フジテレビ『隣の家族は青く見える』4.6%と超低空飛行も、深田恭子の“善き人”ぶりに注目!?

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。

 なかなか子どもができない奈々に、子どもがらみの事件が降りかかる第5話は4.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、さらにダウン。NHKで放送されていた平昌五輪のカーリングが高視聴率だったことが響いた模様。4家庭の現状から振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■また深雪の逆鱗に触れる事件が

 

 人工授精に向けて動き出した大器(松山ケンイチ)と奈々(深田恭子)夫妻。

 急きょ確定する排卵日の前日・前々日に合わせて、採れたて精子を医師に提出することの苦労を語る大器。奈々も、会社に理由を伏せながら3連休を取らねばならぬため、理解ある職場だが、それでも軽く注意されてしまう。確かに「人工授精のために」とは言えないだろう。

 大器は「『今日は精子とってから出勤しまーす』とか『人工授精終わってから出勤しまーす』とか言えるべきなんだよ~」と愚痴るが、それも確かに。妊活に前向きに向き合いだす大器の変化がわかる。後日、奈々は精子の温度が冷えないようタオルでくるみ、大切に運んだが、これらの活動が何ひとつ会社に言えないということが、ある意味一番つらいのかもしれない。

 よい精子をつくるために自転車に乗りすぎない(圧迫が×)とか、膝上ノートパソコンはよくない(精巣の高温×)などの情報も、ためになる。

 ゲイであることをを中傷するヘイトなビラが会社に配られたことをきっかけに、デザイン事務所からの独立を決めた広瀬。あんなの気にすることないと同僚・長谷部(橋本マナミ)は引き止めるが、決意は固い。

 川村亮司(平山浩行)が前妻の子を引き取ることで、出て行くことを決めた、ちひろ(高橋メアリージュン)。引っ越し費用を出すからと謝る亮司の言葉が、ちひろの気分を害する。言ってほしいのはそこじゃない。「すぐに出て行かないで、チャンスあげたのに、何にも言ってこない」と奈々・朔(北村匠海)ら女子トーク仲間にも愚痴っていた。

 だが、自分の責任のため、迂闊なことは言わず罪を被っているつもりの亮司。平行線どころか、別れ間際で、さらに溝が深まってしまう。

「男なんてプライド高い小心者ばっかりだから、リスクあることするわけない」「より戻したいなら女の子から言わなきゃ」と朔からアドバイス。

「違う環境で育った人間同士が心を通わせるなんて、そもそもムリなことしてるんだから、恋愛関係が続くこと自体奇跡」

「めんどくさいことや些細なことを乗り越えて、それでもこの人と! って思えた人と奇跡の山恋愛に登頂できる」

 朔先生のありがたい言葉に耳を傾ける生徒2人。

 深雪(真飛聖)は、奥様らと自宅で優雅にランチ……かと思いきや、まさかの、リア充ぶりを撮影させる有料サービス。

「この度も『リア充代行サービス・ハピネス』をご利用いただきありがとうございました」と、普通言わないであろう丁寧な説明セリフ有り。以前登場した高級バッグもここのレンタル&撮影だったようで、虚栄心が満たされず「いいね」依存が止まらない。

 この席で、他の3家族への愚痴や暴露が止まらない深雪。夫の無職の件などしゃべりすぎで心配なほど……。

 深雪はこのとき、大器と奈々のことを「アライカップル」と揶揄していたが、アライとはLGBTに理解・支援するスタンスのこと。ゲイである広瀬らだけでなく、それを許容する奈々達も気に食わないのだ。

 一方、長女の優香(安藤美優)は、友人の代役でダンス番組のオーディションに参加するが、塾からの連絡でサボったことが深雪にばれてしまう。

 

■娘のために嘘をつく真一郎

 

 深雪は、偶然通りかかった奈々に次女の萌香(古川凛)を預けて、慌てて塾へ。揶揄していたくせに。しかし、子どものできない2人には、これが貴重な擬似体験に。

 帰宅後、何をしていたか本当のことを言えない優香のため、自分が誘い出したと真一郎(野間口徹)が助け舟を出す。真一郎は優香がダンスを練習してるところを偶然見かけ、練習に打ち込む姿に感激していた。

 自分と会っていたというのは、もちろん優香を助けるための嘘だが「こうでもしなきゃ子どもたちとの時間作れないから」と語った気持ちは本物だろう。

 中学受験合格が悲願の深雪と、子どもの気持ちを尊重したい真一郎。出張時代、子どもの面倒を見てきたというプライドから「暇になったからって、急に口出さないでよ」とキレる深雪。言い返せない真一郎だが、どんどん火薬が蓄積されていってるような危険を感じる。

 深雪のキャラは相当嫌われる作りになっているのだが、それでも次女・萌香の無垢な笑顔に癒やされたりするシーンがごく稀にあり、首の皮一枚で救いを持たせている。

 今回は真一郎が優香にダンスを応援する旨をこっそり伝えたり、優香も中学受験について「辞めたらママがっかりするから」と母を想う気持ちを見せるなど、救いを入れている。

 今さらだが野間口の気弱な夫ぶりは見事で、地味ながら「顔」でしっかり芝居を見せ、「お前まで俺をバカにする気か」と、落とした小銭を追いかける哀愁も実にハマっている。

 

■謎の女が動きだす

 

 広瀬の同僚・長谷部が朔の働くバーに、いきなり訪問。朔について調べた調査報告書をチラつかせ「世間知らずのおぼっちゃまかと思ったら結構複雑な生い立ちなのね」といきなりバケの皮を自ら剥ぐ。

 中傷ビラも、広瀬と朔を別れさせるため長谷部がやったことで、「あなたは彼には相応しくない。彼の将来に邪魔になるようなことだけはしないで」と脅す。

 朔も初めは動じなかったが「広瀬くんのとこに転がりこんだ理由も話した?」と言われたとたん、言葉を失う。どんな理由があったのか。帰り際「ご馳走様」と注文した白ワイン代を払わず去るところが、長谷部の性格を表している。

 ちなみに調査報告書によると、朔のバーがあるのは渋谷の松濤で、ドラマの舞台となるコーポは世田谷区上用賀東2-1-4。東という住所はないが、上用賀2-1-4で検索すると、現在休苑中の馬事公苑がヒットする。いいとこ住んでますね。

 

■琴音の出産に立ち会い

 

 大器の妹・琴音(伊藤沙莉)が破水し、出産に立ち会う奈々。実は少し前に自分の人工授精が実らなかったのに、なぜが他人の子ども問題が次々降りかかる。

 緊迫した手術シーンの後、祭りで神輿を担いでいたとのことで、ハッピ姿で慌てて病院に駆けつける両親(春海四方・高畑淳子)と夫(前原滉)がスローモーションなことに爆笑。胎盤早期剥離でやや小さい子ながら無事出産。医師の説明を聞きながら2人目を見つめ合うのが大昔のジャンプの恋愛漫画『キックオフ』みたいで良かったです。

 ここまで肝っ玉母さん一辺倒だった聡子(高畑)も、奈々が不妊治療していたことを知り、自分の無神経さを後悔する。

「小さい頃は、大人になったら誰でもお母さんになれるものだって思ってたけど、実はそうじゃなくて、お腹の中に赤ちゃんが宿ることも、この世界に赤ちゃんが宿ることも、すくすく成長することも、みんな当たり前のように見えてるけど、本当は一つ一つが奇跡」と、ますます子どもが欲しいと強く思えた奈々。

