覚せい剤使用・密売で服役した元女囚が振り返る「薬物で逮捕された有名人2017」

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■2017年目立ったのは「二世」

 2017年は、経営しているラウンジのお仕事とともに、「連載」という初めてのお仕事をいただき、忙しくも充実した1年でした。読んでくださっている皆様、編集部の皆様には本当に感謝しています。

 以前は考えたこともありませんでしたが、最近は有名人と薬物のニュースを見ると、「あ、この人もシャブいっとったんか。よっしゃこれでニュース書いたろ」と喜んでしまう自分がいてます(笑)。編集者さんも「ほんと、出版は他人様の不幸で食べてますよね」と苦笑していました。私なんかシャブでムショに行った自分のこともネタにしてるんですから、なんとも因果な商売です。でも、本業のラウンジ経営はお客様を癒やすお仕事ですから、バランス取れてるかなーとか勝手に思うてます(笑)。

 思えば昨年も薬物による有名人の逮捕は多かったですね。元「KAT-TUN」田中聖の大麻所持は不起訴になりましたが、あとは「二世」の事件が目立ちました。俳優・橋爪功の息子、作家で環境保護活動家・C・W・ニコルの娘、ものまねタレント・清水アキラの息子といろいろでしたね。このほか、私の地元大阪では「大物議員の二世逮捕」のウワサもあったものの、いつの間にか消えています。

 以前も書かせていただきましたが、「親が有名人だから」といって、いいトシをした「子ども」の不祥事について親を非難するというのは、どうなんですかね。親が記者会見までやって謝る必要があるんかなあと思ってしまいます。

 親に全く責任がないとはいいませんが、24時間の監視はムリですし、結局は本人の問題です。本人が気づかなければ一生治りませんよ。私もそうでしたが、程度はともかく、誰だって迷って悪いことに手を出すことはありますやんか。それを全部「親のせい」にするのはアカンですよ。

 そういえば、子どもではなく浅野忠信の「おとん」の例もありました。なんと前科もあったそうで、驚きですが、浅野さんの絶妙なフォローが話題になりましたね。ちなみにムショでは、「大物ヤクザの娘」とかはやっぱり知られていて、そういう「二世」は何度か見かけましたが、有名人の子どもは見たことなかったです。

 このほか元スノーボーダーや山梨県の村議、ヒップホップの「ヒルクライム」(DJ KATSU)などもいてましたね。私はやめられたので言いますけど、有名人が薬物で逮捕されるとどうなるのかは百も承知でしょうに、まだ薬物をやってる人がいるとは驚きですが、でも薬物とは、確かにそれくらい根深いものなんです。

 でも、ワタクシ的にやっぱりショックだったのは、16年の清原和博の逮捕です。高校球児の時から家族みんながファンで、よく応援に行ってたんです。私がようやくシャブを卒業して、仕事が順調になりはじめた頃の逮捕だったので、余計につらかったです。家族が逮捕されたくらい大きなショックを受けました。

 今のオーラのない清原の姿もちょっと衝撃ですけど、まずは「シャブ卒」を信じてます。「シャブ卒」といえば、私が最後に逮捕された時は、「もう逃げなくてええんや……」とむしろほっとしたものです。塀の中ではシャブは使えませんから、「逮捕(パク)られた時がシャブやめる時」なんです。あとは自分次第ですね。支えてくださる方がいれば、立ち直りも早いです。

 思えば、この年はASKAや元NHKの歌のお兄さん(杉田光央)、高知東生などもシャブで逮捕られていますし、のりピーこと酒井法子の元夫・高相祐一(危険ドラッグ)、高樹沙耶(大麻)などもいました。「コカイン疑惑」が話題になった成宮寛貴は、今は海外在住らしいですね。

 なんか16年のほうが、メンバーは豪華な気がしますけど、18年はどうでしょうか? 何度も逮捕がウワサされている有名人さんたちは、逃げ切れるんですかね。もちろん逮捕ではなく、薬物の常用から逃げる、ということです。ホンマに(笑)。

 シャブを卒業できた私ですから、いつでも相談に乗りますよ。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

元女囚が語る“不良”たちの年末年始――盆暮れには覚醒剤も値上がり!

