど……いまでは特捜部による事件の少なさに、担当記者の数を減らす新聞も出るほど。実際、紙面に記事を書ける機会も減っていて、若手がなかなかやりたがらないとも聞く。

B そういう意味で今回のリニア事件は、東京地検特捜部にとって久々の大型案件。12月8日に大林組に最初の家宅捜索に入る際には、気づいていないメディアの記者にわざわざ検察幹部がガサ入れを匂わせ、係官が捜索に入るところの絵を撮らせたようです。特捜部の存在をPRしたかったんでしょうね。でも現状では、民間企業同士の工事契約に関する不正事件にすぎない。政治部や経済部に影響を与えるところまでいかない、いわゆる「社会部マター」として終わりそうで、いまの政権を揺さぶる案件にまでは発展しそうな気がしませんねえ。

C 結局、検察当局も首相官邸に首根っこをつかまれている感じがします。安倍政権になってから内閣人事局ができて、法務省の検察幹部の人事にも官邸の意向が働くようになった。例えば、16年夏に林真琴刑事局長を事務次官に昇格させようとした法務省の人事案。これは官邸の注文でひっくり返り、どこかの高検検事長に転出予定だった黒川弘務官房長が事務次官に昇格したともっぱらです。黒川氏は米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する訴訟や共謀罪の成立などを担当した人物で、菅義偉官房長官の覚えが非常にめでたかった。

A いまの首相官邸は結局、“お友達人事”なんだよね。信頼できるコワモテ官僚たちを引き留めて、政権運営の基軸にする。ただ、第2次安倍政権も5年を越える中で、主要官僚たちの高齢化【1】も目立つ。今年9月の自民党総裁選で安倍首相が3選されたら、戦前の桂太郎元首相を抜いて憲政史上最長の総理大臣となる見込みだけど、側近たちの刷新がうまくいかないと、足元をすくわれることにもなりかねないだろう。

B その総裁選は、岸田文雄政調会長や石破茂元幹事長らが対抗馬とされていますが、「安倍一強」を揺るがすだけの勢力は作りきれておらず、首相の3選は間違いなさそう。18年は国政選挙もないし、政治的には「無風」の年になるかもしれない。

C だからこそマスコミ的には、新元号のスクープ合戦【2】が見どころです。平成の元号は毎日新聞が唯一、発表当日の夕刊早版にねじ込んでスクープしたとされています。ただ、実際は30分ほど早かっただけで、特ダネと認めてない社もあるみたい(笑)。

A 大手メディアの間ではすでに、「新元号だけは抜かれるな」と編集幹部から号令が飛んでいるみたいだね。各社とも宮内庁担当の記者を増強して、19年4月末の天皇陛下の退位に備えているようだ。ただ今回の新元号については、過去の安倍政権の重要事項の決定時と同じく、首相のお気に入りとされるNHK政治部の岩田明子記者が、発表直前にドヤ顔でスクープするのではとささやく記者が多いね。

B 安倍政権長期化の下で、いろんなところに“オリ”がたまっている気がしますね。メディアに潜む“お友達記者”もそうですし、大学もリニアもスパコンも利権のあるところにはすべて首相と仲のいい人物が居座っていて、それがペジー社の齊藤社長のように、その威を借りようとする人物がたまにひょっこり顔を出してメディアに叩かれはするけれど……という感じ。現職官僚と酒を飲むと、トップダウンで物事を決めようとするいまの官邸のやり方に辟易しているという声を本当によく聞きます。第2の前川喜平・前文科次官のような内部告発者が出てきて、加計学園問題のような騒動が再び起きないとも限りませんよね。

(構成/編集部)

【1】主要官僚たちの高齢化
安倍晋三首相が御年63歳なのに対し、元外務次官で国家安全保障局長の谷内正太郎氏は74歳。また、警察官僚出身で官房副長官の杉田和博氏も76歳と、70代も珍しくない。安倍首相と仲の良いことで知られる、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長に至っては、定年をすでに2回も延長しているのである。

【2】新元号のスクープ合戦
「平成」ではスクープをもぎ取った毎日新聞だが、逆に昭和に変わる際は、その毎日新聞の前身である東京日日新聞が、「光文」が新元号だとスクープ、したのだが……一部の社も追いかけたこの「光文」、結局ふたを開けてみたら「昭和」の間違いで、「光文事件」とも語り継がれる世紀の大誤報となってしまった。ちなみに「大正」は、当時朝日新聞の政治部記者であり、のちに政界入りする緒方竹虎が見事に抜いたと語り継がれている。