 同時に、うらやむことをやめ「私は妊娠できないだけじゃない、まだ妊娠してないだけだって」と前向きに切り替える。本当に善の人ですね、奈々は。感情を強く出すと変な感じになっちゃうことの多い深キョンですが、こういうマイペースな雰囲気はマッチ。

 そして、決別し出て行く間際、無言で見つめあった瞬間、いきなりおっぱじめる亮司とちひろ。ここまで言えなかった気持ちが、セックスとして爆発。タランティーノの映画みたい。予定を切り上げ不意にやってきた亮太に、下着姿のちひろが見つかってしまうも、普通に挨拶する大人な亮太。

 終わり際まで見所が多く、尻尾まであんの詰まったたい焼きのような回。とりあえず、どうせうまくいくんだろ? と斜に構えながらも、ちひろと亮太の距離がどうなるのかが楽しみでなりません。
(文=柿田太郎)

 

『隣の家族は青く見える』アウティング上等? “オープンゲイ”北村匠海のキーマンっぷり

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。人工授精をめぐる激論や、広瀬(眞島秀和)がゲイだとバレる第4話は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回の5.9%から横ばい。振り返ります。

 

■人工授精を嫌がる人々

 

 主治医(伊藤かずえ)に人工授精を勧められた奈々(深田恭子)は「すごく人工的なものを想像しちゃうけど、実際には自然妊娠に近い治療法」と前向きに取り組もうとするが、拒否反応を示す人々も。

 夫の大器(松山ケンイチ)は「第3者の手が加わるっていうのがなあ」「理屈ではわかってるけどなんか抵抗ある」と割り切れない。

 職場の商品会議で「世の中、人工的なモノで溢れてるから、天然素材にこだわりたい」と、世に溢れる「自然」信仰「人工」否定論を口にしており、この悪意なき思考が人工授精への拒否反応に根底でつながっているのだろう。

 そして初登場の奈々の実母・春枝(原日出子)。当初は親子仲睦まじい雰囲気だったが、不妊治療、人工授精と聞いた瞬間に顔を歪める。

「子どもは自然に任せるのがいいに決まってる」というだけでなく、話を先に進め、「うちの子は体外授精で生まれましたって人に言える?」「自然に生まれたんじゃないことを理由にいじめられたらどうする?」と詰め寄る。

 偏見だと言い返す奈々に「偏見があるのが世の中ってもんなの」という考え方。実際、ありがちな意見を元にしてるのだろう。

 しかし、終盤「親は自分の子どもが苦しんでる姿を見るのが一番つらい」と不妊の身体に産んだことを詫びる母を見て、意見は違えど実際そうやって自分を想い育ててくれたことを実感し奈々は涙する。

 大器の人工授精に対する抵抗感を取り払ったのは、妹の琴音(伊藤沙莉)。

「自然分娩じゃないと子どもに愛情が湧かないんじゃ?」と夫に言われた琴音は、母乳や自然妊娠にこだわりたくても、それぞれの事情でそうできない人々がいることに触れ、「そういう人たちの気持ち全く考えないで自然自然って言うのも、どうかと思う」と「自然神話に取り憑かれれてる人」を斬る。

 帝王切開にはなんの偏見もないのに、自然妊娠にはこだわってた自分にふと気づく大器。その瞬間、注文してた「オーガニック」ドリンクが届くという皮肉が綺麗。

 

■ゲイを公表すべきか

 

 好意を寄せる同僚・長谷部留美(橋本マナミ)に対し曖昧な態度を続ける広瀬を快く思わない広瀬のパートナー・青木朔(北村匠海)は「女性の好意を利用して自分のセクシュアリティをカモフラージュするなんて、最低の人間のやること」と詰め寄る。

「たった一度の人生なのに自分を偽って生きるのは虚しくない?」

「親が生きているうちはカミングアウトしないことが、せめてもの親孝行だと思ってる」

 ゲイであることをオープンにする朔と、オープンにできない広瀬の対比が今回も軸だ。おそらく広瀬は朔のようになりたいが、そもそもの性格もあるだろうが、親だったり職場だったり、さまざまななしがらみを気にしてそうなれない。だから奔放に振る舞う朔に惹かれてるのか。

「世の中のほとんどの人が、ゲイっていう存在を、自分とはまったく関係のないファンタジーか何かかと思っている」という朔の言葉が我々に突き刺さる。

 前妻との子どもを引き取ることにした川村亮司(平山浩行)は、子どもを作らないと約束してた杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)との同棲を解消することに。子どものベッドや勉強机の購入を笑顔でアドバイスするちひろがけなげだ。幼い子どものために余裕がない亮司を理解しようとはするが、どこかないがしろにされたと感じているちひろ。それでも双方、別れたくない気持ちが垣間見える。

■家の入口にヘイトな貼り紙が

 

 ある日、コーポの入口に「広瀬渉は同性愛者」「ゲイカップルの家」と中傷ビラが貼り付けられる事件が。専業主婦・深雪(真飛聖)は広瀬がゲイである事に嫌悪感を爆発させる。

 コーポ中にゲイであることを知られてしまった広瀬は、大器と奈々に相談。自分が気にしすぎてるだけで、朔のようにオープンにすべきかと思い始めていただけに「一瞬にして現実に引き戻されました」と落ち込む。

「知らないから怖いんじゃないでしょうか? 知ってしまえばなんてないことを知らないからって敬遠するってことあると思うんです」と奈々は言うが、「本音を言えばほっといて欲しいんですよ。別に受け入れてくれなくていいからそっとしといてくれ、と」と、とことん参っている広瀬。

 犯人に怒りつつ「あー気分悪いお風呂入ってくる」と切り替える奈々が、ちょっと面白い。

 しかも広瀬を中傷するビラは、職場にまでばら撒かれており、同僚・長谷部は「みんなも気にしてない」と励ますが、職場の雰囲気はおかしいし、まわり以上に本人がやりきれないだろう。

 家に帰ると、さらに「心の優しいゲイカップルの家です」と貼り紙が。しかしこれだけは「攻撃は最大の防御」が持論の朔がやったもの。オープンにすることで広瀬のように焦燥しきってしまうことから身を守るという朔の考え方はシンプルな分、強い。

 誰にも知られたくないなら近所付き合いのない家に住めばいいのに? という朔の問いに広瀬は言う。

「そんなことしたら本当に自分の世界だけに閉じこもってしまう気がして」

「世間にばれたくないからこそ、世間とつながってなきゃと思ってた」

「矛盾してるけど、それが俺なりのバランスの取り方だった」

 しっかり者に見える広瀬の弱さが暴かれるたびに、いたたまれなくなる。

 

■キレる深雪とキーマン・朔

 

 自分から娘の誕生会をやるからと人を集めておいて、そんな場合じゃないからと、「嘘をついていた」「詐欺にあったのと同じ」と広瀬らを問い詰める会議に切り替える女傑・深雪(真飛聖)。自分以外の住人すべてからその意見を否定されるも「あなたたちには子どもがいないからわからない」と、またしても子どもを盾に。子どもを持ちたくても持てない奈々のことは見えていない。もはや独走の浮き具合で逆に痛々しいほどだ。

 小学生の子どもの教育上よくないから対処(=出てけ)という深雪と、それに抗わず自分のような性的少数派はひっそり暮らすべきだと謝る広瀬。ここで奈々が立ち上がる。

「みんな同じ人間なのに、堂々と暮らせる人間とそうでない人がいるなんておかしい」

「人は誰だって自分が望む幸せを手に入れようとする権利があるはず」

 すっごく正論だし、すっごく同意なのだが、なぜだろう、この深キョンに必死に球を集めてシュートさせてる感じが少々気になる。テトリスの赤い棒を譲ってる感じ。主役だから仕方ないのかもしれないが、無理に演説みたい言っちゃうシステムにせず、自然解決するのも見てみたい。

 ここで、奈々に感動した朔が、「奈々に抱きついたら大器が発狂しちゃうから」との独自の理由で大器をハグするという珍行動。これに、全員笑ってしまい、ぎゅっと距離が縮まる(深雪以外)。退去間際なのに「だんだん、ここの人たち好きになってきちゃった」と、ちひろに思わせるなんて、やはり朔はキーマンだ。都合いい展開だが、朔の力で深雪を溶かしてあげてほしい。

 翌朝、奈々が図書館で借りてきていた人工授精に関する本やネットなどで勉強した大器はまとめた資料を、奈々の母・春枝に手渡す。自分も反対だったが、調べてみたと。

 奈々がやってることは不幸になるためじゃなく、幸せになるためにやっていることだと知ってほしいと。大器が夜通し勉強していたことを知り、沁み入る奈々。

 次回、人工授精に挑むのか? そして最初のビラの犯人は?

