青学・原監督が「箱根駅伝」全国化主張で干され危機! “老害大学”の猛反発で……

 今年の箱根駅伝で、見事4連覇を飾った青山学院大学を率いるのが、名将・原晋監督。最近では、本を出版したり、バラエティ番組はもとよりドラマにまで出演したりと、今やすっかり有名人だが、箱根駅伝の在り方に関する発言が波紋を呼んでいる。

 問題の発言が飛び出したのは、青山学院大が4連覇を達成した直後のことだ。そもそも箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟が主催する“ローカル大会”。しかし今や、ビデオリサーチ調べの視聴率で30%近くに達するお化け番組となったことから、「関東以外の大学も出られるようにすべき」という意見が寄せられるようになった。

 そんな中、原監督は、1月8日付の日本経済新聞で、「競技人口を増やす一手として箱根駅伝のエンターテインメント性をどんどん出すべきだろう。メディアに露出して魅力を発信することこそ普及につながる」「地方創生という観点からも全国化は有効で、地方の大学が出場できれば地域の活力になる」と、私見を披露した。

 原監督が全国化を訴えるのは、これが初めてではない。原監督は、2016年の優勝後に、「(箱根駅伝は)もう関東の枠にとどめておけない状況」と発言。17年1月に自民党の会合に出席した際にも、「スポーツビジネスを考えるにあたって、箱根駅伝の全国化は絶対、必要不可欠な問題だ」と述べるなど、かねてより全国化を訴えている。しかしこれを苦々しく見ているのが、古参である中央大、早稲田大、日本大らの関係者だ。週刊誌記者が語る。

「今や大学陸上界で随一の発言力を誇る原監督ですが、彼は愛知県の中京大学出身で、箱根駅伝とは無縁の選手でした。もちろん青学の4連覇は大変な偉業ですが、青学の出場回数は94回中23回。出場91回の中大をはじめ、早大、日大(ともに87回)、法政、東洋、日体大など、ほとんど毎回出場してきたような大学に比べれば、まだまだ“ひよっこ”です。箱根駅伝では新興の大学の監督が、伝統ある箱根の改革を訴えることに怒り心頭の関係者は少なくありません」

 年長者や先輩を差し置いて意見すれば、反発されるのはどの世界も似たようなものだ。しかし、この背景には、より直接的な大学側の事情もあるという。箱根常連校の関係者が語る。

「受験シーズン直前に大学名が連呼される箱根駅伝のPR効果は計り知れません。しかし箱根駅伝が全国化され、出場校が増えたり、出場するのが難しくなったら、PRのチャンスは減ってしまいます。全国化されても関東の大学にはなんのメリットもありません。箱根駅伝が放送されるたびに、『なぜ関東の大学しか出れないのか?』という意見が出ますが、そもそも箱根駅伝は、テレビ中継が行われるはるか前から存在してきた大会です。長年、関東の大学が大切に育ててきた大会の面白さに着目した日本テレビが、それに乗っかっただけのこと。人気が出たからと言って、それを『閉鎖的だ』というのはお門違いです。大学駅伝日本一を決める大会は、ちゃんと全日本大学駅伝という大会があるので、それで十分ではないでしょうか」

 箱根路を駆け抜けるランナーの颯爽とした走りとはかけ離れた“大人の駆け引き”は、それはそれで見もののようだが……。

『箱根駅伝』の全国大会化は絶対に無理? 関東の大学が“断固拒否”する理由とは

 お正月の恒例イベント『箱根駅伝』が、2024年の100回記念大会から全国大会化を検討していることが判明。しかし現実的には、その道のりは極めて厳しそうだ。

 東京と箱根を往復し、毎年視聴率が25%を超える箱根駅伝が、実は「関東の大学だけが出るローカル大会」というのは、知る人ぞ知る事実だ。しかし11月7日付の「日刊スポーツ」が、一定のタイムの基準を満たせば、関東以外の大学でも、前年秋に行われる予選会への出場を認める案を検討していると報道。7年後に予定される100回大会から導入されそうだという。これについて、スポーツライターが語る。

「陸上長距離界では、かねてより箱根偏重という問題が指摘されてきました。高校生の長距離は伝統的に西日本が強いのですが、有力な高校生選手たちは、箱根路を走りたいために、こぞって関東の大学に進学してしまう。11月5日に行われた全日本大学駅伝でも、上位15校までは関東の大学でした。こういった状況に、関東以外の大学や各地方の地元ファンが不満を抱くのも無理はありません」

 陸上界を全国的に盛り上げるには、極めて有効かと思われる今回のプラン。実際、全国化案が報じられると、ネットにはこれを歓迎する声が多数上がったが、一筋縄ではいかないという。大学スポーツや受験情報に詳しい週刊誌記者が語る。

「箱根駅伝は大学スポーツで最も知名度が高く、開催されるのが受験シーズン直前ということもあって、優勝すると受験者が一気に2割以上増えることもあります。しかも駅伝は、他のスポーツに比べてお金がかからないので、山梨学院、城西、上武、中央学院など、多くの大学が駅伝を強化して、箱根駅伝で大学名をアピールしてきました。しかし箱根駅伝が全国化してしまったら、出場するのが難しくなりますし、出場枠が増えるようなら広告効果が下がります。箱根駅伝のたびに『なぜ関東のローカル大会を全国放送するのか』という批判の声が上がりますが、関東の大学には、箱根駅伝の人気は一朝一夕で生まれたものでなく、丹念に積み上げてきた歴史の上で築き上げたものという共通認識があります。それを今さら、『注目度が高いから我々も入れてくれ』というのは、のめない話。間違いなく猛反対するでしょう」

 爽やかな青春ドラマの陰には、ドロドロとした利権の問題があるようだ。