 読者の皆さんも、お忙しい年末をお過ごしのことと思います。年末が慌ただしいのはしょうがない気もしますが、私の場合、主婦とラウンジ経営者の「二足のわらじ」を履いているので、お正月もなかなかゆっくりできませんが、楽しくやっております。

 私の通算12年のムショ生活で、何回お正月を過ごしたか思い出せないのですが、いろいろ思い出があります。獄中は食べることが一番の楽しみなので、お正月は待ち遠しかったですね。

 拘置所のほうが若干豪華なのですが、刑務所もお正月っぽいことはあるんです。もっとも施設によっても違いますし、今は経費削減もあって、年々ショボくなっているという話も聞きますけどね。

■懲役にはまぶしすぎるアレ

 意外に思われるかもしれませんが、拘置所やムショの食事は、ささやかながら「季節感」が重視されています。お正月はもちろん、ひな祭りやこどもの日、クリスマスなんかにはお菓子も出ます。こうやって懲役(受刑者)に「ありがたみ」を押し付けてるのと違いますかね(笑)。

 ふだんは夜9時には就寝させられる懲役たちも、大みそかはNHKの『紅白歌合戦』を見ることができて、カップ麺ですが年越しそばも配られます。そして元日には、おせち料理の折り詰めや、お菓子が出ます。中でも楽しみなのは「銀シャリ」でした。今の若い人は、「銀シャリ」ってわかんないかもしれませんね。白米のことです。

 いつもは三食とも黒い筋のある麦が入った麦飯ですから、銀シャリはもう弁当箱のフタを開けるだけで、マジ「まぶしい」んですよ。「ルームメイト」たちも、口々に「わああああ」「まぶしいいい」と大はしゃぎです。でも、残念なことに銀シャリは、すぐに胃もたれして飽きてしまいます。1月4日に麦飯に戻ると、「ああ、やっぱりこれやね」って、みんなほっとするんですよ。そんなですから、みんなが、お正月三が日で必ず太ります。人によりますが、私は5キロくらい太ったのと違いますかね。2キロから7キロくらいは、みんなイッてると思いますよ。

 体重は、定期的に先生(刑務官)の立ち合いの下で量ってました。月に2~3回だったかな。禁止されているダイエットをしているコもいて、先生にバレないように、おなかに辞書を仕込んだりしていましたよ。ダイエットくらいええやんと思うのですが、獄中はとにかくいろんなことが「ダメ」なんです。

 そして、もうひとつ思い出すのが、年末年始のシャブの流通価格です。シャブは「だいたい1グラム1万円」が相場だったのですが、売人によって価格がマチマチです。「純度が違う」とかいろいろ言って、高くするわけですね。今は4万円くらいになってますかね。以前、ASKAは「1グラム10万円」で買ってたと新聞に出てましたが、さすがにそれは高すぎやと思います。しかもASKAのせいで警察の締め付けが厳しくなり、供給量が減っているために便乗値上げされているという話でした。売人は、他人の弱みにつけ込むのがうまいんです。

 年末年始も何かとお金がいるので、売人は勝手に値上げするんです。常用者は「年末年始の休みで、ゆっくりキメたい」とか「彼女とクリスマスにキメたい」と、どうしても欲しがるので、これも立派な便乗値上げですね。悪質商法ですが、そもそもシャブが違法なんやから、文句は言えません。

 買わない、売らない、使わないのが一番ですよ。私も使わないで済むようになるまで、だいぶ「授業料」を払ってきましたが、おかげさまで今は大丈夫です、ホンマに。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

元女囚が語る“不良”たちの年末年始――盆暮れには覚醒剤も値上がり!

 読者の皆さんも、お忙しい年末をお過ごしのことと思います。年末が慌ただしいのはしょうがない気もしますが、私の場合、主婦とラウンジ経営者の「二足のわらじ」を履いているので、お正月もなかなかゆっくりできませんが、楽しくやっております。

 私の通算12年のムショ生活で、何回お正月を過ごしたか思い出せないのですが、いろいろ思い出があります。獄中は食べることが一番の楽しみなので、お正月は待ち遠しかったですね。

 拘置所のほうが若干豪華なのですが、刑務所もお正月っぽいことはあるんです。もっとも施設によっても違いますし、今は経費削減もあって、年々ショボくなっているという話も聞きますけどね。

■懲役にはまぶしすぎるアレ

 意外に思われるかもしれませんが、拘置所やムショの食事は、ささやかながら「季節感」が重視されています。お正月はもちろん、ひな祭りやこどもの日、クリスマスなんかにはお菓子も出ます。こうやって懲役(受刑者)に「ありがたみ」を押し付けてるのと違いますかね(笑)。

 ふだんは夜9時には就寝させられる懲役たちも、大みそかはNHKの『紅白歌合戦』を見ることができて、カップ麺ですが年越しそばも配られます。そして元日には、おせち料理の折り詰めや、お菓子が出ます。中でも楽しみなのは「銀シャリ」でした。今の若い人は、「銀シャリ」ってわかんないかもしれませんね。白米のことです。

