「10年後も『めろんちゃん』でいたい」――ピアノで“TEPPEN”とったアイドル・山口めろんが語る今、そして未来

 今年1月12日、フジテレビ系で放送された『芸能界特技王決定戦TEPPEN』。そのピアノ部門で優勝したのは、頭にめろんを実らせた、ちょっと不思議なアイドルだった。

 彼女は何者? どんな経歴の子なの? そんな声に応えるため、彼女へのインタビュ-を行った。

――まずは『TEPPEN』優勝、おめでとうございます!

山口めろん(以下、めろん) ありがとうございマスクメロ-ン!

――優勝したときはどんな気持ちでしたか?

めろん 実は、収録の時はあまり実感がなかったんです。放送後にみんなから連絡が来て、「あ、獲ったんだ」と実感が湧いてきて、すごく嬉しくなりました。今もまだその嬉しさが続いているような状態ですね。

 これからは「追われる側」になりますが、今まで、あまりそっちの立場になったことがないんです。いつも、「這い上がって、這い上がって……」という感じだったんで。大学時代もポンコツでした。音楽学科を専攻していたんですけど、上手い人だけが選ばれるコンサートにも選ばれたことなかったし(笑)。

――ピアノを始めたきっかけは?

めろん 親が習わせてくれたことですね。物心ついた時にはもう習っていました。

――『TEPPEN』出演時のエピソ-ドを教えてください。

めろん 収録日の前日がリハ-サルだったんですけど、終わって最寄り駅まで帰ったら、お財布と家の鍵とICカ-ド、全部事務所の人に預けたままだったことに気付いて。「やばい!」って思って電話しようとしたら、携帯の充電が残り1%だったんですよ。「終わった……」と思いましたね。近所にお世話になっているレストランがあるので、そこで電話を借りて事務所と連絡を取れました。

――それは大変でしたね。では、当日のコンディションは万全ではなかった?

めろん そうですね。でも、逆にそれがあったから「どうにでもなれ」「もう失うものはない! 頑張るしかない!」って気持ちにもなって、いい方向にいけたような気もします。

――みんながライバルなわけですが、現場の雰囲気はどうでしたか?

めろん ライバルだからといって、バチバチするということはなくて、どちらかというと「自分との闘い」といった感じですね。みなさん「いかに練習通りに弾けるか」というような、いい緊張感がありました。

 決勝で戦ったこまつさんは「よきライバルだから」って言ってくれたりしています。出演者はみんな音楽が好きだから、そういう意味では“仲間意識”みたいなものがありますね。

――ご家族や地元の方からの反応もあったんじゃないですか?

めろん いかに私が忙しく毎日頑張っていたとしても、テレビに出て、メディアで発信して地元まで届けないと「あれ? まだアイドルやってるの?」と思われちゃうんです。だから、今回ゴ-ルデンタイムの全国放送で、いろんな人に見てもらえて、「めろんちゃん、ちゃんと頑張ってるんだ」って分かってもらえたのが本当によかったです。地元の兵庫・豊岡でも、市の掲示板で宣伝してくれたりとかしてくれて。今は本当に応援してくれています。

■「とにかく表現するのが好き!」

 

――アイドルになったきっかけは?

めろん 「芸能人になりたい」という気持ちは全くなくて。「いろんなものを見たい」っていう漠然とした気持ちで大学進学のために上京して、音楽関係の仕事に就ければいいなと思っていたんです。それが、大学のミスコンに出場したのをきっかけにお仕事をいただくようになって。それから、芸能界にも興味持ち始めて、オ-ディションを受けに行ったりしました。そうして事務所に入った流れでアイドルユニット「怪傑!トロピカル丸」を組むことになったんです。

 それまでは、あんまりアイドルに興味はなくて、“歌って踊る”っていうのもやったことがなかったし、想像できない世界でしたね。初めて社長に握手会に連れて行かれた時、自分の未知の世界だったので、「本当に今後この世界でやっていけるのか?」っていう不安がありました。

 メンバ-が集められてレッスンをして、レコ-ディングをして、CDが出てそれがお客さんの手に渡った時にようやく「アイドルをやってる!」っていう実感を持てたんです。それで、CDの初盤2000枚が売切れた時に、感動したんですよ。「私たちでもこんなにお客さんに喜んでもらえることができるんだ!」って。そこからみんなで一致団結するようになりました。それが、結成から半年ぐらいですかね。それから3年間ぐらいは本気でアイドルをやりました。

――その後、ユニットは解散するわけですが、その時は「もっとやりたい」という気持ちだったんでしょうか?

