本物の極道だった“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が見る『アウトレイジ 最終章』

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“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(37)が森羅万象を批評する不定期連載。今回のお題は、北野武監督の人気シリーズ映画で5年ぶりの続編となる『アウトレイジ 最終章』だ。元極道であり、北野映画のファンでもある瓜田は、この作品を見て何を思い、何を語るのか?  17歳から10年間に渡り暴力団に所属し、組抜けしてからも数々の事件やトラブルを巻き起こしてきた瓜田だが、2014年に4度目の結婚をして以降は、すっかり更生して穏やかな日々を送っている。 「昔はレンタルDVD屋に行ったらヤクザ映画やギャング映画ばかり借りていましたが、最近はディズニー映画が中心ですね。血なまぐさい映画はもう何年も見ていません」  そんな瓜田だが、『アウトレイジ』の新作が公開されるとなれば、話は別のようだ。 「俺も北野映画は大好きですけど、お袋がそれ以上のファンで、今年の8月ぐらいから『行こう、行こう、一緒に行こう』としつこく誘われていましたから、親孝行も兼ねて、公開初日のチケットを取りました。ちなみにウチの嫁はバイオレンス映画が苦手なんですけど、1人でお留守番させるのは可哀想なので、映画が終わったあとの食事をエサに一緒に連れて来ました」  こうして瓜田ファミリーが映画館に集結した。かつては極道の妻として、数多の筋者を身近に見てきた母・恭子。その遺伝子を継ぎ、幼少期から悪名を轟かせてきた息子・純士。そうした親子にも物怖じすることなく、「暴力は嫌いや!」と言い切る関西人の嫁・麗子。  三者三様の感想を鑑賞後に語ってもらった。  * * * ――いかがでしたか? 純士 いい面、悪い面、両方あったけど、トータルとしては面白かったし、よかったですよ。 恭子 私はものすごく楽しみにしていたんですが、期待が大き過ぎたせいか、ちょっとガッカリしましたね。 麗子 こんなん茶番劇や。『ビー・バップ・老人ホーム』って感じ。ただ、西田敏行だけはよかったです。 ――意見が分かれましたが、まずは純士さんが「いい」と思った部分を軸に、感想を語り合ってもらえますでしょうか。 純士 まず、大森南朋がとびきりよかったですね。他の多くの役者たちは、北野監督が横にいるせいか、一発で録らなくちゃいけないみたいな緊張で思い切り硬くなっているのがわかった。でも、大森は場に何人いようが、武が回していようが、その壁を壊して自分の空気を出せていたように思います。屈託なく笑うシーンなんかもそうだけど、肩の力が常に抜けている。今作の中ではピカイチかも。めちゃくちゃ優秀なんだと思いますね、役者として。 恭子 あの人、いいんだよ。テレビで『ハゲタカ』を見たときも、うまいなぁって感心したもん。 麗子 ウチは「こんなヤクザおらへんやろ」って思いながら彼を見ていましたよ。橋下弁護士にしか見えへんかったけどなぁ。 恭子 ウソ? ウソ?(笑) 麗子 あんなんやったんですよ。昔の橋下徹は。 純士 大森は、冒頭の釣りのシーンからよかったよ。彼と武が共演する別の映画を見たくなったもん。
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母・恭子と、息子・純士
――その他、いいなと思った役者はいますか? 純士 一番癖があってよかったのは、ピエール瀧ですね。凄み方もビビリ方もよかった。実際はどうだか知らないけど、あの人ってたぶん、夜の繁華街とか飲み屋とか、不良がたくさんいるような場所に、長い人生の中でいっぱい行って遊んできた人なんじゃないかな。だからああいう台本を渡されても、すぐに「じゃあ俺流でいきますよ」と演じることができたんだと思う。ああいう不良、マジでいますからね。新体制が発表されて自分が昇格したとわかった途端、調子に乗ってポケットに手を突っ込んで大声で誰かと電話し始めて岸部一徳から呆れられる場面なんて、本当にリアル。韓国で大友(北野武)に向かって、「ところで、お前の名前は?」って聞いたあとの目つきの悪さとかもね。ああいうのって、ただテレビや映画に出て育ってきただけの俳優ではできないことなんで、たいしたもんだなと思います。 麗子 タムケンにしか見えへんかったけどな(笑)。 純士 あとは、西田敏行の演技も圧巻でしたね。そこらへんの三下っぽく振る舞ったらいけないんだ、俺は大物ヤクザなんだと言い聞かせながら役を全うしたと思うんです。その徹底ぶりがよかったですね。「大友、来ていませんよ」って場面でも、二流の役者だったら「え? 来てねえのか?」と泡食った演技をしそうなもんだけど、「それならそれで別にいい」といった感じで動じない。そういう不敵なリアクションが多々あったじゃないですか。 恭子 あれがウザかった~。 純士 あの、常に上から見下ろしている感じがいいんだよ。 麗子 ウチもやねん! 恭子 何、私だけ除け者にして、夫婦で意気投合してんのよ! 純士 出所者を励ます会で、西田がマイクで喋り出すところなんかも「キター!」「さすがだな」って思いながら見ていました。最後まで西田は武の期待値以上のことをやったと思いますね。 麗子 西田敏行って、ウチのお父さんにソックリやねん(笑)。 恭子 ウソ? あんなオッサンなの? 麗子 それが、懐かしくて懐かしくて(笑)。 恭子 私は西田が、ウザくてウザくて。早く殺されていなくなれ! と思っていたけど、全然いなくならないからイライラしたわ。 麗子 イヤやーーー! そんなん言わんといてください。 恭子 あれは、よくいるタチの悪いヤクザもんだよ。本当に根性の汚い奴。 純士 でもそれがよかった。本物の不良っぽかったじゃん。あと、西田がすごいな、貫禄勝ちだなと思ったのは、大杉漣のところに行って、啖呵を切る場面。誰かに話をつけに行くのって、相手が1人だとしても緊張するじゃないですか。それを映画の中の話とはいえ、西田は他のヤクザも大勢見守る中、今から下克上してやるという一世一代のシーンを、さらっと演じ切ったでしょう? あの貫禄がすごかったよね。 麗子 すごかった! 恭子 似た者夫婦だから意見も一致するのかねぇ……。お父さんに似ているから、なんでもよかったんじゃないの? 麗子 ちゃうわー! 純士 あと、張会長(金田時男)から明らかにシカトされているにもかかわらず、西田が行儀悪い格好で延々と話しかけ続けるところも、いいんだわ。 恭子 ああいうのが私は鼻についた。やり過ぎでしょ。ああいうヤクザ、実際にいることはいるけどさぁ。 純士 そう、ああいうのが本物のヤクザなんだよ。武と大森が銃を持って、屋上駐車場で花菱会の面々と向き合うシーンでも、車の窓がスッと開いて、西田が「オイ、大友。今までのことは一回水に流して」みたいなことを言うじゃないですか。あのときもまだ「俺のほうがお前より貫目が上だぞ」っていう態度を崩さない。ヤクザの上層部って、ああじゃなきゃダメなんですよ。それを演じ切った西田は只者じゃない。一級品の役者ですね。
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――その他、ヤクザがリアルだった場面はありますか? 純士 塩見三省みたいな顔をしたヤクザは、どの義理場に行っても必ず1人はいます。今回、痩せて弱っちくなっていたけど、かえってそれがリアルだったと思う。花田(ピエール瀧)っていう金稼ぎのうまい有望な若い衆を抱える身でありながら、本家からは年寄り扱いされたり、信頼している人間のタマを取るように命じられたり。年老いちゃったから丸め込まれて、組織維持のために使われそうになる、ちょっと可哀想な立場。そういうのが伝わるうまい見せ方だったと思います。 恭子 西田と塩見が疲れ切った顔で車に乗っているシーンが可笑しくて、私、吹き出しちゃったわよ(笑)。どんな看板を背負っていようが、寄る年波には勝てない。こういうロートルヤクザ、実際にいるなぁと思って。 麗子 ウチは笑うよりも心配になりましたよ。老人ホームの発表会を見ているみたいで痛々しくて……。 純士 武も岸部一徳もそうだけど、映画は画面がデカイから老いを隠せず、加齢臭全員集合みたいになっていたのは否めない。でもその一方で、フレッシュな若手もいたじゃん。キャバクラで踏ん反り返っていた池内博之。彼はハーフ特有の顔の怖さが不良にハマる。現代風ヤクザとしての実在感がありましたね。逆に、ヤクザとしての実在感が一番薄かったのは、武が演じた大友かな(笑)。彼の振る舞いは、ヤクザじゃなくてただのチンピラ。刑事に絡んだり凄んでみせたり、出所祝いの会場で道具を出したり。実際は大物のヤクザほど刑事を立てるし、義理場や祝いの席はあえて避けてケンカをしますからね。大友は最低ですよ(笑)。チンピラの極み。 恭子 今回、武さんの見せ場が少なかった気がするなぁ。西田ばっかりになっちゃっていたような……。 純士 確かに。昔の北野映画はぶっちぎりの独りよがりでそれが面白かったのに、今回は監督が、自ら呼び集めた大物役者に気を使って、彼らを立て過ぎちゃったせいなのか、誰が主人公なのかわかりづらくなっていたかも。西田や塩見の演技はすごいんだけど、それは小出しにするからいいんであって、今回は前面に出し過ぎて安くなっちゃった印象がありますね。全員のセリフを半分とか3分の1とかに切っちゃっていいから、もっと他に描き込んでほしい部分もあった。 ――それは具体的には? 純士 今回、繁田刑事(松重豊)がキレる場面があったじゃないですか。あれ、本当に絶妙なタイミングだと思うんです。人が発狂する瞬間って、あんな感じだよなぁと思って、すごく共感できたんだけど、上司と決別したあと、武と大森が階段を上がってくるシーンだったから、上で待っているのは繁田かと思いきや、違うんだもん。「刑事としてではなく、俺個人として言うが、大友、往生しろ」とかのシーンがあるのかと思いきや、ない。みんなが自分のやってきたことにケジメつける映画かと思ったら、そうでもない。 恭子 西田に尺を取られちゃって、そこらへんに時間を割けなかったのよ、きっと。 純士 ピエール瀧にしても、ドMの変態ヤクザでいくんなら、女性にもっとひどいことをしたりさせたりしている描写がほしかった。じゃないと、ただのコスプレになっちゃう。 恭子 それは、いろいろ問題があって映像化できないんじゃない? 純士 直接的な暴力描写や性描写は無理にしても、もっと車で移動している最中とかヤクザ的な時間を過ごしている間に、上の人がいる前でわざと変態っぽい電話をかけてニヤニヤしているシーンとかがあったほうが、あの末路の爆発力も増したのに。序盤、済州島でヘタを打ったピエール瀧が、大友たちがいなくなったあとに、自分とこの若い衆をボコボコにするシーンがあったでしょう。ああいう八つ当たりって、実際のヤクザ社会でもよく見ることで、すごくリアリティーがあってよかったから、もっとあの温度で最後まで来てほしかったです。