 いつもは三食とも黒い筋のある麦が入った麦飯ですから、銀シャリはもう弁当箱のフタを開けるだけで、マジ「まぶしい」んですよ。「ルームメイト」たちも、口々に「わああああ」「まぶしいいい」と大はしゃぎです。でも、残念なことに銀シャリは、すぐに胃もたれして飽きてしまいます。1月4日に麦飯に戻ると、「ああ、やっぱりこれやね」って、みんなほっとするんですよ。そんなですから、みんなが、お正月三が日で必ず太ります。人によりますが、私は5キロくらい太ったのと違いますかね。2キロから7キロくらいは、みんなイッてると思いますよ。

 体重は、定期的に先生(刑務官)の立ち合いの下で量ってました。月に2~3回だったかな。禁止されているダイエットをしているコもいて、先生にバレないように、おなかに辞書を仕込んだりしていましたよ。ダイエットくらいええやんと思うのですが、獄中はとにかくいろんなことが「ダメ」なんです。

 そして、もうひとつ思い出すのが、年末年始のシャブの流通価格です。シャブは「だいたい1グラム1万円」が相場だったのですが、売人によって価格がマチマチです。「純度が違う」とかいろいろ言って、高くするわけですね。今は4万円くらいになってますかね。以前、ASKAは「1グラム10万円」で買ってたと新聞に出てましたが、さすがにそれは高すぎやと思います。しかもASKAのせいで警察の締め付けが厳しくなり、供給量が減っているために便乗値上げされているという話でした。売人は、他人の弱みにつけ込むのがうまいんです。

 年末年始も何かとお金がいるので、売人は勝手に値上げするんです。常用者は「年末年始の休みで、ゆっくりキメたい」とか「彼女とクリスマスにキメたい」と、どうしても欲しがるので、これも立派な便乗値上げですね。悪質商法ですが、そもそもシャブが違法なんやから、文句は言えません。

 買わない、売らない、使わないのが一番ですよ。私も使わないで済むようになるまで、だいぶ「授業料」を払ってきましたが、おかげさまで今は大丈夫です、ホンマに。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

女囚たちが一番食べたい外食は「マクド」! 出所して必ず行くのは「ミスド」……!?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■毎月一回マクドへ行く懲役?

 ドラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)見てます? 私は録画はしてますが、経営しているラウンジのクリスマスイベントの準備などもあり、ゆっくり見る時間が取れないでいます。テレビどころか睡眠の時間もロクにないんですが、それはそれでとっても充実しているんですよ。ラウンジの仕事は、とてもやりがいがあります。

 さて、『監獄のお姫さま』の脚本を書かれたクドカンこと宮藤官九郎さんは、実際に女子刑務所にも取材され、懲役(受刑者)や刑務官の話も聞いたそうですが、その刑務所は「毎月1回、1,000円以内の外食ができる」のだとか。一番人気はマクドナルドだそうです。

 うらやましい……。一体、どこのムショなのでしょうか。私が懲役に行っていたころは聞いたことがありませんでした。

 塀の中でマクドが食べたくなるのは、よくわかります。しょっちゅうテレビコマーシャルをやってましたから。夕食後の何時間かはテレビを見ることができたので、マクドやケンタッキーフライドチキンなどのコマーシャルを見ては「食べたいねえ」とみんなでため息ついてましたね。せやから、「マクドに行けるなんて、めちゃくちゃうらやましい」というのが正直な感想です。自由に好きなものを食べられるシャバはやっぱり最高ですね。

 ちなみに私がいた頃も、出所が近くなると、シャバの空気に慣れるための外出が許される、というのはありました。500円玉を握りしめて街を歩き、コンビニで買い物をしたりします。私は長期刑ではないのですが、やっぱり「プチ浦島太郎」になってましたね。長期の人は、出所すると、100均の品ぞろえやETCの存在、公衆電話がないことなどにビックリするそうです。

 私もスマートフォンは慣れるまで結構大変でした。パンフレットやコマーシャルで見ていたので、知ってはいましたが、実際に手にした時は、どれくらいの指圧(?)で触ればいいのか、着信の時にどうスライドすればいいのか、とかがよくわからず、画面を指でギューギューと押してましたね(笑)。もちろん今はすっかり慣れて、「2台持ち」で、足の指まで駆使して、主に営業用の「好き好きライン」を打ちまくってます。