めろん そうですね。3年目でちょうど視野を広げていこうかなと思っていたところで、他のメンバ-も「女優になりたい」とか「グラビアでやっていきたい」とかそれぞれ目標が育っていて。「辞めたい」ということではなく、そろそろ次のステ-ジには進みたいと思っていました。

 卒業してからも「ユニット時代より下降したよね」って言われたくなくて。それ以上に「頑張ってる」ってどうしても認められたかった。なので、「ユニット時代よりは成長しよう」って頑張りました。

――その気持ちが今でもアイドルを続けているモチベ-ションなんでしょうか?

めろん そうですね。「あの頃の方がよかった」とはどうしても言われたくないし、「絶対今の方がいいよ」って言われたい。それもあったので、解散から半年間フリ-でいた時に、「何か形に残したいという気持ちで本を書きました。

――『アイドルだって人間だもん!』(創芸社)ですね。文章を書くのはもともとお好きなんですか?

めろん 結構創作意欲が強いんです。本を出したのは初めてで、それまであまり文章も書いていなかったんですけど、集中すると一気に書けました。朝から夜中の3時ぐらいまでパソコンに向かっていましたね。

――最初から出版の企画があって書いていたわけではないんですか?

めろん そうではなく、私が書いたものを60社ぐらいに持ち込んで、ようやく出版できた感じです!

――創作意欲の「原点」は何なんでしょう?

めろん やっぱり、やっていて「楽しい」っていう気持ちですね。書籍として形になるのが楽しいし、自分の作品を生み出すのが好きだし。それって、音楽とか芸術全てに通じるものかなって思います。とにかく表現するのが好きなんです!

――影響を受けた人がいるんでしょうか?

めろん 例えば、ピアノでショパンの曲を弾いていると、その曲を作ったときのショパンの心情とかが、曲を通して伝わってくるんです。そういうふうに、時間とか場所とかを超えて、何かを与える人になりたいと思ったのがきっかけなので、私が影響を受けたのは、昔から弾いている曲を作った音楽家たちなのかなと思います。

――ファンの方は、どんなタイプが多いですか?

めろん ユニット時代から応援してくれている方が多いですね。私のファンは、一回応援してくれると、離れていく人があまりいないんですよ! 特に、嫌いになって離れたりとかはないです。直接会いに来る頻度は減ったにしても、ずっとテレビで応援してくれていますね。あとは、『TEPPEN』とかテレビに出るようになってからは年齢層が広がって、ファミリ-とかお子さんも増えてきました。

 お仕事でショッピングモ-ルに行ったときには、「うわ~、めろんちゃん!」ってお子さんが声をかけてくれたりします。あと、娘さんを連れたお母さんが「この子、めろんちゃんを見てピアノを始めたのよ」って言ってくれたりとかして嬉しいですね。

――ファンはどんな存在ですか?

めろん 一言で表すと「友達」ですね。変に「テレビに出ている人」とは思われたくないです。見つけたらいつでも声をかけて欲しい!

■目指すは「チャップリン」みたいな“エンタ-テイナ-”

 

――メディア出演以外に、どんな活動をされていますか?

めろん 『めろんカンタ-ビレ』というイベントを定期的に開催しています。グランドピアノが置いてあるアットホ-ムなレストランで、ファンの方に集まってもらって、ご飯を食べたり飲み物を飲んだりしながら、私のピアノとト-クを聞いてもらうといった内容です。クイズなどの企画もあったりして、私がやりたいことを詰め込んだ空間という感じですね。もうひとつは『アイドルクッキング』。こちらは少人数で、私が作った手料理をみなさんに食べていただきながら、濃厚な時間を過ごしていただくという企画です。

――以前、原宿で「めろんちゃんシ-ル」を配る布教活動をしていましたが、あれは今でもやっているんですか?