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――その他、不満だった点はありますか? 純士 かつての北野映画の世界観って、暴力描写にはスピード感がある一方で、それ以外ではよくわからない女性が出てきたり、ゆっくりなシーンがあったりしたと思うんだけど、今回はそういう緩急や、独特の間が少なくて、俳優陣の長ゼリフが最初から最後まで続いた印象でした。しかも俳優が噛まないように一生懸命になり過ぎちゃったせいで、リアルさが失われてしまった感がある。そうなった一番の原因は、関西出身じゃない俳優に、関西弁を喋らせ過ぎたことでしょうね。 麗子 その通りや! バッタもんの関西弁が多過ぎて、序盤で興醒めしたわ。 純士 関東人の俺からするとイントネーションのおかしさはそれほど感じなかったけど、誰からも文句を言われないように一生懸命勉強してきたというのが伝わってきて、こっちまで緊張しちゃった。そういう本筋とは関係ないハラハラドキドキって、映画を見る上で邪魔。特にこの手の掛け合いが肝となる映画の場合は、標準語の人は標準語のままアクセル全開でぶっちぎったほうが絶対よかったのになぁと思いました。関西の組織に関東人がいてもおかしくないんだから。 麗子 あと、やり過ぎた服装もアカンかったわ。今どきあんなん着たヤクザ、どこにもおらへんやろ? ヴェルサーチのテロテロのシャツに犬の首輪みたいなチェーンとか(笑)。 純士 俺は10代の頃、ああいうコテコテの格好をしていたけどね(笑)。ピエール瀧みたいなストライプのスーツも愛用していたし、上下サテンのスウェットとかも着ていた。 麗子 当時はイケてたん? 純士 いや、その当時から生きた化石状態だった(笑)。 麗子 そやろ? 今回の映画は服装のセンスが古いねん。 純士 まぁあれはあれで、どれだけヤクザ化できるかという俳優同士の競い合いみたいなもんだから、いいと思うけどね。もっと派手にやってほしいと個人的には思ったよ。それよりも気になったのは、設定の古臭さかな。 ――と、申しますと? 純士 謎のフィクサーが日韓を股にかけて暗躍、みたいな設定は、20年前なら底知れぬ不気味さを感じたのかもしれないけど、今はそうでもない。というのも今の日本人は、韓流映画やK-POPにたくさん触れて韓国文化を知り過ぎているから、張会長や白龍らの韓国語のやりとりを見ても、それほど新鮮さを感じないんですよ。あと、原田泰造。ビビって引き金を引けない表情はよかったんですけど、「元暴走族の鉄砲玉」という設定はあまりにも前時代的でしょう。あともう一つ、個人的に受け入れがたい描写もありました。 ――それは何でしょう? 純士 自分が今、カタギになる苦労を味わっているからこそ感じたんですが、汗だくになってカタギに戻ろうとしている人間に対して、あそこまでの追い込みをかけるのはいかがなものか。もっと他にやるべき奴がいたんじゃないの? と思いました。だから見終わったあと、あまりスッキリできなかったです。 麗子 お義母さんはこの映画を見て、スッキリできたんとちゃいますか? 銃撃戦のときに「ひゃーっはっはっはっ!」って大笑いしていましたよね?(笑) 恭子 最近、日常生活で嫌なことがあったから、ああいう場面を待ち望んでいてテンションが上がっちゃったけど、どうでもいい奴らが死んだだけだったから消化不良よ。でも、映画の終わり方は好き。 純士 俺は、あのラストはイマイチかな。もっと間を与えず、情け容赦なく、幕を引いてほしかった。 ――ご家族の中でも賛否両論、さまざまな意見が飛び交いましたが、そろそろ純士さんのほうから総括のコメントをお願いします。 純士 なんやかんや文句も言ったけど、やっぱりこの映画はすごいですよ。こんだけ今、現実の暴力団同士が揉めていて、東京五輪も近いってときに、あんだけのヤクザがバンバン組の名前を出して人を殺すような映画を実際にやっちゃう、許されちゃうってのは、本当にすごいこと。もしこれが北野映画じゃなかったら、そんな映画に出たってだけで銀行取引もダメになるような時代なのに、民放各局がこぞって宣伝までするというのは、武の力に他ならない。あの人以外に許される人はいないでしょうし、こういうヤクザ映画を劇場で見られるのはおそらくこれが最後でしょうね。だから、見ておいてよかったと思います。  * * *  劇場はアウトローだらけなのでは? と心配している読者も多いかもしれないが、満席の場内を記者が見渡した限り、それらしき風体の人物は瓜田を除けばほぼ皆無。家族でもカップルでも安心して楽しめる作品と言えそうだ。 (取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
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“元アウトローのカリスマ”瓜田純士『君の膵臓をたべたい』を酷評も、肩にカメムシが付いていた

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 厳しさと優しさと素直さを併せ持つ“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(37)が、森羅万象を批評する不定期連載。今回は「とにかく泣ける」と話題の映画『君の膵臓をたべたい』を鑑賞してもらい、率直な感想を聞いてみた。果たして、「鬼の目にも涙」となったのか……?  現在公開中の『君の膵臓をたべたい』は、本屋大賞第2位の大ヒット小説を実写化した青春映画(原作/住野よる、監督/月川翔)。 「ラスト、きっとこのタイトルに涙する」  それが映画のキャッチコピーだ。Twitter上では「感動した」「泣いた」の声が続出し、9月8日現在、Yahoo!映画のレビューでも5点満点で平均4.12点という高評価を得ている。原作未読の瓜田の耳にもそうした評判は届いていたらしく、「俺も泣いてしまうかもしれない」と言いながら、ポケットティッシュ持参で愛妻と共に劇場入りした。  ところが、映画が終わるなり真っ先に劇場を飛び出した瓜田は、「膵臓たべたい、膵臓たべたい、しつけえなぁ。しば漬けたべたい、を思い出したわ」と白けた顔で不満を表明。その後も映画の気に入らない点を次から次へと並べ立てた。 ――涙もろいところもある瓜田さんですが、今作では泣けなかったですか? 瓜田純士(以下/純士) よし、集中して泣くぞ!……と思ったら、北川景子が出て来たから、DAIGOの「ういっしゅ!」を思い出しちゃって、泣けなかったです。というのは半分冗談ですが、俺、病気モノが嫌いなんですよ。病気にかこつけてどうのこうのってのが、とにかくダメ。 ――それはなぜですか? 純士 俺、基本的に他人に冷たいんですよ。昔から近所の誰かが病気で死んでも「マジか。香典代がもったいないな」と思うだけ。ぶっちゃけ、人が死ぬのは仕方がないことだし、どうでもいいことだと思ってますから。余命何カ月とか、不慮の事故とか、そういうので泣かそうとするのって、なんかムカつく。そんな俺がその概念を忘れて、いいところをピックしようと最後まで真剣に隅々まで見た。それでもこのつまんなさ。いいところはほぼ皆無でした。 ――そんなにつまらなかったですか? 純士 ええ。だってあの女、病気にかこつけて男を口説いてるだけ。病気をネタに2時間たっぷり、男を振り回してるだけじゃないですか。男を振り回すなら振り回すなりの魅力がほしいけど、ただのワガママ女が自分に酔って傍迷惑なことをしてるだけだから、付き合い切れませんよ。
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――傍迷惑なこと、していましたか? 純士 「三番目に好き」じゃ満足できずに「一番目に好き」って言わせようとしたり、酒飲んでゲームまでして無理やりベッドに誘い込もうとしたり、謎を残したまま消えたり、挙げ句の果てには男の進路にまで影響を及ぼしたりしてたじゃないですか(笑)。きっと世の女性から見たら、一番イラッとくるタイプ。男の俺もイラッときた。あの朴訥とした真面目な男に何を言わそうとしてんだ? おまえ、女のやらしさみたいなもんをめちゃくちゃ秘めてないか? って思いながら見てました。行動すべてが、ケガで気を引こうとするリストカッターそのもの。マジで好感持てないです。作品としても粗が多いし。 ――たとえば、どんな粗がありましたか? 純士 あそこまで、膵臓、膵臓、連呼するんだったら、もっとちゃんと膵臓のなんという病気で、原因は何々で、何万人に何人ぐらいの病気で、だいたい余命いくばくで……とかのドクターの解説がないと、こっちは感情移入できないですよ。病気モンだったら、そのへんの説明は不可欠なのに、ほとんどあの子の一人称というか、自称だけで進んでいくから、重みがないし現実味もない。でっかい家に住んでるけど、親は何者なのかわからないし。そうした情報が不足してる割に、無駄な場面が多いんですよ。 ――何を無駄だと感じましたか? 純士 あれだけ膵臓で引っ張っといて、終盤のあの事件は、要りますかね? 強引すぎるし不自然すぎる。人生いつ何が起こるかわからないから今日を大切に生きましょうってことが言いたいんだろうけど、あの一件があろうがなかろうが時間の問題だったんだから、陳腐なショッキング展開をトッピングするんじゃねえよ、と思いました。 瓜田麗子(以下/麗子) あ、純士。ちょっと待って。肩にカメムシがついてるで(と言って指先で弾く)。 純士 カメムシをトッピングしてる俺のほうが陳腐じゃねえか……という問題はさておき、とにかくあの事件は要らないし、北川景子が泣く場面も要らないですよ。あの場面であんなもん見て泣き崩れるって、そこまでの思い入れ、その年齢のおまえにはもうないはずだろ、って思います。 ――奥様にお聞きしますが、ああいう女性同士の友情って、実際にあるものですか? 麗子 あると思います。