 懲役時代にマクドに行けたなら、それはかなりうれしかったと思いますが、今の私なら迷わず立ち飲みでおでんを食べたいですね。ビールと熱燗が1,000円で収まるお店、けっこうありますやん。でもアルコールはアカンかなー(笑)。ベロベロで帰ってきてソッコー懲罰房行きなんて悲しすぎるし。

 まあ今の気分は季節的にもおでんなのですが、昔なら甘いものを買ったかもしれません。塀の中では、とにかくみんなが甘いものに飢えていました。お菓子を食べられるのは、お正月や慰問などの行事がある時か、パン食の時くらいなんです。パンにはジャムなどがつくので、とても楽しみでした。常に頭から甘いもののことが離れないのです。

 せやから出所後は、迎えに来てくれた家族と一緒にサービスエリアで降りて、ぜんざいを3杯食べて、アイスクリームやジュース、チョコレートをたくさん買って、車の中で食べていました。で、地元に着いたらミスド(ミスタードーナツ)へ直行。さすがに食べすぎですが、そのくらい食べたかったんです。3回の出所で全部ミスドに行ってますが、これもコマーシャルのせいかも(笑)。

 3回目の出所の時には、まずホットケーキ。その後に串カツ、寿司、ミスド。さらにホテルのケーキバイキングにも行きました。めっちゃ食欲が出たのは出所の解放感からだと思います。やっぱりムショは行くものではないですね。

nakanorumi_portrait中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

女囚たちが一番食べたい外食は「マクド」! 出所して必ず行くのは「ミスド」……!?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■毎月一回マクドへ行く懲役?

 ドラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)見てます? 私は録画はしてますが、経営しているラウンジのクリスマスイベントの準備などもあり、ゆっくり見る時間が取れないでいます。テレビどころか睡眠の時間もロクにないんですが、それはそれでとっても充実しているんですよ。ラウンジの仕事は、とてもやりがいがあります。

 さて、『監獄のお姫さま』の脚本を書かれたクドカンこと宮藤官九郎さんは、実際に女子刑務所にも取材され、懲役(受刑者)や刑務官の話も聞いたそうですが、その刑務所は「毎月1回、1,000円以内の外食ができる」のだとか。一番人気はマクドナルドだそうです。

 うらやましい……。一体、どこのムショなのでしょうか。私が懲役に行っていたころは聞いたことがありませんでした。

 塀の中でマクドが食べたくなるのは、よくわかります。しょっちゅうテレビコマーシャルをやってましたから。夕食後の何時間かはテレビを見ることができたので、マクドやケンタッキーフライドチキンなどのコマーシャルを見ては「食べたいねえ」とみんなでため息ついてましたね。せやから、「マクドに行けるなんて、めちゃくちゃうらやましい」というのが正直な感想です。自由に好きなものを食べられるシャバはやっぱり最高ですね。

 ちなみに私がいた頃も、出所が近くなると、シャバの空気に慣れるための外出が許される、というのはありました。500円玉を握りしめて街を歩き、コンビニで買い物をしたりします。私は長期刑ではないのですが、やっぱり「プチ浦島太郎」になってましたね。長期の人は、出所すると、100均の品ぞろえやETCの存在、公衆電話がないことなどにビックリするそうです。

 私もスマートフォンは慣れるまで結構大変でした。パンフレットやコマーシャルで見ていたので、知ってはいましたが、実際に手にした時は、どれくらいの指圧(?)で触ればいいのか、着信の時にどうスライドすればいいのか、とかがよくわからず、画面を指でギューギューと押してましたね(笑)。もちろん今はすっかり慣れて、「2台持ち」で、足の指まで駆使して、主に営業用の「好き好きライン」を打ちまくってます。

 懲役時代にマクドに行けたなら、それはかなりうれしかったと思いますが、今の私なら迷わず立ち飲みでおでんを食べたいですね。ビールと熱燗が1,000円で収まるお店、けっこうありますやん。でもアルコールはアカンかなー(笑)。ベロベロで帰ってきてソッコー懲罰房行きなんて悲しすぎるし。

 まあ今の気分は季節的にもおでんなのですが、昔なら甘いものを買ったかもしれません。塀の中では、とにかくみんなが甘いものに飢えていました。お菓子を食べられるのは、お正月や慰問などの行事がある時か、パン食の時くらいなんです。パンにはジャムなどがつくので、とても楽しみでした。常に頭から甘いもののことが離れないのです。

 せやから出所後は、迎えに来てくれた家族と一緒にサービスエリアで降りて、ぜんざいを3杯食べて、アイスクリームやジュース、チョコレートをたくさん買って、車の中で食べていました。で、地元に着いたらミスド(ミスタードーナツ)へ直行。さすがに食べすぎですが、そのくらい食べたかったんです。3回の出所で全部ミスドに行ってますが、これもコマーシャルのせいかも(笑)。