キンプリ、デビューもすでに飽和状態? ジャニーズの野望とアキレス腱

ジャニーズの野望とアキレス腱の画像1

 2018年を迎えジャニーズの動きが活発化し、連日のようにスポーツ紙の芸能面を飾っている。

「スポーツ紙は野球や競馬好きの男が読む新聞。ジャニーズの話なんて興味ないのでは~」と言う素朴な疑問を聞くが、狙いは別なところにあるという。

「たくさんの芸能人を差し置いて記事になるのは、注目度が高いからとアピールできる。注目度が高いということはCMなどの仕事面で有利に働く。逆にスキャンダルはマイナスになるから、できるだけ抑える。ジャニーズの伝統的な戦略です。なかなかマネはできない」(広告関係者)

 事実、ジャニーズのゴシップは伏せられ、「CD売り上げ1位」といった良い話は取り上げられる。今年は年明けからスポーツ紙の紙面を圧倒するジャニーズ。1月17日には新たな6人組のグループ「King&Prince」(通称キンプリ)のCDデビューが決定した記事が紙面を飾った。「目指すは世界一」などこれ以上ない賛辞の記事が目に付いたが、実は、ジャニーズの新人グループのCDデビューは4年ぶりのことになる。

 そこにはジャニーズならではの贅沢な悩みが隠されている。かつてはジャニー喜多川社長自ら街に出るなどして金の卵となる少年をスカウトしてきた。東山紀之が渋谷駅前の交差点で声を掛けられ、ジャニーズに入ったことは有名な話である。しかし、時代は移り、ネットが発達した今、スカウトせずとも、自ら応募してくる少年は絶えない。本人よりも母親が「うちの子は可愛い。絶対に木村拓哉ぐらいになれる」と応募してくるケースも珍しくない。スカウトに出ずともネットなどで選べる時代に変わっている。

「大手事務所はビジュアルと履歴でとりあえずいい子をセレクトして入れて、自社でレッスンさせている。そこでふるいにかけてデビューさせるか、落とすか決める。入る側もレッスン代が無料なので、落ちたところで文句は言えない。ジャニーズはすでに300人ぐらいジュニアと呼ばれるレッスン生がいると聞きます」(芸能プロ関係者)

 ジュニアもデビューに向けて熾烈な内部競争があり、デビューするのは狭き門となっている。ビジュアル、レッスンともに認められても、デビューとなるとさらなる難関がある。それは、現役で活躍中の先輩タレントたちの存在である。ジャニーズはテレビを中心に活動するが、先輩がテレビ枠を独占している。下からきた後輩が入る余地などない。

「いくらジャニーズの力をもってしても、出演できる番組枠は決まっている。上がいなくなれば下が入れるが、上の人気が衰えないから、なかなか空かない。嵐の人気が落ちれば、下の者がその枠に入れるのですが、人気が落ちないうちは無理」(テレビ関係者)

 昔は「アイドルの人気は長くて5年ぐらい」と言われていたが、近年、ジャニーズタレントとしての活動期間は10年が当たり前。20年近くアイドルの座を維持しているのもザラになった。男性アイドルはジャニーズの独占状態。まだまだ売れている同じ事務所の先輩をわざわざ降ろして後輩を入れるわけにはいかない。なのに、ジュニアたちは溢れかえり、デビューを心待ちにしている。アイドルを作り過ぎて飽和状態になっているようなもの。

 そんな中、キンプリは選ばれし期待の精鋭部隊という。「事務所も大プッシュ。今年の一押しグループ」と言われ、実際、グループ活動だけでなく、すでにソロとしてドラマや映画出演をしている子もいるという。

「実績がなくてもいきなり主演クラスのドラマに出演できるのがジャニーズの力。ジャニーズには今ではNHKも忖度しますから、ドラマなんか簡単に入れる。これが今のテレビドラマの作り方」(テレビ関係者)

 ジャニーズタレント主演のドラマが増えるわけである。今年はキンプリだけでなく、
関西でも「関ジャニ∞」に続くジュニアが関西ローカルで活動を開始している。勢力をさらに拡大するジャニーズ軍団。その狙いを元ジャニーズ担当記者が話す。

「ジャニー社長は東京の一角をニューヨークのブロードウェーのようにしたいのが長年の夢。そこでジャニー氏がプロデュースした舞台で自身が育て上げたタレントがショーをする。今も日比谷の帝劇や新橋演舞場でショーをやり続けるのは、そんな拘りからです。ただ、時間的に難しくなっているが、2020年に東京五輪が開催される。狙いは五輪のイベント。特に全世界が注目する新国立競技場の開幕式。オープニングのイベントにジャニーズタレント総出のショーをやるのが目標と言われています。プロデュースはもちろんジャニー氏。その時に中心になるのがキンプリら若手だと言われています。ジャニーズタレントが総出でパフォーマンスをすれば、世界にその名を轟かせることができる」