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――奥様はこの映画で泣きましたか? 麗子 泣きました。私はさっきのカメムシが死んでも泣くような人間ですから。 純士 ウチの嫁は、雰囲気に弱いんですよ。ストーリーはチンプンカンプンだとしても、泣ける音楽が流れて登場人物が泣き始めると、それにつられて泣くんです。でも今日の泣きレベルは5段階評価で1ぐらいでしょ? いつもはもっと泣くもんね? 麗子 そやな。中学生と私は騙せても、人生経験豊富な大人は泣かへんかも。でも、めっちゃええ場面もあったやん。急に見舞いに来られて、身だしなみをしてないから、と照れるフリしてベッドの中で泣くシーンとか。 純士 ああいう本音というのかな、「みんなの前では強がってるけど本当はこういう葛藤があって苦しいんだ」というシーンが多くあったら、俺も泣けたかもしれない。なんでそういうシーンが少なかったのかというと、答えはひとつで、「ラスト、きっとこのタイトルに涙する」とキャッチコピーで謳ってる通り、最後に種明かしをする構造になってるから、途中、途中で本音を描けなかっただけのこと。大いなる失敗ですよ、これ。便宜上、ヒロインの苦しい心模様を終盤まで出せなかったから、話が全体的に軽く薄くなってしまった。そもそもこのキャッチコピーもどうかと思う。泣く・泣かないはこっちが決めるのに、製作陣が泣くタイミングまで勝手に決めるんじゃねえよ、と言いたいです。 ――ホテルでの男女のやりとりに、キュンと来ませんでしたか? 純士 ああいう男女のバカげたやりとりに小説で何ページも割いたのかな、と思うとゾッとしますね。 ――何か一つぐらいは、褒める点はなかったですか? 純士 おっ! と思ったのは、登下校の描写がリアルだった点。ヒロインの名前が桜良(さくら)だから、桜をバックにした通学路のシーンが多かったですよね。ああいうシーンってたいていの邦画だと、エキストラが嘘くさい言動をしちゃうんだけど、この作品では自然な動きと自然な会話をしてたから、どこかの学校の本当の日常を切り取ったように見えた。そういう見せ方にはこだわってるな、と思いました。あと、小栗旬と北川景子はさすがの貫禄で、若いふたりに比べると、画面に出たときの迫力が違いました。ただ、今回の小栗くんの役柄は、主体性のない、振り回されるだけの可哀想な男って感じで、魅力的ではなかったですけどね。 ――瓜田さんは、恋愛映画が苦手なんですかね? 純士 いや、そんなことないですよ。小学校のころから、男女間の、目と目が合ったとか、気があるとかないとか、そういう少女漫画みたいな世界に憧れてましたから。ただ、いい思い出はないです。学校に行くと、よく一緒にしゃべる女子っていたじゃないですか。俺はそういう子たちから好かれてると思ってたんですけど、あるときからみんなが急に冷たくなり、ほぼ同時にその子らの親戚のおやじとかが出て来て、「ちょっかい出すな」と釘を刺された。どうやら「瓜田くんは怖すぎるから、なんとかしてほしい」と、女子グループが共闘を決意して大人にチンコロしたらしい。それほどまでに俺、嫌われてたんですよ(笑)。 麗子 でも、純士のことを好きって言う子もおったみたいやん。 純士 あぁ、あれか……。たいして可愛くもないくせに、イニシャルで「U・Jが好き」みたいなことを小学校の卒業アルバムに書いたバカ女がいるんですよ。U・Jなんて俺しかいないから、今後一生、クローゼットから卒アルが出てくる度に、当時のクラスメイトは俺とその女を思い出して笑いものにするでしょう。その女のいっときの自己陶酔のために、この俺に何十年単位で恥をかかせやがって……。今回の映画でもヒロインの綴った文章が物語の肝になってますが、ああいう物証を残すのは野暮ですよ。色恋に関することは「聞くな、言うな、書くな」が基本で、当事者の心の中だけにそっとしまっておくからこそ美しいもんだと俺は思いますけどね。 ――そういう瓜田さんは、ブログの文末でほぼ毎回、決め台詞のように「ひよっけ(奥様の愛称)が大好きです」と書いていますが、あれはどういう了見なのでしょう? 純士 アントニオ猪木に「元気ですかー!?」の意味を聞くバカはいないでしょ。それと一緒です。くだらないことを聞かないでください。 (取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
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「俺は今、パンティーを干している」“元アウトローのカリスマ”瓜田純士のちんちんがセクハラ発言で大ピンチ!?

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 元KAT-TUNの田中聖容疑者が大麻で逮捕されたころ、“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(37)は、下半身絡みのトラブルに悩まされ、別のクスリに走っていた! 「苦しくて眠れない日々が続いたが、因果応報かもしれない」と瓜田は反省中だ。  * * * 「いきなりステーキ」に、いきなり記者を呼び出した瓜田。先月会ったときよりも筋肉量が増しており、体が一回り大きくなった印象だ。  5月なのにタンクトップで、髪の毛は金髪。「ロッキー4のドルフ・ラングレンみたいですね」と伝えると、「どちらかというと、スタローンを目指してるんだけど……まぁ、いいか。とにかく今は増量のとき。代謝が良すぎて、食わないと痩せちゃうから、こうやってタンパク質を採りまくってるんですよ」と言って、ステーキを頬張りながら力こぶを見せつけた。  上腕35cm。前回計測時より2cmも増えている。 「心身ともに生まれ変わった瓜田を、これからはお見せしたい。今日も、元KAT-TUNの逮捕絡みで大麻の話とかを聞きたいのかもしれないけど、もうそういう子どもっぽい話はしませんよ。いつまでたっても成長しないな、と思われるのは嫌なんでね」  ステーキとハンバーグ計700グラムをたいらげて退店した瓜田が、夜風に吹かれながら、上空を見上げる。 「あれ? あんなところに新築マンションが。立地はいいけど大通り沿いだから、ベランダからパンティーを落っことしたら大変ですよね。こんだけ人通りが多いと、恥ずかしくて拾いに来られない」  スタイリッシュな瓜田の口から「パンティー」という破廉恥な言葉が飛び出したことに驚いていると、こんな小噺を披露してくれた。 「実はその呼称が原因で、嫁からも嫌われそうになったんですよ。洗濯物を干してる最中、嫁を冷やかしてやろうと思い、官能小説風に『俺は今、パンティーを干している』と言ってみたんですよ。そしたら『その言い方やめて!』と嫌がるので、もっと辱しめてやろうというドSな心が芽生えてしまい、『パンティーがダメなら、陰部隠しはどう? それがダメなら、割れ目布は?』とか言ってたら、嫁がしばらく口をきいてくれなくなってしまいました」  それからほどなくして、妻を辱しめたバチが当たったそうだ。 「その数日後から、急に下腹部がカユくなったんです。俺の竿が、ワニ皮みたいに肌荒れしてしまい、カユくてカユくてたまらないから、ムヒを塗ったら飛び上がるほどに痛くて七転八倒しました。そんなこんなで眠れない日々が続き、とうとう先日、病院へ駆け込んだんですよ」  場所が場所だけに男性医を指名したが、現れたのは、推定70代のベテラン女医だった。 「『どうしましたか?』と聞かれたので、『ちょっと下のほうが……』と答えたら、『下っていうと?』と聞かれ、『ちょっと、ちんちんがガサガサして……』『脱いでもらえますか』となり、クロコダイルのような物件を晒しました」  そして、辱めを受けたという。
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「女医は俺の物件を診るなり、パソコンの横にあるマイクに向かって『ペニスに湿疹』と大声でアナウンスしました。処方箋を出すために音声入力ソフトに語りかけるシステムらしいですが、それにしても急にペニスという言葉を聞いたから、ビックリしたし、とても恥ずかしかったです」  ステロイドの塗り薬を処方され、何日か塗布するうちに完治したというが、結局、原因はなんだったのだろうか? 「それが今でも謎なんですよ。インキンなら塗り薬を塗ると症状がさらに悪化するらしいけど、それはなかった。女医が言うには『おそらく接触性皮膚炎じゃないか』とのこと。安い陰部隠しを穿くと、皮膚炎になることもあるらしい。まぁなんにせよ、嫌がる嫁にしつこく言葉責めをしたバチが当たったな、と思いました。因果応報ってやつですね」  今回の一件を機に、下着を一新し、同時に心のリフレッシュをもくろむ瓜田。 「不良っぽいことを語らせたら俺の右に出る者はいないけど、もうその手の話はしたくない。それよりも家庭を大事にしたいし、何があっても対応できるように心と体を鍛えておきたいんです」  実際、言動は大きく変わり、肉体もみるみるマッチョになっているが、さては格闘技に未練があるのだろうか? 「そのために体を作ってると言っても過言じゃないです。格闘技とは無縁な2年間を過ごしてきたけど、最近いろいろと状況が変わりつつあり、いつどこでどういうオファーが舞い込んでくるかわからなくなってきてる。だから『俺はいつでも戦えるぜ!』という意思表示だけはしておきたい。『丸くなったけど、イケイケだぜ!』と」  ある夢占いによると、ワニを殺す夢は「運命を切り開く力が沸いてくる暗示」なのだという。夢ではなく現実の世界とはいえ、股間のワニを退治した瓜田は、今まさに運気上昇中で、新たな戦いに打って出る好機が訪れているのかもしれない。 (取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ) ※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ※瓜田純士&麗子 Instagram https://www.instagram.com/junshi.reiko/

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、「レゴランド」へ行く! そして、いきなり入場を拒否される!?