 話の合わなそうな人物同士がだんだん交わる感じが心地よく、くせになる展開。そして今回も大器の母を演じる高畑淳子の演技が見事。失礼ながら、こんなに目で笑わせられる方なんですね。高畑淳子主演のド・コメディが見たいです。次週も期待してます。
(文=柿田太郎)

「だったら、馬鹿のほうがいい──」フジテレビ『隣の家族は青く見える』深田恭子の“汚顔”が美しい

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組それぞれの「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。

 第3話は、ゲイカップルであることを隠していた広瀬渉(眞島秀和)と青木朔(さく・北村匠海)が中庭でキスしてるところを五十嵐奈々(深田恭子)に見られてしまった続きからスタート。

(前回のレビューはこちらから)

 

■ゲイだと打ち明ける朔

 

「親戚間のスキンシップ」だと、動揺しまくりでごまかす広瀬と「何それ、かえって気持ちわるいよ」と笑顔で動じない朔のスタンスの違いがクッキリ。

 奈々は「大丈夫です」と理解を示して立ち去るが、「何が大丈夫なの? ねえ?」と朔にすがる広瀬。ダンディだったのに、朔の前ではペース乱されまくりで取り乱す広瀬が可愛く見えてくるのがニクい。

 次の日、ゲイであることを公言していない立場の広瀬(クローゼットというらしい)のために、秘密にしてほしいと奈々に頼む朔。広瀬を振り回しながらも、しっかり想っているのが伝わる。

 朔に嫉妬してないフリして、すごく嫉妬してくる夫・大器(松山ケンイチ)をニヤニヤ見つめる奈々。さぞ大器を可愛く思ったことだろう。

 そんな奈々は、不妊治療でクロミッドと呼ばれる排卵誘発剤を飲むことに。妊娠の確率が上がるというが、これがある意味、今回のドラマを引き起こす。

 不妊治療の出費がかさむこと、去年から都が助成金を出していること、しかし年齢制限(妻が35歳未満)で、奈々たちがぎりぎり受給できないことなどリアルな情報(夫婦の所得合算730万未満なども)も、さりげなく盛り込む。深キョンがあまりに昔ながらの見た目なのでピンとこなかったけど(褒めてます)。

 

■イラつく奈々

 

 一足先に妊娠している大器の妹・琴音(伊藤沙莉)が、胎動があったと実家で騒動になっているのを、いつものように少しだけ傷つきながら、それでも笑顔を保つ奈々。琴音の実母・聡子(高畑淳子)の親バカぶりや、奈々の不妊への開けっぴろげな接し方など、一世代前の肝っ玉母さんぶりが見事。

 ここまで他に比べるとおしどり的な五十嵐夫妻だったが、薬の副作用なのか、奈々は少しイライラしてしまうとの自覚が。主治医(伊藤かずえ)に「妊活はできるだけリラックスして行うことが大切」だと言われ、夫もそう感じている可能性があるから話し合うようにと勧められる。費用の件もそうだが、不妊治療にのしかかる現実を細かく描き、経験者からの共感の声も多いようだ。

■「子ども」で揉める川村家と小宮山家

 

 川村亮司(平山浩行)は、急死した前妻との間にいる10歳の子ども(亮太・和田庵)を引き取ろうと考えていると現在のパートナー・杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)に告げる。前回亮太と一緒にいるのを目撃して不信感を募らせていたちひろは素直に受け入れられない。

 伝えるのが遅くなったこと詫びつつ「亮太を引き取ってこの家で暮らしたい」という亮司。

「もしちひろが嫌なら……」

「嫌なら何? 引き取るのやめる? それとも私と別れる?」

 気持ちをぶつけるちひろに「父親としての責任」として「引き取らないという選択肢はない」と言い切るが「婚約者としての責任は?」と問うちひろ。2人は子どもを持たないことを条件に婚約したのだが「事情が変わったんだ。本当にすまない」と亮司に言い切られてしまう。

 後日、式場の解約や自分が引っ越すことなどを気丈にも笑顔(のフリ)で伝えるちひろ。そんなちひろに何も声をかけられない亮司。

 小宮山家の長女・優香(安藤美優)は厳しい母親・深雪(真飛聖)に内緒で友人とダンスに励んでいるが、帰りが遅くなり激昂される。本当は今度あるダンスのオーデションに参加したいらしいのだが、それも言えず従うしかできない。

 この日は求職中で時間を潰す父・真一郎(野間口徹)と図書館付近でニアミスしかけたし、広瀬や朔と話したそうな雰囲気も時折見せており、それを嫌がる深雪と今後何かありそうだ。

 今回もイライラが止まらない深雪だが次女の萌香(古川凛)の無垢な笑顔に救われた顔も見せる。

 

■ついに妊娠か?

 

 そんな中、仕事帰りの奈々が自宅前で倒れる。たまたま通りかかった朔が五十嵐家に運び介抱するが、そこへ帰宅した大器は、いきなり激怒。奈々は大したことなかったが、いくら事情を説明しても信じない大器に朔は全告白する。

「俺ゲイなんです」「女の人に興味ないんです」「広瀬渉の恋人なんです」

 落ち着いた後、深々と謝る大器。照れ隠しなのか「彼イケメンだから……」と言い訳するも「私、そんな面食いじゃないからね!」と奈々に言われ、言葉を失う大器。それを茶化しつつ大器とも打ち解ける朔。

 基礎体温の高温期が続き、生理も来ていないため、妊娠の可能性で活気づく大器と奈々。妊娠検査薬を買いに行った際に、うまい具合に義母・聡子に出くわしごまかすものの、しっかり見破る聡子。

 奈々の妊娠を喜び、我を忘れるほど大喜びする高畑のドタバタ芝居が本当に素晴らしく、女優としての底力を感じる。しっかり者でクレバーな次女役の伊藤沙莉との相性も実によく、この2人の「親子漫才」だけ15分ほど見ていたくなるほど。

 亮司ともめて家を飛び出した際に植木鉢を割ってしまったお詫びに、奈々を訪ねてきたちひろ。奈々はちひろを初めて家に招く。うっかり卓上に置きっ放しにしていた検査薬を見られてしまい、それきっかけで不妊治療をしていることを打ち明ける。検査薬使用前に生理がきて「リセット」してしまったことも、ここで語られた。

 少し他の家庭と距離を取っていたちひろだが、打ち明ける奈々に心許すように自分たちが別れることになったことを語りだす。

 子どもを引き取ることは「不可抗力」だとしながらも「私を説得するわけでもなく、あっさり結婚を諦めちゃったのがショックでさ」と本音を吐き「まあその程度の女だったってことだよ」と強がり笑う。