めろん 今でも、時間がある時はやろうと思っていて、シ-ルはいつも持ち歩いているんですよ。最初は職務質問とかされて大変だったんですけど(笑)。ゆくゆくは原宿の都市伝説になりたいんです。「あ、めろんちゃんだ。本当にいた-!」みたいな。

――Twitterでは、絵文字をたくさん使ったり、「間違い探し」をやったりと、“めろんちゃんらしさ”が溢れていますが、SNSで発信する上で何か意識していることはありますか?

めろん あれ本当に素なんですよね。やりたくてやってるだけなんで。結構周りから「あのツイ-ト一周回って怖いよ」って言われることもあるんですが(笑)。普段からこんな感じのテンションなので、それを文章でも伝えたいなって思ってます。

 今どきのアイドルさんって、結構何でもTwitterに書いちゃうじゃないですか。「辛いことあった」とか「病んだ」とか。それに親近感が湧くっていうのも、わからなくはないんです。でも、私はやっぱりみんなに「楽しさ」とか「元気」を届けたいので。辛いことがあったとしても、「でも楽しい~!」みたいな気持ちで発信しています。読む人に心配もかけたくないですし。まぁ、たまに食生活が偏りすぎてファンのみなさんに心配をかけちゃうことはありますけど(笑)。

――メロンの名産地である茨城県八千代町の観光大使としても活動されていますが、これから新たに挑戦したいことはありますか?

めろん まだ自分のやったことがないジャンルに足を踏み入れてみたいです。例えば、政治やニュ-スを勉強して、今までの自分とギャップがあるようなこともしてみたい。ワイドショ-に出たりとか。「こう見えて、実はいろいろできるんだぞ」っていうところをアピールしたいです。

 あと、これまでに出した本を元にして、いろいろなメディアにも展開できればと思っています。普通のアイドルさんがやらないようなことをやって、質を高めていきたいですね。

――10年後はどんなことをしていると思いますか?

めろん 10年後も20年後も『めろんちゃん』でいたいです! ディズニーとか、アンパンマンのようないつまで経っても変わらない“キャラクタ-”みたいな感じで。だから、自分を曲げずに、ずっとこのままでいきたいです。

 みなさんが辛い時や悲しい時も、「めろんちゃんを見たら元気が出る」と言ってもらえるような存在になりたくて頑張っていますので、もしも辛い時があったらどういう形でもいいので、私を頼って欲しいです! いろいろな形でみなさんを元気づけられるような存在になりたいです。

――「めろんちゃんに憧れてアイドルになりました」っていう子が出てくるかもしれないですもんね。

めろん そうなりたいです! あとは、「チャップリン」みたいな“エンタ-テイナ-”になるのが目標です!

 一見、そのルックスや言動から、イロモノ的な見方をされてしまいがちな彼女だが、信念として持っているのは「みんなを元気にしたい」という正統派の気持ちだということが伝わってきた。

 近頃、アイドルの卒業やグループ解散などが続いている。もし悲しんでいる人がいたら、一度めろんちゃんに会いに行ってみてはどうだろう。絶対、幸せを分けてくれるだろう。
(取材・文=プレヤード)

●山口めろん(やまぐち・めろん)
兵庫県豊岡市出身。「怪傑!トロピカル丸」などのアイドルユニットで活動後ソロに。得意のピアノを活かし、『芸能界特技王決定戦 TEPPEN』に2016年から参戦。3度目の出場で見事優勝を果たす。『Emotional Beat 姫ラジ』(レインボ-タウンFM)、『えりぬきアイドルがその場で調べるニュ-スの結論(略して)バラ売り』(Kawaiian TV)レギュラ-出演中。

ブログ『山口めろんのめろんの気持ち』
https://ameblo.jp/memememelonchan/

Twitter:@memememelonchan

 

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