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「お客様、その格好では入れません」――“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)が、森羅万象を批評する不定期連載。今回は、名古屋にできたテーマパーク「レゴランド・ジャパン」の実態を探りに行ったところ、係員からまさかの入園ストップがかかった。止められると燃える習性を持つ瓜田は、このピンチをどう切り抜けたのか? そして、園内で何を感じたのか? ゴールデンウィーク真っ只中だからこそ読んでほしい、正直者のレゴランド体験記!  今年の4月1日にオープンしたばかりのレゴランド・ジャパン(以下/レゴランド)。名古屋の新たな観光名所として大いに期待される一方、「高い」「狭い」「つまらない」などの声もチラホラと聞こえてくる。果たしてその真価やいかに? 厳しさと優しさと素直さを併せ持つ瓜田にジャッジしてもらおうというのが今回の企画趣旨である。  ポカポカ陽気の平日午前11時。金髪にサングラス、半袖シャツに黒のレザーベストというロックスター風のスタイルで集合場所の東京駅に現れた瓜田は、開口一番、こう語った。 「今日はせっかく地方に行くんでね、『これが新宿スタイルだ』というのを見せつける必要があると思いまして。『あれが瓜田か』『瓜田って、マジでヤバくねえ?』というインパクトを名古屋の連中に与えるために、ひときわ派手な格好をしてきました」  行き交う修学旅行生らのギョッとした視線を独り占めにしながら、瓜田が続ける。 「俺、中3のとき、修学旅行に『来るな』と言われたことがあるんですよ。校長先生がオカンのもとを訪ねて、『お宅の息子さんを修学旅行に行かせないでください』と土下座しながら頼んだそうです。遠足で問題行動を起こしたことがあるので、トラブルはもう御免だと。それ聞いて俺、頭に来て、当日のバスに勝手に乗り込んで、奈良と京都について行ったんですよ。当時の記念写真を大人になってから見て、笑いました。制服を着た真面目そうな生徒たちに混じって、1人だけ私服にモヒカンの俺がいるんです(笑)。『私服ならいいじゃねえか』という理屈で無理やり修学旅行に同行したんですよ」  元アウトローらしい思い出話をしながら新幹線に乗り込む。「レゴランドは飲食物の持ち込み禁止」「園内の飲食店は高いし混んでいる」という情報を入手していた瓜田は、駅弁とカツサンドを車中で続けざまにたいらげ、あらかじめ腹を満たしておく作戦に打って出た。 「いやぁ、メシもうまいし、車窓からの景色もいいし、久々の小旅行は楽しいですね」  そう言いつつも、レゴランドへの関心は薄いようだ。 「そもそも俺、幼少期にレゴブロックで遊んだことが一度もないんですよ」  午後1時頃、名古屋駅に到着。そこから、あおなみ線に乗り換える。 「あれ? 平日とはいえ、乗客が少ないな。レゴランド、本当にやってんのか?」  そんな不安を口にしつつ、列車に揺られること約30分。レゴランドのある終点・金城ふ頭駅に到着した。
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金城ふ頭駅からレゴランドへ向かう途中の瓜田夫妻。昼過ぎだからか、人は少ない。
 乗降客もまばらなホームで、突然、作業服を着た男性のウリラー(瓜田ファン)が、「瓜田さんですよね? 一緒に写真を撮ってください」と話しかけてきた。「なんで名古屋にいるんですか? レゴランド? そのためだけに、わざわざ東京から来たんですか? 僕は行ったことないですけど、ウワサによると、ガラガラらしいですよ」。そう言い残してウリラーが去って行ったため、瓜田の不安はさらに募る。 「レゴランド、大丈夫か?」  だが、それは杞憂に終わった。愉快なBGMが流れるカラフルかつデラックスなゲートに近づき、中を覗くと、大勢の家族連れらがワーワーキャーキャー言いながら遊んでいるではないか。どうやら大方の客は、午前中に入園を済ませていたようだ。 「おっ、楽しそうじゃん! いいね、レゴランド。ほら見て、チケットに描いてある絵もかわいいよ」
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ワクワクしながら入園を待つ瓜田夫妻。
 1DAYパスポート(大人1名6,900円)を握りしめ、愛妻と共に嬉々としてゲートくぐろうとした瓜田だが、次の瞬間、思わぬ横槍が入った。 「すいません、お客様。その格好では、中へは入れないのですが……」  係員に止められてしまったのだ。レゴランドは「刺青や極端な肌の露出は禁止」なのだという。中学時代の瓜田ならここでひと暴れしたところだろうが、今は三十路の大人なので、冷静な対応を見せた。 「備えあれば憂いなし。こういうときのために、コイツを用意しておいたんですよ」  腰に巻いていた長袖のパーカーを咄嗟に羽織って、ピンチをくぐり抜けた。
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刺青を隠すため長袖のパーカーを着用する瓜田と、あっけにとられた表情でそれを見つめる家族連れ。
 なお、レゴランドは小さな子どもをターゲットにした施設ゆえ、「ゾンビなどの恐怖を与える仮装も禁止」なのだとか。瓜田の顔面は恐怖を与えるに十分だが、仮装ではないためOKが出たようだ。  園内をゆるやかに進む瓜田。一つひとつのオブジェを見るたびに、驚きの声を上げる。 「この象も、あの猿も、全部レゴでできてんのか! マジですごいな」
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カラフルな建物と陽気なBGMが非日常を演出する。
 しばらくすると「イマジネーション・セレブレーション」というコーヒーカップのような乗り物が現れ、瓜田が「一緒に乗ろうよ」と奥様を誘うが、「目が回るからイヤや」と却下される。
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奥様を「イマジネーション・セレブレーション」に乗せようと、必死で口説く瓜田。結局、フラれてしまった。
 続いて、自らの力でロープを引っ張りながら上にのぼる「キャット・クラウド・バスターズ」という乗り物を発見。奥様が「あれに乗りたいわ」と誘うも、今度は瓜田が「高いところは怖いからイヤだ」と断る。「ちっちゃい子も乗ってるやん。あの高さなら、落ちてもたかが知れてるで。一緒に思い出作ろうや」と奥様がそそのかしても、瓜田は一向に乗ろうとしない。 「そんな思い出、俺は要らない。俺は機械を信用してない。万が一でも、億が一でも、落ちたら死ぬようなアホなマネはしない。なぜなら、俺は賢いから。乗りたいなら1人で乗ってけよ(笑)」  突き放された奥様がムクレっ面になり、険悪な空気が漂い始める。
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軽い口ゲンカをして距離が離れる2人。
 海賊船に乗って水鉄砲を撃ちまくる「スプラッシュ・バトル」や、「ザ・ドラゴン」というジェットコースターなど派手目なアトラクションも視界に入ったが、いずれも待ち時間が45分と長いため、せっかちな瓜田夫妻は「やめておこう」とこれらもスルー。 「さっき駅で会った野郎、園内はガラガラだとか言ってたけど、ウソじゃねえか。もっと空いてるアトラクションはないのかよ」  そう言いながら、人が少ないほう、少ないほうへ向かって行く瓜田。その額が徐々に汗ばんできた。 「今日は、暑いな。パーカーを脱ぎたいけど、ここで脱ぐのも子どもみたいだから、ルールを守るしかないのがツラい」
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サメに食われる奥様。
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指を絡め合ううちに、仲直りした2人。
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サメもタコも、レゴブロックを組み合わせて作ったものである。
 だんだん愚痴っぽくなってきた瓜田だが、レゴで作られた街のジオラマ「ミニランド」に辿り着くと、再び機嫌がよくなった。 「おぉ、これはすげえな! 俺の地元の新宿も本物そっくりだし、嫁の地元の大阪の街並みもスーパーリアルに再現されてるじゃん。いやぁ、夢があるわ、レゴ。あれ見てみ。ナゴヤドームもあるよ。ランナーも走ってるし、観客の一人ひとりまでレゴで作ってんのかよ。ビックリだわ、これ」  そんな瓜田を見て、ビックリしている親子連れも複数組いた。
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レゴで作った東京の街並み。東京駅、東京タワー、新幹線の向こうには、新宿のビル群。「これ作った人、マジですげえな。街とレゴへの深い愛情を感じるわ」。
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大阪ミナミの“ひっかけ橋”界隈。「グリコのマークもレゴっぽくアレンジして再現しとるわ! めっちゃ芸が細かいなぁ」と大阪出身の奥様も大喜び。
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ナゴヤドーム。
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右手に東京スカイツリー、左手にお台場のフジテレビ。
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「さすが日本一の男や。めっちゃ富士山が似合っとるで」と言いながらシャッターを押す奥様。
「ミニランド」でテンションが上がった瓜田夫婦は、さきほどは「目が回る」「高くて怖い」という理由で敬遠していた「イマジネーション・セレブレーション」と「キャット・クラウド・バスターズ」にペアで乗ってハシャぎ始めた。
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待ち時間3分だった「イマジネーション・セレブレーション」。
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待ち時間20分の「キャット・クラウド・バスターズ」。ロープを手繰り寄せながら上にのぼっていく仕組みゆえ「筋トレになったし、楽しかった」と強がる瓜田。だが、高所恐怖症の彼は、一度も下を見ることはなかった。
 歩き疲れと乗り物疲れを癒すべく、レゴランド名物のドリンク「アボミナブル・スラッシュ」を飲みながら一休みする瓜田。周囲の景色をグルリと見渡し、こう語る。 「派手な格好して来たから、浮くかと思いきや、俺、完全に一体化しちゃってますね(笑)。それぐらいレゴって、自分みたく派手な色使いなんですよ。『建物、アトラクション、すべて合わせて俺になる』みたいなフィット感。『瓜田ランド』と言っても過言じゃないですね、ここは」
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コーラ、メロンソーダ、山ぶどう、ピンクレモネード、ブルーハワイを自分好みに組み合わせて作る「アボミナブル・スラッシュ」。価格は1,000円。ケースのお持ち帰りもOKだ。
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ウサギとバナナになりきる瓜田夫妻。
 そうこうしているうちに、時計の針は午後4時半に。平日の閉園時間は午後5時なので、瓜田はお土産を物色するべく、慌ててショップに駆け込んだ。そこで見たものは、「厳しい現実」だったという。 「各家庭の貧富の差を見ました。好きなブロックを購入できるコーナーがあったんですが、金持ちの子はブロックをカップにゴッソリ入れて抱えてる。でもその一方で、親が子どもをそのコーナーに行かせまいと、手を引っ張って出口へ導こうとしてる家庭もあった。悲しそうな顔をした子どもと目が合ったので、『俺は断然、お前派だからな』と包み込むように見てやりましたよ(笑)」
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好きなレゴをカップに詰め放題で購入できるコーナー。大きいカップは3,000円、小さいカップは2,000円。
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 わずか3時間少々の滞在だったが、すっかり日焼けして退園した瓜田。ズバリ、レゴランドは楽しかっただろうか? 「遅刻できないというプレッシャーで前日寝れなくてボーッとしてたせいか、けっこう楽しく感じました。嫁も楽しんでくれたみたいでよかったです。事前に聞いてた評判や、駅に降りた瞬間の寂しい空気から、最悪の展開もイメージしてたんですが、その予想をいい意味で裏切ってくれましたね」  6,900円という料金は適正だろうか? 「行き帰りに旅情を味わえて、家族サービスできて、適度な筋トレと有酸素運動ができて、日サロに行かずして日焼けできて……っていうトータルで考えたら大満足だけど、今日は編集部が全額払ってくれたから、そう思うだけかも。自腹だったら690円しか出せないですね」  混み具合や園内の広さについて思ったことは? 「あまりにも寂れてると悲しくなるし、あまりにも混んでるとイヤになる。だから、平日の今日ぐらいの混み具合がちょうどいいんじゃないでしょうか。どのアトラクションも、3分から45分程度並べば乗れたみたいだから。『高いくせにディズニーランドより狭い』という文句もあるみたいだけど、疲れたジジイやババアが歩くにはちょうどいい広さでしょう」  ただし、「大人向けのテーマパークではない」とも言う。 「最初の20分は楽しかったけど、21分以降は正直飽きた。俺が終始ニコニコだったのは、アトラクションの内容はほぼ関係なく、嫁が楽しんでくれたから、俺も楽しかったという部分が大きい。レゴマニアを除く大人の男なら、こんな遊び場では満足できませんって。でも、子どもや孫を連れて来るには、いい場所でしょう。俺もジュニアができたら、また来るかもしれません。すでに名前は決めてるんですよ。男の子だったら、黒龍(こくりゅう)です。瓜田黒龍(笑)。黒龍が小学生になる頃まで、レゴランドが存続してくれることを祈ります」 (取材・文=岡林敬太) ※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ※瓜田純士&麗子 Instagram  https://www.instagram.com/junshi.reiko/

「嫁は感激してますけど……」“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が大ヒットアニメ『君の名は。』をメッタ斬り!