 ジュニアが溢れる悩みを抱えながら、壮大な野望に向けてジャニーズは本格的に動き出している。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

キンプリ、デビューもすでに飽和状態? ジャニーズの野望とアキレス腱

ジャニーズの野望とアキレス腱の画像1

 2018年を迎えジャニーズの動きが活発化し、連日のようにスポーツ紙の芸能面を飾っている。

「スポーツ紙は野球や競馬好きの男が読む新聞。ジャニーズの話なんて興味ないのでは~」と言う素朴な疑問を聞くが、狙いは別なところにあるという。

「たくさんの芸能人を差し置いて記事になるのは、注目度が高いからとアピールできる。注目度が高いということはCMなどの仕事面で有利に働く。逆にスキャンダルはマイナスになるから、できるだけ抑える。ジャニーズの伝統的な戦略です。なかなかマネはできない」(広告関係者)

 事実、ジャニーズのゴシップは伏せられ、「CD売り上げ1位」といった良い話は取り上げられる。今年は年明けからスポーツ紙の紙面を圧倒するジャニーズ。1月17日には新たな6人組のグループ「King&Prince」(通称キンプリ)のCDデビューが決定した記事が紙面を飾った。「目指すは世界一」などこれ以上ない賛辞の記事が目に付いたが、実は、ジャニーズの新人グループのCDデビューは4年ぶりのことになる。

 そこにはジャニーズならではの贅沢な悩みが隠されている。かつてはジャニー喜多川社長自ら街に出るなどして金の卵となる少年をスカウトしてきた。東山紀之が渋谷駅前の交差点で声を掛けられ、ジャニーズに入ったことは有名な話である。しかし、時代は移り、ネットが発達した今、スカウトせずとも、自ら応募してくる少年は絶えない。本人よりも母親が「うちの子は可愛い。絶対に木村拓哉ぐらいになれる」と応募してくるケースも珍しくない。スカウトに出ずともネットなどで選べる時代に変わっている。

「大手事務所はビジュアルと履歴でとりあえずいい子をセレクトして入れて、自社でレッスンさせている。そこでふるいにかけてデビューさせるか、落とすか決める。入る側もレッスン代が無料なので、落ちたところで文句は言えない。ジャニーズはすでに300人ぐらいジュニアと呼ばれるレッスン生がいると聞きます」(芸能プロ関係者)

 ジュニアもデビューに向けて熾烈な内部競争があり、デビューするのは狭き門となっている。ビジュアル、レッスンともに認められても、デビューとなるとさらなる難関がある。それは、現役で活躍中の先輩タレントたちの存在である。ジャニーズはテレビを中心に活動するが、先輩がテレビ枠を独占している。下からきた後輩が入る余地などない。

「いくらジャニーズの力をもってしても、出演できる番組枠は決まっている。上がいなくなれば下が入れるが、上の人気が衰えないから、なかなか空かない。嵐の人気が落ちれば、下の者がその枠に入れるのですが、人気が落ちないうちは無理」(テレビ関係者)

 昔は「アイドルの人気は長くて5年ぐらい」と言われていたが、近年、ジャニーズタレントとしての活動期間は10年が当たり前。20年近くアイドルの座を維持しているのもザラになった。男性アイドルはジャニーズの独占状態。まだまだ売れている同じ事務所の先輩をわざわざ降ろして後輩を入れるわけにはいかない。なのに、ジュニアたちは溢れかえり、デビューを心待ちにしている。アイドルを作り過ぎて飽和状態になっているようなもの。

 そんな中、キンプリは選ばれし期待の精鋭部隊という。「事務所も大プッシュ。今年の一押しグループ」と言われ、実際、グループ活動だけでなく、すでにソロとしてドラマや映画出演をしている子もいるという。

「実績がなくてもいきなり主演クラスのドラマに出演できるのがジャニーズの力。ジャニーズには今ではNHKも忖度しますから、ドラマなんか簡単に入れる。これが今のテレビドラマの作り方」(テレビ関係者)

 ジャニーズタレント主演のドラマが増えるわけである。今年はキンプリだけでなく、
関西でも「関ジャニ∞」に続くジュニアが関西ローカルで活動を開始している。勢力をさらに拡大するジャニーズ軍団。その狙いを元ジャニーズ担当記者が話す。