「そこまで愛されてなかった」から説得されなかったんだと納得しようとするちひろだが、奈々に言われた「愛してるからじゃないかな」「好きな人に無理させることほど辛いことってないと思うから」という言葉が沁みる。

■「だったら馬鹿の方がいい」

 

 翌日、落ち込む奈々の気持ちを汲んでか、気分転換に外へ連れ出す大器。富士山麓にある、胎内に見立てた洞窟や御胎内神社で安産祈願をし、うまくいかなくても目の前にある幸せを前向きに楽しむその2人の姿は、不妊だけでなく多くの価値観にとらわれる人々に何かを伝えるはずだ。

 その日の夕食時、大器作のお好み焼きを食べながらリラックスした奈々が打ち明けたのは、大器の妹・琴音の妊娠発覚時、実は喜んであげられなかったという本音。「不妊治療をしだしてから嫌な人間になってそうで辛い」と言う奈々を励ます大器。

 自分はいくら苦労しても妊娠できないのに、いきなりできちゃった他人(身内ではあるが)の妊娠。

「それで喜んでたら、お人好し通りこして馬鹿だよ?」

「だったら馬鹿のほうがいい」

 汚い泣き顔で言う奈々が綺麗でした。

 直後のセリフ「5枚焼くからね、絶対食べてよ?」は、おそらく松ケンのアドリブ。現場でもムードを作ってそうな彼に対する安心感があるから、深キョンはいい芝居ができたのではないかなと勝手に思ってます。

 あと、ソースとマヨネーズをすごい勢いでお好み焼きに噴射する手際のよさが尋常ではなく「何かやってたのか?」と途中から気になってしまい、その後、集中できなかったことを記しておきます。

 今回は、朔と大器とか、奈々とちひろとか、登場人物が今までより深く触れ合うことで、解決までいかなくても見えていなかった価値を感じたり見つめ直すシーンが印象的でした。来週は奈々の母が来て一悶着あるみたいで、そちらも楽しみです。
(文=柿田太郎)

『隣の家族は青く見える』主役・深田恭子が「損してる」!? ミスチルかけて「はい感動」では……

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組それぞれの「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)の第2話が放送された。視聴率は第1話の7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から6.2%と、ややダウン。評判は悪くないようなのだが、厳しい数字に。

 深田恭子・松山ケンイチが主演ではあるが、群像劇の面が強く、第1話では一見うまくいってそうな4組の「家族」にある、それぞれの不満や悩みの種が紹介された。早くも大きく衝突してしまった第2話を振り返ります。

(前回のレビューはこちらから)

 

■メインの4組をおさらい

 

・五十嵐大器(松山ケンイチ)と五十嵐奈々(深田恭子)の新婚夫妻。不妊症が発覚、不妊治療を開始しだす。

・川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の結婚を控えたおしゃれカップル。子どもは絶対いらないと断言するちひろに対し、前妻が急死し、妻の元にいる実子を案じだす川村。

・小宮山真一郎(野間口徹)と小宮山深雪(真飛聖)と子ども2人からなる、一番わかりやすい家族。深雪は、ちひろのブランド品を妬んだり、自分の価値観(女は子どもを持つのが幸せ)を押し付けがち。求職中の真一郎を恥じてひた隠しにし、真一郎もその扱いに抗えないでいる。

・広瀬渉(眞島秀和)青木朔(さく・北村匠海)の男性同士のカップル。広瀬のもとに奔放な朔が押しかけてきて同棲開始。その関係は周囲に公言していない。

 

■広がる火種

 

 生活が進むにつれ、集合住宅内ではいろいろ火種が広がりつつある。

 今回も先陣を切ってかき混ぜだすのは、詮索好きの専業主婦・小宮山深雪。おすそ分けをしつつ各家庭を覗き込もうとしたり、ゴミの出し方や花壇の水やりを仕切り、中庭バーベキューを定期開催したがるなど、周囲の家庭にぐいぐい踏み込もうとしてくる。

 深雪に、職が見つかるまで仕事に行ってるフリをしろと言われている夫の真一郎は、ネットカフェで時間を潰す毎日。家では深雪に罵られてばかりで居場所がない。

 天敵といっていいほど深雪と価値観の合わないネイリストの杉崎ちひろは、前回に続き深雪に対する嫌悪感が増してる様子。そんなちひろに隠れて、パートナー川村は亡くなった前妻が育てていた10才になる実子・亮太(和田庵)と接触を繰り返すが、5年ぶりということもありなかなか打ち解けられない。

 一方、広瀬たちカップルもギクシャクしだす。

 中庭で奈々と何気ない会話をしていた(青木)朔を慌てて呼び寄せ「他の住人とは関わるなって言ったよね?」と、とがめる広瀬。

「じゃあ俺は一生誰にも会わないように、この家に隠れていればいいわけね?」

 関係を隠すことなく自由に振る舞いたくてイラつく朔と、関係をまだ隠ししておきたくて朔の振る舞いに慌てる毎日の広瀬。異性同士でもよくあることなのかもしれないが、秘め事の意識が強い広瀬の狼狽ぶりは激しい。

 

■奈々と朔が急接近

 

 みなが遠回しに敬遠しだす深雪を、唯一、家に上げて普通に接したり、まだ距離感のあり得体の知れない人物であるはずの朔に分け隔てなく接するなど、このコーポの良心とも呼びたくなる「いい人」の奈々。だが、自分の不安や悩みを表に出すのは苦手なようだ。

 前回、いきなり妊娠していることが発覚した第5の「家族」ともいうべき大器の妹・五十嵐琴音(伊藤沙莉)と両親が営む焼き鳥屋の従業員・糸川啓太(前原滉)の「出来ちゃった」カップルがいるのだが、母親(高畑淳子)の口うるささに「あーあ、妊娠なんかするんじゃなかった」と嘆く琴音の言葉に、奈々は敏感に反応してしまう。誰にも言えないが、焦っているようだ。

 その夫・大器は毎晩振る舞われる「妊娠に効きそう料理」や医者に言われた「タイミング」での子作り行為の波状攻撃に「子作り意識しだしてから、全然楽しくなくなったんだよなあ」と後輩・矢野朋也(須賀健太)を前にボヤく。

 しかも約束してた「タイミング」の日に、自身の開発した玩具のクレームで深夜に帰宅するなど、いろいろうまくいかない。

 そんな中、子宮卵管造影検査を控え、中庭で不安そうな奈々に気づいた朔が声をかけることで2人は打ち解け出す(ちなみに、この検査でも大器の精子の検査でも、異常はなかった)。

 雪が積もっても、そんなに寒くても花を咲かすという庭の植物(クリスマスローズ)を指し「たぶん、咲きたいって気持ちが大っきいんだろうね」「人間も同じだよね。辛いことや苦しいことの先に喜びや幸せがあるってわかっていたら、前に進める」「奈々ちゃんはあるの? 今くじけそうになってることの先に希望、ある?」と問いかける。戸惑いながらも「うん、ある」と答える奈々に「じゃあ、頑張れるんじゃない」と微笑む朔。「朔ちゃん」と呼びはじめた奈々が心を許したのがわかる。

 朔はこの後、広瀬が同僚の長谷部留美(橋本マナミ)と仲良さげに帰っている職場近くの夜道に突然現れ、「いつも『叔父』が! お世話になってます」とプレッシャーをかけたりと攻撃的な一面を見せるのだが、それも奈々に対して言った「希望」に裏打ちされた行動なのだろう。