 3回目の出所の時には、まずホットケーキ。その後に串カツ、寿司、ミスド。さらにホテルのケーキバイキングにも行きました。めっちゃ食欲が出たのは出所の解放感からだと思います。やっぱりムショは行くものではないですね。

nakanorumi_portrait中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

元女囚が語る「男と女のシャブ事情」――“超大物アーティストX”は、もうやってないのでは?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■「逮捕(パク)られた時」がやめる時

「瑠美さん、また『大物X、シャブで逮捕へ!?』の記事が出てますけど、どう思います?」

 編集者さんから聞かれました。

「どうって……。そんなもん、わかりませんよ。私は警察やないんやから」
「そりゃそうですね」
「でも、あんまり有名になってしまうと、クスリもやりづらいですよね。Xさんは、もうやめてはるのとちがいますかね」
「そういうもんなんですか?」
「シャブの売人の中には、芸能人専門みたいな口の堅い人とかもいてるんですが、そうはいっても、やっぱりどっかから漏れますからね。『そういえばヘンな汗かいてた』とか『走ってもないのにハアハア言ってた』とか、ウワサも広まるし」
「そういうウワサは前からある人ですよね、大物X……」
「それはわからんけど(笑)、普通は『逮捕(パク)られた時が(シャブを)やめる時』っていいます。拘留されたら、クスリは使えませんからね。でも、パクられたら失うものは大きすぎますから、そう考えられるうちは、やめられるんとちがうかな」
「なるほど。清原(和博)とかのりピー(酒井法子)は、たくさんのものを失いましたからね」
「そうそう。『そうなる前にやめとこ』って、思えればいいんですよ。まあ私もなかなかそうは思えなかったから、12年もムショに行くことになるんですけどね(笑)」

 しょうもない自虐オチがつきましたが、12年のムショ生活で、心はめっちゃ強くなりました。自分も含めてですが、ヘンな人が多すぎるんですよ。今、私が経営しているラウンジも、世間を知らない女の子が多くてタイヘンといえばタイヘンですが、ムショに比べたらラクなもんです。

 ちなみに女性の懲役(受刑者)の数は男の約1割(※『犯罪白書』)だそうですが、女の子の犯罪の大半は「男がらみ」です。これまた私もそうでしたが、「シャブデビュー」は付き合っている男から打たれるのがほとんどですし、子どもの虐待なんかも「交際相手の男といたいから、子どもが邪魔になった」とかの理由です。DVの果てに、思い余って夫や交際相手を殺してしまうことだってありますよね。「みんな男が悪い!」と言うたら、言い過ぎでしょうか? でもそんな感じ。

 では、男はどうでしょう?

 大物Xさんや清原さんは、交際相手の女からシャブを打たれてハマったのでしょうか? 違いますよね、きっと。男の場合、シャブは自分からいってると思います。理由は、寂しさだったり、好奇心だったりでしょうが、それをカノジョにまで使おうとするのが男なのです(笑)。そういえば、清水アキラさんの息子も、相手の女の子に使おうとしてパクられてました。

 犯罪からも男女の違いがわかるって、おもろいですよね。これもムショで学んだことですが、もう目いっぱい勉強させてもろたんで、戻りたないです。

nakanorumi_portrait中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

元女囚が語る「男と女のシャブ事情」――“超大物アーティストX”は、もうやってないのでは?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■「逮捕(パク)られた時」がやめる時

「瑠美さん、また『大物X、シャブで逮捕へ!?』の記事が出てますけど、どう思います?」

 編集者さんから聞かれました。

「どうって……。そんなもん、わかりませんよ。私は警察やないんやから」
「そりゃそうですね」
「でも、あんまり有名になってしまうと、クスリもやりづらいですよね。Xさんは、もうやめてはるのとちがいますかね」
「そういうもんなんですか?」
「シャブの売人の中には、芸能人専門みたいな口の堅い人とかもいてるんですが、そうはいっても、やっぱりどっかから漏れますからね。『そういえばヘンな汗かいてた』とか『走ってもないのにハアハア言ってた』とか、ウワサも広まるし」
「そういうウワサは前からある人ですよね、大物X……」
「それはわからんけど(笑)、普通は『逮捕(パク)られた時が(シャブを)やめる時』っていいます。拘留されたら、クスリは使えませんからね。でも、パクられたら失うものは大きすぎますから、そう考えられるうちは、やめられるんとちがうかな」
「なるほど。清原(和博)とかのりピー(酒井法子)は、たくさんのものを失いましたからね」
「そうそう。『そうなる前にやめとこ』って、思えればいいんですよ。まあ私もなかなかそうは思えなかったから、12年もムショに行くことになるんですけどね(笑)」