「ジャニー社長は東京の一角をニューヨークのブロードウェーのようにしたいのが長年の夢。そこでジャニー氏がプロデュースした舞台で自身が育て上げたタレントがショーをする。今も日比谷の帝劇や新橋演舞場でショーをやり続けるのは、そんな拘りからです。ただ、時間的に難しくなっているが、2020年に東京五輪が開催される。狙いは五輪のイベント。特に全世界が注目する新国立競技場の開幕式。オープニングのイベントにジャニーズタレント総出のショーをやるのが目標と言われています。プロデュースはもちろんジャニー氏。その時に中心になるのがキンプリら若手だと言われています。ジャニーズタレントが総出でパフォーマンスをすれば、世界にその名を轟かせることができる」

 ジュニアが溢れる悩みを抱えながら、壮大な野望に向けてジャニーズは本格的に動き出している。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

普遍性の裏に隠れたイデオロギーと時代性――サイゾー的視点から読み解く『漫画 君たちはどう生きるか』

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

『君たちはどう生きるか』

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原作・吉野源三郎
漫画・羽賀翔一

主人公は旧制中学に通う15歳の少年・コペル君。彼は叔父さんと対話を重ねながら、いじめへの対処法について悩む。友だちの家の貧しさに触れては、貧困問題を考える。そして「友だちを裏切る」という辛く厳しい経験も経て、勇気や友情のあり方を考え、成長していく……。ヒューマニズムの精神に根ざした成長譚が感動を誘う、2017年の話題作。


 8月24日の発売から4カ月あまりで100万部を突破と、2017年を代表するベストセラーとなった『漫画 君たちはどう生きるか』。原作本の発行は1937年で、著者は岩波少年文庫の創設にも尽力した編集者・児童文学者の吉野源三郎。近年までは岩波文庫版が広く流通しており、80年にわたって読み継がれてきた名著だ。

 本書が大ヒットしたのは、子ども向けの啓蒙書、道徳の書の色合いも濃かった原作本を、より自己啓発色を強く打ち出し漫画化した点にあるだろう。担当編集者は、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『嫌われる勇気』の編集者として知られる柿内芳文氏と、『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』を手がけた佐渡島庸平氏(コルク代表)という大ヒットメーカーだ。

 また、旧制中学に通う15歳の少年・コペル君と叔父さんとの対話を通じ、いじめ、友情、勇気といったテーマを掘り下げていく内容には、時代に左右されない普遍性がある。一方で物語には、家の貧しさを理由に学校に通えない同級生も登場。彼と接するなかで貧困問題について考える部分は、格差の拡大する現代日本には特に切実に響くテーマとなっており、それもヒットの要因と言えるだろう。

 本稿では、そんな『漫画 君たちはどう生きるか』を、サイゾーにゆかりのある有識者たちが分析。それぞれの専門分野の視点から、ヒットの背景や、本書の裏にある時代性、イデオロギーまで読み解いていく。

(協力/古澤誠一郎)

【お笑い芸人・おたけ】かわいい女子とどう生きるか
【イスラーム研究家・中田考】これは呪縛の書だ
【辛酸なめ子】無職おじさんの共産主義
【精神科医・岩波明】ピュアな革命思想
【クロサカタツヤ】学びと発見のヒント
【音楽ライター・磯部涼】川崎の不良にも届くのか
【音楽ジャーナリスト・小林雅明】これがヒップホップならば
【更科修一郎】あからさまな自己啓発書

普遍性の裏に隠れたイデオロギーと時代性――サイゾー的視点から読み解く『漫画 君たちはどう生きるか』

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

『君たちはどう生きるか』

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原作・吉野源三郎
漫画・羽賀翔一

主人公は旧制中学に通う15歳の少年・コペル君。彼は叔父さんと対話を重ねながら、いじめへの対処法について悩む。友だちの家の貧しさに触れては、貧困問題を考える。そして「友だちを裏切る」という辛く厳しい経験も経て、勇気や友情のあり方を考え、成長していく……。ヒューマニズムの精神に根ざした成長譚が感動を誘う、2017年の話題作。


 8月24日の発売から4カ月あまりで100万部を突破と、2017年を代表するベストセラーとなった『漫画 君たちはどう生きるか』。原作本の発行は1937年で、著者は岩波少年文庫の創設にも尽力した編集者・児童文学者の吉野源三郎。近年までは岩波文庫版が広く流通しており、80年にわたって読み継がれてきた名著だ。

 本書が大ヒットしたのは、子ども向けの啓蒙書、道徳の書の色合いも濃かった原作本を、より自己啓発色を強く打ち出し漫画化した点にあるだろう。担当編集者は、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『嫌われる勇気』の編集者として知られる柿内芳文氏と、『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』を手がけた佐渡島庸平氏(コルク代表)という大ヒットメーカーだ。