 まだ広瀬の意向で押さえつけられているが、何かしでかしそうな朔は、おそらくこの物語を動かすキーマンになってきそうだし、北村自身も強い印象を残しそうな役だ。

 

■幸せなそうな側面も

 

 例えばちひろは、深雪のいきなりのおすそ分け訪問(玄関で阻止)にイライラしながらも深雪の手作り菓子を頬張り、川村と美味しいと笑い合ったり、深雪は深雪で自分が勧めた「マクロビ」や「グルフル(グルテンフリー)」の話を奈々がちゃんと聞いてくれているときに実にうれしそうだったり、その奈々も子作りがうまくいかず落ち込んでる時、「一人全自動(歯磨き)」という芸を披露して和ませる大器に優しさを感じたり、広瀬も、言うことを聞かない朔にイラつきながらも「朔~仕事終わったよ~」と笑顔で帰宅する様子に気持ちが溢れていたり、つわりで苦しむ琴音のために高額なスイカを買ってきてくれたり頼りなさそうな夫・糸川啓太だったり、それぞれが不満や問題を抱える反面、幸せを感じている部分があることもちゃんと見せている。

 それぞれの価値観の中で、各々が見落としがちな幸せを描いているのだが、これらが、ややもすれば重めになりすぎる内容を見やすくしており、力の抜けたテイストを生み出している。一方で、これをヌルさと取る人は物足りないドラマだと感じるだろうし、難しいところだ。

■ついに引火する火種

 

 妻の待つ家に帰るのを恐れ、中庭でこそこそしていた真一郎を自宅に招く大器。最初は、大器だけだと思っていたのに、奈々がエロいカッコで出迎えてしまったりと微笑ましい空気だったが、前職の愚痴を語る真一郎の口が止まらなくなる。

「家族のために働いてるのに、家族と少しも一緒にいられないなんて虚しいじゃないですか?」

「だから思い切って辞めたのに、妻には非難され邪魔にされてるっていう……」

 絶対に公言しないようにと深雪に言われているのだが、もう限界なのだろう。

「結局は男なんてただの金ヅルなのかもしれないですね……」と自嘲気味に笑う真一郎を2人は慰めるが、自宅に帰るなり、深雪は「帰宅が遅い」「再就職はまだか?」と非難轟々。限界を超えてしまいそうなほど重すぎる足取りでリビングから消えていく。

 真一郎が帰った後、子作りのプレッシャーに対し「本当は嫌になってるんじゃないの?」と奈々に図星を突かれて慌てる大器。この辺の双方の都合の裏表がリアルだ。

 名古屋の前妻の実家では「亮太はいずれ僕が引き取ります」と義母に宣言する川村の姿が。自分のことを想う父の気持ちを知った諒太は、一緒にゲームをしながら「行ってもいいよ、東京……」と徐々に心を開きだす。かなり昔のドラマのような、少し懐かしいテイストのシーン。

 しかし、実子とこっそり会っている幸せそうなその姿を、驚かそうと名古屋までやってきたちひろに目撃されてしまう。

 一方、コーポでは川村たち以外の全員でバーベキューの真っ最中。ショックを受けて先に帰宅したちひろを、何も知らない深雪がいつものように囃し立てる。

「お2人とも、そろそろ真剣に子作りした方がいいと思うのよね……」

「どんなに見た目年齢が若くても、子宮や卵巣は若作りできないじゃなーい?」

 我慢できないタイミングだけに、ちひろはついにキレる。

「子ども作んないとなんかまずいんですか?」

「子どもを作って少子化に歯止めをかけることだけが女性にできる社会貢献じゃないですよね? 例えば会社の同僚が妊娠して産休を取る。その抜けた穴は男性社員や独身者、子どものいない既婚者が埋めてるんです。働いてるってだけで十分社会貢献してるのに、他人の尻拭いまでしてるんだから文句言われる筋合いないと思いますけど!」

 深雪ももちろん言い返す。

「あなただっていずれ子持ちになるんだから、お互い様なんじゃないですか?」

 だが名古屋で何かがフル充電されているちひろは止まらない。

「わたしは子どもなんが嫌いだし、母親になんか絶対なりたくない!」

「自分の物差しだけで他人を測るなって言ってんのよ!」

 血色ばむそのマイクパフォーマンスはプロレスラーのように勇ましいし、見た目もちょっとそう見えた。

 ここで主役の奈々の出番。

「もうやめましょうよ! 子どもがいる人もいない人も、働いてる人も働いていない人も、いろんな人がいていいじゃないですか? どうしてみんな同じじゃないといけないんですか? みんな違っててもいいじゃないですか?」

 いきなりこのドラマの主題をつらつらと説明する奈々。というか深キョン。正直、2人のケンカが迫真だっただけに、少し演技的に損をしたかもしれない。このキャラ自体、深キョンが演じやすいように当て書きされてるのか、ここまでさほど違和感は感じなかったんですが、少々「ん?」ってなってしまいました。

 そしてこれは芝居の問題ではないが、奈々のセリフがあまりに正論というか、いきなり正解のサンプルみたいな言葉を、主役だからって理由で奈々に言わせてる感じが響かないというか……盛り上げた場面を突然トンビが油揚げ持ってくような唐突さを感じました。いい題材なだけに、全部言葉で言わせて、ミスチルかけて「はい感動」って感じが少し残念。

 なんとなく最終回みたいな空気すら感じる煽り方な気もしたが、このドラマは主題がぶちあげられたここからが本当のスタートなのだろう。

「今日のところはお開きにしておいた方がよさそうですね」「小宮山さんが謝ることじゃないですから」と、大人な対応をする大器だが、別れ際に奈々に手を振る朔をかなり強めに睨みつけ、別の火種がくすぶりだす。

 誰もいなくなった中庭で「やめろよ、こんなところで」と言いながら、そこそこゆったりめのキスをして、まんまと奈々に見られてしまうわたるん(広瀬)&朔。あれだけ必死に隠していながら中庭の真ん中でしたら、そりゃそうなるだろというガバガバな演出に謎は残りましたが、広瀬は酒に酔っていたのでしょう。

 印象に残ったのは、五十嵐家で真一郎が愚痴を漏らしつつ、大器や奈々をうらやむシーン。

「うちなんて子ども向けの料理ばっかりですよ……こんなスタミナ料理なんて並んだことないもんなあ、うらやましいなあ」

 そうやって真一郎が羨ましがる大器と奈々は、その「子ども」を授かれなくて苦労している。円満に子どもを育てているからこその「子ども向けの料理」なのだが、真一郎にも、もちろん深雪にも、よそは「青く」見えているのだろうし、奈々にも、親の干渉を鬱陶しがる琴音の姿や、いろいろ言われながらも当たり前のように子育てをしている深雪の姿は「青く」見えているのかもしれない。奈々がもう正解を言ってしまったこの後、ドラマがどう展開するのか来週も楽しみです。
(文=柿田太郎)

『隣の家族は青く見える』厚生労働省とのタイアップは大丈夫!? LGBT描写にはあざとさも……

 18日に第一回が放送された深田恭子・松山ケンイチ主演のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、うわべは幸せそうな4組の「家庭」が抱えるそれぞれの悩みや、価値観の違いから生まれる摩擦を描くっぽい。いわゆる「妊活」を軸にしたドラマとは聞いていたものの、オンエアを観るまで今ひとつ雰囲気がわからなかったのだが、思ってたよりも軽やかなコメディ路線。「ヒューマンコメディ」というやつでしょうか。

 コーポラティブハウスとは、入居者が集まって土地を買ったりデザインしたりを自主的に行って建てる集合住宅らしく、このドラマでは一軒家が4軒、そして中庭は共有スペースとなっており、若干ヒッチコックの『裏窓』(1954)っぽい印象。殺人は起きないはず。古くてすみません。さて「ご近所さん」とも「お隣さん」とも違う、その距離感がどんな摩擦を生むのか。

■まず登場人物は?