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 短気で素直な元ヤクザに無理やり話題作を鑑賞させ、その喜怒哀楽を観察する実験企画。『HiGH&LOW THE MOVIE』に退屈し、『おそ松さん』を嫌悪し、『この世界の片隅に』を大絶賛した“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)だが、果たしてこの青春アニメには、いかなる反応を見せるのか?――世界の興収累計で日本映画最大のヒット作となり、今なお国内外でロングラン上映を続けている『君の名は。』が、今回のお題だ!  昨年8月に封切られ、社会現象を巻き起こした新海誠監督の『君の名は。』。アジアやヨーロッパの各国でも続々と公開され、日本を含む全世界興行収入は約337億円を突破(1月8日時点)。日本映画の中で世界一売れた作品となった。
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『君の名は。』公式サイトより
 本作の鑑賞を瓜田に依頼したところ、まずはこんな反応が返ってきた。 「めちゃくちゃ売れてる青春物のアニメですよね? こないだグラミー賞のノミネートを逃したとかいう報道を見ましたよ」  アカデミー賞をグラミー賞と間違えてはいるものの、瓜田もこの映画の存在は知っていた。だが、鑑賞にはまったく乗り気ではないようだ。 「俺にもメンツってもんがありますから。1人で青春アニメを見に行ってる姿を知人に目撃されようものなら、何を言われるかわかったもんじゃない。記者と2人で? もっとイヤですよ。ゲイカップルと勘違いされるじゃないですか。どうしてもって言うんなら、嫁同伴でいいですか? 嫁と一緒だったら、“家族サービスをする夫”という体を装える。実際、嫁は『君の名は。』を見たいと言ってますし」  その要求を飲むことにした。前回、『この世界の片隅に』を見てもらったときは(記事参照)、最前列の一番端の席しか売れ残っておらず、瓜田を怒らせてしまったため、今回は「最後列のド真ん中」の席を、記者の分を含め3枚連番で予約した。  だが、劇場に来て拍子抜け。予約など必要なかったようだ。平日ということもあるだろうが、客入りは4割程度。最後列はわれわれ以外、誰もいない。公開から半年経ってこれだけ入れば十分と見るべきか、さすがに勢いが落ちてきたと見るべきかは判断の分かれるところだろうが、とにもかくにも落ち着いて鑑賞できる環境が整っていることは確かである。  いざ、開演――。途中で何度も、隣のほうから鼻をすするような音が聞こえてきたが、果たして……? 感想は終演後にじっくりうかがおう。 * * * ――いかがでしたか? 瓜田純士(以下/純士) なんだよ、この変態ムービー。嫁は大感激してますけど、俺には無理っす。ないなぁ、これは。 ――あれ? 奥様、目が真っ赤じゃないですか! 瓜田麗子(以下/麗子) もう、涙が止まらなくて……。ちょっとお化粧直しにトイレ行ってきます。 ――では引き続き旦那様にお話をお聞きしますが、「変態ムービー」とはどういう意味でしょう?
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純士 たとえばですけど、『ドラえもん』ってあるじゃないですか。あれを飽きずに見れるのは、のび太とかドラえもんとかジャイアンが三枚目だからですよ。でも、出木杉君としずかちゃんが主演のラブロマンスを、2時間見れます? 無理でしょう。つまりはそういうことです。『君の名は。』は、絵やキャラクターに、「若い男女は美しくあって欲しい」という監督の変態的な願望が入りすぎてるから、こっちの目と心が追いつかないんですよ。 ――絵のクオリティーはものすごく高かったですけどね。 純士 その技術力は、きっと世界でもダントツでしょう。キャラの動き、スマホの質感、コンビニで買った商品のリアル感。どれもこれもすごい。すごいんだけど、100で来られすぎました。クリエイターたちの力が入りすぎてて、見てるほうが疲れちゃうんですよ。 ――瓜田さんの地元である新宿の街並みも、本物そっくりに再現されていましたね。 純士 まわりくどい。あそこまでリアルさを追求するんだったら、実写でやれよ。なんでわざわざアニメにしたんだよ。監督はたぶん自分で見て自分で酔いしれてるんだろうけど、その優越感が鼻につきますね。そのくせ、バイト先の女上司が、先に風呂入って浴衣に着替えてるのに、バリバリのツケマで外行きのままなんですよ。そういう細部には気が回ってない。下手したら女性は化粧でそんぐらいに化けてるってことを、わかってないのかもしれないな。この新海って子は。 ――瓜田さんより年上ですけどね。 純士 中身は俺のほうがオトナですよ。あんまこういうこと言いたくないけど、初めから違う人なんだな、と思います。見てる景色や育った環境、すべてにおいて俺とは違う人なんだな、と。(ここで麗子夫人が戻ってくる) ――旦那様はお気に召さなかったようですが、奥様はいかがでしたか? 麗子 もう最初から最後まで、ズッキュン、ズッキュン来まくりでした。途中から嗚咽が止まらなかったです。    純士 そのときに俺、わかったんですよ。嫁は凡人で、俺は天才なんだな、と。 麗子 ちゃうわ! 純士にはロマンチックさがないんや! 私、学園物は苦手なんやけど、これはホンマに最高やった。ようできてるなぁ、と。 純士 こんなもんによく感情移入できたな。アニメって、ブサイクな男の子も女の子も見るじゃないですか。どっかで自分にコンプレックスのある人たちが見た場合、学校のシーンなんかが特にそうだけど、脇役までもが揃いも揃ってヒロイン級に容姿端麗だったら、面白くなくなりますって。僕が、私が、この場にいたらどうなるんだろう? そういう想像を掻き立てるのがアニメの面白いところなのに、どいつもこいつも出来杉君としずかちゃんばっかだと、イケてない男女が自分を投影できず、置いてきぼりを食らって可哀想ですよ。その点、宮崎アニメなんかは、ヒロインが可愛いんだか可愛くないんだかわかんなかったりして、愛嬌があるから、感情移入できるんですけどね。 麗子 スマホの音とか、電車の発車メロディーとか、生活音がリアルやったから、私はストーリーに没頭できたけどな。 純士 ああいう音もすべて、「うるせえよ!」と思いました。うるさかったと言えば、なんすか、あの学芸会みたいなバンドは。あんなしみったれた歌詞でお経みたいに歌われたら、「家でやれよ!」と言いたくなりますよ。 麗子 ウソー!? 私はあの音楽、めっちゃ泣けたで。サントラのCD欲しいもん。 純士 頼む。それだけはやめてくれ。一緒に住んでるんだから……。上映中はマジで地獄でしたよ。こっちはバカだクソだと思ってるのに、横では自分の愛する嫁が感動して泣いてるんですよ。しかも、あの背筋が凍るような音楽を、監督が好きだからって、ちょいちょい出してくるわけです。「ほら、ここでこの曲が流れたら、お前らグッとくるだろ?」と言わんばかりに。だけどあの手の音楽が嫌いな人からしたら、「え、やめて!」となるじゃないですか。なのに、しつこく流してくる。眠たいったらありゃしない。落語かよ、と思いました。 ――RADWIMPSは紅白に出るほど大人気ですけどね。
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純士 流行りって怖いなって思いました。最後、出演者のテロップを見て、納得したんですよ。大御所を含む有名俳優が声優として何人も参加してるんで、各々の事務所が相当なプロモーションをしたんだな、だから流行ってるんだな、と。それだけのことですよ。 ――ストーリーそのものは、どうだったでしょう? 純士 これから面白くなるんだろうと思って、ずっと信じて見てたんですけど、最後の最後まで裏切られました。どうでもいい奴らが、どうでもいい時空の歪みでどうでもいいことする話なんて、ホント、どうでもよくないですか? 麗子 歴史が変わったんやで! 運命を変えたんやで! 純士 あんな人形みたいな連中、死んでても生きてても一緒だろ(笑)。どうでもいいよ。 麗子 そんなことないわ! 途中で何度も入れ替わって、最後どうなるんかと思ったら、あぁ、こうきたか、と。 純士 何度も入れ替わるシーンにしても、混乱するから、もっとわかりやすくして欲しかったですよ。声が一緒のまんま、しょっちゅう入れ替わるから、今どっちなのかわかりづらくて、途中でどうでもよくなっちゃった。 麗子 それは純士がアホやからや! 普通にわかる! 私は全部わかったで! 純士 こういう話が好きな人は、『時をかける少女』とかも好きなんですよ。メンヘラ以下です。 麗子 『時をかける少女』は嫌いやけどな。 ――「メンヘラ以下」とは? 純士 メンヘラの作ったもののほうが内容がとっちらかってて、まだ印象に残るんですよ。『君の名は。』を見て思ったのは、本物の凡人の心は、こうなのかもしれないってこと。大学出て、サラリーマンやって、毎朝きっちり電車に乗って。そういう人たちの心って、案外こうなのかもしれない。俺とは人生が違いすぎるので、ちょっとわかんないわ。あともう一つ、すごく気に入らなかったことがある。 ――まだありますか? それは何でしょう? 純士 『君の名は。』というタイトルの存在を、途中で匂わせすぎですね。タイトルと内容が一瞬、かするか、かすらないかぐらいが映画や小説の醍醐味で、「なんでこのタイトルなんだろう?」というのをこっちは想像したいのに、天からケツまで、『君の名は。』みたいなことを、やたら言わせよう聞かせよう見せようとしすぎです。学芸会を前にした子供が「僕すごいんだよ! 僕の今からやる演技を見てね!」と練習の段階で周囲に見せまくるのと一緒。もうわかったから、うっせえな、って感じ。幼稚くさい子だな、と。 ――よかった点はありますか?