 また、旧制中学に通う15歳の少年・コペル君と叔父さんとの対話を通じ、いじめ、友情、勇気といったテーマを掘り下げていく内容には、時代に左右されない普遍性がある。一方で物語には、家の貧しさを理由に学校に通えない同級生も登場。彼と接するなかで貧困問題について考える部分は、格差の拡大する現代日本には特に切実に響くテーマとなっており、それもヒットの要因と言えるだろう。

 本稿では、そんな『漫画 君たちはどう生きるか』を、サイゾーにゆかりのある有識者たちが分析。それぞれの専門分野の視点から、ヒットの背景や、本書の裏にある時代性、イデオロギーまで読み解いていく。

(協力/古澤誠一郎)

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“ぼっち”が卒業理由?ももクロ・有安の意味深言が波紋

1801_momoirocloverz.jpg『ももクロ夏のバカ騒ぎ2017 - FIVE THE COLOR Road to 2020 - 味の素スタジアム大会 LIVE DVD』(キングレコード)

 本当は卒業したくなかったのでは?

 ももいろクローバーZの有安杏果が、1月21日に開催されたライブ『ももいろクローバーZ 2018 OPENING ~新しい青空へ~』をもって同グループを卒業した。

 そんななか、ライブ後半で有安が放った一言がファンをザワつかせているという。

「メンバーそれぞれが有安へメッセージを送るなか、リーダーの百田夏菜子が『本当は10周年は5人で迎えたかったです。迎えられると思っちゃってる自分がいて、ああ叶わない夢もあるんだなって』と発言。すると有安は、『私も10周年は5人で迎えられると思ってました。でも、これは4人のこれからのためにこうするしかなかったから』と返したのです。“こうするしかなかった”との言葉があまりに意味深だったため、観客からもどよめきが起きました」(芸能記者)

 確かに、聞きようによっては、「仕方なく卒業する」とも受け取られるため、ファンからも「何かの犠牲になった?」「裏にとんでもない闇がありそう」といぶかる声が続出している。

 08年5月に結成されたももクロは、あと半年も待たずして10周年になるが、それすら待てなかった事情とはいったい何なのか。

「有安と他のメンバー4人とは、かねてから不仲が取り沙汰されていました。ネット上には有安がわかりやすく仲間外れにされているように見える“ぼっち画像”が連投されており、連続して見ると、どう考えても他のメンバーとの溝があるように映ります」(アイドル誌ライター)

 画像を見てみると、クイズ番組で正解した際に有安以外の4人で抱き合ったり、有安がいつも端っこでひとり浮いているものが、あっという間に10数枚見つかった。

「衝撃的だったのは15年の生放送中でのことです。歌う前から手が震え、歌唱中は呆然と立ちつくし、その後泣きながらダッシュでスタジオを出た“事件”が起きたのです。このときもいじめ疑惑が取り沙汰されました。先日の卒業公演には元メンバーの早見あかりも駆けつけ、6人による画像が公開されていましたが、前列センターの“主役”位置にいたのは早見だったことも物議を醸しています」(アイドル誌ライター)

 1年前から卒業を考えていたというわりに、卒業後の具体的なビジョンがないことも、突発的な“何か”が起きていた可能性を増幅させている。いつか有安の口から卒業の“真相”が語られる日が来るのだろうか。

人が変わるために必要なのは、「好きな人がいること」?――私と【美玲】を連れてって

『桐谷美玲』

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「女性セブン」12月21日発売号にて、女優・桐谷美玲と俳優・三浦翔平の交際が報じられた。二人は同じマンションに住んでおり、しかもこのマンションには、女優・高畑充希と俳優・坂口健太郎も住んでいるとのこと。後者は完全に巻き込まれた感がある。


 山﨑賢人じゃないのか! 桐谷美玲と三浦翔平の交際に関して、そう思ったのは私だけだろうか? もちろん「お似合い」「うらやましい」、もしくは三浦のチャラ男イメージに「美玲ちゃんが心配」などと賛否両論あるのは知っている。だが、大事なのはそこではない。そもそもこの2人、以前から交流はあったらしいが、ドラマ『好きな人がいること』(フジテレビ系)での共演以降に交際しているのである。ならば、なぜ恋人役だった山﨑とじゃないんだ! という話だ。