 この4世帯がどうやって出会ったかの経緯は省かれているが、それぞれ他人同士。最初に住宅設計の打ち合わせで4組の住民が集合した際は、それぞれ幸せそうな家庭なり夫婦なりに見えた。

・五十嵐大器(松山ケンイチ)と五十嵐奈々(深田恭子)夫妻。それぞれ玩具メーカー勤務とスキューバダイビングインストラクターの、いわゆる幸せそうな新婚さん。子どもなし。

・川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の結婚しそうな同棲カップル。スタイリストとネイリストで、業界臭強め。子どもなし。

・小宮山真一郎(野間口徹)と小宮山深雪(真飛聖)のベーシックな家庭。商社マンと専業主婦。小さい子どもが2人。

・広瀬渉(眞島秀和)渋い独身。このコーポラティブハウスを設計した一級建築士で、モテそう。子どもなし。

 しかし、これはあくまでうわべだ。段々それぞれの歪みや本音が見えてくる。

 

■「女は子どもを産んでこそ一人前」

 まず、拮抗を崩してきたのは、いわゆる旧態依然とした価値観を、悪気なくよかれと思って押し付けてくる専業主婦の小宮山深雪。

「みなさんもいずれは、お子さん作られるでしょうしね?」の何気ない(それでいて無神経な)一言が、他の3組の会話をピタリと止める。

「お仕事お忙しいのはわかるけど、子どもは絶対作ったほうがいいわよ~」

「いろんな考え方があっても子ども欲しいっていうのは女性共通の願いよ。やっぱり女っていうのは子どもを産んでこそ一人前だもん」

「少しでも少子化に歯止めかけなきゃね?」

 他3組の微妙な空気を察した夫・真一郎が止めても、尻に敷いてるようでお構いなしに持論を展開。もうこの時点で、一緒に住むのを放棄する人がいてもおかしくないのでは? と思うほどだが、さらに、夫の海外赴任が多かった過去を自慢気に語ったりと、見事なヒールぶり。

 子ども作れ発言に我慢できなくなった業界カップル・杉崎ちひろは、仕事のふりをして途中退席、パートナーの川村にぶちまける。

「私みたいに子ども欲しくない人だっているし、欲しくたってできない人だっているんだよ? 無神経じゃん!」

 川村に「そう反論すればよかったのに?」とのんきに言われるも、「これからお隣さんになるのに、そんなこと言えるわけないじゃん」。

 しかし怒りつつも、なんだかんだ川村(バツイチだが、そこもイジれる関係)といちゃついたり。カラッとしてるのが救いか。だが、小宮山深雪は小宮山深雪で、ちひろの高級バッグをさりげなく睨みつけ、嫉妬丸出し。火種が燻っている感じだ。

 五十嵐夫妻は、クセ的には一番フラットな家庭なのだが、やはりというか、夫・大器の母親が子作りをせっついてくる様子。深雪の「自分がひた走る価値観に周りを巻き込むことで安心したい」という弱さからくる感情よりも、もっとわかりやすい、いわゆる年老いた親が子ども夫妻に望むアレだ。

 奈々が子作りに前向きなことがわかり、さっそくベッドインしたがる大器。絵に描いたように平和だ。

 そして、ダンディな設計士・広瀬。

 設計事務所の上司に、独立や、そのモチベーションとなる結婚や子作りをせっつかれている様子だが、表情が暗い。同僚の長谷部留美(橋本マナミ)が「結婚してくれたら子どもも産んであげる」と冗談ともつかないノリでからんでくるが、やはり広瀬は笑えない。

 そんなある日、馴染みのバーで酔った青年・青木朔(さく・北村匠海)と出会う。

 かつて付き合ってたパートナーの結婚式に出席した帰りだということで、荒れ気味に酔ってる青木が、何気なく言った言葉を広瀬は聞き逃さなかった。

「普通、付き合ってた男、結婚式呼びます?」

「行かなきゃ良かったのに」(マスター)

「だってー……どんな女か見たかったんだもん……」

 予感がしたのか、静かに反応する広瀬。結論からいうと、広瀬はゲイだ(おそらくマスターは知ってる空気)。

 それが確定するのは、歩けないほど酔った青木との帰り道。

「わたるん(広瀬)も、こっち側の人だよね?」と言われて、そのままキスを受け入れる。

 LGBTに向き合いたいのか、ただ見世物的にBLっぽいことをやりたいのかはまだわからないが、ただ一部の層に向けたあざとさはバシバシと感じた。なぜならこのパートだけ不自然に美化されたおとぎ話のようだったから。

 物語は途中で、1年が経過する。

■1年たって入居後

 中庭で、一家で餅つきをしながら家族円満をアピールする小宮山深雪。

 通りかかった広瀬にお見合い相手を紹介しようとしたり、派手な格好で「ニューイヤーパーティ」に出かける川村夫妻(まだ同棲状態だが結婚間近)のブランドバッグを目に、またしても自分のバッグを恥じて隠したりと相変わらず。

 実は、小宮山真一郎は多すぎる転勤を苦に、妻に言わずに商社を退職しており、世間体を過剰に気にする深雪はそれを恥じ、周囲どころか子どもたちにすら隠している。次の仕事が決まらない真一郎に激怒し、会社に行くふりをさせ、帰りも早く帰ってきたら邪魔者扱いし、それでいて自分はキレイな部屋をブログに上げてのアクセス数増加に満足したりと、虚栄心に飲み込まれ具現化されたモンスターとして描かれる。弱腰の夫にピリつく時に、昼ドラのような過剰なBGMアリ。

 一方の五十嵐夫妻は、未だ子宝に恵まれず。

「1年以上、避妊なしの性交を続けても妊娠に至らなかった場合、検査するまでもなく不妊症と言えます」

 主治医(伊藤かずえ)にいきなり言われ、驚く2人。主治医に不妊治療の覚悟を問われるも、特に夫の大器は、妻の奈々に比べ、筆者のような多くの男性がそうであるように、妊娠や出産にいまいち無知な男性といった感じで受動的だ。

「もし、治療を始めるのであれば、明日の夜か、明後日の朝、性交渉をしてください(笑顔)」

「……え? 性交渉?」

「……ご主人、何か問題でも?」

「ん、ん、いえ、ん……(動揺)」

 他にも、精液採取に大器が戸惑うなど、深刻な空気を出しすぎないようにしてる印象。

 さらに、広瀬の元には、1年付き合ってきた青木が押しかけてくる。同居するために住むところを引き払い、背水の陣で攻め入るとは、なかなかの爆弾小僧。

「一つの棟に4軒しかないから、お互いにどんな生活してるか、すぐわかるって」と怒る広瀬だが、「もしかして遊びだった?」と、逆に詰め寄る青木。押し切られるように同居が始まった。

「幸せ。わたるんの料理一生食べ続けたい」

「たくさん養子とって大家族作る」

 と、グイグイくる青木に対し、「この話は以上」と広瀬は先をはぐらかす。広瀬は職場にも周りの家族にも、いわゆるカミングアウト的なことはしていない。

 部屋でワインを飲みながら食べてたのがアヒージョなのかどうかTwitter検索で確認しようと思い「わたるん」と打ち込むと、すかさず予測で「わたるん 受け」「わたるん 攻め」という言葉が並ぶ。結局「妊活」ドラマというより、こっちの話題が先行してる様子。