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純士 俺、見てる途中で、耳の奥がキーンとなったんですよ。ものすごくまずいものを食ったり、嫌いな人を見たり、つまんないものを見たりすると、キーンとなるんだな、ということがわかったのが唯一の収穫でしょうか。 ――本作を総括すると? 純士 金持ちAが現れて、「さぁ、うちの屋敷を見てごらん」と言われて、バカラグラスやフェラーリを見せられたら、ウザってえと感じつつも、やっぱすごいと俺は思って、写メを撮るかもしれない。それがハリウッド大作としましょう。一方、金持ちBの邸宅に招かれて行ったら、フィギュアの山を自慢されたうえ、聴きたくもねえ幻のレコードを延々と聴かされて、「知らねえよ!」って感じで逃げ出したくなった。それが『君の名は。』です。 * * *  ここまで言って大丈夫なのだろうか? という不安のほか、ここまで意見が対立して、この夫婦は今後うまくやっていけるのだろうか? という不安も募った今回の取材。3人で笑いあえる日はまた来るのか? 次回がもしあるなら、夫婦同伴で来ていただき、『君の名は。』よりもドラマチックな再会を果たそうではないか。 (取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ) ※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ※瓜田純士&麗子 Instagram  https://www.instagram.com/junshi.reiko/

「嫁は感激してますけど……」“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が大ヒットアニメ『君の名は。』をメッタ斬り!

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 短気で素直な元ヤクザに無理やり話題作を鑑賞させ、その喜怒哀楽を観察する実験企画。『HiGH&LOW THE MOVIE』に退屈し、『おそ松さん』を嫌悪し、『この世界の片隅に』を大絶賛した“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)だが、果たしてこの青春アニメには、いかなる反応を見せるのか?――世界の興収累計で日本映画最大のヒット作となり、今なお国内外でロングラン上映を続けている『君の名は。』が、今回のお題だ!  昨年8月に封切られ、社会現象を巻き起こした新海誠監督の『君の名は。』。アジアやヨーロッパの各国でも続々と公開され、日本を含む全世界興行収入は約337億円を突破(1月8日時点)。日本映画の中で世界一売れた作品となった。
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『君の名は。』公式サイトより
 本作の鑑賞を瓜田に依頼したところ、まずはこんな反応が返ってきた。 「めちゃくちゃ売れてる青春物のアニメですよね? こないだグラミー賞のノミネートを逃したとかいう報道を見ましたよ」  アカデミー賞をグラミー賞と間違えてはいるものの、瓜田もこの映画の存在は知っていた。だが、鑑賞にはまったく乗り気ではないようだ。 「俺にもメンツってもんがありますから。1人で青春アニメを見に行ってる姿を知人に目撃されようものなら、何を言われるかわかったもんじゃない。記者と2人で? もっとイヤですよ。ゲイカップルと勘違いされるじゃないですか。どうしてもって言うんなら、嫁同伴でいいですか? 嫁と一緒だったら、“家族サービスをする夫”という体を装える。実際、嫁は『君の名は。』を見たいと言ってますし」  その要求を飲むことにした。前回、『この世界の片隅に』を見てもらったときは(記事参照)、最前列の一番端の席しか売れ残っておらず、瓜田を怒らせてしまったため、今回は「最後列のド真ん中」の席を、記者の分を含め3枚連番で予約した。  だが、劇場に来て拍子抜け。予約など必要なかったようだ。平日ということもあるだろうが、客入りは4割程度。最後列はわれわれ以外、誰もいない。公開から半年経ってこれだけ入れば十分と見るべきか、さすがに勢いが落ちてきたと見るべきかは判断の分かれるところだろうが、とにもかくにも落ち着いて鑑賞できる環境が整っていることは確かである。  いざ、開演――。途中で何度も、隣のほうから鼻をすするような音が聞こえてきたが、果たして……? 感想は終演後にじっくりうかがおう。 * * * ――いかがでしたか? 瓜田純士(以下/純士) なんだよ、この変態ムービー。嫁は大感激してますけど、俺には無理っす。ないなぁ、これは。 ――あれ? 奥様、目が真っ赤じゃないですか! 瓜田麗子(以下/麗子) もう、涙が止まらなくて……。ちょっとお化粧直しにトイレ行ってきます。 ――では引き続き旦那様にお話をお聞きしますが、「変態ムービー」とはどういう意味でしょう?
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純士 たとえばですけど、『ドラえもん』ってあるじゃないですか。あれを飽きずに見れるのは、のび太とかドラえもんとかジャイアンが三枚目だからですよ。でも、出木杉君としずかちゃんが主演のラブロマンスを、2時間見れます? 無理でしょう。つまりはそういうことです。『君の名は。』は、絵やキャラクターに、「若い男女は美しくあって欲しい」という監督の変態的な願望が入りすぎてるから、こっちの目と心が追いつかないんですよ。 ――絵のクオリティーはものすごく高かったですけどね。 純士 その技術力は、きっと世界でもダントツでしょう。キャラの動き、スマホの質感、コンビニで買った商品のリアル感。どれもこれもすごい。すごいんだけど、100で来られすぎました。クリエイターたちの力が入りすぎてて、見てるほうが疲れちゃうんですよ。 ――瓜田さんの地元である新宿の街並みも、本物そっくりに再現されていましたね。 純士 まわりくどい。あそこまでリアルさを追求するんだったら、実写でやれよ。なんでわざわざアニメにしたんだよ。監督はたぶん自分で見て自分で酔いしれてるんだろうけど、その優越感が鼻につきますね。そのくせ、バイト先の女上司が、先に風呂入って浴衣に着替えてるのに、バリバリのツケマで外行きのままなんですよ。そういう細部には気が回ってない。下手したら女性は化粧でそんぐらいに化けてるってことを、わかってないのかもしれないな。この新海って子は。 ――瓜田さんより年上ですけどね。 純士 中身は俺のほうがオトナですよ。あんまこういうこと言いたくないけど、初めから違う人なんだな、と思います。見てる景色や育った環境、すべてにおいて俺とは違う人なんだな、と。(ここで麗子夫人が戻ってくる) ――旦那様はお気に召さなかったようですが、奥様はいかがでしたか? 麗子 もう最初から最後まで、ズッキュン、ズッキュン来まくりでした。途中から嗚咽が止まらなかったです。    純士 そのときに俺、わかったんですよ。嫁は凡人で、俺は天才なんだな、と。 麗子 ちゃうわ! 純士にはロマンチックさがないんや! 私、学園物は苦手なんやけど、これはホンマに最高やった。ようできてるなぁ、と。 純士 こんなもんによく感情移入できたな。アニメって、ブサイクな男の子も女の子も見るじゃないですか。どっかで自分にコンプレックスのある人たちが見た場合、学校のシーンなんかが特にそうだけど、脇役までもが揃いも揃ってヒロイン級に容姿端麗だったら、面白くなくなりますって。僕が、私が、この場にいたらどうなるんだろう? そういう想像を掻き立てるのがアニメの面白いところなのに、どいつもこいつも出来杉君としずかちゃんばっかだと、イケてない男女が自分を投影できず、置いてきぼりを食らって可哀想ですよ。その点、宮崎アニメなんかは、ヒロインが可愛いんだか可愛くないんだかわかんなかったりして、愛嬌があるから、感情移入できるんですけどね。 麗子 スマホの音とか、電車の発車メロディーとか、生活音がリアルやったから、私はストーリーに没頭できたけどな。 純士 ああいう音もすべて、「うるせえよ!」と思いました。うるさかったと言えば、なんすか、あの学芸会みたいなバンドは。あんなしみったれた歌詞でお経みたいに歌われたら、「家でやれよ!」と言いたくなりますよ。 麗子 ウソー!? 私はあの音楽、めっちゃ泣けたで。サントラのCD欲しいもん。 純士 頼む。それだけはやめてくれ。一緒に住んでるんだから……。上映中はマジで地獄でしたよ。こっちはバカだクソだと思ってるのに、横では自分の愛する嫁が感動して泣いてるんですよ。しかも、あの背筋が凍るような音楽を、監督が好きだからって、ちょいちょい出してくるわけです。「ほら、ここでこの曲が流れたら、お前らグッとくるだろ?」と言わんばかりに。だけどあの手の音楽が嫌いな人からしたら、「え、やめて!」となるじゃないですか。なのに、しつこく流してくる。眠たいったらありゃしない。落語かよ、と思いました。 ――RADWIMPSは紅白に出るほど大人気ですけどね。