 ドラマ共演を経て交際するなら「主人公とヒロイン」もしくは「恋人役」であってほしいと思うのは、視聴者のわがままだろうか。山口百恵・三浦友和にはじまり、松嶋菜々子・反町隆史、杏・東出昌大などのように、ドラマの延長線上というか「夢を見続けたい」という気持ちがそこにはある。そういう意味で山﨑は、『まれ』(NHK)で恋人役だった土屋太鳳と交際の噂が出た期待のルーキー。その土屋太鳳とも破局が噂されていただけに、機は熟していたのだが……。

 そうでなくても最近は、水川あさみと窪田正孝(『僕たちがやりました』〈フジテレビ系〉で共演)、戸田恵梨香と成田凌(『コード・ブルー3』〈同〉で共演)といった恋人役パターンではなく、「え、そっち行くの?」といった将棋の駒でいうと桂馬みたいな動きをする女優が多い。

木村拓哉、高視聴率でも崖っぷち!? 役者としての行く末を占う

役者としての木村拓哉の行く末の画像1

 昨年に続き今年も新春ドラマの主演でスタートした木村拓哉(45)。ボディーガード役に扮した「BG~身辺警護人~」(テレ朝系)の初回の視聴率は15.7%と高視聴率発進。しかし、テレ朝関係者は、「これでもギリギリ及第点といったところ。同じ枠で昨年放送した米倉涼子の『ドクターX』に比べれば、5ポイントも落ちる。共演者が豪華なぶんギャラなどで製作費は通常のドラマの倍はかかっている。採算に見合う視聴率を取らないと、次はないでしょう」と手厳しい。

 木村のドラマでは、パイロットや検察官、昨年は医師役と常に「カッコいいキムタク」が優先される。SMAP解散報道から2年。そろそろアイドル卒業が課題と言われるなか、今回はボディーガード。放送前から「カッコいいキムタク」が目に浮かんでいた。

 今やジャニーズ屈指の役者として業界内でも評価の高いV6の岡田准一との決定的な差は「岡田は役になり切れるが、木村はどんな役をやっても、木村拓哉がキムタクを演じているだけ」と言われてしまうことだろう。

 カッコいい木村をさらに盛り立てるのが豪華すぎる共演者たち。初共演になる江口洋介、斎藤工に加え、今が旬の女優・石田ゆり子と主演クラスが顔を揃えた。かつて、長嶋茂雄氏が監督を務めていた時代に、球団が「優勝させなければならない」と外国人選手や他球団の主力選手をお金の力で獲得してきたことを想起させる。その背景には、「木村のドラマ絶対に落とせない」というジャニーズ事務所の強い思いがあるという。

「ジャニーズ事務所に残った木村は、事務所を辞めた元SMAPの3人との間に確執が生まれ、世間に“裏切り者”のレッテルを張られたことで、イメージに傷がついた。事務所としては木村をなんとしても役者として成功させることで、事務所に残った木村が正解だったと、3人や世間に知らしめなければならない。事務所に残ったもう一人である中居はすでに司会者として安定しており、独立しても残ってもタレントとしてやっていけるメドがたつているが、木村の役者としての将来は依然として未知数のまま。不安があるから、万全の体制をとって臨む」(芸能関係者)

 今年は春に映画が公開される。年明けにドラマ、春に映画というのは去年と同じパターンだ。去年は、ドラマは贅沢な共演者の助力もあり、なんとか二桁の視聴率で面目を保った。しかし、主演した時代劇映画「無限の住人」は「血だらけの映画。まるで出血セール」と散々の酷評を受け、興行成績としては失敗に終わった。今年はその二の舞を避けたい。

 さらに今年の主演映画では嵐の二宮和也との共演もある。二宮人気に便乗しようという作戦が透けて見える。

「SMAP時代は嵐など相手にすることはなかったが、今やジャニーズの屋台骨を支えるのは嵐。木村1人の力ではとてもかなわない。結局、二宮人気に便乗して映画ヒットにつなげたいというのが、事務所の本音でしょう」

 一方で、元アイドルはしみじみとこう語る。

「アイドルは事務所に言われたことを忠実に守って実行するだけ。決められた衣装を着せられ、決められた踊りと歌を、決められた場所で披露する。今思えば、アイドルとは自分の意志のないロボットのようなもの。でも売れ出し、年と共に芸能界の経験を積んでいくうちに、自分の意志が出てくる。『こんな歌を歌いたい。あんな仕事もやってみたい』と。ようやく自分の意志が理解されたときが、アイドルからの脱皮なのですが、時すでに遅し。自分の意志で始められた時にはすでに人気はなく、自分の時代が終わっている。ジャニーズを辞めたアイドルの大半が成功しない理由ですよ」