 しょうもない自虐オチがつきましたが、12年のムショ生活で、心はめっちゃ強くなりました。自分も含めてですが、ヘンな人が多すぎるんですよ。今、私が経営しているラウンジも、世間を知らない女の子が多くてタイヘンといえばタイヘンですが、ムショに比べたらラクなもんです。

 ちなみに女性の懲役(受刑者)の数は男の約1割(※『犯罪白書』)だそうですが、女の子の犯罪の大半は「男がらみ」です。これまた私もそうでしたが、「シャブデビュー」は付き合っている男から打たれるのがほとんどですし、子どもの虐待なんかも「交際相手の男といたいから、子どもが邪魔になった」とかの理由です。DVの果てに、思い余って夫や交際相手を殺してしまうことだってありますよね。「みんな男が悪い!」と言うたら、言い過ぎでしょうか? でもそんな感じ。

 では、男はどうでしょう?

 大物Xさんや清原さんは、交際相手の女からシャブを打たれてハマったのでしょうか? 違いますよね、きっと。男の場合、シャブは自分からいってると思います。理由は、寂しさだったり、好奇心だったりでしょうが、それをカノジョにまで使おうとするのが男なのです(笑)。そういえば、清水アキラさんの息子も、相手の女の子に使おうとしてパクられてました。

 犯罪からも男女の違いがわかるって、おもろいですよね。これもムショで学んだことですが、もう目いっぱい勉強させてもろたんで、戻りたないです。

nakanorumi_portrait中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

元女囚が見たムショという“妄想”空間ーー「BL本」の差し入れで夫を疑い、夜も眠れず

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■些細なことで不安になるのが「懲役の宿命」

 先日、「週刊大衆」(双葉社)で、元AV女優の麻美ゆまさんのインタビューを受けさせていただきました。関西人はサービス精神が旺盛なので、面白おかしく、しゃべってしまいました(笑)。刑務所内の暮らしについてお話しした内容は、11月27日号と12月4日号の2号にわたって掲載されています。

 男子刑務所に比べれば、女子刑務所の規則はゆるいのですが、やはり塀の中は閉鎖空間なんです。いじめもありますし、何度もイヤな思いをしました。朝から晩まで規則ずくめの施設の中で過ごすのが懲役(受刑者)の毎日です。楽しみといえば、食事とたまの面会と手紙くらいで、顔を合わせるのは懲役仲間と刑務官だけ。こういう狭い空間にいると、考え方が狭くなるのも当たり前といえば当たり前ですね。

 例えば、いつも来ている手紙や面会、差し入れが少しでも遅れると、めっちゃ不安になりました。刑事事件を起こすと家族や友達から縁を切られることも多いので、家族が定期的にいろいろやってくれた私は、まだ恵まれているほうでしたが。

■「BL本」の差し入れで取り越し苦労

 そんなある日、夫から「BL本」の差し入れがありました。美少年同性愛の漫画ですね。私はお料理の本や旅の本、やくざのノンフィクションやレディコミなどの漫画が好きで、よく差し入れてもらっていたのですが、この時はなぜかBL……。私はそっち系の趣味はないし、もちろんリクエストした覚えもありません。なんでこんな本を送ってきたんやろか……。ちょっと考えてハッとしました。

「もしや男が好きになったから、私と離婚したいのと違うんかな?」

 今思うとバカバカしいのですが、いかんせん閉鎖空間ですし、近くにいないので、すぐには確かめられませんから、不安がめっちゃ募りました。

「やっぱり私がポン中やから、愛想尽かされたんやろか……」
「でも、なんでよりによってBL???」

 ぐるぐると考えていると、夜も眠れません。しばらく妄想でキレそうな毎日でしたが、少したって、夫が面会に来てくれました。

「なあ……あの漫画、何なん?」面会時間は短いので、あいさつもそこそこに聞いてみました。

「あの漫画て?」
「ほら、あのBL……」
「びーえる? て何?」
「ええー? 先月差し入れてくれた漫画やんか……」
「知らんがな。漫画は、本屋で売れてるやつを選んでもろてるだけや」
「えっ?」
「どんな本がええかわからんし。売れてる中から選んだだけやねん」
「……そ、そうやったんか……」