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純士 流行りって怖いなって思いました。最後、出演者のテロップを見て、納得したんですよ。大御所を含む有名俳優が声優として何人も参加してるんで、各々の事務所が相当なプロモーションをしたんだな、だから流行ってるんだな、と。それだけのことですよ。 ――ストーリーそのものは、どうだったでしょう? 純士 これから面白くなるんだろうと思って、ずっと信じて見てたんですけど、最後の最後まで裏切られました。どうでもいい奴らが、どうでもいい時空の歪みでどうでもいいことする話なんて、ホント、どうでもよくないですか? 麗子 歴史が変わったんやで! 運命を変えたんやで! 純士 あんな人形みたいな連中、死んでても生きてても一緒だろ(笑)。どうでもいいよ。 麗子 そんなことないわ! 途中で何度も入れ替わって、最後どうなるんかと思ったら、あぁ、こうきたか、と。 純士 何度も入れ替わるシーンにしても、混乱するから、もっとわかりやすくして欲しかったですよ。声が一緒のまんま、しょっちゅう入れ替わるから、今どっちなのかわかりづらくて、途中でどうでもよくなっちゃった。 麗子 それは純士がアホやからや! 普通にわかる! 私は全部わかったで! 純士 こういう話が好きな人は、『時をかける少女』とかも好きなんですよ。メンヘラ以下です。 麗子 『時をかける少女』は嫌いやけどな。 ――「メンヘラ以下」とは? 純士 メンヘラの作ったもののほうが内容がとっちらかってて、まだ印象に残るんですよ。『君の名は。』を見て思ったのは、本物の凡人の心は、こうなのかもしれないってこと。大学出て、サラリーマンやって、毎朝きっちり電車に乗って。そういう人たちの心って、案外こうなのかもしれない。俺とは人生が違いすぎるので、ちょっとわかんないわ。あともう一つ、すごく気に入らなかったことがある。 ――まだありますか? それは何でしょう? 純士 『君の名は。』というタイトルの存在を、途中で匂わせすぎですね。タイトルと内容が一瞬、かするか、かすらないかぐらいが映画や小説の醍醐味で、「なんでこのタイトルなんだろう?」というのをこっちは想像したいのに、天からケツまで、『君の名は。』みたいなことを、やたら言わせよう聞かせよう見せようとしすぎです。学芸会を前にした子供が「僕すごいんだよ! 僕の今からやる演技を見てね!」と練習の段階で周囲に見せまくるのと一緒。もうわかったから、うっせえな、って感じ。幼稚くさい子だな、と。 ――よかった点はありますか?
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純士 俺、見てる途中で、耳の奥がキーンとなったんですよ。ものすごくまずいものを食ったり、嫌いな人を見たり、つまんないものを見たりすると、キーンとなるんだな、ということがわかったのが唯一の収穫でしょうか。 ――本作を総括すると? 純士 金持ちAが現れて、「さぁ、うちの屋敷を見てごらん」と言われて、バカラグラスやフェラーリを見せられたら、ウザってえと感じつつも、やっぱすごいと俺は思って、写メを撮るかもしれない。それがハリウッド大作としましょう。一方、金持ちBの邸宅に招かれて行ったら、フィギュアの山を自慢されたうえ、聴きたくもねえ幻のレコードを延々と聴かされて、「知らねえよ!」って感じで逃げ出したくなった。それが『君の名は。』です。 * * *  ここまで言って大丈夫なのだろうか? という不安のほか、ここまで意見が対立して、この夫婦は今後うまくやっていけるのだろうか? という不安も募った今回の取材。3人で笑いあえる日はまた来るのか? 次回がもしあるなら、夫婦同伴で来ていただき、『君の名は。』よりもドラマチックな再会を果たそうではないか。 (取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ) ※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ※瓜田純士&麗子 Instagram  https://www.instagram.com/junshi.reiko/

「知らないし、興味もない」──『この世界の片隅に』は“元アウトローのカリスマ”瓜田純士の心を動かすか

「知らないし、興味もない」──『この世界の片隅に』は元アウトローのカリスマ瓜田純士の心を動かすかの画像1
 新宿の片隅に生きる“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)が、世の中のありとあらゆる事象に対し、歯に衣着せぬ批評を行う不定期連載。今回は、大ヒット中のアニメ映画『この世界の片隅に』を鑑賞してもらい、率直な感想を語ってもらった。
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(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
 昨年11月に公開されて以来、SNSや口コミで評判が広がり、先月末には観客動員数が120万人を突破した話題作『この世界の片隅に』(監督:片渕須直、原作:こうの史代)。今後も上映館は増加する見込みらしく、その勢いはとどまるところを知らない。  だが、年末年始は執筆に追われ、インターネットをほとんど遮断していた瓜田は、本作のことを「まったく知らないし、興味もないし、予習もしてない」という状態で劇場に現れた。  しかも、この日の瓜田は体調不良で不機嫌そのもの。「熱があるので行けないかも」というメールが前日に届いていたのだが、「前売りのチケットを購入済みなので、できれば来てほしい」と返信したところ、これが癇に障ったらしい。会うなり記者に絡み始めたのだ。 「普通、体調が悪いってメールが来たら、『じゃあ、無理せず延期しましょう』と返すでしょう。前売りチケットを買ったからって、『這ってでも来い』ってのは冷た過ぎるし、ケチ過ぎやしませんか? わざと救急車に乗って点滴打ちながら来てやろうかと思ったぐらい、ムカつきましたよ。え? もう始まるの? そんなに急かさないでくださいよ。どうせ子ども向けのアニメでしょ? 15分や20分遅れたところで問題ないじゃないですか」  不満タラタラの瓜田をどうにかこうにかなだめつつ、劇場内に送り込んだのだが、実はこの先にもう一つ、彼の神経を逆撫でしそうな要素があることは、怖くて言い出せなかった。そう、瓜田の指定席は、映画が一番見づらいと言われる「最前列の一番端」。人気作、しかも土曜日だったため、その1席しかチケットが売れ残っていなかったのだ。  これで映画がつまらなかったら、終わったあとに怒られるのは確実である。以前、テレビアニメの『おそ松さん』を無理やり鑑賞してもらったときの乱心ぶりが記憶に新しいだけに(記事参照)、記者はハラハラしながらロビーで待機。そして、約2時間後、鑑賞を終えて劇場から出てきた瓜田に恐る恐るインタビューを行った。
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(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
――いかがでしたか……? 瓜田 いやぁ、よかったです。敬礼もんですよ。映画のタイトルとポスターの絵を最初に見た瞬間、どうせメンヘラ女が主人公の作品だろ、と思ったんですよ。自分探しの心の旅が延々と続くような、夢見がちなオタク向けのスーパーつまんない作品なんだろうと思ってた。ところが、いざ見始めたら、小姑との確執を描いた橋田寿賀子的ドラマのアニメ版か? という展開になりつつも、中盤あたりからは、いやこれ、冷やかしちゃいけないようなスーパーヘビーな内容じゃねえか、となって、終わったときにはスクリーンに向かって思わず敬礼してましたよ。すげえいい映画でした。37度3分の熱がある俺が言うんだから間違いないです。 ――どこがよかったですか? 瓜田 まず、心の機微の捉え方がめちゃくちゃ上手い。普段はおっとりしてる主人公のすずが、何度か感情的になる場面がありましたよね。「帰る」と言い出したり、消火しようとムキになったり、自分で髪を切ったり、サギを追いかけたり……。あんな風に感情がスパークする瞬間って、どんな一般ピープルにも必ずあるじゃないですか。その切り取り方と表現方法が非常に巧み。途中、不倫っぽくなるシーンもあったけど、あのときの男女の心理描写も生々しくてよかったです。 ――どんな描写に生々しさを感じましたか? 瓜田 初恋の人に再会し、そのもどかしさを旦那のせいにしてキレる嫁もリアルだったし、心配しつつも信頼したくて嫁を納屋に送り出した旦那の気持ちや、幼馴染の前だといつもの嫁じゃなくなることに対する旦那のヤキモチの焼き方とかも、同じ男として「わかる!」って感じの絶妙さ。アニメとは思えないというか、終始、役者の芝居を見てるようでした。声優の力も大きいのかな。特にすずの声を担当した声優が、マジですごい! あの朴訥とした語り口で、食べ物の名前をつぶやくだけで、美味しさと貴重さがじんわりと伝わってくるというね。 ――あれ、「のん」こと能年玲奈の声です。 瓜田 へぇ、そうなんですか。あの広島弁がとにかく神がかってて、ただごとじゃなかったですね。のんに限らず、声優陣はみんなよかった。難しいと思うよ、あの時代の広島弁って。
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(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
――絵についてはどのような印象を? 瓜田 長編のアニメってたいてい、絵は変わらないまんま誰もしゃべらず音楽だけ流れるシーンとかがあって、どうしても退屈しちゃうんだけど、この作品に関しては、飽きることはまったくなかったですね。常に誰かがしゃべってるか、何かが動いてる。だけど不思議と、目は疲れない。絵のタッチはシンプルだけど、動作や表情の変化をきめ細かく描き、そこに濃厚な会話とリアルな効果音を加えることで実写のように見せてしまうんだからすごい。アニメだからこそ実現できた素敵なシーンも数多くありましたね。 ――それは、たとえば? 瓜田 木にブラ下がってた障子のマス目に、ずすの成長期を追う絵がポッポッポッと浮かんでくる場面なんかは、グッとくるものがありました。あそこですずが発する言葉がまた、心の成長を表してて感動的なんですよ。心の動きってことで言うと、すずと小姑の関係性の変化も丁寧に描かれててよかった。で、一瞬平和な空気が流れた直後に、あることが起きるわけですが、あの場面は登場人物も、見てる観客も、同じように驚いたんじゃないでしょうか。平和な時代に生まれてよかった。鑑賞中、何度もそう思いましたし、あの時代を生きたすべての日本人に改めて敬意を払いたくなりましたね。 ――今のところベタ褒めですが、気に入らなかった点は? 瓜田 ちょっと時間が長かったかな。ちゃんと、おしっこしてから見るべきでした。 ――本作を総括すると? 瓜田 これはきっと戦争映画じゃなくて、その時代に広島の呉に嫁いだ、絵を描くことしか取り柄のない、ごくごく普通の女の子の物語なんだと思います。嫁いだ先でいろいろあったけど、逃げずに健気に生き抜いた。そこを捉えて、そこだけで物語にしたのがすごいなと思いますね。