 ビジュアル人気を優先するアイドルと好対照なのが、実力優先のミュージシャンたち。井上陽水、桑田佳祐、小田和正など、日本を代表するミュージシャンたちの名前が浮かぶだろう。ロック界のカリスマ・“XJAPAN”のYOSHIKI(52)が正月のテレビ番組でこんな話をしていた。

「僕は音楽に絶対的な自信を持っていた。衣装もステージ上でのパフォーマンスも誰に指示されることなく、自分たちの好きなようにやってきた。それだけ自分の音楽に自信があった」

 これがアイドルとの決定的な違いである。

 年齢的にも脱アイドルが急務の木村だが、ドラマや映画を観る限り、今年も難しそうな気配が漂っている。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

岡崎京子の”今”――『リバーズ・エッジ』なぜ映画化? あの時代の空気感は今の若者に伝わるのか

1994年に出版された岡崎京子の代表作『リバーズ・エッジ』が映画化されるという。マンガで描かれたあの時代のリアリティにノスタルジーを感じる30~40代の本誌読者も多いはずだが、今の若者は果たしてピンとくるのだろうか――。そこで、同作を現在の肉食系女子に読んでもらいながら、岡崎京子マンガの有効性を問う!

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映画『リバーズ・エッジ』公式サイトより。出演する若手俳優たちは、オジさん&オバさんのノスタルジーに付き合わされていないか……。

 2018年2月16日、映画『リバーズ・エッジ』が公開される。1994年に単行本化された岡崎京子の同名マンガの映画化だ。二階堂ふみや吉沢亮ら若手俳優が出演し、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)などで知られる行定勲が監督を務める。そして主題歌を、岡崎と27年来の友人である小沢健二が書き下ろした。

 映画の公式サイトで、行定監督は「ずっと漫画の映画化に抵抗してきた。しかし、岡崎京子さんの名作はあまりにも魅力的で、ついに手を染めてしまった。私たちが生きた穢れた青春は今の時代にどれくらい杭を打てるのだろうか?」とコメント。試写を観た映画ライターA氏(30代女性)は、「原作に忠実で、90年代を真空パックしたよう」と感想を語る。

「小沢さんの楽曲も、岡崎さんとの絆を知っているなら胸が熱くなるはず。ただ、役者たちが役をどう解釈したのか監督自ら聞くドキュメンタリーが間に挟まれている。ストーリーは90年代だけど、ドキュメンタリーは現在なんです。この点は、『単なるノスタルジーに終わらず、物語の普遍性をうまく表現している』と好意的にとらえる人と、違和感を抱く人に分かれるかもしれない」(A氏)

 とはいえ、映画としてはうまくできていたと評価する。

「時代は違っても、日常に無感動、無感覚という若者ならではの虚無感は、今の子たちにもあるので共感できるのではないでしょうか」(同)

サブカルが無敵な時代に平坦な日常を生きること

 しかし、なぜ今、『リバーズ・エッジ』は映画化されるのか。本誌で「オトメゴコロ乱読修行」を連載する編集者/ライターの稲田豊史氏は、岡崎ファンとして「岡崎京子のベストは、これじゃない」と否定する。

「『リバーズ・エッジ』以前の岡崎作品は、これほどシリアスで“マジ”一辺倒な路線ではありません。例えば、個人的なWベストである89年連載の『pink』や90~91年連載の『ハッピィ・ハウス』(主婦と生活社)は、80年代を引きずった軽薄な“なんちゃって”と、本質を突く“マジ”とのバランスが、6:4か7:3程度で絶妙だったんです。

『リバーズ・エッジ』から岡崎作品に入った人は多いですが、旧来ファンからすれば主張が直球すぎて芸がない」

 同作が一般に受け入れられたのは、時代背景によるところが大きいという。94年といえば、雑誌「クイック・ジャパン」(太田出版)が創刊され、渋谷系に括られた小沢健二とスチャダラパーによる「今夜はブギー・バック」がヒットし、電気グルーヴのテクノ・アルバム『DRAGON』が高い音楽性を評価された。また、プレイステーションとセガサターンが発売され、それまで子どもやマニアのものだったゲーム機がクールな娯楽として世界進出。出版では、前年の93年に鶴見済『完全自殺マニュアル』(太田出版)や布施英利『死体を探せ! バーチャル・リアリティ時代の死体』(法藏館)が刊行、「死/死体」ブームは翌94年も続いていた。

