恐竜からモアイ、宇宙人まで……カオスすぎる韓国のジュラシックパーク『安眠島ジュラ紀博物館』

「韓国のジュラシックパーク」と聞いて、胸を熱くするのは筆者だけではないはずだ。韓国と恐竜というダイナミックな要素のぶつかり合いは、いったい何を生み出すのか?

 その結果を見届けるべく、ソウルから高速バスで3時間かけて忠清南道・泰安(テアン)郡にやってきた私。ここは朝鮮半島の西端(もちろん韓国領基準)もある海辺の町なのだが、目指す安眠島(アンミョンド)へは、さらに1時間以上バスに乗ることとなる。

 日も暮れたころ到着した安眠島では、船の形をした「タイタニック」なるゲストハウスに宿泊。人の気配のしない地の果ての宿で難破船気分を味わった翌朝、タクシーに乗り込み向かった先は、ジュラシックパークのある『安眠島ジュラ紀博物館』だ。

 

 安眠島ジュラ紀博物館は、2011年7月、約1万坪の敷地に爆誕した私設博物館。メイン施設は3階建ての展示室となっており、スウワッセアの骨格、ティタノサウルスの卵、スピノサウルスの骨格など、世界的にも珍しい化石を保有する、至って真面目な恐竜博物館となっている。

 しかし珍スポトラベラーがチェックしなければならないのは、博物館から見下ろすように広がる庭園だ。そこには恐竜の模型らしきものが、所狭しと並んでいた。

そう、ここが韓国のジュラシックパークだ!

 

 体内が滑り台になっているティラノサウルスと、ガオーと叫びながら首としっぽをゆらゆら動かすブロントサウルスをメインに、さまざまな恐竜の模型や化石などが設置されている。

 上記ふたつの恐竜像は巨大なうえ、かなりリアルだが、中にはお化け屋敷に置かれていそうな、ユルすぎる造形の恐竜も……。

 さらにそれよりヤバいのは、クジラ、ゴリラ、ゾウ、サソリ、ペガサス、モアイなど、微妙に恐竜とは関係ないキャラクターがところどころに投入されていることだ。

 

 まさにカオスの極み……。いや待て、一見むちゃくちゃなようだが、それぞれに「恐竜的な要素」が潜んでいるとは言えなくはないか? 巨大生物もモンスターも女体も、そのダイナミックな姿が「恐竜的」と言えなくはないか?

 そう自分に言い聞かせながら、敷地のさらに奥へと進んでいく私の前に、より恐竜とかけ離れかけた展示物が立ちはだかる。

 

 もちろん「ジュラシックパーク」という看板が示していたのは、この庭園全てではないという見方もできる。それにしても「ジュラ紀博物館」のコンセプトから大きく外れ、「ま、子どもが喜べばいいんじゃないの」的に増えていったであろう、暴力的な(そして必要以上にクオリティの高い)模型の数々は、まさにダイナミックコリアの面目躍如であった。

 そこに韓国がある限り、珍スポの旅はまだまだ続きそうだ。
(文・写真=清水2000)

●安眠島ジュラ紀博物館
住所 忠清南道泰安郡南面コムソム路37-20(申温里641-3)
営業時間 9:30~17:30
定休日 月曜
入場料 大人1万ウォン
サイト  http://www.anmyondojurassic.com/html/main.html

孤高の発明家の脳内世界に呆然とする「デロン展示館」

孤高の発明家の脳内世界に呆然とする「デロン展示館」の画像1
情報が多すぎて、何がなんだか……
 ソウルの人気スポットである弘大エリアからちょっと外れたところにある、時代から取り残されたような雑居ビル。1階は在来市場となっており、天井の低い湿った空間には、4,500ウォン(450円)とソウルでは激安の定食を出す食堂や、埃をかぶった衣料品店、業者向けの卸売店などが並んでいる。そしてその一角に、ひときわ異彩を放つ空間があった。
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すでになかなか香ばしい空間なのだが、さらに奥には……
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異界への扉が!
 規則的にうねうねと反復される赤・黄・緑のパイプ。サイケデリックで宇宙的、どこか触手のようでもある謎のオブジェを中心に、人形・造花・CDなど統一性のない小物や、手書きのメッセージがびっしりと視界を埋め尽くす。  作品が発する尋常ならぬエネルギーに、思わず打ちのめされそうになる。どこから突っ込んでいいのかまったくわからない。
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人形の頭は、逆さにした壺
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ヨン様と、折り鶴と、シースルーすぎる帽子
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もう無理
 あちこちに掲げられたメッセージを読むに、メイン展示物は「デロン」と呼ばれるパイプのようだ。子ども向けの玩具だろうと想像する一方で、「デロンは産業の原動力」「デロンは働き口を創出」といったメッセージも並び、混乱させられるばかり。  さらに作品は、「デロン展示館」と書かれた扉の周辺のみならず、市場内に点在していた。住人は気にならないのかと心配する一方で、隣の食堂も、明らかに自分のエリアではないデロン展示館の前に机を並べてるわけだから、お互い様か。
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ほとばしるメッセージ
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ここは桃源郷か
 謎を解明すべく、半開きになっている恐る恐る扉を開けてみる。そこには外部以上に複雑なデロンで囲まれた圧迫感ある空間があり、初老の男性がひとりデスクで昼寝していた。この男性こそが、「ワールドデロンシステム」を開発した発明家、パク・シンジェさん(73歳)だ。
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熱弁をふるう発明家
 アポなしで訪れたにも関わらず、快くインタビューに応じてくれたパク博士。彼の話によると、デロンは8つの接続部分と6つの連結部分からなり、これだけでどんな形でも簡単に作れるという。大きさは3種類あり、教育用玩具にもインテリアにもなる(コーティングすればお風呂にもなるとか)。  彼はもともとは大工だったが、木と木を連結するのにこの形のパイプさえあれば、安価なうえどんな形にも対応できることに思い至り、1985年から研究を開始。92年には商標も登録し、特許も持っているそうだ。  と、ここまでの取材は順調だったのだが、博士のマシンガントークはいよいよ加速し、話はビッグバンのように膨らんでいくので、私の乏しい理解力と語学力では正直ついていけなかったことを告白する。  朦朧とする頭でなんとかキャッチできたのは、「デロンが住宅問題を解決し、貧富の差を解消」「誰でも簡単に扱えるから、働き口の創出にもなる」「デロンが人間らしく生きられる世界を創造」「デロンは世界の共通言語となる」「ギネスにもユネスコにも登録されるべき発明」……。
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隣をふと見ると、人形の着ている服がデロン模様
 質問を挟む余裕を与えない怒涛の1時間が過ぎ、おなかがキリキリと痛くなった私は、話の途中だったが、礼を言っておいとました。  デロンがどれだけすごいのか何もわからなかったが、しかし70を過ぎても衰えない博士の想像力と情熱は、リスペクトに値するものがあった。いつの日かデロンがギネスに載り、世界中の人々がデロンを使ってコミュニケーションを取る時代に備え、あなたも一度デロン展示館を訪れてみてはいかがだろう。 (文・写真=清水2000) ●デロン展示館(ワールドドローンシステム) 住所 ソウル市麻浦区東橋路12キル21(西橋洞485-14) サイト http://www.derong.kr