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――見てよかったですか? 瓜田 よかったです。最初は「よりによって体調の悪い俺を、一番前の一番見づらい場所に座らせやがって!」という怒りがあったし、「あとで必ずケツを取ってやる!」と思ってたけど、途中から物語に没頭し、そういう感情を忘れてしまった。こんな良質な映画を見せられたら、そりゃ人をイジメようっていう気持ちは消えてなくなりますよ。  * * *  瓜田から爆弾を落とされることを覚悟していた記者だが、映画があまりにも素晴らしかったため、運よく難を逃れたのであった。 (取材・文=岡林敬太) ※瓜田純士&麗子 Instagram https://www.instagram.com/junshi.reiko/ ※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ●『この世界の片隅に』 原作/こうの史代 監督・脚本/片渕須直 音楽/コトリンゴ 出演/のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、藩めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓、澁谷天外 配給/東京テアトル 全国公開中 (c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 http://konosekai.jp

「知らないし、興味もない」──『この世界の片隅に』は“元アウトローのカリスマ”瓜田純士の心を動かすか

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 新宿の片隅に生きる“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)が、世の中のありとあらゆる事象に対し、歯に衣着せぬ批評を行う不定期連載。今回は、大ヒット中のアニメ映画『この世界の片隅に』を鑑賞してもらい、率直な感想を語ってもらった。
「知らないし、興味もない」──『この世界の片隅に』は元アウトローのカリスマ瓜田純士の心を動かすかの画像2
(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
 昨年11月に公開されて以来、SNSや口コミで評判が広がり、先月末には観客動員数が120万人を突破した話題作『この世界の片隅に』(監督:片渕須直、原作:こうの史代)。今後も上映館は増加する見込みらしく、その勢いはとどまるところを知らない。  だが、年末年始は執筆に追われ、インターネットをほとんど遮断していた瓜田は、本作のことを「まったく知らないし、興味もないし、予習もしてない」という状態で劇場に現れた。  しかも、この日の瓜田は体調不良で不機嫌そのもの。「熱があるので行けないかも」というメールが前日に届いていたのだが、「前売りのチケットを購入済みなので、できれば来てほしい」と返信したところ、これが癇に障ったらしい。会うなり記者に絡み始めたのだ。 「普通、体調が悪いってメールが来たら、『じゃあ、無理せず延期しましょう』と返すでしょう。前売りチケットを買ったからって、『這ってでも来い』ってのは冷た過ぎるし、ケチ過ぎやしませんか? わざと救急車に乗って点滴打ちながら来てやろうかと思ったぐらい、ムカつきましたよ。え? もう始まるの? そんなに急かさないでくださいよ。どうせ子ども向けのアニメでしょ? 15分や20分遅れたところで問題ないじゃないですか」  不満タラタラの瓜田をどうにかこうにかなだめつつ、劇場内に送り込んだのだが、実はこの先にもう一つ、彼の神経を逆撫でしそうな要素があることは、怖くて言い出せなかった。そう、瓜田の指定席は、映画が一番見づらいと言われる「最前列の一番端」。人気作、しかも土曜日だったため、その1席しかチケットが売れ残っていなかったのだ。  これで映画がつまらなかったら、終わったあとに怒られるのは確実である。以前、テレビアニメの『おそ松さん』を無理やり鑑賞してもらったときの乱心ぶりが記憶に新しいだけに(記事参照)、記者はハラハラしながらロビーで待機。そして、約2時間後、鑑賞を終えて劇場から出てきた瓜田に恐る恐るインタビューを行った。
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――いかがでしたか……? 瓜田 いやぁ、よかったです。敬礼もんですよ。映画のタイトルとポスターの絵を最初に見た瞬間、どうせメンヘラ女が主人公の作品だろ、と思ったんですよ。自分探しの心の旅が延々と続くような、夢見がちなオタク向けのスーパーつまんない作品なんだろうと思ってた。ところが、いざ見始めたら、小姑との確執を描いた橋田寿賀子的ドラマのアニメ版か? という展開になりつつも、中盤あたりからは、いやこれ、冷やかしちゃいけないようなスーパーヘビーな内容じゃねえか、となって、終わったときにはスクリーンに向かって思わず敬礼してましたよ。すげえいい映画でした。37度3分の熱がある俺が言うんだから間違いないです。 ――どこがよかったですか? 瓜田 まず、心の機微の捉え方がめちゃくちゃ上手い。普段はおっとりしてる主人公のすずが、何度か感情的になる場面がありましたよね。「帰る」と言い出したり、消火しようとムキになったり、自分で髪を切ったり、サギを追いかけたり……。あんな風に感情がスパークする瞬間って、どんな一般ピープルにも必ずあるじゃないですか。その切り取り方と表現方法が非常に巧み。途中、不倫っぽくなるシーンもあったけど、あのときの男女の心理描写も生々しくてよかったです。 ――どんな描写に生々しさを感じましたか? 瓜田 初恋の人に再会し、そのもどかしさを旦那のせいにしてキレる嫁もリアルだったし、心配しつつも信頼したくて嫁を納屋に送り出した旦那の気持ちや、幼馴染の前だといつもの嫁じゃなくなることに対する旦那のヤキモチの焼き方とかも、同じ男として「わかる!」って感じの絶妙さ。アニメとは思えないというか、終始、役者の芝居を見てるようでした。声優の力も大きいのかな。特にすずの声を担当した声優が、マジですごい! あの朴訥とした語り口で、食べ物の名前をつぶやくだけで、美味しさと貴重さがじんわりと伝わってくるというね。 ――あれ、「のん」こと能年玲奈の声です。 瓜田 へぇ、そうなんですか。あの広島弁がとにかく神がかってて、ただごとじゃなかったですね。のんに限らず、声優陣はみんなよかった。難しいと思うよ、あの時代の広島弁って。
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――絵についてはどのような印象を? 瓜田 長編のアニメってたいてい、絵は変わらないまんま誰もしゃべらず音楽だけ流れるシーンとかがあって、どうしても退屈しちゃうんだけど、この作品に関しては、飽きることはまったくなかったですね。常に誰かがしゃべってるか、何かが動いてる。だけど不思議と、目は疲れない。絵のタッチはシンプルだけど、動作や表情の変化をきめ細かく描き、そこに濃厚な会話とリアルな効果音を加えることで実写のように見せてしまうんだからすごい。アニメだからこそ実現できた素敵なシーンも数多くありましたね。 ――それは、たとえば? 瓜田 木にブラ下がってた障子のマス目に、ずすの成長期を追う絵がポッポッポッと浮かんでくる場面なんかは、グッとくるものがありました。あそこですずが発する言葉がまた、心の成長を表してて感動的なんですよ。心の動きってことで言うと、すずと小姑の関係性の変化も丁寧に描かれててよかった。で、一瞬平和な空気が流れた直後に、あることが起きるわけですが、あの場面は登場人物も、見てる観客も、同じように驚いたんじゃないでしょうか。平和な時代に生まれてよかった。鑑賞中、何度もそう思いましたし、あの時代を生きたすべての日本人に改めて敬意を払いたくなりましたね。 ――今のところベタ褒めですが、気に入らなかった点は? 瓜田 ちょっと時間が長かったかな。ちゃんと、おしっこしてから見るべきでした。 ――本作を総括すると? 瓜田 これはきっと戦争映画じゃなくて、その時代に広島の呉に嫁いだ、絵を描くことしか取り柄のない、ごくごく普通の女の子の物語なんだと思います。嫁いだ先でいろいろあったけど、逃げずに健気に生き抜いた。そこを捉えて、そこだけで物語にしたのがすごいなと思いますね。
「知らないし、興味もない」──『この世界の片隅に』は元アウトローのカリスマ瓜田純士の心を動かすかの画像7
――見てよかったですか? 瓜田 よかったです。最初は「よりによって体調の悪い俺を、一番前の一番見づらい場所に座らせやがって!」という怒りがあったし、「あとで必ずケツを取ってやる!」と思ってたけど、途中から物語に没頭し、そういう感情を忘れてしまった。こんな良質な映画を見せられたら、そりゃ人をイジメようっていう気持ちは消えてなくなりますよ。  * * *  瓜田から爆弾を落とされることを覚悟していた記者だが、映画があまりにも素晴らしかったため、運よく難を逃れたのであった。 (取材・文=岡林敬太) ※瓜田純士&麗子 Instagram https://www.instagram.com/junshi.reiko/ ※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ●『この世界の片隅に』 原作/こうの史代 監督・脚本/片渕須直 音楽/コトリンゴ 出演/のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、藩めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓、澁谷天外 配給/東京テアトル 全国公開中 (c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 http://konosekai.jp