「日陰者だったサブカルが急に社会で大きな顔をするようになった。これほどサブカルが無敵だったマジック・イヤーは後にも先にもありません。また、94年は阪神淡路大震災とオウム事件の前年で、戦争もテロも遠い国の話。バブル崩壊後とはいえ、そこまで深刻な経済状況でもない。“平和で退屈、だから生きづらい”という贅沢な悩みが若者たちの中にあったのです。退屈な日常の先に何があるかと考えたときに、なんとなく“頭が良さそうに見える”サブカル言説を引用し、虚無感に意味付けすることがカッコいいこととされた。その際、いじめ、摂食障害、セックス、LGBT、ドラッグ、自殺など、若者の社会問題がすべて詰まった幕の内弁当のような『リバーズ・エッジ』は、セックスからも死からも遠い、頭でっかちな“大二病”の大学生あたりが飛びついて語りたがるのに、うってつけのテキストだったんです」(稲田氏)

 平和なら平和に感謝して生きればいいのに、援助交際をして生の実感を得たり、セックスには意味がないと嘆いたり、非日常である死体が美しいと語ったり。冷静に考えれば黒歴史決定のようなことを「カッコいい」と言う風潮があったとは……。時代の流れは恐ろしいものである。その後、この作品のエッセンスは、さまざまな形に姿を変え、受け継がれた。

「絵柄は、アシスタントだった安野モヨコさんが継ぎましたが、作風は『リバーズ・エッジ』ほどシリアスではない。自らの女性性に商品価値を認め、制御しながら生き抜く女子たちという部分は、直接影響を受けてはいないですが、後のケータイ小説や浜崎あゆみのほうが近い。さらに、最近では元AV女優で社会学者の鈴木涼美さんの著作にも似た雰囲気を感じます。殺伐とした場所で子どもたちがよるべなく“ただ生きる”という情景描写は、95年放送開始の『新世紀エヴァンゲリオン』にも通じる部分があるでしょう。また、『リバーズ・エッジ』の舞台である書割のような湾岸の団地や工業地帯の風景は、逆に“絵になる”として“工場萌え”“団地萌え”などの美的感覚にもつながっているのでは」(稲田氏)

 90年代半ば以降、社会は大きく揺れ動いた。同作はそれを予見していたのか?

「『世界がこんなに平坦であり続けるはずがない』という感覚は岡崎さん自身にもあったと思いますし、“デカい一発”を心のどこかで期待している読者も当時は多かった。ですから、翌年の阪神淡路大震災やオウム事件に対する“予兆”めいた意味が、後年の作品評価に追加された側面はあるでしょう。96年に、岡崎さん自身が交通事故に遭われて休筆し、“その先の岡崎京子”が読めなくなってしまったことも、この作品と岡崎さんが神格化されることにつながりました」(同)

 あの頃の若者たちは、どうやって大人になったのか。岡崎の手で解答は出されないまま時が流れた。そして今、平坦ではない日常を生き抜く現役の肉食系女子たちは、『リバーズ・エッジ』をどう受け止めるのか。次記事『映画の主題歌を書いた小沢健二って誰?GO-GOダンサーたちが『リバーズ・エッジ』を読む!』で語り合う!

(取材・文/亀井百合子)

ビギナーはこれだけ読めばOK?岡崎京子マンガ名作3選

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【1】いじめ、セックス、ドラッグ……
『リバーズ・エッジ』

(宝島社/1994年)

雑誌「CUTiE」(宝島社)に1993~94年に連載された作品。舞台は、淀んだ河の近くの高校。若草ハルナは、彼氏の観音崎が執拗にいじめている山田一郎を助けたことをきっかけに、彼の“宝物”を見せてもらうことになる。それは、河原に放置されていた死体だった。田島カンナという彼女がいながらも、実は同性愛者の山田。暴力的な観音崎。過食嘔吐を繰り返す後輩でモデルの吉川こずえ。中年男性と不倫しながら、観音崎ともキメセクを楽しんでいる同級生の小山ルミ。彼らが暴走し始めたとき、すべてが壊れていくのだった――。


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【2】80年代的な軽薄さと愛の形
『pink』

(マガジンハウス/1989年)

OL・ユミは、ペットのワニのエサ代を稼ぐために夜はホテトル嬢をする。ユミは継母の愛人である大学生ハルヲと付き合い始めるが、それを知った継母がユミのワニを誘拐し……。岡崎自ら「愛と資本主義」とキャッチコピーをつけた作品。


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【3】崩壊する全身整形のトップスター
『ヘルタースケルター』

(祥伝社/2003年)

95~96年に連載されたが、岡崎が交通事故に遭ったため未完。03年に単行本化された。12年に蜷川実花監督により映画化。全身整形で美貌を得たりりこはトップスターになるが、繰り返される整形と仕事のストレスで心身が崩壊していく。