 そして、ここまでただひたすらにバブリーなだけだったスタイリスト川村の元に突然、前妻の死を告げる電話が。5年間、一度も会っていなかったという前妻との子どもにそっけなくされるなど、いきなり暗雲が。

 家に帰ってきてもどこか様子がおかしいので、ちひろに「子どものこと迷ってんじゃないかなって思って」と言われ、「え?」と思わず焦ってしまう川村。

「言っとくけど、私、本当に産まないよ?(その後あーだこーだ)」

 川村は、前妻との子どものことを念頭に置いて焦ったのだろう。ちひろには、まだ何も伝えていない様子。わた……広瀬と青木の時もそうだが、こういった会話の細かい仕掛けがうまい。

 ちなみに前妻の子どもが父親を無視して見ていたのは、大人気ユーチューバーのフィッシャーズ。チョイスに、やや媚びを感じました。

■リアルな4家庭が出揃う

・不妊症発覚の五十嵐夫婦。

・結婚目前で、前妻との子どもをどうするか問題が出てきた川村と子ども欲しくない杉崎ペア。

・他人を妬み価値観押し付けがちな妻と、その妻に言い返せない無職の夫。子どもは元気そう。

・ゲイカップルの広瀬と青木。

 第1回放送を見終わって感じたのは、主演の2人が少し薄い印象。

 今が一番かわいいとの呼び声高い魔性の女・深キョンこと深田はもちろんかわいいのだが、いまいち感情が見えない。演技のせいというより、そういうシーンをあえて省いてる気も。これが深田にプラスなのかマイナスなのか……。妊活の前の晩に、うなぎ、山かけ納豆、レバニラを晩御飯に出してくる深田というか奈々は古典的ですが、よかったです。

 コミカルな芝居もうまい松ケンのからみは王道な感じでいいのだが、いまいち妊活部分もとってつけた感じがして、特に医者とのからみあたりは薄い『コウノドリ』(TBS系)のような印象。その軽さがいいのかもしれないけど、それぞれ「昼ドラ」だったり「BL」だったりと、(意図的に?)とっちらからせてる雰囲気を、どうまとめ上げるのかが見ものです。

 今のところ一番気になるのは、スタイリスト川村が実子をどうするのかという問題。それでなくても「子どもいらない」を連呼してる強気なパートナー・杉崎ちひろと結婚目前なのに。いけすかねえ金持ちスタイリストだと思ってノーマークだっただけに、5年ぶりに会った子どもの前でぎくしゃくする平山浩行の芝居がとても良かったです。

 あと、気になったのはこの番組が厚生労働省の「ポジティブ・シェアリング」「こころの耳」に賛同してタイアップを行っていること。「みんなの力で心を軽く!」だかの啓蒙スローガンを掲げていたが、なんかこれを知った途端に、少し萎えました。

 まあドラマだし、と見て見ぬ振りしてた「なんだかんだ全員やけに金持ってそうじゃん」問題が見過ごしにくくなったり。別にドラマだし、みすぼらしくする必要はないのだが、悩みのある人に寄り添うという役所の政策がちらつくと、どうしても少し見え方が変わってきてしまう。

 その辺のタイアップなどの縛りの影響で、教習所で見せられるような交通安全の映画みたいになるのだけはぜひとも避けていただきたい。第2話も期待してます!
(文=柿田太郎)

『隣の家族は青く見える』厚生労働省とのタイアップは大丈夫!? LGBT描写にはあざとさも……

 18日に第一回が放送された深田恭子・松山ケンイチ主演のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、うわべは幸せそうな4組の「家庭」が抱えるそれぞれの悩みや、価値観の違いから生まれる摩擦を描くっぽい。いわゆる「妊活」を軸にしたドラマとは聞いていたものの、オンエアを観るまで今ひとつ雰囲気がわからなかったのだが、思ってたよりも軽やかなコメディ路線。「ヒューマンコメディ」というやつでしょうか。

 コーポラティブハウスとは、入居者が集まって土地を買ったりデザインしたりを自主的に行って建てる集合住宅らしく、このドラマでは一軒家が4軒、そして中庭は共有スペースとなっており、若干ヒッチコックの『裏窓』(1954)っぽい印象。殺人は起きないはず。古くてすみません。さて「ご近所さん」とも「お隣さん」とも違う、その距離感がどんな摩擦を生むのか。

■まず登場人物は?

 この4世帯がどうやって出会ったかの経緯は省かれているが、それぞれ他人同士。最初に住宅設計の打ち合わせで4組の住民が集合した際は、それぞれ幸せそうな家庭なり夫婦なりに見えた。

・五十嵐大器(松山ケンイチ)と五十嵐奈々(深田恭子)夫妻。それぞれ玩具メーカー勤務とスキューバダイビングインストラクターの、いわゆる幸せそうな新婚さん。子どもなし。

・川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の結婚しそうな同棲カップル。スタイリストとネイリストで、業界臭強め。子どもなし。

・小宮山真一郎(野間口徹)と小宮山深雪(真飛聖)のベーシックな家庭。商社マンと専業主婦。小さい子どもが2人。

・広瀬渉(眞島秀和)渋い独身。このコーポラティブハウスを設計した一級建築士で、モテそう。子どもなし。

 しかし、これはあくまでうわべだ。段々それぞれの歪みや本音が見えてくる。

 

■「女は子どもを産んでこそ一人前」

 まず、拮抗を崩してきたのは、いわゆる旧態依然とした価値観を、悪気なくよかれと思って押し付けてくる専業主婦の小宮山深雪。

「みなさんもいずれは、お子さん作られるでしょうしね?」の何気ない(それでいて無神経な)一言が、他の3組の会話をピタリと止める。

「お仕事お忙しいのはわかるけど、子どもは絶対作ったほうがいいわよ~」

「いろんな考え方があっても子ども欲しいっていうのは女性共通の願いよ。やっぱり女っていうのは子どもを産んでこそ一人前だもん」

「少しでも少子化に歯止めかけなきゃね?」

 他3組の微妙な空気を察した夫・真一郎が止めても、尻に敷いてるようでお構いなしに持論を展開。もうこの時点で、一緒に住むのを放棄する人がいてもおかしくないのでは? と思うほどだが、さらに、夫の海外赴任が多かった過去を自慢気に語ったりと、見事なヒールぶり。

 子ども作れ発言に我慢できなくなった業界カップル・杉崎ちひろは、仕事のふりをして途中退席、パートナーの川村にぶちまける。

「私みたいに子ども欲しくない人だっているし、欲しくたってできない人だっているんだよ? 無神経じゃん!」

 川村に「そう反論すればよかったのに?」とのんきに言われるも、「これからお隣さんになるのに、そんなこと言えるわけないじゃん」。

 しかし怒りつつも、なんだかんだ川村(バツイチだが、そこもイジれる関係)といちゃついたり。カラッとしてるのが救いか。だが、小宮山深雪は小宮山深雪で、ちひろの高級バッグをさりげなく睨みつけ、嫉妬丸出し。火種が燻っている感じだ。

 五十嵐夫妻は、クセ的には一番フラットな家庭なのだが、やはりというか、夫・大器の母親が子作りをせっついてくる様子。深雪の「自分がひた走る価値観に周りを巻き込むことで安心したい」という弱さからくる感情よりも、もっとわかりやすい、いわゆる年老いた親が子ども夫妻に望むアレだ。