 おかげさまで、めっちゃ安心しました。シャバならしょうもない疑惑ですが、あの時は真剣だったのです。

 まあBLは極端としても、狭いところでは考えんでもええことを、ついつい考えてしまうんですね。

 たとえば取り調べの時なんかも、冤罪であっても刑事さんから「お前がやったんやろ!」と何度も怒鳴られ続けていると、「もしかしてやってたかも?」という気持ちになるそうです。まあ、私はホンマにシャブをやってたんですけどね(笑)。これも狭いところで、ほかに何も考えられない状況やから起こってしまう妄想なんでしょう。

 こういう妄想が自分の中だけであればまだいいのですが、そのうち周囲にもしゃべりだしてしまうと、もう「拘禁反応」の部類ですね。別に何も言っていないのに、「今、私の悪口言ってたやろ?」とか「今、こっちをにらんでたやろ?」とか言う懲役は珍しくありませんでした。

 ワタクシ的には、やっぱり「そんなに私の裸が見たいんか!?」といつも言っていたおばあちゃんが忘れられないんですが、これはゆまさんにもウケてました。そういうわけで、ムショにいると「妄想」がひどくなります。やっぱり行くところではないですよ、というお話でした。

nakanorumi_portrait中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

『監獄のお姫さま』の小泉今日子は暗すぎる! “ダンナ殺し”の受刑者は生き生きしてる?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■小泉今日子が暗すぎ……

 女囚が主人公の刑務所ドラマ、人気があるんですね。以前も『女囚セブン』(テレビ朝日系)が話題でしたが、この秋からは『監獄のお姫さま』(TBS系)が始まりました。なんと、しまむらとコラボして、ドラマのゆるキャラ、その名も「ぜんかもん」くんグッズを販売してるんですね。

 『女囚セブン』と同様に、今回も出演者がキョンキョンとか菅野美穂さんとか、皆さんフツーに美人すぎますよね。とはいえ、やっぱりドラマですから、きれいな人が出てこないと見る人もつまんないでしょうし。

 でも、「夫に対する殺人未遂で逮捕された設定」のキョンキョンのキャラクターは暗すぎますね。これは改善の余地ありと思いました。当事者でないとわからへんのですが、ムショでは、ダンナを殺した人は暗くないんですよ。むしろ生き生きとしています。

 私は12年の懲役の間に、いろんなコと同じ房になりましたが、「ダンナを殺して暗くなってるコ」というのは、まずいてませんでしたね。学校の先生とか、おカタい職業でダンナさんを殺したコもけっこういてたけど、みんな普通でした。

 「はじめまして」の時に、自分から罪名を言わはるんは、まあ人によりますけど、「夫を殺しました」と言うコがわりと多いです。それで「やっと死んでくれた」とか、「包丁で20回刺したくらいで死にやがった。おかげで私は人殺しや。ホンマあほやで(笑)」とか。さらには、どうやって殺したか、詳しく話してくれるコもいます。

 最近、ご主人の死をひたすら願うSNSサイト『だんなデスノート』が本(宝島社)になって注目されてるそうですが、夫殺しの受刑者はまさに、そこへ書き込む人たちと同じような感じでした。いろんな事情(主に貧困)で離婚もできず、ガマンにガマンを重ねてついに……ということなのでしょうね。

 ちなみに私の家庭は円満なんで、無関係ですよ。編集者さんが「キョンキョンが暗いのは未遂だからじゃないですか? ちゃんと殺ってたら、笑ってるかも」と鋭いことを言っていました。これに対して、子どもを殺して入って来たコは、まず自分からは言いません。そして口数が少なく、暗い表情をしています。それでも、みんなは彼女の罪名を知っています。刑務官が言いふらすからです。

 「あのコは殺(や)ってんねん」みたいなことを、聞いてもいないのに教えてくれるんです。公務員やから守秘義務があるので、それもどないやねんと思いますが、すぐにウワサは所内に広まってしまいます。そして原因は、ほとんど貧困か「新しい男」ですね。貧乏で不憫になって、とか、新しい男と暮らしたいからとか。たいていはその男もダメなのにね。

■事件そのものよりスゴい「裏話」

 男子刑務所と違って、女子刑務所は数が少ないこともあって、長期刑とか罪名で分けられません。初犯と累犯の区別があるくらいです。なので人殺しから万引きの常習犯までみんな一緒です。そやから、打ち解けてくると、けっこういろんなことをお互いにしゃべります。

 たとえば2人の小さな子を殺して「鬼母」と報道されたAちゃんは、貧困でどうにもならず、子どもたちを殺して自分も首を吊ったのに、死にきれなかったと泣いていました。シングルマザーで誰も相談する相手がいなかったんだとか。家庭の事情などでちゃんと育ってないコは、問題を解決できる力がなく、甘え方も知りません。Aちゃんもそうだったんですね。