Mr.トイレットの私宅はうんこまみれ「トイレ文化展示館 解憂斎」

Mr.トイレットの私宅はうんこまみれ「トイレ文化展示館 解憂斎」の画像1
Mr.トイレット、そしてうんこ
 地味に20回目を迎える今回は、水原(スウォン)市に位置する有名スポット「トイレ文化展示館 解憂斎(ヘウジェ)」を訪れた。市街地から外れた森の中、洋式便器の形をした2階建ての建物が、メルヘンのように登場する。
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うんこに国境はない
 ここは、「世界トイレ協会」なるものを設立し、世界のメディアから「Mr.トイレット」と呼ばれるまでに至る沈載徳(シム・ジェドク)さんが、2007年に自宅を改築した建物だ。Mr.は09年に亡くなってしまうが、建物は彼の遺志により市に寄贈され、翌年には「トイレ文化展示館」として一般開放されることになる。
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いい表情の野グソ少年がお出迎え
 館内は、トイレやうんこにまつわる真面目なパネル展示が並ぶ。見どころは、Mr.が実際に使っていたトイレであろう。大きなフロアのど真ん中にトイレットルームが鎮座し、壁には大きなガラスがあしらわれ、外から丸見えとなっている。  このドへんた……いや、排泄というアンダーグラウンドカルチャーを世に開放する、Mr.の哲学がここにある。なお、ボタンを押せばガラスを不透明にできる仕掛けも。
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便器前の等身大パネルが、Mr.の放尿シーンを連想させる
 トイレやうんこにまつわるスポットと聞いて、B級テイストのものを期待してしまったが、実際にはキッズ向けのお勉強スポットという様子だ。家族連れが多く、和気あいあいと展示物を楽しんでいる。  お次は、展示館の横に12年に完成した「トイレ文化公園」へと向かった。パンフレットを見ると「東西トイレ史の変遷が一目でわかる」とあるが、果たしてどうだろう。  小さな庭園には、トイレやうんこのオブジェ、さまざまなスタイルで排泄を試みる人々の像が並んでいた。
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よっしゃー!
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わーい
 なんか細部が必要以上にリアルなんですけど、これ大丈夫なの?  匂ってきそうなほどリアルなうんこオブジェから、ファンシーすぎて腰が砕ける石像、うんちのゆるキャラまで、排泄物及び排泄行為のオンパレードだ。  訪れた子どもたちは楽しそうにはしゃいでいるが、よくよく考えるとちょっとまずいのではと心配になる、奇妙なこだわりのつまった展示物の数々に、正直「東西トイレ史の変遷」どころではなくなってしまった私がいた。
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子どもの肛門から、まっすぐなボルトがにょきりと
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考える人は洋式トイレで……って、あなたはなぜうんこ色なのか?
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突然現れたリス、かわいいなあとよく見たら、性器の描写がすごい
 最後に、15年に追加された展示施設「ヘウジェ文化センター」もチェック。こちらは「子ども体験館」や「糞図書館(日本語パンフ原文ママ)」もあり、キッズ向けのお勉強色をさらに強めている。
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肛門からぼろぼろ出てきたボールを、再び口の中に押し込むという謎のプレイに熱中する少年。「触ってみよう!」と書かれた、感触をも再現したのであろうリアルなうんこ模型もあった。
 子どもたちの未知の扉を開いてしまうのではと思わせる、ストレンジな何かがつまったテーマパーク。ここが奇異に思えるのは、私たちが大人になってしまったから?  帰りのバスを待ちながら、しばらく本気でうんこのことを考えた。 (取材・文=清水2000) ●トイレ文化展示館 解憂斎 住所 水原市長安区長安路458番キル9 営業時間 10:00~18:00(11~2月は10:00~17:00) 休館日 月曜 サイト http://www.haewoojae.com/