 奈々が子作りに前向きなことがわかり、さっそくベッドインしたがる大器。絵に描いたように平和だ。

 そして、ダンディな設計士・広瀬。

 設計事務所の上司に、独立や、そのモチベーションとなる結婚や子作りをせっつかれている様子だが、表情が暗い。同僚の長谷部留美(橋本マナミ)が「結婚してくれたら子どもも産んであげる」と冗談ともつかないノリでからんでくるが、やはり広瀬は笑えない。

 そんなある日、馴染みのバーで酔った青年・青木朔(さく・北村匠海)と出会う。

 かつて付き合ってたパートナーの結婚式に出席した帰りだということで、荒れ気味に酔ってる青木が、何気なく言った言葉を広瀬は聞き逃さなかった。

「普通、付き合ってた男、結婚式呼びます?」

「行かなきゃ良かったのに」(マスター)

「だってー……どんな女か見たかったんだもん……」

 予感がしたのか、静かに反応する広瀬。結論からいうと、広瀬はゲイだ(おそらくマスターは知ってる空気)。

 それが確定するのは、歩けないほど酔った青木との帰り道。

「わたるん(広瀬)も、こっち側の人だよね?」と言われて、そのままキスを受け入れる。

 LGBTに向き合いたいのか、ただ見世物的にBLっぽいことをやりたいのかはまだわからないが、ただ一部の層に向けたあざとさはバシバシと感じた。なぜならこのパートだけ不自然に美化されたおとぎ話のようだったから。

 物語は途中で、1年が経過する。

■1年たって入居後

 中庭で、一家で餅つきをしながら家族円満をアピールする小宮山深雪。

 通りかかった広瀬にお見合い相手を紹介しようとしたり、派手な格好で「ニューイヤーパーティ」に出かける川村夫妻(まだ同棲状態だが結婚間近)のブランドバッグを目に、またしても自分のバッグを恥じて隠したりと相変わらず。

 実は、小宮山真一郎は多すぎる転勤を苦に、妻に言わずに商社を退職しており、世間体を過剰に気にする深雪はそれを恥じ、周囲どころか子どもたちにすら隠している。次の仕事が決まらない真一郎に激怒し、会社に行くふりをさせ、帰りも早く帰ってきたら邪魔者扱いし、それでいて自分はキレイな部屋をブログに上げてのアクセス数増加に満足したりと、虚栄心に飲み込まれ具現化されたモンスターとして描かれる。弱腰の夫にピリつく時に、昼ドラのような過剰なBGMアリ。

 一方の五十嵐夫妻は、未だ子宝に恵まれず。

「1年以上、避妊なしの性交を続けても妊娠に至らなかった場合、検査するまでもなく不妊症と言えます」

 主治医(伊藤かずえ)にいきなり言われ、驚く2人。主治医に不妊治療の覚悟を問われるも、特に夫の大器は、妻の奈々に比べ、筆者のような多くの男性がそうであるように、妊娠や出産にいまいち無知な男性といった感じで受動的だ。

「もし、治療を始めるのであれば、明日の夜か、明後日の朝、性交渉をしてください(笑顔)」

「……え? 性交渉?」

「……ご主人、何か問題でも?」

「ん、ん、いえ、ん……(動揺)」

 他にも、精液採取に大器が戸惑うなど、深刻な空気を出しすぎないようにしてる印象。

 さらに、広瀬の元には、1年付き合ってきた青木が押しかけてくる。同居するために住むところを引き払い、背水の陣で攻め入るとは、なかなかの爆弾小僧。

「一つの棟に4軒しかないから、お互いにどんな生活してるか、すぐわかるって」と怒る広瀬だが、「もしかして遊びだった?」と、逆に詰め寄る青木。押し切られるように同居が始まった。

「幸せ。わたるんの料理一生食べ続けたい」

「たくさん養子とって大家族作る」

 と、グイグイくる青木に対し、「この話は以上」と広瀬は先をはぐらかす。広瀬は職場にも周りの家族にも、いわゆるカミングアウト的なことはしていない。

 部屋でワインを飲みながら食べてたのがアヒージョなのかどうかTwitter検索で確認しようと思い「わたるん」と打ち込むと、すかさず予測で「わたるん 受け」「わたるん 攻め」という言葉が並ぶ。結局「妊活」ドラマというより、こっちの話題が先行してる様子。

 そして、ここまでただひたすらにバブリーなだけだったスタイリスト川村の元に突然、前妻の死を告げる電話が。5年間、一度も会っていなかったという前妻との子どもにそっけなくされるなど、いきなり暗雲が。

 家に帰ってきてもどこか様子がおかしいので、ちひろに「子どものこと迷ってんじゃないかなって思って」と言われ、「え?」と思わず焦ってしまう川村。

「言っとくけど、私、本当に産まないよ?(その後あーだこーだ)」

 川村は、前妻との子どものことを念頭に置いて焦ったのだろう。ちひろには、まだ何も伝えていない様子。わた……広瀬と青木の時もそうだが、こういった会話の細かい仕掛けがうまい。

 ちなみに前妻の子どもが父親を無視して見ていたのは、大人気ユーチューバーのフィッシャーズ。チョイスに、やや媚びを感じました。

■リアルな4家庭が出揃う

・不妊症発覚の五十嵐夫婦。

・結婚目前で、前妻との子どもをどうするか問題が出てきた川村と子ども欲しくない杉崎ペア。

・他人を妬み価値観押し付けがちな妻と、その妻に言い返せない無職の夫。子どもは元気そう。

・ゲイカップルの広瀬と青木。

 第1回放送を見終わって感じたのは、主演の2人が少し薄い印象。

 今が一番かわいいとの呼び声高い魔性の女・深キョンこと深田はもちろんかわいいのだが、いまいち感情が見えない。演技のせいというより、そういうシーンをあえて省いてる気も。これが深田にプラスなのかマイナスなのか……。妊活の前の晩に、うなぎ、山かけ納豆、レバニラを晩御飯に出してくる深田というか奈々は古典的ですが、よかったです。

 コミカルな芝居もうまい松ケンのからみは王道な感じでいいのだが、いまいち妊活部分もとってつけた感じがして、特に医者とのからみあたりは薄い『コウノドリ』(TBS系)のような印象。その軽さがいいのかもしれないけど、それぞれ「昼ドラ」だったり「BL」だったりと、(意図的に?)とっちらからせてる雰囲気を、どうまとめ上げるのかが見ものです。

 今のところ一番気になるのは、スタイリスト川村が実子をどうするのかという問題。それでなくても「子どもいらない」を連呼してる強気なパートナー・杉崎ちひろと結婚目前なのに。いけすかねえ金持ちスタイリストだと思ってノーマークだっただけに、5年ぶりに会った子どもの前でぎくしゃくする平山浩行の芝居がとても良かったです。

 あと、気になったのはこの番組が厚生労働省の「ポジティブ・シェアリング」「こころの耳」に賛同してタイアップを行っていること。「みんなの力で心を軽く!」だかの啓蒙スローガンを掲げていたが、なんかこれを知った途端に、少し萎えました。

 まあドラマだし、と見て見ぬ振りしてた「なんだかんだ全員やけに金持ってそうじゃん」問題が見過ごしにくくなったり。別にドラマだし、みすぼらしくする必要はないのだが、悩みのある人に寄り添うという役所の政策がちらつくと、どうしても少し見え方が変わってきてしまう。

 その辺のタイアップなどの縛りの影響で、教習所で見せられるような交通安全の映画みたいになるのだけはぜひとも避けていただきたい。第2話も期待してます!
(文=柿田太郎)