 また、福田和子さんとか女性の事件の裏には、ほぼ「男」がいてますから、こういう話もおもろいです。事件を起こすのはもちろんアカンけど、悪いのは女性だけと違うんだということもよくわかりますよ。もし私が映画やドラマを作るなら、こういう事件の裏側を回想場面で再現したいと思いますが、いかがでしょうか。

nakanorumi_portrait中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

『監獄のお姫さま』の小泉今日子は暗すぎる! “ダンナ殺し”の受刑者は生き生きしてる?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■小泉今日子が暗すぎ……

 女囚が主人公の刑務所ドラマ、人気があるんですね。以前も『女囚セブン』(テレビ朝日系)が話題でしたが、この秋からは『監獄のお姫さま』(TBS系)が始まりました。なんと、しまむらとコラボして、ドラマのゆるキャラ、その名も「ぜんかもん」くんグッズを販売してるんですね。

 『女囚セブン』と同様に、今回も出演者がキョンキョンとか菅野美穂さんとか、皆さんフツーに美人すぎますよね。とはいえ、やっぱりドラマですから、きれいな人が出てこないと見る人もつまんないでしょうし。

 でも、「夫に対する殺人未遂で逮捕された設定」のキョンキョンのキャラクターは暗すぎますね。これは改善の余地ありと思いました。当事者でないとわからへんのですが、ムショでは、ダンナを殺した人は暗くないんですよ。むしろ生き生きとしています。

 私は12年の懲役の間に、いろんなコと同じ房になりましたが、「ダンナを殺して暗くなってるコ」というのは、まずいてませんでしたね。学校の先生とか、おカタい職業でダンナさんを殺したコもけっこういてたけど、みんな普通でした。

 「はじめまして」の時に、自分から罪名を言わはるんは、まあ人によりますけど、「夫を殺しました」と言うコがわりと多いです。それで「やっと死んでくれた」とか、「包丁で20回刺したくらいで死にやがった。おかげで私は人殺しや。ホンマあほやで(笑)」とか。さらには、どうやって殺したか、詳しく話してくれるコもいます。

 最近、ご主人の死をひたすら願うSNSサイト『だんなデスノート』が本(宝島社)になって注目されてるそうですが、夫殺しの受刑者はまさに、そこへ書き込む人たちと同じような感じでした。いろんな事情(主に貧困)で離婚もできず、ガマンにガマンを重ねてついに……ということなのでしょうね。

 ちなみに私の家庭は円満なんで、無関係ですよ。編集者さんが「キョンキョンが暗いのは未遂だからじゃないですか? ちゃんと殺ってたら、笑ってるかも」と鋭いことを言っていました。これに対して、子どもを殺して入って来たコは、まず自分からは言いません。そして口数が少なく、暗い表情をしています。それでも、みんなは彼女の罪名を知っています。刑務官が言いふらすからです。

 「あのコは殺(や)ってんねん」みたいなことを、聞いてもいないのに教えてくれるんです。公務員やから守秘義務があるので、それもどないやねんと思いますが、すぐにウワサは所内に広まってしまいます。そして原因は、ほとんど貧困か「新しい男」ですね。貧乏で不憫になって、とか、新しい男と暮らしたいからとか。たいていはその男もダメなのにね。

■事件そのものよりスゴい「裏話」

 男子刑務所と違って、女子刑務所は数が少ないこともあって、長期刑とか罪名で分けられません。初犯と累犯の区別があるくらいです。なので人殺しから万引きの常習犯までみんな一緒です。そやから、打ち解けてくると、けっこういろんなことをお互いにしゃべります。

 たとえば2人の小さな子を殺して「鬼母」と報道されたAちゃんは、貧困でどうにもならず、子どもたちを殺して自分も首を吊ったのに、死にきれなかったと泣いていました。シングルマザーで誰も相談する相手がいなかったんだとか。家庭の事情などでちゃんと育ってないコは、問題を解決できる力がなく、甘え方も知りません。Aちゃんもそうだったんですね。

 また、福田和子さんとか女性の事件の裏には、ほぼ「男」がいてますから、こういう話もおもろいです。事件を起こすのはもちろんアカンけど、悪いのは女性だけと違うんだということもよくわかりますよ。もし私が映画やドラマを作るなら、こういう事件の裏側を回想場面で再現したいと思いますが、いかがでしょうか。

nakanorumi_portrait中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)